JP3697004B2 - 食品の風味改良剤および風味改良方法 - Google Patents
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Description
[発明の背景]
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する食品の風味改良剤、および食塩が添加される食品に前記ニゲロオリゴ糖を配合することにより、食品の風味を改良する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品には、大きく分けて、安全性、栄養性、嗜好性、貯蔵性、利便性および経済性の6つの要素が求められ、なかでも嗜好性は極めて重要な要素であり、飽食の時代と呼ばれて久しい昨今では、健康的で安価な食品であっても、美味しいものでなければ決して消費者には受け入れられない。
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の基本味に辛味、渋味を含めた味覚、これにこくと香りが加わって風味、更には色、形、音等を含めた、いわゆる食味によって、上述の嗜好性が決定づけられている。また、基本味のなかでも人は生得的に甘味、塩味、旨味を好む一方で、酸味や苦味を拒否すると言われ、とりわけ、食前酒やデザートを除くメインディッシュの味のほとんどは、塩味と旨味が主役であり、両者には嗜好性を左右する相互作用が存在することが報告されている(山口静子,食品と容器,29,570-579(1988)、S.Yamaguchi et al.,J.Food.Sci.,49,82-85(1984))。
【0003】
食塩は塩味を呈する代表的な物質であるが、味質改善の他に、浸透圧による保存性の向上や小麦粉製品および練製品の結着性向上等の多様な改善効果が知られており、多くの食品に広く使用されている。食塩含有量は、例えば、農産加工品では0.8重量%以上、水産加工品では0.5重量%以上、調味料では0.4重量%以上、畜産加工品では0.2重量%以上、調理済み食品では0.2重量%以上、スナック食品では0.1重量%以上と言われている。
ところで、食塩を含有する食品では、塩味をより緩和しマイルドなものにする、いわゆる“塩かど”をとり、風味を向上させる試みが従来より強く求められており、例えば、グリチルリチンやステビア等の甘味料、グリシンやグルタミン酸等のアミノ酸、或いは5′‐リボヌクレオチド等の核酸やコハク酸等の有機酸を同時に添加する方法が提案されている。
しかし、塩味は後を引く持続的な味質であるため、例えば甘味料を添加しても、持続的に甘味を呈する甘味料でなければ、逆に塩味や苦味を強く感じるようになってしまう。また、アミノ酸や核酸では、アミノ酸特有のアミノ酸臭や核酸の独特な味質等から添加量が制限され、単独では塩かどをとるには未だ不十分であると指摘されている。
【0004】
ところで、塩かどをとることが望まれる一方で、高齢化社会の到来や最近の成人病患者数の増加等から、食塩自身の摂取も低減化される傾向にあるのが現状である。しかし、上述のように食塩は食品の風味付与には不可欠であり、また、うま味と塩味は相互関係を有しているため、旨味を感じるには相応の食塩が必要であることが知られている(山口静子,食品と容器,29,570-579(1988)、S.Yamaguchi et al.,J.Food.Sci.,49,82-85(1984))。よって、より食塩が低減化されても、相応の旨味を感じる食品の風味改良方法の開発が期待されていた。
以上のことから、安全で安価に入手可能であり、また最近のダイエットブームを考慮するとより、低カロリーで低塩化可能な素材によって、消費者の嗜好性を満足させる、食品の風味改良方法が切望されていた。
【0005】
〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術が抱える問題点を踏まえ、安全性および経済性を有し、より健康的な素材を用いて、食品の塩かどをとりかつ食塩が低減化されても相応の旨味を与えることのできる、食品の風味改良剤および風味改良方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ニゲロオリゴ糖を添加配合することによって、食塩を含む食品の塩かどをとり、風味が向上され、更には食塩が低減化されても旨味が維持され、食品の風味改良剤として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はニゲロオリゴ糖を有効成分とした風味改良剤、およびこの風味改良剤を添加配合することを特徴とする食品の風味改良方法である。
【0007】
〔発明の具体的説明〕
【発明の実施の形態】
本発明による食品の風味改良剤は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有するものであり、また食品の風味改良方法は、食塩が添加される食品に風味改良剤としてのニゲロオリゴ糖を配合することを特徴とするものであることは上記した通りであり、安全性および経済性を有した風味改良剤である、ニゲロオリゴ糖の使用により、塩かどをとって風味を改良するとともに、使用食塩の低減化をも可能とするものである。
【0008】
本発明風味改良剤の有効成分であるニゲロオリゴ糖は、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースなどのように、少なくとも1つ以上のα‐1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖を意味し、好ましくはグルコース重合度2〜10のオリゴ糖、より好ましくは重合度2〜7のオリゴ糖である。また、本発明の風味改良剤としてのニゲロオリゴ糖は、α‐1,3グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他にα‐1,3グルコシド結合とそれ以外の結合(例えばα‐1,4グルコシド結合、α‐1,6グルコシド結合あるいはα−1,1、α−1,2グルコシド結合など)とからなるオリゴ糖も包含するものである。
【0009】
ニゲロオリゴ糖は、合目的的な任意の方法により製造することができるが、具体的には下記のような公知の方法によって調製することができる。
例えば、M.Stacey and J.M.Webber:Methodsin Carbohydrate Chemistry,I,339−341,Academic Press(1962)には、微生物の生産する多糖類である、ニゲラン、エルシナン等を基質として、酵素或いは酸類などを用いて加水分解してニゲロオリゴ糖を製造する方法が提案されている。また公知のα‐グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調製する方法も知られている(金谷憲一他,日本農芸化学会誌,53,385-390(1979)、H.Fujimoto et al.,Agric. Biol. Chem., 52,1345-1351(1988)など)。
更に、特開平3−22958号公報には、澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作用させてニゲロースを製造する方法が開示されている。その他に、α‐1,4グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドを含む基質にα‐1,3グルコシド結合をもたらす糖転移酵素のうち1種または2種以上、具体的にはAcremonium属に属し、α−1,3結合をもたらす糖転移酵素を生産する真菌、例えばAcremonium sp. S4G13(FERM BP−4373)を常法に従い、培養することによって調製される糖転移酵素を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法も開示されている(特開平7−59559号公報)。
本発明の風味改良剤として使用するニゲロオリゴ糖は、いずれの方法で調製されたものでもよく、上記の方法に限定されない。ただし、現在までに知られている方法の中で最も経済的な面で優れていると考えられるのは、上記特開平7−59559号公報に記載された糖転移酵素(ニゲロオリゴ糖生成酵素)を用いた方法であり、本発明による風味改良方法においてもこの方法に従って調製したニゲロオリゴ糖を使用するのが好ましい(後記実施例)。
【0010】
本発明の風味改良剤における「ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有する」の「有効成分として含有する」とは、ニゲロオリゴ糖の他にその風味改良作用に悪影響を与えない他の成分が含まれていてもよいことを意味する。
すなわち、上述のような方法で調製した糖類(シラップ)中には、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトース等のように、少なくとも1つ以上のα‐1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖(ニゲロオリゴ糖)の他に、グルコース等の単糖類、α‐1,3結合以外の結合からなる各種オリゴ糖(マルトース等)或いはデキストリンなども含有している場合があるが、ニゲロオリゴ糖が含有されていれば、本発明に使用することができる。また、ニゲロオリゴ糖がニゲロース単独であってももちろん使用できる。ニゲロースは重合度が高い他のニゲロオリゴ糖に比べて本発明効果が高いため、より低濃度でも効果を示す。なお、本発明の風味改良剤は、重合度の異なる混合オリゴ糖を含むものであってもよいし、必要に応じて所望の単一重合度を有するオリゴ糖を分離(クロマト分画法などによる)して用いることもできる。また、風味改良剤の形態は上述の方法で得られたようなシロップ状の他、凍結乾燥状、粉末状、顆粒状など任意の形態でありうることはいうまでもない。
【0011】
本発明においては、上記のようなニゲロオリゴ糖を食品に配合する。
本発明の風味改良法において対象となる食塩が添加される食品は、最終的に食塩を含む食品であれば特に限定されるものではない。代表的なものとしては、例えば漬物等の農産加工品、ハム、ソーセージ等の畜肉加工品、水産練製品等の水産加工品、ハンバーグ等の調理済み製品、ソースや醤油等の調味料、即席中華麺や電子レンジ対応食品等のインスタント食品等が挙げられる。これらの食品中の食塩含量は、一般にその種類、製法および味付け等によって多様であって、通常その含量の低いもので0.1%程度(例えば果実酢など)から高いもので58%程度(例えばコンソメなど)にわたり、特殊な目的の食品等によってはこの範囲から外れるものもある。
【0012】
本発明による食品の風味改良方法においては、上記のような食塩添加食品にニゲロオリゴ糖を配合することになる。食品へのニゲロオリゴ糖の配合に際しては、最終的に食塩とニゲロオリゴ糖が共存する状態となる条件であればその方法は任意の方法でありうる。例えば基礎となる上記食品の加工の過程において食塩添加の前もしくは食塩添加と同時に基礎食品中にニゲロオリゴ糖を配合しても、あるいは基礎食品の加工終了後に配合してもよく、各種食品の製造工程の実状に適した配合方法を用いることができる。
ニゲロオリゴ糖の配合量は、食品に添加される食塩の量等にも左右されるが、基本的には本発明におけるニゲロオリゴ糖の風味改良剤としての作用を発揮する量であればよい。
一般に食塩100部(重量)に対してニゲロオリゴ糖1〜50部(重量)が好ましく、ニゲロオリゴ糖がニゲロース単独の場合においては、前述のように他のニゲロオリゴ糖よりも本発明効果が高いので、ニゲロースを食塩100部(重量)に対して0.1〜10部(重量)配合すればよい。
【0013】
本発明において、上述のようなニゲロオリゴ糖の配合による風味改良の作用機能は充分解明されていないが、ニゲロオリゴ糖が後味を引き、コク味を持った甘味料であり、更に甘味以外の味質を適切に引き立たせる独特の味質を有していることに起因すると考えられる。
更に、前述のように旨味と塩味には明確な相関関係が存在し、所望の旨味を発揮するには所定の塩味、例えば食塩が必須であるため、通常は食塩を低減化すると旨味や風味も呼応して低下するため、本発明のように、同等あるいはそれ以上の風味を維持したまま食品中の食塩の低減化を可能とすることは当業者にとって予想のできないことであった。
本発明においては、安全性、経済性を有するニゲロオリゴ糖を配合することにより、所期の目的である食品の風味改良が可能となるばかりでなく、風味を維持したまま食塩を低減することが可能である。
【0014】
【実施例】
以下は、実施例により本発明について更に具体的に説明するものであるが、当該実施例の内容により本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきではない。
〔実施例1〕
固形分30重量%のマルトース溶液を基質とし、特開平7−59559号公報記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株(FERM BP−4373)が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を、1単位/g基質の量で添加して、pH7、55℃の条件下で48時間反応させてニゲロオリゴ糖シラップを調製した。得られたニゲロオリゴ糖シラップの糖組成を表1に示した。
【0015】
〔実施例2〕
コーンスターチを常法によりα‐アミラーゼを用いて液化させ、濃度30重量%、グルコース当量7の澱粉糖化液を調製した。
次いでこの澱粉糖化液にpH5に調製した後、原料とした澱粉1重量部に対して0.001重量部のβ‐アミラーゼ(商品名“β‐アミラーゼ1500”、ナガセ生化学工業株式会社製)と、0.0001重量部のイソアミラーゼ(林原生化学研究所株式会社)とを添加して、55℃下に、24時間反応させて基質を得た。
その後、この基質に、特開平7−59559号公報記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株(FERM BP−4373)が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を0.8単位/g基質の量で添加して、55℃下に48時間反応させてニゲロオリゴ糖シラップを調製した。得られたニゲロオリゴ糖シラップの糖組成を表1に示した。
【0016】
*表中の数値は、糖固形分当たりの重量%を示す。また、三糖類、四糖類以上の糖類中の括弧内は、糖固形分当たりのニゲロオリゴ糖含量を示している。
よって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース、三糖類、四糖類以上のニゲロオリゴ糖の合計量である。なお、ニゲロオリゴ糖生成酵素の酵素活性は、pH7.0の20mMリン酸緩衝液に、マルトースを0.66重量%濃度で溶解させたマルトース溶液0.75mlに、0.25mlの酵素溶液を加えて、37℃で反応させた際に、基質のマルトースから1分間に1μmol のグルコースを生成する酵素量を1単位と定義した。
【0017】
〔実施例3〕
実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを用いて、ニゲロオリゴ糖水溶液10g/100g(固形分換算)、イソマルトオリゴ糖水溶液(イソマルト500、昭和産業株式会社製) 12g/100g(固形分換算)、およびフラクトオリゴ糖水溶液(メイオリゴG、明治製菓株式会社製) 10g/100g(固形分換算)を用いて(各々ショ糖水溶液6g/100gの甘味度に調製)、各オリゴ糖の甘味の経時変化を10名のパネラーによって官能評価し、併せて香りおよび風味に関して感じたことを、自由に記述した。
図1では、ニゲロオリゴ糖の甘味の立ち上がり方は最も緩やかであり、また甘味強度が比較的高いところでの甘味持続性が大きく、特徴的な味質であることが示されている。
また、表2および表3の香りおよび風味に関する自由記述からも、ニゲロオリゴ糖に後味を引き、まったり感のある特徴的な風味が確認されている。
【0018】
【0019】
【0020】
〔実施例4〕
各種濃度の食塩水に実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを添加して、“塩かど”をとる、いわゆる塩なれ効果について、10名のパネルで官能評価を実施した。
【0021】
【0022】
〔実施例5〕
実施例2で調製したニゲロオリゴ糖シラップを用いて、10%NaCl溶液を基準に10%NaCl‐1%ニゲロオリゴ糖シラップ溶液(B)および10%NaCl‐1%イソマルトオリゴ糖シラップ溶液(C)の塩なれ効果について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表5に示した。
【0023】
〔実施例6〕
実施例5と同様に、4%NaCl溶液を基準に4%NaCl‐1%ニゲロオリゴ糖シラップ溶液(B)および4%NaCl‐1%イソマルトオリゴ糖シラップ溶液(C)の塩なれ効果について、10名のパネラーで官能評価を実施した。結果を表5に示した。
【0024】
備考;基準を同等(0)として、強い塩かど有(−2)〜強い塩なれ有(+2)までの連続的官能評価を実施し、パネラー(10名)の評価の平均を示した。
【0025】
〔実施例7〕
旨味と塩味の相互関係について詳細に解析した報文(S.Yamaguchi et al.,J.Food.Sci.,49,82-85(1984)) に準じ、鰹節20gを沸騰水11に入れて、優しく撹拌後3分間保持した上澄みをこしとり、MSG、NaClおよび各オリゴ糖を所定量添加し溶解させ、各試験液とした。
0.38%MSG−0.81%NaCl−すまし汁、0.38%MSG−0.52%NaCl−すまし汁および0.38%MSG−0.40%NaCl−すまし汁の順に旨味および風味が低下することが前記報文で指摘されているので、まずこの3つの試験液を調製して旨味および風味を正確に認識できる10名のパネラーを選定した。
次に、0.38%MSG−0.52%NaCl−すまし汁を基準に0.38%MSG−0.52%NaCl−1%ニゲロオリゴ糖シラップ−すまし汁(B)および0.38%MSG−0.52%NaCl−1%イソマルトオリゴ糖シラップ−すまし汁(C)の旨味および総合的な好みについて官能評価した。結果を表6に示した。
【0026】
〔実施例8〕
実施例7と同様に0.38%MSG−0.40%NaCl−すまし汁を基準に0.38%MSG−0.40%NaCl−1%ニゲロオリゴ糖シラップ−すまし汁(B)および0.38%MSG−0.40%NaCl−1%イソマルトオリゴ糖シラップ−すまし汁(C)についての旨味および総合的な好みについて官能評価した。結果を表6に示した。
【0027】
〔実施例9〕
実施例7と同様に0.38%MSG−0.52%NaCl−すまし汁を基準に0.38%MSG−0.52%NaCl−1%ニゲロオリゴ糖シラップ−すまし汁(B)および0.38%MSG−0.40%NaCl−1%ニゲロオリゴ糖シラップ−すまし汁(C)の旨味および総合的な好みについて官能評価した。結果を表6にした。
実施例7、8および9の結果から、ニゲロオリゴ糖はイソマルトオリゴ糖と異なり、旨味増強、風味増強に寄与すると共に、低食塩下での風味保持に有望であることが示された。
【0028】
備考;基準を同等(0)として、旨味かなり減少、或いは極めて不快(−2)〜強い旨味有、或いは極めて良好(+2)までの連続的官能評価を実施し、パネラー(10名)の評価の平均を示した。
【0029】
〔実施例10〕
原料大豆2.0kgを水洗後、水に十分浸漬して膨潤させ、圧力釜(1kg/cm2 )で15〜20分間蒸煮して蒸煮大豆を調製する。その後、蒸煮大豆を35〜40℃まで冷却後、市販麹1.2kgをほぐして食塩1kgを添加した塩切り麹を徐々に加えながら大豆が1/2〜1/3に崩れる程度に磨砕して、更にニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)100gを含んだ塩水500mlを加えて十分に磨砕して混合する。表面に塩0.2kgをまぶして、消毒済みガーゼで覆った上に皿をのせて重石で3ケ月程仕込んで調製する。ニゲロオリゴ糖添加によって、塩かどがとれて、こくのあるまろやかな味のある速醸味噌となる。
【0030】
〔実施例11〕
醤油0.8l、水0.2l、食塩30gを加えて約70℃に加熱してから、砂糖300g、水飴30g、ニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)10g、グルタミン酸ソーダー0.5gを加えて溶解させた後、冷却後氷酢酸1mlおよび50%乳酸1mlを加えて漬込液を調製する。この漬込液は、ニゲロオリゴ糖添加によって、塩味がマイルドでまろやかな味わいがあるものとなる。
更に、塩漬け大根70%、塩漬けなす15%、塩漬けなたまめ7.5%、塩漬け胡瓜7%およびしそ0.5%の原料野菜を2〜5時間塩出しし、圧搾機或いは脱水機にて脱水・圧搾した上記組成の原料1kgに対して、上記調製漬込液を添加して1週間程漬込み(冬期)熟成させて福神漬を調製する。ニゲロオリゴ糖添加によって、塩かどがとれて、こくのあるまろやかな味のある福神漬となる。
【0031】
〔実施例12〕
水洗後の水切り胡瓜1.5kgを食塩水(134g/l)に漬けて、押し蓋をした後1週間漬込む。ちなみに、漬込用食塩水は毎日上記濃度になるように調整する。胡瓜の頭部と尾部に爪楊子大の穴を開けて流水中で約4時間水洗・脱塩した。一方、食酢1lに砂糖250g、ニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)50g、香辛料(シナモン1g、グローブ2g、レッドペッパー0.5g、ローレル0.5g)および化学調味料2gを添加して75℃まで加熱した後十分冷却し、塩漬胡瓜を入れてポリフィルムで密封して更に1週間漬込み、60℃の湯浴中で30分間殺菌してピクルスを調製する。ニゲロオリゴ糖添加によって、塩かどや酸味が緩和されていて、こくのあるまろやかな味のピクルスとなる。
【0032】
〔実施例13〕
にんじん10g、ごぼう10gをささがきにして、あくを抜く。冷凍すり身300gは半解凍のままフードカッターに入れ、食塩3g、ニゲロオリゴ糖(実施例2調製)1g、でんぷん9g、みりん3mlを添加して混合・撹拌した。カッターから取り出して、温度が上昇しないように野菜を混ぜて、好みの形に成形して、約175℃の油できつね色になるまで揚げて、さつま揚げを調整する。ニゲロオリゴ糖添加によって、深みのある味のさつま揚げとなる。
【0033】
〔実施例14〕
食塩1.8g、MSG0.1g、だしの素0.7g、砂糖1.5g、ニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)0.6g、鰹パウダー2.5g、醤油8mlおよび水3.2mlを添加溶解して、めんつゆを調整する。ニゲロオリゴ糖添加によって、深みがあり且つまろやかな味のめんつゆとなる。
【0034】
〔実施例15〕
チョッパーで粉砕したオランダ産ゴーダチーズ1.5kgを乳化釜に投入し、これに水75ml、K1(ハンセン社製溶融塩:クエン酸3ナトリウム、ヘキサメタクリン酸ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウムの混合物)45gおよびニゲロオリゴ糖シラップ(実施例2調製)10gを添加した後、スチームジャケットによる間接加熱により保温および撹拌する。6分間で所定の温度に達した後、加熱を停止し、更に撹拌および減圧脱気して所望のチーズを採取し、容器に充填・包装して約5℃前後で冷却保存し、プロセスチーズを調整する。ニゲロオリゴ糖添加によって、深みがあり且つまろやかな味のプロセスチーズとなる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、食塩が添加される食品にニゲロオリゴ糖を配合することにより、効果的に塩かどをとり食品の風味を改良させる風味改良剤および風味改良方法を提供することができる。
また本発明により、所期の目的である食品の風味改良が可能となるばかりでなく、旨味および風味を維持したまま食塩を低減することも可能である。このことは、旨味と塩味には明確な相関関係が存在し、所望の旨味を発揮するには食塩等の所定の塩味が必須であるため、通常は食塩を低減化すると旨味や風味も呼応して低下すると予測されることからすれば、当業者にとって思いがけなかったことと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖およびフラフトオリゴ糖の経時的な甘味変化を示すグラフ。
Claims (4)
- ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする、食塩が添加される食品の風味改良剤。
- 食塩が添加される食品にニゲロオリゴ糖を配合することを特徴とする、食品の風味改良方法。
- 食品中の食塩100部(重量)に対してニゲロオリゴ糖を0.1〜50部(重量)配合することを特徴とする、請求項2記載の食品の風味改良方法。
- ニゲロオリゴ糖が、α‐1,4グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドにニゲロオリゴ糖生成酵素を作用させて調製したものである、請求項2または3記載の風味改良方法。
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1997
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