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JP3687604B2 - 車体前部構造 - Google Patents

車体前部構造 Download PDF

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JP3687604B2
JP3687604B2 JP2001386319A JP2001386319A JP3687604B2 JP 3687604 B2 JP3687604 B2 JP 3687604B2 JP 2001386319 A JP2001386319 A JP 2001386319A JP 2001386319 A JP2001386319 A JP 2001386319A JP 3687604 B2 JP3687604 B2 JP 3687604B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2206/00Indexing codes related to the manufacturing of suspensions: constructional features, the materials used, procedures or tools
    • B60G2206/01Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs
    • B60G2206/016Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs allowing controlled deformation during collision
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B60G2206/10Constructional features of arms
    • B60G2206/122Constructional features of arms the arm having L-shape

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  • Body Structure For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体前部構造に関し、とりわけ、車両前面衝突時の荷重を前輪を利用して車体骨格部材に分散するようにした車体前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車体前部構造としては、例えば特開平11−342869号公報に開示されるものがあり、車両前方から入力される衝突荷重によって前輪が後方移動してフロントピラーおよびサイドシルの前端部に干渉した際に、フロントピラーとサイドシルとの連結部に配設した補強部材の後端部に変形力が集中するのを緩和するとともに、サイドシルの前端部でエネルギー吸収する構造としたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の車体前部構造では、前輪は所定の支持剛性をもって車体側に支持されるものであるため、前方からの衝突荷重に対して前輪は後方移動に抵抗力を発生し、一連の衝突挙動の後半で前輪がサイドシルに干渉することになる。
【0004】
このため、衝突挙動の前半では前輪の後方移動荷重は、この前輪を支持するサスペンションアームおよびこのサスペンションアームを支持するアーム支持部材を介して、このアーム支持部材を結合したサイドメンバやこのサイドメンバの後方端部に連設したエクステンションサイドメンバに集中して伝達される。
【0005】
従って、衝突初期において前記エクステンションサイドメンバの幅方向外側に配設されて、高い剛性を有するサイドシルへの荷重伝達や分散を十分に行わせることが難かしくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、車両前方からの衝突荷重に対して前輪を積極的に後方移動させて衝突後早期にサイドシルに干渉させることにより、衝突荷重を車体骨格部材に効率良く分散させることができる車体前部構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、フロントコンパートメントの左右両側部に、車体前後方向に配設したサイドメンバと、
左右のサイドメンバの前端部に跨って連結した車両前端部材と、
前記サイドメンバの後方に連設したエクステンションサイドメンバと、
前記エクステンションサイドメンバの車幅方向外側に略平行に配設したサイドシルと、
前記エクステンションサイドメンバと前記サイドシルの各前端部に跨って連結したアウトリガーと、
前記サイドメンバに取り付けられ、サスペンションアームを支持するアーム支持部材と、
前記サスペンションアームを介して支持され、前記車両前端部材の車幅方向外側端部と前記アウトリガーとの間に配置した前輪と、を備えた車体前部構造において、
前方からの衝突荷重の入力により前記前輪をトーアウト方向に積極的に転舵させる前輪位置変化手段と、
前記前輪位置変化手段による前輪の転舵後、前輪を車両後方に移動して前記サイドシル又はアウトリガーに干渉させるとともに、衝突荷重を前輪に伝達する荷重伝達手段と、を設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明にあっては、フロントコンパートメントの左右両側部に、車体前後方向に延設したサイドメンバと、
左右のサイドメンバの前端部に跨って連結した車両前端部材と、
前記サイドメンバの後方に連設したエクステンションサイドメンバと、
前記エクステンションサイドメンバの車幅方向外側に略平行に配設したサイドシルと、
前記エクステンションサイドメンバと前記サイドシルの各前端部に跨って連結したアウトリガーと、
前記サイドメンバに取り付けられ、サスペンションアームを支持するアーム支持部材と、
前記サスペンションアームを介して支持され、前記車両前端部材の車幅方向外側端部と前記アウトリガーとの間に配置した前輪と、を備えた車体前部構造において、
前方からの衝突荷重の入力により前記前輪をトーアウト方向に積極的に転舵させるとともに、この前輪を車両後方に移動して前記サイドシル又はアウトリガーに干渉させる前輪位置変化手段と、
前記前輪位置変化手段による前輪の転舵および後方移動後、衝突荷重を前輪に伝達する荷重伝達手段と、を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明にあっては、請求項1または2に記載の車体前部構造において、アーム支持部材に、前記衝突荷重の入力によりサスペンションアームを車体に対して相対的に下方かつ後方に案内する下折れ手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3に記載の車体前部構造において、荷重伝達手段は、衝突の進行に伴って車両後方に変形する前記車両前端部材の車幅方向外側端部であることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明にあっては、請求項4に記載の車体前部構造において、車両前端部材の車幅方向外側端部と前輪との間に、前記車幅方向外側端部と前輪との干渉タイミングや接触状態を制御する調整手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載の車体前部構造において、調整手段をエネルギー吸収部材で形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明にあっては、請求項1〜6に記載の車体前部構造において、前輪位置変化手段は、前記アーム支持部材に設けられて、衝突荷重の入力により変形してサスペンションアームを後方に傾斜させる脆弱部であることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明にあっては、請求項7に記載の車体前部構造において、脆弱部は、ノッチ部,ビード部,板厚変化部,ブレース部のいずれか1つ若しくは複数の組み合わせで構成したことを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前面衝突等により車両前端部材に衝突荷重が入力すると、この車両前端部材はサイドメンバの軸方向の圧壊を伴って後方移動する。
【0016】
このとき、前輪は前輪位置変化手段によってトーアウト方向に転舵され、そして、この転舵された前輪は荷重伝達手段によって車両後方に移動してサイドシル又はアウトリガーに干渉し、この前輪に伝達された衝突荷重をサイドシル又はアウトリガーに伝達することができる。
【0017】
従って、車両前端部材に入力した衝突荷重は、サイドメンバからエクステンションサイドメンバに伝達される一方、前輪の転舵が積極的に行われることにより前輪の後方移動が促進され、衝突後早期に前輪をサイドシル又はアウトリガーに干渉させることができて、衝突荷重をサイドシルへと伝達させることができ、結果的に衝突荷重を車体骨格部材全般に効率良く分散してキャビンの変形を抑制することができる。
【0018】
このとき、前輪の転舵は荷重伝達手段が作用しない状態で行われるため、この前輪の転舵を衝突初期から容易かつ確実に行わせることができる一方、前輪が転舵した状態で荷重伝達手段から衝突荷重が伝達されるため、前輪を後方に移動させる荷重を大きくすることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、前方から衝突荷重が入力するとサイドメンバの軸方向の圧壊を伴って車両前端部材が後方移動する一方、前輪は前輪位置変化手段によってトーアウト方向に転舵しつつサイドシル又はアウトリガーまで移動して干渉する。
【0020】
そして、このサイドシル又はアウトリガーに干渉した前輪には荷重伝達手段によって衝突荷重が伝達され、この前輪に伝達された衝突荷重をサイドシル又はアウトリガーに伝達することができる。
【0021】
従って、車両前端部材に入力した衝突荷重は、サイドメンバからエクステンションサイドメンバに伝達される一方、前輪に入力した衝突荷重はサイドシルへと伝達されることになり、結果的に衝突荷重を車体骨格部材全般に効率良く分散してキャビンの変形を抑制することができる。
【0022】
このとき、前輪位置変化手段によって前輪の転舵および後方移動が積極的に行われることにより、衝突後早期に前輪をサイドシル又はアウトリガーに干渉させることができるため、衝突初期から前輪荷重がサイドシルに伝達される経路が形成されるため、高い車体反力を得ることができるとともに、衝突荷重を衝突初期からスムーズにサイドシルに伝達することができるため、サイドメンバからエクステンションサイドメンバに入力する荷重を低減することができるようになり、キャビンの変形防止効果を高めることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、アーム支持部材に下折れ手段を設けて、衝突荷重の入力によりサスペンションアームを車体に対して相対的に下方かつ後方に案内するようにしたので、このサスペンションアームの下方移動に伴って前輪をサイドメンバ下方の広いスペースに潜り込ませつつ後方移動させて、この前輪をサイドシル又はアウトリガーに迅速に干渉させることができるため、荷重分散効果を更に高めることができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果に加えて、荷重伝達手段として、衝突の進行に伴って車両後方に変形する車両前端部材の車幅方向外側端部を有効利用しているので、部品点数の増加を伴うことがなく、構造的におよびコスト的に有利に得ることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、車両前端部材の車幅方向外側端部と前輪との間に調整手段を設けて、前記車幅方向外方端部と前輪との干渉タイミングや接触状態を制御するようにしたので、前輪荷重を車体骨格部材に伝達する荷重分散経路を正確に制御でき、ひいては前輪から車体骨格部材に伝達する衝突荷重の分散効率を高めることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の発明の効果に加えて、調整手段をエネルギー吸収部材で形成したので、調整手段が前輪に当接したときにエネルギーを吸収することができるため、車体ひいてはキャビンに伝達される衝撃を緩和することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の発明の効果に加えて、前輪位置変化手段を、前記アーム支持部材に設けられて、衝突荷重の入力により変形してサスペンションアームを後方に傾斜させる脆弱部としたので、構成の簡素化を図ることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の発明の効果に加えて、脆弱部を、ノッチ部,ビード部,板厚変化部,ブレース部のいずれか1つ若しくは複数の組み合わせで構成したので、既存のアーム支持部材に適用することができるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0030】
図1から図5は本発明の車体前部構造の第1実施形態を示し、図1は本発明の対象とする自動車の外観斜視図、図2は車体前部右側の骨格構造を示す底面図、図3は車体前部右側の骨格構造を示す斜視図、図4は車体前部右側の前輪取付部分の分解斜視図、図5は衝突時の前輪の挙動および荷重入力状態を(a)〜(c)によって順を追って示す車体前部右側の底面図である。
【0031】
本実施形態の車体前部構造は図1に示す車体10のフロントコンパートメントF・Cに適用され、その車体骨格構造は図2,図3,図4に示すように、フロントコンパートメントF・Cの左右両側部に車体前後方向に延在して配されたサイドメンバ11を備えている。尚、同図では片側のみのサイドメンバ11を示す。
【0032】
前記左右のサイドメンバ11の前端部に跨って図外のバンパーの骨格を成す車両前端部材としてのバンパーレインフォース12を連結してあり、このバンパレインフォース12の車幅方向外側端部(以下、単に外側端部と称する)12aはサイドメンバ11よりも所定量Lだけ外方に張り出してある。
【0033】
前記サイドメンバ11の後方にはエクステンションサイドメンバ13が連設され、このエクステンションサイドメンバ13の車幅方向外側には略平行にフロアサイドの前後方向骨格部材であるサイドシル14を配設してあるとともに、これらエクステンションサイドメンバ13とサイドシル14のそれぞれの前端部をアウトリガー15で連結してある。この、アウトリガー15は車幅方向外側が車体後方に向かって傾斜して配設してある。
【0034】
前記エクステンションサイドメンバ13の上側には、サイドシル14の内側に結合されるフロアパネル16が敷設され、このフロアパネル16の上方にキャビン17が構成される。フロアパネル16の中央部にはトンネル部16aを前後方向に膨出成形してある。また、前記サイドシル14の前端部には、図3,図4に示すように上方に向かってフロントピラー18を立設してある。
【0035】
前記サイドメンバ11の下側に跨ってアーム支持部材としてのサブフレーム20が配置され、このサブフレーム20にサスペンションアーム30を支持している。
【0036】
サブフレーム20は、フロントサイドメンバ11に略平行に配置された左右1対の閉断面構造のサイドフレーム21と、これらサイドフレーム21の前,後端部に跨って連結した前後一対の閉断面構造のクロスフレーム22とによって略矩形状に形成されている。
【0037】
図4に示したようにサイドフレーム21の前端部がサイドメンバ11の前端部下側に設けた取付部11aにボルト24を介して結合されるとともに、上記サイドフレーム21の後端部に設けた延設部23が、エクステンションサイドメンバ13の下面にボルト24aを介して結合される。
【0038】
前記サスペンションアーム30は、前後方向に指向する取付け基部31の前後端部が図外のゴムブッシュを介してボルト32により支持されるとともに、この取付け基部31から車幅方向外側に突出する支持部33の先端部に前輪34が取り付けられる。
【0039】
前輪34は図1に示したホイールハウス10aに収納されるが、このホイールハウス10aに収納された状態で前輪34は、図2に示したようにバンパーレインフォース12の外側端部12aとアウトリガー15との間に配置するようにしている。
【0040】
ここで、本実施形態では前記サブフレーム20のサイドフレーム21に、前方からの衝突荷重の入力により前輪34をトーアウト方向に積極的に転舵させる前輪位置変化手段としての脆弱部50を形成してある。
【0041】
前記脆弱部50は、前記サイドフレーム21の前端部の取付部24とサスペンションアーム30の前側の支持部との間に形成され、このサイドフレーム21の車幅方向内側面をV字状に凹設したビード部51によって構成される。
【0042】
つまり、上記ビード部51を形成することにより、図5(a)に示すように衝突荷重がバンパーレインフォース12に入力すると、この衝突荷重によりサイドメンバ11の前端部を軸方向に圧壊すると共にサブフレーム20に伝達され、このサブフレーム20のサイドフレーム21を前記ビード部51から外折れさせる。
【0043】
すると、サイドフレーム21のサスペンションアーム30を支持した部分は、このサイドフレーム21の後端部を中心として外方に傾斜され、これに伴ってサスペンションアーム30は車両後方に傾斜されて、前輪34はトーアウト方向に転舵される。
【0044】
そして、前記ビード部51によって前輪34を転舵した後、図5(b)に示すように衝突の進行により、荷重伝達手段としてのパンパレインフォース12の外側端部12aが車両後方に変形して前記前輪34の前端部に当接し、この外側端部12aが更に後方変形することにより、図5(c)に示すように前輪34を後方移動してサイドシル又はアウトリガー15に干渉させるようになっている。
【0045】
前輪34が干渉するアウトリガー15の内部には、図5に示すように補強プレート15aやブレース15bが取り付けられて、前輪34から衝突荷重が入力した際の変形が防止されるようになっている。
【0046】
前記外側端部12aの前輪34と対向する後側面12bには、この外側端部12aと前輪34との干渉タイミングや接触状態を制御する調整手段としてのスペーサ60が取り付けられている。
【0047】
スペーサ60は、硬質系のクッション材などを用いたエネルギー吸収部材で形成されるとともに、このスペーサ60の後側面60aは、転舵された前輪34の前端面に略面接触するように傾斜して三角形状に形成され、前記外側端部12aの押圧力を効率良く前輪34に伝達できるようになっている。
【0048】
以上の構成により本実施形態の車体前部構造にあっては、図2に示すように車体10の右側前方に相手車両Tが衝突してバンパーレインフォース12に衝突荷重が入力すると、図5(a),(b)に示すようにバンパーレインフォース12はサイドメンバ11の前端部の軸方向の圧壊を伴って後方移動する。
【0049】
このとき、前輪34はビード部51によるサイドフレーム21の外折れによってトーアウト方向に転舵され、そして、この転舵された前輪34は、図5(b)に示すように衝突により後方に変形する前記外側端部12aが当接して車両後方に移動され、この外側端部12aの更なる後方変形により前輪34はアウトリガー15に干渉し、このアウトリガー15に干渉した後は、外側端部12aから入力する荷重がアウトリガー15に伝達される。
【0050】
従って、バンパーレインフォース12に入力した衝突荷重は、サイドメンバ11からエクステンションサイドメンバ13に伝達される経路を形成する一方、アウトリガー15に干渉した前輪34を介してアウトリガー15からサイドシル14に伝達される経路を形成する。
【0051】
このとき、サブフレーム20に形成したビード部51によって前輪34の転舵が積極的に行われ、かつ、バンパーレインフォース12の外側端部12aの後方変形によって前輪34の後方移動が促進されるため、前輪34を介して衝突荷重をアウトリガー15に伝達する経路は衝突後早期に形成される。
【0052】
従って、衝突荷重は衝突初期において、サイドメンバ11からエクステンションサイドメンバ13に至る経路と、アウトリガー15からサイドシル14に至る経路とに伝播されることになり、結果的に衝突荷重を車体骨格部材全般に効率良く分散してキャビン17の変形を抑制することができる。
【0053】
また、前輪34を介してサイドシル14に荷重伝達される経路では、このサイドシル14の強度は他の車体骨格部材よりも高いため、前輪34からの荷重を車体骨格強度の高さに応じて効率的に荷重分散できるため、キャビン17の変形を効果的に抑制することができる。
【0054】
ところで、この第1実施形態では、前輪34の転舵はバンパーレインフォース12の外側端部12aが作用(当接)しない状態で行われるため、この前輪34の転舵を衝突初期から容易かつ確実に行わせることができる一方、前輪34が転舵した状態で前記外側端部12aから衝突荷重が伝達されるため、前輪34を後方に移動させる荷重を大きくすることができる。
【0055】
また、荷重伝達手段として既存のバンパーレインフォース12の外側端部12aを有効利用できることにより、部品点数の増加や大幅な設計変更が伴うのを防止することができる。
【0056】
更に、バンパーレインフォース12の外側端部12aの後側面12bにスペーサ60を設けて、この外側端部12aと前輪34との干渉タイミングや接触状態を制御するようにしたので、前輪34荷重を車体骨格部材に伝達する荷重分散経路を正確に制御でき、ひいては前輪34から車体骨格部材に伝達する衝突荷重の分散効率を高めることができる。
【0057】
しかも、スペーサ60をエネルギー吸収部材で形成してあるため、このスペーサ60が前輪34に当接したときにエネルギーを吸収することができるため、車体ひいてはキャビン17に伝達される衝撃を緩和することができる。
【0058】
また、衝突荷重の入力により前輪34をトーアウト方向に転舵させる前輪位置変化手段を、サブフレーム20のサイドフレーム21に設けた脆弱部50によって構成したので構造の簡素化を図ることができ、更には、この脆弱部50をV字状に凹設したビード部51によって形成することにより、簡単なプレス加工で脆弱部50を容易に形成することができる。
【0059】
図6は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図6は衝突時の前輪の挙動および荷重入力状態を(a)〜(c)によって順を追って示す車体前部右側の底面図である。
【0060】
この第2実施形態では、前記第1実施形態と同様にサブフレーム20のサイドフレーム21に脆弱部50aを設けて前輪位置変化手段としたが、この脆弱部50aは、図6(a)に示すように衝突荷重の入力により前輪34をトーアウト方向に積極的に転舵させると共に、図6(b)に示すように前記前輪34を車両後方に移動してアウトリガー15に干渉させ得るようにしてある。
【0061】
このため、荷重伝達手段としてのバンパーレインフォース12の外側端部12aは、図6(c)に示すように衝突の進行に伴って後方変形されて前記前輪34に当接する時点では、既にこの前輪34は上記脆弱部50aの機能によりアウトリガー15に干渉しており、結果的にアウトリガー15に干渉した状態にある前輪34に上記外側端部12aが当接して、この外側端部12aから前輪34を介してアウトリガー15、ひいてはサイドシル14に衝突荷重が伝達される。
【0062】
尚、この第2実施形態にあっても前記脆弱部50aは、前記第1実施形態と同様に閉断面構造としたサイドフレーム21の車幅方向内側面に形成したビード部51で形成することができる。
【0063】
従って、この第2実施形態にあっても前記第1実施形態と同様に、バンパーレインフォース12に入力した衝突荷重は、サイドメンバ11からエクステンションサイドメンバ13に伝達される経路を形成する一方、前輪34を介してアウトリガー15に入力した衝突荷重はサイドシル14へと伝達される経路を形成し、結果的に衝突荷重を車体骨格部材全般に効率良く分散してキャビンの変形を抑制することができる。
【0064】
このとき、サブフレーム20に形成した脆弱部50aによって前輪34の転舵および後方移動が積極的に行われることにより、衝突の早期に前輪34をアウトリガー15に干渉させることができるため、衝突初期から前輪荷重がアウトリガー15、ひいてはサイドシル14に伝達される経路が形成されて高い車体反力を得ることができるため、サイドメンバ11からエクステンションサイドメンバ13に入力される荷重を低減することができるようになり、キャビン17の変形防止効果を高めることができる。
【0065】
図7は本発明の第3実施形態を示し、前記第1,第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図7は衝突時の前輪の挙動を(a),(b)によって順を追って示す車体前部の側面図である。
【0066】
この第3実施形態では、図7(a)に示すようにサブフレーム20に、衝突荷重の入力によりサスペンションアーム30を車体に対して相対的に下方かつ後方に案内する下折れ手段70を設けてある。
【0067】
前記下折れ手段70は、サブフレーム20のサイドフレーム21のサスペンションアーム30を支持した部分の前方に形成される前方屈曲部71と、サスペンションアーム30を支持した部分の後方に形成される後方屈強部72とによって構成される。
【0068】
前記前方屈曲部71および後方屈曲部72は下向きに屈曲して形成され、バンパーレインフォース12に衝突荷重が入力すると、図7(b)に示すようにサイドメンバ11の前端部の軸方向の圧壊に伴って前記両屈曲部71,72が大きく屈曲されて、サスペンションアーム30をサイドメンバ11に対して相対的に下方に押し下げるとともに、後方屈曲部72の屈曲により車両後方に移動させるように挙動する。
【0069】
このため、前記サスペンションアーム30に支持された前輪34は、結果的に車体に対して相対的に下方かつ後方に案内されることになる。
【0070】
従って、この第3実施形態では前方からの衝突荷重の入力により、サスペンションアーム30の下方移動に伴って前輪34をサイドメンバ11下方の広いスペースに潜り込ませつつ後方移動させて、この前輪34をアウトリガー15に干渉させることができる。
【0071】
このため、前輪34はサイドメンバ11下方の広いスペースでスムーズに後方移動して、より迅速にアウトリガー15に干渉させることができるとともに、前輪34の中心部をアウトリガー15に当接させることができるため、衝突荷重を衝突早期にアウトリガー15ひいてはサイドシル14に確実に伝達して、荷重分散効果を更に高めることができる。
【0072】
勿論、この第3実施形態の下折れ手段70は、上記第1,第2実施形態のいずれの車体前部構造にも適用することができる。
【0073】
ところで、前記第1,第2実施形態の車体前部構造では、脆弱部50,50aとして閉断面構造としたサイドフレーム21の車幅方向内側面に形成したビード部51で形成した場合を開示したが、これに限ることなく図8に示すように、サブフレーム20の閉断面構造としたサイドフレーム21の車幅方向内側面および車幅方向外側面に凹設および凸設したビード部51,52によって脆弱部50,50aを形成することができる。
【0074】
また、これ以外にも図9(a)に示すように、サイドフレーム21の車幅方向内側面にビード部51を形成するとともに、このビード部51の形成部分を除いたサイドフレーム21の内面に補強プレート53aを取付けて板厚変化部53とし、衝突荷重の入力時に図9(b)に示すようにビード部51から外折れさせる構成とすることもでき、この場合、板厚変化部53によってサイドフレーム21の強度向上と折れ強度を調整することができる。
【0075】
更に、図10(a)に示すように、サイドフレーム21の車幅方向内側面にビード部51を形成するとともに、このビード部51の形成部分近傍に、このビード部51を避けるようにブレース54を取付け、衝突荷重の入力時には図9(b)に示すようにビード部51から外折れさせる構成とすることもでき、この場合、ブレース54によって折れモードの安定化を図ることができる。
【0076】
また、図示は省略したが、脆弱部50,50aとしては、上記ビード部51,52や上記板厚変化部53および前記ブレース54以外にもノッチ部などを用いることができ、また、それらの複数の組み合わせによっても脆弱部50,50aを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする自動車の外観斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における車体前部右側の骨格構造を示す底面図。
【図3】本発明の第1実施形態における車体前部右側の骨格構造を示す斜視図。
【図4】本発明の第1実施形態における車体前部右側の前輪取付部分の分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態における衝突時の前輪の挙動および荷重入力状態を(a)〜(c)によって順を追って示す車体前部右側の底面図。
【図6】本発明の第2実施形態における衝突時の前輪の挙動および荷重入力状態を(a)〜(c)によって順を追って示す車体前部右側の底面図。
【図7】本発明の第3実施形態における衝突時の前輪の挙動を(a),(b)によって順を追って示す側面説明図。
【図8】本発明に用いられる脆弱部の変形例を示す車体前部右側の底面図。
【図9】本発明に用いられる脆弱部の他の変形例をサブフレームの衝突時の挙動を(a),(b)で示す要部断面図。
【図10】本発明に用いられる脆弱部の更に他の変形例をサブフレームの衝突時の挙動を(a),(b)で示す要部断面図。
【符号の説明】
F・C フロントコンパートメント
10 車体
11 サイドメンバ
12 バンパーレインフォース(車両前端部材)
12a 車幅方向外側端部(荷重伝達手段)
13 エクステンションサイドメンバ
14 サイドシル
15 アウトリガー
20 サブフレーム(アーム支持部材)
30 サスペンションアーム
34 前輪
50,50a 脆弱部(前輪位置変化手段)
51,52 ビード部(脆弱部)
53 板厚変化部
54 ブレース
60 スペーサ(調整手段)
70 下折れ手段

Claims (8)

  1. フロントコンパートメントの左右両側部に、車体前後方向に配設したサイドメンバと、
    左右のサイドメンバの前端部に跨って連結した車両前端部材と、
    前記サイドメンバの後方に連設したエクステンションサイドメンバと、
    前記エクステンションサイドメンバの車幅方向外側に略平行に配設したサイドシルと、
    前記エクステンションサイドメンバと前記サイドシルの各前端部に跨って連結したアウトリガーと、
    前記サイドメンバに取り付けられ、サスペンションアームを支持するアーム支持部材と、
    前記サスペンションアームを介して支持され、前記車両前端部材の車幅方向外側端部と前記アウトリガーとの間に配置した前輪と、を備えた車体前部構造において、
    前方からの衝突荷重の入力による前記サイドメンバの軸方向の圧潰変形とほぼ同時に、該入力により前記前輪をトーアウト方向に積極的に転舵させる前輪位置変化手段と、
    前記前輪位置変化手段による前輪の転舵後、前輪を車両後方に移動して前記サイドシル又はアウトリガーに干渉させるとともに、衝突荷重を前輪に伝達する荷重伝達手段と、を設け、衝突初期から車両前端部材に入力した衝突荷重を、サイドメンバからエクステンションサイドメンバに伝達する経路と、前輪を介してサイドシルに伝達する経路との2経路を確するようにしたことを特徴とする車体前部構造。
  2. フロントコンパートメントの左右両側部に、車体前後方向に延設したサイドメンバと、
    左右のサイドメンバの前端部に跨って連結した車両前端部材と、
    前記サイドメンバの後方に連設したエクステンションサイドメンバと、
    前記エクステンションサイドメンバの車幅方向外側に略平行に配設したサイドシルと、
    前記エクステンションサイドメンバと前記サイドシルの各前端部に跨って連結したアウトリガーと、
    前記サイドメンバに取り付けられ、サスペンションアーム30を支持するアーム支持部材と、
    前記サスペンションアームを介して支持され、前記車両前端部材の車幅方向外側端部と前記アウトリガーとの間に配置した前輪と、を備えた車体前部構造において、
    前方からの衝突荷重の入力による前記サイドメンバの軸方向の圧潰変形とほぼ同時に、該入力により前記前輪をトーアウト方向に積極的に転舵させるとともに、この前輪を車両後方に移動して前記サイドシル又はアウトリガーに干渉させる前輪位置変化手段と、
    前記前輪位置変化手段による前輪の転舵および後方移動後、衝突荷重を前輪に伝達する荷重伝達手段と、を設け、衝突初期から車両前端部材に入力した衝突荷重を、サイドメンバからエクステンションサイドメンバに伝達する経路と、前輪を介してサイドシルに伝達する経路との2経路を確保するようにしたことを特徴とする車体前部構造。
  3. アーム支持部材に、前記衝突荷重の入力によりサスペンションアームを車体に対して相対的に下方かつ後方に案内する下折れ手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の車体前部構造。
  4. 荷重伝達手段は、衝突の進行に伴って車両後方に変形する前記車両前端部材の車幅方向外側端部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車体前部構造。
  5. 車両前端部材の車幅方向外側端部と前輪との間に、前記車幅方向外側端部と前輪との干渉タイミングや接触状態を制御する調整手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
  6. 調整手段は、エネルギー吸収部材で形成したことを特徴とする請求項5に記載の車体前部構造。
  7. 前輪位置変化手段は、前記アーム支持部材に設けられて、衝突荷重の入力により変形してサスペンションアームを後方に傾斜させる脆弱部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車体前部構造。
  8. 脆弱部は、ノッチ部,ビード部,板厚変化部,ブレース部のいずれか1つ若しくは複数の組み合わせで構成したことを特徴とする請求項7に記載の車体前部構造。
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