JP3677345B2 - 静粛性に優れたシート材切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器に組み込まれて使用されるシート材切断装置に関するものである。とくに切断刃物の移動装置を改良して静粛性を向上し、安定した切断が行えるシート材切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器に搭載されているシート材切断装置としては、例えば特公昭50−24466号公報記載の固定刃に旋回する直線刃を交差圧接させて切断するいわゆるロータリ式シート材切断装置や、実公昭58−37594号公報記載の固定刃に上下運動する可動刃を交差圧接させて切断するいわゆるスライド式シート材切断装置があるが、これらの切断装置は切断幅に相当する長さの刃物を駆動しなければならないので、切断幅が広くなると駆動力が大きくなり、小型化に不利である。
【0003】
これに対し、実開平4−128195号公報などに記載の円形刃またナイフ状の刃物を固定刃に圧接摺動させて移動して切断する切断装置や、特開平7−52085号公報などに記載の刃先を圧接させた2枚の円形刃を備えた刃物台を移動してシート材を切断する刃物移動型のローラ式シート材切断装置などの刃物移動型の切断装置がある。この様な刃物移動型の切断装置は、前記ロータリ式やスライド式シート材切断装置に比して、刃物駆動の動力が小さくてすみ切断幅の制約が少ないので、広幅の切断でも小形化できる点で有利である。とくに後者の2枚の円形刃を備えたローラ式シート材切断装置は、長い固定刃を使用しないので切断幅の変化に対応しやすく一層小形軽量化に有利である。
【0004】
この刃物移動型の切断装置の刃物の移動手段としては、ワイヤまたは歯形ベルトにより刃物台を牽引して往復移動する移動装置が用いられるが、このような移動装置は、刃物が終端部で方向変換するとき慣性によって刃物台がストッパなどに衝突して騒音を生ずるなど、静粛性が要求されるOA機器に組み込む装置として好ましくなかった。そこで、刃物台に設けためねじに軸体のおねじを係合させて該軸体を正逆回転して刃物台を往復移動するねじ駆動式の移動装置が用いられている。この様なねじ駆動式の移動装置では、刃物台を往復させる際に往路または復路の末端にリミットスイッチを設けてモータ等の駆動機構の正逆切替えの動作を行っている。
【0005】
また、ローラ式シート材切断装置では、通常切断中のシート材の切断端はフリーで切断され、切断後は自然落下させて受皿に集積する方法が採られているが、とくに上部にガイドがなく被切断シートをフレームの上面にのせるだけで切断操作が可能なフリーセット構造のローラ式シート材切断装置においては、駆動部がフレームの下面に位置するため、移動体である刃物台が往復移動するときに切断した排出後のシート材が刃物台に干渉して集積したシート材を乱すおそれがある。これを防ぐために、円板刃と固定刃または円板刃と円板刃が摺接する切断点から切断後のシート材の切断端をできるだけ離れた位置に強制的に排出させるような排出構造(例えば、特開平6−134692号公報や特開平7−52085号公報記載)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来のねじ駆動式の移動装置は、リミットスイッチによる正逆切替機構やその制御回路を要し、部品数が多くなり複雑で小形低コストの要請に対し不利であった。また、OA機器では切断装置の作動にも一層の静粛性の要望が強い。これに対し本発明者は、切断刃物をシート材の幅方向に往復移動するために、互いに逆向きの関係にある螺旋状案内路を往復方向の終端で連続させた軸体を回転させて、この螺旋状の案内路に係合させて刃物台を移動する移動機構を採用した。しかし、互いに逆向きの関係にある螺旋状案内路を形成した軸体を使用すると著しい騒音が発生し、ファクシミリなどのOA機器に組み込んで使用される静粛性が要求されるシート材切断装置としては不適当であるという新たな問題に遭遇した。さらに、従来のローラ式シート材切断装置に使用されているシート材排出構造では、シート材の切断端が無理な形で強制的に排出されるためシート材の切断面が波打つという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決するため、切断刃物のシート材の幅方向の往復動作が容易で、しかもOA機器に組み込んで使用可能な静粛性を有し、かつ前記切断面の波打を防止して安定した切断が可能な静粛性に優れたシート材切断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は騒音について研究の結果、軸材外径に上述した互いに逆向きの関係にある螺旋状案内路を形成すると図3の2eに示す螺旋の交差点が存在するが、この交差点の存在が軸体を回転して移動体を移動するとき、OA機器として問題になる耳ざわりな金属音の騒音を発生する原因の一つであることを見出した。そこで発明者は、金属体を合成樹脂にすればこのような耳ざわりな金属音を防止できることに着目し、前記螺旋状案内路とこの案内路に係合する係合部材を樹脂成型により成型することが有効であることを見出だし本発明に達した。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の静粛性に優れたシート材切断装置は、切断刃物を往路方向及び復路方向に移動させてシート材を切断するシート材切断装置において、外径に螺旋状案内路を有する軸体と、前記螺旋状案内路に係合する係合部材を設けた移動体と、該移動体に支持された切断刃物と、前記軸体を回転する駆動手段とを備え、前記螺旋状案内路は樹脂成型により形成され、該螺旋状案内路は往路方向の案内路を形成する往路方向の螺旋と、復路方向の案内路を形成する復路方向の螺旋とを有し、前記往路方向の螺旋と前記復路方向の螺旋とは互いに逆巻きの関係にあって、かつ往路方向の螺旋と復路方向の螺旋とが少なくも一方端同士で連続する構成を有し、前記移動体の係合部材は、前記螺旋状案内路に係合して摺動する二又フォーク部と前記移動体に回転自在に軸支される柄部とを有するフォーク形状の誘導部材と、該誘導部材を前記螺旋状案内路に押し付ける付勢手段とで構成され、前記誘導部材は樹脂成型により形成されることを特徴とするものである。
【0010】
即ち、本発明のシート材切断装置は、駆動手段により回転する軸体の螺旋状案内路とこれに係合する移動体に回動可能に支持された係合部材が樹脂成型により形成されているので、切断刃物を支持した移動体を移動させて切断する際に、金属製軸体と金属製係合部を係合させて移動体を移動する場合に比し耳障りな金属音の発生音がなく静粛であるという特徴がある。さらに、この螺旋状案内路を樹脂成型により成型することは、螺旋状案内路の形成が容易になりコスト低減ができると共に特別の潤滑をしないで摩耗が減少できるという利点がある。このとき、螺旋状案内路を上広がり型断面を有する螺旋状溝にすると、交差点部の底面には連続したガイド溝が形成され、スムースに係合部材を誘導することが可能になり、一層静粛性が向上する。また、樹脂成型の際の金型の離型が容易になり一層のコスト低減が可能になる。
【0011】
また、前記螺旋状案内路は、往路方向の螺旋と復路方向の螺旋とが少なくとも一方端同士で連続する案内路が形成されているので、回転駆動手段を逆転しなくても往路と復路方向の方向転換が可能になる。さらに、往路方向の螺旋と復路方向の螺旋を両端において連続してエンドレスの案内路を形成させることが、回転駆動手段を逆転しなくても連続的に往復路の方向移動ができるので一層の静粛化と機構の簡素化のため望ましい。即ち、往復路方向の螺旋が一方端同士かまたは両端で連続してエンドレスの案内路を形成していることにより、前記軸体の回転運動が螺旋案内路により移動体の直線運動に変換されて、刃物が往路方向始点から終点に向かって移動して終点で復路方向の螺旋側に向きを変える際に、移動体は丁度一筆書きのように往路から復路方向に移動して、回転駆動手段を逆転しなくても移動体の往路方向と復路方向の連続的な方向転換が可能になる。
【0012】
このように、螺旋軸体を一方向に回転させるだけで切断刃物の往路方向と復路方向の移動が可能になるため、移動体が往復路変換の端部で慣性によりストッパなどの構成部品と衝突して発する衝突音が防止され、騒音が少く静粛で駆動手段の往復方向の切り変え機構が不要な切断装置が提供される。
【0013】
また、軸体の往路方向の螺旋のピッチに対して、復路方向の螺旋のピッチを大きくすることにより、軸体の回転数を変えないで復路方向の速度を高めることができ速やかに切断刃物を待機位置に復帰できる。この構成は、特に復路において切断を行わず、復路の負荷が少ない場合に有効である。
【0014】
また、前記移動体の係合部材には、前記軸体の螺旋状案内路に摺動して前記移動体の往復移動の駆動力を伝達する該案内路の幅よりも長く案内路を形成した軸体の円周の1/3以上を覆う案内路接触面を有する誘導部を備えることが望ましい。即ち、本発明の軸体の螺旋状案内路は、往路方向と復路方向の螺旋が互いに逆巻きの関係を有して形成されているので図3の2eに示すような往復路の螺旋の交差部分が存在する。このため、切断刃物を支持する移動体がこの交差部分を通過する際に係合部が揺れて交差点の角部に衝突して騒音を発したり、負荷が大きいと係合部が正規の案内路を外れたりするおそれがある。
【0015】
これに対し、本発明のように係合部材に上記構成の誘導部を備えれば係合部の揺れが小さくなり、交差部分における騒音が防止でき、係合部材の脱線を防止して安定した移動が可能になる。
【0016】
なお、誘導部が軸体の半周を大きく越えた接触面を有すると往復方向の終端の方向転換が困難になるので、円滑な往復移動と静粛性のためには誘導部は螺旋の半周より短く円周の1/3以上を覆う案内路接触面を有することが望ましい。
【0017】
さらに前記移動体の係合部材は、前記螺旋状案内路に係合して摺動する二又フォーク部と前記移動体に回転自在に軸支された柄部とを有するフォーク形状の誘導部材と、該誘導部材を前記螺旋状案内路に押し付ける付勢手段とを備えることにより前記往復路の交差部分における係合部材の脱線防止を一層確実にするものである。この誘導部材を樹脂成型により形成することにより、一層静粛性が増す。また、この構成により移動体が螺旋状案内路の両端において方向転換する際に、螺旋状案内路に係合しているフオーク部がその柄部を軸として回動して案内路に追随するので終端部における往復の方向転換が円滑に行われ、前記誘導部材を樹脂構造とあいまって方向転換の発生音が一層低減して静粛性が増す。さらに、誘導部材は付勢手段により螺旋状案内路に押し付けられた状態で移動するので忠実に案内路に沿って移動し、脱線して異音を発するようなことが一層防止される。
【0018】
また、前記軸体を回転駆動する駆動手段は、駆動モータと、該駆動モータの回転を前記軸体に伝動するはすば歯車とにより構成されることにより、歯車同士の接触を滑らかにし、直歯歯車よりも歯車から発生する騒音を低減するので一層静粛化するために望ましい。このはすば歯車のねじれ角度は、軸推力と静粛性を考慮し10度から30度が好ましい。
【0019】
また、本発明のシート材切断装置は、往復路方向に延長された中空断面を有する案内レールと、該案内レールの中空断面内に配設した前記軸体と、該軸体の螺旋状案内路に係合して前記案内レールの中空断面の内面を摺動する摺動部を設けた移動体とを備えたことを特徴とするものである。この様に中空断面の案内レール内に軸体を配設すれば回転部分の露出がなく安全で小形化に有利である。また移動体の摺動部が案内レールの内面を摺動して駆動するので、案内レールの上面を切断時の被切断シートの載置面とすることができ、被切断シートを案内レールの上面にのせるだけで切断可能なフリーセット構造とすることが容易になる。
【0020】
また、前記移動体の切断運動方向後部に、切断されるシート材の切断端を切断点より下方に押さえるように誘導する第1誘導面と、前記切断端を丸めながら排出するように誘導する切断点近傍を頂点とする円錐曲面または円錐近似曲面を形成する第2誘導面と、前記丸められた切断端をシート材の送り方向下流側(以下下流側という)に逃がすように誘導する第3誘導面とを備えた強制排出部を設けることが望ましい。
【0021】
この構造は、切断するシート材の形態に限定されるものではないが、とくに切断端がシート材の持つ巻ぐせによって下方に湾曲する場合に好ましい。例えば、ファクシミリなどに使用される感熱シートなどのロールシート材は巻きぐせを有しており、この場合、切り離されたシート材の切断端は、第1誘導面により下向きに向けて排出されると同時に、図15に図示するように前記ロールシート材の巻きぐせにより湾曲しつつ第2誘導面の円錐曲面または円錐近似曲面に沿って下方に誘導され、さらに第3誘導面に誘導されて下流側に逃がされる。これにより、切断されたシート材が無理なく切断点から離れるのでシート材の波打がなく、波打に起因する不連続な切断音の発生を防止でき静粛性を増すと共に安定した切断ができる。
【0022】
さらに、ロールシート材の切断の際にシート材の巻きぐせを利用して無理なく排出するためには、前記強制排出部の第1誘導面は前記移動体の切断点近傍からシート面に対して下向きに5°〜20°の角度をなす平面をなし、前記第2誘導面は前記切断点近傍を頂点として切断運動後方に広がる円錐角が10°〜40°の円錐曲面または円錐近似曲面をなし、前記第3誘導面は切断線に対して前記切断点近傍からシート材の送り方向下流側に5°〜15°の角度をなす平面をなし、前記第1誘導面、第2誘導面及び第3誘導面が連続してつながって前記シート材の切断端を誘導する強制排出部が形成されることが望ましい。
【0023】
ここでいう円錐近似曲面とは、数学的に定義される円錐面でなくても加工上設けられる程度の円錐面のような曲面を有していれば良いという意味である。また、上記の3つの誘導面は必要最小限の面であり、これ以上の誘導面を設けることも当然本発明に包含される。
【0024】
本発明のシート材切断装置は、移動体に回転自在に軸支された可動円板刃をほぼ直線刃先を有する固定刃の刃先を摺接してシート材を切断するシート材切断装置にも、あるいは移動体に回転自在に軸支された第1円板刃と第2円板刃の刃先を摺接してシート材を切断するシート材切断装置にも適用が可能である。これらのシート材切断装置において、移動体が往路または復路の切断方向に移動するとき、前記可動円板刃または前記第1円板刃と第2円板刃のいずれかもしくは双方をその刃先がシート材を引き込む方向に回転させる回転手段を備えることが綺麗な切断をするために望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施形態について図面により具体的に説明する。図1は本発明実施形態のシート材切断装置の組み立て概念図、図2は該シート材切断装置の正面図、図3は軸体外径の螺旋状案内路の1形態を示す詳細図、図4は案内路の螺旋状溝の各種の断面を示す図である。図5は復路方向の螺旋のピッチを往路方向のピッチより大きくした案内路の例を示す図である。図6は往復路螺旋の交差部分における係合部材の係合状態を示す図、図7は係合部材に設けた誘導部材の斜視図、図8は図1の摺動部41のA−A断面図、図9は図8のB−B断面を案内路2の螺旋溝に沿って切断した断面図である。
【0026】
これらの図において、移動体4には、第1円板刃軸軸受9と第2円板刃軸軸受10が取り付けねじ16によって固定され、第1円板刃軸6aと第2円板刃軸6bのそれぞれの両端が移動体4に設けられた刃物軸受と前記第1円板刃軸軸受9と第2円板刃軸軸受10とによって回転自在に軸支されている。第1円板刃軸6aと第2円板刃軸6bには、それぞれ第1円板刃5aと第2円板刃5bとが互いに交差するように配置され固定されている。そして第1円板刃5aは圧縮コイルばね8により第2円板刃5bに刃先が圧接するように付勢されている。また、第1円板刃軸6aに固定された弾性ローラ7は、図1の中空棹3の上面と接触して移動体4の移動により回転し、第1円板刃5aに回転力を付与するようになっている。
【0027】
また別の例として、図13には上下の第1及び第2円板刃の双方に弾性ローラ7を固定したものを示す。図13では、外周に弾性体リング7aを嵌装した弾性ローラ7を上下の第1及び第2円板刃に固定し、移動体4が走行すると案内レール2の上下面に弾性体リング7aが接して回転し第1円板刃5aと第2円板刃5bをその刃先が非切断シート材に食い込む方向に回転させるようになっている。移動体4の摺動部41が案内レールを構成する断面がほぼコ字型の中空棹3のコ字型断面の内面を摺動して移動体4を往復移動するようになっており、摺動部41には軸体1の軸方向に貫通して駆動軸孔42が設けられ、この駆動軸孔42に軸体1が挿通されている。
【0028】
また、図2に示すように、移動体4が図2の右端の待機位置に復帰したことを検出するための待機位置検出スイッチ17が側板12に取り付けられている。
【0029】
軸体1は中空棹3の断面内に内包され、その両端軸が中空棹3の端板3aと反対側の側板12に軸受11を介して回転可能に軸支されている。軸体1の外径には樹脂成型により螺旋状溝の案内路(以下案内路という)2が形成されている。この案内路2は軸体1と一体に、または軸体1と別個に樹脂成型により軸体1の外径部に形成される。このように案内路と後述する係合部材とを樹脂成型することにより、動作時の音の発生が少なくなり静粛な移動機構が得られた。軸体1の案内路2は、図3に示すように往路と復路方向の螺旋が互いに逆巻きの関係を有し、往路方向の螺旋と復路方向の螺旋とが往復路の始点と終点において連続した曲線の溝によって結ばれ、エンドレスの案内路を形成している。案内路2の溝断面は図4に示すように成型時の金型離形性を良くするため上広がり型の断面を形成する。その形状は図4(a)の半円型、(b)のV字型、(c)のU字型のいずれでも成型時の金型離型性の良い形状を選ぶことができる。
【0030】
案内路2は往復路を等ピッチとしても良いが図5に示すように往路方向より復路方向の螺旋のピッチを大きくすると、復路で切断を行わない場合、負荷の少ない復路の移動時間を短縮でき切断動作時間が短縮されるという利点がある。また図4の(d)(e)(f)に示すように、往復路の案内路を各2条またはそれ以上の並列した溝とし、移動体に各溝に係合する2以上の係合部を設けることも可能であり、こうすれば案内路の溝の摩耗を減少できる。なお、本実施形態では案内路を螺旋溝としたが、本発明は溝状の螺旋だけでなく突起状の螺旋でも良い。突起状の螺旋の場合は、往復路の螺旋の交差部分では、例えば鉄道軌道の交差部分のように螺旋に隙間を設けて係合部と螺旋との干渉を防止することが必要である。
【0031】
案内レール3の内面を摺動する移動体4の摺動部41には、軸体1の案内路2に係合する係合部材が設けられるが、この係合部材は、図6に示すように案内路2の溝幅より長い接触面を有する誘導部材20を案内路2に嵌入させる。この誘導部材20は、螺旋状溝を有する軸体の円周の1/3以上を覆うようにすることが案内路2の螺旋の往復路の交差点における脱線の防止のために望ましい。本実施形態では、さらに確実な作動を確保するために、以下の構造の係合部材を採用した。
【0032】
以下、本実施形態の係合部材について詳細に説明する。図7は図1の摺動部41のA−A断面で表した係合部材の分解部品図、図8は図1の摺動部41のA−A断面で表した係合部材の組み立て状態図、図9は図8のB−B断面を案内路2の螺旋溝に沿って切断した断面図である。係合部材19は誘導部材20とこれを押さえる板ばね21から構成される。誘導部材20は、図7、8に示すように二又フォークを有するフォーク部20aと、このフォークの柄部をなす円板部20bからなり樹脂成型により成型されている。フォーク部20aの二又部は、案内路2の螺旋状溝と係合する凹部を形成し案内路2の螺旋状溝に跨がってその先端が軸半周まで達している。誘導部材20は、移動体4の摺動部41の駆動軸孔42に直交して設けられた誘導部材嵌装孔43に挿入され、その円板部20bの下面が拡径部44に接して回動可能に支持されている。そしてフォーク部20aの凹部が駆動軸孔42に挿通された軸体1の案内路2の螺旋状溝に嵌入して溝底径を挟持する形になっている。誘導部材20は樹脂成型により成型されているので、前述したように発生音が低減され静粛な移動機構が得られる。
【0033】
板ばね21は長板状をなし、この長板の両側端部が拡径部44に直交して貫通されたスリット45に挿入され、その中央部で誘導部材20の円板部20bの頭部を押さえて誘導部材20を軸1の案内路2に押し付けるように付勢している。板ばね21の中央部には凹み21a設けられ、誘導部材20の円板部20bの中心に設けられた突起20cがこの凹み21aに当接して誘導部材20を軽く回動できるように押さえると共に板ばね21のずれを防止するようになっている。上記構成によって、軸体1が回転すると誘導体20のフォーク部20aが案内路2の螺旋溝に沿って摺動し、案内路2の終端に来ると誘導体20がエンドレスの案内路2に沿って半回転するので往路から復路への移動体の移動が円滑にできる。また、フォーク部20aが案内路2に跨がって板ばね21により回動容易に押えられいるので、案内路2の往復路の交差点において脱線するようなこともなく騒音の発生も少ない。
【0034】
軸体1の側板12側の端部には歯車13が固定され、歯車13はモータ14のピニオンギヤ15と噛み合い駆動手段を構成して軸体1に駆動力を伝達する。歯車13及びピニオンギヤ15は樹脂成型によるねじれ角15度のはすば歯車とした。はすば歯車のねじれ角度は、騒音と軸推力の点から10度から30度が好ましい。はすば歯車は直歯歯車に比して発生音が低いので、前記軸体と係合部材の樹脂化と共に騒音が減少し、静粛な切断装置とすることができた。
【0035】
以下、図に基づき本発明のシート材切断装置の動作を説明する。まず、移動体4が図2の左端の待機位置にある状態でモータ14を回転させると、ピニオンギヤ15、歯車13を介して軸体1が回転し、軸体1の案内路2の螺旋溝に係合した誘導部材20のフォーク部20aに往路方向の力が加わる。これにより、誘導部材20は案内路2を摺動しながら移動体4を往路方向に移動させる。このとき第1円板刃5aは弾性ローラ7により回転駆動されてその円周刃先が被切断シート材に食い込む方向に回転しながら往路方向に移動し、中空棹3の上面に載置された図示しないシート材を回転する第1円板刃5aと第2円板刃5bの間で切断する。
【0036】
移動体4が図2の右端である往路方向終端に達してシート材の切断が終了する。シート材の切断が終了し、さらに軸体1の回転が継続すると、誘導部材20は案内路2の曲率の変化に追従して往路方向終端において往路方向の螺旋から復路方向の螺旋に切り変わる。具体的には、図3に示す矢印aの方向を向いて移動していた誘導部材20は終端部で矢印bの方向に回動し、ついで矢印cの向きとなり、さらに回動して矢印dの復路方向を向く。これにより、誘導部材20には今度は復路方向の力が加わり移動体4を復路方向に移動する。復路方向の螺旋の終端に到達した移動体4は、前述の誘導部材20が往路方向終端に達したときと同様に、今度は復路方向の螺旋から往路方向の螺旋に切り変わる。このように移動体4が終端部で方向変換する際に、誘導部材20はその柄部20bが移動体4の摺動部41に回動可能に支持されており、方向変換する螺旋の案内路に従ってフォーク部20aが自在に回転するので案内路に円滑に追従して方向転換する。移動体が復路を移動して図2の左の待機位置に戻ると、待機位置を検出する待機位置検出スイッチ17により駆動力が切断され、移動体4は待機位置で停止しシート材切断の1サイクルの動作が終了する。上記の切断動作において、前記軸体などを樹脂化した本発明のシート材切断装置は、前記駆動系のはすば歯車の効果と合わせて従来の装置に比し騒音の発生を大巾に低下することができた。その騒音の測定結果を以下に示す。
【0037】
[騒音測定の実例]
[測定条件]
軸体寸法:軸体径φ6mm、螺旋ピッチ7mm
軸体回転数:5000rpm.
軸体及び係合部材の材質: 本発明材:ポリアセタール樹脂成型品
比較材: 純アルミニウム機械加工品
駆動系:直歯歯車を使用した場合とはすば歯車を使用した場合
騒音測定方法:JIS Z8731に基づき音量計により無負荷の動作時の騒音をシート材切断装置から1m離れた位置で測定した。
測定結果: 比較材: 純アルミニウム軸体、直歯歯車 67dB
本発明材:ポリアセタール樹脂軸体、直歯歯車 61dB
ポリアセタール樹脂軸体、はすば歯車 58dB
上記結果に示すように、動作時の騒音が本発明の樹脂製軸体では比較材の従来の金属製の軸体に対して6dB低下ができ、さらにはすば歯車を使用することにより比較材に比して9dBの騒音低下が可能となった。
【0038】
以上述べたように、本発明実施形態のシート材切断装置によれば、切断刃物が待機位置からシート切断を開始し、切断後、待機位置へ復帰するまでの往路方向及び復路方向の切断刃物の1サイクルの往復移動が、軸体を一方向に回転させるだけで可能になる。したがって、移動体の往復のために軸体1を反転する制御回路や終端におけるリミットスイッチなどが不要になり、装置の簡素化、低コスト化が達成できる。また、螺旋状案内路は連続的に反転するので、往路方向終端或いは復路方向終端での移動体の衝突による騒音もなく静粛性も優れる。さらに付加的作用として、駆動源の回転方向を間違えた場合であっても、往路方向と復路方向の動作が可能であり、モータの極性を間違えてモータが加熱破損するという事故を防ぐことができる。
【0039】
案内路の螺旋を往路のピッチより復路のピッチを大きくすると、復路で切断を行わない場合に負荷の少ない復路の移動時間を短縮でき、切断の一動作の時間を短縮できるという利点がある。さらに、案内路を各2条またはそれ以上の並列した溝とし、移動体に各溝に係合する2以上の係合部を設けるようにすれば案内路の溝の摩耗を減少できる。また、前記軸体の螺旋状案内路と係合部材を樹脂化し、かつ駆動系にはすば歯車を使用することにより、騒音を10%以上低減できた。さらに、螺旋状案内路は樹脂成型により成型されるので安価に量産でき、案内路を上広がり型の断面を有する溝型にすれば、樹脂成型の際の金型の離形性が改善されると共に、交差点部の底面に連続したガイド溝が形成されるので一層静粛性が増す。
【0040】
また、前記螺旋状案内路に係合する係合部材の誘導部材は、突起部のフォーク部が案内路の1/3円周以上に跨がって円滑に追従するので前記移動体を移動駆動する往復路の交差部分において脱線の危険がない。さらに、誘導部材はその柄部が移動体に回動自在に支持されているので、軸体終端部の移動体の方向変換の際にも案内路に沿って回動して円滑に移動し安定した往復移動ができる。
【0041】
また、本発明実施形態のシート材切断装置は、往路方向に延長された案内レールの中空棹の内部に軸体を配設し、この中空棹の内部を摺動する移動体の摺動部に前記軸体の螺旋状案内路に係合する係合部を設けて移動体を移動してシート材を切断するので、回転部分の露出がなく安全で小形化に有利であり、案内レールの上部にガイドなどがなく被切断シートを案内レールの上面にのせるだけで切断可能なフリーセット構造が容易に可能になる。
【0042】
上記実施形態においては往路のみでシート材を切断する装置について説明したが、本シート材切断装置は復路においてもシート材を切断するようにできる。この場合は、図2に示すように前記端板3aに往路端検出スイッチ18を設けて移動体4の往路端を検出してモータ14の駆動力を切断するようにするとよい。
【0043】
次に本発明の移動体に強制排出部を設けたシート材切断装置について説明する。図10は本発明の強制排出部を設けたシート材切断装置の移動体の詳細を示した斜視図、図11はその移動体の正面図、図12は図11のC−C矢視断面図、図13は図11のD−D矢視断面図、図14は強制排出部の誘導面の曲面形状を説明する図である。
【0044】
これらの図において移動体4は図1に示す移動体4に対応する。詳細を示すと、移動体4は第1円板刃5aを軸支した上刃物台31と第2円板刃5bを軸支した下刃物台32からなり、その間に被切断シートを通過させる隙間4aを形成させて尾端の連結部31aにより一体に接続されている。下刃物台32と一体の摺動部41が中空棹3の内部を摺動して移動体4を往復移動させるようになっている。
【0045】
下刃物台32には、切断点である前記第1円板刃5aと第2円板刃5bの交接点より後部に強制排出部33が設けられている。強制排出部33は、切断されるシート材の切断端を切断点より下方に押さえるように誘導する第1誘導面33aと、切断端を丸めながら排出するように誘導する第2誘導面33bと、丸められた切断端を下流側に逃がすように誘導する第3誘導面33cとからなっている。図14はこの強制排出部の誘導面の断面形状を説明する図である。図では、説明上シート面301(前記中空棹3の上外面)とこれに垂直な切断方向の切断線X−Xの面201を仮想し、この面に対する前記誘導面の角度を示す。
【0046】
図14に示すように第1誘導面33aは、シート面301の面に対して前記切断点22の近傍22´から切断方向の後方に向かって下向きにβ=13.9°の角度をなす平面をなしている。第2誘導面33bは、前記切断点近傍22´を頂点として後方に広がる円錐角α=20°の円錐曲面または近似円錐曲面をなし前記第1誘導面33aが円錐面と滑らかに連続している。第3誘導面33cは、前記切断線X−Xに垂直な面201に対して前記切断点近傍22´から下流側にγ=7.5°の角度をなす平面をなし第2誘導面33bの円錐面と滑らかに連続している。前記誘導面によって強制排出部33は図のe−f−g−hで表される平面と曲面の連続した面を形成し、この面により切断端を丸めながら排出するようになっている。なお、第3誘導面33cの曲面g−hはシ−ト面に垂直でも良いが、図14に示すように外側に僅かに傾けるとシート材の巻きぐせを利用しやすい。
【0047】
前記誘導面は、第1誘導面33aの角度βが大きすぎると切断端を無理に押さえることになって先端が引っ掛かり、小さすぎるとその効果が少ない。また、第2誘導面33bの円錐角αが小さすぎると切断面に波打ちが発生し、大き過ぎると切断端を丸めようとする効果が少ない。さらに、第3誘導面33cの角度γが小さすぎると切断端が切断点から遠く離れないためにシート材が往復移動する刃物台に引っ掛かり、大き過ぎると用紙端面に波打ちが生ずる。したがってこれらの角度は、厳密にはシート材の材質や厚さなどにより変えられるが、通常第1誘導面33aの角度は5°〜20°、第2誘導面33bの円錐角は10°〜40°、第3誘導面33cの角度は、5°〜15°に設定することが適当である。なお、シート材の排出を容易にするため下刃物台32の下部側面32cは切り欠かれ、上刃物台31と下刃物台32の隙間4aの前端(シート材切断方向の端)31b、32bはシート材を案内するように拡大され、上刃物台31の尾端には跳ね上げ31cが設けられ移動体4が後退して待機位置に帰るときシート材がひっかからないようになっている。
【0048】
以下、図に基づき上記構成の強制排出部を設けたシート材切断装置の動作を説明する。図15はシート材を切断する場合の切断状態を説明する図である。図のようにシート材Sを矢印Xに沿って切断すると、切断端23は第1円板刃5aと第2円板刃5bの交接する切断点22から下側に落ちると共に下流側に離れる形になって切断される。この切断端23が移動体4と干渉しないようにするためには、切断端23を残りのシート材の切り離し端部24からできるだけ離すことが必要になる。そのため、従来の排出構造ではこの切断端23を強制的に広げるような跳ね退け部が設けられている。しかし、この様な強制的な排出構造では、第16図に示すようにシート材の端面25に波打ちが生ずるという不具合が発生する。
【0049】
一方、シート材切断装置の多くはロール状に巻かれたロールシート材の切断に使用されるので、引き出されたシート材には巻きぐせが残る場合が多い。例えば、図15に示すように半径rのロール状に巻かれたシート材Sを引き出して矢印X線に沿って切断すると、引き出されたシート材Sには半径rより大きい半径Rの巻きぐせが残るため、切断端23の軌跡は切断点22を頂点とする円錐の底面円周を描いて切り離される。本発明のシート材切断装置はこれに注目し、切断端23をこの円錐面に沿って案内することにより、切断端23を切り離し端部24から無理しないで大きく離すことができ、干渉がなくシート材端面に波打ちが生じないで切断できるシート材切断装置を提供するものである。
【0050】
以下、本発明の強制排出部の作用について説明する。軸体1を回転すると移動体4が案内レール2に沿って矢印Xの切断方向に移動して、弾性ローラ14、15が第1円板刃5aと第2円板刃5bを回転させ、その刃先がシート材を引き込むように回転しながら移動してシート材を切断する。こうして切断されるシート材は、第1誘導面33aが後方下向きに傾いているので切断端23がまず下側向きに押し下げられる。次に切断端23が接する第2誘導面33bの円錐面の側面は角度γだけ後方外側に傾いているので切断端は外側に離されるが、同時に第2誘導面33bは円錐面を形成しており、かつシート材は巻きぐせが残っているので図15に示すように切断端はこの円錐面に誘導されて丸められながら無理なく排出される。さらに切断端23は第3誘導面33cに誘導されて下流側に逃げて排出される。したがって、従来の切断装置の跳ね退け部のように切断端を無理に広げることがないので、シート材端面に波打ちを生ずるようなことがない。
【0051】
以上述べたように、本発明の強制排出部を備えたシート材切断装置によれば、移動体のシート材の排出側に、切断されるシート材の切断端を下方に押さえるように誘導する第1誘導面33aと、切断端を丸めながら排出するように誘導する第2誘導面33bと丸められた切断端を下流側に逃がすように誘導する第3誘導面33cとが設けられているので、巻きぐせのあるロールシート材を切断するとき切断端がこの誘導面に沿って案内されて丸められながら排出されて無理のない排出ができ、シート材の干渉もなくシート材の波打ちもない安定した切断ができる。この強制排出部の第1誘導面のシート面に対する角度はβ=5°〜15°、第2誘導面の円錐角はα=10°〜40°、第3誘導面の切断線に対する角度はγ=5°〜20°に設定すれば良好な効果が得られる。
【0052】
以上に述べた実施形態では、移動体に第1円板刃と第2円板刃を設けたローラ式シート材切断装置について示したが、移動体4に回転可能に軸支された一つの可動円板刃を案内レールに固定された固定刃に摺接させてシート材を切断するローラ式シート材切断装置についても本発明は実施できる。
【0053】
【発明の効果】
上述のように、本発明のシート材切断装置によれば、軸体の一方向回転だけで刃物の方向転換が連続して可能となり、従来のシート材切断装置において必須であった往路方向と復路方向への切り変えに伴う制御回路を不要とすることができ、刃物の移動の停止に必要なリミットスイッチの数を減らすなど部品点数を少なくすることができる。これにより、シート材切断装置の簡素化、低コスト化を一段と進めることができる。また、従来の切断装置では避けられなかった切断方向後端における移動体の慣性による衝突音がなくなる。さらに往復案内路をエンドレスの案内路にすれば両端における衝突音の発生もなくすることができる。また本発明のシート材切断装置は、移動体を移動する軸体と係合部を樹脂化したので、螺旋状案内路の成型が容易で原価を低減できると共に、従来の金属製軸体の切断装置に比し騒音が一層低減でき、さらに軸体の駆動をはすば歯車により行ったので歯車の駆動音を減少することができ、静粛性が要求されるOA機器のシート材切断装置として最適な装置となった。
【0054】
また、移動体を移動駆動する係合部材として、案内路の螺旋状溝に跨がり移動体に回動自在に支持されたフォーク状の誘導部材を用いるので、螺旋の往復路の交差部分における脱線の危険がなく、軸体終端部の移動体の方向変換も円滑に行われ安定した切断・復帰の往復移動ができる。さらに、回転する軸体を中空棹の案内レールの内部に内包することにより、回転部分の露出がなく小形・安全で、かつ被切断シートを案内レールの上面にのせるだけで切断可能なフリーセット構造が容易になる。
【0055】
また、本発明のシート材切断装置は、移動体の排出側にシート材の切断端を下方に押さえる第1誘導面と、切断端を丸める第2誘導面と、それを下流側に逃がす第3誘導面を有する強制排出部を設けているので、巻きぐせが残るロールシート材を切断するとき、切断端が無理なく切断点から離され、干渉もなく波打ちもない安定した切断ができる。これにより、切断時の波打ちの断続音もなく一層静粛性が増す。また、円板刃に設けた回転手段により切断のときに円板刃の刃先がシート材を引き込む方向に回転しながら移動して切断するので、円滑に綺麗な切断ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態のシート材切断装置の組み立て概念図である。
【図2】本発明実施形態のシート材切断装置の正面図である。
【図3】本発明のエンドレスの案内路の1形態を示す図である。
【図4】本発明の軸体の案内路の溝断面を示す図である。
【図5】本発明の軸体の復路方向のピッチを往路方向のピッチより大きくした案内路の1形態を示す図である。
【図6】本発明の係合部材の1形態を示す図である。
【図7】図1のA−A断面で見た誘導部材の分解部品図である。
【図8】図1のA−A断面で見た誘導部材の組立図である。
【図9】図8のB−B断面の螺旋状案内路に沿って切断した断面図である。
【図10】本発明のシート材切断装置の強制排出部を備えた移動体の詳細を示した斜視図である。
【図11】本発明の強制排出部を備えた移動体の正面図である。
【図12】図11のC−C断面図である。
【図13】図11のD−D断面図である。
【図14】強制排出部の誘導面の曲面形状を説明する図である。
【図15】ロールシート材の切断状況を説明する図である。
【図16】シート材の切断面の波打ちを示す図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 案内路
3 中空棹(案内レール)
3a 端板
4 移動体
5a 第1円板刃
5b 第2円板刃
6a 第1円板刃軸
6b 第2円板刃軸
7 弾性ローラ(回転手段)
7a 弾性体
8 圧縮コイルばね
9 第1円板刃軸受
10 第2円板刃軸受
11 軸受
12 側板
13 歯車
14 モータ(駆動手段)
15 ピニオンギヤ
16 取り付けねじ
17 待機位置検出用スイッチ
18 往路端検出スイッチ
19 係合部材
20 誘導部材
20a フォーク部
20b 円板部(柄部)
20c 突起
21 板ばね(付勢手段)
21a 凹み
22 切断点(交接点)
23 切断端
24 切り離し端部
25 波打ちした切断面
31 上刃物台
32 下刃物台
33 強制排出部
33a 第1誘導面
33b 第2誘導面
33c 第3誘導面
41 駆動軸孔
42 摺動部
43 誘導体嵌装孔
44 拡径部
45 スリット
201 切断線垂直面
301 シート面
S シート材
Claims (7)
- 切断刃物を往路方向及び復路方向に移動させてシート材を切断するシート材切断装置において、外径に螺旋状案内路を有する軸体と、前記螺旋状案内路に係合する係合部材を設けた移動体と、該移動体に支持された切断刃物と、前記軸体を回転する駆動手段とを備え、前記螺旋状案内路は樹脂成型により形成され、該螺旋状案内路は往路方向の案内路を形成する往路方向の螺旋と、復路方向の案内路を形成する復路方向の螺旋とを有し、前記往路方向の螺旋と前記復路方向の螺旋とは互いに逆巻きの関係にあって、かつ往路方向の螺旋と復路方向の螺旋とが少なくも一方端同士で連続する構成を有し、前記移動体の係合部材は、前記螺旋状案内路に係合して摺動する二又フォーク部と前記移動体に回転自在に軸支される柄部とを有するフォーク形状の誘導部材と、該誘導部材を前記螺旋状案内路に押し付ける付勢手段とで構成され、前記誘導部材は樹脂成型により形成されることを特徴とする静粛性に優れたシート材切断装置。
- 前記往路方向の螺旋と前記復路方向の螺旋とは、両端において連続してエンドレスの案内路を形成していることを特徴とする請求項1に記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
- 前記往路方向の螺旋のピッチに対して、復路方向の螺旋のピッチが大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
- 前記移動体の係合部材には、前記軸体の螺旋状案内路に摺動して前記移動体の往復移動の駆動力を伝達する該案内路の幅よりも長く案内路を形成した軸体の円周の1/3以上を覆う案内路接触面を有する誘導部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
- 往復路方向に延長された中空断面を有する案内レールと、該案内レールの中空断面内に配設した前記軸体と、該軸体の螺旋状案内路に係合して前記案内レールの中空断面の内面を摺動する摺動部を設けた移動体とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
- 前記移動体の切断運動方向後部に、切断されるシート材の切断端を切断点より下方に押さえるように誘導する第1誘導面と、前記切断端を丸めながら排出するように誘導する切断点近傍を頂点とする円錐曲面または円錐近似曲面を形成する第2誘導面と、前記丸められた切断端をシート材の送り方向下流側に逃がすように誘導する第3誘導面とを備えた強制排出部を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
- 前記強制排出部の第1誘導面は、前記移動体の切断点近傍からシート面に対して下向きに5°〜20°の角度をなす平面をなし、前記第2誘導面は前記切断点近傍を頂点として切断運動後部方向に広がる円錐角が10°〜40°の円錐曲面または円錐近似曲面をなし、前記第3誘導面は切断線に対して前記切断点近傍からシート材の送り方向下流側に5°〜15°の角度をなす平面をなし、前記第1誘導面、第2誘導面及び第3誘導面が連続してつながって前記シート材の切断端を誘導する強制排出部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の静粛性に優れたシート材切断装置。
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