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JP3672127B2 - 光学的素子の製造方法及び光学的素子 - Google Patents

光学的素子の製造方法及び光学的素子 Download PDF

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JP3672127B2
JP3672127B2 JP08081396A JP8081396A JP3672127B2 JP 3672127 B2 JP3672127 B2 JP 3672127B2 JP 08081396 A JP08081396 A JP 08081396A JP 8081396 A JP8081396 A JP 8081396A JP 3672127 B2 JP3672127 B2 JP 3672127B2
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/844Encapsulations

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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的素子の製造方法及び光学的素子に関し、自発光の平面型ディスプレイであって、特に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光ディスプレイに好適な光学的素子の製造方法、及びその光学的素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメディア指向の商品を初めとして、人間と機械とのインターフェースの重要性が高まってきている。人間がより快適に効率良く機械操作するためには、操作される機械からの情報を誤りなく、簡潔に、瞬時に、充分な量で取り出す必要があり、そのために、ディスプレイを初めとする様々な表示素子について研究が行われている。
【0003】
また、機械の小型化に伴い、表示素子の小型化、薄型に対する要求も日々、高まっているのが現状である。
【0004】
例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、ノート型ワードプロセッサなどの、表示素子一体型であるラップトップ型情報処理機器の小型化には目を見張る進歩があり、それに伴い、その表示素子である液晶ディスプレイに関しての技術革新も素晴らしいものがある。
【0005】
今日、液晶ディスプレイは、様々な製品のインターフェースとして用いられており、ラップトップ型情報処理機器はもちろんのこと、小型テレビや時計、電卓を初めとして、我々の日常使用する製品に多く用いられている。
【0006】
これらの液晶ディスプレイは液晶が低電圧駆動、低消費電力であるという特徴を生かし、小型から大容量表示デバイスに至るまで、人間と機械のインターフェースとして、表示素子の中心として研究されてきた。
【0007】
しかし、この液晶ディスプレイは自発光性でないため、バックライトを必要とし、このバックライト駆動に、液晶を駆動するよりも大きな電力を必要とするため、結果的に内蔵蓄電池等では使用時間が短くなり、使用上の制限がある。
【0008】
更に、液晶ディスプレイは、視野角が狭いため、大型ディスプレイ等の大型表示素子には適していないと共に、液晶分子の配向状態による表示方法であるので、視野角の中においても、角度によりコントラストが変化してしまうのも大きな問題である。
【0009】
また、駆動方式から考えれば、駆動方式の一つであるアクティブマトリクス方式は、動画を扱うに十分な応答速度を示すが、TFT(薄膜トランジスタ)駆動回路を用いるため、画素欠陥により画面サイズの大型化が困難である。TFT駆動回路を用いることは、コストダウンの点から考えても好ましくない。
【0010】
別の駆動方式である、単純マトリクス方式は、低コストである上に画面サイズの大型化が比較的容易であるが、動画を扱うに十分な応答速度を有していないという問題がある。
【0011】
これに対し、自発光性表示素子は、プラズマ表示素子、無機電界発光素子、有機電界発光素子等が研究されている。
【0012】
プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズマ発光を表示に用いたもので、大型化、大容量化に適しているものの、薄型化、コストの面での問題を抱えている。また、駆動に高電圧の交流バイアスを必要とし、携帯用デバイスには適していない。
【0013】
無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレイ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様に、交流バイアス駆動であり、駆動には数百V必要であり、またフルカラー化は困難であると思われる。
【0014】
一方、有機化合物による電界発光現象は、1960年代前半に、強く螢光を発生するアントラセン単結晶へのキャリア注入による発光現象が発見されて以来、長い期間、研究されてきたが、低輝度、単色で、しかも単結晶であったため、有機材料へのキャリア注入という基礎的研究として行われていた。
【0015】
しかし、1987年にEastman Kodak 社のTangらが低電圧駆動、高輝度発光が可能なアモルファス発光層を有する積層構造の有機薄膜電界発光素子を発表して以来、各方面で、R、G、Bの三原色の発光、安定性、輝度上昇、積層構造、作製方法等の研究開発が盛んに行われている。
【0016】
さらに、有機材料の特徴であるが、分子設計等により様々な新規材料が発明され、直流低電圧駆動、薄型、自発光性等の優れた特徴を有する、有機電界発光表示素子のカラーディスプレイへの応用研究も盛んに行われ始めている。
【0017】
有機電界発光素子(以下、有機EL素子と称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギーに変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバイスとして理想的な特徴を有している。
【0018】
図22は、従来の有機EL素子10の一例を示す。この有機EL素子10は、透明基板(例えばガラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxide)透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、陰極(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空蒸着法で順次製膜したものである。
【0019】
そして、陽極である透明電極5と陰極1との間に直流電圧17を選択的に印加することによって、透明電極5から注入されたキャリアとしてのホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て移動し、電子−ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光18が生じ、透明基板6の側から観察できる。
【0020】
発光層3には、例えばアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン等の発光物質を使用してよい。これは、電子輸送層2に含有させることができる。
【0021】
図23は、別の従来例を示すものであり、この例においては、発光層3を省略し、電子輸送層2に上記の亜鉛錯体又は螢光物質との混合物を含有させ、電子輸送層2とホール輸送層4との界面から所定波長の発光18が生じるように構成した有機EL素子20を示すものである。
【0022】
図24は、上記の有機EL素子の具体例を示す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は電子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配するが、これらの電極をマトリクス状に交差させてストライプ状に設け、輝度信号回路40、シフトレジスタ内蔵の制御回路41によって時系列に信号電圧を印加し、多数の交差位置(画素)にてそれぞれ発光させるように構成している。
【0023】
従って、このような構成により、ディスプレイとして勿論、画像再生装置としても使用可能となる。なお、上記のストライプパターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、フルカラー又はマルチカラー用として構成することができる。
【0024】
こうした有機EL素子を用いた、複数の画素からなる表示デバイスにおいて、発光する有機薄膜層2、3、4は一般に、透明電極5と金属電極1との間に挟まれており、透明電極5側に発光する。
【0025】
しかし、上記のような有機EL素子も、なお未解決の問題を有している。
【0026】
例えば、これらの有機電界発光素子の劣化が大きな問題であるが、この劣化要因は、発光に伴う発熱による有機材料の熱劣化や、作製時に混入された水分や酸素の影響によるもの、また、カソード電極の酸化による有機層との剥離等が考えられているものの、明らかではなく、これらの原因の複合要因であると考えられる。
【0027】
有機電界発光素子をディスプレイデバイス等に応用する際、上記のような要因が、素子の寿命に及ぼす影響が大きな問題である。従って、有機層及び金属電極を保護するために封止膜を設け、その後に引き続いて封止膜構造まで真空一貫作製することが望ましい。
【0028】
しかしながら、例えば絶縁性の封止膜を設ける場合、これを真空蒸着装置の中で作製する際、絶縁性の封止膜の蒸着時における輻射熱の影響が大きく、発光層を初めとする有機層に対する影響が懸念されることが判明した。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、有機層の劣化が殆ど生じず、大気中でも良好な安定性を示す長寿命の光学的素子の製造方法、及びその光学的素子を提供することを目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、帯状パターンの陽極上に、発光領域を含む有機層と陰極とをこの順に共通のマスクによって同一パターンに真空成膜した後に、真空を保持したまま、前記陰極及び前記有機層をこれらの表面及び側面の全体に亘って覆う導電性封止膜を前記陽極と交差した帯状パターンに形成し、更に真空を保持したまま、前記陽極と前記陰極とが重なる位置において前記導電性封止膜を覆う絶縁性封止膜を形成する、光学的素子の製造方法に係るものである。
また、本発明は、帯状パターンの陽極上に、発光領域を含む有機層と陰極とがこの順に同一パターンに成膜され、前記極及び前記有機層をこれらの表面及び側面の全体に亘って覆う導電性封止膜が前記陽極と交差した帯状パターンに形成され、前記陽極と前記陰極とが重なる位置において前記導電性封止膜を覆う絶縁性封止膜が形成されている光学的素子も提供するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法においては、前記導電性封止膜上に、真空を保持したまま絶縁性封止膜を形成する際、導電性封止膜及び絶縁性封止膜を真空蒸着法により順次形成することが望ましい。
【0033】
そして、上記の素子は、透明電極を設けた光学的に透明な基体の前記透明電極上に、有機ホール輸送層、有機発光層及び/又は有機電子輸送層、金属電極、導電性封止膜及び絶縁性封止膜を真空成膜条件下で順次積層することが望ましい。
【0034】
これにより、上記の方法は、好適な有機電界発光素子の製造方法となり、この素子はカラーディスプレイ用の素子として好適なものとなる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例について詳細に説明する。
【0036】
例1
図1は、本発明に基づく例1により製造された有機EL素子31を示す断面図である。図1は、図2の如く、ガラス基板6上にドット状に多数形成された画素PXの一つを示したものであってよい。
【0037】
本例による有機EL素子は、図1に示すように、ガラス基板6上にITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極5(アノード)、ホール輸送層4、電子輸送層を兼ねた発光層3、及びリチウム−アルミニウム(LiAl)合金からなる電極1(カソード)が積層されたものであり、前述した図23と同じシングルへテロ型の積層体を構成している。
【0038】
そして、電極1上には、導電性封止膜7及び絶縁性封止膜8が素子の側面を覆う如くに順次形成されている。これらの封止膜は、後述する真空蒸着装置を用い、本例の方法により成膜されたものである。
【0039】
なお、図1に示した構造は、図22に示した電子輸送層2が独立して設けられているダブルヘテロ型の有機EL素子にも適用することができる。
【0040】
図2は、真空蒸着装置により作製した有機EL素子30の具体例を示す平面図である。即ち、サイズLが30mm×30mmのガラス基板6上に、サイズlが2mm×2mmのITO透明電極5を上記した真空蒸着装置により約 100nmの厚さで蒸着後に、全面にSiO2 9を蒸着し、これを所定の画素パターンにエッチングして多数の開口15を形成し、ここに透明電極5をそれぞれ露出させる。従って、SiO2 によって2mm×2mmの発光領域(画素)PXに対し図3に示す蒸着マスク22を用いて各有機層4、3及び金属電極1を順次形成する。
【0041】
図3は、本例における有機EL素子を作製するために用いた各種の蒸着マスクの位置関係を模式的に示した平面図であって、各マスクの開口部を示したものである。即ち、マスク22の開口部22aにより上記した有機層4、3及び電極1が形成され、次に、マスク23の開口部23aによりITO透明電極5と直交して同列の各素子上を帯状に導電性封止膜7が形成され、最後にマスク24の開口部24aにより各素子毎に絶縁性封止膜8が形成されて、図1のような形状の素子が作製される。
【0042】
これらの各マスク22、23、24は、図4のような真空蒸着装置11の中に配置されている。この装置の内部には、アーム12の下に固定された一対の支持手段13が設けられ、この双方の固定手段13、13の間には、透明ガラス基板6を下向きにし、マスク22、23、24をセットできるステージ機構(図示省略)が設けられている。そして、ガラス基板及びマスクの下方には、所定個数の各種蒸着源28を配置する。各蒸着源は、電源29による抵抗加熱方式で加熱される。この加熱には、必要に応じてEB(電子線)加熱方式等も使用される。
【0043】
次に、本例による有機EL素子の具体的な製造プロセスを説明する。
【0044】
図5は、前述した図2と同じガラス基板6上にITO透明電極5を蒸着後に、全面にSiO2 9を蒸着し、これを所定の画素パターンにエッチングして多数の開口15を形成し、開口部15に透明電極5を露出させた状態を示す平面図であって、一部を省略して示したものである。そして、以下、図6〜図11に示す各製造段階は、図5のa部のA−A断面で示したものである。
【0045】
まず、図5に示すように、30mm×30mmのガラス基板6上に膜厚約 100nmで設けたITO透明電極5上に、SiO2 9を蒸着し、これをパターニングして2mm×2mmの発光領域15以外をマスクした有機EL素子作製用のセルを作製した。
【0046】
これにより、図8の状態が形成される。つまり、図6は図5のA−A線断面図、そして、図7は図6の VII−VII 線断面図であり、いずれもITO透明電極5が形成された状態を示し、図8はこの透明電極5上にSiO2 が蒸着されてパターニングされた状態を示している。
【0047】
次に、上記のように作製したセルを図4に示した真空蒸着装置に入れ、図9のように蒸着マスク22を用いてTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)(図15の構造式参照)を真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着した(蒸着速度2〜4Å/sec)。これにより、マスク22の開口22aからTPDを蒸着し、ホール輸送層4を形成した。
【0048】
続いて、同じ蒸着マスクのままで、上記の如く蒸着されたホール輸送層4の上にアルミニウム−キノリン錯体であるAlq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)(図14の構造式参照)を約50nmの厚みに蒸着し(蒸着速度2〜4Å/sec)、発光層(電子輸送層も兼ねたもの:以下、同様)3を形成した。
【0049】
続いて、同じ蒸着マスクのままで、上記の発光層3の上にカソード電極としてLiAl合金(Li含有率 2.5%)を約2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0050】
次に、図10のように、マスクを蒸着マスク23に変えて上記金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着した(蒸着速度30〜40Å/sec)。これにより、マスク23の開口23aから金を蒸着し、図示の如く有機層4、3及び電極1の積層体の表面を覆うように導電性封止膜7を形成した。
【0051】
最後に、図11のように、マスクを蒸着マスク24に変えて上記導電性封止膜7の上にSiO2 を2kÅの厚みに蒸着した(蒸着速度50〜60Å/sec)。これにより、マスク24の開口24aからSiO2 を蒸着し、上記の導電性封止膜7を覆う絶縁性封止膜8を形成して、図1に示すような有機EL素子31を作製した。
【0052】
このようにして、本例は、同じ真空蒸着装置の中で、有機層から絶縁性封止膜までを蒸着マスクを変えるだけで連続して(真空一貫プロセスで)蒸着するため、素子製造中に素子が大気に曝されることなく、製造することができる。
【0053】
図12は、上記のようにして製造した図11の一部分の拡大断面図(図3及び図5のA−A線断面に相当)であり、図13は図12のXIII−XIII線断面図(図3及び図5のB−B線断面に相当)である。
【0054】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧6Vで約1200cd/m2 の輝度を得ることができ、この結果は素子作製直後に測定した結果と殆ど変わらなかった。また、ダークスポットも殆ど発生せず、封止膜7及び8による封止の効果が顕著であった。
【0055】
本例によれば、電極1上に設けられる導電性封止膜7が同じ真空蒸着装置の中で連続して成膜されるので、この導電性封止膜7が下層に在る有機層及び電極を保護し、電極1の酸化を阻止する作用があるのに加え、更にこの上をSiO2からなる絶縁性封止膜8で封止することにより、電極1の酸化防止及び有機層の劣化防止の効果が一層強められる。
【0056】
そして、金からなる導電性封止膜7を絶縁性封止膜8の下に介在させているため、絶縁性封止膜8の蒸着時の輻射熱による有機層の劣化が防止される。このためには、導電性封止膜7は蒸着時のバッファ層として厚めに形成されることを要し、上記の厚み(約10kÅ)は十分なものである。
【0057】
なお、導電性封止膜7が金属等の熱伝導性の良い材料からなる場合には、上記の輻射熱を効率良く放散する作用が期待でき、有機層の劣化防止に有利であると考えられる。
【0058】
しかも、有機層から上を同じ真空蒸着装置の中で連続して形成するため、生産性が高く、製造中に大気中の酸素の影響がない。また、上記の各封止膜によって、大気中での使用下でも良好な安定性を有する有機EL素子が得られる。
【0059】
そして、本例による上記した各効果は、後述する本発明に基づく他の例においても同様に得られるものである。
【0060】
例2
この例においても本発明に基づいて、上記した例1と同様に、図9に示した蒸着マスク22を用いて発光層3までを形成した。この発光層3までは使用する材料等は例1と同じである(後述する各例についても同様)ので、その説明は省略する。
【0061】
続いて、同じ蒸着マスクのままで、上記発光層3の上にカソード電極としてリチウム−アルミニウム(LiAl)合金(リチウム含有率 2.5%)を約2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0062】
次に、マスクを蒸着マスク23に変えて上記金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着し(蒸着速度30〜40Å/sec)、導電性封止膜7を形成した。
【0063】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記導電性封止膜7の上にアルミナ(Al2 3 )を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図16のように有機EL素子32を作製した。
【0064】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧6Vで約1100cd/m2 の輝度を得ることができ、この結果は素子作製直後に測定した結果と殆ど変わらなかった。また、ダークスポットも殆ど発生せず、封止膜7及び8による封止の効果がみられた。
【0065】
例3
この例においても本発明に基づいて、上記した例1と同様にして形成した発光層3の上に、同じ蒸着マスクのままでカソード電極としてストロンチウム−アルミニウム(SrAl)合金(ストロンチウム含有率2%)を約2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0066】
次に、マスクを蒸着マスク23に変えて、上記の金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着し(蒸着速度30〜40Å/sec)、導電性封止膜7を形成した。
【0067】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記導電性封止膜7の上にSiO2 を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図17のように有機EL素子33を作製した。
【0068】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧7Vで約1000cd/m2 の輝度を得ることができ、この結果は素子作製直後に測定した結果と殆ど変わらなかった。また、ダークスポットも殆ど発生せず、封止膜7及び8による封止の効果がみられた。
【0069】
例4
この例においても本発明に基づいて、上記した例1と同様に形成した発光層3の上に、同じ蒸着マスクのままでカソード電極としてストロンチウム−アルミニウム(SrAl)合金(ストロンチウム含有率2%)を約2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0070】
次に、マスクを蒸着マスク23に変えて、上記の金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着し(蒸着速度30〜40Å/sec)、導電性封止膜7を形成した。
【0071】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記導電性封止膜7の上にアルミナ(Al2 3 )を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図18のように有機EL素子34を作製した。
【0072】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧8Vで約1200cd/m2 の輝度を得ることができ、この結果は素子作製直後に測定した結果と殆ど変わらず、封止膜7及び8による封止の効果がみられた。
【0073】
例5
この例は比較例として、上記した例1と同様に形成した発光層3の上に、同じ蒸着マスクのままでカソード電極として上記した例3と同じく、ストロンチウム−アルミニウム(SrAl)合金(ストロンチウム含有率2%)を約2kÅの厚みで蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0074】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記の金属電極1上にSiO2を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図19のように有機EL素子35を作製した。従って、この例は導電性封止膜7を設けないものとなっている。
【0075】
こうして作製された有機EL素子を作製直後に測定したところ、絶縁性封止膜8の蒸着時に発生する輻射熱で有機層が劣化しており、殆ど発光が見られなかった。従って、上記した例3のように導電性封止膜を絶縁性封止膜の下に隣接して設ける効果が証明された。
【0076】
例6
この例も比較例として、上記した例1と同様に形成した発光層3の上に、同じマスクのままでカソード電極として上記した例1と同じく、リチウム−アルミニウム(LiAl)合金(リチウム含有率2.5%)を約2kÅの厚みで蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0077】
この後に、蒸着装置内を一旦、真空から大気圧に戻し、更に再度、真空に引いた。
【0078】
次に、マスクを蒸着マスク23に変えて、上記の金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着し(蒸着速度30〜40Å/sec)、導電性封止膜7を形成した。
【0079】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記導電性封止膜7の上にSiO2 を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図20のように有機EL素子36を作製した。
【0080】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧13Vで約500cd/m2の輝度を得ることができたが、この結果は素子作製直後に測定した結果に比べて大きく劣化していた。また、ダークスポットも大量に発生していた。
【0081】
即ち、導電性封止膜7の形成前に素子が大気に曝されたことによる悪影響が顕著に現れており、導電性封止膜7の形成も真空条件下で行うことの重要性が証明された。
【0082】
例7
この例においては、上記した例1と同様に形成した発光層3の上に、同じマスクのままでカソード電極として上記した例1と同じく、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)(リチウム含有率2.5%)を約2kÅの厚みで蒸着して(蒸着速度11〜13Å/sec)金属電極1を形成した。
【0083】
次に、マスクを蒸着マスク23に変えて、上記の金属電極1上に金(Au)を約10kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度30〜40Å/sec)導電性封止膜7を形成した。
【0084】
この後に、蒸着装置内を一旦、真空から大気圧に戻し、更に再度、真空に引いた。
【0085】
最後に、マスクを蒸着マスク24に変えて、上記の導電性封止膜7上にSiO2 を2kÅの厚みに蒸着して(蒸着速度50〜60Å/sec)絶縁性封止膜8を形成し、図21のように有機EL素子37を作製した。
【0086】
こうして作製された有機EL素子を作製後に1ケ月間大気中に放置した後、この素子の特性を測定したところ、印加電圧9Vで約900cd/m2の輝度を得ることができたが、この結果は素子作製直後に測定した結果に比べて劣化していた。また、ダークスポットも増加していた。
【0087】
即ち、絶縁性封止膜8の形成前に素子が大気に曝されたことによる悪影響が現れており、全ての成膜を真空条件下で行うことの重要性が証明された。
【0088】
以上、本発明の実施例を説明したが、上述の実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0089】
例えば、アノード電極、電子輸送層、ホール輸送層、カソード電極の材料は、適宜選択して使用可能である。ホール輸送層であるならば、ジアミン誘導体、ベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体等のホール輸送性有機物質を用いてもよい。同様に、電子輸送層には、キノリノール誘電体、ペリレン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体等の電子輸送性有機物質を用いてもよい。
【0090】
また、発光層はホスト−ゲスト系発光層でももちろんよく、その場合、ゲスト材料としては、昇華性をもつ材料であれば何でもよく、螢光性を有する色素に限定されない。例えばキナクリドンのような顔料でもよい。
【0091】
発光層が電子輸送層又はホール輸送層としての作用を兼ね備えたシングルヘテロ型の有機EL素子としてもよい。
【0092】
また、カソード電極材料については、上述した材料以外にも、効率良く電子を注入するために、電極材料の真空準位からの仕事関数の小さい金属を用いるのが好ましく、例えば、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)等の低仕事関数の金属を単体で、または他の金属との合金として安定性を高めて使用してもよい。
【0093】
また、本発明においては、アノード電極側から有機電界発光を取り出すため、アノード電極にはITOを透明電極として用いたが、もちろん効率良くホールを注入するために、アノード電極材料の真空準位からの仕事関数が大きいもの、例えば金、二酸化スズ−アンチモン混合物(SnO2 +Sb)、酸化亜鉛−アルミニウム混合物(ZnO+Al)等の電極を用いてもよい。
【0094】
また、導電性封止膜は金属材料以外の材料でもよく、例えばポリオキサジアゾールからなる導電性有機材料を蒸着後に紫外線による硬化を施し、蒸着重合を行ってもよい。導電性金属材料は良導電性を示すものであればよく、例えばタングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)等の金属を単体で或いは合金で用いてもよい。また、ダイヤモンドライクカーボン薄膜に少数キャリアをドープしたような導電性封止膜を用いてもよい。但し、酸化され難い材料を用いることが好ましい。
【0095】
また、絶縁性封止膜の材料としては、蒸着可能な材料であれば何でもよく、例えば一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2 )、アルミナ(Al2 3 )、二酸化ゲルマニウム(GeO2 )、窒化アルミニウム(AlN)等の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法、スパッタリング法等により作製可能である。
【0096】
なお、上述した実施例は、モノカラー用の有機EL素子を主として説明したが、発光材料を選択することによって、R、G、Bの三色を発光するフルカラー用、又はマルチカラー用の有機EL素子を上述した方法で作製することができる。その他、本発明は、ディスプレイ用としてだけでなく、光源用としても使用可能な有機EL素子に適用できると共に、他の光学的用途にも適用することができる。
【0097】
【発明の作用効果】
本発明は、上述した如く、発光領域を含む有機層の積層体上に電極が設けられている光学的素子を製造するに際し、帯状パターンの陽極上に、発光領域を含む有機層と陰極とをこの順に共通のマスクによって同一パターンに真空成膜した後に、真空を保持したまま、前記陰極及び前記有機層をこれらの表面及び側面の全体に亘って覆う導電性封止膜を前記陽極と交差した帯状パターンに形成し、更に真空を保持したまま、前記陽極と前記陰極とが重なる位置において前記導電性封止膜を覆う絶縁性封止膜を形成しているので、大気による極の酸化が防止されると共に、導電性封止膜の上に絶縁性封止膜を形成する場合にその形成時の輻射熱による有機層の劣化を防止することができ、しかも絶縁性封止膜によって陰極の酸化及び有機層の劣化を防止する効果を一層強めることができる。従って、大気中でも良好な安定性を示し、長寿命の光学的素子を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による有機EL素子の概略断面図である。
【図2】同有機EL素子の具体例の平面図である。
【図3】同有機EL素子の製造に用いる各種マスクの位置関係を示す拡大平面図である。
【図4】同有機EL素子の製造に用いる真空蒸着装置の概略断面図である。
【図5】同有機EL素子の製造においてガラス基板上に蒸着したSiO2 を所定の画素パターンにエッチングした状態を示す平面図である。
【図6】同有機EL素子の製造プロセスの一段階を示す要部の概略断面図である。
【図7】図6の VII−VII 線断面図である。
【図8】同製造プロセスの他の一段階を示す要部の概略断面図である。
【図9】同製造プロセスの他の一段階を示す要部の概略断面図である。
【図10】同製造プロセスの他の一段階を示す要部の概略断面図である。
【図11】同製造プロセスの更に他の一段階を示す要部の概略断面図である。
【図12】同完成した有機EL素子の要部を示す拡大断面図てある。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】同有機EL素子の発光層材料として使用するアルミニウム−キノリン錯体の構造式である。
【図15】同有機EL素子のホール輸送層材料として使用するTPDの構造式である。
【図16】本発明の他の実施例による有機EL素子の概略断面図である。
【図17】本発明の他の実施例による有機EL素子の概略断面図である。
【図18】本発明の更に他の実施例による有機EL素子の概略断面図である。
【図19】本発明の比較例による有機EL素子の概略断面図である。
【図20】本発明の他の比較例による有機EL素子の概略断面図である。
【図21】本発明の更に他の比較例による有機EL素子の概略断面図である。
【図22】従来例による有機EL素子を示す概略断面図である。
【図23】他の従来例による有機EL素子の概略断面図である。
【図24】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1…電極(カソード)、2…電子輸送層、3…発光層、4…ホール輸送層、
5…ITO透明電極、6…ガラス基板、7…導電性封止膜、
8…絶縁性封止膜、9…SiO2 膜、11…真空蒸着装置、15…開口、
22、23、24…マスク、22a、23a、24a…開口部、28…蒸着源、29…電源、
30、31、32、33、34、35、36、37…有機EL素子、PX…画素

Claims (9)

  1. 帯状パターンの陽極上に、発光領域を含む有機層と陰極とをこの順に共通のマスクによって同一パターンに真空成膜した後に、真空を保持したまま、前記陰極及び前記有機層をこれらの表面及び側面の全体に亘って覆う導電性封止膜を前記陽極と交差した帯状パターンに形成し、更に真空を保持したまま、前記陽極と前記陰極とが重なる位置において前記導電性封止膜を覆う絶縁性封止膜を形成する、光学的素子の製造方法。
  2. 導電性封止膜及び絶縁性封止膜を真空蒸着法により順次形成する、請求項に記載した方法。
  3. 有機電界発光素子を製造する、請求項に記載した方法。
  4. 透明電極を設けた光学的に透明な基体の前記透明電極上に、有機ホール輸送層、有機発光層及び/又は有機電子輸送層、金属電極、導電性封止膜及び絶縁性封止膜を真空成膜条件下で順次積層する、請求項に記載した方法。
  5. カラーディスプレイ用の素子を製造する、請求項に記載した方法。
  6. 帯状パターンの陽極上に、発光領域を含む有機層と陰極とがこの順に同一パターンに成膜され、前記極及び前記有機層をこれらの表面及び側面の全体に亘って覆う導電性封止膜が前記陽極と交差した帯状パターンに形成され、前記陽極と前記陰極とが重なる位置において前記導電性封止膜を覆う絶縁性封止膜が形成されている光学的素子。
  7. 有機電界発光素子として構成されている、請求項に記載した光学的素子。
  8. 透明電極を設けた光学的に透明な基体の前記透明電極上に、有機ホール輸送層、有機発光層及び/又は有機電子輸送層、金属電極、導電性封止膜及び絶縁性封止膜が順次積層されている、請求項に記載した光学的素子。
  9. カラーディスプレイ用の素子として構成されている、請求項に記載した光学的素子。
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