JP3663699B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の制御装置、特に所定の変速段で締結されるワンウェイクラッチを有する自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に搭載される自動変速機は、エンジン出力が入力されるトルクコンバータと、該トルクコンバータの出力によって駆動される変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的締結によって切り換えることにより、運転状態や運転者が選択したレンジに応じて所定の変速段へ自動的に変速させるように構成したものであるが、例えばDレンジやSレンジの1速のように、エンジンブレーキを必要としない変速段では、摩擦要素の代わりにワンウェイクラッチを締結させることにより、上記変速歯車機構を動力伝達状態とすることがある。
【0003】
一方、この種の自動変速機においては、例えば当該自動車の車速またはこれに対応するトルクコンバータのタービン回転数とスロットル開度等のエンジン負荷とをパラメータとした変速パターンを予め設定しておき、運転状態がこの変速パターンを構成する変速ラインを横切ったときに、変速を実行させるようになっている。
【0004】
その場合に、例えば特公昭61−3982号公報によれば、上記変速パターンとして、変速ラインを低車速側に設定したものと高車速側に設定したものとを用意し、エンジン負荷の変化速度が基準値を超えたときに変速ラインが低車速側の変速パターンから高車速側の変速パターンに切り換えると共に、その切り換えを行う際のエンジン負荷変化速度の基準値を低車速側では高く、高車速側では低くしたものが開示されている。
【0005】
これによれば、アクセルペダルを急に踏み込んだときに、変速パターンが変速ラインが低車速側のものから高車速側のものに切り換えられることにより、変速段がダウンシフトされる頻度が多くなって、運転者の要求に応じた加速性が得られると共に、混雑した市街地等におけるアクセルペダルの踏み込み時に、不要なシフトダウンが抑制されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように、例えばDレンジやSレンジの1速でワンウェイクラッチを締結させるようになっている自動変速機においては、DレンジまたはSレンジでの走行中にアクセルペダルの急激な踏み込みにより変速段が1速にシフトダウンされる場合に、上記ワンウェイクラッチも急激に締結されることになるが、このときに大きなショックが発生し、これが変速フィーリングを悪化させる要因となるのである。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような所定の変速段でワンウェイクラッチを締結させるようになっている自動変速機において、該ワンウェイクラッチの急激な締結によるショックの問題を解消することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような手段を用いたことを特徴とする。
【0009】
まず、本願の請求項1に係る発明(以下、第1発明という)は、所定の変速段で締結されるワンウェイクラッチを有する自動変速機において、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、その踏み込みに伴う上記所定変速段への変速の頻度を、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて少なくする変速制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明(以下、第2発明という)は、車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられている場合に、上記第1発明における変速制御手段により、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する所定変速段への変速を指示する変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低車速側へ移行させるように構成し、これにより、該所定変速段への変速の頻度を少なくすることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明(以下、第3発明という)は、1速で締結されるワンウェイクラッチを有すると共に、車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられている自動変速機において、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する2速から1速へのダウンシフトの変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低車速側へ移行させる変速制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0012】
そして、請求項4に係る発明(以下、第4発明という)は、上記第3発明と同様に、1速で締結されるワンウェイクラッチを有すると共に、車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられている自動変速機において、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する3速から2速へのダウンシフトの変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低エンジン負荷側へ移行させる変速制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
このような手段を用いることにより、上記各発明によれば、次のような作用が得られる。
【0014】
まず、第1発明によれば、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、変速制御手段により、この踏み込みに伴うワンウェイクラッチが締結される所定変速段への変速の頻度が少なくされることになる。したがって、このようなアクセルペダルの急激な踏み込みに伴うワンウェイクラッチの急激な締結や、これによる大きなショックの発生が抑制されることになる。
【0015】
そして、第2発明によれば、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、変速制御手段が変速パターンを構成する所定変速段への変速を指示する変速ラインを低車速側へ移行させるので、その移行前であれば上記所定変速段へ変速していた場合でも、その変速が行われなくなる場合が生じ、それだけこの所定変速段への変速の頻度が少なくなり、上記第1発明と同様の作用が得られることになる。
【0016】
また、第3発明によれば、1速で締結されるワンウェイクラッチを有する場合に、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、変速制御手段が変速パターンを構成する2速から1速へのダウンシフトの変速ラインを低車速側へ移行させるので、その移行前であれば1速に変速していた場合でも、その変速が行われなくなる場合が生じ、上記第2発明と同様にして、それだけ1速への変速の頻度が少なくなる。
【0017】
さらに、第4発明によれば、上記第3発明と同様に、1速で締結されるワンウェイクラッチを有する場合に、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、変速制御手段が変速パターンを構成する3速から2速へのダウンシフトの変速ラインを低エンジン負荷側へ移行させるので、アクセルペダルの踏み込みに伴う3速から2速へのダウンシフトが上記変速ラインの移行前よりも早く行われることになって、運転者の要求する大きな加速度が速やかに得られることになる。したがって、運転者による更なるシフトダウンの要求が解消され、それだけ1速へのシフトダウンの頻度が少なくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明が適用される自動変速機の一例を示すもので、この自動変速機10は、エンジン1の出力軸2に連結されたトルクコンバータ20と、その出力トルクが入力される変速歯車機構30と、該機構30の動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素41〜46及びワンウェイクラッチ51,52とを有し、これらにより、走行レンジとしてのD,S,L,Rの各レンジと、Dレンジでの1〜4速、Sレンジでの1〜3速、Lレンジでの1〜2速、及びRレンジでの後退速とが得られるようになっている。
【0020】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸2に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間でワンウェイクラッチ24を介して変速機ケース11に支持されて、トルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられて、該ケース21を介してエンジン出力軸2とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して変速歯車機構30側に出力されるようになっている。
【0021】
ここで、上記エンジン出力軸2にはタービンシャフト27内を貫通するポンプシャフト12が連結され、該シャフト12により当該変速機10の反エンジン1側の端部に設けられたオイルポンプ13が駆動されるようになっている。
【0022】
一方、上記変速歯車機構30はラビニョ型プラネタリギヤ装置で構成され、上記タービンシャフト27上に遊嵌合された小径のスモールサンギヤ31と、該サンギヤ31の反エンジン1側において同じくタービンシャフト27上に遊嵌合された大径のラージサンギヤ32と、上記スモールサンギヤ31に噛合された複数個のショートピニオンギヤ33と、エンジン1側の半部が該ショートピニオンギヤ33に噛合され、反エンジン1側の半部が上記ラージサンギヤ32に噛合されたロングピニオンギヤ34と、該ロングピニオンギヤ34及び上記ショートピニオンギヤ33を回転自在に支持するピニオンキャリヤ35と、上記ロングピニオンギヤ34に噛合されたリングギヤ36とで構成されている。
【0023】
そして、上記タービンシャフト27とスモールサンギヤ31との間に、フォワードクラッチ41と第1ワンウェイクラッチ51とが直列に介設され、また、これらのクラッチ41,51に並列にコーストクラッチ42が介設されていると共に、タービンシャフト27とピニオンキャリヤ35との間には3−4クラッチ43が介設され、さらに、該タービンシャフト27とラージサンギヤ32との間にリバースクラッチ44が介設されている。
【0024】
また、上記ラージサンギヤ32とリバースクラッチ44との間にはラージサンギヤ32を固定するバンドブレーキでなる2−4ブレーキ45が設けられていると共に、上記ピニオンキャリヤ35と変速機ケース11との間には、該キャリヤ35の反力を受け止める第2ワンウェイクラッチ52と、該キャリヤ35を固定するローリバースブレーキ46とが並列に設けられている。そして、上記リングギヤ36が出力ギヤ14に連結され、該出力ギヤ14から図示しない差動装置を介して左右の駆動輪に回転が伝達されるようになっている。
【0025】
ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦要素41〜46及びワンウェイクラッチ51,52の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0026】
【表1】
なお、ワンウェイクラッチ51,52については、(○)印の変速段での駆動状態のときに締結されることを示している。
【0027】
したがって、第2ワンウェイクラッチ52については、D,S,Lの各レンジでの駆動状態の1速で締結されることになるが、特に該ワンウェイクラッチ52に並列のローリバースブレーキ46が締結されないDレンジ及びSレンジでは、このワンウェイクラッチ52が締結されることにより1速の変速段が実現されることになる。
【0028】
一方、この自動変速機10には、図2に示すように、上記各摩擦要素41〜46を表1に従って各変速段で選択的に締結させるための油圧を制御する油圧制御回路50が備えられている。この油圧制御回路50には、変速用の複数のソレノイドバルブ51…51、ロックアップクラッチ26の制御用のソレノイドバルブ52及びライン圧制御用のソレノイドバルブ53等が設けられている。
【0029】
そして、これらのソレノイドバルブ51…51,52,53の作動を制御するコントロールユニット70が備えられ、該ユニット70に、当該自動車の車速を検出する車速センサ71からの信号、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ72からの信号、当該自動変速機10の入力軸側回転数としてトルクコンバータ20の出力回転数(タービン回転数)を検出するタービン回転数センサ73からの信号、及びシフトレバーの位置、即ちシフトしたレンジを検出するシフトレンジセンサ74からの信号等が入力され、これらの信号に基づいて上記各ソレノイドバルブ51…51,52,53を作動させることにより、運転状態や運転者の要求に応じた変速制御、ロックアップ制御及びライン圧制御を行うようになっている。
【0030】
ここで、このコントロールユニット70による変速制御は、車速またはその時の変速段のギヤ比を用いて車速に換算されるタービン回転数、及びスロットル開度等で示されるエンジン負荷をパラメータとして予め設定された変速パターンと、上記センサ71によって検出される実際の車速(またはセンサ73によって検出されるタービン回転数)及びセンサ72によって検出されるスロットル開度とを照らし合わせて、その時の運転状態に応じた変速段を設定し、この変速段になるように上記変速用ソレノイドバルブ51…51に制御信号を出力することにより行われる。
【0031】
そして、このコントロールユニット70は、上記の第2ワンウェイクラッチ52が締結されることにより達成されるDレンジ及びSレンジの1速への変速時、特にアクセルペダルの踏み込みに伴うダウンシフト変速時に、上記ワンウェイクラッチ52の急激な締結によるショックを抑制する制御を行うようになっている。次に、図3のフローチャートに従って、このショック抑制制御について説明する。
【0032】
まず、ステップS1で、図2に示す各センサ71,72,73,74からの信号に基づいて、車速V、スロットル開度Tvo、タービン回転数Nt及びシフトレンジSftを読み込み、次いで、ステップS2で、シフトレンジSftがDレンジまたはSレンジであるか否かを判定する。そして、DレンジまたはSレンジであるときに、ステップS3で、上記センサ72からの信号に基づいてスロットル開度Tvoの変化率ΔTvoを求め、これを車速Vの関数として設定された基準値F(V)と比較する。
【0033】
そして、このアクセルペダルの踏み込み速度に対応するスロットル開度変化率ΔTvoが基準値F(V)以下のときは、次にステップS4を実行し、タービン回転数Ntと、図4に示す変速パターンにおける通常時用の2−1ダウンシフトラインL1(2−1)とを対比する。そして、Nt≦L1(2−1)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL1(2−1)上のタービン回転数以下のときには、ステップS5で、1速へダウンシフトするように制御信号を出力する。
【0034】
また、Nt>L1(2−1)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL1(2−1)上のタービン回転数より大きいときには、さらに、ステップS6で、タービン回転数Ntと、図5に示す変速パターンにおける通常時用の3−2ダウンシフトラインL1(3−2)とを対比する。そして、Nt≦L1(3−2)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL1(3−2)上のタービン回転数以下のときには、ステップS7で、2速へダウンシフトするように制御信号を出力する。
【0035】
このようにして、スロットル開度変化率ΔTvoが基準値F(V)以下のとき、換言すれば、アクセルペダルが踏み込まれておらず、または踏み込みが特に急激ではない場合には、ダウンシフトを行うか否かの判定が通常時用の変速ラインL1(2−1),L1(3−2)に基づいて、従来同様に行われることになる。
【0036】
一方、スロットル開度変化率ΔTvoが基準値F(V)より大きいときは、ステップS3からステップS8を実行し、タービン回転数Ntと、図4に示す変速パターンにおけるアクセルペダル急踏み込み時用の2−1ダウンシフトラインL2(2−1)とを対比する。そして、Nt≦L2(2−1)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL2(2−1)上のタービン回転数以下のときには、ステップS9で、1速へダウンシフトするように制御信号を出力する。
【0037】
また、Nt>L2(2−1)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL2(2−1)上のタービン回転数より大きいときには、さらに、ステップS10で、タービン回転数Ntと、図5に示す変速パターンにおけるアクセルペダル急踏み込み時用の3−2ダウンシフトラインL2(3−2)とを対比する。そして、Nt≦L2(3−2)のとき、つまり、タービン回転数Ntがそのときのスロットル開度Tvoでの上記ラインL2(3−2)上のタービン回転数以下のときには、ステップS11で、2速へダウンシフトするように制御信号を出力する。
【0038】
このようにして、スロットル開度変化率ΔTvoが基準値F(V)より大きいとき、換言すれば、アクセルペダルが所定値以上の踏み込み速度で急激に踏み込まれたときには、ダウンシフトを行うか否かの判定が急踏み込み時用の変速ラインL2(2−1),L2(3−2)に基づいて行われることになる。
【0039】
その場合に、図4に示すように、急踏み込み時用の2−1ダウンシフトラインL2(2−1)は、通常時用のラインL1(2−1)よりも高スロットル開度領域で低タービン回転数側に設定されており、したがって、例えば矢印Aで示すようなアクセルペダルの踏み込みが行われたときに、その速度が小さければ1速にダウンシフトされるが、踏み込み速度が大きいときには、1速へのダウンシフトが行われないことになる。
【0040】
これにより、アクセルペダルが急激に踏み込まれることに伴って、1速へのダウンシフトが行われるときに第2ワンウェイクラッチ52が急激に締結される、といった事態の発生頻度が小さくなり、このようなワンウェイクラッチ52の急激な締結による大きなショックの発生が抑制されることになる。
【0041】
また、図5に示すように、急踏み込み時用の3−2ダウンシフトラインL2(3−2)は、通常時用のラインL1(3−2)よりも、所定の車速領域で低スロットル開度側に設定されているから、例えば矢印Bで示すようなアクセルペダルの踏み込みが行われたときに、その速度が小さときよりも、低スロットル開度で早期に2速にダウンシフトされ、それだけ運転者の要求する加速度が速やかに得られることになる。
【0042】
したがって、通常時用のラインL1(3−2)による場合のように、2速へのダウンシフトが相対的に遅くなって、要求した加速度が速やかに得られないために、さらにアクセルペダルを踏み込んで1速までダウンシフトする、という事態の発生頻度が少なくなり、これによっても、ワンウェイクラッチ52の急激な締結によるショックの発生が抑制されることになる。
【0043】
なお、上記急踏み込み時用のダウンシフトラインL2(2−1),L2(3−2)を使用する場合のスロットル開度変化率ΔTvoの基準値としては、車速Vの関数として与えられる値F(V)以外に、アクセルペダル踏み込み前のスロットル開度の関数として与えられる値F(Tvo)を用いてもよい。
【0044】
また、これらの基準値より大きいか否かに応じて2つの変速ラインを切り換えるだけでなく、図4に示すラインL1(2−1)からラインL2(2−1)までの範囲で、また、図5に示すラインL1(3−2)からラインL2(3−2)までの範囲で、スロットル開度変化率ΔTvoの大きさに応じて2−1ダウンシフトライン及び3−2ダウンシフトラインを多段階もしくは無段階に変化させるようにしてもよい。このようにすれば、変速制御を徒に損なうことなく、ワンウェイクラッチ締結時のショックの発生を一層効果的に抑制することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、例えばDレンジやSレンジの1速等の所定変速段でワンウェイクラッチを締結させるようになっている自動変速機において、アクセルペダルの踏み込みにより変速段が上記所定変速段に変速される場合に、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときには、この所定変速段への変速の頻度を少なくするようにしたから、このようなアクセルペダルの急激な踏み込みに伴うワンウェイクラッチの急激な締結や、これによる大きなショックの発生が抑制されることになる。これにより、当該所定変速段への変速が良好に行われて、変速フィーリングが改善されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。
【図2】 同実施形態の制御システム図である。
【図3】 同実施形態におけるダウンシフト制御の動作を示すフローチャートである。
【図4】 同実施形態で用いられる2−1ダウンシフトの変速パターン図である。
【図5】 同じく3−2ダウンシフトの変速パターン図である。
【符号の説明】
10 自動変速機
52 ワンウェイクラッチ(第2ワンウェイクラッチ)
70 変速制御手段(コントロールユニット)
72 踏み込み速度検出手段(スロットル開度センサ)
Claims (4)
- 所定の変速段で締結されるワンウェイクラッチを有する自動変速機の制御装置であって、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、その踏み込みに伴う上記所定変速段への変速の頻度を、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて少なくする変速制御手段とが設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられていると共に、変速制御手段は、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する所定変速段への変速を指示する変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低車速側へ移行させることにより、該所定変速段への変速の頻度を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- 1速で締結されるワンウェイクラッチを有すると共に、車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられている自動変速機の制御装置であって、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する2速から1速へのダウンシフトの変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低車速側へ移行させる変速制御手段とが設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 1速で締結されるワンウェイクラッチを有すると共に、車速関連値とエンジン負荷関連値とをパラメータとして設定されて変速段決定の基準となる変速パターンが設けられている自動変速機の制御装置であって、アクセルペダルの踏み込み速度に関係する値を検出する踏み込み速度検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときに、上記変速パターンを構成する3速から2速へのダウンシフトの変速ラインを、アクセルペダルの踏み込み速度が小さいときに比べて低エンジン負荷側へ移行させる変速制御手段とが設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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