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JP3657285B2 - 皮膚外用組成物 - Google Patents

皮膚外用組成物 Download PDF

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JP3657285B2
JP3657285B2 JP4633794A JP4633794A JP3657285B2 JP 3657285 B2 JP3657285 B2 JP 3657285B2 JP 4633794 A JP4633794 A JP 4633794A JP 4633794 A JP4633794 A JP 4633794A JP 3657285 B2 JP3657285 B2 JP 3657285B2
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靖幸 山田
喬 鈴木
誠史郎 藤井
和彦 佐山
かをり 脇田
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靖幸 山田
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は皮膚外用組成物、特にエストリオールないしその誘導体を含む皮膚外用剤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
エストリオールは代表的な女性ホルモンの一種であり、顔面紅潮、悪寒、頭痛、鬱状態などの反復症状を示す更年期障害の治療に用いられることがある。このエストリオールの投与形態としては、錠剤、カプセル剤などの剤型での経口投与或いは注射剤、軟膏剤、ローションなどの外用製剤、膣錠等の剤型での非経口投与が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、経口投与の場合、薬剤が消化管から吸収されるので、胃腸内のpHの変動や食事の摂取状態によって吸収量が変動し、またその半減期が短いので一定の血中濃度を維持しようとすると、頻回の投与が必要となる。
また、注射による投与では、患者に苦痛を与えると共に、やはり薬物の半減期が短く1日の投与回数を多くしなければならないという問題がある。
そこで、血中濃度が安定し、しかも半減期を長くすることのできる経皮投与が考えられる。経皮投与の剤型としては軟膏剤が挙げられるが、従来の組成の軟膏剤はエストリオールの経皮吸収性に劣り、充分な薬理効果が得られない等の問題がある。
さらに、貼付剤では貼付部のかぶれによるカユミが頻発し、座薬においては適用部位が限定される等の問題がある。
【0004】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は使用が簡便で、しかも一度の投与で長時間にわたり有効レベルのエストリオール血中濃度を維持して持続的な薬理効果を得ることのできる皮膚外用組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、基剤中にエストリオールないしその誘導体と共に、ビタミンEないしその誘導体を一定比で共存させることにより、エストリオールの経皮吸収性が大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本出願の請求項1記載の皮膚外用組成物は、基剤中に、エストリオール及び/又はエストリオール誘導体と、ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体を配合したことを特徴とする。
また、請求項2記載の皮膚外用組成物は、エストリオール及び/又はエストリオール誘導体と、ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体を、1:0.01〜1:5の重量比で配合したことを特徴とする。
請求項3記載の皮膚外用剤は、前記皮膚外用組成物が更年期障害治療剤であることを特徴とする。
請求項4記載の皮膚外用剤は、前記皮膚外用組成物が痔疾治療剤であることを特徴とする。
【0007】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明において、エストリオール誘導体としては、安息香酸エストリオール、トリプロピオン酸エストリオールなどを挙げることができる。
また、ビタミンE誘導体としては、α−及びβ−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム等を挙げることができる。
なお、本発明の皮膚外用組成物におけるエストリオールとビタミンEの配合比は、重量比にして1:0.01〜1:1000の範囲であることが好適である。重量比が1:0.01未満であるとエストリオールの経皮吸収性が向上しない場合がある。また、1:1000を越えると、製剤のコストアップにもつながる。特に、エストリオールないしその誘導体と、ビタミンEないしその誘導体の配合比を、重量比で1:0.01〜1:5とすることが好ましい。1:5以上ビタミンEないしその誘導体を配合しても、そのビタミンE等の配合量の増加に応じたエストリオール等の経皮吸収性向上は認められないことが多い。
【0008】
エストリオール等の配合量は、適応する症状に応じて充分な薬理効果を得られる量を適宜決定すればよいが、例えば更年期障害に対しては0.01〜1重量%程度を配合し、1日数回皮膚に適量を塗布すればよい。
本発明で用いる外用組成物の組成は特に限定されず、軟膏などに常用されている基剤を用いればよい。また基剤中に安定剤、顔料、香料、酸化防止剤、防腐剤、金属封鎖剤、有機酸、皮膚刺激緩和剤などを常法にしたがって適宜配合してもよい。
【0009】
【作用】
本発明者らはエストリオールの経皮吸収性の改善に注目し、種々の検討を行なった結果、基剤中に有効量のエストリオールないしその誘導体と共に、ビタミンEないしその誘導体を配合することによって、エストリオール等の経皮吸収性が飛躍的に高まることを見出し、高い血中濃度を長時間にわたって維持できることを見出した。
ビタミンE等の併用によってエストリオール等の経皮吸収性が高まることの機作については、未だ完全に解明された訳ではないが、エストリオール等自体がビタミンE等に僅かに溶解すること、ビタミンE等に血管壁の透過性を改善する作用があることから皮膚透過性及び経皮吸収性が高まること、ビタミンE等が抗酸化性を有しているので、外用剤中及び生体内でのエストリオール等の安定性を高めて薬理効果を維持すること、さらにはビタミンEの有する内分泌系賦活作用によって内因性のエストリオール値が高まることなどの機序が考えられる。
【0010】
また、本発明者らは従来難治例が多く有効な薬剤の乏しかった痔疾治療に本発明の外用組成物を適用したところ、顕著な効果が得られることを見出した。
この痔疾治療の作用機序についても未だ完全には明らかでないが、▲1▼エストリオールを含む女性ホルモンには止血作用と抗炎症作用があること。▲2▼ビタミンEはエストリオールの経皮吸収性を高めること。▲3▼骨盤近傍はエストリオールなどの女性ホルモンに対する感受性が非常に高いことから外用組成物基剤中のエストリオールが効率よく経皮吸収され、痔疾患部の止血や抗炎症によって症状が軽快治癒することが考えられる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0012】
処方例1
以下の組成の各成分を常法に従って混練し、軟膏剤を得た。
エストリオール 20mg
ビタミンE 0.1g
軟膏基剤 0.9g
【0013】
処方例2
以下の組成の各成分を常法に従って混練し、軟膏剤を得た。
エストリオール 20mg
ビタミンEアセテート 0.1g
軟膏基剤 0.9g
【0014】
試験例1
処方例1で調整した本処方例1及び2にかかる軟膏剤と、比較例として処方例1からビタミンEのみを除外した軟膏剤を各々供試剤として試験を行なった。被験者は成人男性で、腹部の皮膚に1回0.1g前後の供試剤を3時間毎に5回塗布し、初回の塗布時を起点として一定時間経過後に静脈血を採血し、血中のエストリオール量(pg/ml血液)を測定した。結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0003657285
【0016】
上記表1より明らかなように、本発明の軟膏剤はビタミンEを配合しない比較剤に比べてエストリオールの経皮吸収性、血中移行性がはるかに高い。
【0017】
試験例2
軟膏剤中のビタミンEとエストリオールの比率による血中エストリオール量の変化を検討するために、上記処方1を基準として比率の異なる軟膏剤を作成し以下に示す方法で測定を行なった。
被験者は成人男性で、腹部の皮膚に1回0.1gの供試剤を塗布し、塗布時を起点として6時間経過後に静脈血を採血し、血中のエストリオール量を測定した。
結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
Figure 0003657285
【0019】
前記表2より明らかなように、基剤中のエストリオールとビタミンEが重量比で1:0.01以上の時に、特にエストリオールの高血中濃度が得られる。また、1:5.0を越える場合には、それ以上の血中濃度向上はみられないことがある。
【0020】
試験例3
同様の試験をエストリオールとビタミンEアセテートについて行なった。
結果を次の表3に示す。
【0021】
【表3】
Figure 0003657285
【0022】
表3より、エストリオールと共にビタミンEアセテートを配合した場合にも、両者の重量比が1:0.01〜1:5の時に効率よくエストリオールの高血中濃度向上が得られることが理解される。
【0023】
治験例1
次に、本発明にかかる皮膚外用組成物を用い、実際の更年期障害治癒作用について検討を行なった。
すなわち、更年期障害の症状を示す成人女性に処方例1で調整した軟膏剤を1日数回、各0.1g程度皮膚に塗布して経皮投与した。
治験例1−1:50才女性、膝痛、腰痛の症状が投与開始後2週間で軽快。
治験例1−2:44才女性、いらいら感、めまい、のぼせの症状が投与開始後3週間で軽快
治験例1−3:58才女性、膝痛、腰痛の症状が投与開始後2週間で軽快
治験例1−4:65才女性、多発性関節痛、腰痛の症状が投与開始後2週間で軽快
以上の結果、本発明にかかる皮膚外用組成物は優れた更年期障害治癒作用が有ることが認められた。
【0024】
治験例2
次に、本発明にかかる皮膚外用組成物を用い、実際の痔疾治癒作用について検討を行なった。
すなわち、痔疾の症状を示す成人に処方例1で調整した軟膏剤を1回0.1g程度、1日数回患部附近の皮膚に塗布して経皮投与した。
治験例2−1:52才女性、出血、腫脹の症状を示す難治性の痔疾が投与開始後5日で軽快
治験例2−2:43才女性、出血、腫脹の症状を示す難治性の痔疾が投与開始後7日で軽快
治験例2−3:44才女性、出血、疼痛の症状を示す難治性の痔疾が投与開始後10日で軽快
治験例2−4:65才男性、出血、疼痛の症状を示す難治性の痔疾が投与開始後4日で軽快
治験例2−5:39才男性、出血、疼痛の症状を示す難治性の痔疾が投与開始後3日で軽快
以上の結果、本発明にかかる皮膚外用組成物は優れた痔疾治癒作用が有ることが認められた。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる皮膚外用組成物は、エストリオールないしその誘導体と共に、ビタミンEないしその誘導体を配合したので、エストリオールの経皮吸収性が良好で少ない投与回数で高い薬理効果を長時間維持することができる。
また、本発明にかかる皮膚外用組成物を更年期障害、ないし痔疾治療に用いた場合には、優れた作用を示す。

Claims (4)

  1. 基剤中に、エストリオール及び/又はエストリオール誘導体と、ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体を配合したことを特徴とする皮膚外用組成物。
  2. 請求項1記載の皮膚外用組成物において、エストリオール及び/又はエストリオール誘導体と、ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体を、1:0.01〜1:5の重量比で配合したことを特徴とする皮膚外用組成物。
  3. 請求項1又は2記載の皮膚外用組成物が更年期障害治療剤であることを特徴とする皮膚外用組成物。
  4. 請求項1又は2記載の皮膚外用組成物が痔疾治療剤であることを特徴とする皮膚外用組成物。
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