JP3652032B2 - 演算装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータの演算装置及びその制御方法に係るもので、特に、入力信号のビット別ロジック遷移を検出し、該検出されたロジック遷移の個数に従って演算時間を可変し得る演算装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、演算装置は、ディジタルコンピュータの中央処理装置に用いられ、加減乗除の減算を行う装置であって、かかる演算装置では、演算時間を短縮するか又は演算時間の高速化を図るため、複数の演算装置を並列に動作させるか又は演算のパイプライン制御を行うようになっている。
【0003】
従来の演算装置を図6に示す。
従来の演算装置においては、入力信号Vinを受けて第1演算を行う第1演算部10と、該第1演算部10からの出力信号V01を受けて第2演算を行う第2演算部20と、外部の制御信号CTL及びクロック信号CLKを受けて前記第1演算部10に第1ラッチ信号VL1及び出力イネーブル信号OEN1を出力し、前記第2演算部20に第2ラッチ信号VL2及び第2出力信号OEN2を夫々出力して演算機能を制御する制御部30と、から構成されていた。
【0004】
このような従来の演算装置の動作について説明する。
先ず、入力信号Vinが第1演算部10に入力されると、制御信号CTLによりイネーブルされた制御部30は、クロックCLKを計数して第1ラッチ信号VL1及び第1出力イネーブル信号OEN1を第1演算部10に出力し、第2ラッチ信号VL2及び第2出力イネーブル信号OEN2を第2演算部に夫々出力する。
【0005】
次いで、前記第1演算部10は、前記入力信号Vinをラッチして演算し、前記制御部30からの第1出力イネーブル信号OEN1により演算された信号V01を第2演算部20に出力する。且つ、第2演算部20は、前記制御部30からの第2ラッチ信号VL2を受けて第1演算部10から出力された演算信号V01をラッチして演算し、前記制御部30からの第2出力イネーブル信号OEN2により演算信号V02を出力する。
【0006】
クロック信号CLKは、前記制御部30が第1、第2ラッチ信号VL1、VL2及び第1、第2出力イネーブル信号OEN1、OEN2のタイミングを夫々制御するときに用いられる。
即ち、制御信号CTLによりイネーブルされた制御部30は、図7(A)に示すように、クロックCLKを計数して、図7(B)、(F)に示すような第1、第2ラッチ信号VL1、VL2、及び図7(C)に示すような第1出力イネーブル信号OEN1を前記第1、第2演算部10、20に夫々出力し、図7(C)(F)に示すように、前記第1出力イネーブル信号OEN1と第2ラッチ信号VL2とは同時にイネーブルされ、図7(D)に示すように、入力信号Vinも前記第1ラッチ信号VL1と同時にイネーブルされるようになる。
【0007】
その後、前記第1演算部10は、前記第1ラッチ信号VL1によりラッチされた入力信号Vinを演算し、前記第1出力イネーブル信号OEN1により、図7(E)に示すような出力信号V01を第2演算部20に出力する。
次いで、第2演算部20は、前記第2ラッチ信号VL2によりラッチされた第1演算部10からの出力信号V01を演算し、前記第2出力イネーブル信号OEN2により出力信号V02を出力する。図7(G)は例示的ビット値を有する入力信号Vinを示したものである。
【0008】
一方、前記第1演算部10の動作時、前記クロックCLKの1周期を’1T’とすれば、前記入力信号Vinが第1ラッチ信号VL1によりラッチされた時点から、第1出力イネーブル信号OEN1により演算された信号V01が出力されるまで掛かる時間は’3T’となる。即ち、第1ラッチ信号VL1が発生した後、’3T’の時間が過ぎたとき、第1出力イネーブル信号OEN1が発生する。この時間’3T’は、第1演算部10が演算を行うため必要な時間であって、前記制御部30の入力信号の制御信号CTLとクロックCLKとにより決定される。
【0009】
この時、入力信号Vinがn個のビット単位(例えば、4ビット)に第1演算部10に入力された場合、該第1演算部10が前記nビットの入力信号Vinを演算するに掛かる時間は、入力信号Vinのビット別ロジック遷移の個数に比例するため、図7(G)に示すように、入力信号Vinが’0000’から’1111’に変わると、入力信号のビット別ロジック遷移個数は’4個’となり、入力信号Vinが’1111’から’1011’に変わると、入力信号のビット別ロジック遷移の個数は’1’値となる。この場合、ビット別ロジック遷移とは、各ビットがロジックロー状態からロジックハイ状態に、又はロジックハイ状態からロジックロー状態に変わることをいう。
【0010】
このように、第1演算部10が入力信号Vinを演算するときに掛かる時間は、ビット別ロジック遷移の個数に比例するが、従来は、前記第1演算部10の演算時間がビット別ロジック遷移の個数に拘わりなく’3T’に固定されており、次の表1に示したようであった。
【0011】
【表1】
【0012】
即ち、表1に示すように、入力信号のビット別ロジック遷移の個数が0、1、2個である場合、実際演算時間が’2T’であるにも拘わらず、第1ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1とにより与えられる時間は’3T’である。且つ、このように演算時間を’3T’に固定した理由は、若し、演算時間を’2T’に固定すると’3T’時間掛かる演算を行うことができないためであって、表1に示すように、演算時間’2T’及び’3T’の場合、最も長い時間の’3T’に固定すべきだからである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、従来の演算装置においては、演算時間が入力信号のビット別ロジック遷移の個数に拘わりなく最も長い演算時間に固定され、入力信号に対する実際演算時間が’3T’未満である場合、演算された信号は’3T’の時間が経過するまで待機状態が維持されるため、時間の浪費が発生して全体的システムの演算時間が永く掛かるという不都合な点があった。且つ、従来の演算装置は、演算時間が固定されているため、適用システムに従い、演算時間を可変的に減らし得ないという不都合な点があった。
【0014】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、入力信号のビット別ロジック遷移の個数を用いて演算時間を可変し得る演算装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明に係る演算装置は、ラッチ信号により入力信号をラッチして演算し、該演算された信号を出力イネーブル信号により出力する演算手段と、前記ラッチ信号を出力し、時間制御信号に従って所定時間経過後に前記出力イネーブル信号を出力することにより、自分の出力する前記ラッチ信号と前記出力イネーブル信号間の時間間隔を制御して前記演算手段の演算時間を制御する演算時間制御手段と、前記演算手段の入力信号のビット値が変化したときのロジック遷移をビット別に検出すると共に、該ビット別ロジック遷移の個数を検出してロジック遷移検出信号を出力するロジック遷移検出手段と、該ロジック遷移検出手段から出力されたロジック遷移検出信号及びロジック遷移の個数のグループ分け用の遷移ビット選択信号に基づいて時間制御信号を設定し、該時間制御信号を出力する時間制御信号出力手段と、を備え、入力信号のロジック遷移の個数に従って演算時間を可変し得るように構成されている。
【0016】
かかる構成によれば、入力信号はラッチ信号により演算手段にラッチされ、演算される。ロジック遷移が発生したとき、即ち、演算手段の入力信号のビット値が変化したとき、そのロジック遷移はロジック遷移検出手段によりビット別に検出され、その個数も検出され、ロジック遷移検出信号が出力される。ロジック遷移ビット検出信号及び遷移ビット選択信号に基づいて時間制御信号出力手段によりロジック遷移の個数のグループ分けが行われ、時間制御信号が設定されて出力される。この時間制御信号に基づいて、ラッチ信号を出力してから出力イネーブル信号を出力するまでの時間間隔が演算時間制御手段により設定され、所定時間経過後に出力イネーブル信号が出力され、この信号が出力されたときに演算手段により演算された入力信号が出力される。従って、前記時間間隔は入力信号のロジック遷移の個数に応じて可変し、それに応じて演算時間も可変する。
【0017】
請求項2の発明に係る演算装置では、前記演算手段は、複数の演算部を備えている。
かかる構成によれば、各演算部において、同じような制御の下に演算が行われる。
請求項3の発明にかかる演算装置では、前記ロジック遷移検出手段は、入力信号の以前値を記憶する第1記憶手段と、前記入力信号の現在値を記憶する第2記憶手段と、前記以前値と現在値とを比較する比較手段と、を備えている。
【0018】
かかる構成によれば、入力信号の以前値は第1記憶手段に記憶され、入力信号の現在値は、第2記憶手段に入力され、比較手段によって以前値と現在値とは比較される。これにより、ロジック遷移が検出される。
請求項4の発明に係る演算装置では、前記第2記憶手段は第1フリップフロップによって構成され、前記第2記憶手段は第2フリップフロップによって構成され、前記比較手段は排他的ORゲートによって構成されている。
【0019】
かかる構成によれば、第1フリップフロップによって入力信号の現在値が記憶され、第2フリップフロップにより入力信号の以前値が記憶され、排他的ORゲートによって入力信号の現在値と以前値とが比較される。
請求項5の発明に係る演算装置では、前記時間制御信号出力手段は、ゲート端子に印加されたクロック信号の制御により一方の端子に印加された電源電圧を他方の端子に伝達するPMOSトランジスタと、該PMOSトランジスタの他方の端子と接地間に配置され、複数の並列パスを形成し、ゲート端子に前記ロジック遷移検出信号が入力される複数のNMOSトランジスタと、 前記遷移ビット選択信号とPMOSトランジスタの他方の端子から出力された信号とを否定論理積するNANDゲートと、を備えて構成されている。
【0020】
かかる構成によれば、ゲート端子に印加されたクロック信号の制御によりPMOSトランジスタがターンオンしたときは、PMOSトランジスタの一方の端子に印加された電源電圧は他方の端子に伝達される。また、ロジック遷移が検出されたときは、NMOSトランジスタのゲート端子に入力されたロジック遷移検出信号により、そのトランジスタはターンオンし、PMOSトランジスタのドレイン端子の電位がロー状態となり、このロー状態の値と遷移ビット選択信号とがNANDゲートにより否定論理積されて時間制御信号が出力される。
【0021】
請求項6の発明に係る演算装置では、前記時間制御信号出力手段は、クロック信号と前記ロジック遷移検出信号との論理積演算を行うANDゲートと、該ANDゲートの出力と前記遷移ビット選択信号とを論理和するORゲートと、を備えて構成されている。
かかる構成によれば、ロジック遷移ビット検出信号と遷移ビット選択信号とに基づいて時間制御信号が設定される。
【0022】
請求項7の発明に係る演算装置制御方法は、ラッチ信号により入力信号をラッチして演算する段階と、ラッチした入力信号のビット値が変化したか否かをビット別に検出すると共に、ビット値が変化したときのビット別ロジック遷移の個数を検出してロジック遷移検出信号を出力する段階と、該ロジック遷移検出信号及びロジック遷移の個数のグループ分け用の遷移ビット選択信号に基づいて時間制御信号を設定し、該時間制御信号を出力する段階と、該時間制御信号に従ってラッチ信号と出力イネーブル信号間の時間間隔を可変的に制御する段階と、前記演算された入力信号を前記出力イネーブル信号により出力する段階と、を順次行うことにより、検出されたロジック遷移の個数に従って演算時間を可変する方法である。
【0023】
かかる構成によれば、ラッチ信号により入力信号がラッチされて演算される。ラッチした入力信号のビット値の変化が検出されたとき、ロジック遷移検出信号が出力される。このロジック遷移検出信号が出力されたとき、遷移ビット選択信号によりロジック遷移の個数に応じてグループ分けされ、時間制御信号が設定されて出力される。この時間制御信号に従ってラッチ信号と出力イネーブル信号間の時間間隔が可変的に制御され、この時間間隔に基づいて出力イネーブル信号が出力される。この出力イネーブル信号の出力により、演算された入力信号が出力される。
【0024】
請求項8の発明に係る演算装置制御方法では、入力信号のロジック遷移が発生したとき、該当ビットの前記ロジック遷移検出信号をハイ状態に設定し、ロジック遷移が発生しなかったときは、該当ビットのロジック遷移検出信号をロー状態に設定する。
かかる構成によれば、ロジック遷移検出信号がローかハイかによってロジック遷移が発生したか否かが判別される。
【0025】
請求項9の発明に係る演算装置制御方法では、前記時間制御信号は、前記ロジック遷移検出信号中、ロジック遷移が発生したことを示す’1’のビット個数が前記遷移ビット選択信号により既に設定された所定値以上であるときにはハイ状態の値を有し、前記ビット個数が既に設定された所定値未満であるときは、ロー状態の値を有する。
【0026】
かかる構成によれば、ロジック遷移検出信号中、ロジック遷移が発生したことを示す’1’のビット個数と遷移ビット選択信号の値とを比較することにより、ロジック遷移の個数のグループ分けが行われる。
請求項10の発明に係る演算装置制御方法では、前記ロジック遷移の個数のグループ数は、前記遷移ビット選択信号によって設定されたビット数に比例する。
【0027】
かかる構成によれば、遷移ビット選択信号を小さくしたときは、ロジック遷移の個数のグループ数が小さくなり、演算時間は粗く可変され、遷移ビット選択信号を大きくしたときは、ロジック遷移の個数のグループ数が多くなり、演算時間はきめ細かく可変する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5を用いて説明する。
本発明に係る演算装置においては、図1に示すように、入力信号Vinのビット別ロジック遷移を検出しロジック遷移検出信号Vpを出力するロジック遷移検出手段としてのロジック遷移検出部400と、該ロジック遷移検出部400からのロジック遷移検出信号Vpを受けて外部から印加する遷移ビット選択信号SBiの値により時間制御信号Vsを出力する時間制御信号出力手段としての信号発生部500と、該信号発生部500からの時間制御信号Vsの値及び外部制御信号CTLにより第1、第2ラッチ信号VL1、VL2、及び第1、第2出力イネーブル信号OEN1、OEN2を夫々出力する演算時間制御手段としての制御部300と、該制御部300から出力された第1ラッチ信号VL1により入力信号Vinをラッチして演算し、該演算された演算信号V01を前記第1出力イネーブル信号OEN1により出力する演算手段としての第1演算部100と、前記制御部300からの第2ラッチ信号VL2により前記第1演算部100からの演算信号V01をラッチして演算し出力する演算手段としての第2演算部200と、により構成され、前記制御部300、ロジック遷移検出部400、及び信号発生部500にはクロックCLKが印加されて基準信号として用いられ、前記制御部300の第1ラッチ信号VL1は、ロジック遷移検出部400に印加してロジック遷移検出に用いられるようになっている。
【0029】
且つ、前記ロジック遷移検出部400においては、図2(A)に示すように、入力信号以前の値を記憶する第1記憶手段としての第1フリップフロップ400と、現在の値を記憶する第2記憶手段としての第2フリップフロップ420と、前記以前値と現在値とを比較する比較手段としての排他的ORゲート430と、を備え、前記第1、第2フリップフロップ410、420には前記第1ラッチ信号VL1とインバータ440により反転されたクロックCLKとがANDゲート450で論理積させた後、夫々印加されるように構成されている。
【0030】
このとき、前記ロジック遷移検出部400の入力信号Vinが4ビット(Vin〜Vin3)である場合、図2(B)に示すように、図2(A)に示すような回路が4個接続されて構成される。
又、前記信号発生部500においては、図3に示すように、入力されるロジック遷移検出信号Vpが4ビット(Vp0〜Vp3)である場合、ソース端子に電源電圧Vccが印加し、ゲート端子にクロック信号CLKが印加するPMOSトランジスタPM11と、該PMOSトランジスタPM11のドレイン端子と接地間に順次接続された各NMOSトランジスタNM11〜NM14、NM21〜NM23,NM31〜NM33、NM41〜NM43、NM51〜NM53と、PMOSトランジスタPM11のドレイン端子から出力された信号と遷移ビット選択信号SBiとを否定論理積するNANDゲートNA1と、を備え、NMOSトランジスタNM11、NM21、NM31、NM41の各ゲート端子には、ロジック遷移検出信号Vpの第1ビット信号Vp0が印加され、NMOSトランジスタNM12、NM22、NM42、NM51の各ゲート端子には、ロジック遷移検出信号Vpの第2ビット信号Vp1が印加され、NMOSトランジスタNM13、NM23、NM32、NM52の各ゲート端子には、ロジック遷移検出信号Vpの第3ビット信号Vp2が印加され、NMOSトランジスタNM14、NM33、NM43、NM53の各ゲート端子には、ロジック遷移検出信号Vpの第4ビット信号Vp3が印加される。
【0031】
尚、図示しないが、この信号発生部500を、ロジック遷移検出部400の出力信号Vpを論理積する複数のANDゲートと、これらの複数のANDゲートからの出力と遷移ビット信号SB1とを論理和する複数のORゲートと、により構成することもできる。
このように構成された本発明の演算装置の動作について説明する。
【0032】
尚、第1演算部100、第2演算部200、及び制御部300の動作は、従来と同様であるので、ここでは、詳しい説明を省略する。
先ず、第1演算部100に印加された入力信号Vinと外部から入力されたクロックCLKとが、夫々、ロジック遷移検出部400に入力される。すると、該ロジック遷移検出部400は、入力信号Vinのビット別ロジック遷移を検出し、そのロジック遷移検出信号Vpを信号発生部500に出力する。
【0033】
即ち、ロジック遷移検出部400は、入力信号Vinの各ビットを以前の入力信号と比べてロジック遷移の発生可否を検出し、その検出結果に従ってロジック遷移検出信号Vpを出力する。この時、ロジック遷移検出信号Vpは、入力信号Vinと同じビット数で出力される。入力信号Vin中の何れか一つのビットにおいてロジック遷移が発生したときは、該当のロジック遷移検出信号Vpのビットはハイ状態となり、ロジック遷移が発生しないときは、該当のロジック検出信号Vpのビットはロー状態となる。例えば、入力信号Vinが4ビットのVin0〜Vin3であると、ロジック遷移検出信号Vpも4ビット(Vp0〜Vp3)となる。
【0034】
さらに詳しく説明すると、図2(A)に示すように、第2フリップフロップ420の一方の入力端子Dに前記入力信号Vin0が印加され、他方の入力端子CにANDゲート450からの出力信号が印加されて、この他方の入力端子Cに印加されたANDゲート450からの出力信号がハイ状態となったとき、一方の入力端子Dに印加された入力信号Vin0が出力端子Qを通って出力される。
【0035】
次いで、第2フリップフロップ420からの出力信号は、第2フロップフロップ410の一方の入力端子D及びNORゲート430の一方の入力端子に夫々印加され、第1フリップフロップ410の他方の入力端子Cには、ANDゲート450からの出力信号が印加される。この他方の入力端子Cに印加されたANDゲート450からの出力信号がハイ状態となったとき、第1フロップフロップ410の一方の入力端子Dに印加された信号は出力端子Qを通って出力される。
【0036】
その後、第1フリップフロップ410からの出力信号は、排他的ORゲート430の他方の端子に印加され、排他的ORゲート430は、第1、第2フリップフロップ410、420からの各出力信号について、排他的論理和演算を行ってロジック遷移検出信号Vpを出力する。
例えば、Aビットの入力信号が第2フリップフロップ420を通って出力されたとき、このAビットは、第1フリップフロップ410と排他的ORゲート430との一方の入力端子に夫々印加され、Bビットの入力信号が第2フリップフロップ420を通って出力される。Aビットは第1フリップフロップ410を通って出力され、排他的ORゲート430に印加される。同時に、第2フリップフロップ420を通って出力されたBビットの信号は排他的ORゲート430に印加され、この排他的ORゲート430は、以前信号のAビットと現在信号のBビットとを排他的論理和する。
【0037】
このとき、入力信号からロジック遷移が発生した場合、即ち、Aビットが’0’でBビットが’1’であるか、Aビットが’1’でBビットが’0’であるとき、排他的ORゲート430は、ハイ状態のロジック遷移検出信号Vpを出力し、入力信号にロジック遷移が発生したことを示す。しかし、入力信号からロジック遷移が発生しない場合、即ち、AビットとBビットの全てが’0’であるか又は’1’であるとき、排他的ORゲート430は、ロー状態のロジック遷移検出信号Vpを出力し、入力信号にロジック遷移が発生していないことを示す。
【0038】
次いで、信号発生部500は、ロジック遷移検出部400から出力された信号Vpを受け、外部から印加された遷移ビット選択信号SBiの値に従って時間制御信号Vsを出力する。即ち、ロジック遷移検出部400からのロジック遷移の個数が遷移ビット選択信号SBiにより既に設定された所定個数以上である場合は、ハイ状態の時間制御信号Vsを出力し、所定個数以下である場合は、ロー状態の時間制御信号Vsを出力する。例えば、図3に示すように、入力信号Vpが4ビット(Vp0〜Vp3)であり、ロジック遷移の個数が3個又は4個であるとき、信号発生部500において発生した時間制御信号Vsはハイレベルとなり、ロジック遷移の個数が0、1、2個であるとき、時間制御信号Vsはローレベルとなる。
【0039】
このとき、ロジック遷移の個数のグループは、遷移ビット選択信号SBiのビット数に比例する。例えば、遷移ビット選択信号SBiが1ビットである場合、ロジック遷移の個数グループは二つに分けられ、選択信号SBiが2ビットである場合はロジック遷移の個数グループは四つに分けられる。
図4は、ロジック遷移個数グループが0、1、2個と、3、4個と、に分割し、ロジック遷移個数が、3個又は4個のときのロジック遷移検出部400の出力信号(Vp0〜Vp3)を示すものである。このような場合、信号発生部500は、図3のように構成され、ロジック遷移検出部400の出力信号Vpに従って相応する時間制御信号Vsを発生する。
【0040】
即ち、出力信号Vp0〜Vp3の値が、図4に示すような値であると、PMOSトランジスタPM11のドレイン端子と接地間に接続された5個のパス(path)中、少なくとも何れか一つがターンオンする。このとき、PMOSトランジスタPM11のドレイン端子の電位はロー状態となり、このロー状態の値とハイ状態の遷移ビット選択信号SBiとがNANDゲートNA1により否定論理積されてハイ状態の時間制御信号Vsが出力される。
【0041】
しかし、ロジック遷移検出信号Vp0〜Vp3の値が、図4に示すような値でない場合、即ち、ハイ状態の値が3個未満である場合は、前記5個のパスの全ては遮断され、クロックCLKによりPMOSトランジスタPM11がターンオンしたとき、印加された電源電圧VccがPMOSトランジスタPM11のドレイン端子に伝達され、この電圧とハイ状態の遷移ビット選択信号SBiとがNANDゲートNA1で否定論理積されてロー状態の時間制御信号Vsが出力される。
【0042】
一方、制御部300は、従来の制御部30と殆ど同様に動作し、制御信号CRLによりイネーブルされ、クロックCLKを計数して第1、第2ラッチ信号VL1、VL2と第1、第2出力イネーブル信号OEN1、OEN2とを、夫々、発生する。
但し、第1ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1との時間間隔は信号発生部500からの時間制御信号Vsにより決定される。例えば、制御部300は、信号発生部500の出力信号Vsがロー状態であるときは、ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OENとの時間間隔を’2T’に設定し、信号発生部500の出力信号Vsがハイ状態であるときは、ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1との時間間隔を’3T’に設定する。それを以下の表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
且つ、このように設定された第1ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1とは、第1演算部100に出力され、第2ラッチ信号VL2と第2出力イネーブル信号OEN2とは、第2演算部200に出力される。又、第1ラッチ信号VL1はロジック遷移検出部400のANDゲート450に出力され、各フリップフロップ410、420の動作時点を決定する制御信号として用いられる。
【0045】
従って、第1演算部100は、制御部300の第1ラッチ信号VL1によりラッチされた入力信号Vinを演算し、演算された信号V01を第1出力イネーブル信号OEN1により出力し、第2演算部200は、前記制御部300の第2ラッチ信号VL2によりラッチされた第1演算部100の出力V01を演算し、制御部300の第2イネーブル信号OEN2により演算信号V02を出力する。
【0046】
即ち、前記制御部300で可変的時差を有して発生した信号VL1、OENにより、第1演算部100は不必要な時間を浪費せずに出力信号V01を第2演算部200に伝達し、第2演算部200も第1演算部100と同様に動作するようになる。
この場合、図5(D)に示すような入力信号Vinが印加され、入力信号Vinが’0000’から’1100’に遷移したとき、ロジック遷移検出部400は、図5(G)に示すように、’1100’のロジック遷移検出信号Vpを出力し、ロジック遷移の個数が2個であることを示す。
【0047】
次いで、このロジック遷移検出信号Vpを受けた信号発生部500は、ロジック遷移の個数が’3’よりも小さいため、図5(H)に示すようにロー状態の時間制御信号Vsを出力し、制御部300は、図5(B)、(C)に示すように、第1ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1間の間隔を2Tに設定する。
【0048】
且つ、入力信号Vinが’1100’から’0011’に遷移したとき、ロジック遷移検出部400は、図5(G)に示すように、’1111’のロジック遷移検出信号Vpを出力し、ロジック遷移の個数が4個であることを示す。
その後、信号発生部500は、ロジック遷移個数が’3’よりも大きいため、図5(H)に示すように、ハイ状態の時間制御信号Vsを制御部300に出力し、制御部300は、図5(B)、(C)に示すように、第1ラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1との時間間隔を’3T’に設定し、第1演算部100は、図5(D)に示すような入力信号Vinに対し、図5(E)に示すような信号V01を第2演算部200に出力する。このとき、図5(A)は、クロック信号を示し、図5(F)は第2ラッチ信号VL2を示し、この第2ラッチ信号VL2は、第1出力イネーブル信号OEN1と同時にイネーブルされる信号である。
【0049】
かかる構成によれば、入力信号Vinのロジック遷移の個数を検出し、遷移ビット選択信号SBiによってロジック遷移の個数のグループ分けを行い、ロジック遷移の個数に応じてラッチ信号VL1と第1出力イネーブル信号OEN1との間の時間間隔、ラッチ信号VL2と第2出力イネーブル信号OEN2との間の時間間隔を可変するようにしたので、演算時間をロジック遷移の個数のに応じて可変することができる。従って、平均演算時間を短縮することができ、システムの演算性能を向上させることができる。
【0050】
尚、本発明は、かかる実施の形態に限定されず、特許請求の範囲をはずれない限り、多様に変形して使用することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る装置によれば、演算時間が実際演算時間の最も大きい値に固定されずに、入力ビット遷移の個数に従い演算時間を可変し得るようになっているため、平均演算時間が短縮されシステムの演算性能が向上するという効果がある。
【0052】
請求項2の発明に係る装置によれば、演算手段が複数の演算部を備えているときでも、同じように演算時間の制御を行うことができる。
請求項3の発明に係る装置によれば、入力信号の現在値と以前値とを記憶し、両値を比較することにより、ロジック遷移を検出することができる。
請求項4の発明に係る装置によれば、入力信号の現在値、以前値を、夫々、第1フリップフロップ、第2フリップフロップに記憶して、排他的ORゲートによって入力信号の現在値と以前値とを比較することにより、ロジック遷移を検出することができる。
【0053】
請求項5の発明に係る装置によれば、時間制御信号出力手段を、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタ、NANDゲートによって構成することにより、ロジック遷移の個数に基づいて時間制御信号を出力することができる。
請求項6の発明に係る装置によれば、ロジック遷移ビット検出信号と遷移ビット選択信号とに基づいて時間制御信号を設定することができる。
【0054】
請求項7の発明に係る方法によれば、演算時間がロジック遷移の個数に応じて可変するに、入力ビット遷移の個数に従って演算時間を可変し得るようになっているため、演算時間が短縮され、システムの演算性能を向上するという効果がある。
請求項8の発明に係る方法によれば、ロジック遷移検出信号がローかハイかによってロジック遷移が発生したか否かを判別することができる。
【0055】
請求項9の発明に係る方法によれば、ロジック遷移検出信号中、ロジック遷移が発生したことを示す’1’のビット個数と遷移ビット選択信号の値とを比較することにより、ロジック遷移の個数のグループ分けを行うことができる。
請求項10の発明に係る方法によれば、ロジック遷移の個数のグループ数が遷移ビット選択信号によって設定されたビット数に比例するので、遷移ビット選択信号に応じてグループ分けを設定し、きめ細かく演算時間を可変させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る演算装置の実施の形態を示すブロック図。
【図2】図1のロジック遷移検出部を示すブロック図。
【図3】図1の信号発生部を示す回路図。
【図4】入力信号のビット別ロジック遷移の一例を示した図。
【図5】図1の演算装置の動作を示すタイミング図。
【図6】従来の演算装置を示すブロック図。
【図7】図6の従来の演算装置の動作を示すタイミング図。
【符号の説明】
10、20、100、200 演算部
30、300 制御部
400 ロジック遷移検出部
500 信号発生部
410、420 Dフリップフロップ
430 ANDゲート
NA1 NANDゲート
PM11 PMOSトランジスタ
NM11〜NM14、NM21〜NM23、NM31〜NM33、NM41〜NM43、NM51〜NM53
NMOSトランジスタ
Claims (10)
- ラッチ信号により入力信号をラッチして演算し、該演算された信号を出力イネーブル信号により出力する演算手段と、
前記ラッチ信号を出力し、時間制御信号に従って所定時間経過後に前記出力イネーブル信号を出力することにより、自分の出力する前記ラッチ信号と前記出力イネーブル信号間の時間間隔を制御して前記演算手段の演算時間を制御する演算時間制御手段と、
前記演算手段の入力信号のビット値が変化したときのロジック遷移をビット別に検出すると共に、該ビット別ロジック遷移の個数を検出してロジック遷移検出信号を出力するロジック遷移検出手段と、
該ロジック遷移検出手段から出力されたロジック遷移検出信号及びロジック遷移の個数のグループ分け用の遷移ビット選択信号に基づいて時間制御信号を設定し、該時間制御信号を出力する時間制御信号出力手段と、
を備え、
入力信号のロジック遷移の個数に従って演算時間を可変し得るように構成されたことを特徴とする演算装置。 - 前記演算手段は、複数の演算部を備えたことを特徴とする請求項1記載の演算装置。
- 前記ロジック遷移検出手段は、入力信号の以前値を記憶する第1記憶手段と、前記入力信号の現在値を記憶する第2記憶手段と、前記以前値と現在値とを比較する比較手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の演算装置。
- 前記第2記憶手段は第1フリップフロップによって構成され、前記第2記憶手段は第2フリップフロップによって構成され、前記比較手段は排他的ORゲートによって構成されたことを特徴とする請求項3記載の演算装置。
- 前記時間制御信号出力手段は、ゲート端子に印加されたクロック信号の制御により一方の端子に印加された電源電圧を他方の端子に伝達するPMOSトランジスタと、
該PMOSトランジスタの他方の端子と接地間に配置され、複数の並列パスを形成し、ゲート端子に前記ロジック遷移検出信号が入力される複数のNMOSトランジスタと、
前記遷移ビット選択信号とPMOSトランジスタの他方の端子から出力された信号とを否定論理積するNANDゲートと、
を備えて構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の演算装置。 - 前記時間制御信号出力手段は、
クロック信号と前記ロジック遷移検出信号との論理積演算を行うANDゲートと、該ANDゲートの出力と前記遷移ビット選択信号とを論理和するORゲートと、を備えて構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の演算装置。 - ラッチ信号により入力信号をラッチして演算する段階と、
ラッチした入力信号のビット値が変化したか否かをビット別に検出すると共に、ビット値が変化したときのビット別ロジック遷移の個数を検出してロジック遷移検出信号を出力する段階と、
該ロジック遷移検出信号及びロジック遷移の個数のグループ分け用の遷移ビット選択信号に基づいて時間制御信号を設定し、該時間制御信号を出力する段階と、
該時間制御信号に従ってラッチ信号と出力イネーブル信号間の時間間隔を可変的に制御する段階と、
前記演算された入力信号を前記出力イネーブル信号により出力する段階と、
を順次行うことにより、検出されたロジック遷移の個数に従って演算時間を可変することを特徴とする演算装置制御方法。 - 入力信号のロジック遷移が発生したとき、該当ビットの前記ロジック遷移検出信号をハイ状態に設定し、ロジック遷移が発生しなかったときは、該当ビットのロジック遷移検出信号をロー状態に設定することを特徴とする請求項7記載の演算装置制御方法。
- 前記時間制御信号は、前記ロジック遷移検出信号中、ロジック遷移が発生したことを示す’1’のビット個数が前記遷移ビット選択信号により既に設定された所定値以上であるときにはハイ状態の値を有し、前記ビット個数が既に設定された所定値未満であるときは、ロー状態の値を有することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の演算装置制御方法。
- 前記ロジック遷移の個数のグループ数は、前記遷移ビット選択信号によって設定されたビット数に比例することを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1つに記載の演算装置制御方法。
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