[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3511468B2 - 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法 - Google Patents

被測定ガス中のNOx濃度の測定方法

Info

Publication number
JP3511468B2
JP3511468B2 JP20685198A JP20685198A JP3511468B2 JP 3511468 B2 JP3511468 B2 JP 3511468B2 JP 20685198 A JP20685198 A JP 20685198A JP 20685198 A JP20685198 A JP 20685198A JP 3511468 B2 JP3511468 B2 JP 3511468B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
internal space
oxygen
gas
measured
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP20685198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1194794A (ja
Inventor
伸秀 加藤
邦彦 中垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP20685198A priority Critical patent/JP3511468B2/ja
Publication of JPH1194794A publication Critical patent/JPH1194794A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3511468B2 publication Critical patent/JP3511468B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、被測定ガス成分中の所定ガス成
分の測定方法及び測定装置に係り、特に測定すべきガス
成分が結合酸素を有するものの測定方法並びに各種ガス
センサに係り、中でも、被測定ガスを燃焼ガスとし、か
かるガス中のNOxを被測定ガス成分として測定するセ
ンサと、そのようなNOxを有利に測定し得る方法に関
するものである。
【0002】
【背景技術】従来より、被測定ガス中の所望のガス成分
の濃度を知るために、各種の測定方法・装置が提案され
てきており、例えば、燃焼ガス等の被測定ガス中のNO
xを測定する方法としては、RhのNOx還元性を利用
し、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質上に
Pt電極及びRh電極を付与せしめてなるセンサを用い
て、それら両電極間の起電力を測定するようにした手法
が、知られている。しかしながら、そのようなセンサ
は、被測定ガスたる燃焼ガス中に含まれる酸素濃度の変
化によって、起電力が大きく変化するばかりでなく、N
Oxの濃度変化に対して起電力変化が小さく、そのため
にノイズの影響を受けやすい問題があり、またNOxの
還元性を引き出すためには、CO等の還元ガスが必須と
なるところから、一般に大量のNOxが発生する燃料過
少の燃焼条件下では、COの発生量がNOxの発生量を
下回るようになるため、そのような燃焼条件下に形成さ
れる燃焼ガスでは、測定が出来ないという欠点があっ
た。
【0003】また、Pt電極と酸素イオン伝導性の固体
電解質より成る一組の電気化学的ポンプセルとセンサセ
ル、及びRh電極と酸素イオン伝導性の固体電解質より
成るもう一組の電気化学的ポンプセルとセンサセルを組
み合わせ、それぞれのポンプ電流値の差によりNOxを
測定する方式が、特開昭63−38154号公報や特開
昭64−39545号公報等に明らかにされている。更
に、特開平1−277751号公報や特開平2−154
3号公報等には、一対の電気化学的ポンプセルとセンサ
セルを二組用意し、一方の一組のポンプセルとセンサセ
ルから成るセンサにて、NOxが還元されない酸素分圧
下で限界電流を測定すると共に、他方の一組のポンプセ
ルとセンサセルから成るセンサにて、NOxが還元され
る酸素分圧下でポンプ電流を測定し、それぞれの限界電
流の差を測定したり、一組のポンプセルとセンサセルか
ら成るセンサを用い、被測定ガス中の酸素分圧をNOx
が還元される酸素分圧と還元され得ない酸素分圧とに切
り換えて、限界電流の差を測定したりする方法が提案さ
れている。
【0004】図25は、これら従来方法の原理図であ
り、2個の独立した第一及び第二のセンサ素子61、6
2は、それぞれ拡散抵抗部63、64を介して外部の被
測定ガス存在空間につながる内部空所65、66と、固
体電解質を用いた電気化学的ポンプセル67、68より
成っている。第一のセンサ素子61は、酸素のみを拡散
律速条件下でポンピングし、その際のポンプ電流Ip1
に感度係数K1 を掛けて、酸素濃度が求められる。第二
のセンサ素子62は、NOx還元能力のある電極又は触
媒の存在下で酸素とNOxの両方を拡散律速条件下でポ
ンピングし、その際のポンプ電流Ip2 に感度係数K2
を掛けて、酸素濃度とNOxとの合量が求められる。従
って、NOx濃度:Cnは、次式により求められること
となる。 Cn=K2 ・Ip2 −K1 ・Ip1
【0005】しかしながら、それらNOx測定方式にお
いて、限界電流の値は大量に含まれる酸素による電流が
大部分を占め、目的とするNOxに基づく電流は極めて
小さいのが通常であるので、二つの大きな電流値の差に
より、NOxに相当する小さな電流値を求めることにな
り、一組のセンサで切り換えて、測定するものにあって
は、連続測定が出来なかったり、応答性が劣ったり、精
度が劣る等という問題があり、また二組のセンサを用い
る方式の場合にあっては、被測定ガス中の酸素濃度が大
きく変化すると、測定値に誤差が生じ易く、自動車用等
のように、被測定ガスの酸素濃度が大きく変化する場合
には、使用出来ないものであった。これは、一方のセン
サのポンプ電流の酸素濃度依存性と他方のセンサのポン
プ電流の酸素濃度依存性とが、それぞれ異なることによ
るものである。例えば、自動車の場合、空燃比が20の
運転条件下では、排気ガスの酸素濃度が大略数%である
のに対して、NOx濃度は数百ppmであり、NOxは
酸素に対して1/100程度の濃度となるために、酸素
濃度に対するポンプ電流の依存性が僅かに異なるだけ
で、酸素濃度変化に対する限界電流値の差の方が、測定
するNOxによる限界電流変化分より大きくなってしま
うからである。また、ポンプセルの拡散律速手段が、排
気ガス中のオイル燃焼物により目詰まりを起こすと、ポ
ンプ電流に変化が惹起されて精度が失われたり、排気ガ
ス温度が大きく変化すると、測定値に異常が生じたりす
るものであった。更に、二組のセンサの特性の経時変化
に差が生じると、それがそのまま誤差となり、長時間の
使用に耐えない欠点もあった。
【0006】このように、被測定ガス中に存在する酸素
は、NOxの測定に際して各種の問題を惹起しているの
であるが、また、かかるNOx以外の他の被測定ガス成
分の測定に際しても、測定精度を低下せしめる等の同様
な問題を惹起しており、その問題の解決が強く望まれて
いるのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる従来のN
Ox等のガス成分の測定方式における欠点を悉く解消す
べく為されたものであって、その解決すべき課題とする
ところは、被測定ガス中の目的とするガス成分濃度を、
酸素濃度或いはその変化に影響を受けることなく、連続
的に応答性良く、且つ長時間正確に測定可能とした、被
測定ガス中の所望ガス成分、特に結合酸素含有ガス成分
の測定方法並びに測定装置を提供することにある。ま
た、本発明の更なる課題とするところは、被測定ガスと
して、空燃比が燃料過多領域から空気過剰の領域までの
燃焼ガスを対象とし得る、広い範囲で測定可能なNOx
センサ、及びそのような測定領域の広いNOx測定方法
を提供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、本発明にあっては、上述の如き課
題を解決するために、外部の被測定ガス存在空間より、
第一の内部空所に、測定されるべき被測定ガス成分を含
む被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に導き、該第一の内
部空所内において、かかる被測定ガス中の酸素量を制御
せしめて、該被測定ガスを、目的とする被測定ガス成分
量の測定に実質的に影響がなく且つ該被測定ガス成分に
変化を及ぼさない所定の雰囲気と為す一方、かかる制御
された第一の内部空所内の雰囲気を、前記第一の内部空
所より所定の拡散抵抗の下に第二の内部空所に導き、該
第二の内部空所において、該第二の内部空所内の雰囲気
中に存在する被測定ガス成分量を測定することを特徴と
する被測定ガス中の所定ガス成分の測定方法を、その要
旨とするものである。
【0009】なお、このような本発明に従う測定方法の
好ましい態様によれば、前記第一内部空所に導かれる被
測定ガス中の酸素量が制御せしめられて、該第一の内部
空所内において、実質的に無視し得る酸素濃度の雰囲気
とされる。
【0010】また、この本発明に従う測定方法の他の好
ましい態様によれば、前記第一の内部空所における被測
定ガス中の酸素量の制御が、電気化学的セルによる酸素
のポンピング作用によって実現されることとなる。
【0011】そして、かかる本発明の測定方法の有利な
態様の一つによれば、外部の被測定ガス存在空間より、
第一の内部空所内に測定されるべき結合酸素を有する被
測定ガス成分を含む被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に
導き、該第一の内部空所内において、かかる被測定ガス
中の酸素量を制御せしめ、該被測定ガスを、結合酸素を
有する被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がなく且
つ実質的に該被測定ガス成分が還元乃至は分解され得な
い所定の雰囲気に制御する一方、かかる制御された第一
の内部空所内の雰囲気を、前記第一の内部空所より所定
の拡散抵抗の下に第二の内部空所内に導き、該第二の内
部空所内において、該第二の内部空所の雰囲気中に存在
する被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に
発生する酸素を電気化学的セルによる酸素のポンピング
作用にて汲み出すことにより、該電気化学的セルに流れ
るポンプ電流を検出して、その検出値より被測定ガス中
の被測定ガス成分量を求めることを特徴とするものであ
る。
【0012】なお、かくの如き本発明に従う測定方法に
おける好ましい他の態様の一つによれば、前記第一の内
部空所に導かれる被測定ガス中の酸素量が制御せしめら
れて、該第一の内部空所内において実質的に無視し得る
酸素濃度の雰囲気とされることとなる。
【0013】また、そのような本発明に従う測定方法の
他の好ましい態様の一つによれば、前記第一の内部空間
における被測定ガス中の酸素量の制御が、前記電気化学
的セルとは異なる別の電気化学的セルによる酸素のポン
ピング作用によって実現されることとなる。
【0014】ところで、かかる本発明に従う測定方法に
おいては、外部の被測定ガス存在空間より、第一の内部
空所に、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成
分を含む被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に導き、該第
一の内部空所に対する第一の電気化学的セルによる酸素
のポンピング作用により、該第一の内部空所内の雰囲気
中の酸素分圧を、該第一の内部空所の加熱環境下におい
て該被測定ガス成分が実質的に還元乃至は分解され得な
い所定の低い値に制御する一方、かかる制御された第一
の内部空所内の雰囲気を、第二の内部空所に所定の拡散
抵抗の下に導き、更に該第二の内部空所に対する第二の
電気化学的セルによる酸素のポンピング作用によって酸
素を汲み出し、該第二の内部空所内の雰囲気中の酸素分
圧を、該第二の内部空所の加熱環境下において被測定ガ
ス成分が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、
該第二の内部空所内の雰囲気中に存在する被測定ガス成
分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素をも
同時に汲み出すようにすることにより、該第二の電気化
学的セルによる酸素のポンピングにて流れるポンプ電流
を検出し、その検出値より被測定ガス中の被測定ガス成
分量を求めることを特徴とする測定方法をも、その要旨
とするものである。
【0015】さらに、本発明に従う測定方法は、外部の
被測定ガス存在空間より、第一の内部空所に、測定され
るべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガ
スを所定の拡散抵抗の下に導き、該第一の内部空所に対
する第一の電気化学的セルによる酸素のポンピング作用
により、該第一の内部空所内の雰囲気中の酸素分圧を、
該第一の内部空所の加熱環境下において被測定ガス成分
が実質的に還元乃至は分解され得ない所定の低い値に制
御する一方、かかる制御された第一の内部空所内の雰囲
気を、該第一の内部空所に連通して設けられ、所定の拡
散抵抗を有する多孔質体が充填されてなる第二の内部空
所に導き、更に該第二の内部空所に対する第二の電気化
学的セルによる酸素のポンピング作用によって酸素を汲
み出し、該第二の内部空所内の雰囲気中の酸素分圧を、
該第二の内部空所の加熱環境下において被測定ガス成分
が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、該第二
の内部空所内の雰囲気中に存在する被測定ガス成分を還
元せしめ、その際に発生する酸素をも同時に汲み出すよ
うにすることにより、該第二の電気化学的セルによる酸
素のポンピングにて流れるポンプ電流を検出し、その検
出値より被測定ガス中の被測定ガス成分量を求めること
を特徴とする測定方法をも、その要旨とするものであ
る。
【0016】なお、かかる本発明に従う測定方法におけ
る好ましい態様によれば、前記第一の内部空所内の雰囲
気中の酸素分圧を検出し、その検出値に基づいて電源電
圧を変化せしめて、前記第一の電気化学的セルによる酸
素のポンピング作用を制御することにより、該第一の内
部空所内の雰囲気中の酸素分圧が所定の一定値に制御せ
しめられることとなる。
【0017】また、本発明に従う測定方法の好ましい態
様の他の一つによれば、前記第二の電気化学的セルによ
る酸素のポンピングが、被測定ガス成分の拡散限界電流
を与える大きさの電圧を印加せしめ得る定電圧電源から
の給電によって行なわれ、かかる限界電流値において、
前記第二の内部空所内の雰囲気中の酸素分圧が制御され
る。
【0018】さらに、本発明に従う有利な態様の一つに
よれば、前記第二の内部空所の加熱温度は、前記第一の
内部空所の加熱温度と同等若しくはそれ以上とされるこ
ととなる。
【0019】更にまた、本発明に従う有利な態様の他の
一つによれば、前記第二の内部空所内の雰囲気中の酸素
分圧は、前記第一の内部空所内の雰囲気中の酸素分圧と
同等若しくはそれ以下とされることとなる。
【0020】そして、このような本発明に従う測定方法
において、測定対象たる、結合酸素を有する被測定ガス
成分は、有利には、NOx、CO2 及びH2 Oのうちの
何れかとされる。
【0021】本発明は、また、次のような被測定ガス中
の所定ガス成分の測定装置をも、その要旨とするもので
あって、上述の測定方法は、そのような測定装置におい
て有利に実施され得るものである。
【0022】すなわち、そのような本発明に従うところ
の被測定ガス中の所定ガス成分の測定装置は、被測定ガ
ス中の結合酸素を有する被測定ガス成分を還元乃至は分
解せしめ、その際に発生する酸素量を測定することによ
り、被測定ガス中の該被測定ガス成分量を求めるように
した測定装置にして、外部の被測定ガス存在空間に連通
された第一の内部空所と;該被測定ガス存在空間より、
前記被測定ガス成分を含む被測定ガスを、所定の拡散抵
抗の下に該第一の内部空所に導く第一の拡散律速手段
と;第一の酸素イオン伝導性固体電解質とこれに接して
設けられた一対の電極からなる電気化学的セルを用い
て、それら一対の電極間への通電により、前記第一の内
部空所に対する酸素のポンピングを行ない、該第一の内
部空所の雰囲気中の酸素分圧を、前記被測定ガス成分が
実質的に還元乃至は分解され得ない所定の低い値に制御
せしめる第一の酸素ポンプ手段と;前記第一の内部空所
に連通されてなる第二の内部空所と;前記第一の内部空
所内の制御された雰囲気を、所定の拡散抵抗の下に、該
第二の内部空所内に導く第二の拡散律速手段と;第二の
酸素イオン伝導性固体電解質とこれに接して設けられた
一対の電極からなる電気化学的セルを用いて、それら一
対の電極間への通電により、前記第二の内部空所内の雰
囲気中の酸素を汲み出し、かかる雰囲気中の酸素分圧
を、前記被測定ガス成分が還元乃至は分解され得る所定
の値に制御して、該第二の内部空所内の雰囲気中に存在
する被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に
発生する酸素をも同時に汲み出すようにした第二の酸素
ポンプ手段と;該第二の酸素ポンプ手段のポンプ作動に
よって流れるポンプ電流を検出する電流検出手段とを、
有することを特徴とする被測定ガス中の所定ガス成分の
測定装置を、その要旨とするものである。
【0023】なお、このような本発明に従う測定装置の
好ましい態様によれば、前記第二の内部空所内には、前
記被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめて、酸素を発
生させる触媒が配置される。
【0024】また、この本発明に従う測定装置の他の好
ましい態様によれば、前記触媒は、前記第二の酸素ポン
プ手段における電気化学的セルを構成する一対の電極の
うち、前記第二の内部空所内に配される電極を兼ねてい
る。
【0025】更にまた、本発明に従う測定装置の好まし
い他の態様の一つによれば、前記第一及び第二の酸素イ
オン伝導性固体電解質を含んで一体構造とされたセンサ
素子を有し、該センサ素子に、前記第一及び第二の内部
空所と、前記第一及び第二の拡散律速手段と、前記第一
及び前記第二の酸素ポンプ手段とが一体的に設けられて
いる構造が、採用されることとなる。
【0026】そして、かかる本発明の測定装置の有利な
態様の一つによれば、前記センサ素子は、外部の被測定
ガス存在空間に開口する、予め定められた拡散抵抗を有
する細隙な平坦空間を有し、該平坦空間にて、前記第一
及び第二の拡散律速手段が構成されていると共に、該平
坦空間の前記被測定ガス存在空間開口側部位が前記第一
の内部空所とされて、そこに前記第一の酸素ポンプ手段
が設けられ、更に該平坦空間の該第一の内部空所よりも
奥側の部位が、前記第二の内部空所とされて、そこに前
記第二の酸素ポンプ手段が設けられるように構成され
る。
【0027】そしてまた、本発明に従う測定装置の他の
一つの態様によれば、前記第一及び第二の酸素イオン伝
導性固体電解質は、同一の酸素イオン伝導性固体電解質
層にて構成されたり、或いは異なる酸素イオン伝導性固
体電解質層にて、それぞれ、構成されることとなる。
【0028】さらに、本発明に従う測定装置にあって
は、前記センサ素子における平坦空間の開口部内に、所
定の拡散抵抗を有する多孔質体が充填されたり、或い
は、前記第一の内部空所内及び/又は前記第二の内部空
所内に、所定の拡散抵抗を有する多孔質体が充填される
構成が、適宜に採用されることとなる。
【0029】加えて、本発明の上記した測定装置の好ま
しい態様によれば、前記第一の内部空所及び前記第二の
内部空所をぞれぞれ所定の温度に加熱せしめ得る加熱手
段を、更に設けてなる構成が、有利に採用され、これに
よって、被測定ガスの温度が低い場合においても、測定
装置を効果的に作動せしめ得、また被測定ガス中におけ
る所定ガス成分の分解も有利に行ない得るのである。
【0030】また、本発明にあっては、前記した課題解
決のために、酸素イオン伝導性固体電解質を含んで一体
構造とされたセンサ素子を用い、該センサ素子に設けた
触媒にて被測定ガス中の結合酸素を有する被測定ガス成
分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素量を
測定することにより、被測定ガス中の被測定ガス成分量
を求めるようにした測定装置であって、(a)該センサ
素子の一体構造内に設けられた、外部の被測定ガス存在
空間に連通する第一の内部空所と、(b)該被測定ガス
存在空間より、所定の拡散抵抗の下に、前記被測定ガス
成分を含む被測定ガスを該第一の内部空所に導く第一の
拡散律速手段と、(c)前記センサ素子の一体構造内
に、前記第一の内部空所に連通し且つ該第一の内部空所
とは別個に設けられ、内部に前記触媒が配されてなる第
二の内部空所と、(d)前記第一の内部空所内の雰囲気
を所定の拡散抵抗の下に該第二の内部空所に導く第二の
拡散律速手段と、(e)前記第一の内部空所及び前記第
二の内部空所をそれぞれ所定の温度に加熱せしめ得る加
熱手段と、(f)前記センサ素子の酸素イオン伝導性固
体電解質とこれに接して設けられた一対の電極からなる
電気化学的セルを用いて、それら一対の電極間への通電
により、前記第一の内部空所に対して酸素の汲み出し或
いは汲み入れを行ない、該第一の内部空所内の雰囲気中
の酸素分圧を、該第一の内部空所の加熱環境下におい
て、前記被測定ガスが実質的に還元乃至は分解され得な
い所定の低い値に制御せしめる第一の酸素ポンプ手段
と、(g)前記センサ素子の酸素イオン伝導性固体電解
質とこれに接して設けられた一対の電極からなる電気化
学的セルを用いて、それら一対の電極間への通電によ
り、前記第二の内部空所内の雰囲気中の酸素を汲み出
し、かかる雰囲気中の酸素分圧を、該第二の内部空所の
加熱環境下において、前記触媒にて前記被測定ガス成分
が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、該第二
の内部空所内の雰囲気中に存在する被測定ガス成分を還
元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素をも同時に
汲み出すようにした第二の酸素ポンプ手段と、(h)該
第二の酸素ポンプ手段のポンプ作動によって流れるポン
プ電流を検出する電流検出手段とを、有することを特徴
とする測定装置をも、その要旨とするものである。
【0031】同様に、本発明では、酸素イオン伝導性固
体電解質を含んで一体構造とされたセンサ素子を用い、
該センサ素子に設けた触媒にて被測定ガス中の被測定ガ
ス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素
量を測定することにより、被測定ガス中の被測定ガス成
分量を求めるようにした測定装置であって、(a)該セ
ンサ素子の一体構造内に設けられた、外部の被測定ガス
存在空間に連通する第一の内部空所と、(b)該被測定
ガス存在空間より、所定の拡散抵抗の下に、測定される
べき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガス
を該第一の内部空所に導く第一の拡散律速手段と、
(c′)前記センサ素子の一体構造内に、前記第一の内
部空所に連通され、内部に前記触媒が配されてなる第二
の内部空所と、(d′)該第二の内部空所内に充填され
た、所定の拡散抵抗を有する多孔質体から構成される第
二の拡散律速手段と、(e)前記第一の内部空所及び前
記第二の内部空所をそれぞれ所定の温度に加熱せしめ得
る加熱手段と、(f)前記センサ素子の酸素イオン伝導
性固体電解質とこれに接して設けられた一対の電極から
なる電気化学的セルを用いて、それら一対の電極間への
通電により、前記第一の内部空所に対して酸素の汲み出
し或いは汲み入れを行ない、該第一の内部空所内の雰囲
気中の酸素分圧を、該第一の内部空所の加熱環境下にお
いて、被測定ガス成分が実質的に還元乃至は分解され得
ない所定の低い値に制御せしめる第一の酸素ポンプ手段
と、(g)前記センサ素子の酸素イオン伝導性固体電解
質とこれに接して設けられた一対の電極からなる電気化
学的セルを用いて、それら一対の電極間への通電によ
り、前記第二の内部空所内の雰囲気中の酸素を汲み出
し、かかる雰囲気中の酸素分圧を、該第二の内部空所の
加熱環境下において、前記触媒にて前記被測定ガス成分
が還元乃至は分解され得る所定の値に制御して、該第二
の内部空所内の雰囲気中に存在する被測定ガス成分を還
元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素をも同時に
汲み出すようにした第二の酸素ポンプ手段と、(h)該
第二の酸素ポンプ手段のポンプ作動によって流れるポン
プ電流を検出する電流検出手段とを、有することを特徴
とする測定装置をも、その要旨とするものである。
【0032】なお、かかる本発明に従う測定装置の好ま
しい態様によれば、該測定装置は、前記第一の内部空所
内の雰囲気中の酸素分圧を検出する酸素分圧検出手段を
更に有し、該酸素分圧検出手段にて検出された酸素分圧
値に基づいて、前記第一の酸素ポンプ手段における電気
化学的セルの一対の電極間への通電量を制御することに
より、前記第一の内部空所内の雰囲気中の酸素分圧を制
御するように構成され、これによって第一の内部空所内
の酸素分圧の制御をより正確に且つ容易と為し得るので
ある。
【0033】また、本発明に従う測定装置の他の好まし
い態様によれば、前記センサ素子の一体構造内に、前記
第一及び第二の内部空所とは独立して、基準ガス存在空
所を設けると共に、該基準ガス存在空所と前記第一の内
部空所との間に延在する酸素イオン伝導性固体電解質
と、該基準ガス存在空所に位置する該固体電解質に接し
て設けられた基準電極と、該第一の内部空所に位置する
該固体電解質に接して設けられた測定電極とからなる電
気化学的セルにて、前記酸素分圧検出手段が構成され、
そしてその際、前記基準ガス存在空所は、好ましくは、
前記センサ素子の大気露呈部位において開口せしめら
れ、該開口部を通じて大気が基準ガスとして該基準ガス
存在空所内に導き入れられるようになっている。
【0034】さらに、本発明の望ましい態様の一つによ
れば、前記第二の酸素ポンプ手段における電気化学的セ
ルは、前記第二の内部空所と前記基準ガス存在空所との
間に延在する酸素イオン伝導性固体電解質と、該第二の
内部空所に位置する該固体電解質に接して設けられた第
一のポンプ電極と、該基準ガス存在空所に位置する該固
体電解質に接して設けられた第二のポンプ電極とから構
成されており、そして有利には、該第二の酸素ポンプ手
段の電気化学的セルにおける酸素イオン伝導性固体電解
質と前記酸素分圧検出手段の電気化学的セルにおける酸
素イオン伝導性固体電解質とが一体の酸素イオン伝導性
固体電解質から構成され、且つ該固体電解質上に設けら
れる前記第二のポンプ電極と前記基準電極とが共通極と
されているのである。
【0035】本発明に従う測定装置の有利な態様の一つ
によれば、前記第二の酸素ポンプ手段を構成する電気化
学的セルの、前記第二の内部空所に配設される前記第一
のポンプ電極は、前記触媒と同一とされており、装置製
作工程の簡略化が図られている。
【0036】そして、本発明において、そのような第一
のポンプ電極は、有利には、前記結合酸素を有する被測
定ガス成分を還元乃至は分解し得る金属とセラミックス
とからなる多孔質サーメットにて構成されているのであ
って、このような触媒を兼ねる電極構造の採用によっ
て、被測定ガス成分の還元乃至は分解を有効に行ない得
るのである。
【0037】なお、本発明に従う態様の一つによれば、
前記触媒は、前記第二の酸素ポンプ手段を構成する電気
化学的セルの第一のポンプ電極に近接して、前記第二の
内部空所内に配置されたり、或いは前記第二の酸素ポン
プ手段を構成する電気化学的セルの第一のポンプ電極上
に積層して、設けられることとなる。
【0038】また、本発明に従う測定装置の好ましい態
様の異なる一つによれば、前記加熱手段は、前記センサ
素子内において前記第二の内部空所側に偏倚して配設さ
れており、前記第一の内部空所よりも該第二の内部空所
がより高温に加熱せしめられ得るように構成されてい
る。このような加熱手段の配設によって、第二の内部空
所が容易に被測定ガス成分の還元乃至は分解され得る環
境(特に温度)下に保持され得ることとなる。
【0039】さらに、本発明に従う測定装置の好ましい
態様の異なる他の一つによれば、前記第二の拡散律速手
段における拡散抵抗が、前記第一の拡散律速手段におけ
る拡散抵抗よりも大きくされており、これによってオイ
ル燃焼物による目詰まりに基づくところの被測定ガス成
分の測定値に対する影響を効果的に回避することが出来
るのである。
【0040】更には、本発明に従う測定装置の有利な態
様の他の一つによれば、測定対象たる、結合酸素を有す
る被測定ガス成分は、NOx、CO2 及びH2 Oのうち
の何れかである。
【0041】
【具体的構成・実施例】以下、本発明を更に具体的に明
らかにするために、被測定ガス成分としてNOxを対象
とした、図面に示されるNOx測定の具体例を参照しつ
つ、本発明の構成について詳細に説明することとする。
【0042】先ず、図1及び図2は、本発明に従う測定
装置に係るNOxセンサの代表的な一例を明らかにして
おり、その中で、図1は、そのようなセンサの平面図で
あり、また図2は、図1におけるA−A断面での要部拡
大説明図である。
【0043】それらの図において、2は、細長な長尺の
板状体形状を呈するセンサ素子であって、該センサ素子
2は、図2より明らかな如く、緻密な気密の複数の酸素
イオン伝導性の固体電解質層4a、4b、4c、4d、
4eを含んで積層せしめられてなる一体構造の板状体と
されている。なお、各固体電解質層4a〜4eは、何れ
も、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体
電解質材料を用いて、形成されることとなる。また、こ
の一体構造のセンサ素子2は、従来と同様にして、未焼
成の固体電解質層の積層物を一体焼成することにより、
製造されることとなる。
【0044】そして、かかる一体構造のセンサ素子2内
には、それぞれ矩形形状の平面形態を呈する第一の内部
空所6及び第二の内部空所8が、素子先端側に該第二の
内部空所8が位置するようにして別個に配設されている
と共に、それら第一及び第二の内部空所6、8とは独立
した形態において、基準ガス存在空所としての基準空気
導入通路10がセンサ素子2の長手方向に延びるように
設けられ、また該基準空気導入通路10は、センサ素子
2の基部側の端部において開口し、大気に連通せしめら
れている。なお、ここでは、第一、第二の内部空所6、
8及び基準空気導入通路10は、固体電解質層4bに形
成された対応する空所が上下の固体電解質層4a、4c
にて覆蓋されることによって、略同一平面上に位置する
状態において形成されている。また、第一の内部空所6
を外部の被測定ガス存在空間に連通せしめる、第一の拡
散律速手段たる第一の拡散律速通路12が、固体電解質
層4aを貫通して設けられており、この第一の拡散律速
通路12を通じて所定の拡散抵抗の下に、外部の被測定
ガスを第一の内部空所6内に導くようになっている。更
に、第一の内部空所6と第二の内部空所8との間に位置
する固体電解質層4bを通って、それら二つの内部空所
6、8を連通せしめる、第二の拡散律速手段たる第二の
拡散律速通路14が設けられており、この第二の拡散律
速通路14を通じて、第一の内部空所6内の雰囲気が、
所定の拡散抵抗の下に、第二の内部空所8内に導き入れ
られるようになっている。
【0045】また、固体電解質層4aの第一の内部空所
6内に露呈する部分には、それに接して、矩形形状の多
孔質Pt電極から成る内側電極(ポンプ電極)16が設
けられ、更に該内側電極16に対応する固体電解質層4
aの外面部位には、それに接するように、同様な矩形形
状の多孔質Pt電極から成る外側電極(ポンプ電極)1
8が設けられており、それら電極16、18と固体電解
質層4aとによって、第一の酸素ポンプ手段における電
気化学的セル、即ち第一の電気化学的ポンプセルが構成
されている。従って、かかる第一の電気化学的ポンプセ
ルの二つの電極16、18間に、外部の可変電源20に
て所望の電圧を印加せしめ、所定の方向に電流を流すこ
とによって、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素を外
部の被測定ガス存在空間に汲み出したり、或いは、それ
とは逆に、外部の被測定ガス存在空間から酸素を第一の
内部空所6内に汲み入れたりするようになっているので
ある。なお、ここでは、多孔質Pt電極は、電極金属と
してのPtとセラミックスとしてのZrO2 とからなる
サーメット電極にて構成されている。
【0046】さらに、固体電解質層4cの第一の内部空
所6内に露呈する部分には、それに接して、矩形形状の
多孔質Pt電極から成る測定電極22が設けられている
一方、該固体電解質層4cの基準空気導入通路10内に
露呈する部分には、それに接して、同様な多孔質Pt電
極から成る基準電極24が設けられており、それら測定
電極22と基準電極24と固体電解質層4cとによっ
て、酸素分圧検出手段としての電気化学的セル、即ち電
気化学的センサセルが構成され、よく知られているよう
に、第一の内部空所6内の雰囲気と基準空気導入通路1
0内の基準空気との間の酸素濃度差に基づいて、測定電
極22と基準電極24との間に発生する起電力を、電位
差計26にて測定することにより、かかる第一の内部空
所6内の雰囲気中の酸素分圧が検出されるようになって
いる。そして、この電位差計26にて検出された第一の
内部空所6内の雰囲気中の酸素分圧の値に基づいて、可
変電源20の電圧が制御され、以て第一の内部空所6内
の雰囲気中の酸素分圧が一定の値に保持され得るように
なっているのである。
【0047】更にまた、第二の内部空所8内に位置する
ように、固体電解質層4c上には、それに接して、矩形
形状の内部ポンプ電極(第一のポンプ電極)28が設け
られている。この内部ポンプ電極28は、NOxを還元
し得る金属たるRhとセラミックスとしてのジルコニア
とから成る多孔質サーメットにて構成され、これによっ
て第二の内部空所8内の雰囲気中に存在するNOxを還
元せしめ得るNOx還元触媒として機能する一方、基準
空気導入通路10内に配置された基準電極(第二のポン
プ電極)24との間に定電圧電源30より一定電圧が印
加せしめられることによって、第二の内部空所8内の雰
囲気中の酸素を基準空気導入通路10内に汲み出すよう
になっている。従って、基準電極24は、ポンプ電極の
一つとしても機能し、この基準電極24と内部ポンプ電
極28と固体電解質層4cとにより、第二の酸素ポンプ
手段を与える電気化学的セル、即ち第二の電気化学的ポ
ンプセルを構成しているのである。そして、この電気化
学的ポンプセル、換言すれば第二の酸素ポンプ手段のポ
ンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計32によ
って検出されるようになっている。なお、前記した定電
圧電源30は、第二の拡散律速通路14による制限され
たNOx流入下において、第二の電気化学的ポンプセル
にてのNOx分解時に生成した酸素のポンピングに対し
て限界電流を与える大きさの電圧を印加せしめ得るよう
になっている。
【0048】なお、センサ素子2内には、固体電解質層
4c、4eに挟まれ且つ固体電解質層4dにて三方が囲
まれた形態において、アルミナ絶縁層34が一体的に積
層されており、そして、このアルミナ絶縁層34内に、
外部からの給電によって発熱せしめられるヒータ36が
埋設されている。このヒータ36は、図2に示される如
く、センサ素子2の先端側に位置する第二の内部空所8
側に偏倚して配設されており、第一の内部空所6よりも
該第二の内部空所8がより高温に、換言すれば内側電極
16や測定電極22よりも、内部ポンプ電極28の方が
より高温に加熱せしめられるようになっている。例え
ば、被測定ガスのガス温度が300℃〜850℃の間で
変化するとき、第一の内部空所6内の内側電極16や測
定電極22が、400℃〜600℃に、また第二の内部
空所8内の内部ポンプ電極28が、700℃〜900℃
に加熱せしめられるように、ヒータ36が配置されてい
るのである。
【0049】そして、このような構成のセンサ素子2に
おいては、その先端部側が被測定ガス存在空間内に配置
されるのであり、これによって、被測定ガスは、センサ
素子2に設けられた第一の拡散律速通路12を通って、
所定の拡散抵抗の下に、第一の内部空所6内に導き入れ
られる。そして、かかる第一の内部空所6内に導かれた
被測定ガスは、第一の電気化学的ポンプセルを構成する
二つの電極16、18間に所定の電圧が印加せしめられ
ることによって惹起される酸素のポンピング作用を受
け、その酸素分圧が所定の値、例えば10-6atmに制
御される。
【0050】ところで、かかる第一の内部空所6内の雰
囲気中の酸素分圧を所定の一定値に保つには、前述せる
ように、よく知られているネルンストの式に基づいて、
電気化学的センサセルにおける測定電極22と基準電極
24との間の起電力を電位差計26にて測定し、それが
例えば203mV(500℃)になるように、第一の電
気化学的ポンプセルの二つの電極16、18間に印加す
る電圧(可変電源20)を制御する手法が採用され、こ
れによって、目的とする10-6atmの酸素分圧に容易
に制御することが出来るのである。即ち、第一の内部空
所6における所望酸素濃度と基準空気の酸素濃度との差
に相当する起電力となるように、第一の電気化学的ポン
プセルの電圧を制御すればよいのである。なお、第一の
拡散律速通路12は、第一の電気化学的ポンプセルに電
圧を印加した際、被測定ガス中の酸素が測定空間(第一
の内部空所6)に拡散流入する量を絞り込み、かかる第
一の電気化学的ポンプセルに流れる電流を抑制する働き
をしている。
【0051】また、第一の内部空所6内においては、外
部の被測定ガスによる加熱、更にはヒータ36による加
熱環境下においても、内側電極16や測定電極22にて
雰囲気中のNOxが還元されない酸素分圧下の状態、例
えばNO→1/2N2 +1/2O2 の反応が起こらない
酸素分圧下の状況が、形成されているのである。けだ
し、第一の内部空所6内において被測定ガス(雰囲気)
中のNOxが還元されると、第二の内部空所8内でのN
Oxの正確な測定が出来なくなるからであり、この意味
において、該第一の内部空所6内においてNOxの還元
に関与する成分(少なくとも第一の電気化学的ポンプセ
ルの内側電極16の成分)にてNOxが還元され得ない
状況を形成する必要があるのである。
【0052】このようにして、第一の内部空所6内にお
いて酸素分圧が制御された被測定ガスは、第二の拡散律
速通路14を通って、所定の拡散抵抗の下に、第二の内
部空所8内に導かれることとなる。そして、第二の内部
空所8内に導き入れられた被測定ガスは、第二の電気化
学的ポンプセルを構成する内部ポンプ電極28と基準電
極24との間に、酸素が第二の内部空所8から基準空気
導入通路10側に汲み出される方向に、所定の電圧、例
えば449mV(700℃)が印加せしめられることに
よって、酸素のポンピング作用を受け、これにより第二
の内部空所8においては、特に内部ポンプ電極28の三
相界面において、更に酸素濃度が低下し、酸素濃度は1
-10 atmとなり、NOx還元触媒としても機能する
該内部ポンプ電極28の回りにおいて、NOxが還元さ
れる状態、例えばNO→1/2N 2 +1/2O2 の反応
が惹起される状況下に制御されるのである。この時、第
二の電気化学的ポンプセルに流れる電流は、第二の内部
空所8に導かれる雰囲気中の酸素濃度、即ち第一の内部
空所6内の雰囲気中の酸素濃度と、内部ポンプ電極28
にてNOxが還元されて発生した酸素濃度との和に比例
した値となるのであるが、該第一の内部空所6内の雰囲
気中の酸素濃度は一定に制御されているところから、か
かる第二の電気化学的ポンプセルに流れる電流は、NO
xの濃度に比例することとなる。そして、そのNOxの
濃度は、第二の拡散律速通路14にて制限されるNOx
の拡散量に対応しているのであり、かくしてNOx濃度
の測定が可能となるのである。
【0053】例えば、第一の内部空所6内の雰囲気中の
酸素濃度が0.02ppmで、被測定ガスのNO濃度が
100ppmとすると、NOが還元されて発生する酸素
濃度50ppmと第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素
濃度0.02ppmとの和:50.02ppmに相当す
る電流が流れることになるのであり、従って第二の電気
化学的ポンプセルにおけるポンプ電流値は殆どがNOが
還元された量を表し、それ故に被測定ガス中の酸素濃度
に依存することもないのである。
【0054】ここで、本発明の原理を、図24を参照し
つつ、更に詳しく説明する。この図24において、被測
定ガスは、第一の拡散律速通路12を介して、第一の内
部空所6に導入され、該第一の内部空所6内の酸素分圧
は酸素濃度制御手段たる第一の電気化学的ポンプセル5
6によりNOxが還元されない所定の、望ましくは低い
値に制御される。そして、その酸素分圧が制御された第
一の内部空所6内の雰囲気は、該第一の内部空所6に第
二の拡散律速通路14を介して連通する第二の内部空所
8に導かれ、該第二の内部空所8においてNOxが還元
され、その際生成する酸素を第二の電気化学的ポンプセ
ル58を用いてガス拡散律速条件下で該第二の内部空所
8中より汲み出し、該第二の電気化学的ポンプセル58
に流れる電流値により、被測定ガス中のNOx量が測定
される。
【0055】この方法では、NOx濃度:Cnは、Cn
=K・Ip3 −Aで求められる。但し、Kは感度係数、
Ip3 は第二の電気化学的ポンプセル58に流れる電流
値、Aは第一の内部空所6に残留する少量の酸素に起因
する定数である。ここで、Ip3 は、その大部分が被測
定ガス中のNOx成分が分解して生成した酸素によるも
のであり、従来の方法に比べ、被測定ガス中の酸素によ
る影響を排除した状態で、微量のNOxまで精度良く測
定出来るものである。なお、内部空所に曝される電極に
対向して設けられた外側の電極は酸素を放出出来る状態
にあれば良く、例えば空気中であっても良い。
【0056】ところで、図3は、各内部空所における電
極加熱温度と酸素分圧の制御に係る第一の具体例を示し
ており、またそこでは、1400℃の温度で、ZrO2
基板と共に同時焼成された、ZrO2 とPtの体積比が
40:60のサーメット状のPt電極と、ZrO2 とR
hの体積比が40:60のサーメット状のRh電極につ
いて、それら電極の酸素分圧と温度に対するNOの還元
性が示されている。この図3より明らかなように、Pt
電極は、高温度、低酸素分圧下でないと、還元性が発現
しないのに対して、Rh電極は、低温度、高酸素分圧下
で還元作用が発現することが理解される。
【0057】本発明は、上述のような性質を利用するも
のであって、第一の内部空所6内の酸素濃度と、温度、
具体的には第一の内部空所6内に配置されるPt電極
(内側電極16及び測定電極22)、即ち第一の電極の
温度とは、かかる第一の電極にてNOが還元されない領
域に制御、設定される。例えば、図示の如く、第一の内
部空所6内の酸素分圧を10-6atmに設定したとき
は、被測定ガスのガス温度が900℃(自動車の排気ガ
ス温度の略最高温度)になっても、第一の内部空所6内
の温度が650℃以下になるように、ヒータ36の配置
や電力が設定されるのである。そして、この酸素分圧が
10-6atmに制御された被測定ガスは、第二の拡散律
速通路14を通過して、第二の内部空所8内に入るが、
この第二の内部空所8内では、内部ポンプ電極28と基
準電極24との間に450mVの電圧が印加され、第二
の内部空所8から基準空気導入通路10内へ酸素が汲み
出され、かかる内部ポンプ電極28の三相界面の酸素分
圧は、略10-10 atm(内部ポンプ電極28と基準電
極24との間の起電力が450mVに相当)に設定され
る。而して、図3に示されている如く、内部ポンプ電極
28であるRh電極、即ち第二の電極は、10-10 at
mでの酸素分圧下では、410℃以上でNOを還元する
ことが出来、また第二の内部空所8、具体的には第二の
電極たる内部ポンプ電極28の温度は、被測定ガスのガ
ス温度が300℃(自動車の排気ガス温度の略最低温
度)であるときにも、410℃以上となるように、ヒー
タ36の配置や電力が設定されている。かくして、第二
の電極たる内部ポンプ電極28の三相界面では、NOが
還元され、そして、その還元による酸素の発生により電
流が流れ、その電流値がNOの濃度に比例することとな
るのである。
【0058】つまり、上記した第一の具体例において
は、第一の内部空所6内の酸素分圧が10-6atmに、
また第二の内部空所8、特に内部ポンプ電極28(第二
の電極)の三相界面の酸素分圧が10-10 atmに制御
されるようになっていると共に、第一の内部空所6内に
設けられた内側電極16、測定電極22と第二の内部空
所8内に設けられた内部ポンプ電極28の温度が、自動
車の排気ガス温度の全変化幅、例えば300℃〜900
℃の範囲において、内側電極16や測定電極22は65
0℃以下に、内部ポンプ電極28は410℃以上となる
ように、ヒータ36の配置やその電力が設定されている
のである。
【0059】なお、センサ素子2の温度は、ヒータ36
の電力を被測定ガスの温度、例えば排気ガス温度に応じ
て制御することにより、目的とする温度に設定すること
も出来るが、一般的に素子温度は、排気ガスに晒される
素子先端側から他端側に向かって低くなるところから、
ヒータ36を素子先端側に寄せて配置すると、先端側が
より高温になりやすく、それ故に内部ポンプ電極28の
配置される第二の内部空所8を素子先端側に、内側電極
16や測定電極22の配置される第一の内部空所6を素
子先端から離して配置するようにすれば、ヒータ電力を
制御することなく、所定の電圧を印加するのみで、容易
に上述の如き温度設定を行なうことが出来る。
【0060】さらに、図4には、センサ素子におけるヒ
ータの配置の設定を説明する具体例が明らかにされてい
る。即ち、図4においては、幅:4.2mm、厚み:
1.3mm、長さ:62mmのZrO2 固体電解質の基
体中に、発熱部の大きさが幅:3.6mm、長さ:5m
mであり、常温抵抗:8Ωである白金ヒータを、素子先
端から1mm〜6mmの位置に埋め込んでなるセンサ
を、自動車の排気管に取り付け、その白金ヒータに12
Vの電圧を印加して、300℃と900℃の排気ガスに
晒した時のセンサ素子の先端からの位置と温度が示され
ている。
【0061】この図4から明らかなように、排気ガスの
最高温度:900℃で、センサ素子の650℃以下とな
る位置は、素子先端から5.2mm以上の位置であり、
この領域に、第一の電極(内側電極16、測定電極2
2)を配置する一方、最低ガス温度の300℃で410
℃以上となる位置は0〜6.2mmの位置であるところ
から、この領域に、第二の電極(内部ポンプ電極28)
を配置すれば、図3に示される如き温度設定の可能な本
発明に従うNOxセンサを実現することが出来るのであ
る。なお、このようなセンサ素子への温度分布の設定
は、ヒータの電力(抵抗値)、大きさ(長さ)、配設位
置を適宜に選択することにより、任意に行うことが出来
る。
【0062】そして、図5には、上述したNOxセンサ
におけるNO濃度とポンプ電流値(拡散限界電流値:I
p)の関係が示されており、そこでは、NO濃度の変化
に対し、ポンプ電流値(Ip)は直線的に変化してい
る。従って、かかるIp値を測定することにより、簡単
に、NO濃度を知ることが出来るのである。この場合、
NO=0ppmの時のIp値は0.03μAであり、そ
れは、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素濃度:10
-6atmと第二の内部空所8内の雰囲気、即ち内部ポン
プ電極28の三相界面の酸素濃度:10-10 atmとの
差に相当する酸素を汲み出すに必要なポンプ電流であ
る。このポンプ電流は、感度:30μA/2000pp
m=0.015μA/ppmを考慮すると、数十ppm
の濃度測定には、支障となるものではないものの、数p
pmのNO濃度測定には、誤差要因として問題となる虞
がある。このため、かかるポンプ電流値は、0に限りな
く近いことが好ましく、そしてそのようなポンプ電流値
は、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素分圧を、NO
xが実質的に還元され得ない状況下において、可及的に
下げるか、或いは第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素
分圧と第二の内部空所8内の雰囲気中の酸素分圧、即ち
内部ポンプ電極28における三相界面の酸素分圧とが等
しくされることにより、実現されるのである。
【0063】また、図6には、二つの内部空所における
酸素分圧の制御と、それら空所において加熱される各電
極の温度の制御に係る第二の具体例が示されている。そ
こでは、第一の内部空所6内の酸素分圧と第二の内部空
所8内の酸素分圧、即ち第二の電極たる内部ポンプ電極
28の三相界面の酸素分圧が、共に、10-8atmに設
定されている。そして、第一の電極(内側電極16及び
測定電極22)は490℃以下に、第二の電極(内部ポ
ンプ電極28)は430℃以上になるように、ヒータ3
6が設定されているのである。
【0064】このように制御されたNOxセンサにおけ
るNO濃度とポンプ電流(Ip)との関係が、図7に示
されている。ここでは、第一の内部空所6内の酸素分圧
と第二の内部空所8内における第二の電極(内部ポンプ
電極28)の三相界面の酸素分圧とが同じ値に設定して
あるところから、NO=0ppmのときのIp値は、0
μAとなっているのである。
【0065】また、図8には、酸素分圧及び電極加熱温
度の制御に係る第三の具体例が示されており、そこで
は、第一の電極(内側電極16、測定電極22)と第二
の電極(内部ポンプ電極28)とが、共に、Pt電極に
て構成されており、また第一の内部空所6内の酸素分圧
と第二の内部空所8における第二の電極(内部ポンプ電
極28)の三相界面の酸素分圧とが、共に、10-6at
mに設定されている。そして、かかる第一の電極は65
0℃未満に、また第二の電極は650℃以上となるよう
に、ヒータ36が設定されているのである。
【0066】さらに、図9には、酸素分圧と電極加熱温
度の制御に係る第四の具体例が示されており、そこで
は、第一の電極(内側電極16、測定電極22)と第二
の電極(内部ポンプ電極28)とが、共に、Pt電極に
て構成され、且つ前記第一の内部空所6内の酸素分圧が
10-6atmに、また第二の内部空所8内の酸素分圧、
具体的には第二の電極(内部ポンプ電極28)の三相界
面の酸素分圧が10-10atmに、それぞれ設定されて
いる。そして、第一の電極が650℃以下に、また第二
の電極は430℃以上となるように、ヒータ36が設定
されているのである。
【0067】この第四の具体例の場合において、NO=
0ppmの時は、前述の如く、ポンプ電流が流れること
となるが、その値は、第一の内部空所6内の酸素分圧と
第二の内部空所8、即ち第二の電極の三相界面の酸素分
圧とを一定にしておけば、一定値となるところから、校
正することは容易である。なお、この第四の具体例に係
るNOxセンサにおけるNO濃度とポンプ電流との関係
が、図10に示されている。
【0068】このように、本発明の上述した具体例にあ
っては、被測定ガスを第一の内部空所内に導き、該第一
の内部空所にて、NOxが還元されない酸素分圧と温度
を設定しつつ、第一の電気化学的ポンプセルの酸素ポン
ピング作動により、被測定ガス中の酸素濃度を一定値に
制御する一方、該第一の内部空所内の一定の酸素濃度の
被測定ガスを第二の内部空所内に導き、該第二の内部空
所に配置されたNOx還元触媒(内部ポンプ電極=第一
のポンプ電極)の三相界面でNOxが還元される温度と
酸素濃度を設定し、第二の電気化学的ポンプセルを酸素
ポンピング作動せしめ、そして該第二の電気化学的ポン
プセルにおけるNOx濃度に比例したポンプ電流を測定
しているので、被測定ガス中の酸素濃度に影響を受ける
ことなく、NOxを効果的に測定することができること
となったのである。
【0069】また、本発明に従う測定装置たる上述のN
Oxセンサにあっては、第一の拡散律速通路(手段)の
後方に第一の内部空所、更にその後方に、第二の拡散律
速通路(手段)を配置しているところから、オイル燃焼
物による目詰まりが該第一の拡散律速通路に発生して
も、第二の拡散律速通路には、目詰まりが発生し難いの
である。そして、第一の拡散律速通路の拡散抵抗:D1
と第二の拡散律速通路の拡散抵抗:D2の関係を、目詰
まりによる拡散抵抗の変化分αを考慮して、D1+α≪
D2の関係に設定しておけば、目詰まりによるNOx測
定値には、影響がなくなるのである。つまり、このよう
に設定しておけば、第一の拡散律速通路に目詰まりが生
じても、第一の内部空所内の酸素濃度を一定に保つため
のポンプ電流が減少するのみで、NOxに対する実質的
な拡散律速部は、第二の拡散律速通路であるために、測
定値への影響が無いのである。
【0070】なお、上述した具体例では、第一の内部空
所6内に配置される第一の電極(16、22)をPtの
サーメット電極にて構成し、また第二の内部空所8内に
配置される第二の電極(28)をRhのサーメット電極
にて構成したり、或いは第一及び第二の電極を、共に、
Ptのサーメット電極にて構成したりしているが、必ず
しも、そのような電極構成に限定されるものではなく、
例えば第一の電極にAu又はAuとPtの合金のサーメ
ット電極を用い、第二の電極にRhサーメット電極を用
いれば、Au/Ptサーメット電極の還元性は低下し、
第一の内部空所内の酸素分圧の設定や温度設定の自由度
が高まり、好ましい。また、そのような電極の電極金属
としては、公知のものの中から適宜に選択することが出
来るが、例えば第一及び第二の電極を、共に、Au電極
とし、且つ該第二のAu電極上に、更に、Rh又はPt
電極或いはアルミナ等のセラミックスの多孔質体に、N
Ox還元金属を担持せしめた触媒体を積層配置したり、
第一及び第二の電極共に、Pt電極とする一方、該第二
のPt電極上にRh触媒電極を配置したり、または第一
及び第二の電極の温度のみに差をつけたりすること等
も、可能である。
【0071】何れにしても、それら第一及び第二の電極
は、電極金属と適当なセラミックスから構成されるサー
メット電極であることが望ましく、特に例示の如く、N
Ox還元触媒を兼ねる第二の電極を用いる場合にあって
は、RhやPt等の公知のNOxを還元し得る金属とセ
ラミックスとからなる、多孔質サーメット電極とされる
ことが望ましい。また、NOx還元触媒は、第二の内部
空所8内の酸素を汲み出すための第二の電気化学的ポン
プセルにおける該第二の内部空所8内に配置される内部
ポンプ電極28に近接して設けられたり、また図11に
示されるように、Rh等からなるNOx還元触媒を担持
した多孔質アルミナ等を第一のポンプ電極28上に印刷
等で積層せしめて、NOx還元触媒42が層状に構成さ
れたりしてもよい。更に、この図11において示される
如きセンサ素子は、ヒータ36が第二の内部空所8側に
配設されており、第一の内部空所6よりも第二の内部空
所8が高温に加熱されるようになっているところから、
NOx還元触媒42がより効果的に働くようになってい
るのである。
【0072】また、本発明においては、被測定ガスとし
て燃料過剰の排気ガスが対象とされる場合において、C
OやHC等の未燃成分の排出量が多量となり、NOxと
の反応が測定誤差となるところから、例えば、図12に
示されるように、第一の内部空所6内に多孔質アルミナ
等からなる酸化触媒体38を充填して、該第一の内部空
所6内において、被測定ガス中のCO、HC等の未燃成
分を酸化させることが好ましい。この場合、第一の電気
化学的ポンプセルの極性は、空気過剰の場合とは逆とな
り、被測定ガス雰囲気から酸素を第一の内部空所6内に
取り込む方向となる。このように酸化触媒体38を第一
の内部空所6内に配置することは、被測定ガスが空気過
剰の雰囲気であっても、CO、HC等の還元性ガスによ
る影響をなくする上で有効である。
【0073】なお、第一の内部空所6内への酸化触媒体
38の配置は、必ずしも例示の如き充填である必要はな
く、例えば、第一の拡散律速通路12から測定電極22
までの間の固体電解質層4c上、或いは、内側電極16
上に印刷付与されていても良い。つまり、被測定ガスが
第二の内部空所8に到達するまでに被測定ガス中のC
O、HC等の未燃成分を酸化させれば良いのである。
【0074】また、そのような酸化反応の実現には、必
ずしも酸化触媒体38を配置することが必須ではなく、
内側電極16に酸化触媒性があれば酸化反応が促進され
ることは言うまでもないが、酸化触媒性のない、例えば
Au電極或いはAu/Pt合金電極を用いても、第一の
内部空所6内の酸素分圧及び温度とそれら未燃成分の酸
化可能な条件に設定することでも、達成され得るのであ
る。そして、その条件は、NOxが還元されず、出来る
だけ低くて第二の内部空所8の酸素分圧に近い酸素分圧
というNOx測定に有利な条件をも包含するものであ
る。例えば、500℃であれば10-10 atm以上、6
00℃であれば10-15 atm以上であれば充分酸化可
能である。
【0075】そのようなNOx測定方法にあっては、N
Oxの還元によるNOx量の測定に先立って、被測定ガ
スが前記第一の内部空所6にて雰囲気調整されて、NO
x量の測定に有効な雰囲気とされることにより、具体的
には、前記第一の電気化学的セルによる酸素のポンピン
グ作用にて、前記第一の内部空所6内の雰囲気中より酸
素が汲み出されたり又は汲み入れられ、第二の内部空所
8の酸素分圧に出来るだけ近づけた一定の値で且つ被測
定ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)や炭化水素(H
C)等の未燃成分の酸化が行なわれる値に制御される。
このようにすることにより、一酸化炭素(CO)、炭化
水素(HC)等の未燃成分の酸化が行なわれ、それによ
って、そのような未燃成分とNOxとの間の反応を回避
して、NOx濃度の測定をより正確と為すことが出来る
こととなったのである。なお、燃料過多の条件で燃焼さ
れたガス中のNOx濃度を測定する際には一酸化炭素や
炭化水素等の未燃成分が極めて多量となり、未燃成分と
の反応の回避は、このような被測定ガスに対して特に有
効である。
【0076】そして、以上のような被測定ガス中の未燃
成分の酸化は、燃料過剰の排気ガスの場合のみならず、
燃料過少の排気ガスを対象とする場合であっても、僅か
に残る未燃成分による測定値への影響を除去する上で有
効であることは言うまでもない。
【0077】また、かかる酸化触媒体38は、図13に
示されるように、第一の拡散律速通路12の外部被測定
ガス存在空間側の部位に位置するように、固体電解質層
4a上に、層状に配置せしめることも出来、この場合、
空気過剰の時のCO、HCによる誤差の除去において、
主として有効である。けだし、燃料過剰の時は、被測定
ガス中の酸素が過少のため、CO、HCの全量を酸化し
きれないからである。更に、図14に示される如き酸化
触媒体の配設形態においては、固体電解質層4aの外側
に、更に固体電解質層4f、4gを積層せしめて、ガス
導入路40を設け、その中に酸化触媒体38を配置する
ことも出来、この場合には、酸化触媒体38が図12の
例よりも高温部に配置されることとなるところから、C
O、HC等の酸化がより促進される利点がある。
【0078】さらに、第二の内部空所8内において、N
Ox還元触媒を兼ねる第二の電極(28)の三相界面の
酸素濃度を制御するには、該第二の電極(28)から基
準電極24側に酸素をポンピングする例示の方式のみな
らず、第一の電気化学的ポンプセルの外側電極18と第
二の電極(28)との間において、電気化学的ポンプセ
ルを構成して、かかる外側電極18側に第二の内部空所
8内の酸素をポンピングするようにした方式を採用した
り、また、第二の内部空所8内にNOx還元触媒電極
(28)とは、別個の酸素汲み出し用の電極を設け、か
かるNOx還元触媒電極と基準電極24との間の起電力
に基づいて、かかる汲み出し用電極から基準電極24側
に、或いは外側電極18側に、又は別に設けた汲み出し
専用の電極にポンピングして、該NOx還元触媒電極の
三相界面の酸素濃度を制御したりする方式も採用可能で
ある。
【0079】更にまた、第一の内部空所6内の酸素分圧
の制御方法としては、上例の如き電気化学的センサセル
による起電力の検出値に基づいて、印加電圧を始終変化
せしめる方式の他、第一の電気化学的ポンプセルの一対
の電極16、18間に一定の電圧を印加せしめる方式、
或いは1個の電気化学的セルを時分割して、ポンプセル
とセンサセルに兼用して用いる方式であっても、何等差
し支えない。
【0080】また、基準電極24は、基準空気導入通路
10を通じて、必ずしも大気に連通せしめられている必
要はなく、第二の電極(28)から汲み出される酸素を
溜める空間を形成し、その溜め空間に基準電極24を配
置するようにすることも可能である。
【0081】さらに、本発明においては、第二の内部空
所及び第二の拡散律速手段が、多孔質体が充填せしめら
れる空間にて構成されていても良い。より具体的には、
図2に示されるセンサ素子2における第二の内部空所8
及び第二の拡散律速通路14の構成に代えて、図15に
示される如き構成が採用され得るのである。即ち、第一
の内部空所6に接するように、該第一の内部空所に続く
空所内に、多孔質アルミナ等の多孔質体44からなる第
二の拡散律速手段が充填せしめられ、これによって、同
時に第二の内部空所が構成されており、以て内部空所形
状が簡略化されているのである。なお、ここでは、第二
の拡散律速手段(44)の拡散抵抗は、第一の拡散律速
通路12の拡散抵抗よりも大きくなるように構成されて
おり、第一の内部空所6内の雰囲気が、第二の内部空所
内雰囲気の影響を受けないようにされている。
【0082】また、多孔質体44の充填は、図21に示
すように、内側ポンプ電極28上に印刷付与されたよう
な形態でも良い。このような構成にすることにより、多
孔質体44が第二の拡散律速手段となり、実質的に多孔
質体そのものが第二の内部空所となり、且つ内部空所に
充填された形態となる。
【0083】そして、このような構成のセンサ素子2に
おいて、第一の内部空所6内の測定電極22と基準電極
24との間の起電力が、203mV(500℃)になる
ように、第一の電気化学的ポンプセルの二つの電極1
6、18間に印加せしめられる電圧が制御され、更に
は、第二の電気化学的ポンプセルを構成する内部ポンプ
電極28と基準電極24との間の起電力が、449mV
(700℃)になるように所定の電圧が制御された状態
では、図16に示されるように、NO濃度とポンプ電流
(Ip)は直線的に変化するのである。従って、かかる
Ip値を測定することにより、NO濃度を知ることがで
きるのである。
【0084】なお、図15に示されるセンサ素子の構成
に加えて、更に、第二の拡散律速手段44の多孔質構造
内にNOx還元触媒を担持せしめたり、第一の内部空所
6内にCOやHC等の未燃成分を酸化させる酸化触媒を
配置したりしても、同様のNO検知特性が得られるもの
であって、このように必要に応じて種々の構成を付加す
ることができるのである。
【0085】さらに、第一の内部空所6内に配置された
電極(16、22)と第二の内部空所(第二の拡散律速
手段44)内の電極(28)は、それらのNOx還元力
の関係が、「弱い(第一の内部空所6内の電極)≦(第
二の内部空所内の電極)強い」となるようにされるもの
が、適宜に選択されて用いられる。加えて、第二の内部
空所内の電極上(28)にNOx還元触媒層を配設して
も良い。
【0086】そして、基準電極、基準ガス導入孔の位
置、基準ガスの種類も、第一の内部空所6内の測定電極
と基準電極の間の起電力がネルンストの式に従う範囲と
なるようなものが、適宜に選択されるのである。
【0087】また、加熱手段としては、第一の内部空所
6内の電極温度と第二の内部空所(第二の拡散律速手段
44)内の電極温度との関係が、「低い(第一の内部空
所6内の電極)<(第二の内部空所内の電極)高い」と
なるように、適宜に選択される。
【0088】さらに、本発明に従うNOxセンサにあっ
ては、センサ素子内に、外部の被測定ガス存在空間に開
口するように設けた、予め定められた拡散抵抗を有する
細隙な平坦空間にて、第一の拡散律速手段と第二の拡散
律速手段とを、構成することも可能であり、その一例
が、図17に示されている。
【0089】すなわち、かかる図17においては、セン
サ素子2は、図2のセンサ素子と同様に、六つの酸素イ
オン伝導性の固体電解質層4a、4b、4c、4h、4
d、4eを含んで積層せしめられてなる一体構造の板状
体とされており、それら複数の固体電解質層のうち、図
において上から二つ目の固体電解質層4bの先端部が、
所定長さに亘って矩形に切り欠かれていることによっ
て、センサ素子2の先端部に開口する、所定の拡散抵抗
を有する細隙な平坦空間50が、所定幅にて、センサ素
子2の長手方向に所定長さに亘って延在せしめられてい
る。要するに、平坦空間50は、長手の矩形形状の平面
形態を呈し、その一方の短辺部において外部の被測定ガ
ス存在空間に開口せしめられているのである。
【0090】そして、その平坦空間50内には、その開
口部から、外部の被測定ガスが導き入れられ、そして所
定の拡散抵抗の下に、かかる平坦空間50の奥部に到達
せしめられることとなるところから、そのような平坦空
間50自体が、第一の拡散律速手段及び第二の拡散律速
手段を構成することとなるのである。また、かかる平坦
空間50は、その開口側部位に、第一の電気化学的ポン
プセルを構成する内側電極(ポンプ電極)16が設けら
れることによって、当該部位が、第一の内部空所6とさ
れる一方、かかる第一の内部空所6よりも奥側の平坦空
間50部位が、第二の内部空所8とされて、そこに、第
二の電気化学的ポンプセルを構成する内部ポンプ電極2
8が、配設せしめられている。
【0091】また、ここでは、基準空気導入通路10
が、固体電解質層4hの切欠き部によって形成され、セ
ンサ素子2の基部側の端部において開口し、大気に連通
せしめられている。更に、この基準空気導入通路10内
には、基準電極24が配置され、平坦空間50内に設け
られた測定電極22との間において、電気化学的センサ
セルを構成すると共に、ポンプ電極の一つとしても機能
し、内部ポンプ電極28と共に、第二の電気化学的ポン
プセルを構成するようになっている。
【0092】なお、かかる図17に示されるNOxセン
サの他の部分は、先述せる図2に示されるNOxセンサ
のセンサ素子構造と同様であるので、同一の番号を付し
て、詳細な説明は省略することとする。また、センサ素
子2内に設けられる平坦空間50や基準空気導入通路1
0の具体的構造については、特公平5−18059号公
報の第10図及び第11図に詳細に示されているところ
であり、それらの図を参照して、図17のセンサ素子構
造は、理解されるべきである。
【0093】また、図18には、上述した図17に示さ
れるセンサ素子2の変形例の一つが明らかにされてお
り、そこでは、平坦空間50の開口部内に、所定の拡散
抵抗を有する多孔質体52が充填されている。このよう
な多孔質体52を通じて、外部の被測定ガス存在空間か
ら、被測定ガスを、所定の拡散抵抗の下に、平坦空間5
0内に導き、かかる平坦空間50の開口部側部分にて構
成される第一の内部空所6内において、第一の酸素ポン
プ手段による酸素のポンピングを行なうようにすれば、
第一の内部空所6に対するより確実な拡散律速が実現さ
れ得ると共に、COやHC等の未燃成分が該多孔質体5
2において効果的に酸化せしめられ得る利点等が生ずる
こととなる。
【0094】さらに、上述したNOxセンサの作動の具
体例においては、何れも、第一の内部空所6と第二の内
部空所8との間に、温度差を設けて、NOxの効果的な
分解還元操作が実現され得るようになっているが、必ず
しも、第一の内部空所6内の雰囲気の温度と第二の内部
空所8内の雰囲気の温度に差を設ける必要はないのであ
る。例えば、図3に示される例に基づいて説明するなら
ば、第一の内部空所6及び第二の内部空所8の温度を、
共に600℃に設定すると、第一の内部空所6内に設け
られたPt電極(16)は、略10-6atm以上の酸素
分圧下において、NOxを還元せしめ得ない一方、第二
の内部空所8内に設けられたRh電極(28)では、1
-5atm以下の酸素分圧下において、NOxが還元せ
しめられるのである。従って、第一の内部空所6内の雰
囲気中の酸素分圧を10-6atm以上と為し、且つ第二
の内部空所8内の雰囲気中の酸素分圧を10-5atm以
下に設定すれば、第一及び第二の内部空所6、8内の温
度が同じ600℃でも、NOxの測定が可能となるので
ある。
【0095】また、前述したように、Au電極、Au/
Pt合金電極のようなNOx還元性のない電極或いは還
元性が低い電極を採用すれば、第一の内部空所の温度>
第二の内部空所の温度の条件下でも、NOxの測定が可
能となるのである。例えば、Ptに1%のAuを含んだ
合金電極の場合、温度が800℃でも10-15 atmで
NOxが還元されないため、第一の内部空所の温度を8
00℃、酸素分圧を10-10 atmにし、第二の内部空
所の温度を600℃、酸素分圧を10-10 atmに設定
し、NOxを測定することも可能となるのである。
【0096】図19は、600℃の時の起電力と酸素分
圧の関係を示すものであり、電気化学的センサセルを構
成する測定電極22の起電力が150mVになるよう
に、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素分圧を制御す
るならば、かかる第一の内部空所6内の酸素分圧は、略
10-4atmとなるのであり、このため、該第一の内部
空所6内では、NOxは還元されない。一方、第二の電
気化学的ポンプセルを構成する第二の内部空所8内に配
置された内部ポンプ電極28に、450mVを印加する
と、その三相界面の酸素分圧は、略10-11 atmとな
るため、かかる内部ポンプ電極28にてNOxが還元さ
れることとなり、そして、その還元時に発生した酸素
が、第二の電気化学的ポンプセルのポンプ電流となっ
て、検出され得るのである。このように制御されたNO
xセンサにおけるNO濃度と、ポンプ電流(Ip)との
関係が、図20に示されている。
【0097】なお、以上の具体例では、何れも、被測定
ガス成分としてNOxが対象とされているが、勿論、本
発明が、被測定ガス中に存在する酸素の影響を受ける、
NOx以外の他の結合酸素含有ガス成分、例えばH2
やCO2 等の測定にも有効に適用され得るものであるこ
とは、言うまでもないところである。
【0098】因みに、図1及び図2に示される如きセン
サ素子2を用いた、被測定ガス中のH2 O(水分)測定
の場合にあっては、先ず、第一の内部空所6内の雰囲気
は、第一の電気化学的ポンプセルによる酸素の汲み出し
にて、酸素分圧が出来るだけ低く且つH2 Oが分解しな
い値、例えば10-10 atmに制御される。次いで、こ
のO2 濃度が一定の低い値に制御された被測定ガス(第
一の内部空所6内の雰囲気)は、第二の拡散律速通路1
4を通り、第二の内部空所8に導かれる。第二の電気化
学的ポンプセルの両電極24、28間に所定の電圧を印
加せしめる定電圧電源30は、1.5Vに設定され、内
部ポンプ電極28から基準電極24に向かって酸素が汲
み出される。このとき、第二の内部空所8内の雰囲気中
のH2 OはH2 とO2 に分解され、この分解されたO2
も同時に汲み出される。そして、このような第二の電気
化学的ポンプセルによるポンプ作動において、電流計3
2にて検出されるポンプ電流は、かかる第二の内部空所
8内の雰囲気中のH2 O濃度に比例することになる。被
測定ガス中の酸素が第一の内部空所6において、10-1
atm(0.0001ppm)にまで減じられているた
め、殆どがH2 Oの分解に基づく値となるのである。図
22には、第一の内部空所6及び第二の内部空所8を共
に700℃に加熱した場合におけるH2 O濃度とポンプ
電流(Ip)との関係が示されている。
【0099】なお、このようなH2 Oの測定において、
雰囲気中のH2 Oを分解するには、第二の電気化学的ポ
ンプセルのポンプ電圧を1V以上にすればよく、それよ
りも電圧が低くなると、H2 Oを充分に分解し得ないの
である。また、かかるポンプ電圧は3V以下にすること
が望ましく、それよりも高い電圧で長時間ポンプ作動せ
しめた場合にあっては、固体電解質材料(例えばZrO
2 )が分解され、強度の低下等の問題を惹起する。この
ポンプ電圧としては、好ましくは、1.2V〜2.5V
が採用されることとなる。
【0100】また、被測定ガス成分がCO2 である場合
にあっても、図1及び図2に示される如き構成のセンサ
素子2を用いて、上記のH2 Oの場合と同様にして、そ
の測定が可能である。即ち、CO2 の測定に際しては、
先ず、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素分圧が10
-10 atmに制御されて、CO2 が分解しない、出来る
だけ低い酸素分圧値とされる。そして、このO2 濃度が
一定の低い値に制御された雰囲気は、第二の拡散律速通
路14を通って第二の内部空所8内に導かれ、1.5V
に設定された定電圧電源30からの給電による第二の電
気化学的ポンプセルのポンプ作動によって、内部ポンプ
電極28から基準電極24に向かって酸素が汲み出され
る。このとき、第二の内部空所8内のCO2 はCOとO
2 に分解され、この分解されたO2 も同時に汲み出され
るのであり、そしてこの時のポンプ電流がCO2 濃度に
比例するのである。なお、被測定ガス中の酸素は、第一
の内部空所6において10-10 atm(0.0001p
pm)にまで減じられているために、第二の内部空所8
から汲み出される酸素の殆どがCO2 の分解に基づく値
となるのである。図23には、第一の内部空所6及び第
二の内部空所8を共に700℃に加熱した場合における
CO2 濃度とポンプ電流(Ip)との関係が示されてい
る。
【0101】そして、このようなCO2 の測定の場合に
おいても、雰囲気中のCO2 を分解するには、第二の電
気化学的ポンプセルのポンプ電圧を1V以上にすればよ
く、それよりも電圧が低くなると、CO2 を充分に分解
し得なくなる。また、このポンプ電圧は3V以下にする
ことが望ましく、それよりも高い電圧下で長時間ポンプ
作動せしめると、固体電解質材料の分解等の問題を惹起
する。このポンプ電圧の更に望ましい範囲としては、
1.2V〜2.5Vである。
【0102】このように、H2 OやCO2 等の、結合酸
素を有するガス成分にあっても、NOxと同様に、それ
らを第二の内部空所8内において分解せしめ、それによ
って発生するO2 を外部に汲み出すときのポンプ電流値
(Ip)を検出することによって、それらガス成分濃度
を求めることが出来るのである。なお、それらH2 Oや
CO2 等の被測定ガス成分の分解を積極的に行なうべ
く、NOxの場合と同様にして、第二の内部空所8内に
適当な分解触媒を配することも可能である。
【0103】また、本発明は、上記したNOx、H2
O、CO2 等の結合酸素を有するガス成分を被測定ガス
成分とする場合において、特に有利に採用されるもので
はあるが、これのみに限定されるものではなく、被測定
ガス中の酸素によって影響を受けるガス成分であれば、
如何なるものにも、本発明の適用が可能である。例え
ば、H2 やNH3 は、その測定に際し、被測定ガス中の
酸素によって燃焼し、その正確な測定が困難となる恐れ
があるが、本発明に従って、被測定ガス中の酸素を第一
の内部空所において除去すれば、第二の内部空所におい
て、H2 やNH3 の濃度を正確に測定することが出来る
こととなる。
【0104】なお、第二の内部空所内の雰囲気中に存在
するH2 、NH3 等の各種の被測定ガス成分の濃度測定
には、公知の適当な検出手段が選択され、具体的には、
2の測定には、酸素ポンプ手段と同様な構成のプロト
ンポンプが用いられることとなる。即ち、プロトンポン
プは、プロトンイオン伝導性固体電解質層とそれに接し
て設けられた一対の電極にて構成され、それら一対の電
極間への通電によって、第二の内部空所より外部へH2
をポンピングせしめ、その際のポンプ電流を検出するこ
とにより、H2 濃度が求められるのである。また、NH
3 の測定の場合においても、それが第二の内部空所にて
分解してH2 とN2 を発生することにより、その発生し
たH2 を上記のプロトンポンプにて汲み出し、その際の
ポンプ電流を検出することによって、NH3 濃度を知る
ことが出来る。
【0105】このように、本発明が、当業者の知識に基
づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様にお
いて実施され得ることは、言うまでもないところであ
り、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱
しない限りにおいて、何れも、本発明の範囲内に属する
ものであることが、理解されるべきである。
【0106】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う被測定ガス中の所定ガス成分の測定方法及び測定
装置によれば、被測定ガス中の酸素濃度或いはその変化
に何等の影響をも受けることなく、目的とする被測定ガ
ス成分の濃度を正確に測定することが出来ることとなっ
たのであり、また、連続的に応答性が良く、且つ長時間
正確に測定可能と為し得たのであり、更には、オイル燃
焼物による影響もなく、空燃比が燃料過多領域から空気
過剰の領域まで、広い範囲の燃焼ガスを被測定ガスとし
て、そこに含まれるNOx量を簡単に且つ正確に測定す
ることが出来ることとなったのであり、そこに、産業上
における極めて大きな意義を見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う測定装置に係るNOxセンサを構
成するセンサ素子の一例を示す平面説明図である。
【図2】図1に示されるセンサ素子のA−A断面におけ
る要部拡大説明図である。
【図3】各内部空所における電極加熱温度及び酸素分圧
の制御方式の一具体例を示すグラフである。
【図4】異なる排気ガス温度下におけるセンサ素子の加
熱温度と素子先端からの距離との関係を示すグラフであ
る。
【図5】図3に示される制御の一例におけるNO濃度と
ポンプ電流(Ip)との関係を示すグラフである。
【図6】各内部空所における電極加熱温度と酸素分圧の
制御に係る第二の具体例を示すグラフである。
【図7】図6に示される具体例におけるNO濃度とポン
プ電流(Ip)との関係を示すグラフである。
【図8】各内部空所における電極加熱温度と酸素分圧の
制御に係る第三の具体例を示すグラフである。
【図9】各内部空所における電極加熱温度と酸素分圧の
制御に係る第四の具体例を示すグラフである。
【図10】図9に示される具体例におけるNO濃度とポ
ンプ電流(Ip)との関係を示すグラフである。
【図11】NOx還元触媒を内部ポンプ電極上に積層せ
しめた例を示す、図2に対応する部分図である。
【図12】酸化触媒体を第一の内部空所内に配設せしめ
た例を示す、図2に対応する部分図である。
【図13】酸化触媒体の他の配設例を示す、図2に対応
する部分図である。
【図14】酸化触媒体の更に異なる他の配設例を示す、
図2に対応する部分図である。
【図15】第二の内部空所及び第二の拡散律速手段の異
なる構成の具体例を示す、図2に対応する部分図であ
る。
【図16】図15に示される具体例におけるNO濃度と
ポンプ電流(Ip)との関係を示すグラフである。
【図17】本発明に従う測定装置に係るNOxセンサを
構成するセンサ素子の異なる一例を示す図2に対応する
断面説明図である。
【図18】図17に示されるセンサ素子の変形例を示す
図17に対応する断面説明図である。
【図19】600℃における起電力と酸素分圧との関係
を示すグラフである。
【図20】第一の内部空所と第二の内部空所の温度を6
00℃にして、第一の電気化学的ポンプセルと第二の電
気化学的ポンプセルへの印加電圧を異ならしめた実施例
におけるNO濃度とポンプ電流の関係を示すグラフであ
る。
【図21】第二の内部空所及び第二の拡散律速手段につ
いて、図15に示されるものとは異なる構成の具体例を
示す、図2に対応する部分図である。
【図22】第一の内部空所と第二の内部空所の温度を7
00℃にして、H2 Oの測定を行なった実施例における
2 O濃度とポンプ電流(Ip)との関係を示すグラフ
である。
【図23】第一の内部空所と第二の内部空所の温度を7
00℃にして、CO2 の測定を行なった実施例における
CO2 濃度とポンプ電流(Ip)との関係を示すグラフ
である。
【図24】本発明の原理を説明するためのセンサ素子断
面説明図である。
【図25】従来方法の原理を説明するためのセンサ素子
断面説明図である。
【符号の説明】
2 センサ素子 4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h
固体電解質層 6 第一の内部空所 8 第二の内部
空所 10 基準空気導入通路 12 第一の拡
散律速通路 14 第二の拡散律速通路 16 内側電極 18 外側電極 20 可変電源 22 測定電極 24 基準電極 26 電位差計 28 内部ポン
プ電極 30 定電圧電源 32 電流計 34 アルミナ絶縁層 36 ヒータ 38 酸化触媒体 40 ガス導入
路 42 NOx還元触媒 44、52 多
孔質体 50 平坦空間 56 第一の電
気化学的ポンプセル 58 第二の電気化学的ポンプセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 G01N 27/419

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定ガス中のNOx濃度を測定する方
    法にして、 NOxを含んだ被測定ガスを、第一の拡散抵抗の下に、
    第一の内部空所に導入せしめる一方、該第一の内部空所
    内の被測定ガス中の酸素分圧を、NOが分解しない所定
    の値に制御する工程と、 該第一の内部空所内の、酸素分圧が制御された雰囲気
    を、第二の拡散抵抗の下に、第二の内部空所に導き、該
    雰囲気中のNOを還元乃至は分解して、酸素を発生せし
    める工程と、 かかる発生した酸素を、電気化学的セルの酸素ポンプ作
    用にて該第二の内部空所からポンプアウトする一方、該
    電気化学的セルに流れるポンプ電流値を検出する工程
    と、 被測定ガス中のNOx濃度(Cn)と電気化学的セル
    のポンプ電流値(Ip3 )との関係式:Cn=K・Ip
    3 ―A(但し、K:感度係数、A:第一の内部空所に残
    留する酸素に起因する定数)に基づいて、前記検出され
    たポンプ電流値から被測定ガス中のNOx濃度を算出す
    る工程とを、 含むことを特徴とする被測定ガス中のNOx濃度の測定
    方法。
  2. 【請求項2】 被測定ガス中のNOx濃度を測定する方
    法にして、NOxを含んだ被測定ガスを、第一の拡散抵
    抗の下に、第一の内部空所に導入せしめる一方、該第一
    の内部空所内の被測定ガス中の酸素分圧を制御する工程
    と、 該第一の内部空所内の、酸素分圧が制御された雰囲気
    を、第二の拡散抵抗の下に、第二の内部空所に導き、該
    雰囲気中のNOを還元乃至は分解して、酸素を発生せし
    める工程と、 かかる発生した酸素を、電気化学的セルの酸素ポンプ作
    用にて該第二の内部空所からポンプアウトする一方、該
    電気化学的セルに流れるポンプ電流値を検出する工程
    と、 被測定ガス中のNOx濃度(Cn)と該電気化学的セル
    のポンプ電流値(Ip 3 )との関係式:Cn=K・Ip
    3 ―A(但し、K:感度係数、A:第一の内部空所に残
    留する酸素に起因する定数)に基づいて、前記検出され
    たポンプ電流値から被測定ガス中のNOx濃度を算出す
    る工程とを、 含むことを特徴とする被測定ガス中のNOx濃度の測定
    方法。
  3. 【請求項3】 被測定ガス中のNOx濃度を測定する方
    法にして、 NOxを含んだ被測定ガスを、第一の拡散抵抗の下に、
    第一の内部空所に導入せしめる一方、該第一の内部空所
    内の被測定ガス中の酸素分圧を、被測定ガス中の酸素に
    よる影響を排除した状態に制御する工程と、 該第一の内部空所内の、酸素分圧が制御された雰囲気
    を、第二の拡散抵抗の下に、第二の内部空所に導き、該
    雰囲気中のNOを還元乃至は分解して、酸素を発生せし
    める工程と、 かかる発生した酸素を、電気化学的セルの酸素ポンプ作
    用にて該第二の内部空所からポンプアウトする一方、該
    電気化学的セルに流れるポンプ電流値を検出する工程
    と、 被測定ガス中のNOx濃度(Cn)と該電気化学的セル
    のポンプ電流値(Ip 3 )との関係式:Cn=K・Ip
    3 ―A(但し、K:感度係数、A:第一の内部空所に残
    留する酸素に起因する定数)に基づいて、前記検出され
    たポンプ電流値から被測定ガス中のNOx濃度を算出す
    る工程とを、 含むことを特徴とする被測定ガス中のNOx濃度の測定
    方法。
JP20685198A 1994-04-21 1998-07-22 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法 Expired - Lifetime JP3511468B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20685198A JP3511468B2 (ja) 1994-04-21 1998-07-22 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8306994 1994-04-21
JP6-83069 1994-04-21
JP1459895 1995-01-31
JP7-14598 1995-01-31
JP20685198A JP3511468B2 (ja) 1994-04-21 1998-07-22 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7048551A Division JP2885336B2 (ja) 1994-04-21 1995-03-08 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法及び測定装置

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002063420A Division JP3756123B2 (ja) 1994-04-21 2002-03-08 NOxセンサ並びにNOx濃度の測定方法
JP2003354106A Division JP3571039B2 (ja) 1994-04-21 2003-10-14 被測定ガス中のNOx濃度の測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1194794A JPH1194794A (ja) 1999-04-09
JP3511468B2 true JP3511468B2 (ja) 2004-03-29

Family

ID=32096662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20685198A Expired - Lifetime JP3511468B2 (ja) 1994-04-21 1998-07-22 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3511468B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2278316A1 (en) 2009-07-17 2011-01-26 NGK Insulators, Ltd. Ammonia concentration detection sensor
EP3029457A1 (en) 2014-12-02 2016-06-08 NGK Insulators, Ltd. Gas sensor

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE50003744D1 (de) * 1999-05-19 2003-10-23 Bosch Gmbh Robert Verfahren zur definierten fett-/magersteuerung eines verbrennungsgemisches
JP4563606B2 (ja) * 2000-03-31 2010-10-13 株式会社デンソー 積層型センサ素子
JP4563601B2 (ja) * 2000-03-31 2010-10-13 株式会社デンソー 複合積層型センサ素子
JP4739716B2 (ja) * 2003-09-29 2011-08-03 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング センサ素子
JP4901825B2 (ja) * 2008-08-20 2012-03-21 株式会社日本自動車部品総合研究所 アンモニア検出素子及びこれを備えたアンモニアセンサ
JP2011058834A (ja) * 2009-09-07 2011-03-24 Denso Corp ガスセンサ素子

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2278316A1 (en) 2009-07-17 2011-01-26 NGK Insulators, Ltd. Ammonia concentration detection sensor
EP3029457A1 (en) 2014-12-02 2016-06-08 NGK Insulators, Ltd. Gas sensor
US10048097B2 (en) 2014-12-02 2018-08-14 Ngk Insulators, Ltd. Gas sensor

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1194794A (ja) 1999-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2885336B2 (ja) 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法及び測定装置
US5879525A (en) Apparatus for measuring combustible gas component by burning component
US5763763A (en) Method and sensing device for measuring predetermined gas component in measurement gas
US6076393A (en) Method of measuring a gas component and sensing device for measuring the gas component
JP3272215B2 (ja) NOxセンサ及びNOx測定方法
JPH1090222A (ja) ガスセンサ
JP3664558B2 (ja) ガスセンサ
JP3619344B2 (ja) 窒素酸化物の測定装置
EP0743431B1 (en) Method and system for detecting deterioration of exhaust gas catalyst
JP3511468B2 (ja) 被測定ガス中のNOx濃度の測定方法
JP3771569B2 (ja) NOxセンサ
JP3798412B2 (ja) NOxセンサ
JP3571039B2 (ja) 被測定ガス中のNOx濃度の測定装置
JP3756123B2 (ja) NOxセンサ並びにNOx濃度の測定方法
JPH10282054A (ja) 炭化水素センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031225

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090116

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090116

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100116

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110116

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140116

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term