JP3509458B2 - 新規なコク味調味料 - Google Patents
新規なコク味調味料Info
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Description
ポミオシンに加えて糖及び/又はアミノ酸を添加し加熱
することにより「あつみ」及び「こく」付与物質が生成
する現象を利用した「あつみ」及び「こく」付与機能を
有する調味料素材及びコク味調味料に関する。
チキンエキス、魚介類エキス、野菜エキスなどの天然エ
キスが業務用として広く用いられている。これらの天然
エキスの機能は、食品に複雑な味と幅を与える、「あつ
み」及び「こく」を与える、食品材料の味の不足を補う
などとされている。
り、入手しがたいものであるため、一般的には、これら
天然エキスの一部を用いた加工品及び代替品が製造・市
販され利用されている。また、かつお節、煮干、だし昆
布、シイタケなどの基本だし、及びこれらの天然材料に
食塩、砂糖、うま味調味料、アミノ酸などを配合した風
味調味料も広く使われている。これら市販の天然エキス
の加工品及び代替品などは、その組成がグルタミン酸ナ
トリウムを中心としたアミノ酸、核酸、有機酸などの低
分子物質を主成分に構成されているために、やはり天然
のエキスと比較してみると、呈味が単純であり、ぼけて
いるという欠点を有している。
VP(植物蛋白加水分解物)、HAP(動物蛋白加水分
解物)、酵母エキス等を添加することにより、コク味、
複雑味を付与し、呈味の改善を計っているが、HVP及
びHAPは、分解臭を有しているために、また、酵母エ
キスは、酵母特有の風味を有しているため、自ずからそ
の使用量に制限が生じ、いわゆるモデルとした天然エキ
スとは明らかに呈味・風味が異なり満足できるものでは
なかった。特に、このような調味料は、ビーフブイヨン
や鰹節だし汁のような天然素材の持つ「あつみ」及び
「こく」、天然感、複雑感に欠けるという欠点を有して
いる。
背景下に、本発明は、飲食品にビーフブイヨンや鰹節だ
し汁などの天然素材の持つ「あつみ」及び「こく」を付
与するための新規な調味料素材、コク味調味料、並びに
「あつみ」及び「こく」付与方法を提供することを目的
とする。
解決につき鋭意工夫を重ねた結果、ゼラチン及びトロポ
ミオシンを天然エキス調味料中で加熱を行うと、天然素
材特有の「あつみ」及び「こく」を有する、新規「あつ
み」及び「こく」付与機能を有する高分子成分が生成す
ること、しかもこの物質はゼラチン、トロポミオシン及
びエキス中低分子成分の糖及び/又はアミノ酸の反応に
より生ずるものであることを見いだし、このような知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
く」とは、ビーフブイヨンやかつお節だし汁などの天然
素材の持つ呈味質であり、後味の伸び及び深みを表現す
るものである。このような呈味質は上記に示した、グル
タミン酸ナトリウムなどのアミノ酸類、イノシン酸ナト
リウムやグアニル酸ナトリウムなどの核酸関連化合物及
びHVP、HAPや酵母エキスなどの調味料素材では再
現できないものである。
チン及びトロポミオシンに加えて、糖及び/又はアミノ
酸を含有することを特徴とする新規なコク味調味料素材
に関する。このようなコク味調味料素材はこの形態で流
通に置くことができる。
々の動物や菌類から抽出して得ることのできる物質であ
るが、本発明の目的にはその由来のいずれのものも使用
可能である。トロポミオシンは、周知のように、カルシ
ウムイオン依存的に筋肉の収縮を調節するタンパク質で
あり、動物中の筋肉の約5%を占めることも、これまた
周知の通りである。
ルカリ処理ゼラチン、水溶性ゼラチン及び酵素分解ゼラ
チンなどが知られているが、本発明の目的にはそのいず
れも使用可能である。
ラチンと共に水中もしくは天然エキス中で加熱したとき
に「あつみ」及び「こく」付与機能を有する高分子物質
を与えることができる。
ン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、アラニ
ン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニ
ン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、
ヒドロキシプロリン、トリプトファン、プロリン、チロ
シン、バリン、イソロイシン、ロイシン、リジンのいず
れもが単独もしくは複数の混合状態で使用可能である。
また、その代用物としてアミノ酸を多く含むエキス、例
えばHAP、HVP、酵母エキス等の各種天然エキスの
使用も可能である。
ース、ラムノース、フルクトース、マンノース、6−デ
オキシグルコース、グルコサミン、ガラクトサミン等の
単糖、マルトース、セロビオース、トレハロース、ラク
トース、スクロース等の二糖、又はオリゴ糖のいずれも
が単独もしくは複数の混合状態で使用可能である。ま
た、その代用物として糖蜜、液糖のような糖含有素材、
及び糖を多く含むエキス、例えば野菜エキス等の各種天
然エキスの使用も可能である。
ロポミオシンに加えて、糖及び/又はアミノ酸を水中及
び天然エキス中で加熱することを特徴とする新規なコク
味調味料の製造法に関する。
ブイヨンやかつお節だし汁などの天然素材に特有の「あ
つみ」及び「こく」を付与する機能を有するコク味調味
料は、例えば、以下に示す方法で得ることが可能であ
る。 トロポミオシン、ゼラチンに加えて糖及び/又は
アミノ酸を水中又はカツオエキスやビーフエキスなどの
調味料溶液中に溶解し、「あつみ」及び「こく」付与機
能を有する高分子物質の生成するに適当な条件で加熱す
る。 このような条件は、例えば、50〜150゜Cに
おける、1〜6時間の加熱である。 なお、糖及び/又
はアミノ酸を含む水溶液もしくはエキスをあらかじめ例
えば50〜150゜Cにおいて0.1〜4時間という条
件で前加熱しておくことにより、前記加熱時間を大幅に
短縮することができる。このときのトロポミオシンの添
加濃度は溶液に対して例えば0.01〜10%、ゼラチ
ンの添加濃度は0.01〜10%、糖の添加濃度は0.
01〜30%、アミノ酸の添加濃度0.01〜20%で
ある。また、加熱時において、本水溶液の固形分濃度
を、例えば、5〜80%に調整して反応を行なうが、特
にこの濃度に限定されるものではない。 また、ゼラチ
ンは、周知のように、コラーゲンを水と煮沸して非可逆
適に水溶性に変えたものであるので、加熱して本発明の
コク味調味料を製造する場合のゼラチンとしては、コラ
ーゲンの形態でもよく、またコラーゲンを有する動物の
結合組織、腱、軟骨などそのもの又はこれらのエキスの
形態でもよいことはもちろんである。
宜、透析、限外濾過あるいはエタノール沈澱などの方法
を用いて、高分子画分すなわちタンパク質を中心とした
画分を回収して、本発明の調味料素材が製造される。前
者の場合、すなわち、加熱反応後の調味料溶液はそのま
まの状態で「あつみ」及び「こく」の増強された調味料
溶液となる。
「こく」を付与する物質は、日本料理のだし、たとえ
ば、かつお節、鶏肉、魚貝、こんぶ、牛肉、シイタケな
どの素汁に添加し、西洋料理のスープストック、たとえ
ば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚貝などの素汁に添加し、中華
料理のタン、たとえば、牛肉、鶏肉、豚肉、ハム、貝
柱、アワビ、エビ、スルメ、シイタケ、ハクサイ、セロ
リなどの素汁に添加することにより、これらに「あつ
み」及び「こく」を付与し、その呈味機能を増強させる
ことが判明した。また、前述のごとく、上記の天然エキ
スの加工品及び代替品、特にアミノ酸混合物として比較
的安価に利用できるHVP、HAP、酵母エキスに添加
したり、低品質の安価なビーフエキスに添加した場合に
も、また基本だし素材又は従来の風味調味料に添加し又
はこれと併用した場合にも、味全体をまとめ、「あつ
み」及び「こく」を付与し又はこれを増強するとともに
味の増強がみられ、これらを高品質なものに改良するこ
とができる(本発明の実施態様の第4)。
質の濃度は、これを添加使用する対象とする飲食品、調
味料などに応じてその至適使用量の範囲が異なるが、当
業者であれば簡単な事前トライアルにより適当な使用量
を極めて容易に定めることができる。本発明者の経験で
は、例えば、液中濃度が0.005%〜2%(固型物重
量換算)となるように添加することにより、従来の調味
料素材などに欠けていた「あつみ」及び「こく」を付与
し、味全体を整え、味のぼけを抑制することができた。
の原材料に、ゼラチン、トロポミオシン、糖及びアミノ
酸のうち「あつみ」及び「こく」が発現するために不足
している成分を上乗せ添加し、加熱することにより「あ
つみ」及び「こく」が付与され又は増強された飲食品を
製造する方法に関する。
る飲食品には、いわゆる調味料素材そのものも含まれる
ことは、本発明の、これまでに説明した性質上、明らか
である。
を有する飲食品の製造法についても、飲食品又はその原
材料を、ゼラチン、トロポミオシンに加えて糖及び/又
はアミノ酸の存在下に、これらから「あつみ」及び「こ
く」付与機能を有する物質が生成する条件下で加熱する
ことを除いては、特別の制限はなく、適宜従来の飲食品
の製造法に準ずることができる。
に「あつみ」及び「こく」を付与することができ、又は
既に付与されていた「あつみ」及び「こく」を増強する
こともできる。また、飲食品の原材料から飲食品を加熱
して製造する場合には、差し仕えがなければ、この加熱
工程に上記の「あつみ」及び「こく」付与機能を有する
物質を生成せしめる加熱を兼ねさせることができる。
与機能を有する物質は、先に説明したように、ゼラチ
ン、トロポミオシンに加えて糖及び/又はアミノ酸を水
中もしくは各種素材中で加熱することにより生成する。
従って、本発明に係わる「あつみ」及び「こく」を有す
る飲食品の製造法において、既存の飲食品又は飲食品の
原材料には、少なくとも「あつみ」及び「こく」付与機
能を有する物質の生成しうる程度の水分の含まれている
こと又は添加することを前提とする。
て添加する必要はなく、既存の飲食品又は飲食品の原材
料に既に存在している場合は、それをそのまま利用する
ことができる。ただし、これら4者のうち、少なくとも
1者はあらためて添加しなければならないことは言うま
でもない。
「こく」を付与する物質を得る方法とその添加効果を実
施例をあげて説明する。 なお、本発明の技術的範囲は
これら実施例によって制限されるものではないことはも
ちろんである。
logical Chemistry, 261, 16749(1986))により調製し
たトロポミオシン1gと豚皮ゼラチン1g、グルコース
10g、グルタミン酸3gを水溶液100mlに溶解
し、圧力釜で90゜Cにおいて、6時間加熱を行った。
加熱後の反応液について透析を行い、高分子画分(分
画分子量10,000)すなわちタンパク質を中心とし
た画分を2.5g得た。
メスープに添加し、官能評価を実施した。 配合比は次
の通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20g及び本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。 結果を下記表1に
示す。
Biological Chemistry, 261, 16749(1986))により調
製したトロポミオシン1g、牛骨ゼラチン1g及びキシ
ロース5gを市販ビーフエキス(Bordon Beef Extrac
t)調味料溶液100mlに溶解し、圧力釜で95゜C
において、3時間加熱を行った。 このときのエキス調
味料溶液の固形分濃度(乾重量)を予め15%に調整し
ておいた。 加熱後の反応液について透析を行い、高分
子画分(分画分子量10,000)すなわちタンパク質
を中心とした画分を1.9g得た。
メスープに添加し、官能評価を実施した。 配合比は次
の通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20g及び本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。 結果を下記表2に
示す。
ical Chemistry,261,16749(1986))により調製したトロ
ポミオシン1g、豚皮ゼラチン1g及びアミノ酸(リジ
ン:アルギニン=1:1に含む)5gを市販野菜エキス
調味料溶液100mlに溶解し、圧力釜で95゜Cにお
いて、3時間加熱を行った。 このときのエキス調味料
溶液の固形分濃度(乾重量)を予め15%に調整してお
いた。 加熱後の反応液について透析を行い、高分子画
分(分画分子量10,000)すなわちタンパク質を中
心とした画分を1.9g得た。
メスープに添加し、官能評価を実施した。 配合比は次
の通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20g及び本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。 結果を下記表3に
示す。
皮ゼラチン1gとアミノ酸(グルタミン酸:リジン:ア
ルギニン:ヒスチジン:グリシン:セリン:トレオニ
ン:チロシン:タウリン=3:2:2:2:3:2:
3:2:12に含む)5g及びグルコース2gを市販ビ
ーフエキス(Amostra Beef Extract)調味溶液100m
lに溶解し、圧力釜で90゜Cにおいて、6時間加熱を
行った。このときのエキス調味料溶液の固形分濃度(乾
重量)を予め15%に調整しておいた。加熱後の反応液
について透析を行い、高分子画分(分画分子量10,0
00)すなわちタンパク質を中心とした画分を2.2g
得た。
メスープに添加し、官能評価を実施した。 配合比は次
の通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20g及び本発明調味料粉末0.1gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
た。2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。 結果を下記表4に
示す。
皮ゼラチン1gを、あらかじめ圧力釜で95゜Cにおい
て1時間加熱した、リジン5gとスクロース2gを含む
水溶液100mlに溶解し、圧力釜で90゜Cにおい
て、1時間加熱を行った。加熱後の反応液について透析
を行い、高分子画分(分画分子量10,000)すなわ
ちタンパク質を中心とした画分を3.2g得た。
メスープに添加し、官能評価を実施した。 配合比は次
の通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20g及び本発明調味料粉末0.1gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
た。2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。 結果を下記表5に
示す。
Claims (4)
- 【請求項1】ゼラチン及びトロポミオシンを、糖及び/
又はアミノ酸を添加した水中もしくは糖及び/又はアミ
ノ酸を添加した天然エキス中で加熱することを特徴とす
る新規なコク味調味料の製造法。 - 【請求項2】ゼラチン、トロポミオシンを、あらかじめ
前加熱した糖及び/又はアミノ酸を添加した水中もしく
はあらかじめ前加熱した糖及び/又はアミノ酸を添加し
た天然エキス中において、さらに加熱することを特徴と
する新規なコク味調味料の製造法。 - 【請求項3】請求項1又は2記載のコク味調味料を含有
することを特徴とする天然エキス加工品、天然エキス代
替物、基本だし素材又は風味調味料。 - 【請求項4】飲食品又はその原材料に、ゼラチン、トロ
ポミオシン、糖及びアミノ酸の内「あつみ」及び「こ
く」が発現するために不足している成分を上乗せ添加
し、加熱することを特徴とする「あつみ」及び「こく」
を有する飲食品の製造法。
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