JP3598314B2 - 高融点ポリプロピレンおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高い融点を有するポリプロピレンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来からポリプロピレンは、機械的強度、耐薬品性などに優れているため、種々の用途に用いられている。しかしながら、用途によっては耐熱性が充分ではなく、その工業的利用は限られていた。
【0003】
このため高い融点を有するポリプロピレンを得る試みがなされている。アイソタクチックポリプロピレンの単結晶の融点は、理論上は184℃であるとされており(Flory,P.J.Principles of Polymer Chemistry; Cornell University Press:Ithaca,NY,1953 p568 )、高い融点を有するポリプロピレンを得ることは理論的には可能である。しかしながら、従来のポリプロピレンは、位置選択性、立体規則性が必ずしも高くなく融点を高くすることには限界があった。なお、工業レベルの通常のポリプロピレン(添加剤なし)の融点は、164〜165℃程度である。
【0004】
高い融点を有するポリプロピレンは、メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いて製造し得ることが知られており、たとえば、特開平7−145203号公報には、C1対称を有するメタロセン化合物と非配位性のイオン性化合物からなる触媒成分を使用し、重合温度5℃でポリプロピレンを重合した例が開示されており、その融点は最高で167.2℃である。
【0005】
このような従来技術における状況のもと、本発明者らはメタロセン系のオレフィン重合用触媒を用いて高い融点を有するポリプロピレンを得るべく鋭意検討した結果、メタロセン触媒の配位子の種類、重合温度その他の条件を適宜選択することにより、従来知られていないような高い融点を有するポリプロピレンが得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、耐熱性に優れた高融点ポリプロピレンおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るポリプロピレンは、示差走査熱量計により測定した融点(Tm)が168.0℃ないし168.9℃である。
【0008】
このポリプロピレンは、分子量分布(Mw/Mn)の値が1.85ないし1.86であることが望ましい。本発明に係るポリプロピレンは、融点が高いため、従来のポリプロピ
レンでは、使用できなかった高い耐熱性が要求される用途に用いることができる。
【0009】
本発明に係るポリプロピレンの製造方法は、
(A)エチレン - ビス{1−(2 , 4 , 7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリドと、
(B-1)トリイソブチルアルミニウムと、
(B-3)トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートと
から形成される触媒の存在下に、−30℃ないし−78℃の温度でプロピレンを重合することを特徴としている。
【0010】
本発明のポリプロピレンの製造方法は、高い融点(Tm)を有するポリプロピレンを製造することができる。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る高融点ポリプロピレンおよびその製造方法について具体的に説明する。
【0012】
本発明に係る高融点ポリプロピレンは、示差走査熱量計により測定した融点(Tm)が168℃以上、好ましくは168〜175℃である。
なお、融点(Tm)は、以下のようにして測定される。
【0013】
セイコー社製示差走査熱量計(DSC−220C)を使用し、まず、試料を20℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、2分間200℃で保持した後、−40℃まで10℃/分の速度で降温する。−40℃で5分間保持した後に200℃まで10℃/分の速度で昇温した際に得られる吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。
【0014】
このポリプロピレンは、分子量分布(Mw/Mn)の値が3以下あることが望ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)の値は、以下のようにして測定される。
【0015】
泉州化学社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(SSC7100)を使用し、溶媒としてo−ジクロルベンゼンを用いて、145℃にて測定を行った。キャリブレーションはポリスチレンスタンダードを用いた。
【0016】
本発明に係るポリプロピレンは、13C−NMRで測定した[mmmm]ペンタッドアイソタクティシティーが95〜100%、好ましくは97〜100%の範囲にあることが望ましい。
【0017】
このような本発明に係るポリプロピレンは、アイソタクチックに限らず、シンジオタクチックなどがあり、製法もメタロセン化合物を触媒として用いる方法に限られないが、なかでも
(A)シクロペンタジエニル骨格を有する2個の配位子が2価の結合基を介して結合されているメタロセン化合物(以下単に「メタロセン化合物」という。)と、
(B)(B−1) 有機アルミニウム化合物、
(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(B−3) ホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物
から選ばれる少なくとも1種の共触媒と
から形成される触媒の存在下にプロピレンを重合することによって製造することが望ましい。
【0018】
以下、本発明で用いられるプロピレン重合用触媒を形成する各成分について順次説明する。
(A)メタロセン化合物
メタロセン化合物としては、たとえば下記式(I)で表される化合物が用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
式中、M1 は、周期律表第IV〜VIB族の遷移金属原子を示し、具体的には、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、好ましくはジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムである。
【0021】
R1 、R2 、R3 およびR4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示す。R1 、R2 、R3 およびR4 で示される基のうち、互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。なお、R1 、R2 、R3 およびR4 が各々2ヶ所に表示されているが、それぞれたとえばR1 とR1 などは、同一の基でもよくまた相異なる基でもよい。Rで示される基のうち同一のサフィックスのものは、それらを継いで、環を形成する場合の好ましい組み合せを示している。
【0022】
炭素原子数が1〜20の炭化水素基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0023】
これらの炭化水素基が結合して形成する環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、および前記縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基が挙げられる。
【0024】
炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。
ケイ素含有基としてはメチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0025】
酸素含有基としてはヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0026】
イオウ含有基としては前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などが挙げられる。
窒素含有基としてはアミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0027】
リン含有基としてはジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0028】
これらのうち炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素原子数が1〜4の炭化水素基、炭化水素基が結合して形成されたベンゼン環、炭化水素基が結合して形成されたベンゼン環上の水素原子がメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチルなどのアルキル基で置換された基であることが好ましい。
【0029】
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
【0030】
炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基およびハロゲン原子としては、前記R1 〜R4 と同様の基および原子を挙げることができる。
【0031】
イオウ含有基としては、前記R1 〜R4 と同様の基、ならびにメチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0032】
ケイ素含有基としては、前記R1 〜R4 と同様のケイ素置換アルキル基、ケイ素置換アリール基が挙げられる。
これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはスルフォネート基であることが好ましい。
【0033】
Y1 は、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NR5 −、−P(R5 )−、−P(O)(R5 )−、−BR5 −または−AlR5 −〔ただし、R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子である〕を示す。
【0034】
炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基として具体的には、メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、ジメチル−1,2−エチレン、1,3−トリメチレン、1,4−テトラメチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレンなどのアルキレン基;ジフェニルメチレン、ジフェニル−1,2−エチレンなどのアリールアルキレン基などが挙げられる。
【0035】
炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基として具体的には、クロロメチレンなどの上記炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した基などが挙げられる。
【0036】
2価のケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p−トリル)シリレン、ジ(p−クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン基;アルキルアリールシリレン基;アリールシリレン基;テトラメチル−1,2−ジシリレン、テトラフェニル−1,2−ジシリレンなどのアルキルジシリレン基;アルキルアリールジシリレン基;アリールジシリレン基などが挙げられる。
【0037】
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基などが挙げられる。
2価のスズ含有基としては、上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基などが挙げられる。
【0038】
これらのうち、ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレンなどの置換シリレン基が特に好ましい。
また、R5 は、前記R1 〜R4 と同様のハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0039】
以下に、前記式(I)で表されるメタロセン化合物について具体的な化合物を例示する。
エチレン−ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−クロルベンゼンスルホナト)、
エチレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレン−ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−ビス(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン−(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン−(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0040】
また上記のような化合物中のジルコニウムを、チタニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンに代えた化合物を挙げることもできる。
【0041】
本発明では、前記式(I)で表されるメタロセン化合物のうち、下記一般式(II)または(III)で表されるメタロセン化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物を用いることが望ましい。
【0042】
【化2】
【0043】
式中、M2 は周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
R11は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6の炭化水素基を示し、具体的には、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基;ビニル、プロペニルなどのアルケニル基などが挙げられる。
【0044】
これらのうちインデニル基に結合した炭素原子が1級のアルキル基が好ましく、さらに炭素原子数が1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基およびエチル基が好ましい。
【0045】
R12、R14、R15およびR16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子またはR11と同様の炭素原子数が1〜6の炭化水素基を示す。
R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどが挙げられる。これらのうちフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであることが好ましい。
【0046】
これらのアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどのアリール基などの炭素原子数が1〜20の炭化水素基;
トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどの有機シリル基で置換されていてもよい。
【0047】
X3 およびX4 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、水素原子またはハロゲン原子を示し、具体的には前記X1 およびX2 と同様の原子または基が挙げられる。
【0048】
これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
Y2 は、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NR5 −、−P(R5 )−、−P(O)(R5 )−、−BR5 −または−AlR5 −〔ただし、R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子である〕を示し、具体的には、前記Y1 と同様の原子または基が挙げられる。
【0049】
これらのうち、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることがより好ましい。
【0050】
以下に上記一般式(II)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を示す。
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(1−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(2−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(ペンタフルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o,p−ジクロロフェニル) フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o−トリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(o,o’−ジメチルフェニル)−1−インデニル) ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−エチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−i−プロピルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ベンジルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(p−トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−(m−トリメチルシリレンフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−フェニル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ−(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ−(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジシクロヘキシルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−エチレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルゲルミレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルスタニレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドSO2Me、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムクロリドOSO2Me、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(o−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(m−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(p−メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,3−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,4−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,4,6−トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(o−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(m−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(p−クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,3−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2,6−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(3,5−ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(2−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(3−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(8−メチル−9−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−s−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ペンチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ペンチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(β−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(2−メチル−1−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(5−アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−i−ブチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−ネオペンチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−ネオペンチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ヘキシル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−n−ヘキシル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−アントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(9−フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−エチレン−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−エチレン−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−エチレン−ビス{1−(2−n−プロピル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−エチル−4−(α−ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルゲルミル−ビス{1−(2−n−プロピル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0051】
また上記のような化合物中のジルコニウムをチタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
本発明では、通常前記一般式(II)で表されるメタロセン化合物のラセミ体が触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0052】
このような一般式(II)で表されるメタロセン化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762 号明細書および実施例に準じて製造することができる。
【0053】
次に、一般式(III)で表されるメタロセン化合物について説明する。
【0054】
【化3】
【0055】
式中、M3 は周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
R21およびR22は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示し、具体的には、前記R1 〜R4 と同様の原子または基が挙げられる。
【0056】
これらのうちR21は、炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0057】
R22は、水素原子または炭素原子数が1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特に水素原子あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0058】
R23およびR24は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20のアルキル基を示し、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0059】
これらのうちR23は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。
X5 およびX6 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、水素原子またはハロゲン原子を示し、具体的には前記X1 およびX2 と同様の原子または基が挙げられる。
【0060】
Y3 は、炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NR5 −、−P(R5 )−、−P(O)(R5 )−、−BR5 −または−AlR5 −〔ただし、R5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子である〕を示し、具体的には、前記Y1 と同様の原子または基が挙げられる。
【0061】
以下に上記一般式(III)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を示す。
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−n−ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−フェニルジクロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−トリメチルシリルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(シクロヘキシル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2,7−ジメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−エチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−sec−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ペンチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−n−ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−トリメチルシリルメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−トリメチルシロキシメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−フェニルエチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−フェニルジクロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−クロロメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジエチルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(i−プロピル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(n−ブチル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(シクロヘキシル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−メチルフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−t−ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジフェニルシリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−トリル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジ(p−クロロフェニル)シリレン−ビス{1−(2,3,7−トリメチル−4−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムメチルクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウム−ビス(メタンスルホナト)、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウム−ビス(p−フェニルスルフィナト)、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−3−メチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4,6−ジ−i−プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−エチル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−フェニル−4−i−プロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−エチレン−ビス{1−(2,4,7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac−イソプロピリデン−ビス{1−(2,4,7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0062】
また上記のような化合物中のジルコニウムをチタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げることもできる。
これらの中で、4位にi−プロピル,sec−ブチル,tert−ブチル基などの分岐アルキル基を有するものが、特に好ましい。
【0063】
本発明では、通常前記一般式(III)で表されるメタロセン化合物のラセミ体が触媒成分として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
上記のような一般式(III)で表されるメタロセン化合物は、インデン誘導体から既知の方法たとえば特開平4−268307号公報に記載されている方法により合成することができる。
【0064】
さらに、本発明では、特開平7−145203号公報に開示されているC1対称のメタロセン化合物、たとえばthreo−イソプロピリデン(3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−インデニル)ジルコニウムジメチルなどを用いることもできる。
【0065】
このようなメタロセン化合物(A)は、(B−1) 有機アルミニウム化合物、(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物および(B−3) ホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の共触媒とともにプロピレンの重合に使用される。
【0066】
(B−1) 有機アルミニウム化合物
(B−1) 有機アルミニウム化合物(以下「成分(B−1) 」と記載することがある。)としては、たとえば下記式(IV)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0067】
Ra nAlX3−n … (IV)
式中、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどである。
【0068】
Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。
このような有機アルミニウム化合物として、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
【0069】
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0070】
また(B−1) 有機アルミニウム化合物として、下記一般式(V)で表される化合物を用いることもできる。
Ra nAlY3−n … (V)
(式中、Ra は上記と同様であり、Yは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基であり、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Re は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、Rf およびRg はメチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
(i)Ra nAl(ORb )3−nで表される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(ii)Ra nAl(OSiRc 3)3−n で表される化合物、たとえば
Et2Al(OSiMe3)、(iso−Bu)2 Al(OSiMe3)、(iso−Bu)2 Al(OSiEt3)など、
(iii)Ra nAl(OAlRd 2)3−n で表される化合物、たとえば
Et2AlOAlEt2 、(iso−Bu)2AlOAl(iso−Bu)2 など、
(iv) Ra nAl(NRe 2)3−n で表される化合物、たとえば
Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt、Et2AlN(SiMe3)2、(iso−Bu)2AlN(SiMe3)2 など、
(v)Ra nAl(SiRf 3)3−n で表される化合物、たとえば
(iso−Bu)2 AlSiMe3 など、
(vi)Ra nAl〔N(Rg )AlRh 2〕3−n で表される化合物、たとえば
Et2AlN(Me)AlEt2 、(iso−Bu)2 AlN(Et)Al(iso−Bu)2 など。
【0071】
上記一般式(IV)および(V)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式Ra 3Al、Ra nAl(ORb )3−n、Ra nAl(OAlRd 2)3−n で表わされる有機アルミニウム化合物を好適な例として挙げることができ、Ra がイソアルキル基であり、n=2のものが特に好ましい。これらの有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して用いることもできる。
【0072】
(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物
(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物(以下「成分(B−2) 」と記載することがある。)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0073】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、有機アルミニウム化合物と吸着水または結晶水を反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0074】
なお、該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0075】
アルミノキサンの調製の際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、などのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0076】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
また、アルミノキサンの製造の際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式(VI)で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0077】
(i−C4H9)X Aly (C5H10)Z … (VI)
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。
【0078】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0079】
(B−3) ホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物
(B−3) ホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物(以下「成分(B−3) 」と記載することがある。)としては、下記のよう化合物が挙げられれる。
【0080】
ホウ素原子を含有するルイス酸としては、下記一般式(VII)で表される化合物が例示できる。
BR3 …(VII)
但し、上記式(VII)においてRは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。
【0081】
上記一般式(VII)で表される化合物として具体的には、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。これらのうちではトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンが好ましい。
【0082】
ホウ素原子を含有するイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。
【0083】
具体的には、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられ、
N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ、
ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ、
トリアリールホスフォニウム塩、たとえばトリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0084】
ホウ素原子を含有するイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートも挙げることができる。
【0085】
また、ホウ素原子を含有するイオン性化合物として以下のような化合物も例示できる。(なお、以下に列挙するイオン性化合物において対向イオンはトリ(n−ブチル)アンモニウムであるがこれに限定されない。)
アニオンの塩、たとえばビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ノナボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]デカボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ウンデカボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ドデカボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]デカクロロデカボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ドデカクロロドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレートなど;
ボラン、カルボラン錯化合物、カルボランアニオンの塩、たとえばデカボラン(14)、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなど;
カルボラン、カルボランの塩、たとえば4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボランなど、
さらに、ホウ素原子を含有するイオン性化合物として、以下のような化合物も例示できる。(なお、以下に列挙するイオン性化合物において対向イオンはトリ(n−ブチル)アンモニウムであるがこれに限定されない。)
金属カルボランの塩および金属ボランアニオン、たとえばトリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルテート(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)フェレート(鉄酸塩)(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルテート(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケレート(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)キュブレート(銅酸塩)(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)アウレート(金属塩)(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)フェレート(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロメート(クロム酸塩)(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルテート(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドジカルバドデカボレート)コバルテート(III)、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケレート(III)、トリス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロメート(III)、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガネート(IV)、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルテート(III)、ビス[トリ(n−ブチル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケレート(IV)などが挙げられる。
【0086】
上記のようなホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物は、2種以上混合して用いることができる。
本発明で用いられるプロピレン重合用触媒は、上記のようなメタロセン化合物および共触媒の一部または全部を下記のような担体に担持した固体触媒として使用することもできる。
【0087】
(C)担体
使用される(C)担体(以下「成分(C)」と記載することがある。)としては、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2 などまたはこれらの混合物、たとえばSiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr2O3、SiO2−TiO2−MgOなどを例示することができる。これらの中でSiO2 およびAl2O3 からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0088】
なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0089】
このような(C)担体はその種類および製法により性状は異なるが、本発明で好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m3/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。該担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
【0090】
さらに、(C)担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0091】
プロピレン重合用触媒
本発明で用いられるプロピレン重合用触媒は、前記メタロセン化合物(A)と、有機アルミニウム化合物(B−1) 、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2) およびホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物(B−3) から選ばれる少なくとも1種の共触媒(B)とからなる触媒であってもよく、メタロセン化合物(A)および共触媒(B−1) 〜(B−3) の一部または全部を担体(C)に担持した固体触媒であってもよく、該固体触媒(成分)にプロピレンが予備重合された予備重合触媒であってもよい。
【0092】
固体触媒(成分)は、上記各成分を不活性溶媒中で混合接触させることにより調製することができる。また、予備重合触媒は、上記各成分の存在下、好ましくは前記固体触媒(成分)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にプロピレンを導入することにより得ることができる。
【0093】
プロピレン重合用触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0094】
成分(A)、成分(B−1) 、成分(B−2) 、成分(B−3) および成分(C)を混合接触するに際して、成分(A)の濃度は、約10−4〜2×10−2モル/リットル(溶媒)、好ましくは2×10−4〜10−2モル/リットル(溶媒)の範囲である。成分(A)は成分(C)1g当たり、通常5×10−6〜5×10−4モル、好ましくは10−5〜2×10−4モルの量で用いられる。成分(B−1) のアルミニウムと成分(A)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。成分(B−2) のアルミニウム原子(AlB−2)と成分(B−1) のアルミニウム原子(AlB−1)の原子比(AlB−2/AlB−1)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。成分(A)と成分(B−3) とのモル比(成分(A)/成分(B−3) )は、通常0.01〜10、好ましくは0.5〜5の範囲である。
【0095】
成分(A)、成分(B−1) 、成分(B−2) 、成分(B−3) および成分(C)を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間である。
【0096】
上記のようにして得られた成分(A)、成分(B−1) 〜成分(B−3) が成分(C)に担持されたプロピレン重合用触媒は、成分(C)1g当り成分(A)に由来する遷移金属原子が5×10−6〜5×10−4グラム原子、好ましくは10−5〜2×10−4グラム原子の量で担持され、成分(B−1) および成分(B−2) に由来するアルミニウム原子が10−3〜5×10−2グラム原子、好ましくは2×10−3〜2×10−2グラム原子の量で担持され、成分(B−3) に由来するホウ素原子が5×10−8〜5×10−2グラム原子、好ましくは5×10−7〜5×10−3グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0097】
プロピレン重合用触媒は、成分(A)、成分(B−1) 、成分(B−2) 、成分(B−3) および成分(C)の存在下にプロピレンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよい。予備重合は、上記のような成分(A)、成分(B−1) 、成分(B−2) 、成分(B−3) および成分(C)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にプロピレンを導入することにより行うことができる。
【0098】
予備重合する際には、上記成分(A)は、通常10−6〜2×10−2モル/リットル(溶媒)、好ましくは5×10−5〜10−2モル/リットル(溶媒)の量で用いられる。成分(A)は成分(C)1g当り、通常5×10−6〜5×10−4モル、好ましくは10−5〜2×10−4モルの量で用いられる。成分(B−1) のアルミニウムと成分(A)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。成分(B−2) のアルミニウム原子(AlB−2)と成分(B−1) のアルミニウム原子(AlB−1)の原子比(AlB−2/AlB−1)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。成分(A)と成分(B−3) とのモル比(成分(A)/成分(B−3) )は、通常0.01〜10、好ましくは0.5〜5の範囲である。
【0099】
予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
予備重合で生成するプロピレン重合体は、担体(C)1g当り0.1〜500g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒には、担体(C)1g当り成分(A)は遷移金属原子として約5×10−6〜5×10−4グラム原子、好ましくは10−5〜2×10−4グラム原子の量で担持され、成分(B−1) および成分(B−2) に由来するアルミニウム原子(Al)は、成分(A)中の遷移金属原子(M)に対するモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持され、成分(B−3) は、成分(B−3) 中のホウ素原子として5×10−8〜5×10−2グラム原子、好ましくは5×10−7〜5×10−3グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0100】
予備重合は、回分式あるいは連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下のいずれでも行うことができる。
本発明では、プロピレンの重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、プロピレン自体を溶媒とすることもできる。
【0101】
スラリー重合において用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0102】
重合に際して、メタロセン化合物(A)は、重合系内のメタロセン化合物(A)中の遷移金属原子の濃度として、通常10−8〜10−3グラム原子/リットル、好ましくは10−7〜10−4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。共触媒として有機アルミニウム化合物(B−1)を用いる場合、成分(B−1) 中のアルミニウムと、成分(A)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常5〜10000、好ましくは10〜5000の範囲である。共触媒として有機アルミニウムオキシ化合物(B−2) を用いる場合、成分(B−2) 中のアルミニウムと、成分(A)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常5〜10000、好ましくは10〜5000の範囲である。共触媒としてホウ素原子を含有するルイス酸またはイオン性化合物(B−3) を用いる場合、成分(A)と成分(B−3) とのモル比〔(A−1)/(B−3) 〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.5〜5の範囲である。
【0103】
また、重合に際して固体触媒または予備重合触媒を用いる場合、成分(B−1) と同様の有機アルミニウム化合物および/または成分(B−2) と同様の有機アルミニウムオキシ化合物を添加してもよい。この際、有機アルミニウム化合物および有機アルミニウムオキシ化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、(A)メタロセン化合物中の遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
【0104】
重合方法
本発明では、重合を実施するときには、重合温度は、通常−100〜0℃の範囲である。
【0105】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
【0106】
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
前述のようなプロピレン重合用触媒の存在下に、上記のような条件でプロピレンを重合することにより、示差走査熱量計により測定した融点(Tm)が168℃以上であるポリプロピレンを製造することができる。
【0107】
【発明の効果】
本発明に係るポリプロピレンは、融点が従来のポリプロピレンより高いため耐熱性に優れており、従来のポリプロピレンでは、使用できなかった高い耐熱性が要求される用途に用いることができる。
【0108】
本発明に係るポリプロピレンの製造方法は、融点が従来のポリプロピレンより高いポリプロピレンを製造することができる。
【0109】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0110】
【実施例1】
窒素置換した100mlのステンレス製オートクレーブに水酸化カルシウム上で蒸留脱水したトルエン26.7mlを導入した後、系を液体窒素にて冷却し、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液1.0ml(1.0モル/リットル)、エチレン−ビス{1−(2,4,7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド0.005mmolを導入する。さらに、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート1.0mmolを導入した後、プロピレン7.0リットルを導入することにより重合を開始し、−78℃に冷却しながら2日間攪拌反応させた。重合終了後系を常温まで戻し、プロピレンをパージした後、内容物を塩酸酸性にしたメタノール中に入れ、濾過により生成ポリマーを回収した。
【0111】
生成ポリマーの融点を示差走査熱量計により測定したところ168.9℃であった。また、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した数平均分子量(Mn)は136万、重量平均分子量(Mw)とMnとの比(Mw/Mn)は1.85であった。
【0112】
【実施例2】
実施例1において−78℃で2日間重合する代わりに、−30℃で2時間の重合を行った以外は実施例1と同様にしてプロピレンを重合した。
【0113】
生成ポリマーの融点を、示差走査熱量計により測定したところ168.0℃であった。また、GPCにより測定した数平均分子量(Mn)は101万、重量平均分子量(Mw)とMnとの比(Mw/Mn)は1.86であった。
Claims (3)
- 示差走査熱量計により測定した融点(Tm)が168.0℃ないし168.9℃であることを特徴とするポリプロピレン。
- 分子量分布(Mw/Mn)の値が1.85ないし1.86である請求項1に記載のポリプロピレン。
- (A)エチレン - ビス{1−(2 , 4 , 7−トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリドと、
(B-1)トリイソブチルアルミニウムと、
(B-3)トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートと
から形成される触媒の存在下に、−30℃ないし−78℃の温度でプロピレンを重合することを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
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JP11934796A JP3598314B2 (ja) | 1996-05-14 | 1996-05-14 | 高融点ポリプロピレンおよびその製造方法 |
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JPH09302015A JPH09302015A (ja) | 1997-11-25 |
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- 1996-05-14 JP JP11934796A patent/JP3598314B2/ja not_active Expired - Lifetime
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