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JP3591043B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP3591043B2
JP3591043B2 JP9363495A JP9363495A JP3591043B2 JP 3591043 B2 JP3591043 B2 JP 3591043B2 JP 9363495 A JP9363495 A JP 9363495A JP 9363495 A JP9363495 A JP 9363495A JP 3591043 B2 JP3591043 B2 JP 3591043B2
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健二 寺内
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両等の操舵力を低減するための電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置としては、例えば図6,図7に示すものがある(特公昭63−2830号公報、特開昭55−44013号公報参照)。
【0003】
まず、図6,図7のようにこの電動パワーステアリング装置は、操舵側ピニオンギヤ1とラック3と補助側ピニオンギヤ5と電動モータ7とを備えている。
【0004】
前記操舵側ピニオンギヤ1、ラック3、及び補助側ピニオンギヤ5は、車体側に支持されたギヤボックス9内に収納支持されている。前記操舵側ピニオンギヤ1は、ステアリングシャフト11に連動連結されている。従って、操舵側ピニオンギヤ1はステアリングホイール13の操舵に応じて回転駆動される構成となっている。
【0005】
前記操舵側ピニオンギヤ1は、ラック3に設けた操舵側ラック歯15に噛合している。前記補助側ピニオンギヤ5は、前記ラック3の補助側ラック歯17に噛合している。前記補助側ピニオンギヤ5は、連動シャフト19、及び減速機21を介して前記電動モータ7に連動連結されている。尚、前記ラック3の両端部にはサイドロッド23が連結され、このサイドロッド23は、左右の車輪25のナックルアーム27に連結されている。
【0006】
従って、ステアリングホイール13を操作すると、ステアリングシャフト11を介して操舵側ピニオンギヤ1が回転駆動される。又、ステアリングホイール13の操舵角検出に応じて電動モータ7が回転し、減速機21、連動シャフト19を介して補助側ピニオンギヤ5が回転駆動される。そして、両ピニオンギヤ1,5の回転に応じてラック3が移動し、サイドロッド23、ナックルアーム27を介して車輪25が操舵方向へ転向されることになる。こうして、電動モータ7による操舵力補助を得ながらステアリングホイール13を操舵することができ、操舵力軽減を図ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記電動モータ7や減速機21は、自動車のエンジンルーム内下部に収納されるが、その周辺には多数の他部品が密集しており、減速機21自体はできるだけ小型化するのが肝要である。しかしながら、従来の電動パワーステアリング装置では、操舵側ピニオンギヤ1及び補助側ピニオンギヤ5の歯車諸元及び歯車半径を同一としており、しかも操舵側ピニオンギヤ1の半径はステアリングギヤ比などの車両要件から決定されるため、減速機21の減速比は電動モータ7の諸元によって決まるものとなっていた。このため、減速機21を小型化するには、電動モータ7を大型化しなければならず、電動モータ7の大きさを変えずに減速機21のみを小型化することには限界があった。
【0008】
そこで、この発明は、電動モータ7を大型化せずに減速機21をより小型化することのできる電動パワーステアリング装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ステアリングシャフトに連動連結され、ステアリングホイールの操舵に応じて回転駆動される操舵側ピニオンギヤと、該操舵側ピニオンギヤが噛合する操舵側ラック歯を有すると共に車体側のギヤボックスに支持され、且つ車輪を転向させ得るラックと、該ラックに設けた補助側ラック歯に噛合する補助側ピニオンギヤと、該補助側ピニオンギヤに減速機を介して連動連結され、操舵力補助を行なうために正逆回転可能な電動モータとを備え、前記補助側ピニオンギヤの半径を操舵側ピニオンギヤの半径よりも小さくしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の電動パワーステアリング装置であって、前記操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が異なることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1記載の電動パワーステアリング装置であって、前記操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が同一であることを特徴とする。
【0012】
【作用】
上記手段の請求項1の発明によれば、補助側ピニオンギヤの半径を操舵側ピニオンギヤの半径よりも小さくすることによって、減速機のギヤ比を小さくすることができる。すなわち、ラック軸力は電動モータのモータトルクと減速機の減速比に比例し、補助側ピニオンギヤのピニオン半径に反比例する。従って、補助側ピニオンギヤのピニオン半径を小さくした分、減速機の減速比を小さくすれば、ラック軸力に影響を与えることなく減速機の減速比を小さくすることができる。又、ラック移動速度は電動モータの回転速度と補助側ピニオンギヤの半径とに比例し、減速機の減速比に反比例する。従って、この場合も補助側ピニオンギヤのピニオンギヤ半径を小さくした分、減速機の減速比を小さくすればラック移動速度に影響を与えることなく減速機の減速比を小さくすることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用に加え、操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が異なるため、操舵側ピニオンギヤと補助側ピニオンギヤとの歯数を同一にしながら、補助側ピニオンギヤの半径を小さくすることができる。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1の発明の作用に加え、操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が同一であるため、歯数を少なくして補助側ピニオンギヤの半径を小さくすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、この発明の実施例を説明する。尚、図6,図7と同一構成部分には同符号を付して説明し、また重複した説明は省略する。
【0016】
(第1実施例)
図1は、図7と同様な模式図であり、この発明の第1実施例に係る電動パワーステアリング装置を示している。この第1実施例においても電動パワーステアリング装置としての基本的な構成は図7に示すものと略同一である。
【0017】
一方、この発明の第1実施例では、操舵側ラック歯15及び補助側ラック歯17の歯車諸元を同一とし、特に補助側ピニオンギヤ5の半径を操舵側ピニオンギヤ1の半径よりも小さく設定している。又、この実施例では、前記減速機21として遊星ギヤを用いている。前記減速機21を含めた拡大概略構成を図2に示している。この図2のように減速機21はリングギヤ29、プラネタリーギヤ31、及びサンギヤ33から概ね構成されている。
【0018】
前記リングギヤ29は、減速機21のハウジング35側に設けられている。ハウジング35は車体側に固定されている。前記プラネタリーギヤ31は、リングギヤ29及びサンギヤ33に絡み合っており、プラネタリーキヤリヤ37によって支持されている。プラネタリーキャリヤ37は、前記補助側ピニオンギヤ5に連結シャフト19を介して結合されている。前記サンギヤ33は、前記電動モータ7の出力シャフト39に連結されている。従って、電動モータ7が回転すると、出力シャフト39を介してサンギヤ33が回転し、このサンギヤ33の回転によって固定側のリングギヤ29に対しプラネタリーギヤ31が自転しながら公転する。このため、プラネタリーキヤリヤ37を介して減速した回転が連動シャフト19を介して補助側ピニオンギヤ5へ伝達されることになる。
【0019】
ところで、図2のような遊星ギヤを用いた減速機21の減速比は、サンギヤ33とリングギヤ29との歯数で決まり、減速比が小さい程リングギヤ29の歯数は少なくて良い。サンギヤ33の歯数は電動モータ7の出力トルク等強度的要因で決まり、電動モータ7の大きさが変わらないという前提であれば図3の(a),(b)においてサンギヤ33の直径はφd11=φd21で良い。なお、図3は、(a)が減速比大の場合、(b)が減速比小の場合を示している。そして、(a)に比べて(b)の減速比が小さいという条件では、φd12>φd22となり、減速比が大の(a)に比較して減速比が小の(b)の場合はより小型化を図ることができる。
【0020】
ここで、減速比を変えて歯車減速機21の小型化を図るとしても、ラック軸力、及びラック移動速度に影響があってはならない。電動モータ7の出力トルクとラック3の軸力との関係は、
=T×n/rP2
となる。ここに、F:ラック軸力(kgf)、T:モータトルク(kgfm)、n:減速機の減速比、rP2:補助側ピニオンギヤ5のピニオン半径(m)。
【0021】
上式より、モータを変更しない場合(Tが同じ)で車両も同一(Fが同じ)である場合、ピニオン半径rP2が小さくなれば減速機の減速比nも小さくし、n/rP2を一定にする。すなわち、電動モータ7を変更しない場合、ラック軸力を変えずに減速比を小さくすることができる。
【0022】
また、電動モータ7の回転速度とラック3の移動速度との関係は、
【数1】
=(N/n)×2πrP2=N×2π×n/rP2
となる。ここに、V:ラック移動速度(m/s)、N:モータの回転速度(rps)となる。
【0023】
上式より、rP2/nを同一、即ち補助側ピニオンギヤ5のピニオン半径を小さくして減速機21の減速比を小さくしても同一の電動モータ7を使う場合、ラック移動速度に影響を与えることはない。
【0024】
次に、具体的な数値を用いてラック軸力と減速比等との関係について述べる。
【0025】
まず、操舵側ピニオンギヤ1の半径rP1≒7mm(歯数z=7)とする。ここで、据切りで必要になるラック軸力は445kgfである。又、運転者の操舵力によるラック軸力は運転者が加え得る力を3.0kgf、ステアリングホイール13のハンドル半径を190mm(0.19m)、操舵側ピニオンギヤ1のピニオン半径7mm(0.007m)とすると、3.0kgf×0.19/0.007≒80kgfとなる。従って、電動モータ7が分担するラック軸力は445−80=365kgfとなる。
【0026】
ここで、従来のように補助側ピニオンギヤ5も操舵側ピニオンギヤ1と同一半径(0.007m)とした場合、電動モータ7の最大トルクを0.15kgfmとすると、減速機21の減速比は
【数2】
365kgf×0.007m/0.15kgfm=17.0
となる。
【0027】
一方、この発明の第1実施例では、例えば、操舵側ピニオンギヤ1の半径rP1=7mmに対して、補助側ピニオンギヤ5の半径rP2=5mm(0.005m)、歯数z=5としている。従って、電動モータ7を同一とすると、減速機21のギヤ比は
【数3】
365kgf×0.005m/0.15kgfm=12.2
となり、減速比を小さくすることができる。
【0028】
次に、減速機21の減速比の違いによる寸法への影響を検討してみる。
【0029】
図3の(b)を参照すると、この図のようにプラネタリーギヤが1段の場合に減速比は、減速比=1+φd22/φd21となる。従って、上記のように両ピニオンギヤ1,5の半径が同一のとき減速比17.0の場合は、サンギヤ33の直径φd21=8mmとすると
17.0=1+φd22/8
φd22=128mm
となり、減速比12.2の場合は、
12.2=1+φd22/8
φd22=89.6mm
となり、後者の場合リングギヤ29の直径を著しく小さくすることができ、減速機21の小型化を図ることができるのである。
【0030】
要するに、この発明の第1実施例では、操舵側ラック歯15及び補助側ラック歯17の歯車諸元を変えずに、補助側ピニオンギヤ5の半径を操舵側ピニオンギヤ1の半径よりも小さくすることによって減速機21の小型化を図ることができる。また補助側ピニオンギヤ5の半径を小さくすることができるので、ギヤボックス9の補助側ピニオンギヤ5を収納している周辺を小さくすることができる。スペース上、あるいは重量軽減に際して極めて有利な構造にすることができる。
【0031】
(第2実施例)
図4,図5は、減速機21としてウォームギヤを用いたものである。即ち、この減速機21は、ウォームギヤ41及びウォームホイール43を備えている。ウォームギヤ41は、電動モータ7の出力シャフト39に連結されている。ウォームホイール43は、連動シャフト19を介して補助側ピニオンギヤ5に連結されている。従って、電動モータ7の回転は出力シャフト39、ウォームギヤ41、ウォームホイール43、連動シャフト19を介して、補助側ピニオンギヤ5へ減速して伝達されることになる。
【0032】
そして、この実施例においても、減速機21の寸法への影響について検討すると、上記と同一の条件の設定により減速比17.0と12.2の場合について検討する。この場合、減速比16、ウォームホイールの直径φd≒50mmのものをベースにして検討すると、減速比17.0の場合は、
【数4】
ウォームホイールの直径φd=50mm×17/16=53.1mm
となるのに対し、減速比12.2の場合は、
ウォームホイールの直径φd=50mm×12.2/16=38.1mm
となり、この場合もウォームホイール43の直径を小さくすることによって減速機21の小型化を図ることができる。従ってこの実施例でも、ウォームギヤを用いて上記第1実施例と同様な作用効果を奏することができる。
【0033】
尚、上記各実施例では、操舵側ラック歯15及び補助側ラック歯17の歯車諸元を同じにしてピニオンギヤ1,5の半径を変えたが、両ラック歯15,17の歯車諸元を変えて補助側ピニオンギヤ5の半径を操舵側ピニオンギヤ1の半径よりも小さくすることができる。即ち、補助側ラック歯17のモジュールを操舵側ラック歯15のモジュールよりも小さくして、両ピニオンギヤ1,5の歯数を変えずに補助側ピニオンギヤ5の半径を小さくするのである。
【0034】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明によれば、減速機及び補助側ピニオンギヤ周辺を小型化することができ、スペース上、重量軽減上、極めて有利な構造にすることができる。
【0035】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、操舵側ピニオンギヤと補助側ピニオンギヤとの歯数を変えずに補助側ピニオンギヤの半径を小さくすることができる。
【0036】
請求項3の発明では、請求項1の発明の効果に加え、操舵側ラック歯と補助側ラック歯との諸元が同一であるため、ラックについては従来と同様のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る構成図である。
【図2】減速機周辺を示す拡大概略図である。
【図3】減速比を説明するもので、(a)は減速比が大の場合、(b)は減速比が小の場合を示す概略図である。
【図4】ウォームギヤを用いた減速機周辺の一部省略概略平面図である。
【図5】ウォームギヤを用いた減速機周辺の一部省略概略側面図である。
【図6】従来例に係る電動パワーステアリング装置の概略斜視図である。
【図7】従来例に係る電動パワーステアリング装置の一部省略概略平面図である。
【符号の説明】
1 操舵側ピニオンギヤ
3 ラック
5 補助側ピニオンギヤ
7 電動モータ
9 ギヤボックス
11 ステアリングシャフト
13 ステアリングホイール
15 操舵側ラック歯
17 補助側ラック歯
21 減速機

Claims (3)

  1. ステアリングシャフトに連動連結され、ステアリングホイールの操舵に応じて回転駆動される操舵側ピニオンギヤと、
    該操舵側ピニオンギヤが噛合する操舵側ラック歯を有すると共に車体側のギヤボックスに支持され、且つ車輪を転向させ得るラックと、
    該ラックに設けた補助側ラック歯に噛合する補助側ピニオンギヤと、
    該補助側ピニオンギヤに減速機を介して連動連結され、操舵力補助を行なうために正逆回転可能な電動モータとを備え、
    前記補助側ピニオンギヤの半径を操舵側ピニオンギヤの半径よりも小さくしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が異なることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記操舵側ラック歯と補助側ラック歯との歯車諸元が同一であることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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