JP3585006B2 - ポリオレフィン系フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系フィルムに関し、特にフィルムの透明性に優れ、滑り性、耐ブロッキング性、および巻き特性が共に向上したポリオレフィン系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種の包装材料などに用いられるポリオレフィン系フィルムの滑り性および耐ブロッキング性を向上させる方法が知られている。
【0003】
例えば、特公昭52−16134号公報および特開平3−9938号公報には、ポリオレフィンにゼオライト粉末、球状シリカなどの無機微粒子を添加したポリオレフィン系フィルムが開示されている。これらのポリオレフィン系フィルムは、フィルムの滑り性および耐ブロッキング性を向上させるが、フィルムの透明性および耐スクラッチ性に劣るという問題があった。
【0004】
特開昭49−11945号公報、特開昭57−64522号公報、および特開昭62−39219号公報には、ポリオレフィンに非架橋のアクリル系ポリマー、架橋構造を有する高分子粒子およびトリアジン環を有する縮合型樹脂などの有機ポリマー微粒子を添加したポリオレフィン系フィルムが開示されている。これらのポリオレフィン系フィルムは、上記の無機微粒子を含有するものに比べ、透明性および耐スクラッチ性が向上する。しかし、これらのポリオレフィン系フィルムは、透明性に優れたフィルムを得るために、微粒子の含有量を下げると、フィルムの滑り性および耐ブロッキング性が低下し、反対に、フィルムの滑り性および耐ブロッキング性を向上させるために、微粒子の含有量を上げると、フィルムの透明性が低下するという問題があった。従って、上記有機ポリマー微粒子を含有するポリオレフィン系フィルムは、フィルムの「透明性」と、「滑り性および耐ブロッキング性」とのバランスが不充分であり、高度な市場要求を満足するレベルには到達し得ない。
【0005】
さらに、近年、フィルムの印刷、ラミネートなどの加工装置の自動化が急速に進み、巻き特性の優れたフィルム得ることが所望されている。フィルムの巻き特性を向上させるためには、フィルムを巻く際のフィルム間に巻き込まれる空気を逃げ易くして、巻き込まれた空気に由来するフィルムのしわの発生および巻きずれを可及的に防止する必要がある。このような巻き特性の優れたフィルムは、フィルム内に含まれる微粒子の粒径を大きくすることにより達成され得るが、反対に透明性が低下するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、フィルムの透明性に優れ、滑り性、耐ブロッキング性、および巻き特性が共に向上したポリオレフィン系フィルムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリオレフィン系フィルムは、ポリオレフィン100重量部に対して、有機ポリマー微粒子と不活性微粒子とを合わせて0.01重量部以上1.0重量部以下の割合で含有するポリオレフィン系フィルムであって、該有機ポリマー微粒子および該不活性微粒子が各々0.1μm以上7.0μm以下の平均粒径を有し、そして該有機ポリマー微粒子が10秒以上の水滴保持時間を有する。
【0008】
本発明の好ましい実施態様では、上記有機ポリマー微粒子は、(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを含むモノマー成分から形成される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様では、上記不活性微粒子は無機質粒子である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いられるポリオレフィンには、プロピレン、エチレン、ブテン、および4−メチル−ペンテン−1の単独重合体または共重合体、あるいはこれらの(共)重合体の混合物が挙げられる。
【0012】
本発明のポリオレフィン系フィルムに用いられる有機ポリマー微粒子は、10秒以上、好ましくは1分以上、そしてより好ましくは5分以上の水滴保持時間を有する。
【0013】
本明細書中に用いられる用語「水滴保持時間」とは、水滴が有機ポリマー微粒子層に吸収されて消失するまでの時間を表し、有機ポリマー微粒子の疎水性の度合いを示す指標となる。水滴保持時間は、有機ポリマー微粒子を水平な台上で2枚の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの間に挟持し、上側のフィルムを手で軽く押さえて厚さ2mmの水平な微粒子層を形成した後、上側のフィルムを静かに取り外し、そして得られた微粒子表面に、直径3mmの水滴を高さ1cmの位置より落下させてから水滴が微粒子層内に吸収されて消失するまでの時間を測定することにより得られる。有機ポリマー微粒子の水滴保持時間が10秒未満では、透明性、滑り性および耐ブロッキング性が共に向上したフィルムが得られない。
【0014】
上記水滴保持時間を有する有機ポリマー微粒子は、上記ポリオレフィンの溶融成形温度においては溶融せず、かつ耐熱性を有する有機ポリマーでなる微粒子であれば特に制限されず、該微粒子を構成するポリマーは、付加重合法、重縮合または重付加反応法の任意の方法により得られ得る。さらに、該微粒子を構成するポリマーは、非架橋タイプまたは架橋タイプのいずれでもあり得る、耐熱性を有する点から架橋タイプの有機ポリマー微粒子が好ましい。
【0015】
本発明においては、上記有機ポリマー微粒子は、(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを含むモノマー成分から形成されるポリマーであることが好ましい。
【0016】
このようなポリマーには、(メタ)アクリル系モノマーまたはスチレン系モノマーのホモポリマー、(メタ)アクリル系モノマーのコポリマー、スチレン系モノマーのコポリマー、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとのコポリマーなどが挙げられる。特に、透明性、滑り性、耐熱性、および水滴保持時間のバランスを向上させる点から、架橋タイプの(メタ)アクリル系−スチレン系コポリマーを用いることが好ましい。なお、有機ポリマー微粒子のポリマー組成は、同種または異種のいずれかであり得る。
【0017】
上記(メタ)アクリル系モノマーの例には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸またはそのエステル誘導体、あるいはメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸またはそのエステル誘導体が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。これらのモノマーは、1種またはそれ以上が用いられ得る。さらに、少量であれば、アクリル酸またはメタアクリル酸の金属塩、アミド誘導体、ヒドロキシルエチルエステルまたはジメチルアミノエチルエステルなどの特殊な構造のエステル誘導体などが用いられ得る。
【0018】
上記スチレン系モノマーの例には、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレンまたはその誘導体が挙げられる。特に、スチレンを用いることが好ましい。さらに、全モノマー成分の20重量%以下であれば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどの重合性のビニルモノマーが共重合され得る。
【0019】
このようなポリマーの架橋方法には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールのジアクリル酸エステルまたはジメタクリル酸エステルなどの多官能性モノマーを、有機ポリマー微粒子調製時に混合して共重合させるか、またはポリマー生成後に後架橋させるなどの手段が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0020】
上記ポリマーを微粒子化する方法もまた、特に限定されない。しかし、経済性の点から、乳化重合法または懸濁重合法により、重合時に直接微粒子化する方法を用いることが好ましい。これらの重合方法を採用する場合は、自己乳化性を付与し得る、特殊構造を有する極性モノマーを少量共重合させる手段が採用され得る。
【0021】
このような有機ポリマー微粒子の形状も特に限定はされないが、実質的に球状またはラグビーボール状のいずれかのものが好ましい。
【0022】
さらに、上記有機ポリマー微粒子の水滴保持時間を10秒以上にするための手段も特に限定されないが、通常、以下に示す方法を用いることが好ましい。
【0023】
(1)微粒子を構成するポリマーの組成を、該微粒子の表面が疎水性となるように選択する方法。
【0024】
(2)重合方法または微粒子の調製方法を選択することにより、微粒子の表面に高級アルキル基などの疎水性基を有する成分を遍在させる方法。
【0025】
(3)乳化重合法または懸濁重合法を用いて、ポリマーを直接微粒子化する際に使用する界面活性剤、または自己乳化性を付与するp−ビニルスルホン酸ナトリウム、2(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、N−ビニルピリドン、アクリル酸またはメタクリル酸の金属塩などのモノマーの種類を選択する方法。
【0026】
(4)乳化重合法または懸濁重合法を用いて、ポリマーを直接微粒子化する際に、水などの溶媒から有機ポリマー微粒子を分離するための洗浄を充分に行い、界面活性剤などの親水性の添加剤または残留モノマーを除去する方法。
【0027】
(5)ポリマーを微粒子化した後に、疎水性のモノマーまたはポリマーで微粒子表面を被覆する方法。
【0028】
(6)ポリマーを微粒子化した後に、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などの表面処理剤を用いてポリマー微粒子の表面処理を行う方法。
【0029】
本発明において、上記有機ポリマー微粒子の水滴保持時間を10秒以上にするための手段は、特に経済性の点から、上記(1)〜(4)の方法を用いることが好ましい。
【0030】
本発明のポリオレフィン系フィルムは、さらに不活性微粒子を含有する。
【0031】
本発明に用いられる不活性微粒子は、上記有機ポリマー微粒子以外であれば特に限定されないが、フィルムの透明性、滑り性、耐ブロッキング性、および経済性などのバランスをとる点から、無機微粒子であることが好ましい。
【0032】
このような無機微粒子の例には、シリカ、アルミナなどの酸化物、カオリン、ゼオライト、タルクなどの複合酸化物、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、リン酸カルシウムなどのリン酸塩などが挙げられる。これらの無機質粒子は、天然品または合成品のいずれかであり得る。
本発明に用いられる不活性微粒子の形状は、不定形、球状、角状、柱状、針状、板状などの任意の形状であり得る。
【0033】
本発明に用いられる上記有機ポリマー微粒子および不活性微粒子の平均粒径は、いずれも0.1μm以上7.0μm以下、好ましくは0.2μm以上5.0μm以下の範囲内にあることが必要とされる。有機ポリマー微粒子および不活性微粒子の平均粒径が、0.1μm未満では、フィルムの滑り性および耐ブロッキング性が低下する。これに対して、平均粒径が7μmを超えても、フィルムの滑り性および耐ブロッキング性はそれ以上向上せず、むしろフィルムの透明性が低下する。さらに、本発明に用いられる有機ポリマー微粒子および不活性微粒子は、満足するフィルムの透明性と、滑り性および耐ブロッキング性とを共に得るために粒径分布がシャープであることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明に用いられる有機ポリマー微粒子および不活性微粒子は、粒径の異なる2種類以上の微粒子を特定の割合で配合することが好ましい。このような粒径の異なる微粒子において、小粒径の微粒子(a)は、主にフィルムの滑り性および耐ブロッキング性を向上させ、そして大粒径の微粒子(b)は、フィルムの巻き特性を向上させる目的で配合される。
【0035】
小粒径の微粒子(a)および大粒径の微粒子(b)は、上記有機ポリマー微粒子および不活性微粒子から任意に選択され得る。特に、有機ポリマー粒子を小粒径の微粒子(a)として使用する際には、不活性微粒子を大粒径の微粒子(b)として選択し、そして不活性微粒子を小粒径の微粒(a)として使用する際には、有機ポリマー微粒子を大粒径の微粒子(b)選択することが好ましい。もちろん、微粒子(a)および微粒子(b)は、それぞれ有機ポリマー微粒子と不活性微粒子とからなる混合物であってもかまわない。
【0036】
このような小粒径の微粒子(a)の平均粒径は、0.1μm以上1.5μm以下であり、そして大粒径の微粒子(b)の平均粒径は、1.5μm以上7.0μm以下である。
【0037】
本発明に用いられる上記有機ポリマー微粒子および不活性微粒子の配合量は、ポリオレフィン100重量部に対して合計で0.01重量部以上1.0重量部以下、好ましくは0.02重量部以上0.5重量部以下である。合計の配合量が0.01重量部未満では、フィルムに滑り性および耐ブロッキング性が付与され得ず、そして合計の配合量が1.0重量部を超えると、フィルムの透明性が著しく低下する。
【0038】
本発明に用いられる上記各微粒子が小粒径の微粒子(a)および大粒径の微粒子(b)でなる場合、小粒径の微粒子(a)の配合量は、ポリオレフィン100重量部に対して0.05重量部以上0.9重量部以下、好ましくは0.01重量部以上0.7重量部以下であり、そして大粒径の微粒子(b)の平均粒径は、ポリオレフィン100重量部に対して0.001重量部以上0.5重量部以下、好ましくは0.003重量部以上0.3重量部以下である。
【0039】
上記有機ポリマー微粒子および不活性微粒子の平均粒径および配合量の最適値は、使用する上記ポリオレフィンの種類、ならびにフィルムの厚み、構成、延伸の有無などにより変化するので、目的とするフィルム特性に合わせて上記範囲内で適宜設定され得る。本発明においては、特に小粒径の微粒子(a)として有機ポリマー微粒子、そして大粒径の微粒子(b)として不活性微粒子をそれぞれ用いることが好ましい。
【0040】
本発明のポリオレフィン系フィルムは、フィルムの滑り性を向上させる点から、フィルムの透明性と、耐ブロッキング性および巻き特性との両方を損なわない範囲内で、添加剤が併用され得る。このような添加剤には、上記有機ポリマー微粒子および不活性微粒子以外の有機または無機微粒子、高級脂肪酸アマイド、高級脂肪酸エステル、ワックス、金属石ケンなどの潤滑剤、ならびに、通常のポリオレフィン系フィルムに配合される公知の安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、可塑剤などが挙げられる。本発明において、上記潤滑剤を併用することはむしろ好ましい。
【0041】
本発明のポリオレフィン系フィルムは、上記ポリオレフィン、有機ポリマー微粒子、不活性微粒子および必要に応じて添加剤を混合し、常法により形成することにより得られる。例えば、上記材料は通常、V型ブレンダ、スクリュー型ブレンダ、ドライブレンダ、リボンブレンダ、ヘンシェルミキサーなどの混合機にて均一混合した後、混練ペレット化とされる。次いで、混練ペレット化した上記混合物は、押し出し成形あるいはキャスティングにより未延伸のフィルムとされ、あるいはこの未延伸フィルムを通常の方法を用いて1軸または2軸方向に延伸することにより製造され得る。特に、フィルムの透明性と、滑り性および耐ブロッキング性、ならびに巻き特性とを共に向上させる点から、2軸延伸フィルムとすることが好ましい。さらに、本発明のポリオレフィン系フィルムは、単層構造または2層以上の積層構造のいずれかを有し得る。ここで、本発明のポリオレフィン系フィルムが積層構造でなる場合は、有機ポリマー微粒子および不活性微粒子が表面層に配合されることが好ましい。
【0042】
さらに上記フィルムに対して、フィルムの接着性を高めるために通常のコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理などの表面処理が施され得る。
【0043】
このようにして、本発明のポリオレフィン系フィルムが得られ得る。
【0044】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明を制限するものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での変更は、全て本発明の技術範囲に包含される。
【0045】
本実施例および比較例に用いる測定方法は以下の通りである。
【0046】
(1)有機ポリマー微粒子および不活性微粒子の平均粒径をコールターカウンター法により測定した。
【0047】
(2)曇価
ポリオレフィン系フィルムの透明性を評価するために、JIS−K6714に準拠して、ポリオレフィン系フィルムの曇価を、東洋精機製作所社製ヘーズテスターJにより測定した。
【0048】
(3)狭角拡散透過値
ポリオレフィン系フィルムの透明性を評価するために、東洋精機製作所社製の視覚透明度試験機により、ポリオレフィン系フィルムの狭角拡散透過値を測定した。測定値が小さい程、透明度が高いことを示す。
【0049】
(4)摩擦係数
ポリオレフィン系フィルムの滑り性を評価するために、20℃かつ65%のRH下における、ポリオレフィン系フィルムの摩擦係数をASTM−D1894に準拠して測定した。
【0050】
(5)耐ブロッキング性
ポリオレフィン系フィルムをカッターで80mm×120mmに裁断し、この裁断片2枚を長手方向において上下に20mmずつずらして重ね合わせたものをサンプルとする。このサンプルを、タイプ用紙と交互に5組重ね合わせ、次いでガラス板で挟み、2kgの加重をかけ50℃にてで48時間放置する。その後、サンプルを取り出して放冷し、長手方向に20mm幅に裁断してサンプル片とする。このサンプル片を引張り試験器にかけ、そして引張り速度200mm/分にて剪断応力を測定した。
【0051】
(6)空気抜け速さ
ポリオレフィン系フィルムの巻き特性を評価するために、フィルムの空気抜け速さを測定した。
【0052】
図1に示す装置を用いて、ポリオレフィン系フィルムの空気抜け速さの測定方法を示す。すなわち、ポリオレフィン系フィルム4を、リング状の台盤1上に置いた後、リング状のフィルム押さえ2をフィルム4の上から台盤1に載せ、張力をかけた状態でフィルム4を固定する。次いで、フィルム押さえ2上に別のポリオレフィン系フィルム5を置き、該フィルム5上にさらに別のリング状のフィルム押さえ8を載せ、ネジ3を用いてフィルム押さえ8、2、および台盤1を固定する。ここで、フィルム押さえ2は、上面に円形の溝孔2a、該溝孔2aの一部とフィルム押さえ2の外側部分とが連通する孔2c、および該溝孔2aの一部とフィルム押さえ2の内側部分とが連通する細孔2dを備える。
【0053】
空気抜け速さの測定において、細孔2cにパイプ7を介して接続された真空ポンプ6を作動させることにより、フィルム5は、溝孔2aに吸い付けられて、張力が加わえられる。さらに、フィルム4およびフィルム5の重なり合ったフィルム重なり部Xもまた、フィルム押さえ2内の細孔2dを介して減圧されるので、フィルム4およびフィルム5はその重なり合った部分X間で、外周部から密着し始める。密着状態は、フィルム重なり部Xの上部から干渉縞を観察することによって把握し得る。従って、フィルム重なり部Xの外周に干渉縞が生じてから、フィルム重なり部Xの全面に干渉縞が拡がり、干渉縞の動きが止まるまでの時間(秒)を測定し、この時間(秒)を「空気抜け速さ」とした。空気抜け速さの時間が短いほど、フィルムの巻き特性は良好となる。
【0054】
(比較例A)
メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/スチレン/ジビニルベンゼン=36/27/36/1(重量比)からなるモノマー成分から公知の乳化重合法により球状の架橋アクリル−スチレン共重合体微粒子を重合調製した。この共重合体粒子を、乳化液から分離して5回水洗し、共重体微粒子表面に付着した界面活性剤を除去した。この共重合体微粒子は、水滴保持時間が10分以上であり、平均粒径が1.1μmのほぼ単分散の粒径分布を示した。
【0055】
次いで、メルトインデックスが2.5g/10分のポリプロピレン100重量部に、上記共重合体微粒子0.15重量部、平均粒径が2.8μmの不定形シリカ0.01重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.3重量部、およびエルカ酸アミド0.3重量部を加えて混合した。この混合物を、樹脂温度270℃で溶融押し出しし、次いで、90℃の冷却ロールで急冷して、厚さ0.90mmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを、縦延伸機により、そのロール周速差を用いて、延伸温度145℃下で縦方向に4.5倍延伸し、次いで、テンター式延伸機により延伸温度155℃下で横方向に8.0倍延伸した。次いで、160℃で熱処理を行い、厚さ約25μmの2軸延伸フィルムとした後、片面にコロナ処理を施した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0056】
(比較例1)
乳化液から架橋アクリル−スチレン系共重合体粒子を分離する際に、1回のみの水洗を行って得た、水滴保持時間が2秒以内の架橋アクリル−スチレン系共重合体粒子を用いたこと以外は、比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0057】
(比較例2)
不定形シリカを配合しなかったこと以外は、比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例3)
架橋アクリル−スチレン系共重合体粒子を配合しなかったこと以外は比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例4)
架橋アクリル−スチレン系共重合体粒子の配合量を0.03重量部にしたこと以外は、比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0060】
(比較例5)
架橋アクリル−スチレン系共重合体粒子の配合量を1.2重量部にしたこと以外は、比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0061】
(実施例2)
メチルメタアクリレート/トリメチロールプロパントリメタクリレート=98/2(重量比)からなるモノマー成分を、比較例Aと同様の方法を用いて、水滴保持時間が8分で、かつ平均粒径が2.5μmの球状の架橋アクリル系微粒子を得た。
【0062】
次いで、比較例Aと同様のポリプロピレン100重量部、上記架橋アクリル系微粒子0.04重量部、および平均粒径が0.9μmのほぼ単分散の粒径分布を示す、シランカップリング処理を施した球状の合成ゼオライト0.10重量%を用いて、比較例Aと同様の方法によりポリオレフィン系フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0063】
(比較例6)
乳化液から架橋アクリル系微粒子を分離する際に、1回のみの水洗を行って得た、水滴保持時間が2秒以内の架橋アクリル系微粒子を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を、表1に示す。
【0064】
(比較例7)
合成ゼオライトを配合しなかったこと以外は、実施例2と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0065】
(比較例8)
架橋アクリル系微粒子を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0066】
(比較例B)
スチレン/ジビニルベンゼン=98/2(重量)からなるモノマー成分を、比較例Aと同様の方法を用い、次いでポリマー型のシランカップリング剤で表面処理することにより、水滴保持時間が10分以上、および平均粒径が1.2μmの球状で、かつ単分散の粒径分布を示す架橋ポリスチレン微粒子を得た。
【0067】
この架橋ポリスチレン系微粒子を0.12重量部配合したこと以外は比較例Aと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0068】
(比較例9)
ポリマー型のシランカップリング剤で表面処理を行わずに得られた水滴保持時間が2秒以内の架橋ポリスチレン系微粒子を用いたこと以外は、比較例Bと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0069】
(比較例10)
樹脂組成物中に、不定形シリカを配合しなかったこと以外は、比較例Bと同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1に示されるように、実施例2で得られたポリオレフィン系フィルムは、比較例1〜10のフィルムと比べて、いずれも透明性に優れ、滑り性、耐ブロッキング性、およびフィルム巻き特性が共に優れていた。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルムの透明性に優れ、滑り性、耐ブロッキング性、および巻き特性が共に向上したポリオレフィン系フィルムが提供される。これらのフィルムは、例えば、各種の包装用材料などに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム巻き特性を表す「空気抜け速さ」を測定する装置の断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 台盤
2, 8 フィルム押さえ
2a 溝孔
2c 孔
2d 細孔
3 ネジ
4, 5 ポリオレフィン系フィルム
6 真空ポンプ
7 パイプ
X フィルム重なり部
Claims (2)
- ポリオレフィン100重量部に対して、球状の有機ポリマー微粒子と球状の無機微粒子とを合わせて0.01重量部以上1.0重量部以下の割合で含有するポリオレフィン系フィルムであって、該有機ポリマー微粒子および該無機微粒子が各々0.1μm以上7.0μm以下の平均粒径を有し、かつ該有機ポリマー微粒子の平均粒径は該無機微粒子の平均粒径と異なり、小粒径の微粒子の配合量はポレオレフィン100重量部に対して0.05重量部以上0.9重量部以下であり、そして該有機ポリマー微粒子が10秒以上の以下に定義される水滴保持時間を有する、ポリオレフィン系フィルム:
該水滴保持時間とは、水滴が有機ポリマー微粒子層に吸収されて消失するまでの時間を表し、有機ポリマー微粒子の疎水性の度合いを示す指標であり、該水滴保持時間は、有機ポリマー微粒子を水平な台上で2枚の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの間に挟持し、上側のフィルムを手で軽く押さえて厚さ2mmの水平な微粒子層を形成した後、上側のフィルムを静かに取り外し、そして得られた微粒子表面に、直径3mmの水滴を高さ1cmの位置より落下させてから水滴が微粒子層内に吸収されて消失するまでの時間を測定することにより得られる。 - 前記有機ポリマー微粒子が、(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを含むモノマー成分から形成される、請求項1に記載のポリオレフィン系フィルム。
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