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JP3961035B2 - 空洞含有ポリオレフィン系フィルム - Google Patents

空洞含有ポリオレフィン系フィルム Download PDF

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JP3961035B2
JP3961035B2 JP18419495A JP18419495A JP3961035B2 JP 3961035 B2 JP3961035 B2 JP 3961035B2 JP 18419495 A JP18419495 A JP 18419495A JP 18419495 A JP18419495 A JP 18419495A JP 3961035 B2 JP3961035 B2 JP 3961035B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、空洞含有ポリオレフィン系フィルムに関し、より詳しくは、種々の包装材料、印刷材料等の好適な空洞含有ポリオレフィン系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、パール調、マット調等の表面性状に優れるとともに、柔軟性や腰等の機械的特性等においても優れたフィルムであることから、従来より種々の包装材料、印刷材料として使用されるだけでなく、その優れたクッション性から感熱記録体の支持体としても活用されている。空洞含有ポリオレフィン系フィルムに空洞を形成する方法としては、ポリオレフィン系樹脂中に炭酸カルシウム、二酸化珪素等の無機微細粒子とポリオレフィンとの組成物、またはポリオレフィンに対して非相溶の樹脂を押出機のスクリューによってポリオレフィン中に分散させた組成物を延伸する方法が知られている。
【0003】
近年、印刷加工の高速化に伴い、フィルムのインキ接着性の向上が望まれている。また光沢改善層を積層して高光沢化された感熱記録体においては、表面が平滑であるために、その上に形成される画像受像層との接着性の向上が望まれている。しかし、これらの空洞含有ポリオレフィン系フィルムでは、主原料の樹脂がポリオレフィンであるため、インキ接着性や画像受像層との接着性に問題がある。
【0004】
また、近年、要求の高まってきている表面光沢の優れた空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、光沢改善のためにその表面が非常に平滑となっており、インキ接着性や画像受像層との接着性が著しく劣る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の欠点を解決しようとするものであり、その目的は、表面接着性に優れ、さらには表面光沢性にも優れた空洞含有ポリオレフィン系フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空洞含有ポリオレフィン系フィルムが、基材層と、基材層の少なくとも片面に形成された表面光沢改善層を含有し、基材層が、ポリオレフィン系樹脂と空洞形成開始剤とを含有する組成物からなり、表面光沢改善層が、ポリオレフィン系樹脂と微粒子とを含有する組成物からなり、空洞含有ポリオレフィン系フィルムの少なくとも片面の濡れ張力が40dynecm以上であることを特徴とする空洞含有ポリオレフィン系フィルムである。
好適な実施態様は、少なくとも表面光沢改善層の表面の濡れ張力が40dynecm以上である。
より好適な実施態様は、上記空洞形成開始剤が、有機質の架橋高分子微粒子であり、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、1.6〜40重量部含有され、平均粒径が0.1〜7μmであり、水滴保持時間が5分以下である。
さらにより好適な実施態様は、表面光沢改善層に含有される微粒子が、表面光沢改善層に含有されるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.05〜1.5重量部含有され、平均粒径が0.1〜7μmであり、水滴保持時間が5分以上である。
【0007】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、少なくとも片面の濡れ張力が40dynecm以上であり、好ましくは41dynecm以上、特に好ましくは42dynecm以上である。ここで、フィルム面の濡れ張力とは、フィルムのぬれの尺度を示すものであり、フィルムに液体を塗布したときの液体の表面張力をいう。濡れ張力は、JIS K−6788に準拠して測定されるものであり、23℃、50%RHの室内に6時間以上放置したフィルムを用いて、ホルムアミドとエチレングリコールの各割合の混合液を塗布し、2秒後の液膜の表面張力を測定したものである。フィルムの濡れ張力が高いほど表面接着性が良好となる。濡れ張力が40dynecm未満の場合、フィルムの表面接着性が悪いため、インキ接着性やその上に形成される画像受容層との接着性が不良となる。
【0008】
また本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、微細な空洞が多数均一に分散されたポリオレフィン系フィルムであり、見かけ比重が好ましくは0.50〜0.80、より好ましくは0.55〜0.75である。見かけ比重が0.80を超える場合、軽量性およびクッション性が劣り、逆に0.50未満の場合、フィルムの腰および機械的強度が劣り好ましくない。
【0009】
また本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、基材層と表面光沢改善層からなる複層構造である場合には、表面光沢度が好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。この表面光沢度はJIS Z 8741に準拠して測定される。表面光沢度が80%未満の場合、この空洞含有ポリオレフィン系フィルムをグラビア印刷やオフセット印刷を行った印刷物の表面や、あるいは表面光沢改善層上にさらに画像受容層を形成した感熱記録体に転写された画像がザラついた感じとなって好ましくない。
【0010】
本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、好ましくはポリオレフィン系樹脂と空洞形成開始剤とを含有し、より好ましくは、基材層と基材層の少なくとも片面上に形成される表面光沢改善層を含む複層構造であってもよい。この場合、基材層は、ポリオレフィン系樹脂と空洞形成開始剤とを含有する組成物からなり、ポリオレフィン系樹脂と微粒子とを含有する組成物からなる。
【0011】
基材層に含有されるポリオレフィン系樹脂としては、例えばプロピレン、エチレン、ブテン、4−メチルぺンテン−1等の公知のオレフィンをモノマー成分とする単独重合体や共重合体もしくはそれらの任意の混合物が使用される。
【0012】
空洞形成開始剤は、延伸工程において、ポリオレフィン系樹脂との界面で剥離が生じて空洞を形成し得るものであり、ポリオレフィン系樹脂と非相溶であり、ポリオレフィン系樹脂の溶融成形温度で溶融することがなく、かつ同温度に耐える耐熱性を有しかつ耐溶剤性を有する材料からなるものであれば特に制限はなく、例えば次の無機質微粒子や有機質微粒子が挙げられる。無機質微粒子は、ポリオレフィン系樹脂に不活性な無機質微粒子であり、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ゼオライト、カオリン、タルク等が挙げられる。有機質微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー等のスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、シクロペンタジエン系の石油樹脂等の高分子からなる微粒子が挙げられる。これらの高分子は、付加重合法、重縮合法、重付加反応法等の任意の方法で製造される。中でも特に耐熱性および耐溶剤性に優れることから、架橋された高分子からなる微粒子が好ましい。このような架橋された高分子は、ポリオレフィン系樹脂への分散性が良好で、微細な空洞を均一に形成でき、高品質の空洞含有フィルムが得られることから、(メタ)アクリル系モノマーやスチレン系モノマーをモノマー単位として含んで架橋された樹脂が好ましく、特に(メタ)アクリル−スチレン系の共重合架橋高分子が好ましい。
【0013】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸またはそのエステル誘導体が挙げられ、これらのモノマーは単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用することもできる。また、少量であれば(メタ)アクリル酸の金属塩、アミド誘導体、ヒドロキシエチルエステル、ジメチルアミノエステル等の誘導体を併用しても構わない。
【0014】
スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレンまたはその誘導体が挙げられる。また全モノマー成分中の含有率が20重量%程度以下であれば酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーを配合することも有効である。
【0015】
架橋法としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、シランカップリング剤、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマーを架橋剤として使用し、高分子製造時に架橋させて微粒子とするか、あるいは非架橋構造の高分子製造後に架橋させて高分子微粒子とするか、どちらの方法であってもよい。
【0016】
上記の空洞形成開始剤は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1.6〜40重量部、より好ましくは2.0〜30重量部含有される。この含有量が1.6重量部未満の場合、ポリオレフィン系フィルムに十分な空洞を形成することができず、得られるフィルムの軽量性およびクッション性が不十分となり、逆に40重量部を超えるとポリオレフィン系樹脂の含有量が少なくなって、得られるフィルムの柔軟性や腰等の機械的特性が劣り、またフィルムの製膜性、延伸性が劣るので好ましくない。
【0017】
また上記微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜7μm、より好ましくは0.5〜5.0μmである。この平均粒径が0.1μm未満の場合、微粒子の含有量がたとえ多くても十分な空洞を形成することができず、得られるフィルムの軽量性およびクッション性が不十分となり、逆に7μmを超える場合、得られるフィルムの表面凹凸が大きくなって平滑でなく表面光沢性に劣り、またフィルムの製膜性、延伸性が劣るので好ましくない。上記微粒子は粒度分布の小さいものが好ましい。
【0018】
さらに上記微粒子の水滴保持時間は、好ましくは5分以下、より好ましくは 3分以下である。ここで水滴保持時間とは、下記の方法で測定される値であって、微粒子の疎水性の度合いを示す指標となるものである。
【0019】
(水滴保持時間の測定法)
微粒子を水平で平滑な台上で2枚の2軸延伸ポリプロプレンフィルムの間に挟持し、上側フィルムを手で軽く押さえて厚さ2mmの平滑な微粒子層を形成した後、上側フィルムを静かに取り外す。得られた微粒子層の表面にスポイトで直径3mmの水滴を高さ1cmの位置から落とし、該水滴が微粒子層に吸収されて消失するまでの時間を測定し、疎水性の指標とする。
この水滴保持時間が5分を超える場合、延伸時にポリオレフィン系樹脂と微粒子間の界面剥離が起こり難くなってボイドを形成させ難くなって高い空洞率が得られ難い。
【0020】
上記基材層上に、好ましくはポリオレフィン系樹脂と微粒子とを含有する組成物からなる表面光沢改善層が形成される。この表面光沢改善層により、本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、その表面光沢性が高められる。
【0021】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、前述の基材層に含有されるポリオレフィン系樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
上記微粒子としては、上記と同様の無機質微粒子、有機質架橋高分子微粒子等の有機質微粒子が挙げられる。これら微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜7μm、より好ましくは0.2〜2.5μmである。平均粒径が0.1μm未満の場合、得られるフィルムの表面が平滑になりすぎるために耐ブロッキング性が劣り、逆に7μmを超える場合、得られるフィルムの表面凹凸が大きくなって満足のいく光沢が得られなくなる。またこれらの微粒子の含有量は、優れた表面光沢を保証するため、基材層中の含有量よりも少なく押さえることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜1.5重量部、より好ましくは0.08〜1.00重量部である。微粒子の含有量が0.05重量部未満の場合、得られるフィルムの表面が平滑になりすぎるために耐ブロッキング性が劣り、逆に1.5重量部を超える場合、得られるフィルムの表面凹凸が大きくなって満足のいく光沢が得られなくなる。
【0022】
またこの微粒子の水滴保持時間は、好ましくは基材層に含有される微粒子の水滴保持時間と異なり、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上である。水滴保持時間が5分未満の場合では、延伸時にポリオレフィン系樹脂との界面剥離が起こり易くボイドが大きくなり過ぎて、高い光沢のフィルムが得られ難くなるので好ましくない。
【0023】
上記の微粒子の平均粒径、含有量、水滴保持時間の最適値は、ポリオレフィン系樹脂の種類やフィルムの厚さ、要求特性等によっても変わってくるので目的とするフィルム特性に応じて上記範囲から最適値を設定すればよい。
また、基材層や表面光沢改質層に、上記空洞形成開始剤や微粒子以外に他の有機質樹脂や無機質微粒子を併用したり、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ワックス、金属石鹸等の潤滑剤を併用するなとによって隠蔽性、滑り性、生産性などを高めることも有効である。特に、本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムを感熱記録体として使用する場合には、隠蔽性および白色度調整のために、フィルム欠陥がなく、耐溶剤性、生産性を損なわない範囲で二酸化チタンを添加することは有効である。また、通常のポリオレフィン系フィルムに配合される公知の安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、加工肋剤、可塑剤などを適宜配合することも可能である。
【0024】
基材層の厚みは特に限定されないが、最も一般的な厚みは15〜250μmの範囲である。表面光沢改善層の厚みは、基材層の空洞に起因する表面凹凸を平滑化し、かつ、基材層のクッション性を確保し得る範囲で、基材層に含有される微粒子の含有量や平均粒径などを考慮して適宜選択されるが、好ましいのは0.5〜15μmの範囲である。本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、複層構造である場合、基材層/表面光沢改善層であっても、表面光沢改善層/基材層/表面光沢改善層であってもよい。その場合、表面光沢改善層の厚みは合計層の厚みとなる。
【0025】
本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムの製造は、例えば複層構造である場合には以下のように行われる。ポリオレフィン系樹脂に有機質架橋高分子微粒子等の微粒子、必要により他の添加剤を配合する。この配合方法としては、特に制限はないが、V型ブレンダー、スクリュー型ブレンダー、ドライブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用して均一に混合した後、混練ペレット化する方法が一般的である。このペレットを使用して以下に例示される方法によりフィルムが製造される。
a:2台の押出機を使用し、1台の押出機より、基材層を構成する樹脂組成物を溶融押し出しするとともに、他の押出機より表面光沢改善層を構成する樹脂組成物を溶融押し出しし、それらをダイス内またはダイス外で重ね合わせて積層し、次いで延伸する方法。
b:予めシート状に押し出し成形した基材層構成シートを、そのままもしくは1軸延伸し、その片面もしくは両面に表面光沢改善層を溶融押し出しして積層し、次いで延伸する方法。
c:基材層と表面光沢改善層を夫々予め製造しておき、これらを事後的に貼り合わせて複合し、次いで延伸する方法。
d:基材層と表面光沢改善層を夫々予め製造し、更に1軸もしくは2軸に延伸しておき、これらを事後的に貼り合わせて複合する方法。
【0026】
尚、延伸に当たっては、面積倍率で8〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸すると、延伸工程で前述の如く基材層内には空洞率の高い大きめの空洞が形成され、一方表面光沢改善層内には実質的に空洞が形成されないフィルムが得られる。
【0027】
逐次2軸延伸を行う場合の条件としては、まず縦方向に40〜170℃程度の温度で3〜7倍延伸し、次いで横方向に前記延伸温度よりも若干高い温度でかつ200℃以下で6〜10倍程度に延伸するのがよく、通常はその後130〜210℃で熱固定処理が行われる。
【0028】
この延伸工程では、ポリオレフィン系樹脂と架橋高分子微粒子との界面で剥離が起こってその周囲に微細な空隙ができ、分散された該微粒子の数に応じた数の微細な空洞が無数に形成されるが、前述の如く基材層と表面光沢改善層に含有される微粒子の粒径、配合量、水滴保持時間などを変えることによって、基材層では相対的に空洞率が高く、一方、表面光沢改善層には実質的に空洞を含まないフィルムが得られる。
【0029】
このようにして得られたフィルムの濡れ張力を40dynecm以上にする方法は特に限定されないが、例えば、フィルム表面にコロナ放電処理(高電圧発生器に接続した電極と、絶縁物により被覆された金属ロール間に数千〜数万Vの電圧をかけると、高圧コロナが発生する。この間にフィルムを一定速度で通すことによりフィルム表面とオゾン、酸化窒素等が反応して親水化する)、不活性ガス雰囲気下でのコロナ放電処理(例えば、窒素雰囲気下において上記コロナ処理を施す)、火炎処理(フィルム火を表面を火炎により高温処理することにより、水素がとんで二重結合の生成や表面の酸化によってぬれ張力が向上する)、紫外線照射処理(フィルム表面に200〜400nmの紫外線を照射することによりぬれ張力が向上する)等の活性線照射処理やフィルム表面に極性の高いポリマー(共重合ポリエステル、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコール等)を塗布する等の手段を施すことによって達成できる。
【0030】
該処理はフィルム製造工程の中で行ういわゆるインライン処理で行っても良いし、製造されたフィルムに後工程として処理するいわゆるオフライン処理でおこなっても良い。経済性の点より不活性ガス雰囲気下でのコロナ放電処理をインライン処理する方法が最も好適であり、推奨される。
【0031】
このような処理は、空洞含有ポリオレフィン系フィルムの少なくとも片面に行われ、空洞含有ポリオレフィン系フィルムが基材層と表面光沢改善層の複層構造である場合には、少なくとも表面光沢改善層上に行われる。このような処理面は、従来の空洞含有ポリオレフィン系フィルムに比較して表面接着性に優れたものとなる。従って、この処理面上にグラビア印刷やオフセット印刷を行うと、表面接着性に優れているため、インキ接着性が良好となって印刷の高速化対応が可能となる。また感熱記録体として使用するために、この処理面上に画像受像層を形成すると、空洞含有ポリオレフィン系フィルムとこの画像受像層との接着性が良好となる。
【0032】
また、本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、基材層と表面光沢改善層の複層構造とすることにより、表面光沢性に優れ、かつ表面平滑性と耐ブロッキング性が両立したフィルムとなる。このようなフィルムにおいても、表面接着性に優れているため、インキ接着性が良好となって印刷の高速化対応が可能となり、かつ画像受像層との接着性が良好となる。
【0033】
さらに、本発明の空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、従来の空洞含有ポリオレフィン系フィルムと同様に空洞を含有しているため軽量でクッション性に優れ、またポリオレフィンを主成分としているため柔軟性および機械的強度にも優れたフィルムとなる。
【0034】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で用いた測定方法は次のとおりである。
(見掛け比重)
空洞含有ポリオレフィンフィルムの厚み、面積および重量を測定し、次式で計算する。
見掛け比重=重量/(面積×厚み)
(光沢度)
JIS Z 8741(2)に準拠して、光沢度を求めた。
(濡れ張力)
JIS K 6768に準拠して、濡れ張力を求めた。
(全光線透過率)
JIS K 7105に準拠して、全光線透過率を求めた。全光線透過率が小さい程隠蔽性に優れる。
(受像層接着性)
空洞含有ポリオレフィン系フィルムの表面に、メチルエチルケトン/トルエン=1/1の混合溶媒100重量部に対して共重合ポリエステル(東洋紡績(株)製バイロン200)を30重量部混合した溶液を、マイヤーバーを用いて乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布した後120℃の雰囲気中で1分間乾燥した後、セロテープ(ニチバン(株)社製18mm)を張りつけ、180度の角度で剥離し、接着性を評価した。ランクは次のとおりである。
剥離しない ・・・○
剥離が著しい ・・・△
すべて剥離される・・・×
(耐ブロッキング性)
試料フィルムをカッターで80mm×120mmに裁断し、この裁断片2枚を長手方向において上下に20mmずつずらして重ね合わせてサンプルとする。これをタイプ用紙と交互に5組重ね合わせて、ガラス板で挟んだ後2kgの荷重をかけて、50℃の雰囲気で48時間放置する。その後サンプルを取り出して放冷し、20mm幅で長手方向に裁断し、これを試験片として引張試験機にかけ、引張速度200mm/分で剪断応力を測定し、その値でブロッキング性を評価する。この値が低いほど、フィルムブロッキングが少ない。
【0035】
実施例1
メルトインデックス2.3g/10分のポリプロピレンl00重量部に対して、水滴保持時間が2秒で、平均粒子径が1.7μmであるほぼ単分散の粒径分布を示す球状の架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子(メチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/スチレン/ジビニルベンゼンを重量比で36/27/36/1の比率で使用し、乳化重合した後、乳化液から架橋重合体微粒子を分離する際に水洗を1回行い、微粒子表面に付着している界面活性剤を除去したもの)15重量部、グリセリン樹脂酸エステル0.3重量部およびエルカ酸アミド0.3重量部を混合した基材層を構成する樹脂組成物(a)と、メルトインデックス2.5g/10分のポリプロピレン100重量部に対して、上記樹脂組成物(a)における架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子をポリマー型シランカップリング剤で表面処理して得た、水滴保持時間が10分の架橋共重合体微粒子(平均粒径1.7μm)を0.1重量部配合した表面光沢改善層を構成する樹脂組成物(b)とを使用し、これらを別々の押出機を用いて、樹脂温度285℃で厚みが延伸後の状態で(b)/(a)/(b)=1/10/1となる様に重ね合わせて溶融押し出しし、60℃の冷却ロールで冷却することによって未延伸シートを得た。
次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度135℃で縦方向に4.5倍延伸し、引き続きテンター式延伸機により155℃で横方向に8倍延伸した。ついで170℃で熱処理を行い、厚さ50μmの2軸延伸フィルムとした。その後、このフィルムの片面に窒素雰囲気下でコロナ放電処理(処理電圧3kV、処理電流0.50A)を施し、空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0036】
比較例1
実施例1において窒素雰囲気下のコロナ放電処理を、空気中でのコロナ放電処理に変更した以外は実施例1と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0037】
比較例2
比較例1において、基材層を構成する樹脂組成物を(a)内に配合される架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子の含有量を0.5重量部に変えた以外は比較例1と同様にして、空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0038】
比較例3
比較例1において、表面光沢改善層を構成する樹脂組成物(b)中に配合される架橋共重合体微粒子の添加量を5.0重量部に変えた以外は比較例1と同様にして、空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0039】
比較例4
比較例1において、表面光沢改善層を構成する樹脂組成物(b)内に架橋共重合体微粒子を配合しなかった以外は比較例1と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0040】
比較例5
比較例1において、表面光沢改善層を構成する樹脂組成物(b)内に配合される架橋共重合体微粒子の平均粒径を0.03μmとしたこと以外は比較例1と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0041】
実施例2
上記実施例1において、基材層を構成する樹脂組成物(a)中に配合される架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子に変えて、水滴保持時間が1分である平均粒子径が1.7μmのほぼ単分散の粒度分布を示す球状の架橋アクリル系樹脂微粒子〔組成:メチルメタクリレート/トリメチロールプロパントリメタクリレート=98/2(重量部)〕を使用し、かつその添加量を13重量部とし、さらに隠蔽剤として二酸化チタンを3重量部添加した以外は実施例1と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0042】
比較例6
実施例1において窒素雰囲気下のコロナ放電処理を取り止めた以外は実施例1と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0043】
比較
上記実施例2において、表面光沢改善層を構成する樹脂組成物(b)中に配合される架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子に変えて、平均粒径0.8μm、水滴保持時間が7分の二酸化珪素を使用し、且つその添加量を1.0重量部とした以外は実施例2と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
【0044】
比較例7
実施例3において窒素雰囲気下のコロナ放電処理を取り止めた以外は実施例3と同様にして空洞含有ポリオレフィン系フィルムを得た。
実施例1〜3および比較例1〜7で得られた空洞含有ポリオレフィン系フィルムの特性値をおよび諸特性を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003961035
【0046】
実施例1〜3で得られた空洞含有ポリオレフィン系フィルムは、いずれも表面濡れ張力が40dynecm以上あるため、画像受像層との接着性に優れている。また表面光沢性、耐ブロッキング性および隠蔽性においても優れている。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、表面接着性に優れた空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することができるので、印刷時のインキ転写性が良好となって高速化対応が可能となるばかりか、その上に形成される画像受容層との接着性にも優れたものとなる。また基材層と表面光沢改善層の複層構造とすることにより、表面光沢性に優れ、かつ表面平滑性と耐ブロッキング性が両立した空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することができる。このようなフィルムにおいても、表面接着性に優れているため、インキ接着性が良好となって印刷の高速化対応が可能となり、かつ画像受像層との接着性が良好となる。さらに、本発明は、従来の空洞含有ポリオレフィン系フィルムと同様に軽量でクッション性、柔軟性および機械的強度にも優れた空洞含有ポリオレフィン系フィルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. ポリオレフィン系樹脂と空洞形成開始剤である有機質の架橋高分子微粒子とを含有する組成物からなる基材層と、基材層の少なくとも片面に形成された、ポリオレフィン系樹脂と水滴保持時間が分以上の有機質の架橋高分子微粒子とを含有する組成物からなる、実質的に空洞を含まない表面光沢改善層とからなり、
    表面光沢改善層の表面の濡れ張力が40dyne/cm以上、表面光沢度が85%以上(JIS Z 8741に準拠して測定される)であり、
    フィルムの見かけ比重が0.50〜0.80であることを特徴とする空洞含有ポリオレフィン系フィルム。
  2. 表面光沢改善層に含有される水滴保持時間が分以上の有機質の架橋高分子微粒子が、表面光沢改善層に含有されるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.05〜1.5重量部含有されることを特徴とする請求項1に記載の空洞含有ポリオレフィン系フィルム。
  3. 空洞形成開始剤である有機質の架橋高分子微粒子が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、1.6〜40重量部含有されることを特徴とする請求項1に記載の空洞含有ポリオレフィン系フィルム。
  4. 空洞形成開始剤である有機質の架橋高分子微粒子の平均粒径が0.1〜7μmであることを特徴とする請求項1に記載の空洞含有ポリオレフィン系フィルム。
  5. 表面光沢改善層に含有される水滴保持時間が分以上の有機質の架橋高分子微粒子の平均粒径が0.1〜7μmであることを特徴とする請求項1に記載の空洞含有ポリオレフィン系フィルム。
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