JP3584501B2 - エポキシ樹脂と金属酸化物の複合体及びその製造法 - Google Patents
エポキシ樹脂と金属酸化物の複合体及びその製造法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性、耐熱性、力学的特性などに優れたエポキシ樹脂と金属酸化物からなる複合体とその製造法に関するものであり、電気・電子部品、機械部品、精密機械部品、自動車部品、土木建築材料、スポーツ用具、雑貨等に用いられる、膜、圧縮成形、塗料等の各種成形材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂の力学的強度、耐熱性、或いは耐薬品性などを向上させるために、長繊維、短繊維或いはマット状のガラス繊維等でエポキシ樹脂を複合強化する方法は、従来より広く用いられており、電気・電子部品用の基板等に実用化されている。
【0003】
しかし、得られた複合体は、均質性や透明性に劣ることから、例えば、未来技術として注目されている光を利用した素子・回路などの材料として利用することができなかった。一方、エポキシ樹脂の透明性を損なわせることなく、力学的特性、耐熱性、耐溶媒などを向上させるためにシリカなどの金属酸化物の微細粒子を分散させる方法が検討されている。
【0004】
しかし、金属酸化物の微細粒子を単純に機械的に分散させても、均質に分散させることは困難であり、粒子の凝集物が形成されて透明性が低下したり、力学的特性や耐熱性などの特性が十分に向上しないという問題点があった。
【0005】
金属アルコキシドを樹脂と溶媒の存在下にin situ重縮合させる方法は、有機高分子中に金属酸化物をナノオーダーで均質微細分散させ、加えて樹脂と金属酸化物の親和性を向上させることが期待されることから、ポリマー改質の有効な手段として、様々なポリマー系で検討がなされている。これらは、例えば、「繊維と工業」48巻(8),469頁(1992年)や、「高分子加工」42巻(4),158頁(1993年)が挙げられる。
【0006】
特にエポキシ樹脂と金属酸化物の系については、特開昭63−90576号公報(シリカ系及びジルコニア系とアルミナ系のアルコキシドを用いた例)、特開昭63−90577号公報(シリカ及びチタン系のアルコキシドを用いた例)に開示されている。
【0007】
これらは、例えば、特開昭63−90577号公報によれば、塗料用組成物においてシリカ及びチタンの各アルコキシドの反応性を抑制・制御するため、特定割合で金属アルコキシドを用いることを特徴とし、かつエポキシ樹脂との複合体において、当該金属酸化物が30〜90重量%含まれることを特徴としている。
【0008】
即ち、これらの公知技術は少なくとも30重量%以上の多量の金属酸化物を含んだ塗料であり、いずれもエポキシ樹脂用硬化剤を含まない系での複合化技術である。またエポキシ樹脂の物性を改良することを目的に、これら公知技術を適用しても、得られる複合体は塗料や成型品などの材料として実用的強度に全く劣るものである。
【0009】
また、これらの公知技術によって、チタンやアルミニウムなどを主とする金属酸化物を複合化することはできない。更に、エポキシ樹脂に硬化剤を含む系に対してこれらの技術を適応させることは、以下の理由から困難である。
【0010】
即ち、エポキシ樹脂は、一般にポリアミンもしくは酸無水物を硬化剤として用いて、硬化反応を進めた状態で最終的材料として用いられる。一方、金属アルコキシドの重縮合反応においても反応促進触媒として、微量のアミンがよく用いられているが、エポキシ樹脂の硬化剤として、ポリアミンを用いる場合、通常エポキシ樹脂に対して、40〜20重量部程度の添加量が必要となる。
【0011】
このようなアミン量は金属アルコキシドの加水分解重縮合反応ではあまりにも過剰量であり、金属アルコキシドの重縮合反応が著しく速く進行するため、ゾル溶液が急速に白濁化したり、沈殿が生じ、均質でミクロなハイブリッド化を行うことはできない。
【0012】
一方、酸無水物を硬化剤として用いる場合も、ゾル−ゲル反応を進行させるために必要な規定量の水とアルコールの添加が、酸無水物を開環させることから、酸無水物はエポキシ樹脂硬化剤としての性質をたちどころに失い、ハイブリッドの強度が著しく低下するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しょうとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、in situ での金属アルコキシドの加水分解重縮合反応に基づく、エポキシ樹脂と金属酸化物のミクロで均質なハイブリッド化をエポキシ樹脂の硬化剤含有系で実現することによって、分散性、透明性、耐熱性、力学的特性等の諸特性に優れたエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤をあらかじめ部分的に反応させた溶液に、金属アルコキシドを添加し in situでの反応を進めることによって、エポキシ樹脂とその硬化剤を含む系での金属アルコキシドの穏やかな in situ反応が可能であることを見い出すと共に、ナノオーダーで金属酸化物が微細分散した硬化系のエポキシ樹脂では極めて透明性に優れ、耐熱性や力学的特性が向上することを見いだして、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明はエポキシ樹脂と硬化剤を含む溶液系において、金属アルコキシドをin situ 合成することによって得られるエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法ならびに透明性、耐熱性、力学的特性など諸特性に優れたエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体に関するものである。
【0016】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤をあらかじめ部分的に反応させた溶液であって、前記エポキシ樹脂と前記アミン系硬化剤とをゲル硬化に要する時間の5〜70%の時間あらかじめ反応させた溶液に、金属アルコキシド及び/又はその部分加水分解縮合物と水及び/又は有機溶媒を添加し、in situ 合成することを特徴とするエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法を提供する。
【0017】
また、本発明は上記課題を解決するために、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤をあらかじめ部分的に反応させた溶液であって、前記エポキシ樹脂と前記アミン系硬化剤とをゲル硬化に要する時間の5〜70%の時間あらかじめ反応させた溶液に、酸化チタン換算で複合体の0.2〜40重量%のチタンアルコキシド及び必要に応じて有機溶媒を添加して撹拌により均質ゾル溶液とした後、大気中の水分でチタンアルコキシドを縮重合させることを特徴とするエポキシ樹脂とチタン酸化物との複合体の製造法を提供する。
【0018】
更に、本発明は上記課題を解決するために、上記の製造法によって得られるエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体を提供する。
【0026】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するものであり、硬化剤としてアミン系を用いることが可能な市販のエポキシ樹脂が使用される。具体例を挙げれば、例えば、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、テトラブロモビスフェノール−A、テトラフェニロールエタン、
【0027】
フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール、水添ビスフェノール−Aなどのアルコール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリシジルエステル型エポキシ樹脂、
【0028】
ヒダントイン、イソシアヌル酸、ジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノールやオキシ安息香酸を原料とする混合型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらは単独或いは2個以上を併用してもよい。
【0029】
本発明における金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(Mは金属原子、Rはアルキル基、CmH2m+1とするとm=1〜6、nは金属原子の価数)で示されるものである。金属原子として好ましいものは、Si、Ti、Sn、Zr、Al、Br、Tl、Inなどが挙げられるが、特に、好ましくは、Si、Ti、Sn、Al、Zrである。
【0030】
これらは2種以上を併用することも可能である。また、本発明では金属アルコキシドを部分加水分解重縮合した縮合物を利用することもできる。部分縮合物は金属アルコキシド、水、溶媒と必要によっては酸触媒を混合攪拌する方法などによって得ることができる。縮合の度合いは、用いる金属アルコキシドの種類や目的により異なるため、一概には規定されないが、ゾル−ゲル反応によるゲル化時間の0.8倍以下の反応時間によって得られるものが好ましい。
【0031】
0.8倍以上では粘調となるため均質なゾル液を得難く好ましくない。更に、金属アルコキシドにおいて、金属と結合しているアルコキシ基の1つ、もしくは2つがアルキル基となった金属アルキルアルコキシドを併用して用いることが可能である。
【0032】
金属アルコキシドのエポキシ樹脂溶液への添加量は用いる金属アルコキシドの種類や使用目的によって一概には規程できないが、通常、最終的に組成物中に残存する金属酸化物として0.2〜40重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%が用いられる。
【0033】
本発明では溶解性の十分高い有機溶媒で均質なゾル溶液を作ることが重要である。従って、本発明に用いる有機溶媒としては、金属アルコキシドとエポキシ樹脂を共に均質に溶解しうる水以外の各種有機溶媒が用いられる。ここで、エポキシ樹脂の良溶媒としてはエポキシ樹脂の種類によって異なるため一概に規程できないが、一般に、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)などのエーテル系、
【0034】
ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド系、アセトンや2−ブタノン(MEK)などのケトン系、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、或いはメチルエチルセルソルブなどの有機溶媒やエポキシ樹脂で通常用いられるグリシジルメタクリレートなどの反応性希釈剤が使用される。
【0035】
金属アルコキシドの良溶媒としては、より広範な有機溶媒が用いられ、上述した有機溶媒系以外に、ヘキサンやシクロヘキサンなどのハイドロカーバン系、トルエン、キシレン、m−クレゾール、ベンゼン、ニトロベンゼンなどのアロマティック系、クロロホルムやジクロロエタンなどのハロゲン系、ジメチルポリシロキサンやサイクロメチコーンなどのシリコーン系、アセトニトリル、ジオキサン、ピリジンなどが挙げられる。
【0036】
一方、本発明では、エポキシ樹脂と金属アルコキシドの共通有機溶媒、或いはエポキシ樹脂と金属アルコキシドを均一に混和させる溶媒が用いられる。
また、金属アルコキシドの加水分解重縮合反応を進行させるために添加する水によって、ゾル溶液の溶解性が低下する場合、均質ゾル溶液を得るために、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類やTHF、アセトンなどの親水性溶媒を更に加えて添加することも可能である。
【0037】
本発明においては均質なゾル溶液が得られることが重要であり、使用する有機溶媒量については特に限定されないが、通常、全有機溶媒量はゾル溶液全体の10〜95重量%の範囲で用いられる。
【0038】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として最も一般的であるアミン系硬化剤を用いた場合、従来の方法では行うことができなかった樹脂溶液中での金属アルコキシドの均質な加水分解重縮合反応(ゾル−ゲル反応)を行うことを可能としたものである。以下において、アミン系硬化剤を用いた場合のエポキシ樹脂の組成物の製造方法を硬化剤や水の添加率を含めて説明する。
【0039】
本発明に用いるアミン系硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として市販されている、いずれのアミン化合物をも用いることが可能である。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メンタンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、
【0040】
植物油脂肪酸と脂肪族ポリアミンの縮合物であるアミドアミン系やポリアミド系、フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミンなどの芳香族アミン、シリコン系アミン、メチレンアミン系などが挙げられる。
【0041】
アミン系硬化剤の添加量は、使用目的や金属アルコキシドの種類や添加量によって異なり一概には規定できないが、通常エポキシ当量比10〜100%、好ましくは20〜80%が用いられる。10%未満ではエポキシ樹脂は十分硬化しなく、また100%を越えると加塑化効果を引き起こすため好ましくない。
【0042】
エポキシ樹脂とアミン系硬化剤を含む系に金属アルコキシドを単に添加する場合、アミンの作用で金属アルコキシドのゾル−ゲル反応が急速に進行し、析出物・沈殿が生じる。そのため、従来の方法では、in situ での金属アルコキシドのゾル−ゲル法によって、十分に硬化したエポキシ樹脂と金属酸化物の均質なハイブリッド化を行うことができなかった。
【0043】
しかしながら、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを一定範囲にあらかじめ反応させた後、金属アルコキシド、水、溶媒などを添加する場合、穏やかで均質・良好なゾル−ゲル反応を行うことが可能となり、得られた組成物は、均質で透明性に優れ、良好な特性を有するハイブリッドであることが明らかとなった。
【0044】
ここでエポキシ樹脂とアミン硬化剤をあらかじめ反応させておく適正の度合いは、用いるエポキシ樹脂、硬化剤、或いは金属アルコキシドの種類や量によって異なるため、一概には規定できないが、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤の硬化反応に伴うゲル化時間の5%〜80%、特に、好ましくは、10%〜70%の時間反応させることが必要である。
【0045】
反応時間とエポキシ樹脂とアミン系硬化剤の硬化反応に伴うゲル化時間の比、即ち、(反応時間/ゲル硬化時間)比が0.05(5%)未満では相分離や金属アルコキシドの沈殿が著しく、また0.8(80%)を越えると増粘効果のため、いずれも均質な組成物が得られなくなり好ましくない。
【0046】
(反応時間/ゲル硬化時間)比が0.05(5%)程度の反応では相当量のアミン基がまだ系内に存在するものと思われるが、安定したゾル−ゲル反応を行うことが可能となるのは、恐らく、アミン系硬化剤を介したエポキシ樹脂の重合が進行する場合、まずアミン系硬化剤とエポキシ樹脂との1対1の部分的な反応が進行し、全ての活性なアミン基が完全に消失する以前に、ゾル−ゲル反応に対するアミンの活性が低下し、その結果、良好なゾル−ゲル反応を行うことが可能になったものと推定される。
【0047】
本発明においては、水により、金属アルコキシドの加水分解重縮合反応が進行させられる。水は、通常、金属アルコキシドをエポキシ樹脂溶液に添加する直前、或いは同時に、場合によっては直後に添加する。水の添加量は、通常、アルコキシド1モル当たりに対して、0〜8モルの範囲で使用される。8モルを越える場合、複合体にクラック等が発生し易くなり好ましくない。
【0048】
また、本発明においては、水を添加しないで、エポキシ樹脂と金属アルコキシドの均質なゾル溶液を得た後、溶媒キャスト時に大気中の水分の吸湿で金属アルコキシドのゾル−ゲル反応を進行させて、エポキシ樹脂と金属酸化物の複合体を得ることが可能である。
【0049】
この方法は、特に、反応性に富むチタンアルコキシドを用いる場合、有効な方法となる。また、水無添加系では大気にオープンな状態でゾル溶液を攪拌しておき、大気中の水分をゾル溶液中に吸湿させた後、大気中で溶媒をキャストすることも可能である。本発明では、アミン系硬化剤と共に通常知られているエポキシ樹脂の硬化促進剤を用いることが可能である。
【0050】
かかる硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物、その他、三級アミン、アミン塩、カルボン酸化合物が挙げられる。
【0051】
促進剤を用いる場合、促進剤の添加量はエポキシ樹脂に対して、通常0.05〜10重量部である。0.05重量部未満では硬化が遅く、10重量部を越えると組成物の力学特性が低下する。
【0052】
本発明における、アミン系硬化剤を用いてのハイブリット化を行う方法の概略を示すと、エポキシ樹脂と硬化剤、及び溶媒、更に必要によっては硬化反応促進剤から成る系を種々の条件下、所定の時間反応させた後、金属アルコキシド及び/又は有機溶媒、水、シランカップリング剤、触媒を含む系を滴下し、均質に混合溶解したゾル溶液を調製する。
【0053】
当該ゾル溶液全体がゲル化する前に塗布、注入等の操作を行い、通風、加熱、減圧、或いは密封等の状態でゾル−ゲル反応及び樹脂の硬化反応、溶媒除去を平行して進めることで、マクロに相分離を生じない均質なエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体を得る。
【0054】
更に、高温熱処理を行うことで、高度な特性を持つ複合体を得ることが可能である。熱処理の温度は使用する金属アルコキシド、エポキシ樹脂、及びアミン系硬化剤の種類や複合体の使用目的により異なるが、通常、80〜250℃、好ましくは100〜220℃で行われる。80℃未満では、複合体の硬度が不十分となり、250℃を越えると樹脂の分解が著しくなるため好ましくない。
【0055】
ゾル−ゲル法では、塩酸、ルイス酸などの酸触媒、アンモニア、その他アミンなどアルカリ触媒が用いられる。これら触媒は必ずしも必要ではないが本発明が目的とする効果を損なわない範囲内で使用することは可能である。特に、酸触媒はエポキシ基を開環させ、反応終了点とする作用があるため、エポキシ樹脂が存在する系に添加する場合には、エポキシ樹脂に対して、0.1モル以下にすることが必要である。
【0056】
本発明により得られるエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体は、金属酸化物がマクロ的に凝集することなく、充分に硬化したエポキシ樹脂マトリックス中に均質に微細分散したものである。微細粒子が均質に分散することによって、著しく優れた耐熱性、耐溶剤性、力学的特性、透明性、紫外線吸収性等が出現する。
【0057】
微細粒子の大きさは、通常、0.005〜5μm、特に好ましくは、0.005〜0.4μmである。5μmを越える場合、力学強度等の特性が低下するため好ましくない。また、金属酸化物が0.4μm未満の大きさで微細分散する場合は、透明性に優れた複合体が得られるため、特に好ましい。
【0058】
また、0.005μm未満の粒子については、ここで用いた高分解能の操作型電子顕微鏡で明確に粒径を把握することができない為に、これより小さい粒径は特に規定できなかったが、0.005μm未満の粒子が本発明のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体中に含まれていても何等、問題はない。
【0059】
本発明により得られるエポキシ樹脂と金属酸化物との複合体において、粒子が0.4μm未満に微細分散したものは透明性に優れる。ここで言う透明性とは、複合体の厚みが100μmでの、可視光の波長域(400〜800nm)での光透過率が70%以上、好ましくは80%以上のものである。
【0060】
一方、市販の金属酸化物(例えば、シリカ、チタニア等)の微細粒子を用いて混合・分散させたものでは同様な均質性、透明性を有するものは得られない。
なお、測定可視光の光透過率(%)を、膜厚100μmの光透過率(%)に換算する場合は、下記の式1に従うものとする。
【0061】
【式1】
(式1)
光透過率(%)(膜厚100μm)=exp{(0.1/d)・ln(x/100)}×100
式1中、dは膜厚(mm)、xは膜厚dの状態での光透過率(%)である。
【0062】
本発明により得られるエポキシ樹脂と酸化チタンの複合体は、可視光域での透明性に優れるだけでなく、同時に高性能の紫外線吸収性の性質を示す。紫外線吸収はチタン含有量及び膜厚に大きく依存するが、酸化チタン含有量10重量%で100ミクロンの膜に換算した場合、340nmでの光吸収率が70%以上、好ましくは90%以上のものである。
【0063】
即ち、本複合体は可視光に対しては透明な無機微細分散系紫外線吸収体であるといえる。340nmでの光吸収率を膜厚を100μmに換算する場合の換算式は下記の式2を用いる。
【0064】
【式2】
(式2)
光吸収率(%)=[1−exp{(1/c・d)・ln(x/100)}]×100
式2中、cは濃度(重量%)、dは膜厚(mm)、xは膜厚dでの340nmでの光透過率(%)である。
【0065】
本発明による複合化は、極めて高い耐熱特性の改善効果を示す。エポキシ樹脂の耐熱特性は、用いるエポキシ樹脂と硬化剤の種類で異なる。エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の場合、耐熱特性はガラス転移温度(Tg)や、Tg以上での高温力学特性で表すことができる。本発明により製造された複合体は、エポキシ樹脂硬化物単体に比べてガラス転移温度が大幅に向上(上昇)する。
【0066】
ガラス転移温度の上昇度合いは、添加する金属酸化物の種類と添加量で異なるが、通常、複合体中に金属酸化物を3重量%以下含有した場合は20℃以上、好ましくは30℃以上、3〜10重量%の含有では50℃以上、10重量%を越える場合には100℃以上のガラス転移温度の向上が可能である。含有される金属酸化物の上限は、添加する金属酸化物の種類と添加量で異なる為、明確に定める必要のないものであるが、他の物性値との関係から、通常40重量%を越えない範囲で用いられる。
【0067】
ここで、より具体的には、金属酸化物としてはチタン系、スズ系、シリカ系又はこれらの混合系が好ましく、特に、チタン系及び/又はチタン系と他の金属酸化物の混合系が好ましい。また、エポキシ樹脂としては、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた系が、特に好ましい。また、含有される酸化チタン量を0.2〜8重量%、特に好ましくは0.5〜6重量%とした場合、力学的強度等の種々特性のバランスに優れた複合体が得られる。
【0068】
本発明により得られる複合体は引張・曲げなどの力学的特性に優れたものである。特に、強度、弾性率に優れた複合体を提供する。また、場合によっては、強度、伸び、弾性率の力学特性の3要素のいずれもが向上する。
【0069】
本発明における複合化では、市販のシランカップリング剤を添加することによって、更に、靱性に優れた複合体が得られる。用いるシランカップリング剤としては、特にエポキシ系及び/又はアミノ系のシランカップリング剤が好ましい。
【0070】
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、が、エポキシシランカップリング剤としては、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0071】
シランカップリング剤の添加量は、シランカップリング剤、金属酸化物、エポキシ樹脂、硬化剤の種類や使用目的により異なるため一概には規定できないが、通常、使用する金属アルコキシド100重量部に対して、0.05〜50重量%、好ましくは、0.1〜40重量%が用いられる。
【0072】
通常、エポキシ樹脂にシランカップリング剤を添加する場合、エポキシ樹脂の耐熱特性が著しく低下するという問題があったが、本発明により得られる複合体の場合、耐熱特性の著しい低下は見られない。
【0073】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例だけに限定されるべきものでない。
【0074】
(実施例1)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)10gと、脂肪族ポリアミン系の硬化剤(大日本インキ化学株式会社製、エピクロン B−053)2g(エポキシ当量比:約50%)とを、5gのテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)中で、約30時間、室温状態で攪拌した。(なお、この系は更に反応を進めた場合、攪拌開始より約100時間後にゲル化することを事前に確認した。)
【0075】
攪拌開始時と30時間後の粘度は、それぞれ30と150(cpoise)であった。FT−IRを用いて、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間とエポキシ基の変化を調べた。エポキシ基の減少量は、1時間後で20%程度、30時間後で55%程度であった。
【0076】
5gのテトラエトキシチタン(TETi;和光純薬工業株式会社製、特級試薬、酸化チタン換算で約14重量%)を10gのTHFに溶解させた溶液を、エポキシ樹脂溶液に滴下し、5分間攪拌し均質なゾル溶液とした後、室温(25℃)、空気中(湿度35%)でキャストした。
【0077】
80℃で1時間乾燥後、150℃で約3時間熱処理を行いエポキシ樹脂と酸化チタンとの複合体を得た。熱重量測定(TGA)を行ったところ、約20重量%の残存量があった。また蛍光X線と電子線マイクロアナライザー(EPMA)により、チタン化合物がエポキシ樹脂中に均質分散していることを確認した。
【0078】
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により、複合体の断面観測を行った結果、8〜20nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。複合体は透明性に優れており、膜厚100μmでの可視光域での光透過率は91%であった。それに対して紫外領域の340nmでの光吸収率はほぼ100%であった。
【0079】
比較例として、酸化チタンを含まないエポキシ樹脂硬化物の諸特性を調べた。膜厚100μmでの可視光域での光透過率は91%であったが、340nmの光吸収率は約15%であり、紫外線吸収効果は見られなかった。膜厚50μmの場合の1例を図1に示す。
【0080】
動的粘弾性測定を行い複合体の耐熱性を調べた。1Hzでのヤング率(E’)と tan δ(E”/E’)の温度分散を、比較例である酸化チタンを含まないエポキシ樹脂硬化物の結果と共に図2に示す。
【0081】
エポキシ樹脂硬化物単体では tan δのピークは82℃付近に観測されるが、上記チタン酸化物との複合体ではtan δピーク温度は高温側に移動し、300℃までの測定範囲では明確なピークが観測されなかった。150℃での高温弾性率は、エポキシ硬化物単体が20MPaであるのに対して、複合体では1000MPaであり、著しい向上が見られる。酸化チタンとのハイブリット化によって、エポキシ樹脂の耐熱特性が驚くほど向上しているのが判る。
【0082】
表面硬度の測定を行った。エポキシ硬化物単体が18(gf/μm2)であるのに対して、複合体では24(gf/μm2)であり、表面硬度の向上が見られた。濃硫酸(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)に約2時間浸漬させて、耐酸性の試験を行った。複合体では約70重量%が残存したのに対して、エポキシ硬化物単体はほとんど全てが分解した。
【0083】
また、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間を10時間とした場合においても、同様な手法で、可視光域での光透過率が86%(膜厚100μm)の透明なエポキシ樹脂と酸化チタンとの複合体が得られた。
【0084】
尚、蛍光X線はリガク株式会社製の3030型、EPMAは島津製作所株式会社製のEPM−810型、SEMは日立製作所株式会社製のS−800型、光透過率は日立製作所株式会社製のU−3500を、硬度測定は島津製作所株式会社製の微小硬度計DUH−200を、粘度測定はSIBAURA SYSTEM社製のB型粘度計 DIGTAL VISMETRON VDAを用いた。
【0085】
またTGA測定はセイコー電子工業株式会社製のTG/DTA 220型を用いて、約10mgのサンプルを10℃/分の速度で1000℃まで加熱し、更に、1000℃で30分保温した後の灰分重量からTGA残量を測定した。
【0086】
IR(赤外吸収スペクトル)測定は日本分光株式会社製のFT−IRを用いており、1610cm−1のアロマティク部分の吸収を基準として、910cm−1でのエポキシ基の変化率より算出した。また、動的粘弾性測定はセイコー電子工業株式会社製のDMA−200を用いて、2℃/分で昇温して測定した。
【0087】
(比較例1)
酸化チタン微粒子(石原産業株式会社製、TTO−51)(粒径10〜30nm)を実施例1と同様な方法で、エポキシ樹脂硬化剤系にブレンドし、実施例1と同じように80℃で1時間乾燥後、150℃で3時間熱処理して、硬化試料を得た。図1に示すように、2重量%の添加でエポキシ樹脂の透明性は完全に失われた。顕微鏡観測でも、ほとんどが5μm以上の粒子であり、分散が全く不充分、不均質であり、粒子の不均質凝集が多く観測された。
【0088】
(比較例2)
実施例1の比較例として、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌開始直後と1時間後(粘度34cpoise)にチタンアルコキシドを滴下した。エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は、全て実施例1と同様に行った。
【0089】
ゾル溶液は透明であったが、キャスト時に相分離し、フィルムは不均一に白濁化した劣悪な状態であった。膜厚100μmでの光可視光域の光透過性はいずれの場合も2%以下であった。フィルムが非常に脆く、粘弾性率測定を行うことができなかった。
【0090】
複合体の表面硬度はいずれも2(gf/μm2)程度或いはそれ以下であり、極めて劣悪な力学的特性であった。また、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌を80時間行った後にチタンアルコキシド溶液を滴下したが、チタンアルコキシドのTHF溶液を数滴滴下するだけでゾル溶液が著しく増粘し、不均一なゲル体となり、良好な複合体は得られなかった。
【0091】
(実施例2)
TETiの添加量を1g(酸化チタン換算 約2.8重量%)として、実施例1と同様な検討を行った。膜厚100μmの場合の可視光域の光透過性は93%であり、均質透明な複合体が得られた。蛍光X線により、複合体中にチタン化合物が存在することを確認した。SEMにより、複合体の断面観測を行ったところ、8〜20nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。
【0092】
tan δのピークは132℃であった。室温域(27℃)のヤング率はエポキシ樹脂硬化物単体が1.37GPaであるのに対して、複合体では2.50GPaであった。(図2参照)引張試験を行ったところ、伸びは7.2%、強度は5.6kgf/mm2であった。
【0093】
一方、酸化チタンを含まないエポキシ樹脂硬化物単体の場合、伸びは5.3%、強度は4.9kgf/mm2であった。耐熱特性及び力学的特性が大幅に向上しているのが判る。複合体のTGA残量は3重量%であった。なお、引張試験は島津製作所株式会社製のオートグラフを用い、サンプル長1.5cm、幅5cm、厚み0.2mmとして、引張速度1mm/分で測定を行った。
【0094】
(実施例3)
実施例2の系に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製、NUCシリコーン A−187)及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー株式会社製、NUCシリコーン A−1100)を各々0.2g、チタンアルコキシドと一緒に添加した場合について検討した。
【0095】
いずれの場合も可視光域での光透過性が93%(膜厚100μm)の均質透明な複合体が得られた。tan δのピーク温度はA−187が132℃、A−1100が128℃であった。室温域のヤング率はA−187が2.5GPa、A−1100が2.9GPaであった。
【0096】
また、引張伸びはA−187が10.8%でA−1100が9%、引張強度はA−187が7kgf/mm2でA−1100が6.4kgf/mm2であった。力学的特性が更に向上しているのが判る。
【0097】
なお、A−187を実施例3と同量含むエポキシ硬化物単体の場合、tanδピークは63.5℃に現れており、室温ヤング率は1.3GPa、引張伸びは8.5%、強度5kgf/mm2であった。シランカップリング剤を含まないエポキシ樹脂硬化物単体に比べて力学的特性は向上するものの、耐熱特性においては著しい低下が見られた。
【0098】
(実施例4)
テトラエトキシチタンの代わりに、3.7gのテトラメトキシシラン(TMOS;シリカ量約11重量%)を、更に、2gのエタノールと2.4g(TMOSの約4倍モル)の蒸留水を用い、また、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤を約50時間攪拌したものを用いて、実施例1と同様な検討を行った。
【0099】
50時間後の粘度は200(cmpoise)であり、エポキシ基は約60%消失していた。TGA測定からの複合体の残存重量は約11重量%であった。
蛍光X線により、複合体中にシリカ化合物が存在することを確認した。膜厚100μmでの可視光域での光透過率は95%であり、透明性に優れたものであった。
【0100】
SEMにより、複合体の断面を観測したところ、50〜100nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。ヤング率のtan δピーク温度は105℃であり、150℃での高温弾性率は110MPaと高温物性が向上している。複合体の表面硬度は28(gf/μm2)であり、大幅に向上している。濃硫酸を用いて、耐酸性試験を行った。3日間浸漬させたがほとんど形状変化は見られなかった。
【0101】
(比較例3)
実施例4と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系において、攪拌直後と1時間後にTMOS等を滴下した。(エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例4と同じとした。)TMOS滴下と同時にゾル溶液が白濁・沈殿して、ハイブリッドを得ることはできなかった。
【0102】
(実施例5)
TETiの代わりに、テトラエトキシスズ(関東化学株式会社製、特級試薬)2.5gとTMOS 2.5gを、更に、2gのエタノールと1.2gの蒸留水を用いて、実施例4と同様な検討を行った。蛍光X線により、複合体中にスズとシリカが存在することを確認した。膜厚100μmでの可視光域の光透過率は94%であり、透明性にすぐれたものであった。
【0103】
SEMにより、複合体の断面観測を行ったところ、40〜80nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。また、EPMA測定からカーボン、スズ、シリカが均質分散していることが判った。tan δのピークは140℃付近に観測され、150℃での高温弾性率も110MPaで、著しい耐熱性の向上が見られた。複合体の表面硬度は24(gf/μm2)であり、大幅に向上している。
【0104】
(比較例4)
実施例5と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系において、攪拌直後と1時間後に金属アルコキシド等を滴下したが、滴下と同時にゾル溶液が白濁・沈殿化して、ハイブリッドを得ることができなかった。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例5と同じとした。
【0105】
(実施例6)
TMOSの代わりに、2.6gのTMOSの部分重縮合物(三菱化成株式会社製 MS−51、分子量=約500、シリカ換算=約11重量%)を、更に、2gのエタノールと0.2gの蒸留水を用いて、実施例4と同様な検討を行った。TGA測定からの複合体の残存重量は約11重量%であった。
【0106】
蛍光X線により、複合体中にシリカが存在することを確認した。膜厚100μmでの可視光域での光透過率は95%であり、透明性に優れたものであった。
SEMにより、複合体の断面観測を行ったところ、70〜100nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。
【0107】
tan δピーク温度は108℃であり、150℃での高温弾性率は120MPaであり、高温物性が向上している。複合体の表面硬度は28(gf/μm2)であり、大幅に向上している。濃硫酸を用いて、耐酸性試験を行った。3日間浸漬させたがほとんど形状変化は見られなかった。
【0108】
(比較例5)
実施例6と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系において、攪拌直後と1時間後にMS−51溶液を滴下したが、滴下と同時にゾル溶液が白濁・沈殿して、ハイブリッドを得ることはできなかった。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例6と同じとした。
【0109】
(比較例6)
シリカ微細粒子(日本アエロジル株式会社製、AEROSIL 70)をエポキシ樹脂硬化物に混合した。分散性が悪く、10重量%の添加で複合体は真っ白となった。膜厚100μm、2重量%では可視光域での光透過率が60%の乳白濁であった。tan δピーク温度は70℃であり、エポキシ樹脂硬化物単体に比べても低下している。なお、実験条件は実施例6と同様に行った。
【0110】
(実施例7)
ビスフェノール型エポキシ樹脂10gと、芳香族ポリアミン系の硬化剤(チバガイギー株式会社製、HY−932)2g(エポキシ当量比約50%)とを、5gのTHF中で約7日間、室温状態で攪拌した。(なお、本系のエポキシ樹脂のゲル硬化時間は約30日であった。)
【0111】
5gのTETi(約12重量%)を5gのTHFで希釈し、エポキシ樹脂と硬化剤の溶液に滴下した。ゾル液を大気にオープンとして5分間攪拌後、室温(30℃)、空気中(湿度50%)でキャストした。80℃で1時間乾燥後、150℃で約3時間熱処理を行いエポキシ樹脂と酸化チタンとの複合体を得た。TGA測定からの複合体の残存重量は約12重量%であった。
【0112】
複合体は透明性に優れており、100μmの膜厚での可視光域の光透過率は91%であった。蛍光X線で、チタン化合物がエポキシ樹脂中に含まれていることを確認した。SEMにより、複合体の断面観測を行った。8〜20nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。
【0113】
tan δのピークは、複合体では150℃、酸化チタンを含まないエポキシ硬化物単体では140℃に現れた。室温域でのヤング率は、エポキシ樹脂硬化物単体が1.4GPaであるのに対して、複合体では2.4GPaであった。引張試験を行ったところ、伸びは7%、強度は7kgf/mm2であった。一方、酸化チタンを含まないエポキシ硬化物単体の場合は、伸びは6.3%、強度は5kgf/mm2であった。複合体では、伸び、強度、弾性率のいずれの力学的特性も向上しているのが判る。
【0114】
(比較例7)
実施例7と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系において、攪拌開始直後と1日後にチタンアルコキシドとTHFの混合溶液を滴下した。ゾル溶液は透明であったが、キャスト時に相分離し、フィルムは不均一に白濁化した劣悪な状態であった。
【0115】
膜厚100μmでの可視光域の光透過性はいずれの場合も1〜2%であった。フィルムが非常に脆く、粘弾性率測定及び引張測定を行うことが不可能な極めて劣悪な力学的特性であった。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例7と同じとした。
【0116】
(実施例8)
ビスフェノール−Aタイプのエポキシ樹脂の代わりに、クレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン N−673)を7g、更に、4gのMS−51、0.4gの蒸留水を用いて、実施例6と同様な方法と条件で複合体を得た。ここでエポキシ樹脂と硬化剤の反応時間は24時間とした。(なお、本系のエポキシ樹脂のゲル硬化時間は約50時間であった。)
【0117】
TGA測定からの複合体の残存重量は約11重量%であった。複合体は透明性に優れており、膜厚100μmでの可視光域の光透過率は93%であった。SEMによる断面観測では、50〜200nmの微細粒子が均質分散していた。
引張試験を行ったところ、エポキシ樹脂硬化物単体では、伸びが3.8%、強度が4.3kgf/mm2であるのに対して、複合体では、伸びが4.5%、強度が7.2kgf/mm2であり、力学特性の大幅な向上が見られた。
【0118】
(比較例8)
実施例8と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤系において、攪拌開始直後と1日後にMS−51溶液を滴下したが、滴下と同時にゾル溶液が白濁・沈殿して、ハイブリッドを得ることはできなかった。(なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例8と同じとした。)
【0119】
(実施例9)
ビスフェノール−Aタイプのエポキシ樹脂10g、脂肪族ポリアミン2.5g、THF5gを35℃で30時間攪拌した。(本系ではエポキシ樹脂は約70時間でゲル硬化した。)10gのTHF、2gのMS−51(シリカ 約7.5重量%)、0.4gの蒸留水、2gのメタノールからなる混合溶液をエポキシ樹脂溶液中に滴下した。
【0120】
1分間攪拌後、室温(25℃)、空気中(湿度35%)でキャストした。(尚、ゾル液は約30分でゲル化した。)80℃で1時間乾燥後、150℃で約3時間熱処理を行いエポキシ樹脂/シリカ複合体を得た。複合体のTGA残量は7.3重量%であった。
【0121】
複合体の透明性は極めて良好で、膜厚100μmでの可視光域の光透過率は97%であった。SEMによる断面観測では20〜100nmの微細粒子が均質分散していた。引張試験を行ったところ、エポキシ硬化物単体では伸び6.5%、強度4.5kgf/mm2であるのに対して、複合体では伸び7.2%、強度6kgf/mm2であった。また、室温域の弾性率はエポキシ硬化物単体が2.0GPaであり、複合体が3.9GPaであった。伸び、強度、弾性率いずれもが向上しているのが判る。
【0122】
(実施例10)
実施例9において、0.2gのTETiをMS−51と一緒に添加し、実施例9と同様な方法で複合体を得た。複合体の透明性は極めて良好で、膜厚100μmでの可視光域の光透過率は95%であった。SEMによる断面観測では20〜100nmの微細粒子が均質分散していた。
【0123】
引張試験を行ったところ、伸び7.8%、強度6kgf/mm2であった。また、室温域の弾性率は3.9GPaであり、伸び、強度、弾性率いずれもが向上しているのが判る。tanδのピーク温度はエポキシ樹脂硬化物単体が85℃であるのに対して、複合体では100℃であった。
【0124】
(実施例11)
グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 430)10gと、脂肪族ポリアミン3.5gと、THF10gとを30℃で約18時間攪拌した。(なお、本系のエポキシ樹脂は約50時間でゲル硬化した。)2gのTETiを5gのTHFで希釈し、エポキシ樹脂溶液中に滴下した。実施例1と同様な方法でエポキシ樹脂と酸化チタンとの複合体を得た。
【0125】
複合体は透明性に優れており、膜厚100μmでの可視光域での光透過率は91%であった。SEMによる断面観測では20〜200nmの微細粒子が均質分散していた。室温域でのヤング率はエポキシ樹脂硬化物単体の2.3GPaに対して、複合体では3.0GPaであった。また、引張試験では、エポキシ硬化物単体が伸び4.3%、強度3.4kgf/mm2であるのに対して、複合体では伸び5.2%、強度6.4kgf/mm2であった。力学的特性の向上が見られる。
【0126】
(比較例9)
実施例11と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系を用いて、攪拌開始直後と1時間後にTETi溶液を滴下した。ゾル溶液は透明であったが、溶媒キャスト時に相分離が生じ、不均一白濁化した複合体しか得ることはできなかった。複合体の膜厚100μmでの可視光域の光透過率は0%であった。
【0127】
複合体は非常に脆く、引張試験、粘弾性試験を行いうるサンプルを得ることができなかった。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例11と同じとした。
【0128】
(実施例12)
ビスフェノール−Aタイプのエポキシ樹脂10gと、芳香族ポリアミン系の硬化剤(チバガイギー株式会社製、HY−830)5gと、THF4gとから成る混合溶液を約4日間攪拌した。(なお、本系のエポキシ樹脂のゲル硬化時間は約20日であった。)3gのTETi(約6.5重量%)を5gのTHFで希釈し、エポキシ樹脂−硬化剤の溶液に滴下した。
【0129】
約5分間攪拌後、室温(30℃)、空気中(50%)でキャストし、80℃で1時間乾燥後、150℃で約3時間熱処理を行いエポキシ樹脂と酸化チタンとの複合体を得た。TGA測定からの複合体の残存重量は約6.5重量%であった。
【0130】
複合体は透明性に優れており、100μmの膜厚での可視光域の光透過率は92%であった。蛍光X線で、チタン化合物がエポキシ樹脂中に含まれていることを確認した。SEMにより、複合体の断面観測を行ったところ、10〜20nmの微細粒子が均質分散しているのが観測された。
【0131】
tan δのピークは、複合体では140℃、酸化チタンを含まないエポキシ硬化物単体では88℃に現れた。耐熱性の著しい向上が見られる。室温域でのヤング率は、エポキシ樹脂硬化物単体が3.0GPaであるのに対して、複合体では3.8GPaであった。
【0132】
引張試験を行ったところ、伸びは6.8%、強度は6.5kgf/mm2であった。一方、酸化チタンを含まないエポキシ硬化物単体の場合、伸びは8%、強度は5kgf/mm2であった。複合体では、伸びが低下しているものの、強度、弾性率の力学的特性が向上している。
【0133】
(比較例10)
実施例12と同じ組成のエポキシ樹脂と硬化剤から成る系において、攪拌開始直後と1日後にチタンアルコキシドとTHFの混合溶液を滴下した。ゾル溶液は透明であったが、キャスト時に相分離し、フィルムは不均一に白濁化した劣悪な状態であった。
【0134】
膜厚100μmでの可視光域の光透過性はいずれの場合も1〜2%であった。フィルムが非常に脆く、粘弾性率測定及び引張測定を行うことが不可能な極めて劣悪な力学的特性であった。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の攪拌時間以外の条件は実施例12と同じとした。
【0135】
本発明の製造法によれば、電子・電気部品、塗膜、機械部品、自動車部品、土木建築資材、スポーツ用具、雑貨などの材料或いは各種成形材料として有用なエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体であって、透明性、耐熱性、弾性率、強度、伸びなどの力学的特性、耐酸性、硬度等の表面特性に優れたエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエポキシ樹脂と酸化チタンの複合体(TiO2 14重量%)と、比較のためのエポキシ樹脂単体、及び単純ブレンドエポキシ硬化物の可視光域での波長(nm)と光透過率(%)の関係を示す図である。(試料膜厚は50μm)
【図2】本発明のエポキシ樹脂と酸化チタンの複合体のTiO2含有量と粘弾性の関係を示す図である。図の横軸は温度、縦軸は上の部分がE’(MPa)、下の部分がtanδを示す。
Claims (10)
- エポキシ樹脂とアミン系硬化剤をあらかじめ部分的に反応させた溶液であって、前記エポキシ樹脂と前記アミン系硬化剤とをゲル硬化に要する時間の5〜70%の時間あらかじめ反応させた溶液に、金属アルコキシド及び/又はその部分加水分解縮合物と水及び/又は有機溶媒を添加し、in situ 合成することを特徴とするエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- 前記金属アルコキシドとして、前記複合体の0.2〜40重量%のシリコンアルコキシド及び/又はチタンアルコキシドを用いる請求項1記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- 前記エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項1又は2記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- 前記金属アルコキシド100重量部に対して、0.05〜50重量部のシランカップリング剤を併せて用いる請求項1、2又は3記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- エポキシ樹脂とアミン系硬化剤をあらかじめ部分的に反応させた溶液であって、前記エポキシ樹脂と前記アミン系硬化剤とをゲル硬化に要する時間の5〜70%の時間あらかじめ反応させた溶液に、酸化チタン換算で複合体の0.2〜40重量%のチタンアルコキシド及び必要に応じて有機溶媒を添加して撹拌により均質ゾル溶液とした後、大気中の水分でチタンアルコキシドを縮重合させることを特徴とするエポキシ樹脂とチタン酸化物との複合体の製造法。
- 前記エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項5記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- 前記チタンアルコキシド100重量部に対して、0.05〜50重量部のシランカップリング剤を併せて用いる請求項5又は6記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体の製造法。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載の製造法によって得られるエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体。
- エポキシ樹脂硬化物中に、金属アルコキシドより得られる金属酸化物が0 . 005〜0.4μmの大きさで均質に微分散されている請求項8記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体。
- 可視光域での光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項8記載のエポキシ樹脂と金属酸化物の複合体。
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