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JP3566976B2 - 生体成分中の測定対象の測定方法 - Google Patents

生体成分中の測定対象の測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、臨床検査の分野で利用される生体成分中の測定対象の新規な測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、臨床検査分野において、血清、血漿、尿などの生体中の成分(酵素、基質など)を測定するための反応系に、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応が多く利用されている。NAD(P)Hは340nmに吸収極大をもつので、NAD(P)(酸化型補酵素)を生成する反応においてはNAD(P)H(還元型補酵素)の減少が、反対に、NAD(P)H(還元型補酵素)を生成する反応においては、NAD(P)H(還元型補酵素)の増加が340nmの吸収度変化により測定される。
しかし、デヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応は、ほとんどが可逆反応であるため、例えばNAD(P)を生成する反応においては、NAD(P)が増加するに従って逆反応が大きくなり反応性が低下する、つまり、測定範囲が狭くなり、反応直線性が伸びなくなるという問題がある。同様に、NAD(P)Hを増加させる方法も、NADP(H)が増加するに従って逆反応が大きくなり反応性が低下する。
また、生体成分中には、本来目的とする物質の測定に影響を及ぼす干渉物質、いわゆる内因性物質が存在する場合がある。このような場合、この内因性物質も測定すべき物質と同時に測定されることから、測定精度に悪い影響を与えるという問題がある。
一方、微量の基質や酵素活性を増幅定量する方法として、「酵素的サイクリング」が知られている。一般には、基質または酵素活性から生成した基質の「基質サイクリング」として測定される。NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応を繰り返す「NAD(P)サイクリング」もこの酵素的サイクリングの一例である。「酵素的サイクリング」は、目的の基質や酵素が微量であっても、これらが増幅されることにより高感度に測定できるので微量定量法としては有用であるが、「NAD(P)サイクリング」の場合は、酸化型〔NAD(P)〕または、還元型〔NAD(P)H〕のいずれか一方だけを測定する必要がある。従って、NAD(P)とNAD(P)Hが共存するため測定不能となる。これを解決するためにHPLCを用いて両者を分別したり、熱処理してどちらか一方を分解する方法があるが、操作が複雑になる。また、Thio−NAD法は酸化性基質と還元性基質の両方を測定するが、胆汁酸においては基質によりサイクリング率が異なるため、物質の定量として問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応を含む測定方法における上記の問題点を改良し、高精度で迅速な生体成分中の測定対象の測定方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意研究した結果、下記の本発明により上記目的が達成されることを見出した。
即ち、本発明は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応を含み、NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させることによる生体成分中の測定対象の新規な各測定方法であり、その態様としては次の通りである。
(1)生体成分中に含まれる測定対象をNAD(P)Hを補酵素とするデヒドロゲナーゼを用いて測定する反応において、当該反応により生成したNAD(P)をNAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて消費し、当該反応を促進させることを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法1)、
(2)測定対象の測定に影響を及ぼす干渉物質を、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼを用いて消去し、残存するNAD(P)をNAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて消費することを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法2)、
(3)工程A:測定対象物にNAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼを反応させる工程、
工程B:NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させて、工程Aにて残存しているNAD(P)を消費する工程、
工程C:工程BにおけるNAD(P)ヌクレオシダーゼの作用をその抗体及びその阻害剤の1種または2種以上を用いて停止させる工程、
工程D:工程Cに引き続いて、NAD(P)サイクリングを行う工程、
を含むことを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法3)。
【0005】
本発明において測定される測定対象とは、血液、血漿、尿、髄液、血球、唾液、涙液等の生体成分中の酵素、基質である。
【0006】
本発明に使用されるNAD(P)ヌクレオシダーゼは、動物組織由来、微生物由来のいずれも用いることができる。市販品として、Streptomyces sp., Streptococcus sp. 由来のものを用いてもよい。
【0007】
本発明にいう主反応とは、デヒドロゲナーゼ、またはレダクターゼ、オキシゲンナーゼ等、補酵素としてNAD(P)またはNAD(P)Hを必要とする酸化還元反応をいう。
【0008】
以下、本発明の各測定方法を具体的に説明する。
(1)生体成分中に含まれる測定対象をNAD(P)Hを補酵素とするデヒドロゲナーゼを用いて測定する反応において、当該反応により生成したNAD(P)をNAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて消費し、当該反応を促進させることを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法1):
本方法は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応のうち、NAD(P)を生成する反応に用いることができる。具体的には、主反応で生成したNAD(P)にNAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させて消費することにより、この主反応が不可逆反応となり、反応が促進される。測定は、NAD(P)Hの消費量を340nmの吸光度の減少として求める。NAD(P)ヌクレオシダーゼは、NAD(P)に反応しても生成されるものは340nmに吸収がないため、主反応の測定に影響を与えない。
【0009】
本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオシダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/ml、好ましくは5〜50単位/mlあればよい。
【0010】
本方法の測定対象となる酵素としては、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBD)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GlDH)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、コリンエステラーゼ、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ロイシンアミノペプチダーゼ等が挙げられる。
【0011】
また、本方法の測定対象となる基質としては、尿素窒素(UN)、トリグリセリド(TG)、遊離型(非結合型)脂肪酸(NEFA)、クレアチン(CRN)、シアル酸等が挙げられる。
【0012】
尚、UNはGlDHを、GOTはMDHを、GPTはLDHを、TGはLDHをそれぞれ共役反応させて測定する。
【0013】
(2)測定対象の測定に影響を及ぼす干渉物質を、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼを用いて消去し、残存するNAD(P)をNAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて消費することを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法2):
本方法は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応のうち、NAD(P)Hを生成する反応に用いることができる。本方法においては、まず、内因性物質に起因する物質に、NAD(P)をNAD(P)Hに変換するデヒドロゲナーゼを反応させる。その後、NAD(P)ヌクレオシダーゼを加えてNAD(P)に反応させ、これを消費し、かくしてNAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼの反応を停止させる。
このあと、本来測定すべき目的物質の測定をするが、そのときはNAD(P)の関与しない反応系に導いて測定する。それには、例えば、オキシダーゼによりHを生成する反応や、NAD(P)の代わりにThio−NAD(P)を基質とする反応などがある。これらの反応ではNAD(P)がNAD(P)ヌクレオシダーゼにより消費させられるため、デヒドロゲナーゼによりNAD(P)Hが生成されることはない。
【0014】
本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオシダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/ml、好ましくは1〜50単位/mlあれば良い。
【0015】
本方法の測定対象となる酵素としては、代表的にはアミラーゼ(AMY)が挙げられる。
【0016】
また、本方法の測定対象となる基質としては、代表的にはトリグリセリド(TG)が挙げられる。
【0017】
本方法を使用する例として、アミラーゼ(AMY)の測定を挙げる。まず試料中の内因性物質であるグルコースにヘキソキナーゼ(HK)を作用させてグルコース−6−リン酸とし、さらにグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−PDH)を作用させて6−ホスホグルコン酸とする。次に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させると、NADが消費され、G−6−PDHの反応は進行しないようになる。この状態で、AMYを測定するべく、AMYの酵素活性により生成したグルコースにグルコースオキシダーゼを加えてHを生成するか、またはThio−NAD(P)を加えてThio−NAD(P)Hの生成を測定する(下式参照)。
【0018】
【化1】
Figure 0003566976
【0019】
また他の例として、トリグリセリド(TG)の測定においては、まず試料中の内因性物質であるグリセロールにグリセロールキナーゼ(GK)を作用させてグリセロール3−リン酸とし、それと同時にATPからADPを生成する。ホスホエールピルビン酸を基質としてピルビン酸キナーゼ(PK)を作用させ、そのADPを消費し、ピルビン酸を生成し、ピルビン酸脱水素酵素(PDH)を用いてグリセロールを消去する。次に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させると、NADが消費され、PDHの反応は進行しないようになる。この状態で、TGを測定するべく、Thio−NADを加えてThio−NADHの生成を測定する(下式参照)。
【0020】
【化2】
Figure 0003566976
【0021】
(3)工程A:測定対象物にNAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼを反応させる工程、
工程B:NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させて、工程Aにて残存しているNAD(P)を消費する工程、
工程C:工程BにおけるNAD(P)ヌクレオシダーゼの作用をその抗体及びその阻害剤の1種または2種以上を用いて停止させる工程、
工程D:工程Cに引き続いて、NAD(P)サイクリングを行う工程、
を含むことを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法(測定方法3):
本方法は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応のうち、NAD(P)Hを生成する反応に用いることができる。本方法においては、まず、測定対象物質に、NAD(P)をNAD(P)Hに変換するデヒドロゲナーゼを反応させる。次に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させて残存しているNAD(P)を消費する。このあと生成したNAD(P)Hは、サイクリング反応をさせるが、ここでNAD(P)ヌクレオシダーゼに対する抗体またはその阻害物質を加えることにより、NAD(P)ヌクレオシダーゼを不活性化し、サイクリング反応におけるNAD(P)には反応しないようにする。
一方、サイクリング反応においては、上記で生成したNAD(P)Hが、第一のデヒドロゲナーゼの作用を受けてNAD(P)となり、続いて第二のデヒドロゲナーゼの作用を受けてもとのNAD(P)Hに変換される反応が数回繰り返される(NAD(P)サイクリング)。このサイクリング反応をn回繰り返すと、もとのNAD(P)Hをn倍に増幅し測定可能となる。
【0022】
本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオシダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/ml、好ましくは1〜50単位/mlあれば良い。
【0023】
本方法の測定対象となる酵素としては、具体的には、GOT、GPT、LDH、AMY、CPK等が挙げられる。
【0024】
また、本方法の測定対象となる基質としては、3α−ヒドロキシステロイド、myo−イノシトール、L−リンゴ酸、α−アミノ酸、グルコース、D−ガラクトース−6−リン酸、D−グリセロアルデヒド−3−リン酸、乳酸、ピルビン酸、D−ソルビトール、D−マンニトール、グリセロール、カルニチン、コレステロール等が挙げられる。
【0025】
NAD(P)ヌクレオシダーゼ阻害剤には、ニコチンアミド、アデノシンジホスフェートリボース、アデノシンモノホスフェート、アデノシンジホスフェートリボース等が挙げられる。
抗NAD(P)ヌクレオシダーゼ抗体は、ASO陽性血漿、血清から、またはマウス、ウサギ、ヤギなどにNAD(P)ヌクレオシダーゼを感作させて得ることができる。
【0026】
本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオシダーゼ阻害剤、抗NAD(P)ヌクレオシダーゼ抗体の使用量は、使用するNAD(P)ヌクレオシダーゼに対し、瞬時、あるいは1〜10分以内に、NAD(P)ヌクレオシダーゼが完全に反応を停止する量を使用すればよい。
NAD(P)ヌクレオシダーゼ阻害剤、抗NAD(P)ヌクレオシダーゼ抗体は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本方法を使用する例として、3α−ヒドロキシステロイドの測定を挙げることができる。まず試料にNADを補酵素として3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α−HSDH)を作用させる。次に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させ、残存しているNADを消費し、続いてNAD(P)ヌクレオシダーゼに対する抗体または阻害物質を加えてNAD(P)ヌクレオシダーゼの作用を停止させる。引き続いて、生成したNADHを、ニトロテトラブルーを基質とし、第一のデヒドロゲナーゼとしてダイアフォラーゼを作用させてNADとし、またグルコース−6−リン酸を基質とし、第二のデヒドロゲナーゼとしてグルコース−6─リン酸デヒドロゲナーゼを作用させてNADHにもどすサイクリング反応を数回行う(下式参照)。
【0028】
【化3】
Figure 0003566976
【0029】
また他の例として、グルコースの測定においては、まず試料にNADPを補酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を作用させる。次に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させ、残存しているNADPを消費し、続いてNAD(P)ヌクレオシダーゼに対する抗体または阻害物質を加えてNAD(P)ヌクレオシダーゼの作用を停止させる。引き続いて、生成したNADPHを、α−ケトグルタル酸を基質とし、第一のデヒドロゲナーゼとしてグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GlDH)を作用させてNADPとし、またグルコース−6−リン酸を基質とし、第二のデヒドロゲナーゼとしてグルコース−6─リン酸デヒドロゲナーゼを作用させてNADPHにもどすサイクリング反応を数回行う(下式参照)。
【0030】
【化4】
Figure 0003566976
【0031】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0032】
実施例1
以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。
Figure 0003566976
【0033】
Figure 0003566976
【0034】
Figure 0003566976
【0035】
これらの試薬を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)酵素測定用試薬として、以下の測定に供した。
まず、試料7μlと試薬1を320μl混和し、5分間37℃に恒温後、試薬2または試薬3を80μl加え、攪拌後、37℃で340nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(1〜3分後)を求めた。盲検として、試料の代わりに生理的食塩水を用いて同様の操作を行った。試料にはブタ心筋由来の高値の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を10段階希釈したものを使用した。
その結果を図1、2に示す。本方法(試薬1+試薬2による)は従来法(試薬1+試薬3による)に比べ、測定範囲が広がり、反応直線性が向上した。
【0036】
実施例2
以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。
Figure 0003566976
【0037】
Figure 0003566976
【0038】
Figure 0003566976
【0039】
これらの試薬を、血清尿素窒素(UN)測定用試薬とし、以下の測定に供した。
まず、試料6μlと試薬4を250μl混和し、5分間37℃に恒温後、試薬5または試薬6を100μlを添加し、37℃で340nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(2〜4分後)を求めた。盲検として、試料の代わりに生理的食塩水を用いて同様の操作を行った。試料には尿素窒素として約500mg/dlとなるように調製したものを10段階希釈したものを使用した。
その結果を図3に示す。本方法(試料4+試料5による)は従来法(試料4+試料6による)に比べ、測定範囲が広がり、反応直線性が向上した。
【0040】
実施例3
以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。
Figure 0003566976
【0041】
Figure 0003566976
【0042】
・AMY試薬・A(国際試薬(株)製/従来品)
【0043】
これらの試薬を、アミラーゼ測定用試薬として、以下の測定に供した。
まず、試料7μlと試薬7を280μlを混和し、5分間37℃に恒温する。次に、試薬8を70μl添加し、37℃で405nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(3〜5分後)を求めた。
AMY試薬・A(国際試薬(株)製)を用いたGPNP法による測定は、使用説明書に従い、検体8μlと第一試薬320μlを混和し、37℃で5分間恒温し、次に第二試薬を80μl添加し、37℃で405nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(3〜4分後)を求めた。
試料として、患者血清検14例及びプール血清に最大2g/dlのグルコースを添加し、消去効果を確認した。
従来法のGPNP法との血清検体における相関性は、相関係数0.999、回帰式1.016x−3.1となり、良好な結果を得た(図4)。
また、本法によれば、アミラーゼ測定値へのグルコースの干渉も2g/dlまでないことが確認できた(図5)。
【0044】
実施例4
以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。
Figure 0003566976
【0045】
Figure 0003566976
【0046】
Figure 0003566976
【0047】
Figure 0003566976
【0048】
・胆汁酸・E「コクサイ」(国際試薬(株)製/従来品)
【0049】
これらの試薬を、血清中総胆汁酸濃度測定用試薬として、以下の測定に供した。尚、試薬11中の抗NAD(P)ase抗体は、ASLO陽性血漿の高力価のものをゲル濾過して精製したものを用いた。
まず、試料100μlと試薬9を1.0ml混和し、5分間37℃に恒温後、試薬10を500μl加え、5分間37℃で反応させ、さらに試薬11を500μl加え、5分間37℃で反応させる。最後に試薬12を1.0ml加え、37℃で550nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(1〜3分後)を求めた。
胆汁酸・E「コクサイ」(国際試薬(株)製)は、使用説明書に従い、検体20μlに第一試薬320μlを添加し、37℃で5分間恒温し、次に第二試薬を80μl添加後、5分後の吸光度を546nmで測定した。また、検体ブランクとして第一試薬から3α−HSDを抜いたブランク試薬を同様に操作し、この測定値を差し引いて、胆汁酸濃度を求めた。
試料には血清20例、標準液(コール酸ナトリウム 50μmol/l)を100μmol/lを最高に10段階希釈したものを使用した。盲検として、試料の代わりに生理的食塩水を用いて同様の操作を行った。
その結果を図6に示す。本方法(試料9〜12による)によれば、約80μlmol/lまで直線性が確認された。
一方、従来法(3 α−HSD−ホルマザン法)との相関係数は、r=0.953、回帰式y=0.974x−0.287となり、良好な相関性を示した。
【0050】
【発明の効果】
本発明の各測定方法によれば、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応を含む生体成分中の測定対象の各種の測定方法を改良でき、高精度で迅速な測定が実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法1と従来法による乳酸脱水素酵素測定の検量線を示す。
【図2】本発明の測定方法1と従来法による乳酸脱水素酵素測定時の経時変化を示す。
【図3】本発明の測定方法1と従来法による尿素窒素測定の検量線を示す。
【図4】本発明の測定方法2と従来法によるアミラーゼ測定における相関性を示す。
【図5】本発明の測定方法2での、アミラーゼ測定値へのグルコースの干渉を示す。
【図6】本発明の測定方法3による血清中総胆汁酸濃度測定の検量線を示す。

Claims (1)

  1. 工程A:測定対象物にNAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼを反応させる工程、
    工程B:NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させて、工程Aにて残存しているNAD(P)を消費する工程、
    工程C:工程BにおけるNAD(P)ヌクレオシダーゼの作用をその抗体及びその阻害剤の1種または2種以上を用いて停止させる工程、及び
    工程D:工程Cに引き続いて、NAD(P)サイクリングを行う工程
    を含むことを特徴とする生体成分中の測定対象の測定方法。
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