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JP3558910B2 - クランクシャフトの仕上げ加工装置 - Google Patents

クランクシャフトの仕上げ加工装置 Download PDF

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JP3558910B2
JP3558910B2 JP2767499A JP2767499A JP3558910B2 JP 3558910 B2 JP3558910 B2 JP 3558910B2 JP 2767499 A JP2767499 A JP 2767499A JP 2767499 A JP2767499 A JP 2767499A JP 3558910 B2 JP3558910 B2 JP 3558910B2
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保雄 近藤
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として直列4気筒エンジン用のクランクシャフトのジャーナル部とピン部とを仕上げ加工するクランクシャフトの仕上げ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の加工装置として、クランクシャフトの各ジャーナル部と各ピン部の位置に合わせてジャーナル用とピン用の加工工具を複数搭載した加工ユニットを設け、クランクシャフトの全てのジャーナル部とピン部とを同時に加工するものが知られている。そして、クランクシャフトが直列4気筒エンジン用のものである場合は、加工ユニットの共通の支持台上に、5個のジャーナル用加工工具と、各ジャーナル用加工工具間に各1個、計4個のピン用加工工具とを配置している(実公平3−33410号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の加工ユニットは、クランクシャフトの機種毎に専用化されてしまい、ジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチが異なる新機種のクランクシャフトについては加工ユニットを新規に作製する必要があって、コストがかかる。
【0004】
この場合、加工ユニットの支持台に、ジャーナル用とピン用の各加工工具を支持する複数の支持板、例えば、直列4気筒用クランクシャフトでは9個の支持板をクランクシャフトの軸方向に平行なX軸方向に移動自在に支持し、これら支持板の移動で各加工工具の配置ピッチを加工すべきクランクシャフトのジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチに合わせて調整し得るようにし、汎用性を持たせることが考えられる。
【0005】
然し、各支持板を支持台に対しX軸方向に移動自在とする場合、各支持板のX軸方向の支持剛性を確保する上で、支持台に対するスライドガイド部になる各支持板の基部のX軸方向長さを或る程度以上にすることが必要になり、そのため隣接する支持板の基部同士の干渉でジャーナル用加工工具とピン用加工工具との配置ピッチを左程狭められなくなり、ジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチが小さなクランクシャフトは加工できなくなる。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、ジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチが小さなクランクシャフトも加工できるようにした、汎用性に優れたクランクシャフトの仕上げ加工装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、クランクシャフトのジャーナル部とピン部とに仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具を搭載した加工ユニットを備えるクランクシャフトの仕上げ加工装置において、加工ユニットの支持台を、クランクシャフトの軸線に平行なX軸方向に3分割された、X軸方向に移動自在な3個の可動台で構成し、これら可動台のうちX軸方向一方に位置する第1可動台と中間に位置する第2可動台とX軸方向他方に位置する第3可動台とに、夫々、固定支持板を立設すると共に、第2と第3の各可動台に、該各可動台上の固定支持板に対しX軸方向に対向する可動支持板をX軸方向に移動自在に支持し、第1可動台上の固定支持板を第1の支持板、第2可動台上の固定支持板と可動支持板とのうち第1可動台寄りの一方の支持板を第2の支持板、他方の支持板を第3の支持板、第3可動台上の固定支持板と可動支持板とのうち第2可動台寄りの一方の支持板を第4の支持板、他方の支持板を第5の支持板として、第1の支持板のX軸方向片側の側面に第1のジャーナル用加工工具と、第2の支持板の第3の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第1のピン用加工工具と、第3の支持板の第2の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第2のジャーナル用加工工具と、第4の支持板の第5の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第2のピン用加工工具と、第5の支持板の第4の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第3のジャーナル用加工工具とを配置し、更に、第1のピン用加工工具と第2のジャーナル用加工工具と第2のピン用加工工具と第3のジャーナル用加工工具の第1のジャーナル用加工工具からのX軸方向距離が、夫々、加工すべきクランクシャフトのジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチの3倍、4倍、7倍、8倍になるように、第1可動台に対し第2と第3の各可動台と該各可動台上の可動支持板とをX軸方向に位置調整する調整手段を設けている。
【0008】
本発明によれば、各可動台がこれに立設した各固定支持板のX軸方向スライドガイド部として機能し、第2と第3の各可動台上の可動支持板のX軸方向支持剛性を確保すべく、各可動支持板の基部のスライドガイド部のX軸方向長さを或る程度以上にしても、このスライドガイド部は固定支持板のスライドガイド部たる第2と第3の各可動台上に支持されるため、各可動台上の可動支持板を該各可動台上の固定支持板に両支持板のスライドガイド部同士の干渉を生ずることなく接近できる。更に、第2と第3の各可動台上のジャーナル用とピン用の両加工工具は各可動台上の固定支持板と可動支持板の対向面間にX軸方向に隣り合わせて配置されることになり、可動支持板を固定支持板に接近させることで、第2可動台上の第2のジャーナル用加工工具と第1のピン用加工工具のX軸方向配置ピッチ及び第3可動台上の第3のジャーナル用加工工具と第2のピン用加工工具のX軸方向配置ピッチをかなり狭めることができる。
【0009】
一方、第1可動台上の第1のジャーナル用加工工具と第2可動台上の第1のピン用加工工具のX軸方向配置ピッチ及び第2可動台上の第2のジャーナル用加工工具と第3可動台上の第2のピン用加工工具のX軸方向配置ピッチは左程狭めることはできないが、本発明では、これら各配置ピッチをジャーナル部とピン部との間のX軸方向ピッチの3倍に設定すれば良く、問題はない。
【0010】
図1に示す如き直列4気筒エンジン用クランクシャフトWの加工に際しては、先ず、加工ユニット全体を第1可動台上の第1のジャーナル用加工工具がクランクシャフトWのX軸方向一方の軸端から数えて1番目の#1のジャーナル部Waに合致する第1加工位置にシフトする。第1加工位置では、第2可動台上の第1のピン用加工工具が#1のジャーナル部Waから3p(pはジャーナル部とピン部との間のX軸方向ピッチ)離れた#2のピン部Wb、第2可動台上の第2のジャーナル用加工工具が#1のジャーナルから4p離れた#3のジャーナル部Wa、第3可動台上の第2のピン用加工工具が#1のジャーナル部から7p離れた#4のピン部Wb、第3可動台上の第3のジャーナル用加工工具が#1のジャーナル部から8p離れた#5のジャーナル部Waに夫々合致し、かくて、#1,#3,#5のジャーナル部Waと#2,#4のピン部Wbとを同時に仕上げ加工できる。次に、加工ユニット全体を第1加工位置からX軸方向一方に2pだけずれた第2加工位置にシフトする。第2加工位置では、第1のピン用加工工具が#1のジャーナル部Waから1p離れた#1のピン部Wb、第2のジャーナル用加工工具が#1のジャーナル部Waから2p離れた#2のジャーナル部Wa、第2のピン用加工工具が#1のジャーナル部Waから5p離れた#3のピン部Wb、第3のジャーナル用加工工具が#1のジャーナル部Waから6p離れた#4のジャーナル部Waに夫々合致し、かくて、#2,#4のジャーナル部Waと#1,#3のピン部Wbとを同時に仕上げ加工できる。
【0011】
このように、本発明によれば、2回の作業でクランクシャフトの全てのジャーナル部とピン部とを能率良く仕上げ加工できると共に、pに合わせて調整すべき第1のピン用加工工具と第2のジャーナル用加工工具のX軸方向配置ピッチ及び第2のピン用加工工具と第3のジャーナル用加工工具のX軸方向配置ピッチを上記の如くかなり狭められるため、pの小さなものから大きなものまで多機種のクランクシャフトを仕上げ加工でき、汎用性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示す如き直列4気筒用クランクシャフトWを仕上げ加工する装置に本発明を適用した実施形態について説明する。
【0013】
図2を参照して、1は、クランクシャフトWを支持する図外の主軸台と心押台とを配置した仕上げ加工装置の機台であり、機台1上に、クランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとに第1段階の仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具3J,3Pを搭載した第1加工ユニット2と、ジャーナル部Wとピン部Wbとに第2段階の仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具4J,4Pを搭載した第2加工ユニット2とを機台1上の共通のガイドレール2aに沿ってクランクシャフトWの軸線に平行なX軸方向に移動自在に配置し、主軸台と心押台との間に支持されるクランクシャフトWに臨む加工位置に両加工ユニット2,2を選択的に移動して、ジャーナル部Wa及びピン部Wbの第1段階の仕上げ加工と第2段階の仕上げ加工とを行うようにしている。
【0014】
各加工ユニット2,2の支持台は、ガイドレール2aに摺動自在に支持される、X軸方向に3分割された3個の可動台20,21,22で構成されている。これら3個の可動台のうちX軸方向一方(図2で右方)に位置する第1可動台20のX軸方向他方の側部には固定支持板20aが立設されており、同様に、中間に位置する第2可動台21のX軸方向他方の側部とX軸方向他方に位置する第3可動台22のX軸方向一方の側部にも固定支持板21a,22aが立設されている。また、第2と第3の各可動台21,22上には、固定支持板21a,22aに対しX軸方向に対向する可動支持板21b,22bが各可動台21,22上のガイドレール21c,22cに沿ってX軸方向に移動自在に支持されている。そして、各加工ユニット2,2の第1可動台20上の固定支持板20aのX軸方向片側の側面に▲1▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと、第2可動台21上の固定支持板21aと可動支持板21bとのうち第1可動台20寄りの支持板たる可動支持板21bの固定支持板21aに対向するX軸方向片側の側面に▲1▼のピン用加工工具3P,4Pと、固定支持板21aの可動支持板21bに対向するX軸方向片側の側面に▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと、第3可動台22上の固定支持板22aと可動支持板22bのうち第2可動台21寄りの支持板たる固定支持板22aの可動支持板22bに対向するX軸方向片側の側面に▲2▼のピン用加工工具3P,4Pと、可動支持板22bの固定支持板22aに対向するX軸方向片側の側面に▲3▼のジャーナル用加工工具3J,4Jとを夫々クランクシャフトWに向けてX軸方向に直交するY軸方向に進退自在に支持している。
【0015】
第1加工ユニット2に搭載するジャーナル用とピン用の加工工具3J,3Pは、ラッピングテープによる研磨を行うラッピング工具で構成されている。ジャーナル用ラッピング工具3Jは、図3に示す如く、工具キャリア30に支持される工具本体31に、Y軸方向先方にのびてジャーナル部Waを把持する上下1対のクランプアーム32,32をY軸方向尾端部において、X軸方向の枢支ピン32a,32aにより上下方向たるZ軸方向に開閉自在に枢支し、両クランプアーム32,32のZ軸方向の対向面にラッピングテープ33を張設して成るものである。両クランプアーム32,32は、工具本体31に組込んだシリンダ34によりトグルリンク34aを介して開閉動作されるようになっており、両クランプアーム32,32を閉じてジャーナル部Waを把持することによりラッピングテープ33をジャーナル部Waの周面に圧接し、この状態でクランクシャフトWを回転させてジャーナル部Waを研磨する。また、工具キャリア30には、ラッピングテープ33用の下側の繰出リール330と、上側の巻取リール331とが設けられており、両リール330,331間において複数のガイドプーリ332を介して両クランプアーム32,32の対向面間にラッピングテープ33を張り渡し、更に、シリンダ333aで駆動される巻取機構333を工具キャリア30に搭載して、ラッピングテープ33を定期的に一定長さ宛巻取リール331に巻取るようにしている。
【0016】
ピン用ラッピング工具3Pは、図4に示す通りであり、上記ジャーナル用ラッピング工具3Jと共通する部材については上記と同一の符号を付してその説明を省略する。ピン用ラッピング工具3Pのジャーナル用ラッピング工具3Jに対する主な相違点は、クランクシャフトWの回転によるピン部Wbの公転運動に追従して工具本体31がZ軸方向及びY軸方向に振れ動きするよう、工具本体31に、工具キャリア30に固定の支持ピン31aに係合するY軸方向に長手の長穴31bを形成し、工具キャリア30に工具本体31をY軸方向に遊動自在に、且つ、Z軸方向に揺動自在に支持させた点である。
【0017】
第2加工ユニット2に搭載するジャーナル用とピン用の加工工具4J,4Pは、超仕上げ砥石による研削を行う研削工具で構成されている。ジャーナル用研削工具4Jは、図5に示す如く、工具キャリア40に支持される工具本体41のY軸方向先端部に、ジャーナル部Waを受け入れる、Y軸方向先方に開口する略C形のヘッド部41aを形成し、ヘッド部41aの周方向3箇所に、ジャーナル部Waに向けて放射方向に進退自在なスライドバー42を挿設して、各スライドバー42の先端に超仕上げ砥石43を取付けて成るものである。ヘッド部41aには、シリンダ44aにより周方向に回動される略C形のカム板44が設けられており、カム板44に、各スライドバー42に植設したピン42aを挿入するスクロール状のカム溝44bを形成し、図5に示す状態からカム板44を時計方向に回動させたとき、各スライドバー42が放射方向内方に前進して、ジャーナル部Waの周面に砥石43が当接するようにしている。図中44cはカム板44の押え板である。
【0018】
ピン用研削工具4Pは、図6に示す通りであり、上記ジャーナル用研削工具4Jと共通する部材については上記と同一の符号を付してその説明を省略する。ピン用研削工具4Pでは、ピン用ラッピング工具4Pと同様にピン部Wbの公転運動に追従して工具本体41がZ軸方向及びY軸方向に振れ動きするよう、工具本体41に、工具キャリア40に固定の支持ピン41cに係合するY軸方向に長手の長穴41dを形成して、工具キャリア40に工具本体41をY軸方向に遊動自在に、且つ、Z軸方向に揺動自在に支持させている。
【0019】
また、図4及び図6を参照して、ピン用のラッピング工具3P及び研削工具4Pでは、工具キャリア30,40に、シリンダ35a,45aによりZ軸方向に揺動される工具本体31,41用の支持レバー35,45を設けると共に、工具本体31,41の下面にY軸方向に離間して1対の係合溝35b,35c,45b,45cを形成し、当初加工ユニット2,2側に最接近したY軸方向尾方の近死点位置に存するピン部Wbを加工する工具3P,4Pにおいては、支持レバー35,45に取付けた係合爪35d,45dにY軸方向先方の係合溝35b,45bを係合させて、工具本体31,41をY軸方向尾方に偏位させた状態で水平姿勢に支持し、当初加工ユニット2,2側から最も離れたY軸方向先方の遠死点位置に存するピン部Wbを加工する工具3P,4Pにおいては、係合爪35d,45dにY軸方向尾方の係合溝35c,45cを係合させて、工具本体31,41をY軸方向先方に偏位させた状態で水平姿勢に支持し、加工中は支持レバー35,45を下方に揺動退避させて、工具本体31,41がピン部Wbの公転運動に追従して振れ動きし得るようにしている。
【0020】
ジャーナル用のラッピング工具3J及び研削工具4Jの工具本体31,41は工具キャリア30,40に水平姿勢で固定しても良いが、本実施形態では、図3及び図5に示す如く、工具キャリア30,40に固定の支持ピン31a,41cに工具本体31,41をY軸方向尾端のピン穴において枢支すると共に、工具キャリア30,40に工具本体の下面に当接する支持ボルト36,46を取付けて、工具本体31,41を水平姿勢に支持している。
【0021】
前記各工具3J,3P,4J,4Pは、各加工ユニット2,2の各可動台20,21,22上の固定支持板20a,21a,22aと可動支持板21b,22bとに固定したガイドレール3a,4aに工具キャリア30,40においてY軸方向に摺動自在に支持されている。そして、各支持板20a,21a,21b,22a,22bのY軸方向尾端部に、シリンダ3b,4bと、シリンダ3b,4bによりラック3c,4cを介して正逆転されるピニオン3d,4dとを設け、ピニオン3d,4dに固定したレバー3e,4eと工具キャリア30,40とをリンク3f,4fを介して連結し、シリンダ3b,4bにより工具キャリア30,40、即ち、各工具3J,3P,4J,4PをY軸方向に進退させるようにしている。尚、ピン用のラッピング工具3P及び研削工具4Pでは、レバー3e,4eとリンク3f,4fとの連結ピンを取付けた駒片3g,4gをリンク3f,4fの尾端の長穴3h,4hに摺動自在に係合させ、駒片3g,4gを調整ねじ3i,4iにより位置調整して、各工具3P,4PのY軸方向の進退ストロークをクランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとの間の径方向距離に合わせて調整し得るようにしている。
【0022】
両加工ユニット2,2の計6個の可動台20,21,22は、第1加工ユニット2の第1可動台20と第2加工ユニット2の第3可動台22とをX軸方向に隣り合わせた状態でX軸方向に列設されている。そして、各加工ユニット2,2の第2可動台21上の▲1▼のピン用加工工具3P,4Pと▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと第3可動台22上の▲2▼のピン用加工工具3P,4Pと▲3▼のジャーナル用加工工具3J,4Jの第1可動台20上の▲1▼のジャーナル用加工工具3J,4JからのX軸方向距離が、夫々、加工すべきクランクシャフトWのジャーナル部Waとピン部Wbとの間の軸方向ピッチpの3倍、4倍、7倍、8倍になるように、第1可動台20に対し第2と第3の各可動台21,22と該各可動台21,22上の可動支持板21b,22bとをX軸方向に位置調整する調整手段5を設けている。
【0023】
この調整手段5は、図7に模式的に示すように、各加工ユニット2,2の第2可動台21上の可動支持板21bと固定支持板21aと第3可動台22上の固定支持板22aと可動支持板22bとにX軸方向の同一軸線上に位置させて夫々ナット部材50,51,52,53を取付け、これらナット部材に螺合するねじ部50a,51a,52a,53aを有する両加工ユニット2,2に共通の調整軸54を第2加工ユニット2の第1可動台20上の軸受55にX軸方向に不動に軸支して構成されている。尚、第1加工ユニット2の第1可動台20は第2加工ユニット2の第1可動台20にタイロッド2bを介して連結されており、各加工ユニット2,2の第1可動台20上の固定支持板20aに対し調整軸54を遊挿している。また、第2加工ユニット2の第1可動台20をモータ2cによりボールねじ機構2dを介してX軸方向に駆動自在とし、この駆動で両加工ユニット2,2が全体的にX軸方向にシフトされるようにしている。
【0024】
ここで、▲1▼のピン用加工工具3P,4Pを支持する第2可動台21上の可動支持板21bに取付けるナット部材50のねじピッチと、▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jを支持する第2可動台21上の固定支持板21aに取付けるナット部材51のねじピッチと、▲2▼のピン用加工工具3P,4Pを支持する第3可動台22上の固定支持板22aに取付けるナット部材52のねじピッチと、▲3▼のジャーナル用加工工具3J,4Jを支持する第3可動台22上の可動支持板22bに取付けるナット部材53のねじピッチとの比は3:4:7:8になっている。かくて、クランクシャフトWの機種変更でジャーナル部Waとピン部Wbとの間の軸方向ピッチpが±△pだけ変化した場合、▲1▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと▲1▼のピン用加工工具3P,4Pとの間のX軸方向距離が3(p±△p)になるように調整軸54をその端部のハンドル54aで回転させれば、▲1▼のジャーナル用加工工具3J,4Jからの▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと▲2▼のピン用加工工具3P,4Pと▲3▼のジャーナル用加工工具3J,4JのX軸方向距離は、夫々、4(p±△p)、7(p±△p)、8(p±△p)になる。従って、ジャーナル部Waとピン部Wbとの間の軸方向ピッチpが変化しても、▲1▼のピン用加工工具3P,4Pと▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jとの間のX軸方向配置ピッチ及び▲2▼のピン用加工工具3P,4Pと▲3▼のジャーナル用加工工具3J,4Jとの間のX軸方向配置ピッチがpに等しく、▲1▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと▲1▼のピン用加工工具3P,4Pとの間のX軸方向配置ピッチ及び▲2▼のジャーナル用加工工具3J,4Jと▲2▼のピン用加工工具3P,4Pとの間のX軸方向配置ピッチが3pに等しくなるように、これら加工工具3J,3P,4J,4Pの位置を調整できる。
【0025】
また、第2と第3の各可動台21,22上のジャーナル用加工工具3J,4Jとピン用加工工具3P,4Pは各可動台21,22上の固定支持板21a,22aと可動支持板21b,22bとの対向面間にX軸方向に隣り合わせて配置されることになり、ジャーナル部Waとピン部Wbとの間の軸方向ピッチpが小さなクランクシャフトWであっても、このピッチpに合致するようにジャーナル用加工工具3J,4Jとピン用加工工具3P,4Pとの間のX軸方向配置ピッチを狭めることができる。そして、この配置ピッチを最小にした状態でも固定支持板21a,22aと可動支持板21b,22bとの間には、ジャーナル用加工工具3J,4JのX軸方向厚さ寸法とピン用加工工具3P,4PのX軸方向厚さ寸法との合計寸法分の隙間が確保されるから、各可動台21,22上のガイドレール21c,22cに摺動自在に係合する各可動支持板21b,22bのスライドガイド部をこの隙間に張り出すように形成して、スライドガイド部のX軸方向長さを長くし、各可動支持板21b,22bのX軸方向支持剛性を確保できる。また、各固定支持板21a,22aのX軸方向支持剛性は各固定支持板21a,22aのスライドガイド部として機能する各可動台21,22のX軸方向長さで確保でき、更に、各可動台21,22上に各可動支持板21b,22bを支持することにより、各固定支持板21a,22aのスライドガイド部と各可動支持板21b,22bのスライドガイド部との相互干渉でジャーナル用加工工具3J,4Jとピン用加工工具3P,4Pとの間のX軸方向配置ピッチの縮少が制限されることを防止できる。
【0026】
図1に示す如き直列4気筒用クランクシャフトWの仕上げ加工に際しては、予め、各加工ユニット2,2の▲1▼のピン用加工工具3P,4Pの工具本体31,41を工具キャリア30,40に対しY軸方向先方に偏位させた状態で支持すると共に、▲2▼のピン用加工工具3P,4Pの工具本体31,41を工具キャリア30,40に対しY軸方向尾方に偏位させた状態で支持し、クランクシャフトを#1と#4のピン部Wbが近死点位置、#2と#3のピン部Wbが遠死点位置に存する位相で主軸台と心押台との間に支持させておく。
【0027】
そして、第1加工ユニット2を▲1▼のジャーナル用加工工具3Jが#1のジャーナル部Waに合致する第1加工位置にシフトする。第1加工位置では、▲1▼のピン用加工工具3Pが#2のピン部Wb、▲2▼のジャーナル用加工工具3Jが#3のジャーナル部Wb、▲2▼のピン用加工工具3Pが#4のピン部Wb、▲3▼のジャーナル用加工工具3Jが#5のジャーナル部Waに夫々合致する。次に、これら各加工工具3J,3PをクランクシャフトWに向けてY軸方向に前進させてから各加工工具3J,3Pのクランプアーム32,32を閉じて、#1,#3,#5のジャーナル部Waと#2,#4のピン部Wbとを把持し、この状態でクランクシャフトWを回転させると共にX軸方向にオシレーションさせ、これらジャーナル部Waとピン部Wbとを研磨する。
【0028】
この研磨が完了すると、#1と#4のピン部Wbが近死点位置、#2と#3のピン部Wbが遠死点位置に存する位相でクランクシャフトWの回転を停止した後、各加工工具3J,3Pを一旦Y軸方向に後退させる。次に、#1と#4のピン部Wbが遠死点位置、#2と#3のピン部Wbが近死点位置に存する位相になるようにクランクシャフトWを半回転させると共に、第1加工ユニットをジャーナル部Waとピン部Wbとの間のX軸方向ピッチpの2倍の距離だけ第1加工位置からX軸方向一方にずれた第2加工位置にシフトする。第2加工位置では、▲1▼のピン用加工工具3Pが#1のピン部Wb、▲2▼のジャーナル用加工工具3Jが#2のジャーナル部Wa、▲2▼のピン用加工工具3Pが#3のピン部Wb、▲3▼のジャーナル用加工工具3Jが#4のジャーナル部Waに夫々合致する。次に、これら▲2▼と▲3▼のジャーナル用加工工具3Jと▲1▼と▲2▼のピン用加工工具3PをクランクシャフトWに向けてY軸方向に前進させてから各加工工具3J,3Pのクランプアーム32,32を閉じて、#2,#4のジャーナル部Waと#1,#3のピン部Wbとを把持し、この状態でクランクシャフトWを回転させると共にX軸方向にオシレーションさせ、これらジャーナル部Waとピン部Wbとを研磨する。
【0029】
以上の如くして全てのジャーナル部Waとピン部Wbの研磨を完了すると、次に、第2加工ユニット2を上記と同様の第1加工位置にシフトして、▲1▼,▲2▼,▲3▼のジャーナル用加工工具4Jによる#1,#3,#5のジャーナル部Waと、▲1▼,▲2▼のピン用加工工具4Pによる#2,#4のピン部Wbの超仕上げ加工を行い、次に、第2加工ユニット2を上記と同様の第2加工位置にシフトして、▲2▼,▲3▼のジャーナル用加工工具4Jによる#2,#4のジャーナル部Waと、▲1▼,▲2▼のピン用加工工具4pによる#1,#3のピン部Wbの超仕上げ加工とを行う。
【0030】
尚、超仕上げ加工に際しても、クランクシャフトWをX軸方向にオシレーションさせる。そして、クランクシャフトWの機種変更でジャーナル部Waやピン部Wbの軸長が変化したときは、オシレーションの振幅を調整して対処する。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、直列4気筒エンジン用のクランクシャフトの全てのジャーナル部とピン部とを2回の作業で能率良く仕上げ加工できると共に、ジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチの小さなものから大きなものまで多機種のクランクシャフトを仕上げ加工でき、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】クランクシャフトを示す図
【図2】本発明装置の一例の正面図
【図3】図2のIII−III線で截断した工具前進状態の側面図
【図4】図2のIV−IV線で截断した工具前進状態の側面図
【図5】図2のV−V線で截断した工具前進状態の側面図
【図6】図2のVI−VI線で截断した工具前進状態の側面図
【図7】調整手段を模式的に示した図
【符号の説明】
,2加工ユニット 20 第1可動台
21 第2可動台 22 第3可動台
20a,21a,22a 固定支持板
20b,21b,22b 可動支持板
3J,4J ジャーナル用加工工具 3P,4P ピン用加工工具
5 調整手段

Claims (1)

  1. クランクシャフトのジャーナル部とピン部とに仕上げ加工を施すジャーナル用とピン用の加工工具を搭載した加工ユニットを備えるクランクシャフトの仕上げ加工装置において、
    加工ユニットの支持台を、クランクシャフトの軸線に平行なX軸方向に3分割された、X軸方向に移動自在な3個の可動台で構成し、
    これら可動台のうちX軸方向一方に位置する第1可動台と中間に位置する第2可動台とX軸方向他方に位置する第3可動台とに、夫々、固定支持板を立設すると共に、第2と第3の各可動台に、該各可動台上の固定支持板に対しX軸方向に対向する可動支持板をX軸方向に移動自在に支持し、
    第1可動台上の固定支持板を第1の支持板、第2可動台上の固定支持板と可動支持板とのうち第1可動台寄りの一方の支持板を第2の支持板、他方の支持板を第3の支持板、第3可動台上の固定支持板と可動支持板とのうち第2可動台寄りの一方の支持板を第4の支持板、他方の支持板を第5の支持板として、
    第1の支持板のX軸方向片側の側面に第1のジャーナル用加工工具と、第2の支持板の第3の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第1のピン用加工工具と、第3の支持板の第2の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第2のジャーナル用加工工具と、第4の支持板の第5の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第2のピン用加工工具と、第5の支持板の第4の支持板に対向するX軸方向片側の側面に第3のジャーナル用加工工具とを配置し、
    更に、第1のピン用加工工具と第2のジャーナル用加工工具と第2のピン用加工工具と第3のジャーナル用加工工具の第1のジャーナル用加工工具からのX軸方向距離が、夫々、加工すべきクランクシャフトのジャーナル部とピン部との間の軸方向ピッチの3倍、4倍、7倍、8倍になるように、第1可動台に対し第2と第3の各可動台と該各可動台上の可動支持板とをX軸方向に位置調整する調整手段を設ける、
    ことを特徴とするクランクシャフトの仕上げ加工装置。
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