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JP3552963B2 - 圧力センサ - Google Patents

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JP3552963B2
JP3552963B2 JP26612499A JP26612499A JP3552963B2 JP 3552963 B2 JP3552963 B2 JP 3552963B2 JP 26612499 A JP26612499 A JP 26612499A JP 26612499 A JP26612499 A JP 26612499A JP 3552963 B2 JP3552963 B2 JP 3552963B2
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幸一 楠山
正夫 塚田
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株式会社日立ユニシアオートモティブ
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力を検出するのに用いて好適な圧力センサに関し、特にエッチング処理等の半導体製造技術を用いてシリコン基板等に形成される半導体式の圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体式の圧力センサとして、シリコン材料からなる基板と、該基板の裏面側に受圧凹溝を形成することにより該基板の表面側に設けられたダイヤフラムと、該ダイヤフラムに設けられ受圧凹溝に作用する圧力を検出する撓み検出素子とから構成されたものが知られている(例えば、特開平2−132337号公報)。
【0003】
そして、このような従来技術による圧力センサは、流体圧等がダイヤフラムに作用すると、この圧力に応じてダイヤフラムが全体に亘って撓み変形する。このとき、撓み検出素子は撓み変形部分となるダイヤフラムに設けられているから、撓み検出素子はダイヤフラムの歪に応じた信号を出力する。このため、圧力センサは、撓み検出素子からの信号を検出することによって、ダイヤフラムに加わる圧力を検出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、例えば両面露光装置等を用いて基板の両面側に撓み検出素子と受圧凹溝とを位置合わせした状態で形成することにより、撓み検出素子をダイヤフラム上の所定位置に配設する構成としている。
【0005】
しかし、一般的に両面露光装置を用いた場合の位置合わせ精度は約10μm程度が限界であることが多いため、撓み検出素子とダイヤフラムとの間には、約10μm程度の位置ずれが生じることがある。
【0006】
また、基板は、その両面が例えばシリコン結晶の(100)面に沿ってカットされ、受圧凹溝は、この(100)面に対し一定の傾斜角をもつ(111)面等に沿って形成されることにより、基板の裏面側に向けて漸次拡大しつつ開口している。
【0007】
この結果、基板がカット時の加工誤差等により(100)面に対して傾いた状態で形成されていたり、その厚さ寸法誤差が含まれていたりすると、基板の裏面側に受圧凹溝の開口部(マスクパターン)を精度よく形成したとしても、受圧凹溝の底部側に位置するダイヤフラムには位置ずれが生じ易くなる。
【0008】
このため、従来技術では、基板の加工精度や両面露光装置による位置合わせ時の誤差等が積み重なることによって、撓み検出素子がダイヤフラム上に位置ずれした状態で形成され易いため、複数の圧力センサ間で撓み検出素子から出力される信号が異なり、圧力の検出精度にばらつきが生じて信頼性が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は高精度に圧力を検出できると共に、ダイヤフラム部に撓み検出素子を高精度に位置合せすることが可能な圧力センサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、請求項1の発明に係る圧力センサの構成は、シリコン材料からなる基板と、該基板の表面側に設けられた受圧穴と、該受圧穴を覆い前記基板の表面側に設けられた薄肉部と、該薄肉部の一部を枠状に取囲んで該薄肉部の表面側に設けられ取囲まれた内側をダイヤフラム部とする枠状突部と、該枠状突部上に接合して設けられ前記ダイヤフラム部を閉塞して基準圧力を与える圧力室を画成する閉塞板と、前記ダイヤフラム部に位置して前記薄肉部に設けられ前記受圧穴と圧力室との間の差圧によって前記ダイヤフラム部が変形するときの撓みを検出する撓み検出素子と、前記枠状突部の外側に位置して前記薄肉部に貫通して設けられ前記受圧穴と外部とを接続するスルーホールとからなる。
【0011】
このように構成したことにより、ダイヤフラム部は受圧穴と圧力室との間の差圧によって撓み変形するから、このときの撓みを撓み検出素子によって検出し、圧力を検出することができる。
【0012】
また、スルーホールを通じてエッチング処理を施すことによって、基板の表面側に受圧穴を形成することができる。このため、両面露光装置等を用いることなく、基板の表面側でダイヤフラム部に撓み検出素子を位置合わせすることできる。
【0013】
また、請求項2の発明は、受圧穴に露出する薄肉部の裏面側に酸化膜を設けたことにある。
【0014】
これにより、受圧穴を形成するためにスルーホールを通じてエッチング処理を施すときであっても、薄肉部の裏面側を酸化膜によって保護することができ、薄肉部が損傷するのを防止できると共に、薄肉部の肉厚を一定に保持することができる。
【0015】
また、請求項3の発明は、受圧穴を、異方性エッチングによって形成され基板の裏面側に向けて漸次縮小したテーパ状穴によって構成したことにある。
【0016】
これにより、基板中で受圧穴が占める面積を薄肉部によって覆われた面積にすることができ、小面積の受圧穴によって圧力センサを構成することができる。
【0017】
この場合、請求項4の発明によれば、受圧穴を、等方性エッチングによって形成された箱状穴によって構成することもできる。
【0018】
また、請求項5の発明は、受圧穴には、前記基板の裏面側に開口する開口部を設けたことにある。
【0019】
これにより、開口部を通じて受圧穴に圧力を作用させることができ、基板の裏面側に作用する圧力を検出することができる。
【0020】
また、請求項6の発明は、基板の裏面側には、スルーホールを受圧穴に位置合わせするための位置合わせ部を設けたことにある。
【0021】
これにより、基板の表面側から受圧穴の位置が特定しにくいときであっても、基板の裏面側に設けた位置合わせ部によって受圧穴とスルーホールとを位置合わせすることができる。
【0022】
さらに、請求項7の発明は、基板を2つのシリコン基板間に酸化膜を介在させたSOI基板によって形成したことにある。これにより、受圧穴および薄肉部の形成を容易に行なうことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による圧力センサを添付図面に従って詳細に説明する。まず、図1ないし図7は第1の実施の形態による圧力センサを示している。
【0024】
図において、1はSOI(Silicon on Insulator)基板からなる四角形状の基板で、該基板1は、シリコン単結晶からなる基底部1Aと、該基底部1Aの表面側に形成された表層部1Bと、該表層部1Bと基底部1Aとの間に介在した酸化膜としての絶縁層部1Cとから構成されている。そして、基底部1Aの裏面側には、略四角形の浅溝からなる位置合わせ部としての凹陥溝2が設けられると共に、表層部1Bの表面側には、酸化膜3が形成されている。
【0025】
4は基板1の表面側に設けられた受圧穴で、該受圧穴4は、凹陥溝2に対向した位置で基底部1Aの中央に設けられている。そして、受圧穴4は、絶縁層部1Cの裏面側に略四角形状に開口すると共に、基板1の裏面側に向かって漸次縮小したテーパ状穴をなしている。また、受圧穴4は、後述するスルーホール11を介して異方性のエッチング処理を施すことによって形成されるものである。
【0026】
5は受圧穴4によって基板1の表面側に設けられた薄肉部で、該薄肉部5は受圧穴4に対応して略四角形状をなし、基板1の表層部1B、絶縁層部1C等によって形成されている。
【0027】
6は薄肉部5の表面側に設けられた枠状突部で、該枠状突部6は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等によって略四角形の枠状に形成され、その表面側には多結晶シリコンからなる多結晶膜7が形成されている。また、枠状突部6は、薄肉部5の一部を枠状に取囲んでいる。これにより、薄肉部5のうち枠状突起6に取囲まれた内側の部位は、受圧穴4内の圧力と後述する圧力室A内の圧力との差圧に応じて撓み変形するダイヤフラム部5Aをなしている。
【0028】
8,8,…はダイヤフラム部5A内に設けられた例えば4個のピエゾ抵抗素子で、該各ピエゾ抵抗素子8は、ホウ素等の不純物を基板1の表層部1Bに注入、拡散して狭幅の細線状にピエゾ抵抗化することによって形成されている。また、各ピエゾ抵抗素子8には、図2に示すように広幅の拡散層配線9が接続され、これらの拡散層配線9を通じてピエゾ抵抗素子8は外部の金属配線(図示せず)等に接続されている。そして、ピエゾ抵抗素子8は、ダイヤフラム部5Aの撓み変形に応じてその抵抗値が変化するものである。
【0029】
10は枠状突部6の表面側に設けられたガラス材料からなる閉塞板で、該閉塞板10は、図1に示すように枠状突部6表面上の多結晶膜7に陽極接合等によって接合されている。そして、閉塞板10は、ダイヤフラム部5Aを閉塞して基準圧力を与える圧力室Aを画成している。
【0030】
11,11,…は薄肉部5の角隅に設けられた4個のスルーホールで、該各スルーホール11は、枠状突部6の外側に位置して薄肉部5を貫通して設けられている。このため、各スルーホール11は、基板1の表面側に開口し、受圧穴4と外部とを接続している。また、各スルーホール11の内壁面には、酸化シリコンからなる保護膜12が設けられている。そして、保護膜12は、受圧穴4を形成するためにスルーホール11を通じてエッチング液を注入するときに、エッチング液によって表層部1B等が損傷するのを防止するものである。
【0031】
本実施の形態による圧力センサは上述の如き構成を有するもので、次にその製造方法について図4ないし図7を参照しつつ説明する。
【0032】
まず、基底部1Aの表面側に多結晶シリコンの薄膜からなる略四角形の選択性エッチング部13を形成する。このとき、基底部1Aの裏面側には、図4に示すように選択性エッチング部13と対向した位置に凹陥溝2を凹設する。
【0033】
次に、図5に示すように、選択性エッチング部13の表面側に絶縁層部1C、表層部1Bを形成し、選択性エッチング部13を埋設した状態のSOI基板からなる基板1を形成する。そして、基板1の表層部1B上には酸化膜3を形成する。
【0034】
このとき、選択性エッチング部13は基板1に埋設された状態となるから、その位置が基板1の表面側から特定することができなくなる。このため、以下の工程では、選択性エッチング部13に対応して基板1の裏面側に設けた凹陥溝2を用いて、選択性エッチング部13とピエゾ抵抗素子8の位置合わせを行った後、このピエゾ抵抗素子8に対して枠状突部6、スルーホール11を位置合わせするものである。
【0035】
そこで、まず凹陥溝2を基準として表層部1Bの表面側からホウ素等の不純物を注入、拡散することによってピエゾ抵抗素子8を形成する。その後、図6に示すように表層部1Bの表面側に枠状突部6、多結晶膜7の順に形成する。
【0036】
次に、多結晶膜7、酸化膜3、表層部1B、絶縁層部1Cにエッチング処理を施すことによって、スルーホール11を形成し、スルーホール11の底部を選択性エッチング部13の角隅に開口させる。このとき、スルーホール11と選択性エッチング部13との位置合わせは、凹陥溝2を用いて形成したピエゾ抵抗素子8を基準に行うから、位置合わせ精度が比較的低く、スルーホール11には10μm程度の位置ずれが生じることがある。しかし、スルーホール11は、選択性エッチング部13のいずれかの位置に開口すればよいものである。このため、スルーホール11は、このような位置ずれを補償するため、その開口寸法が例えば10μm以上に設定されている。なお、選択性エッチング部13を10μm程度拡大しても同等の効果が得られるものである。そして、図7に示すように多結晶膜7の表面側からスルーホール11の内壁面に亘って酸化シリコンからなる保護膜12を形成する。
【0037】
次に、スルーホール11からKOH、ヒドラジン等のエッチング液を注入する。このとき、エッチング液が選択性エッチング部13に到達するから、多結晶シリコンからなる選択性エッチング部13は、エッチング液によって除去される。そして、選択性エッチング部13が除去された後は、単結晶シリコンからなる基底部1Aにエッチング液が接触するから、エッチング液によって異方性のエッチング処理が施されシリコン結晶の(111)面を有する略四角錐状の受圧穴4が形成される。
【0038】
最後に、多結晶膜7表面の保護膜12を除去すると共に、枠状突部6の表面側がガラス材料からなる閉塞板10を陽極接合し、図1に示すように圧力室Aを画成する。
【0039】
本実施の形態による圧力センサは、上述のような製造方法によって形成されたものであり、この圧力センサを所定圧力の雰囲気中におくと、スルーホール11を通じて受圧穴4内の圧力も圧力センサ周囲の圧力と同圧となるから、受圧穴4と圧力室Aとの間に差圧が発生する。この差圧によって薄肉部5のうちダイヤフラム5Aが撓み変形するから、ピエゾ抵抗素子8の抵抗値がダイヤフラム部5Aに生じる撓み(歪み)に応じて変化する。このため、拡散層配線9を通じてピエゾ抵抗素子8の抵抗値を検出することによって、圧力センサ周囲の圧力を検出するものである。
【0040】
かくして、本実施の形態では、基板1の表面側に受圧穴4を設けると共に、該受圧穴4を覆う薄肉部5には枠状突部6の外側に位置して受圧穴4と外部とを接続するスルーホール11を設ける構成としたから、スルーホール11を通じて受圧穴4内に検出すべき圧力の流体を導くことができる。これにより、薄肉部5のうち枠状突部6の内側に位置するダイヤフラム部5Aは、受圧穴4と圧力室Aとの差圧によって撓み変形するから、ダイヤフラム部5Aに設けたピエゾ抵抗素子8によって圧力センサ周囲の圧力を検出することができる。
【0041】
また、基板1の表面側から枠状突部6、ピエゾ抵抗素子8を形成するから、枠状突部6の内側に位置するダイヤフラム部5Aとピエゾ抵抗素子8の位置決めを高精度で行うことができ、圧力センサ毎のばらつきを少なくし、信頼性を向上することができる。
【0042】
さらに、ダイヤフラム部5Aとピエゾ抵抗素子8の位置合わせを高精度に行うことができるから、ダイヤフラム部5Aを微細化してもピエゾ抵抗素子8との位置ずれによる測定精度の劣化が問題とならない。このため、ダイヤフラム部5A、ピエゾ抵抗素子8を小面積にすることができ、圧力センサを小型化することができる。
【0043】
また、受圧穴4に露出する薄肉部5の裏面側にはシリコン酸化膜からなる絶縁層部1Cを設けたから、スルーホール11を通じてエッチング処理を施すときであっても、薄肉部5の裏面側を絶縁層部1Cによって保護することができ、薄肉部5が損傷するのを防止できる。これにより、薄肉部5の肉厚を一定に保持することができ、薄肉部5の一部に応力が集中することによる損傷を防止し、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0044】
一方、受圧穴4を異方性エッチングによって形成され基板の裏面側に向けて漸次縮小したテーパ状穴によって構成したから、従来技術のように基板1の裏面側に向かって漸次拡大した受圧凹溝を形成するときに比べて、エッチング処理によって除去する部分の体積を少なくすることができる。このため、エッチング処理の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。また、受圧穴4は、薄肉部5によって覆われた部位の面積が最も大きいものである。このため、従来技術のように基板1の裏面側に向けて漸次拡大する受圧凹溝を形成するのに比べて、基板1で受圧穴4の占める面積を小さくすることができ、圧力センサの微細化、集積化を図ることができる。
【0045】
また、基板1の裏面側には、スルーホール11を受圧穴4に位置合わせするための凹陥溝2を設けたから、圧力センサの製造時に基板1の表面側から受圧穴4の位置が特定しにくいときであっても、基板1の裏面側に設けた凹陥溝2によって受圧穴4とスルーホール11とを位置合わせすることができる。
【0046】
さらに、基板1を2つのシリコン単結晶からなる基底部1A、表層部1B間に酸化膜からなる絶縁層部1Cを介在させたSOI基板によって形成したから、絶縁層部1Cをエッチング液から薄肉部5を保護する酸化膜として利用でき、表層部1Bと絶縁層部1Cによって薄肉部5を形成することができる。また、表層部1Bと絶縁層部1Cとを貫通したスルーホール11を設けることによって、基底部1Aに受圧穴4を容易に形成することができる。
【0047】
次に、図8は本発明の第2の実施の形態による圧力センサを示し、本実施の形態の特徴は、受圧穴を等方性エッチングによって箱状穴としたことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素の同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0048】
21は基板1の表面側に設けられた受圧穴で、該受圧穴21は、凹陥溝2に対向した位置で基底部1Aの中央に設けられている。そして、受圧穴21は、絶縁層部1Cの裏面側に略四角形状に開口すると共に、角隅が円弧状面をなした浅溝状の箱状穴をなしている。また、受圧穴21は、基底部1Aの表面側に不純物を添加することによって選択性エッチング部(図示せず)を予め形成し、この選択性エッチング部をスルーホール11を介して等方性のエッチング処理を用いて除去することによって形成されるものである。
【0049】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、受圧穴21を等方性のエッチング処理を施すことによって、浅溝状の箱状穴によって形成したから、受圧穴21の深さ寸法を小さくすることができる。このため、エッチング処理の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0050】
次に、図9は本発明の第3の実施の形態による圧力センサを示し、本実施の形態の特徴は、受圧穴には基板の裏面側に開口する開口部を設けたことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素の同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0051】
31は基板1の表面側に設けられた受圧穴で、該受圧穴31は、基底部1Aの中央に設けられている。そして、受圧穴31は、絶縁層部1Cの裏面側に略四角形状に開口すると共に、基板1の裏面側に向かって漸次縮小したテーパ状穴をなしている。また、受圧穴31は、基底部1Aの厚さ方向中央位置で後述する開口穴32に接続された略四角形状の開口部31Aを有し、該開口部31Aを通じて基板1の裏面側に開口している。ここで、受圧穴31は、スルーホール11を介して異方性のエッチング処理を施すことによって形成されるものである。
【0052】
32は基板1の裏面側に開口した開口穴で、該開口穴32は、基底部1Aの裏面に向かって漸次拡大すると共に、基底部1Aの厚さ方向中央位置で受圧穴31の開口部31Aに接続されている。また、開口穴32は、基底部1Aの裏面側に設けた酸化膜からなるマスク33を介して異方性のエッチング処理を施すことによって形成されるものである。なお、基板1の裏面側に設けたマスク33は、スルーホール11等を薄肉部5に位置合わせするための位置合わせ部とを兼ねるものである。
【0053】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、受圧穴31に基板1の裏面側に開口する開口部31Aを設けたから、基板1の裏面側から受圧穴31に圧力を作用させることができる。また、基板1の表面側から受圧穴31を形成するのと同時に、基板1の裏面側から開口穴32を形成することができるから、受圧穴31等を短時間で形成することができ、圧力センサの生産性を向上することができる。
【0054】
なお、前記各実施の形態では、撓み検出素子としてピエゾ抵抗素子8を用いることとしたが、本発明はこれに限らず、例えばダイヤフラム部5Aの表面と閉塞板10の裏面とにそれぞれ設けた電極板によって撓み検出素子を構成してもよい。この場合、2枚の電極板間の静電容量を検出することによってダイヤフラム部5Aに作用する圧力を検出することができる。
【0055】
また、前記第1の実施の形態では、受圧穴4を底面が尖った略四角錐状のテーパ状穴によって形成するものとしたが、図1に二点鎖線で示すように異方性のエッチング処理を途中で停止することによって、底面が平面となったテーパ状穴からなる受圧穴4′を形成してもよい。この場合、受圧穴4′を形成するエッチング処理の時間を短縮することができ、生産性を向上できる。また、基板1(基底部1A)の厚さ寸法を小さくできるから、圧力センサの製造コストを低減することができる。
【0056】
また、前記第1の実施の形態では、選択性エッチング部13を多結晶シリコンによって形成するものとしたが、基底部1Aの表面側には、例えば選択性エッチング部13に代えて浅溝からなる空間を設けてもよい。また、第2の実施の形態と同様に基底部1Aの表面側に不純物を添加することによって選択性エッチング部を形成してもよい。
【0057】
また、前記第3の実施の形態では、異方性エッチングによって形成する受圧穴31に開口部31Aを設けるものとしたが、第2の実施の形態による受圧穴21の底部を基板1の裏面側に開口する構成としてもよい。
【0058】
さらに、前記各実施の形態では、受圧穴4,21,31に圧力を加えるものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば図1に一点鎖線で示すように閉塞板10には圧力室Aに接続する圧力導入孔41を設け、該圧力導入孔41を通じて圧力室A内に圧力を加えるものとしてもよい。この場合、圧力室A内の圧力と外気圧等からなる受圧穴4内の圧力との差圧をダイヤフラム部5Aに作用させるものとしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、基板の表面側に受圧穴を設けると共に、該受圧穴を覆う薄肉部には枠状突部の外側に位置して受圧穴と外部とを接続するスルーホールを設ける構成としたから、スルーホールを通じて受圧穴内に検出すべき圧力の流体を導くことができる。これにより、薄肉部のうち枠状突部の内側に位置するダイヤフラム部は、受圧穴と圧力室との差圧によって撓み変形するから、ダイヤフラム部に設けた撓み検出素子によってダイヤフラム部に作用する圧力を検出することができる。
【0060】
また、基板の表面側から枠状突部、ピエゾ抵抗素子を形成することができるから、枠状突部の内側に位置するダイヤフラム部とピエゾ抵抗素子の位置決めを高精度で行うことができ、圧力センサ毎のばらつきを少なくし、信頼性を向上することができる。
【0061】
さらに、ダイヤフラム部とピエゾ抵抗素子の位置合わせを高精度に行うことができるから、ダイヤフラム部を微細化してもピエゾ抵抗素子との位置ずれによる測定精度の劣化が問題とならない。このため、ダイヤフラム部、ピエゾ抵抗素子を小面積にすることができ、圧力センサを小型化することができる。
【0062】
また、請求項2の発明によれば、受圧穴に露出する薄肉部の裏面側には酸化膜を設けたから、スルーホールを通じてエッチング処理を施すときであっても、薄肉部の裏面側を酸化膜によって保護することができ、薄肉部が損傷するのを防止できる。これにより、薄肉部の肉厚を一定に保持することができ、薄肉部の一部に応力が集中することによる損傷を防止し、信頼性、耐久性を向上することができる。
【0063】
また、請求項3の発明によれば、受圧穴を異方性エッチングによって形成され基板の裏面側に向けて漸次縮小したテーパ状穴によって構成したから、従来技術に比べてエッチング処理によって除去する部分の体積を少なくすることができる。このため、エッチング処理の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0064】
また、請求項4の発明によれば、受圧穴を等方性のエッチング処理を施すことによって、浅溝状の箱状穴によって形成したから、受圧穴の深さ寸法を小さくすることができる。このため、エッチング処理の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0065】
また、請求項5の発明によれば、受圧穴には基板の裏面側に開口する開口部を設けたから、基板の裏面側から受圧穴に圧力を作用させることができる。また、基板の表面側から受圧穴を形成するのと同時に、基板の裏面側から開口穴を形成することができるから、受圧穴等を短時間で形成することができ、圧力センサの生産性を向上することができる。
【0066】
また、請求項6の発明によれば、基板の裏面側には、スルーホールを受圧穴に位置合わせするための位置合わせ部を設けたから、圧力センサの製造時に基板の表面側から受圧穴の位置が特定しにくいときであっても、基板の裏面側に設けた位置合わせ部によって受圧穴とスルーホールとを位置合わせすることができる。
【0067】
さらに、請求項7の発明によれば、基板を2つのシリコン基板間に酸化膜を介在させたSOI基板によって形成したから、酸化膜をエッチング液から薄肉部を保護する酸化膜として利用でき、SOI基板表面側のシリコン基板と酸化膜とによって薄肉部を形成することができる。また、SOI基板表面側のシリコン基板と酸化膜とを貫通したスルーホールを設けることによって、SOI基板裏面側のシリコン基板に受圧穴を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による圧力センサを図2中の矢示I−I方向からみた縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態による圧力センサを図1中の矢示II−II方向からみた横断面図である。
【図3】第1の実施の形態による圧力センサを図1中の矢示 III−III 方向からみた横断面図である。
【図4】基底部に選択性エッチング部と凹陥溝とを設けた状態を示す縦断面図である。
【図5】基板の表面に酸化膜を形成した状態を示す縦断面図である。
【図6】基板の表面にピエゾ抵抗素子、枠状突部、多結晶膜を形成した状態を示す縦断面図である。
【図7】基板の表層部、絶縁層部等にスルーホールを設けると共に、スルーホールの内壁面等に保護膜を形成した状態を示す縦断面図である。
【図8】第2の実施の形態による圧力センサを図1と同様の位置から見た縦断面図である。
【図9】第3の実施の形態による圧力センサを図1と同様の位置から見た縦断面図である。
【符号の説明】
1 基板
1C 絶縁層部(酸化膜)
2 凹陥溝(位置合わせ部)
4,21,31 受圧穴
5 薄肉部
5A ダイヤフラム部
6 枠状突部
8 ピエゾ抵抗素子(撓み検出素子)
10 閉塞板
11 スルーホール
31A 開口部

Claims (7)

  1. シリコン材料からなる基板と、該基板の表面側に設けられた受圧穴と、該受圧穴を覆い前記基板の表面側に設けられた薄肉部と、該薄肉部の一部を枠状に取囲んで該薄肉部の表面側に設けられ取囲まれた内側をダイヤフラム部とする枠状突部と、該枠状突部上に接合して設けられ前記ダイヤフラム部を閉塞して基準圧力を与える圧力室を画成する閉塞板と、前記ダイヤフラム部に位置して前記薄肉部に設けられ前記受圧穴と圧力室との間の差圧によって前記ダイヤフラム部が変形するときの撓みを検出する撓み検出素子と、前記枠状突部の外側に位置して前記薄肉部に貫通して設けられ前記受圧穴と外部とを接続するスルーホールとから構成してなる圧力センサ。
  2. 前記受圧穴に露出する薄肉部の裏面側には酸化膜を設けてなる請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記受圧穴は、異方性エッチングによって形成され基板の裏面側に向けて漸次縮小したテーパ状穴である請求項1または2に記載の圧力センサ。
  4. 前記受圧穴は、等方性エッチングによって形成された箱状穴である請求項1または2に記載の圧力センサ。
  5. 前記受圧穴には、前記基板の裏面側に開口する開口部を設けてなる請求項1,2,3または4に記載の圧力センサ。
  6. 前記基板の裏面側には、スルーホールを受圧穴に位置合わせするための位置合わせ部を設けてなる請求項1,2,3,4または5に記載の圧力センサ。
  7. 前記基板は2つのシリコン基板間に酸化膜を介在させたSOI基板である請求項1,2,3,4,5または6に記載の圧力センサ。
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