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JP3545315B2 - 空気調和機及び湿度制御方法 - Google Patents

空気調和機及び湿度制御方法 Download PDF

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JP3545315B2
JP3545315B2 JP2000136303A JP2000136303A JP3545315B2 JP 3545315 B2 JP3545315 B2 JP 3545315B2 JP 2000136303 A JP2000136303 A JP 2000136303A JP 2000136303 A JP2000136303 A JP 2000136303A JP 3545315 B2 JP3545315 B2 JP 3545315B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加湿器として気化式加湿器を用いた空気調和機及び湿度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子工業や精密機械工業の工場、食品保存用の貯蔵庫、実験用動物飼育室、バイオロジカルクリーンルームなどにおいては、温度・湿度などの室内環境を一定に保つ必要がある。このため、かかる設備においては、室内の恒温・恒湿を目的とした空気調和機が設置されている。
【0003】
このような空気調和機として、従来から提案されているものの一例を、図4を参照して以下に説明する。すなわち、図中、左側を空気取入口、右側を空気供給口とするハウジング1の内部には、空気取入口側から、外気の塵埃を取り除くフィルタ2、循環する冷水によって空気を冷却する冷却コイル3、循環する温水によって空気を加熱する加熱コイル4、ボイラで発生させた蒸気を空気の通過過程に供給して加湿する蒸気式加湿器5、ハウジング1外へ空気を吐出す送風機6が配設されている。フィルタ2としては、例えば、中性能若しくはHEPAフィルタが用いられる。
【0004】
冷却コイル3、加熱コイル4及び蒸気式加湿器5には、それぞれ冷水、温水及び蒸気の流量を制御するバルブ7,8,9が設けられている。また、加湿空気の供給口には、露点温度センサ10a、乾球温度センサ10bが取り付けられている。これらの露点温度センサ10a及び乾球温度センサ10bは、制御器10cに接続されている。制御器10cは、露点温度センサ10aからの検出温度に基づいて、供給空気の温湿度があらかじめ定められた一定の値となるように、バルブ7,9を調節し、冷却コイル3内の冷水、蒸気式加湿器5の蒸気の量を比例制御するように構成されている。また、制御器10cは、乾球温度センサ10bからの検出温度に基づいて、供給空気の乾球温度があらかじめ定められた一定の値となるように、バルブ7,8を調節し、冷却コイル3内の冷水、加熱コイル4内の温水の量を比例制御するように構成されている。
【0005】
以上のような従来技術による温度及び湿度制御を、室内側の設定温度を23℃、設定相対湿度を45%とした場合を例として、図5の湿り空気線図を参照して以下に説明する。なお、図5に示したBw〜Ew、Bs〜Csは、図3で示したB〜Eの位置における空気の状態に対応している。
【0006】
すなわち、冬季などの空気の加熱及び加湿が必要な場合には、送風機6を作動させるとともに、加熱コイル4及び蒸気式加湿器5のバルブ8,9を開とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した外気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、加熱コイル4によって加熱される(D点)。これにより、図5のBwとDwを結ぶ実線で示すように、乾球温度が推移する。
【0007】
そして、加熱された空気は、蒸気式加湿器5による加湿が行われ(E点)、送風機6によって供給口から供給される。なお、蒸気加湿は加熱を伴うので、図5のDwとEwを結ぶ実線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。
【0008】
一方、夏季などの空気の除湿が必要な場合には、送風機6を作動させるとともに、冷却コイル3のバルブ7を開とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した外気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、冷却コイル3によって冷却される(C点)。これにより、図5のBsとCsを結ぶ点線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。なお、冷却された空気は、室内設定温度に応じて、加熱コイル4による再熱が行われ(D点)、送風機6によって供給口から供給される。この再熱は、例えば、室内冷却負荷発生量が少ない場合に、恒温・恒湿を達成するために必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような蒸気式加湿器による加湿の場合には、100℃以上の熱源が必要でありボイラなどからの供給蒸気を用いるためにエネルギーコストがかかる。また、蒸気式加湿器は、蒸気加湿位置と送風機などまでの位置を離して、蒸気が流通空気に分散吸収されるまでの蒸発吸収距離を長くとる必要があるため、これにより空気調和機の寸法が長くなる。さらに、上記の従来技術では、湿度制御は蒸気式加湿器の蒸気量を制御することによって行っているが、蒸気式加湿器は局所的な加湿のためにムラが出易く、センサの適切な設置位置を決めることが困難であり、下流側の湿度分布を均一にし難い。
【0010】
これに対処するため、比較的低温のエネルギーを用いて加湿ができる気化式加湿器を用いる方法が考えられる。しかし、気化式加湿器による加湿は温度低下を伴うので、単純に上述のような従来技術に適用するだけでは、充分な加湿量と制御精度を得ることは困難であり、例えば、温水温度が比較的高く、加湿により乾球温度が下がっても充分な加湿量が得られる温度まで加熱が可能で、湿度の精度があまり問題とならないON・OFF制御の場合などに適用が限定される。このため、動物舎や半導体工場のような高精度の温湿度制御を必要とする場合には用いられることはなかった。
【0011】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、ランニングコストを低減することができ、大型化を抑えて高精度の制御ができる空気調和機及び湿度制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明である空気調和機は、空気取入口と空気供給口との間の空気流路に、除湿と冷却を行うための冷水循環式の冷却コイルと、気化式加湿器と、前記気化式加湿器による気化式加湿を可能とするためにその上流側に配設された温水循環式の第1の加熱コイルと、供給空気の乾球温度を調整するための温水循環式の第2の加熱コイルとを備え、前記第1の加熱コイルは、複数段のコイルを含み、前記複数段のコイルは、前段のコイルから後段のコイルの順に温水が流れるように連通され、前記気化式加湿器は、複数段の加湿器を含み、前記複数段の加湿器は、それぞれ前記各複数段のコイルの下流側に配設され、前記空気供給口近傍に、露点センサ及び乾球温度センサを配設し、前記露点センサの検出値に基づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の除湿と、前記露点センサの検出値に基づいて前記第1の加熱コイルの温水流量を制御しつつその下流側の気化式加湿を行うことによる所定量の加湿と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の冷却と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記第2の加熱コイルの温水流量を制御することによる所定量の加熱とを選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度をあらかじめ定められた一定の値とすることが可能な制御装置を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、空気取入口から導入した空気の温度及び湿度を調整して空気供給口から供給する湿度制御方法において、前記空気供給口近傍に配設された露点センサの検出値に基づいて、冷水循環式の冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の除湿と、前記露点センサの検出値に基づいて、多段構成で前段から後段の順に温水が流れる温水循環式の第1の加熱コイルの温水流量を制御しつつ、前記第1のコイルの各段のそれぞれの下流側に配設された複数段の気化式加湿器による加湿を行うことによる所定量の加湿と、前記空気供給口近傍に配設された乾球温度センサの検出値に基づいて、前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の冷却と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて、前記気化式加湿器の下流側に配設された温水循環式の第2の加熱コイルの温水流量を制御することによる所定量の加熱と、を選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度をあらかじめ定められた一定の値とすることを特徴とする。
【0014】
以上のような請求項1及び請求項2記載の発明では、冬季等の加熱加湿時には、空気取入口から流入した空気は、第1の加熱コイルによる加熱と気化式加湿器による加湿、さらに第2の加熱コイルによる加熱が行われた後に、空気供給口から供給される。このとき、露点センサの検出値に基づいて、第1の加熱コイルの温水流量を制御することによって、必要量の加湿が可能となる。従って、蒸気式加湿のような加湿蒸気が不要となり、例えば、冷凍機冷却水などから大量に安定して得ることができる30℃〜40℃程度の低温の温水を熱源とする加熱が可能となるので、ランニングコストを節約して、省エネルギーを実現できる。そして、気化式加湿器は空気路全体に設置されるために均一に加湿することができ、その加湿量の制御は、空気供給口近傍に配設された露点センサの検出値に基づいて、第1の加熱コイルの温水流量を制御することによって行うので、絶対湿度に基づく高精度の湿度制御が可能となる。また、第1の加熱コイルによる加熱と気化式加湿器による加湿とを複数回行うことによって、気化式加湿による温度低下を補いながら、目的の湿度まで加湿することができる。さらに、蒸気式加湿のような蒸発吸収距離が不要となるので、流路方向において大幅な小形化を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の空気調和機の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、図4で示した従来技術と同様の部材は同一の符号を付して、説明を省略する。
【0016】
1.第1の実施の形態
1−1.構成
まず、本発明の第1の実施の形態を、図1及び図2を参照して説明する。なお、本実施の形態は、加熱に用いる温水の温度が、例えば30℃〜40℃程度の低い温度の場合に適用される実施の形態である。すなわち、ハウジング1の内部には、空気取入口側から、フィルタ2、加熱コイル40、気化式加湿器50、冷却コイル3、加熱コイル60及び送風機6が配設されている。
【0017】
加熱コイル40は、上流側の前段コイル41と、下流側の後段コイル42の二つに分岐して設けられている。そして、前段コイル41から後段コイル42の順に温水が流れるように、両コイルは連通されている。但し、前段コイル41及び後段コイル42を流れる温水は、空気流に対して対向流となるように、それぞれの温水入口側は、風下に設定されている。
【0018】
気化式加湿器50は、前段コイル41の下流側に配置された第1加湿器51と、後段コイル42の下流側に配置された第2加湿器52の2段構成となっている。この気化式加湿器50は、給水管50aから水を滴下し、表面を濡れ面となるようにした加湿モジュール50bに、空気を通過させて加湿を行うものである。なお、気化式加湿器50は、それぞれ飽和効率80%程度のものを用いることが望ましいが、これ以下の飽和効率のものであっても適用可能である。
【0019】
そして、各加湿モジュール50bから落下した余分な水は、下部に配置された水槽50cに回収され、ポンプ50dによって給水管50aに循環供給されるように、配管が接続されている。また、冷却コイル3及び加熱コイル60を流れる冷水及び温水は、空気流に対して対向流となるように、それぞれの冷水及び温水の入口側は、風下に設定されている。
【0020】
以上のような加熱コイル40、冷却コイル3及び加熱コイル60には、それぞれ冷水及び温水の流量を制御するバルブ80,7,90が設けられている。また、加湿空気の供給口には、供給空気の露点温度を検出する露点温度センサ11と、供給空気の乾球温度を検出する乾球温度センサ12とが取り付けられている。そして、バルブ80,7及び露点温度センサ11は、制御器11aに接続されている。また、バルブ7,90及び乾球温度センサ12は、制御器12aに接続されている。
【0021】
制御器11aは、露点温度センサ11によって検出される露点温度に基づいて、加熱コイル40の温水の量を比例制御するように構成されている。制御器12aは、乾球温度センサ12によって検出される乾球温度に基づいて、加熱コイル60の温水の量を比例制御するように構成されている。なお、冷却コイル3に対しては、従来と同様に、露点温度センサ11及び乾球温度センサ12の検出値に基づいて、制御器11a,12aによる比例制御が行われる構成となっている。
【0022】
1−2.作用
以上のような構成を有する本実施の形態の作用を、室内側の設定温度を23℃、設定相対湿度を45%とした場合を例として、図2の湿り空気線図を参照して、加熱加湿時(主として冬季)と、冷却除湿時(主として夏季)に分けて説明する。なお、図2に示したBw〜Fw、Bs〜Gsは、図1で示したB〜Gの位置における空気の状態に対応している。また、温度及び湿度等の具体的な値は例示であり、本発明がこれらの数値に限定されるものではない。また、ファンによる昇温とこれによる相対湿度低下は、理解を容易にするために、ここでは考えないものとする。
【0023】
1−2−1.加熱加湿時
冬季のように空気の加熱加湿が必要な場合には、送風機6及び気化式加湿器50を作動させるとともに、加熱コイル40のバルブ80を開とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した空気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、前段コイル41によって加熱される(C点)。これにより、図2のBwとCwとを結ぶ実線で示すように、乾球温度が推移する。
【0024】
前段コイル41で加熱された空気は、第1加湿器51による加湿が行われる(D点)。このとき、気化式加湿は温度低下を伴うので、図2のCwとDwとを結ぶ実線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。第1加湿器51で加湿された空気は、後段コイル42によって加熱される(E点)。これにより、図2のDwとEwとを結ぶ実線で示すように、乾球温度が推移する。
【0025】
後段コイル42によって加熱された空気は、第2加湿器52によって加湿され(F点)、送風機6によって供給口から供給される。これにより、図2のEwとFwを結ぶ実線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。
【0026】
気化式加湿器50は、それぞれ飽和効率80%のものを用いている。前段の加熱後に第1段の加湿を行ない、後段の加熱の後に第2の加湿を行うという過程を経るが、出口側露点温度センサ11により加熱温度を制御しているために、図1のF点における空気は、絶対湿度をあらかじめ定められた一定の値とすることができる。ここで、飽和効率ηs は、入口空気乾球温度をt、入口空気湿球温度をt 、出口空気乾球温度をtとすると、以下の式1によって表される。
【0027】
【数1】
ηs=(t−t)/(t−t ) …式1
これを、図2に示した例で具体的な数値を当てはめて示すと、点C〜Fにおける出口空気乾球温度は、以下のように推移する
【数2】
Dw:(22−t)/(22−9)=0.8 …式2
従って、点Cから点D、すなわちCw→Dwの過程で、t=11.6(℃)となる。
【数3】
Fw:(18−t)/(18−11.8)=0.8 …式3
従って、点Eから点F、すなわちEw→Fwの過程で、t=13.04(℃)となる。
【0028】
以上のように、C点においては乾球温度22℃、D点においては乾球温度11.6℃、E点においては乾球温度18.0℃、F点においては乾球温度13.04℃、となり、この過程で相対湿度及び絶対湿度が上昇していく。加熱コイル40を流れる温水の温度は、例えば、前段コイル41に流入する温水が35℃〜36℃程度とすると、前段コイル41における熱交換後に後段コイル42に流入する温水は30℃〜29℃程度となり、これによって上記のような加熱が行われる。
【0029】
上述の加熱コイル40における温水の流量は、供給口に設置された露点温度センサ11によって検出される露点温度値に基づいて、供給空気の絶対湿度が、室内設定温度との関係で室内設定湿度(相対湿度)を満たす値となるように、制御器12aがバルブ80の開度を比例制御することによって調節される。
【0030】
なお、室内設定温度との関係で、さらに再熱が必要となる場合には、バルブ90が開とされて、加熱コイル60による加熱が行われる(H点)。加熱コイル60における温水の流量は、給気口に設置された乾球温度センサ12によって検出される乾球温度に基づいて、供給空気の乾球温度が室内設定温度との関係で最適な値となるように、制御器12aがバルブ90を比例制御することによって調節される。
【0031】
1−2−2.冷却除湿時
次に、夏季などの空気の除湿が必要な場合には、送風機6を作動させるとともに、冷却コイル3のバルブ7を開とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した空気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、冷却コイル3によって冷却され(G点)、送風機6によって供給口から供給される。これにより、図2のBsとGsとを結ぶ点線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。冷却コイル3における冷水の流量は、供給口に設置された露点温度センサ11及び乾球温度センサ12に基づいて、供給空気の絶対湿度が、室内設定温度との関係で室内設定湿度(相対湿度)を満たす値となるように、制御器11a,12aがバルブ7の開度を比例制御することによって調節される。なお、室内設定温度との関係で、さらに加熱が必要となる場合には、バルブ90が開とされて、上述と同様に、加熱コイル60による加熱が行われる(H点)。
【0032】
1−3.効果
以上のような本実施の形態の効果は、以下の通りである。すなわち、蒸気式加湿器において必要であった高温のエネルギーが不要となるので、ランニングコストを大幅に低減することができる。特に、加熱コイル40,60において使用するような、比較的低温度の温水は、例えば、冷凍機冷却水などから大量に安定して得ることができるので、エネルギー消費量を大幅に低減することができ、コストの節約が可能となる。
【0033】
また、空気路全体の均一な加湿が可能な気化式加湿器50による加湿量を、露点温度に基づく加熱コイル40の温水流量の調節によって、比例制御することができるので、絶対湿度に基づく高精度の湿度制御が可能となる。
【0034】
また、加熱コイル40による加熱と気化式加湿器50による加湿とを複数回行うことによって、気化式加湿による温度低下を補いながら、目的の湿度まで加湿することができる。そして、最下流の加熱コイル60を用いることによって、供給空気を目標温度にすることができる。
【0035】
さらに、本実施の形態は、複数の加熱コイル40,60と気化式加湿器50を備えているが、蒸気式加湿器を用いた場合のような蒸発吸収距離が不要となるので、上述の従来技術とほぼ同様の大きさとすることができ、大型化を抑制することが可能となる。
【0036】
2.第2の実施の形態
2−1.構成
次に、本発明の第2の実施の形態を、図2及び図3を参照して以下に説明する。なお、本実施の形態は、加熱に用いる温水の温度が、例えば40℃以上の高い温度の場合に適用される実施の形態である。すなわち、本実施の形態は、図3に示すように、上記の第1の実施の形態において、交互に配設されていた加熱コイル40´及び気化式加湿器50´を、それぞれ一台ずつとして、空気取入口から給気口までの長さを縮小したものである。なお、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0037】
2−2.作用
以上のような本実施の形態の作用を、上記の第1の実施の形態と同様の条件で説明する。なお、図2に示したB´w〜D´w、B´s〜E´sは、図3で示したB´〜E´の位置における空気の状態に対応している。すなわち、冬季のように空気の加熱加湿が必要な場合には、送風機6及び気化式加湿器50を作動させるとともに、加熱コイル40´のバルブ80を開とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した空気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、加熱コイル40´によって加熱される(C´点)。これにより、図2のB´wとC´wとを結ぶ一点鎖線で示すように、乾球温度が推移する。
【0038】
加熱コイル40´で加熱された空気は、気化式加湿器50´による加湿が行われる(D´点)。このとき、気化式加湿は温度低下を伴うので、図2のC´wとD´wとを結ぶ一点鎖線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移する。これを、上記の式1に具体的な数値例を当てはめて示すと、点C´〜D´における出口空気乾球温度は、以下のように推移する
【数4】
D´w:(32−t)/(32−13)=0.8 …式4
従って、点C´から点D´、すなわちC´w→D´wの過程で、t=16.8(℃)となる。なお、その他の作用は、上記の第1の実施の形態と同様である。
【0039】
2−3.効果
以上のような本実施の形態によれば、高温の温水を利用することを前提としたので、加熱コイル60´及び気化式加湿器50´の台数を省略しても、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果が得られるとともに、全長を大幅に縮小することができ、小形の空気調和機を構成できる。
【0040】
3.他の実施の形態
本発明は上記のような実施の形態に限定されるものではない。例えば、加熱コイルや気化式加湿器の能力、温水温度や室内温湿度、制御温湿度の精度に応じて、加熱コイル及び気化式加湿器による加熱加湿を3段以上の多段階で行う方式が考えられる。また、外気処理専用の空気調和機だけでなく、外気と室内からの空気を混合して処理する循環用空気調和機にも適用することができる。
【0041】
また、気化式加湿器への加湿水の補給は、必ずしも循環式とする必要はない。一般空調において気化式加湿を行う場合には、市水を利用して加湿量の20〜30%を連続排水しながら1パスで行うのが一般的である。また、冷却コイルへの冷水の供給源や加熱コイルへの温水の供給源は、どのようなものであってもよい。
【0042】
また、例えば、気化式加湿器の加湿モジュールをそれぞれ横引出し式にすれば、空気流通方向のメンテナンススペースが不要となり、設置スペース長さをさらに縮小することができる。さらに、冷却コイルや加熱コイルは、入力熱量が制御できる冷却あるいは加熱用の熱交換器であれば、その種類を問わない。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ランニングコストを低減することができ、大型化を抑えて高精度の制御が可能な空気調和機及び湿度制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和機の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1及び図3の実施の形態による温度及び湿度制御の一例を示す湿り空気線図である。
【図3】本発明の空気調和機の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図4】従来の空気調和機の一例を示す構成図である。
【図5】図4の従来技術による温度及び湿度制御の一例を示す湿り空気線図である。
【符号の説明】
1…ハウジング
2…フィルタ
3…冷却コイル
4,40,40´,60…加熱コイル
5…蒸気式加湿器
6…送風機
7,8,9,80,90…バルブ
10a,11…露点温度センサ
10b,12…乾球温度センサ
10c,11a,12a…制御器
41…前段コイル
42…後段コイル
50,50´…気化式加湿器
51…第1加湿器
52…第2加湿器
50a…給水管
50b…加湿モジュール
50c…水槽
50d…ポンプ

Claims (2)

  1. 空気取入口と空気供給口との間の空気流路に、除湿と冷却を行うための冷水循環式の冷却コイルと、気化式加湿器と、前記気化式加湿器による気化式加湿を可能とするためにその上流側に配設された温水循環式の第1の加熱コイルと、供給空気の乾球温度を調整するための温水循環式の第2の加熱コイルとを備え、
    前記第1の加熱コイルは、複数段のコイルを含み、
    前記複数段のコイルは、前段のコイルから後段のコイルの順に温水が流れるように連通され、
    前記気化式加湿器は、複数段の加湿器を含み、
    前記複数段の加湿器は、それぞれ前記各複数段のコイルの下流側に配設され、
    前記空気供給口近傍に、露点センサ及び乾球温度センサを配設し、
    前記露点センサの検出値に基づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の除湿と、前記露点センサの検出値に基づいて前記第1の加熱コイルの温水流量を制御しつつその下流側の気化式加湿を行うことによる所定量の加湿と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の冷却と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記第2の加熱コイルの温水流量を制御することによる所定量の加熱とを選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度をあらかじめ定められた一定の値とすることが可能な制御装置を設けたことを特徴とする空気調和機。
  2. 空気取入口から導入した空気の温度及び湿度を調整して空気供給口から供給する湿度制御方法において、
    前記空気供給口近傍に配設された露点センサの検出値に基づいて、冷水循環式の冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の除湿と、
    前記露点センサの検出値に基づいて、多段構成で前段から後段の順に温水が流れる温水循環式の第1の加熱コイルの温水流量を制御しつつ、前記第1のコイルの各段のそれぞれの下流側に配設された複数段の気化式加湿器による加湿を行うことによる所定量の加湿と、
    前記空気供給口近傍に配設された乾球温度センサの検出値に基づいて、前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の冷却と、
    前記乾球温度センサの検出値に基づいて、前記気化式加湿器の下流側に配設された温水循環式の第2の加熱コイルの温水流量を制御することによる所定量の加熱と、
    を選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度をあらかじめ定められた一定の値とすることを特徴とする湿度制御方法。
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