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JP3545224B2 - 圧力センサ - Google Patents

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JP3545224B2
JP3545224B2 JP29912198A JP29912198A JP3545224B2 JP 3545224 B2 JP3545224 B2 JP 3545224B2 JP 29912198 A JP29912198 A JP 29912198A JP 29912198 A JP29912198 A JP 29912198A JP 3545224 B2 JP3545224 B2 JP 3545224B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力を検出するのに用いて好適な圧力センサに関し、特にエッチング処理等の半導体製造技術を用いてシリコン基板等に形成される半導体式の圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体式の圧力センサとして、シリコン等の半導体材料からなる基板上でエッチング等の半導体製造技術を用いて形成したものが例えば特開平2−132337号公報によって知られている。
【0003】
そこで、図10ないし図13に基づき従来技術によるダイヤフラム型の圧力センサをシリコン基板に形成する場合について述べる。
【0004】
1は従来技術に用いられる圧力センサ、2は該圧力センサ1の基台をなすシリコン基板で、該シリコン基板2は、その表面2Aと裏面2Bとは、シリコンの(100)面とほぼ一致するように形成されている。
【0005】
3シリコン基板2の裏面2B側に略正方形状に凹設された受圧凹溝で、該受圧凹溝3によりシリコン基板2の表面2A側に薄肉のダイヤフラム部4が形成されている。また、ダイヤフラム部4上には該ダイヤフラム部4に生じる撓みを検出するピエゾ抵抗素子5が設けられ、該ピエゾ抵抗素子5にはリード端子6,6が接続されている。
【0006】
そして、圧力センサ1の作動時には、流体圧等がダイヤフラム部4に作用すると、この圧力に応じてダイヤフラム部4が全体に亘って撓み変形する。このとき、ピエゾ抵抗素子5は撓み変形部分となるダイヤフラム部4に設けられているから、ピエゾ抵抗素子5に歪が生じる。このため、ピエゾ抵抗素子5の抵抗値を各リード端子6間の電圧、電流等によって検出することによって、ダイヤフラム部4に加わる圧力を検出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、図12、図13に示すように、シリコン基板2の厚さ寸法をA、(111)面と(100)面とのなす角度を(90°−α)(但し、α≒35.3°)、ダイヤフラム部4の一辺の幅寸法をBとしたとき、幅寸法Bのダイヤフラム部4を形成するために必要な受圧凹溝3の開口部3Aの一辺の長さ寸法Cは、下記の数1によって設定される。
【0008】
【数1】
C>2A×tanα+B
【0009】
そして、この数1からも分かるように、受圧凹溝3の開口部3Aの大きさは、シリコン基板2の厚さ寸法Aとダイヤフラム部4の幅寸法Bとによって設定され、開口部3Aの大きさによってシリコン基板2(圧力センサ1)の外形が決められてしまう。このため、シリコン基板2の大きさは開口部3Aの大きさによって設定されているから、1枚のシリコンウエハから製造される圧力センサ1の個数が決められ、製造コストが悪化してしまうという問題がある。また、圧力センサに加わる総圧力の大きさは、受圧凹溝3の開口部3Aの面積に比例するため、受圧凹溝3の開口部3Aの大きさに応じてセンサの構造を強化する必要があり、これも製造コストの悪化の原因となっていた。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は受圧凹溝の開口部を従来技術に比べて小さくすることにより、製造コストを低減することのできる圧力センサを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明に係る圧力センサは、裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、前記受圧凹溝は、その開口部を長尺な辺と短尺な辺とを有する平行四辺形に形成すると共に、前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し、前記検出用凹溝を構成する辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設け、前記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し、前記撓み検出素子は前記薄肉部に配置する構成としている。
【0012】
このように構成することにより、ダイヤフラム部のうち検出用凹溝の内側部分だけを撓み変形部分とすることができ、ダイヤフラム部に圧力が作用したとき、検出用凹溝の内側の部分を撓み変形させ、このときの撓みを撓み検出素子によって検出し、圧力を検出することができる。
【0013】
また、基板の裏面をシリコンのほぼ(110)面に沿って形成すると共に、受圧凹溝の開口部を、例えば該基板の裏面内に含まれる[100]軸とのなす角度が54.7°である一対の辺を有する平行四辺形としたから、シリコンの結晶方向に沿って基板の裏面から形成される受圧凹溝は、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べて、小さくすることができる。
また、ダイヤフラム部には検出用凹溝の内側部分を薄肉部とし、検出用凹溝の外側部分を厚肉部としたから、ダイヤフラム部に圧力が作用したときに、厚肉部に撓みが生じるのを防止しつつ、薄肉部を撓み変形させることができる。そして、薄肉部に設けた撓み検出素子によってダイヤフラム部に作用する圧力を正確に検出することができる。
さらに、受圧凹溝の底面は検出用凹溝よりも大きい面積をもつから、ダイヤフラム部の表面側に検出用凹溝を容易に凹設することができる。これにより、受圧凹溝と検出用凹溝との間に位置ずれが生じたときでも、検出用凹溝の内側部分に撓み変形部分となる薄肉部を形成することができる。
また、受圧凹溝の開口部を、基板の裏面内に含まれる[100]軸とのなす角度が54.7°である一対の辺を有する平行四辺形としたから、シリコンの結晶方向に沿って基板の裏面から形成される受圧凹溝は、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べて、小さくすることができる。
【0020】
請求項の発明は裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、前記受圧凹溝は前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し、前記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し、前記撓み検出素子は前記薄肉部に配置し、前記受圧凹溝の開口部を平行四辺形とした場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形は、前記基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
Figure 0003545224
とし、
短尺な辺の長さ寸法dを、
Figure 0003545224
として形成したことにある。
【0021】
請求項の発明は裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、前記受圧凹溝は前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し、前記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し、前記撓み検出素子は前記薄肉部に配置し、前記受圧凹溝の開口部を平行四辺形に形成し、前記検出用凹溝を正方形に形成し、該検出用凹溝を構成する正方形の辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設けた場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形は、前記基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
Figure 0003545224
とし、
短尺な辺の長さ寸法dを、
Figure 0003545224
として形成したことにある。
【0022】
このように構成することにより、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べて、開口部を小さくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る圧力センサの実施の形態を、添付した図1ないし図9に従って詳細に説明する。なお、実施の形態では、(110)面、(−110)面等のシリコンの結晶面を代表して(110)面と呼び、異方性エッチングによって形成される(111)、(−1−1−1)面等の結晶面を代表して(111)面と呼ぶ。
【0024】
まず、本発明による第1の実施の形態に係る圧力センサを、図1ないし図6を参照しつつ述べる。
【0025】
11は本実施の形態に用いられる圧力センサ、12は該圧力センサ11の基台をなすシリコン基板で、該シリコン基板12は、シリコン単結晶からなる基底部12Aと、該基底部12Aの表面側に形成された他のシリコン単結晶からなる表層部12Bと、該表層部12Bと前記基底部12Aとの間に介在した酸化膜としての絶縁層部12Cとを備えたSOI(Silicon on Insulator)基板として構成されている。
【0026】
そして、表層部12Bは、リン等の不純物が添加されることによりn型半導体となっている。また、基底部12Aの裏面12D側にはシリコンの酸化膜13と窒化膜14とが設けられている。さらに、シリコン基板12の裏面12Dは、シリコンのほぼ(110)面に沿って形成されている。
【0027】
15は基底部12Aの中央に位置して裏面12D側に凹設された受圧凹溝で、該受圧凹溝15は、基底部12Aの裏面12D側にシリコンの酸化膜13,窒化膜14の開口部13A,14Aとを介して異方性のエッチング処理等を施すことにより、裏面12Dから絶縁層部12Cに達している。また、受圧凹溝15の開口部15Aは、(110)面と(111)面との交線からなる1個の平行四辺形となって形成されている。
【0028】
また、シリコン基板12の基底部12Aの厚さ寸法がa、側壁15Bと底面12Dとのなす角度、即ち(111)面と(110)面とのなす角度が(90°−α′)(但し、α′≒54.7°)となっている。
【0029】
さらに、受圧凹溝15の開口部15Aは、長尺な辺15Cと短尺な辺15Dとを有し、長尺な辺15Cはシリコンの結晶方向として例えば[001]軸方向に角α′をなして延びると共に、短尺な辺15Dは[001]軸方向に角−α′をなして延びている。
【0030】
また、2つの側壁15Bは長尺な辺15Cと短尺な辺15Dに挟まれて略四角形状をなして形成されている。そして、前記長尺な辺15Cと短尺な辺15Dの間に位置した鋭角βは約70.6°となり、鈍角γは約109.4°となっている。
【0031】
16は受圧凹溝15によってシリコン基板12に設けられたダイヤフラム部で、該ダイヤフラム部16は、図2に示すように、受圧凹溝15の底部に位置して、長尺な辺15Cの一部が平行な辺となった四角形状をなしている。そして、ダイヤフラム部16は後述の検出用凹溝17の内側では薄肉部18を形成し、検出用凹溝17の外側では厚肉部19を形成している。また、ダイヤフラム部16は、受圧凹溝15の2本の対角線の交点位置に設けられている。
【0032】
17は受圧凹溝15に対向して表層部12Bの表面側に凹設された検出用凹溝で、該検出用凹溝17は浅溝状をなして形成されている。そして、検出用凹溝17上には後述の絶縁膜22、保護膜24により凹陥部17Aが設けられている。また、検出用凹溝17は、凹陥部17Aと実質的には同一の形状となり、ダイヤフラム部16の面積よりも小さい面積を有し、一辺の溝幅寸法がbとなった正方形の凹面部17Bとなっている(図2参照)。
【0033】
18は検出用凹溝17の位置で表層部12B、絶縁層部12Cに形成された薄肉部で、該薄肉部18は、ダイヤフラム部16に圧力が作用したときに、その圧力に応じて撓み変形するものである。
【0034】
19は検出用凹溝17の外側に形成された厚肉部で、該厚肉部19は、薄肉部18の外側を取囲み、略四角形の枠状をなしてシリコン基板12の表層部12B、絶縁層部12Cに形成されている。
【0035】
20,20,…は検出用凹溝17内に設けられた例えば4個のピエゾ抵抗素子(2個のみ図示)で、該各ピエゾ抵抗素子20は、ホウ素等の不純物をシリコン基板12の表層部12Bに注入、拡散し、その一部を略長方形状にピエゾ抵抗化することによって、撓み検出素子として構成されている。
【0036】
21,21,…はシリコン基板12上に設けられた拡散層配線、22はピエゾ抵抗素子20と拡散層配線21との上側に形成された絶縁膜、23はシリコン基板12上に絶縁膜22上に設けられた金属配線である。24は金属配線23を保護するための絶縁性の保護膜で、該保護膜24はシリコン基板12の表面側で全面に亘って設けられている。
【0037】
25は検出用凹溝17を閉塞する閉塞板を示し、該閉塞板25は、陽極接合法等を用いることによって、絶縁膜22と保護膜24とを介して厚肉部19の表面側に固着されている。そして、閉塞板25は凹陥部17Aとの間に基準圧室Sを構成している。
【0038】
本発明による圧力センサ11は、上述の如き構成を有するもので、シリコン基板12の基底部12Aには裏面12Dから受圧凹溝15を形成することにより、絶縁層部12Cにダイヤフラム部16を形成し、表層部12Bには検出用凹溝17を形成し、ダイヤフラム部16には検出用凹溝17の内側部分を薄肉部18としたから、ダイヤフラム部16に圧力が作用したときに、厚肉部19に撓みが生じるのを防止しつつ、薄肉部18を撓み変形させることができる。そして、薄肉部18に設けた各ピエゾ抵抗素子20によってダイヤフラム部16に作用する圧力を正確に検出することができる。
【0039】
また、受圧凹溝15によって形成されるダイヤフラム部16は、検出用凹溝17の凹面部17Bの面積よりも大きい面積をもつから、ダイヤフラム部16の表面側に検出用凹溝17を容易に凹設することができる。これにより、受圧凹溝15と検出用凹溝17との間に位置ずれが生じたときでも、検出用凹溝17の内側部分に撓み変形部分となる薄肉部18を形成することができる。
【0040】
次に、受圧凹溝15の開口部15Aの形状について説明する。なお、図2ないし図5ではシリコン基板12の表層部12Bの部分は省略している。
【0041】
また、一辺の溝幅寸法bを有する凹面部17B(検出用凹溝17)を形成するために必要な受圧凹溝15の開口部15Aは、下記の数2のようになる。
【0042】
なお、シリコン基板12の裏面12Dはシリコンのほぼ(110)面に沿って形成しているから、図2に示すように、受圧凹溝15の開口部15Aの形状は、シリコンの結晶方向から、長尺な辺と短尺な辺の間に位置した鋭角βが約70.6°、鈍角γが約109.4°となる。さらに、開口部15Aの長尺な辺15Cの長さ寸法をc1 、短尺な辺15Dの長さ寸法をd1 とする。
【0043】
【数2】
Figure 0003545224
【0044】
そして、数2によって明らかなように、角度α′,β,γはシリコン結晶により設定される固定値となっているから、長尺な辺の長さ寸法c1 と短尺な辺の長さ寸法d1 は、基底部12Aの厚さ寸法a、凹面部17B(検出用凹溝17)の溝幅寸法bによってのみ設定される。そして、本実施の形態では、受圧凹溝15の開口部15Aは、長尺な辺15Cと短尺な辺15Dがシリコン基板12の長さ方向と角α′をなして延びている。
【0045】
次に、図6に基づいてシリコンウエハの裏面から受圧凹溝15を形成する構成について説明する。
【0046】
まず、31は複数個の圧力センサを形成するためのシリコンウエハで、該シリコンウエハ31の表層部に図示しない検出用凹溝17、ピエゾ抵抗素子20、配線21,23、絶縁膜22、保護膜24等が形成されている。また、シリコンウエハ31の裏面31Aはほぼ(110)面に沿って形成されている。
【0047】
32はシリコンウエハ31の裏面31Aに受圧凹溝15を形成するための露光マスクで、該露光マスク32は、シリコンウエハ31のうち圧力センサが形成される位置に対応した複数のエリア32A,32A,…を有し、該各エリア32Aには、受圧凹溝に対応した平行四辺形の露光パターン33が形成されている。
【0048】
そして、裏面31Aに酸化膜等を形成した上で、感光性のレジスト(いずれも図示せず)等を塗布し、このレジストを露光マスク32の露光パターン33を通して感光させることにより、これらの露光パターン33をレジストに転写する。さらに、酸化膜に対してエッチング処理を施すことにより、受圧凹溝15に対応した酸化膜の開口部をシリコンウエハ31の裏面31Aに形成する。
【0049】
次に、例えばKOH、ヒドラジン等のエッチング液を用いることにより、酸化膜をマスクとしてシリコンウエハ31の裏面31A側に異方性のエッチング処理を施し、開口部15Aが平行四辺形、底部がダイヤフラム部16となった受圧凹溝15が形成される。そして、各圧力センサを二点鎖線部分でシリコンウエハ31から切り離して、圧力センサを複数個製造する。
【0050】
かくして、本実施の形態では、シリコン基板12の裏面12Dを、シリコンのほぼ(110)面に沿って形成すると共に、受圧凹溝15の開口部15Aを、長尺な辺15Cと短尺な辺15Dとを有する平行四辺形に形成している。これにより、圧力の検出部分となる凹面部17Bの溝幅寸法bを確保した上で、短尺な辺15Dの長さ寸法d1 の最小値は、従来技術による受圧凹溝3の開口部3Aの長さ寸法Cに対して小さくなる。
【0051】
この結果、開口部15Aの短尺な辺15Dの長さ寸法d1 を従来技術に比べて小さくすることにより、シリコン基板12の幅方向を小さくでき、1枚のシリコンウエハ31から製造される圧力センサ11の個数を従来技術に比べて多くすることができ、歩留を向上することができる。
【0052】
そして、本実施の形態では、圧力センサ11のコスト低減を図ることができる。また、圧力を受ける面積、受圧面積を小さくすることができるため、圧力センサ11に加わる総圧力が小さくなり、同一の接合強度を有する材料、接合技術等を利用した場合、接合面積を小さくすることが可能となる。従って、1枚のシリコンウエハ31から製造される圧力センサ11の個数を従来技術に比べて多くすることができる。
【0053】
次に、図7ないし図10を参照しつつ、本発明に係る第2の実施の形態について述べるに、本実施の形態の特徴は、検出用凹溝を構成する正方形の辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設けたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、シリコン基板の表面側には検出用凹溝17、ピエゾ抵抗素子20、配線21,23、絶縁膜22、保護膜24等が形成されているものとする。
【0054】
41は本実施の形態に用いられる圧力センサで、該圧力センサ41はシリコン基板42等によって構成されている。また、該シリコン基板42は、前述した第1の実施の形態による基底部12A、表層部12B、絶縁層部12Cからなるシリコン基板12とほぼ同様に、基底部42A、表層部42B、絶縁層部42Cを備えたSOI基板として構成されている。また、シリコン基板42の裏面42Dは、シリコンのほぼ(110)面に沿って形成されている。さらに、基底部42Aの裏面42D側には酸化膜43と窒化膜44とが設けられ、該酸化膜43,窒化膜44の開口部43A,44Aは後述する受圧凹溝35の開口部45Aと同じ形状に形成されている。
【0055】
45は中央に位置して裏面42D側に凹設された受圧凹溝で、該受圧凹溝35は、酸化膜43,窒化膜44の開口部43A,44Aとを通して異方性エッチング処理等を施すことにより、裏面42Dから絶縁層部42Cに達している。また、該受圧凹溝35の開口部45Aは、平行四辺形となっている。また、平行四辺形は、その開口部が、長尺な辺45Bと短尺な辺45Cとを有し、前記長尺な辺45Bの端部に位置した鋭角βは約70.6°となり、鈍角γは約109.4°となり、シリコンの(111)面と(110)面とのなす角度が(90°−α′)(但し、α′≒54.7°)となっている。
【0056】
46は受圧凹溝35によってシリコン基板42に設けられたダイヤフラム部で、該ダイヤフラム部46は、図7に示すように、受圧凹溝35の底部に位置して、四角形状をなしている。また、ダイヤフラム部46は検出用凹溝17の内側では薄肉部18を形成し、検出用凹溝17の外側では厚肉部19を形成している。そして、ダイヤフラム部46は、長尺な辺45B上で平行四辺形の長さ寸法の中間位置に設けられている。ここで、受圧凹溝35の開口部45Aの形状について説明する。シリコン基板42の裏面42Dはシリコンのほぼ(110)面に沿って形成されているから、図7に示すように、受圧凹溝35の開口部45Aの形状は、平行四辺形に形成されている。
【0057】
また、一辺の溝幅寸法bを有する凹陥部17A(検出用凹溝17)を形成するのに必要な受圧凹溝35の開口部45Aは、下記の数3によって設定される。
【0058】
なお、シリコン基板42の裏面42Dは、シリコンのほぼ(110)面に沿って形成されているから、図7に示すように、長尺な辺45Bと短尺な辺45Aに挟まれた鋭角βは約70.6°となり、鈍角γは約109.4°となっている。さらに、開口部45Aの長尺な辺45Bの長さ寸法をc2 、短尺な辺45Cの長さ寸法をd2 とする。
【0059】
【数3】
Figure 0003545224
【0060】
そして、数3によって明らかなように、鋭角βと鈍角γ間の辺の長さ寸法d2 は、シリコン基板42の厚さ寸法a、凹面部17B(検出用凹溝17)の溝幅寸法bによってのみ設定され、受圧凹溝35の開口部45Aは、長尺な辺45Bがシリコン基板42の長さ方向に延びている。
【0061】
また、シリコンウエハ(シリコン基板42)の裏面に受圧凹溝35を形成する工程では、露光マスクに形成した露光パターンの形状を前述した平行四辺形とすることにより、第1の実施の形態と同様にしてシリコン基板42に受圧凹溝35を形成している。
【0062】
かくして、本実施の形態では、シリコン基板42の裏面42Dを、シリコンのほぼ(110)面に沿って形成すると共に、受圧凹溝35の開口部45Aを構成する平行四辺形の長尺な辺45Bと正方形の検出用凹溝部17を構成する辺の一部を平行に形成している。これにより、圧力の検出部分となる検出用凹溝17の溝幅寸法bを確保した上で、シリコン基板42の幅方向に延びる短尺な辺45Cの長さ寸法d2 は、従来技術による受圧凹溝3の開口部3Aの長さ寸法Cに対して小さくすることができる(数3参照)。
【0063】
この結果、開口部45Aの辺の長さ寸法d2 をより小さくすることにより、シリコン基板42の幅を第1の実施の形態に比べてより小さくでき、1枚のシリコンウエハから製造される圧力センサの数を増やすことができ、圧力センサのコスト低減を図ることができる。
【0064】
なお、各実施の形態では基板にSOI基板を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、裏面に(110)面を有するシリコン基板を用いてもよい。
【0065】
また、撓み検出阻止の形成されるSOI基板の表層部には、表面が(100)面もしくは(111)面を有するシリコン基板を用いてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の本発明によれば、基板には裏面側から受圧凹溝、表面側から検出用凹溝とをそれぞれ設けたから、ダイヤフラム部に圧力が作用したときに撓み変形する撓み変形部分を、前記基板に容易に形成することができる。そして、撓み変形部分に設けた撓み検出素子によって、ダイヤフラム部に作用する圧力を正確に検出することができる。
【0067】
また、基板の裏面をシリコンのほぼ(110)面に沿って形成すると共に、受圧凹溝の開口部を、例えば該基板の裏面内に含まれる[100]軸とのなす角度が54.7°である一対の辺を有する平行四辺形としたから、シリコンの結晶方向に沿って基板の裏面から形成される受圧凹溝は、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べて、短尺な辺の分だけ小さくして形成することができる。そして、1枚のシリコンウエハから製造される圧力センサの個数を、従来技術に比べて多くでき、歩留を向上することができる。
また、ダイヤフラム部には検出用凹溝の内側部分を薄肉部とし、検出用凹溝の外側部分を厚肉部としたから、ダイヤフラム部に圧力が作用したときに、厚肉部に撓みが生じるのを防止しつつ、薄肉部を撓み変形させることができる。そして、薄肉部に設けた撓み検出素子によってダイヤフラム部に作用する圧力を正確に検出することができる。
さらに、受圧凹溝の底面は検出用凹溝よりも大きい面積をもつから、ダイヤフラム部の表面側に検出用凹溝を容易に凹設することができる。これにより、受圧凹溝と検出用凹溝との間に位置ずれが生じたときでも、検出用凹溝の内側部分に撓み変形部分となる薄肉部を形成することができる。
また、検出用凹溝を構成する辺を受圧凹溝の開口部を構成する平行四辺形の長尺な辺に平行に設けたから、シリコンの結晶方向に沿って基板の裏面から形成される受圧凹溝は、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べ、短尺な辺の分だけ小さくして形成することができる。これにより、1枚のシリコンウエハから製造される圧力センサの個数を、従来技術に比べて多くでき、歩留を向上することができる。
【0071】
請求項の発明では、受圧凹溝の開口部を平行四辺形とした場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形を、基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
Figure 0003545224
とし、短尺な辺の長さ寸法dを、
Figure 0003545224
として形成したことにある。
【0072】
また、請求項の発明では、受圧凹溝の開口部を平行四辺形に形成し、検出用凹溝を正方形に形成し、該検出用凹溝を構成する正方形の辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設けた場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形を、基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
Figure 0003545224
とし、短尺な辺の長さ寸法dを、
Figure 0003545224
として形成したことにある。
【0073】
このように請求項2,3の発明では、従来技術のように、基板の裏面をほぼ(100)面に沿って形成したときの受圧凹溝の開口部に比べて、短尺な辺の部分を小さくでき、1枚のシリコンウエハから製造される圧力センサの個数を増やし、歩留を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による圧力センサを示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態による圧力センサを下側からみた底面図である。
【図3】図2中の矢示III −III 方向からみた縦断面図である。
【図4】図2中の矢示IV−IV方向からみた縦断面図である。
【図5】図2中の矢V−V方向からみた縦断面図である。
【図6】シリコンウエハ、露光マスクを示す斜視図である。
【図7】第2の実施の形態による圧力センサを下側からみた底面図である。
【図8】図7中の矢示VIII−VIII方向からみた縦断面図である。
【図9】図7中の矢示IX−IX方向からみた縦断面図である。
【図10】従来技術による圧力センサを示す斜視図である。
【図11】従来技術による圧力センサを示す縦断面図である。
【図12】従来技術による圧力センサを下側からみた底面図である。
【図13】図12中の矢示XIII−XIII方向からみた縦断面図である。
【符号の説明】
11,41 圧力センサ
12,42 シリコン基板
12D,31A,42D 裏面
15,45 受圧凹溝
15A,45A 開口部
15C,45B 長尺な辺
15D,45C 短尺な辺
16,46 ダイヤフラム部
17 検出用凹溝
17B 凹面部
18 薄肉部
19 厚肉部
20 ピエゾ抵抗素子(撓み検出素子)
31 シリコンウエハ
32 露光マスク
33 露光パターン

Claims (3)

  1. 裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、
    前記受圧凹溝は、その開口部を長尺な辺と短尺な辺とを有する平行四辺形に形成すると共に、前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し
    前記検出用凹溝を構成する辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設け、
    記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し
    記撓み検出素子は前記薄肉部に配置する構成としてなる圧力センサ。
  2. 裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、
    前記受圧凹溝は前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し、前記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し、前記撓み検出素子は前記薄肉部に配置し、
    前記受圧凹溝の開口部を平行四辺形とした場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形は、前記基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
    Figure 0003545224
    とし、
    短尺な辺の長さ寸法dを、
    Figure 0003545224
    として形成する構成としてなる圧力センサ。
  3. 裏面がシリコンのほぼ(110)面に沿って形成された基板と、平行四辺形からなる開口部となって該基板の裏面側から形成された受圧凹溝と、前記基板に該受圧凹溝を形成することにより該基板に設けられたダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部の位置で前記基板の表面側に凹設された検出用凹溝と、少なくとも該検出用凹溝内に設けられ前記ダイヤフラム部に生じる撓みを検出する撓み検出素子とを備え、
    前記受圧凹溝は前記検出用凹溝よりも大きい面積の底面をもって形成し、前記ダイヤフラム部は前記検出用凹溝の内側部分を薄肉部とすると共に、前記検出用凹溝の外側部分を厚肉部として形成し、前記撓み検出素子は前記薄肉部に配置し、
    前記受圧凹溝の開口部を平行四辺形に形成し、前記検出用凹溝を正方形に形成し、該検出用凹溝を構成する正方形の辺を前記受圧凹溝の開口部を構成する長尺な辺に平行に設けた場合、検出用凹溝よりも大きいダイヤフラム部を形成するための平行四辺形は、前記基板の厚さ寸法をa、前記検出用凹溝の溝幅寸法をbとしたとき、長尺な辺の長さ寸法cを、
    Figure 0003545224
    とし、
    短尺な辺の長さ寸法dを、
    Figure 0003545224
    として形成する構成としてなる圧力センサ。
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