JP3543346B2 - スロットル弁制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両に搭載される内燃機関のスロットル弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関のスロットル弁の駆動源としてモータを使用するスロットル弁制御装置が知られている。このモータは、それ自体が単品で機能し、モータハウジングの両端面のどちらか一方、例えば出力側をスロットルボディと嵌合しボルト等で固定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなスロットル弁制御装置の構成では下記の問題点がある。
▲1▼モータの性能を十分に引き出すため、巻線の熱を逃がしモータの温度上昇を抑制する必要がある。しかし、モータとスロットルボディとは嵌合部で接しているだけなので接触面が小さく、モータからスロットルボディへ熱が逃げにくいため、モータの温度が上昇する。
【0004】
▲2▼モータは取付座面を支点にした片持ち状態にあるため、内燃機関の振動が大きいとモータが揺れて共振を起こしやすい。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、放熱性および耐振性に優れ高精度な空気流量制御を行う内燃機関のスロットル弁制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、
内燃機関の吸気管内の吸気通路を流れる空気流量を調節するスロットル弁と、
前記スロットル弁を収容するスロットルボディと、
両端の開口した円筒状に形成され前記スロットルボディが形成する吸気通路を囲む壁部分に外周面を熱伝達可能に接触し固定されているヨークを有し、前記スロットルボディの一部ならびに前記スロットルボディに取り付けられているハウジングをモータハウジングとし、前記スロットルボディが形成する吸気通路に近接して設置され、前記スロットル弁を駆動するモータと、
前記モータの回転軸の両端部をそれぞれロータの巻線部に近接した位置で支持する軸受け部材であって、該軸受け部材の一方は前記スロットルボディに外周面を熱伝達可能に接触して支持されており、該軸受け部材の他方は前記ハウジングに外周面を熱伝達可能に接触して支持されている軸受け部材と、
前記モータの駆動力を前記スロットル弁に伝達可能な動力伝達手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、前記スロットルボディに支持される軸受け部材を前記モータの回転軸に固定することを特徴とする。
さらにまた、請求項3記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、前記スロットルボディに支持される軸受け部材の外周壁に弾性部材を嵌合し、該弾性部材が前記スロットルボディに当接することを特徴とする。
【0007】
さらにまた、請求項4記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、前記スロットルボディに支持される軸受け部材は内輪および外輪を有するベアリングで構成され、該内輪がモータの回転軸に固定されるとともに該外輪を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を有することを特徴とする。
さらにまた、請求項5記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、前記スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側へ動くことを規制する係止部を前記モータの回転軸に形成することを特徴とする。
【0008】
さらにまた、請求項6記載の本発明によるスロットル弁制御装置は、前記スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側へ動くことを規制する係止部材を前記モータの回転軸に嵌合することを特徴とする。
【0009】
【作用】
請求項1記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、モータの回転軸を支持する軸受け部材の少なくとも一方をスロットルボディで支持し、モータのヨークを両端の開口した円筒状に形成することにより、モータの揺れを防止するとともにモータで発生する熱が放熱し易くなる。
【0010】
また、請求項2記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、スロットルボディに支持される軸受け部材をモータの回転軸に固定することにより、スロットルボディに軸受け部材を固定する手段を設ける必要がなく組付けが容易になる。
さらにまた、請求項3記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、スロットルボディに支持される軸受け部材の外周壁に弾性部材を嵌合することにより、内燃機関の振動により軸受け部材とスロットルボディとが擦り合って摩耗することを防止する。
【0011】
さらにまた、請求項4記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、スロットルボディに支持される軸受け部材をベアリングで構成し、ベアリングの内輪をモータの回転軸に固定するとともに、ベアリングの外輪を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けることによりベアリングの軸方向のガタ付きを防止する。
【0012】
さらにまた、請求項5記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、スロットルボディに支持される軸受け部材を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けるとともに、スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側に動くことを規制する係止部をモータの回転軸に形成することにより、スロットルボディに支持される軸受け部材をモータの回転軸に固定する工程を省略できる。
【0013】
さらにまた、請求項6記載の本発明のスロットル弁制御装置によると、スロットルボディに支持される軸受け部材を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けるとともに、スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側に動くことを規制する係止部材をモータの回転軸に嵌合することにより、スロットルボディに支持される軸受け部材をモータの回転軸に固定する工程を省略できるとともにモータの回転軸の加工工程を省略できる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施例によるスロットル弁制御装置を運転者によって操作されるアクセル操作系と、制御装置によって駆動される電気操作系との両方で調節可能にした内燃機関のスロットル弁制御装置に適用した一実施例を図1に示す。
【0015】
スロットル軸3は、ベアリング71および72を介してスロットルボディ17に回動可能に支持されている。スロットルボディ17は、軽量化および放熱性を高めるためアルミニウムで形成されている。スロットル弁11はスロットル軸3に固定され、スロットル軸3とスロットル弁11とは一体となって回動する。
スプリング1は、後述するハブ32の突出部32bとカバー38の突出部38aとに結合し、ハブ32をスロットル弁11の開方向に付勢している。ハブ32はスロットル軸3に固定されているので、スプリング1は、スロットル弁11の開方向にスロットル軸3を付勢している。スプリング2の一方の端部はスロットル軸3の一方の端部3aに固定され、スプリング2の他方の端部はスロットルボディ17に固定されている。スプリング2は、スロットル弁11の開方向にスロットル軸3を付勢する。
【0016】
従って、スプリング1または2のどちらか1本が折損しても残りの1本でスロットル弁11の開方向にスロットル軸3を付勢する付勢力は確保されている。
クラッチロータ13は軟磁性材で円板状に形成され、ベアリング75および76を介してスロットル軸3に回動可能に組付けられている。クラッチロータ13には、スロットル軸3を中心として円板状の凹部13aが形成され、この凹部13aを取り囲む外縁部13bに一定円弧幅の凹部13cが形成されている。凹部13cは、後述するハブ32の突起部32aが凹部13cのモータ上限ガード13dに当接するように形成されている。これにより、モータ上限ガード13dは、クラッチロータ13がスロットル弁11の開方向に回動するとき、後述の突起部32aを係止し、ハブ32をクラッチロータ13と一体に回動させる。クラッチロータ13の外縁部13bの外周の一部には歯部13hが形成されており、モータギヤ141と結合している。
【0017】
ウェーブワッシャ36は、エンジン振動でクラッチロータ13が図1の左右方向に動かないようにクラッチロータ13を付勢している。クラッチロータ13にはカバー38がネジ止め等で固定されている。カバー38は、クラッチロータ13の凹部13aの底面に後述するアーマチャ34が吸着されるとき、吸着部に異物が入ることを防止しており、吸着の信頼性を高めることに寄与している。
【0018】
板状のハブ32は、スロットル軸3の他方の端部3bに圧入等で固定され、クラッチロータ13の凹部13a内でスロットル軸3と一体となって回動する。ハブ32には、スロットル軸3の径方向に伸長する突起部32aが形成され、この突起部32aはクラッチロータ13の凹部13c内で回動し、モータ上限ガード13dに当接する。ハブ32のクラッチロータ13の凹部13aの底面に面しているには、円板状の板バネ33の内端部がリベット81および82によって固定されており、板バネ33の外端部には軟磁性材で中空円板状のアーマチャ34がリベット止めで固定されている。アーマチャ34はハブ32とともに回動し、板バネ33は、エンジン振動でアーマチャ34が動かないように図1の右方向にアーマチャ34を付勢している。
【0019】
モータ14のヨーク142は磁気回路として必要な部分だけを円筒状に形成し、スロットルボディ17に圧入あるいは接着剤で固定されている。また、接着剤を塗布後、スロットルボディ17にヨーク142を圧入固定するかカシメて固定することも可能である。マグネット143はヨーク142の内壁に接着剤等で固定してある。
【0020】
モータ14のロータ144は、モータギヤ141側のロータ端部144aがベアリング145を介してハウジング149に回動可能に支持され、このハウジング149はスロットルボディ17にビス18、19で固定されている。ベアリング145の外輪145bとハウジング149は隙間ばめで、ハウジング149への固定はワッシャ147をカシメ固定し、抜けないようにしている。ベアリング145の内輪145aはロータ端部144aに圧入固定している。従って、ロータ144はハウジング149に対して軸方向の位置が決まる。ロータ144のもう一方のロータ端部144bはベアリング146を介して直接スロットルボディ17に回動可能に支持されている。ベアリング146の外輪146bは、スロットルボディ17と隙間ばめで、ボディ17にカシメ固定されたワッシャ148によって抜けないように固定されている。ベアリング146の内輪146aとロータ端部144bは隙間ばめになっている。これは、ロータ144の軸方向の位置がベアリング145で決まっているので、ロータ144の軸方向長が熱膨張、熱収縮により変化するとき、ロータ端部144bが軸方向に移動可能にするためである。
【0021】
センサ部16は、溶接、ロウ付け、ネジ止め等の方法でカバー38に固定される軟磁性体のカラー39、カラー39の内側に固定されるN、S一対のマグネット51および52、マグネット51および52の内側に位置する磁気検出素子53、この磁気検出素子53の出力を処理する演算回路60、演算回路60の処理結果を出力するコネクタ61で構成される。
【0022】
カラー39、マグネット51および52は、クラッチロータ13とともに回動するカバー38と一体となって回動する。磁気検出素子53は、マグネット51および52が回動することによる磁束の変化を電気信号として出力し、この信号を演算回路60で処理後コネクタ61から図示しない制御装置に送出され、モータ14の回転位置(開度)として検出される。
【0023】
スロットル軸3は、ウェーブワッシャ22の付勢力により、エンジン振動で図1の左右方向に動かないようになっている。これにより、コネクタ61からの出力がエンジン等の振動によりずれることを防ぐ。カラー44は、ウェーブワッシャ22の付勢力を伝えかつクラッチコイル12の磁束漏れを防ぐため真鍮等の非磁性材でできている。
【0024】
スロットルレバー21は、スロットル軸3の一方の端部3aに圧入等で固定され、スロットルレバー21とスロットル軸3とは一体となって回動する。スロットルレバー21は、一方の端部21aがスロットル弁全閉ストッパ8に当接し、他方の端部が後述するアクセル上限ガード41に当接するように形成されている。スロットル弁11の全閉位置は、スロットル弁全閉ストッパ8によって決定される。
【0025】
アクセル軸25はベアリング73および74を介してハウジング31に回動可能に支持されている。アクセルレバー23は、アクセル軸25の一方の端部に圧入等で固定されており、図1では図示しないワイヤまたはリンク等でアクセルペダルと結ばれている。スプリング5および6は、スプリング1および2の付勢力よりも大きい付勢力でスロットル弁11の閉方向にアクセル軸25を付勢する。スプリングが2本あるのは、1本欠損時、スロットル弁11の閉方向にアクセル軸25を付勢する付勢力を確保するためである。
【0026】
アクセル全閉ストッパ7はハウジング31に固定され、スロットル弁全閉ストッパ8よりもアクセル全閉ストッパ7の開度が大きい場合、アクセルレバー23がアクセル全閉ストッパ7に当接する。
アクセル軸25には樹脂製ロータ26が一体成形され、ロータ26にはコンタクト27が取付けられ、コンタクト27はセンサ基板28に接している。コンタクト27の回転量によって出力が変化するような抵抗体がセンサ基板28に印刷され、アクセルレバー23の回転量がコネクタ29から電気的に出力される。カバー30は、前記センサ部の出力特性に悪影響を及ぼすような埃や異物が入らないようにするカバーである。
【0027】
アクセル軸25は、ウェーブワッシャ37の付勢力により図1の左右方向にエンジン振動で動かないようになっているため、コンタクト27とセンサ基板28との接触不良を防ぐことができ、コネクタ29の電気出力が安定する。
アクセル上限ガード41は、アクセル軸25の他方の端部に圧入、ナット止、カシメまたは溶接等で固定されている。スロットルレバー21の一方の端部がアクセル上限ガード41に当接することにより、スロットル弁11はアクセル上限ガード41で規制される開度より開くことができない。
【0028】
エアバルブ100の構成の詳細な説明は本発明に直接関与しないので省略するが、冷却水配管101および102を通る冷却水温度によりバイメタルやサーモワックス等を利用してバイパスエア空気量を可変する装置である。
クラッチコイル12へ電力が供給されると、クラッチコイル12は、板バネ33の力に打ち勝ってアーマチャ34をクラッチロータ13の凹部13aの底面に押し付けることができるような磁力を発生させる。この押し付け力によりアーマチャ34とクラッチロータ13との吸着部に発生する摩擦力は、スプリング5および6の付勢力の和とスプリング1および2の付勢力の和との差よりも大きい。
【0029】
本実施例の構成では、クラッチロータ13の外縁部13bがハブ32を取り囲み、板バネ33でハブ32に固定されたアーマチャ34がクラッチロータ13に吸着することにより、モータ14の駆動力がスロットル弁11に伝達されるクラッチ機構がクラッチロータ13のスロットル軸3の軸方向の幅内で構築される。このため、クルーズコントロール時、モータ14の駆動力をスロットル弁11に伝達するクラッチ機構がスロットル軸3の軸方向に短縮され、スロットル弁制御装置全体が小型化される。
【0030】
以下、▲1▼通常運転時、▲2▼ISC制御時、▲3▼クルーズコントロール時の第1実施例によるスロットル弁制御装置の作動について説明する。
▲1▼通常運転時
運転者がアクセルペダルを操作するとアクセルレバー23が回動し、コネクタ29からアクセルペダル操作量に応じた信号が出力される。この信号は、図示しない制御装置で演算され、モータ14にスロットル開度指令値を与える。さらに、この信号とモータ14の位置を示すコネクタ61の出力信号とが比較され、モータ14の回動が制御されるとともにクラッチロータ13の回動量が決定される。このとき、クラッチコイル12への通電はオフされており、アーマチャ34がクラッチロータ13に吸着されないので、モータ14の制御は、スロットル弁11の開方向への突起部32aの動きをモータ上限ガード13dで制限するだけである。スロットル弁11は、全閉からアクセル上限ガード41の開度までの範囲で制御される。
【0031】
▲2▼ISC制御時
アクセル全閉ストッパ7の開度は、スロットル弁全閉ストッパ8の開度よりも若干大きな開度が与えられているため、アイドル時、運転者がアクセルペダルの操作をしていない状態では、アクセルレバー23はアクセル全閉ストッパ7に当接し、アクセル上限ガード41はアクセルレバー23に対応する位置にある。モータ14を制御することにより、スロットル弁全閉ストッパ8で決定されるスロットル弁11の全閉位置からアクセル全閉ストッパ7の開度の範囲内で、クラッチロータ13のモータ上限ガード13dとハブ32の突起部32aとが当接しながら回動し、エンジンの負荷に変動があった場合でもアイドル回転数を一定に保つことができる。
【0032】
本実施例では、エアバルブ100を追加することにより、モータ14や図示しない制御装置等に故障があった場合にも、アイドル時のエンジン回転数の過度の上昇を防いでいる。
これは、通常のエンジンでは、エンジン冷間時とエンジン暖機後とのアイドル回転に必要な空気量に大きな差、例えば30m3 /h位、がある。エンジン冷間時、必要な空気量を確保しようとアクセル全閉ストッパ7の開度を大きくすると、暖機後、モータ14や制御装置等に故障が発生した場合、スロットル弁11はアクセル全閉ストッパ7で決められた開度まで開いてしまうため、エンジン回転数は運転者がアクセルペダルを操作していないにも関わらず上がってしまう。これを防ぐため、冷間時には、冷却水温度によってバイパス空気量をバイメタルやサーモワックスのような感熱体で増加し、暖機後はバイパス空気量を減少させている。
【0033】
▲3▼クルーズコントロール時
通常運転時、運転者が図示しないクルーズコントロールスイッチをONにすると、そのときの車速が図示しない演算部に記憶されるとともにクラッチコイル12への通電がオンされる。すると、クラッチコイル12の周りに磁界が発生し、アーマチャ34は電磁の吸引力により板バネ33の付勢力に打ち勝って図1の左方向へ移動し、クラッチロータ13に吸着する。この吸着による摩擦力は、スプリング5および6の付勢力の和とスプリング1および2の付勢力の和との差よりも大きいので、アクセルペダルを離してもクラッチロータ13、アーマチャ34およびハブ32がモータ14の駆動力により一体に回動し、スロットル弁11の開度をモータ14により自由に制御できる。
【0034】
クルーズコントロール時、スロットル弁11、アクセル上限ガード41、モータ上限ガード13dが一体となって動くので、部材の製造または組付けばらつき等があっても、コネクタ29とコネクタ61との出力値の差はある一定幅の範囲に収まっている。運転者がクルーズコントロール中、一定に保持されている車速度を上げようとアクセルペダルを踏むと、アクセルレバー23の開度はスロットル弁11の開度より大きくなり、コネクタ29の出力値が変化し、コネクタ29とコネクタ61との出力値の差が一定幅の範囲からずれる。このずれを電気的に検出することにより、運転者によるアクセルペダルの踏み込みを検出し、クラッチコイル12の通電がオフされ、クルーズコントロール制御が終了する。また、クルーズコントロールスイッチをオフすることによっても、クラッチコイル12の通電がオフされ、クルーズコントロール制御が終了する。
【0035】
次に、モータの放熱性と耐振性について、図8および図9に示す比較例と第1実施例とを比較して第1実施例の作動および効果について説明する。
モータ200のハウジング201はビス18、19でスロットルボディ17に組付けられている。ヨーク202はカップ状に形成され、端部にゴムキャップ203が嵌合している。モータ200の図示しないロータ端部はハウジング201およびヨーク202内に固定された図示しない軸受けに支持されている。
【0036】
▲1▼モータ放熱性
比較例の構成では、スロットルボディ17にモータ200を組付けた場合、モータ200とスロットルボディ17との間に存在する空気層が断熱材となる。また、スロットルボディ17への伝熱は、モータ200とスロットルボディ17との取付け座面だけである。つまり、モータ200のロータの巻線部の熱は、回転軸を支持するベアリングを介してハウジング201に伝わり、さらにハウジング201とスロットルボディ17との接触している面を介してスロットルボディ17に伝熱する。
【0037】
一方、第1実施例では、ロータ144の巻き線の熱はロータ端部144aおよび144bを支持するベアリング145、146の両方からスロットルボディ17に伝熱するとともに、円筒状のヨーク142が直接スロットルボディ17に圧入固定されて、モータハウジングのほとんどがスロットルボディ17と一体になっているため、比較例のモータ200とスロットルボディ17との間に存在する空気の断熱層がなくなり熱がこもりにくくなる。従って、ロータ144の巻線の温度上昇は抑制される。また、巻線の許容温度が従来と同じなら、温度上昇が少ない分、モータ供給電流を多くすることにより、モータ出力トルクを大きくすることもできる。
【0038】
第1実施例では、モータ14が、スロットル吸気通路の近傍にあるため、吸気による放熱効果も期待でき、モータ冷却効果はさらに向上できる。
また、通常、スロットルボディ17はスロットル弁11のアイシング防止のため、スロットルボディ17の一部にエンジン冷却水を通しており、モータ14の内部温度は通常エンジン冷却水温より高くなるので、第1実施例の構成によりエンジン冷却水による冷却効果を積極的に利用することができる。
【0039】
▲2▼耐振性
比較例の構成では、モータ200はスロットルボディ17にビス18、19で固定されているため、振動下では取付座面を支点にした片持ち状態になっている。このため、取付座面の反対側の軸受部に過大Gがかかる可能性がある。
一方、第1実施例では、過大Gがかかる可能性のある軸受部をスロットルボディ17で直接支持しているので、モータ14の揺れを防止し耐振性を大幅に改善することができる。
【0040】
以下、他の実施例によるスロットルボディ側に支持されるモータの軸受け構造について説明する。
本発明の第2実施例を図2に示す。
ベアリング146の内輪146aは、ロータ端部144bに圧入固定されているため、ベアリング146の外輪146bは軸方向への動きを規制される。
【0041】
第2実施例では、第1実施例に較べ、ワッシャが不要であり、スロットルボディ17でワッシャをカシメる工程が省略できる。
本発明の第3実施例を図3に示す。
ベアリング146の外輪146bの外壁に環状の溝146cが2列形成され、この溝146cに樹脂リング146dが嵌合している。樹脂リング146dは外輪146bの外壁よりも径方向外側に突出しているため、外輪146bとスロットルボディ17間には隙間が形成されるが、樹脂リング146dはスロットルボディ17に圧入される。そのため、ベアリング146のガタがなく、振動によるスロットルボディ17の軸受ハウジング部のフレッティング摩耗に対し有利である。
【0042】
第3実施例では環状の溝を2列形成したが、本発明では1列または3列以上の溝を形成することは可能である。
本発明の第4実施例を図4に示す。
ベアリング146の内輪146aはロータ端部144bに圧入固定し、ベアリング146の外輪146bはスロットルボディ17と隙間ばめしている。ロータ144の軸方向のガタを消すためにベアリング146の外輪146bとスロットルボディ17の間にウェーブワッシャ151を配置したものである。ウェーブワッシャ151は、図4の右方向に外輪146bを付勢し、この付勢力は、ロータ144の軸方向にエンジン振動が掛かってもロータ144が動かないように設定される。
【0043】
第4実施例では、ロータ144の軸方向の動きがウェーブワッシャ151により規制されるため、モータからスロットル弁に良好に駆動力が伝達する。
本発明の第5実施例を図5に示す。
ベアリンブ146に支持されるロータ端部144bの外径よりも大きな外径を有する係止部144eをロータ端部144bに形成している。
【0044】
この係止部144eによりベアリング146の図5の右方向への動きが規制されるため、モータからスロットル弁に良好に駆動力が伝達する。
第5実施例の構成では、ベアリング146の内輪146aとロータ端部144bは隙間ばめにしても良い。
本発明の第6実施例を図6に示す。
【0045】
ロータ端部144bに円筒状のカラー152が嵌合し、ベアリング146の図6の右方向への動きを規制している。
このため、ロータ端部144bを加工する工程が省略できる。
実施例4〜実施例6では、ウェーブワッシャ151でロータ144を図1のハウジング149へ付勢しているのでワッシャ147を廃止することも可能である。また、実施例4〜実施例6では、スロットルボディ17側の軸受け部にウェーブワッシャ151を構成することによりロータ144の軸方向の動きを規制しているが、ハウジング149側の軸受け部にウェーブワッシャ151を構成することによりロータ144の軸方向の動きを規制することは可能である。
【0046】
参考例を図7に示す。
スロットルボディ170のスロットル吸気通路の下部には、収容凹部171が形成され、この収容凹部171にモータ210を収容している。
本参考例では、スロットルボディ170の外表面積が増大したことにより、モータ210からスロットルボディ170に伝わった熱が良好に放熱することができる。また、図7に示す形状に合うスペースを有するエンジンに本参考例のスロットルバルブ制御装置を適用することができる。
【0047】
以上説明した本発明の第1実施例〜第6実施例では、モータにDCモータを用いた場合について説明したが、ステップモータ等の他のモータでも同様の効果を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、モータの揺れを防止し、放熱性が向上することによりモータ駆動によるスロットル弁の高精度な制御が可能である。
また、請求項2記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、軸受け部材をモータの回転軸に固定したことにより、スロットルボディへの組付け性が向上するため工数を短縮できる。
【0049】
さらにまた、請求項3記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、軸受け部材をモータの回転軸に固定するとともに軸受け部材の外周壁に弾性部材を嵌合したことにより、スロットルボディへの組付け性が向上するとともにスロットルボディと軸受け部材とがエンジン振動により擦り合って摩耗することを防止し、スロットル弁制御装置の寿命を延ばすことができる。
【0050】
さらにまた、請求項4記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、軸受け部材をモータの回転軸に固定するとともにこの軸受け部材を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けたことにより、スロットルボディへの組付け性が向上するとともに軸受け部材の軸方向へのガタ付きを防止するため、モータ駆動によるスロットル弁のさらに高精度な制御が可能である。
【0051】
請求項5記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、モータの回転軸に軸受け部材を固定する代わりにモータの回転軸に軸受け部材の係止部を一体に形成するとともに軸受け部材を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けたことにより、モータの回転軸に軸受け部材を固定する工数を短縮できる。
請求項6記載の本発明のスロットル弁制御装置の構成によると、モータの回転軸に軸受け部材を固定する代わりにモータの回転軸に軸受け部材の係止部材を嵌合するとともに軸受け部材を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を設けたことにより、モータの回転軸を加工する工数を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるスロットル弁制御装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図6】本発明の第6実施例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図7】参考例によるスロットル弁制御装置の主要部分を示す断面図である。
【図8】比較例のスロットル弁制御装置を示す断面図である。
【図9】図8のIX方向矢視図である。
Claims (6)
- 内燃機関の吸気管内の吸気通路を流れる空気流量を調節するスロットル弁と、
前記スロットル弁を収容するスロットルボディと、
両端の開口した円筒状に形成され前記スロットルボディが形成する吸気通路を囲む壁部分に外周面を熱伝達可能に接触し固定されているヨークを有し、前記スロットルボディの一部ならびに前記スロットルボディに取り付けられているハウジングをモータハウジングとし、前記スロットルボディが形成する吸気通路に近接して設置され、前記スロットル弁を駆動するモータと、
前記モータの回転軸の両端部をそれぞれロータの巻線部に近接した位置で支持する軸受け部材であって、該軸受け部材の一方は前記スロットルボディに外周面を熱伝達可能に接触して支持されており、該軸受け部材の他方は前記ハウジングに外周面を熱伝達可能に接触して支持されている軸受け部材と、
前記モータの駆動力を前記スロットル弁に伝達可能な動力伝達手段と、
を備えたことを特徴とするスロットル弁制御装置。 - 前記スロットルボディに支持される軸受け部材を前記モータの回転軸に固定することを特徴とする請求項1記載のスロットル弁制御装置。
- 前記スロットルボディに支持される軸受け部材の外周壁に弾性部材を嵌合し、該弾性部材が前記スロットルボディに当接することを特徴とする請求項1記載のスロットル弁制御装置。
- 前記スロットルボディに支持される軸受け部材は内輪および外輪を有するベアリングで構成され、該内輪がモータの回転軸に固定されるとともに該外輪を他方の軸受け部材側に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項2記載のスロットル弁制御装置。
- 前記スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側へ動くことを規制する係止部を前記モータの回転軸に形成することを特徴とする請求項1記載のスロットル弁制御装置。
- 前記スロットルボディに支持される軸受け部材が他方の軸受け部材側へ動くことを規制する係止部材を前記モータの回転軸に嵌合することを特徴とする請求項1記載のスロットル弁制御装置。
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-
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