JP3542701B2 - 配管防音構造、配管異形部材及び給水又は給湯配管防音構造 - Google Patents
配管防音構造、配管異形部材及び給水又は給湯配管防音構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管や配管の支持部から発生する騒音を低減するための、配管防音構造及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、騒音発生部となる配管の部位を集中的に防音処理した配管防音構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給排水騒音を始めとし、配管の流路を物質が通過することにより、配管から種々の騒音が発生する。従来、かかる騒音を防止するには、躯体と接触する部位を振動絶縁するか、あるいは支持バンドで配管を弾性的に支持するという、固体伝播音を回避するための手段が専ら行なわれていた。
【0003】
従来から、給水管にはその外周に断熱材や防湿材が用いられ、冬期の凍結防止や、高湿時の結露防止が行われている。また、給湯管には断熱材が被覆され、熱エネルギーロスを防止することが行われている。
【0004】
ところが、近年になり、住宅の断熱化や気密化の技術が向上し、熱エネルギーロスが少なくなったことに伴い、屋外騒音の遮断効果が一段と向上してきた。このため、屋内が静かになった分、屋内で発生する音源、例えば給排水、子供の飛びはね等、従来は屋外騒音でかくされていた音までも耳障りな音として認識されるようになってきた。特に、給排水時の騒音は、近年、給排水設備の数自体が一戸の住宅内で多くなったことも手伝って、騒音と認識される率が非常に高まっている。
【0005】
本発明者等は、特開平8−109947号明細書において、給排水配管全体の防音処理を提案している。しかし、かかる方法では、新たな需要や要望に応えることができず、改善の余地が発生してきた。つまり、効果的に騒音を防止するための材料や施工方法について検討し、更に経済的で、もっと施工が容易な、配管防音構造を提供する必要が生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
配管の騒音は、放射音(管内を流れる物質が管と衝突することで発生し、管の振動に起因する)、固体伝播音(管の振動が躯体に伝播することで発生する)、及び透過音(管内を流れる物質が衝突し、混合される時に生ずる音が管を通過する音)が統合されている。特に、排水音は、音源位置が時々刻々と変化するという特性と、配管が伝声管としても作用することから、案外離れた所の音も伝えやすいという特性も併せもつものである。したがって、排水音は一般に、対策が困難である。
【0007】
また、配管本体の施工上、管は、床等の貫通部や梁、柱、壁等のような、躯体の一部と直接接触しやすいことがある。多くの配管施工現場で、防音処理を施し、騒音を測定した結果から言えることは、現実には、かかる場面が予想以上に多いことである。このように、躯体の一部と管とが直接接触された配管では、非常に大きな騒音が発生することが多い。
【0008】
排水管全体を防音処理することにより、排水時の騒音は解消される。しかし、排水音が低減されれば、今度は、排水音でかくれていた給水音や給湯音が、新たな騒音源として指摘され始める。しかし、給水管の防音処理のために、給排水管の全てを防音することは、あまり現実的とはいえない。
【0009】
このため、排水音を給水音より若干低いレベルに抑え、両者を調整することが考えられる。これにより、給排水管を徹底的に防音処理するよりも、多くの人々にとって気にならないレベルに、配管系の騒音を制御することができる。このようにすれば、給排水騒音を解消するための現実的な要望がかなえられる。また一方では、現実問題として、給排水騒音を聞こえないレベルにまで対策しようとする積極的な要望も存在する。
【0010】
給水給湯配管は、現状では保温材で被覆されているものの、防音を目的とした配管防音材は被覆されていない。かかる保温材では、給水給湯配管の防音処理効果は低い。
【0011】
給水音や給湯音についてみると、給水管は、防湿材の施工不良や破損等の原因で断熱材側に結露が生じ、給水音が大きくなるケースが多い。また、給湯管は、高温になることから、従来の制振材では温度の影響を受け易く、高温での効果が少ない。給湯管の騒音防止には、高温下での防音性能が求められ、現状では、給湯管に適した騒音防止材料で、しかも、給水管にも共用し得るものは知られていない。
【0012】
また、給水給湯管に共通する点として、配管径が小さいこともあって、比較的剛性の低い部位に固定され、そのことが壁等のボード類を振動させる原因となることもある。
【0013】
更に、近年、水回り器機の水栓をワンタッチ化された機器が増えたことや、特に坂の上の住居が多い地区では、給水圧に大きな差が生じることから、給水圧が9kgf/cm2 程度になっている所もあり、給水圧の高さに起因する騒音が発生することも事実である。
【0014】
上記の様な、様々な原因により、給水給湯騒音を防止する材料の開発は、多くの要望が以前よりあったにもかかわらず、解決されていないのが現状である。
【0015】
一般に、配管は上階の床と下階の天井のスペース、又はパイプシャフトや壁の間に設けられるため、非常に狭いスペースでの設置作業が要求される。したがって、如何に施工が容易に行えるかが重要なポイントとなる。また、できるだけ経済的であることも要望される。
【0016】
本発明は、最も効率的に給排水騒音を防止することができる配管構造を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異形部と、この異形部に隣接する直管部とを有している配管防音構造に関す
る。この配管防音構造では、異形部の配管の外周が、粘弾性体、吸音材及び遮音材を含む
配管防音材により被覆されている。かかる本発明の配管防音構造では、異形部に隣接する
直管部が異形部近傍部を具えており、この異形部近傍部の配管の外周が粘弾性体、吸音材
及び遮音材を含む配管防音材により被覆されている。前記異形部近傍部の配管の外周は、
前記異形部の末端から、前記異形部近傍部の配管の内径の0.4〜5倍の長さまで、前記
配管防音材により被覆されている。本発明の配管防音構造によれば、配管流路において、
通過物の衝撃音が発生したとしても、その衝撃音を最も効果的に吸収することができる。
【0018】
本発明者等は、如何にすれば前記課題を満足することができるかという観点に立って、多くの実験を行った。その結果、配管系の防音処理は、配管全体に施す必要はなく、異形部と異形部前後の異形部近傍直管部(以下「異形部近傍部」という。)の配管外周に施すことが重要であることを見出した。本発明によれば、異形部と異形部近傍部に、粘弾性体、吸音材、及び遮音材を含む配管防音材を設けることにより、残った直管部は防音処理しなくても、非常に効果的に、騒音を低減することができる。また、本発明にかかる防音処理は、施工も容易で、経済的である。
【0019】
本発明で、異形部とは、異形管又は異形管に相当する部分をいう。かかる異形管には、流路変更部と、挿入代部が含まれる。この挿入代部は、直管が挿入される異形管の末端である。図5は、本発明の一例の配管防音構造を示す縦断面図である。この配管防音構造21では、直管22と異形管23とが別々に形成されており、連結され、配管防音材32等により防音処理されている。図5では、異形管23の挿入代部は、直管22が挿入される位置ASから位置AFまでで規定される。したがって、本発明にかかる異形部近傍部は、位置AFが起点となる。かかる挿入代部の長さは、配管の内径を基準に設定される。かかる挿入代部については、排水用硬質塩化ビニル管継ぎ手に関するJISK6739−1977、配管全般に関するJISハンドブック6に詳述されている。
【0020】
一方、本発明の配管防音構造は、異形管と直管とが一体の配管構造にも用いられる。かかる一体の配管構造では、異形管や挿入代部は存在しない。そのため、かかる配管構造の異形部は、異形管に相当する部分とした。したがって、異形部近傍部についても、図5に示すような位置AFから起算する。
【0021】
本発明者等は、排水の流れるようすを目で確認するために、透明な配管を作製した。また、配管異形部の種類や配管の勾配、流量等を変えることにより、排水の流れ方の変化を観察した。結果を図1〜4に示す。
【0022】
図1は、一例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。図1に示す配管構造1は、横方向の直管2、90°の角度で曲がる異形管3、及び鉛直方向の直管4からなり、これらが連結されている。この配管構造1では、排水Aは、横方向の直管2を流れ、90°の角度で曲がる異形管3を通り、鉛直方向の直管4を降下する。排水Aの流量が多いか、排水Aの勢いが強い場合には、排水Aは、軌跡Bを描き、異形管3の位置Cに衝突する。排水Aの流量が少ないか、排水Aの勢いが弱い場合には、排水Aは、軌跡Dを描き、直管4の位置Eに衝突する。排水Aの流量が更に少ないか、排水Aの勢いが更に弱い場合には、排水Aは、軌跡Fを描き、直管4の位置Gに衝突する。排水Aの流量が更に一層少ないか、排水Aの勢いが更に一層弱い場合には、排水Aは、軌跡Hを描き、直管4には直接衝突することなく降下する。
【0023】
図2〜4は、他の3つの例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。図2に示す配管構造5は、下方向の直管6、90°の角度で曲がる異形管7、及び横方向の直管8からなり、これらが連結されている。図2では、排水Iは、下方向の直管6を降下し、90°の角度で曲がる異形管7の位置Jで衝突し、方向を変えながら、一旦上昇して、横方向の直管8の位置Kに衝突し、再び方向を変えて、横方向の直管8の位置Lに衝突する。
【0024】
図3に示す配管構造9は、鉛直方向の直管10及び13、90°方向に分岐した異形管11、及び横方向の直管12からなり、これらが連結されている。図3では、排水Mは、横方向の直管12を流れ、異形管11を通り、90°の角度で鉛直方向の直管13に流れ込む。排水Mの流量が多いか、排水Mの勢いが強い場合には、排水Mは、軌跡Nを描き、異形管11の位置Oに衝突する。排水Mの流量が少ないか、排水Mの勢いが弱い場合には、排水Mは、軌跡Pを描き、直管13の位置Qに衝突する。排水Mの流量が更に少ないか、排水Mの勢いが更に弱い場合には、排水Mは、軌跡Rを描き、直管13の位置Sに衝突する。排水Mの流量が更に一層少ないか、排水Mの勢いが更に一層弱い場合には、排水Mは、軌跡Tを描き、直管13には直接衝突することなく降下する。
【0025】
図4に示す配管構造14は、鉛直方向の直管15及び17、45°方向に分岐した異形管16、横方向の直管18、45°の角度で曲がる異形管19、及び45°方向に延びる直管20からなり、これらが連結されている。図4では、排水Uは、直管18を流れて、異形管19を通り、直管20の位置Vに衝突し、流れ方向を変えて直管20の位置Wに衝突する。排水Xは、直管20を流れ、異形管16を通り、直管17に流れ込む。排水Xの流量が多いか、排水Xの勢いが強い場合には、排水Xは、軌跡Yを描き、異形管16と直管17の境界付近の位置Zに衝突する。排水Xの流量が少ないか、排水Xの勢いが弱い場合には、排水Xは、軌跡AAを描き、直管17の位置ABに衝突する。排水Xの流量が更に少ないか、排水Xの勢いが更に弱い場合には、排水Xは、軌跡ACを描き、直管17の位置ADに衝突する。排水Xの流量が更に一層少ないか、排水Xの勢いが更に一層弱い場合には、排水Xは、軌跡AEを描き、直管17には直接衝突することなく降下する。
【0026】
図1に示すような配管構造1の場合には、排水Aは、そのほとんどが最初に異形部に衝突する。しかし、図2〜4に示すような配管構造では、排水が最初に衝突する配管の部位は、異形部に限られない。かかる配管構造では、異形部に最初に衝突する排水の割合は、異形部近傍部に衝突する排水の割合に比べ少ない。
【0027】
かかる結果を基に、本発明者等は、従来から言われているような、配管異形部のみが主要な音源位置であるという考え方に疑問を抱いた。本発明者等は、この点を明らかにするため、種々の配管構造を作製し、主要な配管位置において音響インテンシティ測定を行った。その結果、異形部自体よりもむしろ、異形部の近傍の配管直管部の方が、より大きな騒音源であるという事実を突き止めた。
【0028】
このため、本発明では、配管防音材を、異形部と、その近傍にある異形部近傍部の外周に設ける。異形部の外周に設ける配管防音材と、異形部近傍部の外周に設ける配管防音材とは、同一でも、異種のものでもよい。本発明では、配管構造は、異形管と直管が別体のものでも、一体のものでも構わない。かかる配管構造を、配管防音材で処理すれば、本発明の配管防音構造のように、本質的な騒音発生源だけが防音処理されることとなり、騒音を効果的に低減することができる。
【0029】
また、本発明者等は、異形部近傍部のどの範囲で配管防音材を被覆するのが適切なのかを検討した。その結果、本発明者等の試験によれば、配管防音材を設けるには、配管防音材の一端を異形部の終点に位置させ、異形部の終点から、配管内径をLとしたとき0.4L〜5Lの位置に配管防音材の他端を位置させ、これら両端の間の異形部近傍部を配管防音材により被覆するのが好ましいという結論に達した。異形部とかかる範囲に防音処理を施せば、最も効果的に騒音を減少させ、経済的で、かつ施工手間もかからない。
【0030】
一方、本発明者等は、種々の配管構造や配管防音材を検討する中で、防音材を予め被覆した配管異形部材と配管直管部材とを接合する際、接合部の接着性が弱められることに気付いた。本発明者等は、この原因についても検討した。
【0031】
結果として、かかる問題は、防音材として用いられている粘弾性体がコールドフローを起こすことに起因していた。コールドフローした粘弾性体は、防音材を予め被覆した配管異形部材と配管直管部材とを接合する際、接合部に入り込み、その接合部の接着性を弱めていたからである。
【0032】
本発明者等が研究したところ、この問題を解消するには、粘弾性体を構成するポリマー成分に、再生ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム、タイヤ再生ゴム等の加硫ゲル分を有する物質を用いるのが最も適していた。本発明者等は、加硫ゲル分を有する物質に、コールドフローを著しく抑えるはたらきがあることを見出したからである。
【0033】
また、本発明者等は、異形部材の形状について検討を重ねることによって、粘弾性体がコールドフローを起こしても、異形部材と直管部材との接着性を低下させることがない異形部材を開発した。本発明の配管異形部材には、異形部の配管の外周に、粘弾性体、吸音材、及び遮音材を含む配管防音材が、予め部分的に被覆されている。この粘弾性体等を含む配管防音材は、配管異形部材の一方の開放端から5〜20mmの位置に一端を有しており、配管防音材の他端が、配管異形部材の他方の開放端から5〜20mmの位置まで延びている。
【0034】
かかる配管異形部材を用いれば、粘弾性体がコールドフローしても、コールドフローした粘弾性体は、露出している異形管の部分で止まる。かかる本発明の配管異形部材は、配管直管部材と接合しても、配管直管部材との接合部にコールドフローした粘弾性体が入り込むことがない。
【0035】
本発明は、配管防音構造の製造方法にも関する。本発明にかかる方法には、異形部の配管と直管部の配管とを連結すること、異形部の配管の外周に、粘弾性体、吸音材、及び遮音材を含む配管防音材を被覆すること、及び異形部に隣接する直管部の異形部近傍部の配管の外周に、粘弾性体、吸音材、及び遮音材を含む配管防音材を被覆することが含まれる。
【0036】
かかる方法を用いれば、配管防音材を、異形部と、その近傍にある異形部近傍直管部の外周に容易に設けることができる。これにより、本質的な騒音発生源だけが防音処理されることとなり、騒音を効果的に低減することができる。また、経済的で、かつスピーディに配管を施工することができる。
【0037】
更に、本発明は、異形部と、この異形部に隣接する直管部とを有している給水給湯配管防音構造に関する。この給水給湯配管防音構造では、異形部の配管の外周が、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、配管流路において発生する通過物の衝撃音が吸収される。かかる本発明の給水給湯配管防音構造は、直管部が異形部に隣接する異形部近傍部を具えており、この異形部近傍部の配管の外周が、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、前記異形部近傍部の配管の外周が、前記異形部の末端から前記異形部近傍部の配管の内径の3〜9倍の長さまで、前記配管防音材により被覆されている。
【0038】
給水給湯配管は、排水管や種々の物質、例えば、ゴミ等を搬送する配管と異なり、水や湯で常時満たされた状態にあり、配管に水や湯の圧力が加わっている。かかる給水圧は、水回り器機の水栓がワンタッチ化された住居や高所の住居の多い地域では、9kgf/cm2 に達することもある。
【0039】
かかる給水給湯配管では、温度変化に伴う騒音の防止も重要である。かかる配管の騒音防止に効果的な、従来から知られている制振材は、温度特性を有し、常温時に性能のピークが得られる。かかる防音材では、配管温度が変化するにつれて、騒音レベルが高くなり、常温から高温又は低温まで防音性能を維持することができない。
【0040】
近年、水回り機器が非常に多く、給水管と給湯管とが併設された住宅が多い。かかる住居等では、給水管の防音材と給湯管の防音材とを使い分けることは、施工ミスを誘発し易いため、同一の防音材を用いる必要がある。
【0041】
本発明者がかかる給水給湯配管について検討したところ、排水管等の一般的な配管と同様に、水や湯の流れ方向が変化する配管異形部と異形部近傍部で騒音が大きくなることが判明した。また、本発明者が、より詳細に検討したところ、水や湯の流れ方向が変化する部位では、高周波側の騒音が高く、躯体と接触する配管支持部で低周波側の騒音が高くなることを突き止めた。かかる騒音発生部位に一般的な配管に適用される防音処理を施せば、最も効果的に騒音を減少させることができる。但し、給水給湯配管で発生する振動は、排水配管で発生する振動に比べ小さく、かかる配管では、防音材に制振材として粘弾性体を用いることは必ずしも必要でない。
【0042】
また、給水給湯配管は、排水配管に比べ内径が小さく、比較的剛性の低い躯体等に固定されることが多い。かかる配管では、異形部で水や湯の流れ方向が変わる時に管の振動が大きくなり、この振動が、躯体に支持されている管の支持部を伝わり、壁やボード類等の躯体をも振動させて、騒音を大きくする。
【0043】
かかる給水給湯配管を防音する構造では、躯体に支持されている直管部の支持部を防音処理するのが更に効果的である。かかる処理により、拘束型制振構造を得ることができ、配管の振動が躯体に伝達されるのを防止することができる。本発明では、支持部の配管の外周を吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆し、この配管防音材の外周を更にこの配管防音材よりも剛性の高い材料からなる固定部材により被覆するのが好ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の配管防音構造を、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の一例の配管防音構造を示す断面図である。この配管防音構造21は、横方向の直管22、90°の角度で曲がった異形管23、及び鉛直方向の直管24からなり、これらの管は、それぞれが接合されて、配管防音構造21を構成している。異形管23の外周は、粘弾性体層25、吸音材層26、及び遮音材層27を含む配管防音材28により被覆されている。直管22は、異形管23に隣接する異形部近傍部を具えている。図5では、この異形部近傍部のうち、直管22の位置AF〜AGの間の外周で、配管防音材28により被覆されていない個所に粘弾性体層29、吸音材層30、及び遮音材層31を含む配管防音材32が被覆されている。
【0045】
直管24も、異形管23に隣接する異形部近傍部を具えている。図5では、この異形部近傍部のうち、直管22と同様の位置に、粘弾性体層35、吸音材層36、及び遮音材層37を含む配管防音材38が被覆されている。
【0046】
配管防音材を設ける異形部近傍部の範囲は、異形部の終点、すなわち直管の挿入代を除いた末端位置AFから、直管の位置AGまでである。位置AFから位置AGまでの寸法は、直管の内径をLとしたとき0.4L〜5Lの間で、適宜選択することができる。この範囲の長さの配管防音材であれば、優れた騒音防止効果を発揮するからである。
【0047】
配管防音構造21は、かかる構成を有するが、配管防音材を長期にわたり隙間なく固定するため、コーキング剤を用いることができる。図5では、配管防音構造21の周り、特に、配管防音材28と配管防音材32の継ぎ目AHの周辺に、コーキング剤の層33が設けられている。また、直管22の位置AGの周辺には、配管防音材32の端部を覆うように、コーキング剤の層34が設けられている。直管24にも、配管防音材38の端部を覆うように、コーキング剤の層39が設けられている。
【0048】
かかる配管防音構造21では、直管22から流れてきた排水は、流量や流速に左右されるが、異形管23及び直管24の上部に衝突し、その後、直管24を降下する。異形管23には配管防音材28が設けられているため、排水が衝突することにより発生する衝撃音を低減することができる。また、配管防音構造21には、直管24の上部の異形部近傍部にも、配管防音材38が設けられている。このため、配管防音構造21は、排水が衝突することにより発生する衝撃音を効果的に低減することができる。更に、配管防音構造21には、直管22の異形部近傍部にも、配管防音材32が設けられている。この配管防音材32は、配管の放射音、固体伝播音及び透過音を効果的に低減することができる。
【0049】
図6は、本発明の他の例の配管防音構造を断面図で示すものである。この配管防音構造40は、横方向の直管41、90°の角度で大曲がりに曲がった異形管42、及び鉛直方向の直管43からなり、これらの管は、それぞれが接合されて、配管防音構造40を構成している。図5に示す配管防音構造21と同様に、この配管防音構造40でも、異形管42の外周に、粘弾性体層44、吸音材層45、及び遮音材層46を含む配管防音材47により被覆されている。直管41は、異形管42に隣接する異形部近傍部を具えている。図6では、この異形部近傍部のうち、直管41の位置AI〜AJの間の外周で、配管防音材47により被覆されていない個所に粘弾性体層48、吸音材層49、及び遮音材層50を含む配管防音材51が被覆されている。
【0050】
直管43も、異形管42に隣接する異形部近傍部を具えている。図6では、この異形部近傍部のうち、直管41と同様の位置に、粘弾性体層54、吸音材層55、及び遮音材層56を含む配管防音材57が被覆されている。
【0051】
かかる配管防音構造40は、配管防音材を長期にわたり隙間なく固定するため、粘着層付きのテープ状物やコーキング剤を、単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。図6では、配管防音構造40の周り、特に、配管防音材47と配管防音材51の境界部AKの周辺にテープ52が巻かれている。また、配管防音構造40では、配管防音材47と配管防音材57の継ぎ目周辺にもテープ59が巻かれている。更に、直管41の位置AJの周辺には、配管防音材51の端部を覆うように、テープ53が巻かれている。直管43にも、配管防音材57の端部を覆うように、テープ59が巻かれている。
【0052】
次に、配管防音材の構成について述べる。
配管の騒音は、前述したように、特に異形部及び異形部近傍直管部で大きい。このため、本発明では、これらの部位に、粘弾性体、吸音材、遮音材を含む配管防音材を被着する。かかる配管防音材は、施工時の取り付け性の良いものが望ましい。
【0053】
本発明で用いる粘弾性体とは、粘性と弾性とを併せもつ物質の総称であり、常温で固体のゴムが含まれる。常温で固体のゴムには、ブチルゴム、再生ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン三元共重合体、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ウレタンゴム等が含まれる。これらのゴムは、単独若しくは併用して、ゴム工業一般に広く使われているような、可塑剤、粘着付与樹脂、瀝青物、充填剤、老化防止剤等を適宜混合することにより、粘弾性挙動に係る物性をコントロールすることができる。
【0054】
常温で固体のゴムから作られた粘弾性体は、非加硫で用いた方が、騒音防止効果が高い。中でも、化学的安定性に優れたブチルゴムやポリイソブチレンを用いた系は、非加硫状態でもグリーン強度が強いため、製造面、施工面共に好都合である。しかし、かかる粘弾性体は、コールドフローを起こす傾向が強い。このため、再生ブチルゴム等の加硫ゲル分を用いて、コールドフローを防止するのが好ましい。
【0055】
結果として、本発明で用いる粘弾性体は、常温で固体のゴムをベースとし、その構成するポリマー成分として、再生ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム、各種再生ゴム等の加硫ゲル分を含む物質を10wt%以上含むのが好ましい。また、本発明で用いる粘弾性体は、1mmφの針で荷重100gを5秒間かけた時の針入度が、常温下で30〜250であるのが好ましい。針入度が30未満では、防音材として管に巻き付けた時、粘弾性体が内外周差を吸収できず、しわが入り、騒音低下効果が少なくなるからである。また、針入度が250を超えると、粘弾性体がコールドフローし易くなるからである。コールドフローした粘弾性体は、管接合時に、直管に入り込んで、接合部の漏水原因となる。
【0056】
一方、本発明で用いる粘弾性体には、常温で液体のゴムも含まれる。かかるゴムの例には、ウレタン、液状ポリブタジエン、変性シリコン、シリコン、ポリサルファイド等が挙げられる。これらのゴムは、固体化させるために、必ず硬化剤を所定量添加して混合し、反応硬化させる必要がある。また、常温で固体のゴムと同様に、常温で液体のゴムも、ゴム工業一般に用いられる各種配合材や添加剤を適宜配合して、所望の物性値を得ることができる。中でも、液状ポリブタジエンを用いた場合は、長期耐久性、制振性、耐加水分解性、臭気、接着性、経済性等の総合的な面で優れた粘弾性体を得ることができる。
【0057】
常温で固体、液体何れの材質からスタートした粘弾性体であっても、管材側に粘着層を設けたり、吸音材と接する面にフィルムや粘着層を設けた方が、騒音防止効果が向上する。積層一体化させて配管防音材とした時、層間剥離が生じにくく、フィルムや粘着層に一部含浸された繊維や発泡体が拘束層としてはたらくからである。
【0058】
本発明で用いる吸音材としては、グラスウール、ロックウール等の無機繊維、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン等の合成繊維、綿、麻、絹、羊毛等の動植物の繊維を単体若しくは併用したフェルト状、不織布状、織布状、綿状とした繊維系吸音材、ゴム、プラスチック、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体等の粉砕品、パーライト、シラスバルーン、金属バルーン等を単体若しくは混合して、粒子間をバインダーでつなぎ合わせた粉粒体成型品、ウレタン、液状ポリブタジエン、エポキシ、シリコン、変性シリコン、ポリサルファイド等の室温反応タイプの連続気泡体、EPT、CR、NR、PE、PP、EVA等の連続気泡体を例示することができる。
【0059】
一般に、吸音材は、厚みを増すことにより、吸音性能を向上させることができる。しかし、配管外周に設ける場合は、吸音材の外周に遮音材を設けることにより、管外周への騒音はより効果的に低減できる。また、吸音材と遮音材とを前述の粘弾性体の外周に設けることにより、粘弾性体に遮音材を設けた場合よりもはるかに管外周の騒音は低減する。吸音材単体で吸音率を測定した場合、吸音材の厚みが2mmや3mmでは、ほとんどその吸音効果は得られない。しかし、厚みが2mmや3mmの吸音材でも、粘弾性体と遮音材との間に介在させれば、騒音防止効果が著しく向上する。
【0060】
この理由は、充分には解明できていない。しかし、本発明者等が検討したところ、繊維系吸音材や発泡体系吸音材、柔軟な粉粒体の成型品からなる吸音材で、特に薄い厚みでも好結果となった。このことから、本発明者等は、かかる吸音材が制振効果や動吸振効果を生じるものと考える。
【0061】
何れにしても、本発明で用いる配管防音材は、結果的に防音材全体の厚みを薄くすることができるため、狭い場所での施工作業が容易となる。また、本発明で用いる吸音材は、粘弾性体と遮音材の間に挟まれた形で施工するので、グラスウールやロックウール、金属繊維を単体で使う場合のように、繊維が皮膚につきささることがなく、かゆみや痛みが生じない。また、吸音材の使用量も少なくなるため、経済的でもある。
【0062】
次に遮音材について説明する。
遮音材は、面密度が高い材料の総称であり、具体的には、鉛シート、塩ビシート、ブチルゴムシート等を挙げることができる。塩ビやブチルゴム等の高分子材料は、あまり高比重にすると生産性が悪くなり、得られるシートの柔軟性が低下する。このため、せいぜい比重3.0までの材料を用いる必要がある。かかるシートは、厚みを増して面密度を上げることもできる。
【0063】
但し、配管は、天井と上階の床とのスペースに設けるのが一般的である。このため、施工は脚立上で作業となり、配管防音材の施工性を考慮すると1つの部材が5kg以下に設定するのが好ましい。
【0064】
また、耐火二層管のように、セメントモルタル系の面密度の高い材質で全周を被覆する処理は、騒音防止効果がさほど得られない。かかる事実から、遮音材は単体で用いても効果が少なく、不経済である。
【0065】
異形部及び異形部近傍直管部の騒音の大きい部位には、配管防音材を、管側から、粘弾性体、吸音材、遮音材の順に外側になるように設けることにより、騒音防止効果に優れた配管防音構造を得ることができる。また、このようにして配管防音材を設けると、厚みが薄くなり、配管の施工性を良くすることができる。
【0066】
次に、配管の防音処理法について説明する。
本発明にかかる配管を防音処理するには、2通りの形態が考えられる。1つは配管防音材を予め工場内で配管に取り付けるものである。配管防音材を被覆した配管は、現地での配管組込み時に、ほぼそのまま組込むことができる。この処理により、施工を簡素化することができる。この処理に最も適しているのは、配管異形部材である。
【0067】
もう1つの処理形態は、現地で配管を組込み、後から配管を防音処理するものである。この処理は、異形部、異形部近傍直管部、いずれにも適用することができる。この処理では、予め、配管防音材を一体の積層品としておき、現場での施工時に、異形部や異形部近傍部に合うように切断する。また、この積層品を現場で切断する手間が省けるように、予め工場内で加工することもできる。加工は、管径毎の異形部形状に合った打抜き型を用い、切り欠きや切り込みを設けることで容易に行うことができる。現地では、かかる一体積層品を異形部に取り付けてから、隙間ができないように、テープを巻いて仕上げるか、コーキングで仕上げることができる。
【0068】
異形部近傍部の配管防音材も、異形部のものと同様に、工場内で予め管径に合うように一体に積層し、組込んだ後の配管に被着させることができる。この被着過程を図7に示す。図7は、配管防音材を異形部近傍部に施工する状況を、一部断面図で示したものである。この配管防音構造60が完成すれば、図6に示す配管防音構造40が得られる。異形部近傍部に施工する配管防音材は、施工しやすいように切り欠き等の処理をした一体積層品61である。この一体積層品61は、異形管42の露出部分を被覆する上部61aと、直管43を被覆する下部61bとからなる。上部61aは、矢印の方向ALに異形管42を巻き込み、異形部近傍部の異形管42の露出部分を被覆する。下部61bは、矢印の方向AMに直管43を巻き込み、異形部近傍部の直管43を被覆する。
【0069】
異形部近傍部を被覆する製品は、施工しやすいように切り欠き、切り込みを入れた一体積層品であるため、配管の異形部間の距離が短い場合には切断の必要性が生じる。また、建物の図面から、配管施工時にどの種類の異形部がいくら使われるかの概略は判るものの、ある程度現場の状況に合わせて、配管を施工する必要がある。このため、配管組込み時に取り付ける防音材と、後から取り付けられる防音材とを併用するのが最も好ましい。
【0070】
図8は、一例の配管異形部材を示す断面図である。図8に示す配管異形部材62には、異形管63に、粘弾性体層64、吸音材層65、及び遮音材層66を含む配管防音材67が予め工場内で被着されている。この配管異形部材62では、異形管63の端部63aと粘弾性体層64の端部64aとは、同一面を形成している。
【0071】
図9は、図8の一例の配管異形部材を用いた配管防音構造の断面図である。この配管防音構造68は、横方向の直管69、90°の角度で曲がる異形管70、及び鉛直方向の直管71からなり、これらの管が連結されている。図9では、粘弾性体層72がコールドフローし、図8に示す粘弾性体層64の端部64aの部分でコールドフローした粘弾性体が流れだす。この流れ出た粘弾性体73は、異形管70と直管69とを連結する際に、これらの管の間に流れ込み、粘弾性体層74を形成する。この粘弾性体層74は、異形管70と直管69の連結を弱め、排水の漏れや、異常音が発生することになる。
【0072】
図10は、本発明の一例の配管異形部材の断面図である。図10に示す本発明にかかる配管異形部材75には、予め、異形管76に、粘弾性体層77、吸音材層78、及び遮音材層79を含む配管防音材80が工場内で被着されている。図10に示すように、この配管異形部材75では、異形管76の端部76aは、配管防音材80の端部81と同一面を形成していない。かかる配管異形部材75では、粘弾性体層77がコールドフローして、配管防音材80の端部81に突出部77aを形成した場合でも、異形管76の内部まで粘弾性体が流れ込まない。かかる配管異形部材を、配管直管部材と連結しても、連結部に粘弾性体の層が形成されることがなく、直管と異形管の連結が弱められることはない。
【0073】
次に、本発明の配管防音構造の好適な施工方法について説明する。
(1)粘弾性体、吸音材、及び遮音材を含む配管防音材を、異形部に予め取り付けた配管異形部材を用意する。
(2)この配管異形部材に、配管直管部材を組込む。
(3)配管と躯体が接触していないことを確認する。
(4)異形部の前後に配管防音材を取付け、この配管防音材を固定するテープを管の長手方向に貼る。
(5)異形部の防音材と異形部近傍部の防音材のつなぎ目の上から、管周方向にテープを貼る。
(6)異形部近傍部の防音材の端部の上から、端部を覆うように、管周方向にテープを貼る。
(7)管と貫通躯体とが接触しないように、貫通部にグラスウール、又はロックウールを充填する。
(8)支持金具の当たる部分に、管周方向からテープを貼り、支持金具で固定する。
(9)全体をチェックして、テープの貼り忘れ等の不具合のないことを確認する。
【0074】
図17は、本発明の一例の給水配管防音構造の縦断面図である。この給水配管防音構造136は、横方向の直管137、90°の角度で大曲がりに曲がった異形管138、及び鉛直方向の直管139からなり、これらの管は、それぞれが接合されて、配管防音構造136を構成している。異形管138の外周は、断熱材層140、防湿材層141、吸音材層142、及び遮音材層143を含む配管防音材144により被覆されている。直管137は、異形管138に隣接する異形部近傍部を具えている。図17では、この異形部近傍部のうち、直管137の位置AU〜ATの間の外周で、配管防音材144により被覆されていない個所に、断熱材層145、防湿材層146、吸音材層147、及び遮音材層148を含む配管防音材149が被覆されている。
【0075】
直管139も、異形管138に隣接する異形部近傍部を具えている。図17では、この異形部近傍部のうち、直管139と同様の位置に、断熱材層150、防湿材層151、吸音材層152、及び遮音材層153を含む配管防音材154が被覆されている。
【0076】
給水給湯配管の場合、配管防音材を設ける異形部近傍部の範囲は、異形部の終点、すなわち直管の挿入代を除いた末端位置ATから、直管の位置AUまでである。図17で示す位置ATから位置AUまでの寸法は、直管の内径をLとしたとき、3L〜9Lの間で、適宜選択することができる。この範囲の長さの配管防音材であれば、得られる給水給湯配管防音構造が優れた騒音防止効果を発揮するからである。
【0077】
このようにして、配管防音材で給水給湯配管の外周を被覆することにより、騒音の発生部位が包み込まれた状態となり、配管の騒音が低下する。更に詳しく述べると、(1)断熱材と吸音材は層状の二種類のバネ材となり、その外周の遮音材が付加重量となる。かかる配管防音材は、動吸振による制振効果により、配管の振動を低減する。(2)断熱材を透過した音は、その外周の吸音材により音エネルギーを吸収され、更にその外周の遮音材により、吸音材側にはね返され再び吸音材に吸収される成分と、遮音材を透過して音として出ていく成分とに分かれる。この騒音低減効果は、本来なら断熱性能を発揮する断熱層の厚みと吸音層の厚みが騒音の吸収に有効にはたらき、遮音層に至るまでの音エネルギーロスを大きくする。これにより、騒音は、配管に直接吸音層と遮音層とを被覆する防音構造では得られないほど低い値となる。
【0078】
かかる本発明の配管防音構造において、流路変更部を含めた流入側、流出側の配管で防音処理すべき長さは、配管内径をLとしたとき、3L〜9Lの範囲内が好ましい。3L未満では、給水圧や給湯圧が高いと、振動も音も十分低減することができず、騒音防止効果が不十分となる。逆に、9Lを超えて処理しても、騒音防止効果が9Lまで処理した場合とほとんど変わらなくなるため、材料と施工手間を費やす意味がない。
【0079】
給水給湯配管防音構造においても、配管防音材を長期にわたり隙間なく固定するため、ジョイントテープ等の粘着層付きのテープ状物やコーキング剤を、単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。図17では、給水配管防音構造136の周り、特に、配管防音材144と配管防音材149の境界部AVの周辺にテープ155が巻かれている。また、給水配管防音構造136では、配管防音材144と配管防音材154の継ぎ目周辺にもテープ156が巻かれている。更に、直管137の位置AUの周辺には、配管防音材149の端部を覆うように、テープ157が巻かれている。直管139にも、配管防音材154の端部を覆うように、テープ158が巻かれている。
【0080】
かかる給水配管防音構造136では、直管137の方向から流入する水は、流量や流速に左右されるが、異形管138で流れる方向が急激に変化し、配管に振動を発生させ、直管139の方向に流出する。異形管138には、配管防音材144が設けられているため、流水が方向転換する際に発生する衝撃音を低減することができる。また、給水配管防音構造136には、直管139の上部の異形部近傍部にも、配管防音材154が設けられている。このため、この給水配管防音構造136は、流水が衝突することにより発生する衝撃音を効果的に低減することができる。更に、この給水配管防音構造136には、直管137の異形部近傍部にも、配管防音材149が設けられている。この配管防音材149は、配管構造の放射音、固体伝播音及び透過音を効果的に低減することができる。
【0081】
かかる給水給湯配管防音構造では、直管部の躯体に支持される部分を、配管防音材とこの配管防音材より剛性の高い材料で被覆することができる。図18(a)は、かかる被覆処理された直管部の支持部の斜視図であり、図18(b)は、図18(a)の支持部の横断面図である。直管159の支持部160では、直管159の外周が断熱材層161、防湿材層162、吸音材層163、遮音材層164からなる配管防音材165により被覆されており、この配管防音材165の外周がこの配管防音材165より剛性の高い固定部材166により更に被覆されている。この支持部160は、固定金具167にボルト168で固定され、更に躯体169にアンカーボルト170で固定されている。
【0082】
かかる配管支持部の防音処理では、配管防音材が、配管と剛性の高い固定部材とを拘束材とし、制振材としてはたらく。配管の周囲をより長い範囲にわたり処理すれば、制振材としての配管防音材がより長い区間で固定されることになり、配管の振動を強制的に抑え込み、配管自体の振動を低下させると共に、固定する躯体の部位への振動伝達も少なくなり、固体伝播音の防止に有効である。
【0083】
支持部の配管には、配管の内径の2〜7倍の長さで、防音処理するのが好ましい。かかる範囲で支持部を処理すれば、給水給湯配管の騒音を最も効果的に防止することができる。更に詳しく述べると、処理区間が2倍未満の時は、振動低下が不足して望ましくない。逆に、処理区間が7倍を超えると、駆体と配管との固定部を増すため、処理に手間がかかる点と、対策の必要性のあまりない低周波側を改善する効果のみ目立ち、500〜4kHzの防音処理には、7L倍までで十分である。
【0084】
次に、本発明の給水給湯配管防音構造に用いる配管防音材の構成について述べる。配管の騒音は、前述したように、特に異形部、異形部近傍直管部、及び配管支持部で大きい。このため、本発明の給水給湯配管防音構造では、これらの部位に、吸音材、遮音材を含む配管防音材を被着する。かかる配管防音材は、施工時の取り付け性の良いものが望ましい。
【0085】
まず、吸音材について説明する。給水給湯配管であっても、前述した一般的な配管に適用される吸音材を用いることができる。特に、給水給湯配管に用いるのが好ましい吸音材には、大別して、(A)連続気泡構造を主とした発泡体、(B)繊維状物、(C)多孔質体の3種がある。
【0086】
(A)連続気泡構造を主として有する発泡体には、ウレタン、液状ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPT、CR等があり、連続気泡の比率が高い程、吸音性能が高い。
【0087】
(B)繊維状物には、各種金属の繊維状物、グラスウール、ロックウール、炭素繊維等、無機質繊維状物、羊毛、絹等の動物繊維、綿、麻、パルプ等の植物性天然繊維、レーヨン、アセテート、キュプラ等の植物性天然繊維のセルロース系繊維から作られる繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維、ビニロン等のポリビニル系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、塩化ビニル系繊維、塩化ビニリデン系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリ尿素繊維、ウレタン等のエラストマー繊維等の合成繊維を例示することができる。吸音材には、これらの繊維状物を単独、又は併用して使うことができる。
【0088】
本発明の配管構造では、繊維状物は、繊維の集合体としてのシート状、マット状、筒状で使用するため、厚み、密度により吸音性能に差を生じる。これらの繊維の中で、特に有効な繊維は、繊維の中に孔を有する中空繊維である。中空繊維は軽量で嵩高性、弾性、復元性に優れ、膨張性を有する。
【0089】
給湯管等の温度の影響を受ける配管では、断熱材を独立気泡のポリマーやゴム等の発泡体とした場合、高温になるほどバネ作用が弱くなる。また、吸音材を連続気泡のポリマーやゴムとした場合には、この吸音材は断熱材よりもバネ作用が弱くなる。このため、断熱材や吸音材は外周の遮音材を押し拡げるほどの力がなく、動吸振効果が適切な範囲から逸脱してしまう。中空繊維を含む吸音材は、繊維間の空気の膨張、繊維の嵩張り、繊維の復元性により、繊維が厚みを確保し、膨張空気と共に外周の遮音材を押し拡げようとする力がはたらき、動吸振効果が適切な範囲に入り易くなると考えられる。
【0090】
かかる中空繊維を含む吸音材は、断熱材と遮音材との間に囲まれ、温度上昇につれて吸音層自体の厚みが中実繊維を含む吸音材以上に増し、より強いバネ効果を発揮する。かかる吸音材は、高温による断熱材のバネ作用の低下を補うことができ、吸音性能を維持することができる。
【0091】
更に、かかる中空繊維を含む吸音材は、遮音層を付加重量とすれば、断熱材と吸音材の直列バネ効果で、動吸振の効果も生じ、振動防止効果も生じる。また、かかる断熱材は断熱効果を発揮する上で比較的厚いため、吸音材を介して管から遮音材までの厚みがとれるため、吸音効果が向上する。
【0092】
中空繊維は、繊維全重量の30重量%以上含有する場合が、その効果を発揮し易く、良好な吸音性能を発揮する。中空繊維の中空構造は、セルロース系繊維のレーヨンやアセテートを初め、種々の合成繊維で製造することができ、何れの材質でも良い。また、断面形状も丸形に限られるものではなく、三角、四角等の多角形、その他の種々の形状であっても良い。孔の形状、数も制約はないが、好ましくは中空率が10〜50%であり、繊維径も0.5〜30デニールが良い。
【0093】
繊維には、高収縮性ポリマーと低収縮性ポリマーとを繊維1本の断面で対称的に、又は非対称的に形成され、なおかつ長さ方向に連続した繊維を熱処理し、嵩張りをもたせた復元性の大きなコンジュゲート繊維を用いるのが好ましい。かかるコンジュゲート繊維を繊維状物全体の中で25重量%以上含有させることにより、得られる繊維状物は、全体の復元性がよくなり、嵩張りも有することとなるため、良好な結果が得られる。
【0094】
吸音材には、中空繊維やコンジュゲート繊維に限らず、繊維全体として厚みを保持することができ、弾性と復元性に優れ、更にある程度の密度を有する繊維状物が好ましい。したがって、繊維径、長さ、耐熱性等を考慮して、断熱材や遮音材とのバランスから、適切な吸音材を選定するのが望ましい。
【0095】
次に、(C)多孔質体には、ゴム、プラスチック、各種ポリマー等の発泡体、紙、繊維、木、コルク等の粉粒体や砂、パーライト等を単独か、又は併用し、バインダーで各々の粒子を結合し、成型したものを用いることができる。これらの多孔質体は、結合した粒子間に必然的に生じる空隙が連通し易い構造であり、かかる空隙部で吸音効果が生じるものである。かかる多孔質体は、粉粒体の粒径分布、成型時の圧縮力、バインダーの種類や量により、空隙や粒子間の結合強度を調整し、吸音性能を設定することができる。
【0096】
遮音材についても、給水給湯配管に限られず、前述した配管一般に適用される遮音材を用いることができる。遮音材には、ゴムや塩化ビニル等のポリマーに、高比重充填剤を高充填して得られるシート状物や鉛シートを例示することができる。特に、給湯管等の温度の影響を受ける配管には、特に伸縮追従性に優れるゴム系遮音材が好ましい。また、かかる遮音材は、音源や振動源となる配管に直接設けることは少なく、吸音材等の層を経由させる位置に設ければ、この遮音層までの厚みを充分とれるので、遮音材と吸音材の相乗効果で、配管の防音性能をより一層向上させることができる。
【0097】
配管内とその周囲の温度差が著しい場合には、配管の外周に断熱材を配設するのが好ましい。かかる断熱材は、給水管においては、冬期の凍結防止、多湿時の結露防止、給湯管においては、熱エネルギーロスの防止のための保温を目的とする。かかる目的を有する断熱材は、給水給湯配管には設けられるべきである。しかし、本発明では、上記目的を達成する断熱材であれば、全ての断熱材を用いることができる。また、給水給湯配管の外周にかかる断熱材を被覆し、その外周に吸音材、遮音材等を追加すれば、得られる配管防音構造が本発明の効果を奏し得る。したがって、本発明では、断熱材として特別な限定はない。
【0098】
断熱材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、EPT.CR等の発泡体、グラスウール、ロックウール等の無機質繊維を例示することができる。また、それらは筒状に形成され、筒の一方にスリットを入れたり、その筒を半割り状にしたり、外周に防湿材を設けたりしたもの等の何れでも良い。
【0099】
給湯管の断熱材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、EPT、CR等の発泡体のうち、独立気泡比率の高いものが良い。かかる断熱材は、複数の材質の積層構造であっても良い。また、給湯管は、断熱材付きの配管であっても良い。
【0100】
本発明の給水給湯配管には、防湿材を用いることができる。給水配管では、特に管内温度が低く、周囲の環境が多湿な場合には、配管表面に結露を生じ易くなる。かかる配管には断熱材や吸音材のような熱伝導しにくい材料を管外周に囲着するが、断熱材や吸音材の性能を長期にわたり保持するため、かかる配管に防湿材を用いるのは非常に有効な手段である。防湿材には、例えば、アルミ箔、アスファルト含浸紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル等のフィルムやシートを単独若しくは併用して用いれば良く、断熱材、吸音材の何れかの外周に囲着すれば良い。
【0101】
また、一般的な配管の防音処理と同様に、給水給湯配管の配管防音材の突き合わせ部は、隙間を有する。この隙間は、そのまま放置すると、音漏れの原因となる。かかる事態を避けるには、特に、最外周層の隙間をジョイントテープ等で塞ぐのが有効である。例えば、配管防音材の突き合わせ部を粘着層付ジョイントテープを貼付ければ、長期にわたり音漏れを防ぐことができる。
【0102】
ジョイントテープの材質は、遮音材の材質と同じでよいが、厚みは薄いもので十分である。また、テープ幅は30〜100mmが適切である。伸び率は100〜200%が好ましい。また、テープの粘着層は、テープ材質と同系統のポリマーの粘着層が良く、時間と共に一体化し易く、安心して用いられる。
【0103】
躯体に支持されている部分の給水給湯配管の外周には、前述した配管防音材と同質の配管防音材を被覆することができる。また、かかる支持部の配管防音材の外周には、この配管防音材より剛性の高い部材を被覆することができる。かかる剛性の高い材質には、スチレン、フェノール、エポキシ、不飽和ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル等のポリマー、鉄、アルミニウム、銅、黄銅、ステンレス等の金属を単独又は併用して用いることができる。
【0104】
かかる支持部の配管防音材及び剛性の高い部材で、配管を被覆すれば、配管の振動をより早く減衰させ、支持部の固定側となる駆体に振動を伝えにくくすることができる。配管を被覆する長さは、配管の内径Lに対し、2L〜8Lが好ましい。かかる配管防音材等で支持部以外の配管の外周全面を被覆するのは、必ずしも有効でない。この範囲内の支持部の配管を被覆すれば、配管の振動が躯体に伝わるのを十分に防止することができる。
【0105】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明を詳細に説明する。
試験例1
この試験例では、図5に示すような90°の角度で曲がる異形部(以下、「90°エルボ」という。)と異形部近傍部とを3個所に連結した配管防音構造を作製した。この試験例では、配管流路として、図11〜13に示す配管流路ANを使用した。
【0106】
図11は、配管流路の全体を示す概略図である。この配管防音構造82には、2系統の配管流路AN及びAOが含まれている。試験に用いた配管は硬質塩ビVU管の呼び径75を用いた。この配管内径は83mmである。この試験例で用いた流路ANでは、排水は、鉛直下方向の直管83を通り降下する。排水は、第1の異形管84で方向が90°変わり、横方向の直管85を通り、第2の異形管86に達する。排水は、この第2の異形管86で方向が90°変わり、横方向の直管87を通る。最後に、排水は、第3の異形管88で方向が90°変わり、鉛直下方向の直管89及び91を通って降下する。
【0107】
図12は、この配管流路の正面図である。配管流路101では、配管流路ANの排水は、便器102から生じ、2階床103を貫通する直管83を通り、第1の異形管84で方向が90°変わり、横方向の直管85を通る。この排水は、第2の異形管86に達する。しかし、図12では、この異形管86は示されていない。第2の異形管86からは、横方向に90°曲がった直管87が延びているからである。したがって、この直管87は図12には現れず、第3の異形管88とそれにつながる直管89及び91しか示されていない。排水は、1階床を貫通する鉛直下方向の直管91を通り下降する。
【0108】
図13は、この配管流路の上面図である。配管流路82は、壁106に沿うように設けられている。配管流路ANの排水は、直管83を降下し、異形管84で方向を90°変え、横方向の直管85、異形管86、横方向の直管87、及び異形管88を通り、鉛直下方向の直管89に入り下降する。図13では、鉛直下方向の直管83及び89は現れない。
【0109】
配管防音材は、図5に示すように、異形部及び異形部近傍部に管側から、2mm厚のブチルゴム系粘弾性体、5mm厚の不織布、2mm厚のブチルゴム系遮音材を用い、3層構造として配管に囲着した。この試験例では、粘弾性体として、1mmφの針で総荷重100gを5秒かけた時、針入度が常温下で30以上250以下の値となる粘弾性体を使用した。
【0110】
実施例1〜5の配管防音構造では、かかる配管防音材で、異形部全面を防音処理し、異形部近傍部の異形部前後を各々40mm(0.48L)、60mm(0.72L)、150mm(1.81L)、300mm(3.61L)又は400mm(4.82L)の長さで防音処理した。( )内は配管内径をLとしたときの長さを示した。
【0111】
比較例1として、異形部と異形部近傍部、共に全く防音処理しない配管構造を作製した。更に、比較例2として、異形部のみを防音処理した配管構造を作製した。
【0112】
実施例1〜5の配管防音構造、及び比較例1、2の配管構造について、音響インテンシティを測定した。図11に示す配管流路ANにおいて、異形管84、88及びその前後の異形部近傍部について測定した。図14は、この異形管84、88及びその近傍での管周方向の測定位置を示す断面図である。直管107は、壁106に沿って、鉛直下方向に延び、断面108を有している。直管107の音響は、管周の3個所の位置AP、AQ及びAR(図14の×印で示す。)で測定した。壁106側、又は天井側は測定しない。
【0113】
異形部では、異形管の中央において、管周の3方向から測定した。また、異形部近傍部では、異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各点において、管周の3方向から測定した。図15(a)は、かかる音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
【0114】
図15(a)に示す配管構造109は、鉛直下方向の直管110、90°エルボ111、及び横方向の直管112からなる。異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各点を、図中の×印で示す。
【0115】
音響インテンシティプローブは、マイク間隔を12mmとし、プローブ先端から管の距離を10mmとし、1点につき管周方向3個所の平均値とした。
【0116】
排水音測定は、床上1.2m、管から1mの位置で行い、配管流路ANについては6秒間の等価騒音レベルを測定した。結果を表1及び2に示す。これらの表では、測定位置をA−1、A−2、A−3、A−4、A−5等で示す。図11の第1の異形管84の上流側末端から280mmの位置をA−1、130mmの位置をA−2、50mmの位置をA−3、30mmの位置をA−4とし、異形管84を第1エルボとし、この中央部をA−5とした。同様に、第1エルボの下流側末端から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの位置をそれぞれA−6〜A−10とした。
【0117】
表1及び2に示すように、実施例1〜5の配管防音構造は、いずれも異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、良好な防音効果を示した。特に、実施例2〜5では、騒音レベルが40dB(A)以下となり、良好な結果が得られた。ただ、実施例5の配管防音構造では、防音処理を異形部近傍部の前後合わせて200mm増しても、騒音レベルの低減効果は少ない。このため、300mm以上の防音処理のメリットは少ないと考えられる。
【0118】
音響インテンシティによる詳細な部位毎の結果から、比較例1と比較例2とを比較すると、比較例2では、異形部である第1の90°エルボと第3の90°エルボは、エルボ部自体で騒音が11〜13dB低減しているものの、異形部近傍の直管部では、低減効果は充分でなく、全体の騒音レベルも46dB(A)となり、不充分である。
【0119】
試験例2
この試験例では、試験例1の90°エルボの代わりに、図6に示すような、90゜の角度で大きく曲がる大曲り異形部(以下、「90°大曲りエルボ」という。)を3個所含む以外、試験例1と同様にして、配管防音構造を製造した。実施例6〜10として、防音処理する異形部近傍部の長さを、各々40mm、60mm、150mm、300mm又は400mmに設定した配管防音構造を得た。かかる実施例は、実施例1〜5と比べ異形部形状が変化するため、水の流れ方向に若干の変化が生じ、その影響を知ることができる。
【0120】
比較例3としては、配管に配管防音材を、全く使用していない配管構造を作製した。比較例4として、異形部のみに防音処理を施した配管構造を作製した。
【0121】
90゜大曲りエルボを用いた場合でも、試験例1と同様に音響インテンシティを測定することができる。図15(b)は、かかる音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。図15(b)では、配管構造113は、横方向の直管114、90°大曲りエルボ115、及び鉛直下方向の直管116からなる。異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各測定点を、図中の×印で示す。
【0122】
かかる実施例6〜10の配管防音構造及び比較例3、4の配管構造を、試験例1と同様にして試験した。結果を表3及び4に示す。
【0123】
表3及び4に示すように、実施例6〜10の配管防音構造は、いずれも異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、良好な防音効果を示した。特に、実施例7〜10では、騒音レベルが40dB(A)以下となり、良好な結果が得られた。また、実施例10の配管防音構造では、騒音低減効果は充分であるが、異形部近傍部の防音処理の長さを、異形部1個所当たり、前後合わせて200mm余分に設けても、ほとんど騒音低減に寄与しない点から不適当な長さと言える。
【0124】
また、異形部の形状による差は、比較例3の配管構造で異形部通過後の異形部近傍部でやや大きくなる傾向があったが、異形部近傍部を防音処理した後は、90゜エルボと90゜大曲りエルボの差は見られなかった。比較例4の配管構造では、異形部前後の異形部近傍部からの騒音が大きく、騒音レベルも45dB(A)となり、異形部のみの処理では充分でない。
【0125】
試験例3
この試験例では、試験例1の配管防音構造に、更に45゜の角度で曲がる異形管(以下、「45°エルボ」という。)を2個含む以外、試験例1と同様にして配管防音構造を製造した。この45゜エルボは、図12に示す直管91の途中で、床105上1mの所に連続して設けた。図15(c)には、2個連続させた45゜エルボの側面図を示す。かかる配管防音構造では、直管の芯がずれることによる、発生音の変化を知ることができる。
【0126】
実施例11〜15として、防音処理する異形部近傍部の長さを、各々40mm、60mm、150mm、300mm又は400mmに設定して、配管防音構造を作製した。比較例5は、防音材を全く使用していない配管構造の例である。比較例6は、異形部のみに防音処理を施した例である。
【0127】
この試験例でも、試験例1と同様に音響インテンシティを測定することができる。図15(c)は、45°エルボの音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。図15(c)では、配管構造117は、鉛直下方向の直管118、45°エルボ119及び120、鉛直下方向の直管121からなる。異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各点を、図中の×印で示す。
【0128】
かかる実施例11〜15の配管防音構造及び比較例5、6の配管防音構造を、試験例1と同様にして試験した。尚、この試験例では、45°エルボを用いた部分以外は、試験例1と同様であるため、45゜エルボ2個を連結した個所についてだけの測定結果を表5及び6に示す。
【0129】
表5及び6に示すように、実施例11〜15の配管防音構造は、いずれも異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、良好な防音効果を示した。特に、実施例12〜15では、騒音レベルが40dB(A)以下となり、良好な結果が得られた。また、実施例15の配管防音構造では、異形部近傍部の防音処理の長さを異形部前後各々100mm大きくしたが、騒音レベルがほとんど実施例14と変わらず、異形部近傍部の防音処理の長さが300mmで充分であることを示した。
【0130】
比較例5の配管構造は、配管単体であるため、非常に大きな騒音が発生している。また、この例では、45゜エルボの前後の異形部近傍部でも、大きなレベルであることがわかる。比較例6の配管構造は、異形部を処理したため、異形部そのものはかなり静かになっている。しかし、異形部近傍部からの騒音は、比較例5と比べると静かではあるものの、まだ改善を必要とするレベルである。
【0131】
試験例4
この試験では、配管構造は、図11〜13に示す配管流路AOを使用する。
【0132】
図11において、配管流路AOの排水は、鉛直下方向の直管92を通り降下する。排水は、第4の異形管93で方向を変え、横方向の直管94を通り、第5の異形管95に達する。排水は、この異形管95で方向を変え、横方向の直管96を通り、更に、第6の異形管97で方向を変え、横方向の直管98を通る。その後、排水は、第7の異形管99で方向を変え、横方向の直管100を通る。最後に、このようにして流れてきた排水は、90°のY型の異形管(以下、「90°Y」という。)90で方向を変え、下方向の直管91を通り降下する。
【0133】
図12では、便器104から生じる排水は、直管92、異形管93、直管94、異形管95、直管96、異形管97、直管98、異形管99、直管100及び90°Y90を経て、1階床105を貫通する直管91を降下する。直管94、96、98及び100はいずれも同一平面上にあるため、図12には、直管98は現れておらず、第7の異形管99とそれにつながる直管100とが示されている。また、異形管95により排水の流れが変わる位置は、直管94と直管96との間に線で示されている。
【0134】
図13では、配管流路AOは、配管流路ANと同様の配置になる。鉛直下方向の直管92及び98図示されず、更に、鉛直下方向の直管98を横方向の直管100に連結する異形管99も図示されない。
【0135】
配管流路AOには、90゜エルボ4個、90゜Y1個を使用する。この試験例でも、実施例16〜20として、防音処理する異形部近傍部の長さを、各々40mm、60mm、150mm、300mm又は400mmに設定して、配管防音構造を作製した。比較例7としては、防音材を全く使用していない配管構造を作製した。比較例8としては、異形部のみに防音処理を施した配管構造を作製した。
【0136】
この試験例でも、試験例1と同様に音響インテンシティを測定することができる。図16(a)は、90°Y付近の音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。図16(a)では、配管構造122は、鉛直下方向の直管123、90°Y124、鉛直下方向の直管125、鉛直下方向の直管126、90°エルボ127、横方向の直管128からなる。それぞれの異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各点を、図中の×印で示す。
【0137】
かかる実施例16〜20の配管防音構造及び比較例7、8の配管構造を、試験例1と同様にして試験した。結果を表7〜9に示す。
【0138】
表7〜9に示すように、実施例16〜20の配管防音構造は、いずれも異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、良好な防音効果を示した。特に、実施例17〜20では、騒音レベルが40dB(A)以下となり、良好な結果が得られた。実施例20の配管防音構造では、異形部近傍部の防音処理の長さを異形部前後各々100mm大きくしたが、騒音レベルがほとんど実施例19と同様であることから、異形部近傍部の防音処理の長さを300mm以上に設定する必要のないことがわかる。
【0139】
比較例7の配管構造は、配管単体であるため、非常に大きな騒音が発生している。また、この例では、90゜Yの前後の異形部近傍部でも、大きなレベルであることがわかる。比較例8の配管構造は、異形部を処理したため、異形部そのものはかなり静かになっている。しかし、異形部近傍部からの騒音は、比較例7と比べると静かではあるものの、まだ改善を必要とするレベルである。
【0140】
試験例5
この試験例では、図11に示す配管流路AOの90°Yの代わりに、45°のY型の異形管(以下、「45°Y」という。)、直管、及び45°エルボを用いる以外、試験例4と同様にして配管防音構造を作製した。
【0141】
試験例4と同様に、実施例21〜25として、防音処理する異形部近傍部の長さを、各々40mm、60mm、150mm、300mm又は400mmに設定して、配管防音構造を作製した。比較例9としては、防音材を全く使用していない配管構造を作製した。比較例10としては、異形部のみに防音処理を施した配管構造を作製した。
【0142】
この試験例でも、試験例1と同様に音響インテンシティを測定することができる。図16(b)は、45°Y付近の音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。図16(b)では、配管構造129は、鉛直下方向の直管130、45°Y131、鉛直下方向の直管132、横方向の直管133、45°エルボ134、45°傾斜する直管135からなる。それぞれの異形部から30mm、50mm、130mm、280mm、350mmの各点を、図中の×印で示す。
【0143】
かかる実施例21〜25及び比較例9、10の配管構造を、試験例1と同様にして試験した。結果を表10〜12に示す。
【0144】
表10〜12に示すように、実施例21〜25の配管防音構造は、いずれも異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、良好な防音効果を示した。特に、実施例22〜25では、騒音レベルが40dB(A)以下となり、良好な結果が得られた。実施例25の配管防音構造では、異形部近傍部の防音処理の長さを異形部前後各々100mm大きくしたが、騒音レベルがほとんど実施例24と同様であることから、異形部近傍部の防音処理の長さを300mm以上に設定する必要のないことがわかる。
【0145】
比較例9では、異形部のみならず異形部近傍部の騒音も低減する必要があることが判る。比較例10では、異形部全てを処理しても、異形部近傍部からの騒音が充分改善されず、騒音レベルも高いことが判る。
【0146】
試験例6
この試験例では、配管防音材の種類を変えて、以下に示す実施例26〜30の配管防音構造を作製した。実施例26〜30のいずれの配管防音構造も防音材以外は、実施例3と同様である。
【0147】
実施例26では、異形部及び異形部近傍部のそれぞれで、管側から、粘着層付の2mm厚のポリブタジエン系架橋粘弾性体、0.2mm厚のポリエステルフィルム、4mm厚のポリエチレン連続気泡シート、1mm厚の塩ビニルシートを含む4層構造の配管防音材を使用した。
【0148】
実施例27では、管側から、3mm厚の再生ブチルゴム系粘弾性体、3mm厚の不織布、ブチルゴム系シートを含む3層構造の防音材を使用した。この実施例では、再生ブチルゴムをポリマー成分として10wt%以上含む粘弾性体を使用した。
【0149】
実施例28では、管側から、粘着層付25μポリエステルフィルム、ロックウール充填綿と発泡タイアポリブタジエン架橋粘弾性体を混合した、8mm厚のシート、1.5mm厚のブチルゴムシートを含む3層構造の防音材を使用した。
【0150】
実施例29では、管側から、2mm厚の再生ブチルゴム系粘弾性体、凹凸空気室付きの2mm厚ポリブタジエン架橋粘弾性体シート、4mm厚の不織布、2mm厚のブチルゴムシートを含む4層構造の防音材を使用した。この実施例では、再生ブチルゴムを10wt%以上含む粘弾性体を使用した。
【0151】
実施例30では、管側から、粘着層付の25μポリエステルフィルム、3mm厚の高比重ポリブタジエン架橋不織布含浸シート、4mm厚の不織布、1mm厚のブチルゴムシートを含む4層構造の防音材を使用した。
【0152】
これらの実施例26〜30の配管防音構造を、試験例1と同様に試験した。その結果を表13〜15に示す。
【0153】
表13〜15に示すように、実施例26〜30の配管防音構造は、配管防音材の種類を変化させたものである。いずれの実施例でも、異形部及び異形部近傍部での騒音が著しく低減しており、騒音レベルが38dB(A)以下となり、良好な防音効果を示した。実施例27、29では、何れも再生ブチルゴムをポリマー成分として10wt%以上含み、針入度が1mmφの針で総荷重100gを5秒かけた時、常温下で30以上250以下の値となる粘弾性体を使用した。
【0154】
以上のように、異形部と異形部前後の異形部近傍部に、粘弾性体、吸音材、遮音材を含む配管防音材を集中させることにより、配管系全体を処理しなくても、騒音レベルが著しく低減され、良好な防音効果が得られた。
【0155】
試験例7
この試験では、粘弾性体のコールドフロー性を試験した。配合1〜4の粘着性体を、表16の配合処方で調整し、各々両面を離型紙ではさみ、2mm厚、50mm幅、50mm長さの供試体を3個作製した。いずれの供試体も、1mmφの針で総荷重100gを5秒かけた時、針入度が常温下で30以上250以下の値となる粘弾性体を使用した。
【0156】
室温にて、各供試体をガラス板にはさみ、1個当たり、500gの荷重をかけて、コールドフロー性を調べた。結果を表16に示す。表中、コールドフローの最大長さが周辺で2mm未満のものを○、2〜5mmのものを△、5mmを超えるものを×とした。
【0157】
表16に示すように、配合1〜3の粘弾性体は、いずれもコールドフローの最大長さが周辺で5mm以下であり、良好な結果を示した。一方、配合4の粘弾性体は、コールドフローの最大長さが周辺で5mmを超え、不適切であった。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【0170】
【表13】
【0171】
【表14】
【0172】
【表15】
【0173】
【表16】
【0174】
試験例8
この試験例では、図17に示すような異形部及び異形部近傍部と、図18(a)及び図18(b)に示すような配管支持部を用い、図19に示す流路を有する実施例31〜42の給水給湯配管防音構造を製造した。
【0175】
図19は、給水給湯配管構造の全体を示す概略図である。この図は、配管構造を1階の天井に吊り下げ、下から斜めに見たようすを示している。この配管構造171は、直管部172、異形部173、及び異形部173と異形部近傍部174と直管の支持部175とを被覆する配管防音材176、並びに直管の支持部175を配管防音材176の外周から被覆する固定部材177からなる。この配管構造171は、ボルト178で吊り金具179に固定し、1階の天井180に吊り下げられている。
【0176】
この配管構造171には、流路変更部が6個所あり、それぞれの個所で所定の長さだけ、配管防音材176が被覆されている。配管防音材176同士の接合部181とその両端182には、ジョイントテープ183が貼られている。直管支持部175では、配管防音材176を被覆し、その両端184をジョイントテープ185で処理した後、配管防音材176より剛性の高い材料からなる固定部材177で固定する。
【0177】
この配管構造171の一端の流入側配管186は、1階天井180を貫通しており、水又は湯は、この配管186から流入する。配管構造171の他端の流出側配管187も、1階天井180を貫通しており、流入した水又は湯は、この配管187から流出する。
【0178】
図20は、配管構造の騒音測定装置を示す断面図である。この図では、図19で詳述した配管構造171が、床版躯体191に吊り下げられている。給水は、ポンプ189によりタンク188からライン190を通って、配管構造171中に流入する。この水は、配管構造171中を循環し、ライン192を通り、タンク188に戻る。この配管構造171は給湯用にも用いる。この場合、給水は、ライン190の途中から給湯機193に入り、温められた後、配管構造171中に流入して循環する。
【0179】
かかる配管構造の騒音は、連続給水又は連続給湯しながら測定する。その際に発生する音は、1階に設置したマイク194でキャッチし、精密騒音計195から周波数分析器196に送り計測した。
【0180】
実施例31〜36では、給水配管防音構造を製造した。いずれの実施例においても、給水配管には、水道用亜鉛メッキ鋼管の呼び径15mm(外径21.7φmm、内径16.1mmφ)を用い、給水圧は9kg/cm2 とした。
【0181】
実施例31
この給水配管防音構造では、異形部近傍部の配管は、異形管の末端から管軸方向に55mmの長さまで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、異形管の末端から計算すると、直管の内径の3.4倍の長さとなる。また、この配管構造では、配管支持部の直管の外周を管軸方向に45mmの長さで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、直管の内径に対し、2.8倍の長さである。
【0182】
断熱材には、10mmの20倍独立気泡ポリプロピレンを用いた。断熱材の外周には、防湿材として、塩化ビニルフィルムを隙間なく被着した。更に、その外周に、吸音材を被着した。吸音材には、ポリエステル中空繊維を70重量%とポリエステル中実繊維を30重量%とを混合した5mm厚の不織布を用いた。吸音材の外周には、遮音材として、3.5kg/m2 の面密度の非加硫ブチルゴムシートを被着した。
【0183】
配管支持部では、異形部近傍部と同じ配管防音材で処理した後、この配管防音材の外周に固定部材を被着した。この固定部材としては、45mm長さの2mm厚鉄板を用いた。この固定部材は、固定金具にボルトで固定した。
【0184】
配管防音材内隅の切欠部の突き合わせ部、その配管防音材の両端部、及び配管支持部に用いる配管防音材の両端部は、ブチルゴム系ジョイントテープを隙間なく貼り付けてシールした。配管防音材の両端部からはみ出したジョイントテープのみの部分は、前述した異形部近傍部の防音処理部分には含めない。
【0185】
実施例32
この給水配管防音構造では、実施例31と同じ材質の配管防音材で、異形部近傍部及び配管支持部を処理した。但し、この構造においては、実施例31と同様の基準で、異形管の末端から130mmの長さの異形部近傍部に配管防音材を被着し、配管支持部を108mmの長さで防音処理した。異形部近傍部の処理長さは、異形管の末端から測定した場合、直管の内径の8.1倍であり、配管支持部の処理長さは、直管の内径の6.7倍である。
【0186】
実施例33
この給水配管防音構造では、配管防音材の種類を変更し、防音処理長さを変更した以外は、実施例31と同様にして配管構造を製造した。この配管構造では、断熱材として、15mm厚のグラスウールを配管に被着し、このグラスウールの上から、防湿材として、アルミ箔積層紙を被着した。防湿材の外周には、吸音材として、32重量%の中空ポリエステル繊維、68重量%の中実ポリプロピレン繊維の混合繊維からなる7mm厚の不織布を被着した。遮音材としては、面密度1.5kg/m2 の非加硫EPT/ブチルゴムシートを用い、不織布の外周に被着した。これらの防音処理の長さは、実施例31と同様の基準で、異形管の末端から108mmの長さの異形部近傍部に配管防音材を被着し、配管支持部を65mmの長さで防音処理した。異形部近傍部の処理長さは、異形管の末端から測定した場合、直管の内径の6.7倍であり、配管支持部の処理長さは、直管の内径の4.0倍である。
【0187】
実施例34
実施例31の配管防音材の種類を変更し、防音処理長さを一部変更した以外は実施例31と同様にして配管構造を製造した。この給水配管構造では、断熱材として、EPTの独立気泡を主とした20mm厚の発泡体を配管に被着した。その外周には、吸音材として、EPTの連続気泡を主とした10mm厚の発泡体を被着した。更に、防湿材として、片面粘付アルミ蒸着ポリエステルフィルムを吸音材の外周に隙間なく被着し、またその外周に、遮音材として、面密度1.5kg/m2 のブチルゴムシートを被着した。異形部近傍部の防音処理長さは、実施例33と同様、108mmである。但し、配管支持部は、35mm長さで防音処理した。配管支持部の処理長さは、直管の内径の2.2倍である。更に、この支持部は、35mm長さの防音処理部の外周を0.2mm厚銅板を巻きつけた後、市販の鉄製T字バンドで配管防音材の外囲を25mm長さで固定した。
【0188】
実施例35
実施例33で用いた吸音材を、27重量%の中実コンジュゲート繊維(高収縮ポリエステル/低収縮ポリエステル)と、73重量%の中実ポリプロピレン繊維との混合繊維からなる7mm厚の不織布に変えた以外は、実施例33と同様にして、給水配管防音構造を製造した。
【0189】
実施例36
実施例33で用いた吸音材を、65重量%の中空コンジュゲート繊維(高収縮ポリエステル/低収縮ポリエステル)と、35重量%の中実ポリプロピレン繊維との混合繊維からなる7mm厚の不織布に変えた以外は、実施例33と同様にして、給水配管防音構造を製造した。
【0190】
このようにして製造した実施例31〜36の給水配管防音構造について、騒音を測定した。結果を表17及び18にまとめて示す。
【0191】
比較例11
配管のままの何も処理していない状態で給水配管構造を製造した。
【0192】
比較例12
実施例31の防音処理長さを変更した以外は、実施例31と同様にして給水配管構造を製造した。防音処理長さは、異形部近傍部で43mmとし、支持部で32mmとした。
【0193】
比較例13
実施例31の防音処理長さを変更した以外は、実施例31と同様にして給水配管構造を製造した。防音処理長さは、異形部近傍部で150mm、支持部で115mmとした。
【0194】
このようにして製造した比較例11〜13の給水配管構造について騒音を測定した。結果を表18にまとめて示す。
【0195】
【表17】
【0196】
【表18】
【0197】
実施例31の配管構造の給水音は、比較例11の管単体の配管構造より、125、250Hzの低周波側で11.5〜13.8dB改善され、1000、2000、4000Hzの高周波側で10.4〜16.0dB改善されている。騒音レベルも13.8dB(A) 改善できており良好である。
【0198】
実施例32の構造の給水音は、比較例11の管単体の構造より、125、250Hzの低周波側で12.5〜14.4dB改善され、1000、2000、4000Hzの高周波側で11.9〜18.7dB改善できている。騒音レベルも15.2dB(A) 改善できており良好である。
【0199】
実施例33の構造は、比較例11の管単体と比べ、125、250Hzの低周波側で12.9〜14.8dB改善でき、1000、2000、4000Hzの高周波側で10.7〜17.5dB改善できている。また、騒音レベルも14.2dB(A) 改善できており良好である。
【0200】
実施例34の構造は、比較例11の管単体と比べ、125Hz以上の各周波数で4.4〜17.8dB改善され、騒音レベルも14.1dB(A) 改善されて良好である。
【0201】
実施例35の構造は、比較例11の管単体と比べ、125Hz以上の各周波数で5.8〜18.3dB改善され、騒音レベルも14.9dB(A) 改善できており良好である。
【0202】
実施例36の構造は、比較例11の管単体と比べ、125Hz以上の各周波数で6.0〜18.7dB改善され、騒音レベルも15.6dB(A) 改善できており良好である。
【0203】
比較例12の構造は、配管防音材の処理長さが短い例である。給水音は、騒音レベルで、10dB(A) 改善できているものの、特に1k、2k、4kHzでほぼ40dBの騒音となり、実施例31に比べ、もう少し改善する必要がある。
【0204】
比較例13の構造は、配管防音材の処理長さが長い例である。給水音は、実施例32の構造とほとんど同じ結果となり、騒音レベルも同様であった。これは、配管防音材の処理長さを増しても、効果が少ないことが判る。
【0205】
実施例37〜42では、給湯配管防音構造を製造した。給湯配管には、保温被覆銅管の呼び径1/2インチ(外径15.88mm、内径14.86mm)の配管に断熱層が付いた外径47φmmの配管を使用し、給水圧は9kg/cm2 とした。
【0206】
実施例37
この給湯配管防音構造では、給湯管として、断熱材と防湿材とが一体になった配管を用いた。断熱材はウレタン発砲体、防湿材は塩化ビニルフィルムであり、いずれも配管の全外周に隙間なく被着されている。防音処理は、この配管に対して行った。処理長さは、異形部近傍部の配管では、異形管の末端から管軸方向に45mmの長さまで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、異形管の末端から計算すると、直管の内径の3.0倍の長さとなる。また、この配管構造では、配管支持部の直管の外周を管軸方向に32mmの長さで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、直管の内径に対し、2.2倍の長さである。
【0207】
配管防音材としては、断熱材と防湿材とが被着された配管の外周に、吸音材を被着した。吸音材には、70重量%のポリエステル中空繊維と30重量%のポリエステル中実繊維とを混合した5mm厚の不織布を用いた。吸音材の外周には、遮音材を被着した。この遮音材は、3.5kg/m2 の面密度の非加硫ブチルゴムシートである。
【0208】
配管支持部では、配管防音材で処理した後、固定部材を被着した。この固定部材としては、32mm長さの2mm厚鉄板を用いた。この固定部材は、固定金具にボルトで固定した。
【0209】
配管防音材内隅の切欠部の突き合わせ部、その配管防音材の両端部、及び配管支持部に用いる配管防音材の両端部は、ブチルゴム系ジョイントテープを隙間なく貼り付けてシールした。配管防音材の両端部からはみ出したジョイントテープのみの部分は、前述した異形部近傍部の防音処理部分には含めない。
【0210】
実施例38
実施例37の配管構造のうち、防音処理の長さを変えた以外、実施例37と同様にして給湯配管防音構造を製造した。処理長さは、異形部近傍部では、異形管の末端から管軸方向に120mmの長さまで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、異形管の末端から計算すると、直管の内径の6.4倍の長さとなる。また、この配管構造では、配管支持部の直管の外周を管軸方向に100mmの長さで、配管防音材により被覆した。この被覆距離は、直管の内径に対し、5.3倍の長さである。
【0211】
実施例39
実施例37の配管構造のうち、配管防音材の種類を変え、防音処理の長さを変えた以外、実施例37と同様にして給湯配管防音構造を製造した。実施例37で用いた吸音材に変え、32重量%の中空ポリエステル繊維、68重量%の中実ポリプロピレン繊維の混合繊維からなる7mm厚の不織布を用いた。遮音材としては、面密度1.5kg/m2 の非加硫EPT/ブチルゴムシートを用い、不織布の外周に被着した。防音処理の長さは、実施例37と同様の基準で、異形管の末端から79mmの長さの異形部近傍部に配管防音材を被着し、配管支持部を47mmの長さで防音処理した。異形部近傍部の処理長さは、異形管の末端から計算した場合、直管の内径の5.3倍であり、配管支持部の処理長さは、直管の内径の3.2倍である。
【0212】
実施例40
実施例39の配管防音材の種類を変更し、防音処理長さを一部変更した以外は実施例39と同様にして配管構造を製造した。この給湯配管構造では、吸音材として、EPTの連続気泡を主とした10mm厚の発泡体を被着した。その外周には、遮音材として、面密度1.5kg/m2 のブチルゴムシートを被着した。異形部近傍部の防音処理長さは、実施例39と同様、79mmである。但し、配管支持部は、30mm長さで防音処理した。配管支持部の処理長さは、直管の内径の2.0倍である。更に、この支持部は、防音処理30mmの外周に0.2mm厚銅板を巻きその外周を市販の鉄製T字バンドで配管防音材の外囲を25mm長さで固定した。
【0213】
実施例41
実施例39で用いた吸音材を、27重量%の中実コンジュゲート繊維(高収縮ポリエステル/低収縮ポリエステル)と、73重量%の中実ポリプロピレン繊維との混合繊維からなる7mm厚の不織布に変えた以外は、実施例39と同様にして、給湯配管防音構造を製造した。
【0214】
実施例42
実施例39で用いた吸音材を、65重量%の中空コンジュゲート繊維(高収縮ポリエステル/低収縮ポリエステル)と、35重量%の中実ポリプロピレン繊維との混合繊維からなる7mm厚の不織布に変えた以外は、実施例39と同様にして、給湯配管防音構造を製造した。
【0215】
このようにして製造した実施例37〜42の給湯配管防音構造について、騒音を測定した。結果を表19及び20にまとめて示す。
【0216】
比較例14
配管と断熱材と防湿材とが一体の状態のままで給湯配管構造を製造した。
【0217】
比較例15
実施例37の防音処理長さを変更した以外は、実施例37と同様にして給湯配管構造を製造した。防音処理長さは、異形部近傍部で31mmとし、支持部で23mmとした。
【0218】
比較例16
実施例37の防音処理長さを変更した以外は、実施例37と同様にして給水配管構造を製造した。防音処理長さは、異形部近傍部で140mm、支持部で110mmとした。
【0219】
このようにして製造した比較例14〜16の給湯配管構造について、騒音を測定した。結果を表20にまとめて示す。
【0220】
【表19】
【0221】
【表20】
【0222】
実施例37の給湯配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、125Hz以上の1オクターブバンドでいずれの周波数も5.4dB〜17.7dB改善でき、騒音レベルも10.6dB(A) 改善でき、良好な結果が得られている。
【0223】
実施例38の給湯配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、全周波数で5.7dB〜18.9dB改善でき、騒音レベルも12.4dB(A) 改善でき良好である。
【0224】
実施例39の配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、125Hz以上の周波数で5.0〜15.3dB改善され、騒音レベルも9.6dB(A) 改善され良好である。
【0225】
実施例40の配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、125Hz以上の各周波数で4.1〜14.2dB改善されている。他の実施例37〜39に比べ、1000Hz以上の改善量が悪いものの、良い結果である。また、騒音レベルも6.8dB(A) 改善でき良好である。
【0226】
実施例41の配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、125Hz以上の各周波数で4.9〜14.9dB改善され、騒音レベルも10.9dB(A) 改善でき良好である。
【0227】
実施例42の配管防音構造では、給湯音は、給湯配管のみの比較例14の構造と比べ、125Hz以上の各周波数で8.1〜19.7dB改善され、騒音レベルも13.2dB(A) 改善でき良好である。
【0228】
比較例15の配管構造は、防音処理が短い例である。給湯音は、騒音レベルの改善量が約6dB(A) であり、実施例に比べ高周波側の騒音が高く、もう少し改善が望まれる。
【0229】
比較例16の配管構造は、防音処理が長い例である。給湯音は、実施例38の配管防音構造と各周波数別にほとんど同じであり、騒音レベルも同様であった。この結果からは、配管防音材の処理長さを増しても、あまり効果がないことが判る。また、配管支持部も配管防音材とその外周を固定する配管防音材より剛性の高い固定部材で、所定の長さ以上被覆する必要がないことを示すものである。
【0230】
【発明の効果】
本発明の配管防音構造によれば、効果的で、かつ経済的に、またスピーディに配管の騒
音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。
【図2】他の例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。
【図3】他の例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。
【図4】他の例の配管構造において、排水が流れるようすを示す断面図である。
【図5】本発明の一例の配管防音構造を示す断面図である。
【図6】本発明の他の例の配管防音構造を示す断面図である。
【図7】本発明にかかる配管防音材を異形部近傍部に施工する状況を示す、一部断面図である。
【図8】一例の配管異形部材を示す断面図である。
【図9】図8の配管異形部材を用いた配管構造の断面図である。
【図10】本発明の一例の配管異形部材の断面図である。
【図11】配管流路の全体を示す概略図である。
【図12】図11の配管流路の正面図である。
【図13】図11の配管流路の上面図である。
【図14】異形管及びその近傍の管周方向における、音響インテンシティの測定位置を示す断面図である。
【図15】(a)は、一例の配管構造における音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
(b)は、他の例の配管構造における音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
(c)は、更に他の例の配管構造における音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
【図16】(a)は、一例の配管構造における音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
(b)は、他の例の配管構造における音響インテンシティの測定位置を示す側面図である。
【図17】本発明の一例の給水給湯配管防音構造を示す断面図である。
【図18】(a)は、本発明にかかる配管支持部の斜視図である。
(b)は、図18(a)の配管支持部をA−A線で切断した断面図である。
【図19】給水給湯配管の試験流路を示す斜視図である。
【図20】騒音測定装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1、5、9、14 配管構造
2、8、12、18 横方向の直管
3、7 90°異形管
4、6、10、13、15、17 縦方向の直管
A、I、M、U、X 排水の流れ
B、D、F、H、N、P、R、T、Y、AA、AC、AE 排水の軌跡
C、E、G、J、K、L、O、Q、S、V、W、Z、AB、AD 排水が衝突する位置
11 90°Y型異形管
16 45°Y型異形管
19 45°異形管
20 45°方向の直管
21、40 配管防音構造
22、41 横方向の直管
23、42 90°異形管
24、43 縦方向の直管
25、29、35、44、48、54 粘弾性体層
26、30、36、45、50、55 吸音材層
27、31、37、46、51、56 遮音材層
28、32、38、47、52、57 配管防音材
33、34、39 コーキング剤層
52、53、58、59 テープ
AF、AI 異形部の終点
AS 挿入代部の起点
AG、AJ 配管防音材の端部
AH、AK 配管防音材の継ぎ目
60 配管構造
61 配管防音材の一体積層品
61a 一体積層品の上部
61b 一体積層品の下部
AL、AM 折り曲げ方向
62 配管異形部材
63 異形管
63a 異形管の端部
64 粘弾性体層
64a 粘弾性体層の端部
65 吸音材層
66 遮音材層
67 配管防音材
68 配管構造
69 横方向の直管
70 90°異形管
71 縦方向の直管
72 コールドフローした粘弾性体層
73 流れ出た粘弾性体
74 流れ込んだ粘弾性体の層
75 配管異形部材
76 異形管
76a 異形管の端部
77 粘弾性体層
77a 流れ出た粘弾性体
78 吸音材層
79 遮音材層
80 配管防音材
81 配管防音材の端部
82 配管構造
AN、AO 配管流路
83、89、91、92、98 縦方向の直管
84 第1の異形管
85、87、94、96、100 横方向の直管
86 第2の異形管
88 第3の異形管
90 90°Y型異形管
93 第4の異形管
95 第5の異形管
97 第6の異形管
99 第7の異形管
101 配管構造
102、104 便器
103 2階床
105 1階床
106 壁
107 直管
108 直管の断面
AP、AQ、AR 音響インテンジティ測定の方向
109、113、117、122、129 配管構造
110、116、118、121、123、126、125、130、132縦方向の直管
111、127 90°異形管
112、114、128、133 横方向の直管
115 90°大曲り異形管
119、120、134 45°異形管
124 90°Y型異形管
131 45°Y型異形管
135 45°方向の直管
136 給水給湯配管防音構造
137 横方向の直管
138 90°大曲り異形管
139 縦方向の直管
140、145、150、161 断熱材層
141、146、151、162 防湿材層
142、147、152、163 吸音材層
143、148、153、164 遮音材層
149、149、154、165 配管防音材
155、156、157、158 ジョイントテープ
AT 異形部の終点
AU 配管防音材の端部
AV 配管防音材の継ぎ目
159 直管
160 配管支持部
166、177 固定部材
167 固定金具
168、178 ボルト
169 躯体
170 アンカーボルト
171 給水給湯配管防音構造
172 直管部
173 異形部
174 異形部近傍部
175 直管支持部
176 配管防音材
179 吊り金具
180 1階天井
181 接合部
182 接合部の両端
183、185 ジョイントテープ
184 配管防音材の両端
186 流入側配管
187 流出側配管
188 タンク
189 ポンプ
190、192 ライン
191 床版躯体
193 給湯機193
194 マイク
195 精密騒音計
196 周波数分析器
Claims (5)
- 異形部と、この異形部に隣接する直管部とを有しており、前記異形部の配管の外周が、粘
弾性体、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、配管流路において発
生する通過物の衝撃音を吸収する、配管防音構造であって、
前記直管部が前記異形部に隣接する異形部近傍部を具えており、前記異形部近傍部の配
管の外周が、粘弾性体、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、前記
異形部近傍部の配管の外周が、前記異形部の末端から、前記異形部近傍部の配管の内径の
0.4〜5倍の長さまで、前記配管防音材により被覆されていることを特徴とする、配管
防音構造。 - 異形部の配管の外周に、粘弾性体、吸音材及び遮音材を含む配管防音材が被覆されている
配管異形部材であって、
前記異形部の配管の外周が、前記配管異形部材の一方の開放端から5〜20mmの位置
から、前記配管異形部材の他方の開放端から5〜20mmの位置まで、前記配管防音材に
より被覆されていることを特徴とする、配管異形部材。 - 異形部と、この異形部に隣接する直管部とを有しており、前記異形部の配管の外周が、吸
音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、配管流路において発生する通過
物の衝撃音を吸収する、給水又は給湯配管防音構造であって、
前記直管部が前記異形部に隣接する異形部近傍部を具えており、前記異形部近傍部の配
管の外周が、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、前記異形部近傍
部の配管の外周が、前記異形部の末端から前記異形部近傍部の配管の内径の3〜9倍の長
さまで、前記配管防音材により被覆されていることを特徴とする、給水又は給湯配管防音
構造。 - 請求項3記載の給水又は給湯配管防音構造において、
前記給水又は給湯配管防音構造が、躯体に支持される支持部を有しており、前記支持部
の配管の外周が、吸音材及び遮音材を含む配管防音材により被覆されており、前記配管防
音材の外周が前記配管防音材より剛性の高い材料からなる固定部材により被覆されている
ことを特徴とする、給水又は給湯配管防音構造。 - 請求項4記載の給水又は給湯配管防音構造において、
前記支持部の配管の外周が、前記配管の内径の2〜7倍の長さで、前記配管防音材及び
前記固定部材により被覆されていることを特徴とする、給水又は給湯配管防音構造。
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JP (1) | JP3542701B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4668136B2 (ja) * | 2005-07-21 | 2011-04-13 | 小島 ▲徳▼厚 | 排水管の施工方法 |
-
1997
- 1997-07-18 JP JP19421297A patent/JP3542701B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10311366A (ja) | 1998-11-24 |
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