JP3493692B2 - ビスビグアナイド系化合物およびそれを含む殺菌剤 - Google Patents
ビスビグアナイド系化合物およびそれを含む殺菌剤Info
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Description
ド系化合物、およびそれを含む殺菌剤に関する。
ヘキシジンは1954年に開発された殺菌剤として有用な化
合物で、一般細菌に対して幅広い殺菌性を示し、即効性
と低毒性を合わせ持つことから非常に広い分野で使用さ
れている。特に水溶性を高めたグルコン酸塩の形で、医
療用消毒剤として、手指消毒、手術時の皮膚消毒、器具
消毒などに使用されてきた。
比較して、一部のグラム陰性菌、特に緑膿菌に対しては
比較的効力が弱いという欠点を有する。さらに最近にな
って常用濃度のクロロヘキシジン中に生存する緑膿菌や
シュードモナス・セパシア(Ps.cepacia )などの耐性
菌の存在が報告され、医療現場において大きな問題とな
っている。また、常用濃度でクロロヘキシジンを粘膜に
使用した際、ショック症状がひきおこされる場合がある
ため、現在では眼結膜を除く、粘膜への使用が制限され
ている。
シジンの有する幅広い抗菌スペクトル特性を維持しつつ
その欠点を改善した殺菌剤として有用な化合物が求めら
れている。すなわち、低濃度でも使用可能とすることに
より粘膜への安全な使用を可能とし、さらに緑膿菌およ
びその耐性菌に対する殺菌性を高めることにより、医療
用、特に手術用殺菌剤として有用なクロロヘキシジン系
殺菌剤が必要とされている。
を解決するため、クロロヘキシジンについて様々な置
換、修飾を行い、各誘導体について検討を行った。その
結果、クロロヘキシジンの二つのクロロ基をそれぞれト
リフルオロメトキシ基で置換した化合物が殺菌性に優
れ、特に緑膿菌類に対して高い殺菌性を示すことを見い
だし本発明を完成するに至った。
ビスビグアナイド系化合物およびその塩を要旨とする。
ド系化合物または製薬上受け入れられるその塩を含むこ
とを特徴とする殺菌剤を提供する。
ないが、好適例としては、塩酸塩、フッ酸塩、硫酸塩な
どの鉱酸塩やグルコン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などのカル
ボン酸塩が含まれる。特にグルコン酸塩が水溶性が高く
実用上好ましい。
ことなく、従来、クロロヘキシジンについて知られてい
る製造方法 (例えば、J,Chem.Soc.,4422(1956)参照) に
おいて、出発原料の一部を変更するだけで製造すること
ができる。その一例を示せば以下のとおりである。
を表す) で示されるジアミンとソジウムジシアナミドと
を反応させて、1,n −ビス(N3-シアノ-N1-グアニジノ)
アルカン (3)を得る。これに対して2当量または小過剰
の4−トリフルオロメトキシアニリン塩酸塩(4) を2−
エトキシエタノール、ブタノールなどの極性溶媒中で反
応させ、式(1) の塩酸塩を得る。反応は通常加熱還流条
件下で行うのが好ましい。必要により再結晶や有機溶剤
による洗浄等の操作により精製すればよい。得られた塩
を、水酸化ナトリウム等のアルカリで処理することによ
り式(1) の化合物が得られ、さらに適当な酸を加えるこ
とにより塩酸塩以外の塩、例えばグルコン酸塩等にする
ことができる。
例より明らかなように、多くの種類の菌に対して優れた
殺菌性を有し、緑膿菌等に対しても効果的であるので、
殺菌剤として非常に有用である。殺菌剤の形態は特に限
定されないが、最も一般的には、水溶性の高いグルコン
酸塩の形で0.01〜1.0 %程度の水溶液、あるいはアルコ
ール溶液として使用される。その際界面活性剤を添加し
たり、あるいは他の殺菌剤と組み合わせて使用してもよ
い。さらには固体の形態のまま錠剤化したり、基材に添
加して抗菌性を付与することも可能である。
が効きにくい菌種に対する殺菌力により決められる。従
来のクロロヘキシジンでは 0.1〜4%程度で使用してい
たが、この濃度では前記したように、粘膜に使用した場
合にショック症状がおきる恐れがある。しかし、本発明
化合物では0.01〜0.2 %程度の低濃度での使用が可能な
ので、粘膜創傷部位等へも適用でき適用範囲が広がる。
および使用例を示す。これらの例は本発明の構成、効果
をより明瞭に示すためのものであり、本発明は、これら
の例によって限定されるものではない。
N1−グアニジノ) ヘキサン12.5g(50 mmol) と4−トリ
フルオロメトキシアニリン塩酸塩 23.5 g(110mmol) を
2−エトキシエタノール中、加熱還流条件下で20時間反
応させる。析出した固体を濾別し、さらに濾液を濃縮し
たのちエタノールで洗浄して得られた固体を合わせて50
%酢酸から再結晶化させて塩酸塩19.5gを白色固体とし
て得た。
し、氷浴冷却下8N水酸化ナトリウム150 mlを滴下し
た。析出した固体を水洗した後、エタノール/水(7/
3)混合溶媒から再結晶して式(1) の化合物 (n=6)
を得た。同定データは以下に示す通りである; 核磁気共鳴スペクトル: 1H-NMR(270MHz,DMSO-d6/TMS);
δ1.32ppm(brs,4H),δ1.47ppm(m,4H),δ3.12ppm(t,4H,J
=6.8Hz),δ3.37ppm(brs,4H),δ7.19ppm(brs.8H),δ6.6
〜8.0ppm(brs,6H). 13C-NMR (67.8MHz,DMSO-d6/TMS);
δ26.04ppm,δ28.86ppm, δ40.54ppm, δ120.18ppm(q,J
CF=255.3Hz), δ121.51ppm,δ122.85ppm,δ142.52ppm,
δ145.02ppm,δ156.48ppm,δ159.02ppm. 19F-NMR(254M
Hz,DMSO-d6/TMS);δ-56.66ppm(s)。
4, 1160, 1252, 1382, 1425, 1508,1550, 1612, 2940,
3190, 3330 。
105(30.2 %), 108(20.2 %), 133(90.7 %), 202(100
%), 330(1.4%), 443(3.2%), 604(0.2%) 。
N1−グアニジノ) プロパン10.4g(50 mmol) と4−トリ
フルオロメトキシアニリン塩酸塩 23.5 g(110mmol) を
2−エトキシエタノール中、加熱還流条件下で15時間反
応させる。析出した固体を濾別し、さらに濾液を濃縮し
たのちエタノールで洗浄して得られた固体を合わせて50
%酢酸から再結晶化させて塩酸塩19.5gを白色固体とし
て得た。
し、氷浴冷却下8N水酸化ナトリウム150 mlを滴下し
た。析出した固体を水洗した後、エタノール/水(7/
3)混合溶媒から再結晶して式(1) の化合物 (n=3)
を得た。同定データは以下に示す通りである; 核磁気共鳴スペクトル: 1H-NMR(270MHz,DMSO-d6/TMS);
δ1.68ppm(brs,2H),δ3.39ppm(brs,4H),δ7.24ppm(brs.
8H),δ6.4 〜8.0ppm(brs,6H). 13C-NMR (67.8MHz,DMSO
-d6/TMS); δ27.55ppm, δ41.37ppm, δ121.34ppm(q,J
CF=253.5Hz), δ122.43ppm,δ123.78ppm,δ145.87ppm,
δ147.15ppm,δ158.48ppm,δ162.11ppm. 19F-NMR(254M
Hz,DMSO-d6/TMS);δ-57.26ppm(s)。
4, 1170, 1356, 1428, 1520, 1550,1625, 2940, 3200,
3310 。
105(30.2 %), 108(20.2 %), 133(40.3 %), 202(100
%), 401(2.0%), 562(0.5%) 。
N1−グアニジノ) デカン15.3g(50 mmol) と4−トリフ
ルオロメトキシアニリン塩酸塩 23.5 g(110mmol) を2
−エトキシエタノール中、加熱還流条件下で20時間反応
させる。析出した固体を濾別し、さらに濾液を濃縮した
のちエタノールで洗浄して得られた固体を合わせて50%
酢酸から再結晶化させて塩酸塩16.5gを白色固体として
得た。
し、氷浴冷却下8N水酸化ナトリウム200 mlを滴下し
た。析出した固体を水洗した後、エタノール/水(7/
3)混合溶媒から再結晶して式(1) の化合物 (n=10)
を得た。同定データは以下に示す通りである; 核磁気共鳴スペクトル: 1H-NMR(270MHz,DMSO-d6/TMS);
δ1.34ppm(brs,16H),δ3.12ppm(brs,4H),δ3.70ppm(br
s,4H),δ7.33ppm(brs,8H),δ6.6 〜8.0ppm(brs,6H).
13C-NMR (67.8MHz,DMSO-d6/TMS); δ26.35ppm, δ28.7
5ppm, δ28.83ppm, δ33.37ppm, δ42.54ppm, δ119.22
ppm(q,JCF=254 Hz),δ122.85ppm,δ123.73ppm,δ143.25
ppm,δ147.20ppm,δ158.84ppm,δ160.32ppm. 19F-NMR
(254MHz,DMSO-d6/TMS);δ-56.23ppm(s)。
8, 1174, 1260, 1375, 1510, 1570,1620, 3150, 3380
。
105(20.3 %), 108(15.7 %), 133(84.0 %), 202(100
%), 499(0.5%) 。
50%グルコン酸水溶液 (溶媒としては蒸留水を使用。以
下同じ) を加え、適宜希釈して化合物(1) の2グルコン
酸塩水溶液を調製した。
その殺菌性を「最小発育阻止濃度測定法」 (日本化学療
法学会標準法準拠) および「石炭酸係数測定法」の2法
により評価した。
2グルコン酸塩水溶液を一定量分取し、湯浴上で乾固し
た後無水酢酸に溶解し、過塩素酸水溶液を用いて電位差
測定を行うことによりその濃度を決定した。このように
濃度を決定した2グルコン酸塩水溶液を滅菌精製水で希
釈して濃度を調整し、1mlずつシャーレに分注し、Muel
ler-Hinton agar(Difco)9mlを加え、よく混ぜ合わせて
感受性測定用培地を調製した。培地における化合物濃度
は、200 μg/mlおよびその2n 倍(n=−8〜2) とし
た。一方、表1左欄に示す菌種を増菌用培地 [Mueller-
Hinton broth(Difco)]で37℃、24時間継代培養し、106/
mlに菌数を調整し、これをそれぞれ一連の感受性測定用
培地に接種した。37℃、24時間培養後判定し、完全に発
育が阻止された最低濃度を最小発育阻止濃度(MIC)
として測定した。殺菌剤としてクロロヘキシジンを用い
た比較例と共に結果を表1に示す。
ュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aerugino
sa) (緑膿菌) 、プロテウス・ブルガリス(Proteus vu
lgaris)、アルカリゲネス・フェカリース(Alcaligene
s faecalis)については、クロロヘキシジンと比較して
1/4 から1/8 の低濃度でも殺菌効果があることがわか
る。それ以外の菌種についてもクロロヘキシジンと同等
であるか、またはそれ以上の効果が示されている。
従い、化合物(1) (n=6)の即効性を判断した。培地
および試験方法は以下のとおりである。
分注し、121 ℃、20分間高圧蒸気滅菌して使用した。
(1) の2グルコン酸塩の希釈液を調製し、作用試験管に
10mlずつ分注し、20℃に保った恒温水槽につける。これ
らの希釈液に、消毒薬検査用ブイヨン培地で3代継代培
養 (37℃、18〜24時間) した菌液1mlを加え、よく混和
する。0.5 および5分後にその0.1 mlを消毒薬検査用ブ
イヨンに接種し、37℃で48時間培養し、菌の発育の有無
を判定して消毒薬の即効性を比較する。結果は表2に示
す。
は、クロロヘキシジンと比較して、緑膿菌や黄色ブドウ
球菌に対して特に効果が顕著であり、即効性に優れてい
ることがわかる。
いてn=2、3、5、8、10の化合物をそれぞれ合成
し、実験例1に示された最小発育阻止濃度測定法による
殺菌性の評価を行った。結果をn=6の結果と合わせて
表3に示す。
規ビスビグアナイド系化合物が提供される。この化合物
を含む殺菌剤は、抗菌スペクトルの幅広さにおいて従来
消毒剤として使用されているクロロヘキシジンに匹敵
し、かつクロロヘキシジンと比較しても即効性に優れ、
さらにクロロヘキシジンの殺菌性が低い緑膿菌等に対し
ても優れた殺菌性を示す。従って、医療現場用殺菌剤、
特に皮膚、器具用の殺菌剤として有用である。また、本
発明によって提供される殺菌剤は、粘膜に対する刺激の
少ないより低い濃度で使用することが可能で、ひいては
クロロヘキシジンで禁止されている粘膜への適用も可能
であると期待される。
Claims (2)
- 【請求項1】 次式(1) で表されるビスビグアナイド系
化合物およびその塩。式(1) 【化1】 (式中nは2〜10の整数を表す) - 【請求項2】 請求項1に示されるビスビグアナイド系
化合物または製薬上受けいれられるその塩を含むことを
特徴とする殺菌剤。
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