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JP3478219B2 - 共振器、共振素子、共振器装置、フィルタ、デュプレクサおよび通信装置 - Google Patents

共振器、共振素子、共振器装置、フィルタ、デュプレクサおよび通信装置

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Publication number
JP3478219B2
JP3478219B2 JP37519499A JP37519499A JP3478219B2 JP 3478219 B2 JP3478219 B2 JP 3478219B2 JP 37519499 A JP37519499 A JP 37519499A JP 37519499 A JP37519499 A JP 37519499A JP 3478219 B2 JP3478219 B2 JP 3478219B2
Authority
JP
Japan
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resonator
line
lines
filter
helical
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Application number
JP37519499A
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JP2001189612A (ja
Inventor
青路 日高
充昭 太田
眞 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP37519499A priority Critical patent/JP3478219B2/ja
Priority to GB0031142A priority patent/GB2358966B/en
Priority to CNB001377949A priority patent/CN1170340C/zh
Priority to US09/750,947 priority patent/US6538527B2/en
Priority to DE10065510A priority patent/DE10065510C2/de
Publication of JP2001189612A publication Critical patent/JP2001189612A/ja
Priority to US10/266,594 priority patent/US6624727B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3478219B2 publication Critical patent/JP3478219B2/ja
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Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P7/00Resonators of the waveguide type
    • H01P7/005Helical resonators; Spiral resonators

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Waveguides (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無線通信や電磁
波の送受信に利用される、たとえばマイクロ波帯やミリ
波帯における共振器、共振素子、共振器装置、フィル
タ、デュプレクサおよび通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マイクロ波帯やミリ波帯で用いら
れる共振器としては、誘電体ブロックに貫通孔を形成
し、貫通孔内に内導体を形成し、誘電体ブロックの外面
に外導体を形成して成る同軸共振器が用いられている。
【0003】また、このような誘電体同軸共振器の小型
化を目的としたものとして、実開平4−29207号お
よび特開平7−122914号が知られている。
【0004】これらはいずれも上記内導体を螺旋状に形
成することによって、貫通孔の軸長を短縮化したもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の内導
体を螺旋状に形成した従来の同軸共振器においては、螺
旋状に形成された1本のマイクロストリップ線路による
半波長線路または1/4波長線路にて1つの共振器を構
成したものであった。したがって、従来の同軸共振器に
おいては、電気エネルギーが集中して蓄積される領域と
磁気エネルギーが集中して蓄積される領域とがそれぞれ
分離されて偏在する。具体的には、線路の開放端部近傍
に電気エネルギーが蓄積され、短絡端近傍に磁気エネル
ギーが蓄積される。
【0006】このような、1本のマイクロストリップ線
路により共振線路を構成した共振器においては、マイク
ロストリップ線路が本質的に持つ縁端効果による特性劣
化を免れないという難点があった。すなわち線路の断面
を見た場合に、線路の縁端部(幅方向の両端、および厚
み方向の上端・下端)に電流が集中する。この電流集中
による電力損失を抑えるために、仮に線路の膜厚を厚く
しても、電流集中の生じる縁端部が広がる訳ではないた
め、縁端効果による電力損失の問題は必ず生じる。した
がって上記内導体を螺旋状に形成することによって、貫
通孔の軸長は例えば15%程度に小型化できるが、無負
荷Qは通常の同軸共振器が470であるのに対し55と
大きく劣化する。
【0007】この発明の目的は、上記縁端効果による電
力損失を極めて効果的に抑えて、優れた損失特性を有
し、且つ小型化を図った共振器、共振素子、共振器装
置、フィルタ、デュプレクサおよび通信装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明に係る共振器は、内面に、それぞれヘリカ
ル状の複数の線路を配列した孔を誘電体内に設け、該誘
電体の外面にグランド電極を形成し、前記複数のヘリカ
ル状の線路は、各線路の左右にそれぞれ他の線路が所定
の間隔を隔てて近接する位置関係となるように配置す
る。
【0009】この構造によって、ある1つのヘリカル状
の線路に隣接して、他のヘリカル状の線路が配置される
ことになる。したがって、ミクロ的に見た物理的な端部
は実際に存在し、それぞれの線路の端部に弱い縁端効果
が生じるが、これらの複数の線路の集合体を1つの線路
としてマクロ的に見た時、いわば或る線路の例えば右隣
りに当該線路と合同の線路の左側の縁端部が隣接するこ
とになり、線路の幅方向の端部というものがなくなる。
(端部の存在が希薄となる。)したがって、線路の縁端
部における電流集中が極めて効率的に緩和されて、全体
の電力損失が抑制される。
【0010】 この発明に係る共振素子は、絶縁体また
は誘電体からなる柱状の基材の側面にそれぞれヘリカル
状の複数の線路を、各線路の左右にそれぞれ他の線路が
所定の間隔を隔てて近接する位置関係となるように配置
する。この構造により、それぞれヘリカル状の複数の線
路の配列からなる集合体がキャビティ内に設けられて共
振器として作用するための共振素子となる。すなわち、
構造的には同軸共振器の中心導体をヘリカル状の複数の
線路の集合体から構成したものとなる。
【0011】この発明の共振器装置は、上記の共振器ま
たは共振素子と導電性遮蔽材とから構成する。この構造
により、導電性遮蔽材により所定領域内に電磁界エネル
ギーが閉じ込められて、外部への不要輻射または外部と
の不要な結合の生じない共振器が得られる。
【0012】また、この発明では、上記共振器、共振素
子および共振器装置におけるヘリカル状の複数の線路の
略等位相となる部分を線路で互いに接続する。これによ
り、上記線路による接続部分で同電位となるため、各線
路は所望の共振モードで安定して共振し、スプリアスが
抑制される。また、ヘリカル状の複数の線路が線路によ
り連結されて単一の線路となるため、結合用の電極との
間に大きな静電容量を形成し易く、外部回路との間で強
い結合を得ることができる。
【0013】この発明に係るフィルタは、上記ヘリカル
状の複数の線路を配列した孔を誘電体内に複数個、それ
ぞれの軸を異ならせて互いに略平行に配列することによ
って複数の共振器を構成し、所定の共振器に入出力手段
を結合させて構成する。これにより複数段の共振器が結
合したフィルタとして作用する。
【0014】また、この発明のフィルタは、上記絶縁体
または誘電体からなる柱状の基材の側面にそれぞれヘリ
カル状の複数の線路を配列してなる共振素子を、上記基
材の軸を異ならせて互いに略平行に共通の導電性キャビ
ティ内に配列することによって複数の共振器を構成し、
所定の共振器に入出力手段を結合させることにより構成
する。この構造により複数段の共振器が結合したフィル
タとして作用する。
【0015】また、この発明のフィルタは、誘電体内に
孔を設け、その孔内にそれぞれヘリカル状を成す複数の
線路の集合体を同軸上に複数組配列して複数の共振器を
構成するとともに、所定の共振器に結合する入出力手段
を設ける。この構造により複数段の共振器が結合したフ
ィルタとして作用する。
【0016】また、この発明のフィルタは、絶縁体また
は誘電体から成る柱状の基材に、それぞれヘリカル状を
成す複数の線路の集合体を同軸上に複数組配列して複数
の共振器を構成するとともに、所定の共振器に結合する
入出力手段を設ける。これにより複数段の共振器が結合
したフィルタとして作用する。
【0017】また、この発明に係るデュプレクサは、上
記フィルタを用いて構成する。すなわち、上記のいずれ
かの構成のフィルタを、例えば送信フィルタと受信フィ
ルタとして2組構成して、アンテナ共用器などの送受共
用器として用いられるようにする。
【0018】さらに、この発明に係る通信装置は、上記
フィルタまたはデュプレクサを用いて構成する。これに
より、高周波送受信部の挿入損失を低減し、雑音特性、
伝送速度等の通信品質を向上させる。
【0019】
【発明の実施の形態】第1の実施形態に係る共振器の構
成を図1〜図7を参照して説明する。図1は、共振器の
上面図および断面図である。また図2はその中央破断斜
視図である。
【0020】この例では、円筒形状をなす誘電体1の孔
9の内面に、それぞれヘリカル状の線路2を複数本配列
形成し、外面にグランド電極3を形成している。各々の
ヘリカル状線路2は両端開放の半波長共振線路として作
用し、隣接するヘリカル状線路間が相互誘導により、お
よび静電容量により結合し、この集合体により1つの共
振線路(同軸共振器の中心導体)を構成する。したがっ
て、この共振器は、多重ヘリカル状線路による両端開放
の中心導体を備え、且つその両開放端とグランド間に所
定のストレー容量を生じさせた共振器として作用する。
【0021】上記円柱形状の誘電体1の両端面にはグラ
ンド電極3を形成せずに、開放面としてもよい。但し、
図1および図2に示したように、両端面にグランド電極
3を形成することにより、外部への電磁界の不要輻射お
よび外部との不要な結合を抑制することができる。しか
も、多重ヘリカル状線路の開放端とグランド電極間に生
じるストレー容量によって共振周波数が低下するので、
所定の共振周波数を得るのに要する共振器の軸長をさら
に短縮化することができる。
【0022】なお、図1および図2に示した誘電体1は
磁性体材料から成る誘電体であってもよい。
【0023】図3は、それぞれヘリカル状の複数の線路
を配列した電極パターン(以下、この集合体を「多重ヘ
リカル状線路」という。)における電磁界および電流の
分布の例を示している。図3における上段は多重ヘリカ
ル状線路の断面図であるが、線路の内周端と外周端にお
けるチャージが最大の瞬間における多重ヘリカル状線路
の図1におけるA−A部分の断面での電界および磁界の
分布を示している。また、下段はその瞬間における同断
面での各線路の電流密度および線路の間隙を誘電体の厚
み方向に通る磁界の平均値をそれぞれ示している。
【0024】ここで各線路をミクロ的に見れば、図3に
示すようにそれぞれの縁端部において電流密度が大きく
なるが、孔の軸方向(図3における左右方向)の横断面
で見た時に、1つのヘリカル状線路の左右両端に一定の
間隙をおいて同程度の振幅と位相を持った電流の流れる
導体線路が配置されるため、縁端効果が緩和される。す
なわち多重ヘリカル状線路を1つの線路と見た場合に、
内周端と外周端が電流分布の節、中央が腹となるほぼ正
弦波状に分布し、マクロ的には縁端効果が生じない。
【0025】図4は比較例であり、図3に示した各線路
の線路幅を表皮深さの数倍の幅にまで広げた場合につい
て示している。このように線路幅を広げると、図に示す
ように各導体の縁端効果による電流集中が顕在化し、損
失低減効果は小さくなる。
【0026】図3および図4に示したような電磁界分布
は本来3次元解析を行わなければ得られないが、その計
算量は非常に膨大なものとなるため、実物をモデル化し
たシミュレーションではなく、縮小モデルのシミュレー
ションの結果を次に示す。
【0027】図5および図6は上記多重ヘリカル状線路
の線路間隔とQ値との関係をシミュレーションするため
のモデルについて示している。図5の上段は多重ヘリカ
ル状線路のみを示した斜視図であり、これをA−Bおよ
びA’−B’ラインで切断し、2次元平面上に展開した
図が下段の図である。ここで伝搬ベクトルkと線路の方
向ベクトルuとのなす角度をαとしている。
【0028】図6は図5に示した解析領域を拡大したも
のである。ここでLは線路幅、Sは線路間の間隙、Wは
線路の配列ピッチをそれぞれ表している。この解析領域
は二重周期境界条件、すなわち、x軸方向とy軸方向と
もに断面形状(物理的境界条件)が同一であり、電気的
境界条件は一般化して任意の位相差に指定できるように
した境界条件、を満たす最小領域としている。したがっ
て、解析領域の範囲は伝搬ベクトルk方向(y軸方向)
の距離をly 、同方向の位相差をΔφy で表し、これに
垂直なx軸方向の距離をlx 、同方向の位相差をΔφx
で表すと、 lx =W/cosα Δφx =0 ly =W/sinα Δφy =Δφ/sin2 α となる。
【0029】上記解析領域における各パラメータを次の
ように定めて、Wを変化させた時のQの変化は次の表1
に示すようになった。
【0030】計算条件 〈電極〉 膜厚 t=5μm 線幅 L=W/2 間隙 S=W/2 間隔W (可変) 線路長 Ltot =11.75mm 線間位相差Δφ (可変) 伝搬角 α=87.6° 〈誘電体〉 比誘電率 εr=80 誘電正接 tanδ=0 厚み h=100μm なお、上記線路の電極間隔Wおよび伝搬角αはそれぞれ
次式の関係にある。
【0031】W=L+S α=tan-1(Δφ/π)(Ltot /W) 〔表1〕 ───────────────────── W〔μm〕 Δφ Q ───────────────────── 1 0.36 79.7 2 0.72 78.1 3 1.08 75.6 4 1.44 72.4 5 1.80 68.8 ───────────────────── また、図7は上記のWとQの関係をグラフとして示した
ものである。
【0032】ここで、伝搬角αを一定条件の下で線幅L
を可変とする場合、線幅の縮小は線数の増大を意味す
る。例えば線幅4μmに対して、線幅2μmは線数の比
で2倍に増大することになる。
【0033】以上に示した計算結果から、線幅が細いほ
ど、すなわち線数が多いほど、Q値が大きくなることが
示された。なお、線幅が比較的太い場合には、縁端効果
による劣化要因が大きくなり所定の計算精度が得られな
いため、この計算例では5μmまでの計算結果を示して
いる。
【0034】なお、上記の計算結果におけるQ値は、前
述したように、縮小化モデルをシミュレーションしたも
のであるので、この実施形態による実際の共振器のQ値
を示すものではないことに注意すべきである。
【0035】このように、各ヘリカル状線路の線幅を縮
小化し、線数を増大させることによって、縁端効果によ
る損失が改善されて、Qの高い共振器が得られる。な
お、通常の同軸共振器の場合には、中心導体が筒状の導
体膜であっても柱状の導体棒であっても、共振器のQは
同じであるが、この第1の実施形態に係る共振器では、
誘電体に設けた孔の内空間も共振空間として寄与するた
め、その分、電流集中が緩和され、高いQが得やすい。
【0036】次に、第2の実施形態に係る共振素子の構
成を図8および図9を参照して説明する。図8は、共振
素子の正面図とそのA−A断面およびB−B断面をそれ
ぞれ示している。また、図9は同共振素子の斜視図であ
る。この例では、円柱形状の誘電体1の側面にそれぞれ
ヘリカル状の複数の線路2を配列して、多重ヘリカル状
線路を構成している。各々のヘリカル状線路2は両端開
放の半波長共振線路として作用し、隣接するヘリカル状
線路間が相互誘導により、および静電容量により結合
し、この集合体により1つの内導体(同軸共振器の中心
導体)を構成する。
【0037】なお、図8に示した例では、ヘリカル状線
路2を形成する基材として円柱形状の誘電体1を用いた
が、この基材は絶縁体や磁性体であってもよい。
【0038】図10は第3の実施形態に係る共振器の構
成を示す図である。この共振器は、図8に示した構造の
共振素子を用いて、その円柱状誘電体1の上面および下
面に円板形状の導電性遮蔽板4′を取り付けたものであ
る。この導電性遮蔽板4′とヘリカル状線路2の開放端
との間には所定の間隙を設けている。同図におけるB−
B断面ではその電磁界分布を示している。複数のヘリカ
ル状線路2による電磁界は導電遮蔽板4′によって遮蔽
されて、外部への不要輻射および外部との不要な結合が
抑制される。
【0039】図11は第4の実施形態に係る共振器の構
成を示している。この共振器は、図8に示した構造の共
振素子を導電性キャビティ4内に設けたものである。こ
の導電性キャビティ4と複数のヘリカル状線路2による
多重ヘリカル状線路の開放端との間には所定の間隙を設
けている。したがって、この共振器は、多重ヘリカル状
線路による両端開放の中心導体を備え、且つその両開放
端とグランド間に所定のストレー容量を生じさせた共振
器として作用する。
【0040】この例では、多重ヘリカル状線路の側面部
をも遮蔽しているので、図10に示した例よりさらに高
い遮蔽効果が得られる。
【0041】図10および図11に示した共振器は、通
常の同軸共振器の場合とは異なり、柱状の誘電体1も共
振空間として寄与するため、その分、電流集中が緩和さ
れ、高いQを得やすい。
【0042】次に、第5の実施形態に係る共振器の構成
を図12を参照して説明する。図12はそれぞれタイプ
の異なった4つの共振素子の斜視図である。(A)に示
す例では、円柱状の誘電体1の側面に複数のヘリカル状
線路2による多重ヘリカル状線路を形成するとともに、
それらの一方の端部同士をリング状の線路6によって共
通に接続している。(B)に示す例では、多重ヘリカル
状線路の各線路2の中央を線路6によって共通に接続し
ている。(C)に示す例では、多重ヘリカル状線路の各
線路2の両端部分を線路6によって共通に接続してい
る。さらに(D)に示す例では、多重ヘリカル状線路の
任意の等位相部分を線路6によって共通に接続してい
る。(この例では各線路2の中央部と両端部をそれぞれ
線路6によって共通に接続している。) このように、各ヘリカル状線路の等位相部分を共通に接
続したことにより、各ヘリカル状線路における接続され
た各点の電位がそろうため高次モードが抑圧される。ま
た、各ヘリカル状線路の開放端の周上を接続する
(A),(C),(D)の構成では、周上での電極断面
積が大きくなるため、外部結合用の電極をこの線路6に
近接する位置に設けるだけで外部回路との間で大きな結
合容量を構成することができ、必要に応じて強い外部結
合を容易にとることができる。
【0043】なお、図12では誘電体柱の側面に多重ヘ
リカル状線路を形成した共振素子に適用した例を示した
が、図1に示したように、誘電体内に設けた孔の内面に
多重ヘリカル状線路を形成した共振器にも同様に適用で
きる。すなわち、孔の内面に形成した多重ヘリカル状線
路の各線路の等位相部分をリング状の線路によって共通
に接続してもよい。
【0044】次に、第6の実施形態に係るフィルタの構
成を図13を参照して説明する。図13はフィルタの上
面図および断面図である。図に示す1は単一の略直方体
形状の誘電体(誘電体ブロック)であり、9a,9b,
9cで示す3つの孔を設けていて、それらの内面に、そ
れぞれ2a,2b,2cで示す複数のヘリカル状線路の
集合体である多重ヘリカル状線路を形成している。誘電
体1には、その外面から孔9a,9cの一方の開口部に
かけて入出力電極5a,5cを形成している。また誘電
体1の外面には、入出力電極5a,5cの形成部分を避
けてグランド電極3を略全面に形成している。このフィ
ルタを電子機器の回路基板などに実装する際には、入出
力電極5a,5cを形成した面を実装面として表面実装
する。
【0045】図13において、孔9a,9b,9cの内
面に形成した多重ヘリカル状線路、誘電体1およびグラ
ンド電極3によって、これらは3つの誘電体同軸共振器
として作用する。この3つの共振器のうち隣接する共振
器同士が電磁界結合する。また孔9aの内面に形成した
多重ヘリカル状線路の一方の開放端は入出力電極5aの
リング状をなす部分との間で容量性結合する。同様に、
孔9cの内面に形成した多重ヘリカル状線路の一方の開
放端と入出力電極5cのリング状をなす部分との間が容
量性結合する。これにより、3段の共振器による帯域通
過特性を有するフィルタとして作用する。
【0046】図14は第7の実施形態に係るフィルタの
断面図である。この例では、3つの円柱形状の誘電体1
a,1b,1cのそれぞれの側面に、2a,2b,2c
で示す複数のヘリカル状線路の集合体である多重ヘリカ
ル状線路を形成して、3つの共振素子を構成し、これを
導電性キャビティ4の内部に配置することによって、3
段の同軸共振器を構成している。またキャビティ4には
同軸コネクタ10a,10cを取り付け、それらの中心
導体とキャビティ4の内壁面との間に結合ループ11
a,11cを設けている。結合ループ11a,11cの
ループ面は、この例では、柱状の誘電体1a,1b,1
cの軸方向に対し垂直な面に向けている。これにより、
結合ループは柱状の誘電体1a,1b,1cの軸方向成
分の磁界を最も強く励振する。この構成によって、3段
の共振器による帯域通過特性を示すフィルタとして作用
する。
【0047】次に、第8の実施形態に係るフィルタの構
成を図15を参照して説明する。この例では、誘電体1
の内部に長手方向に延びる孔9を設けていて、この内面
に、2a,2b,2cで示す複数のヘリカル状線路の集
合体である多重ヘリカル状線路を同軸上に形成してい
る。誘電体1には、その外面から孔9の所定深さの内部
にまで入出力電極5a,5cを形成している。また誘電
体1の外面には入出力電極5a,5cの形成領域を避け
てグランド電極3を形成している。
【0048】このようにして、3つの多重ヘリカル状線
路、誘電体1およびグランド電極3によって、それぞれ
半波長の同軸共振器として作用させる。隣接する共振器
間は容量性結合し、またヘリカル状線路2a,2cによ
る共振器と入出力電極5a,5cとはそれぞれ容量性結
合する。これにより3段の共振器による帯域通過特性を
示すフィルタとして作用する。
【0049】なお、図15に示した構造で、多重ヘリカ
ル状線路の開放端に、図12の(C)等に示したよう
に、等位相部分を共通接続する線路を設ければ、隣接す
る共振器間を強く結合させることができ、また共振器と
入出力電極5a,5bとを強く結合させることができ
る。
【0050】図16は第9の実施形態に係るフィルタの
構成を示している。この例では、円柱形状の誘電体1の
側面にヘリカル状線路2a,2b,2cによる多重ヘリ
カル状線路を3組形成し、誘電体1の対向する両端面に
入出力電極5a,5cを形成している。この誘電体1は
導電性キャビティ4の内部に、絶縁性または誘電性の支
持体7によって支持している。導電性キャビティ4には
同軸コネクタ10a,10cを取り付けていて、その中
心導体を入出力電極5a,5cにそれぞれ接続してい
る。
【0051】上記3つの多重ヘリカル状線路と導電性キ
ャビティ4とによって、これらはそれぞれ同軸共振器と
して作用し、隣接する共振器間は容量性結合する。また
両端部の共振器と入出力電極5a,5cとはそれぞれ容
量性結合する。これにより3段の共振器による帯域通過
特性を示すフィルタとして作用する。
【0052】次に、多重ヘリカル状線路の線路部分の他
のいくつかの構成例を図17〜図20に示す線路部分の
断面図を基に説明する。
【0053】図17に示す例では、線路の幅を導体の表
皮深さ程度またはそれより細くしている。そのため、導
体の左右の間隙(スペース)を通り抜ける磁束を保持す
るために流れる電流が左右で干渉する距離となり、共振
位相からずれた位相を持つ無効電流を低減することがで
きる。その結果、電力損失が飛躍的に低減できる。
【0054】図18に示す例では、誘電体の表面に薄膜
導体層、薄膜誘電体層、薄膜導体層、薄膜誘電体層の順
に積層し、さらに最上層に導体層を設けて3層構造の薄
膜多層電極として線路を構成している。このように膜厚
方向に薄膜多層化することにより、基板の界面からの表
皮効果を緩和することができ、さらなる導体損失の低減
が図れる。
【0055】図19は上記薄膜多層電極の間隙部分に誘
電体材料を充填したものである。この構造によれば、隣
接する線路間の短絡および層間の短絡を容易に防止する
ことができ、信頼性の向上および特性安定化が図れる。
【0056】図20に示す例では線路の電極材料として
超伝導体を用いている。例えばイットリウム系やビスマ
ス系の高温超伝導体材料を用いる。一般に超伝導材料を
電極として用いる場合に、その耐電力特性が低下しない
ように電流密度の上限を定める必要があるが、このよう
に、線路を多重ヘリカル状線路とすることによって、実
質的に縁端部のない線部となるため大きな電流集中がな
く、超伝導体の臨界電流密度以下のレベルで容易に動作
させることができる。その結果、超伝導体の低損失特性
が有効に利用できる。
【0057】次に、デュプレクサの構成例を図21を参
照して説明する。以上に示した各種フィルタを用いて、
アンテナ共用器としてのデュプレクサを構成するには、
受信周波数帯域を通過させ、送信周波数帯域を阻止する
受信フィルタと、送信周波数帯域を通過させ、受信周波
数帯域を阻止する送信フィルタとを組み合わせればよ
い。図21はその構成を示すブロック図である。
【0058】上記2つのフィルタは以上に示したいずれ
かのタイプのフィルタを個別に設けてもよいが、一体化
してもよい。すなわち図13または図15に示した構造
であれば、ブロック状の誘電体1に、受信フィルタ用の
複数段の多重ヘリカル状線路と送信フィルタ用の複数段
の多重ヘリカル状線路とをそれぞれ配置し、送信信号入
力端子、受信信号出力端子、およびアンテナ端子として
の入出力電極をそれぞれ形成すればよい。
【0059】また、図14に示した構造であれば、単一
の導電性キャビティ内に、受信フィルタ用の複数段の多
重ヘリカル状線路と送信フィルタ用の複数段の多重ヘリ
カル状線路とをそれぞれ配置し、送信信号入力用、受信
信号出力用、およびアンテナ用の同軸コネクタをそれぞ
れ設ければよい。
【0060】この構造により送信信号の受信回路への回
り込みおよび受信信号の送信回路への回り込みを防止す
るとともに、送信回路からの送信信号の送信周波数帯域
のみを通過させてアンテナへ導き、アンテナからの受信
信号の受信周波数帯域のみを通過させて受信機へ与え
る。
【0061】図22は通信装置の構成を示すブロック図
である。ここでデュプレクサとしては上述のアンテナ共
用器としてのデュプレクサを用いる。通信装置の回路基
板上には送信回路と受信回路を構成し、送信フィルタの
入力端子に送信回路が接続され、受信フィルタの出力端
子に受信回路が接続され、且つANT端子にアンテナが
接続されるように、上記回路基板上にデュプレクサを実
装する。
【0062】
【発明の効果】請求項1,2に記載の発明によれば、
数のヘリカル状の線路を、各線路の左右にそれぞれ他の
線路が所定の間隔を隔てて近接する位置関係となるよう
に配置することにより、共振器が小型化され、しかも線
路の縁端部における電流集中が極めて効率的に緩和され
て、全体の電力損失が抑制される。
【0063】請求項3,4,5に記載の発明によれば、
複数のヘリカル状線路の各線路は所望の共振モードで安
定して共振し、スプリアスモードが抑制される。また、
ヘリカル状の複数の線路が線路により連結されて単一の
線路となるため、結合用の電極との間に大きな静電容量
を形成し易く、外部回路との間で強い結合を得ることが
できる。
【0064】請求項6に記載の発明によれば、各孔が深
くならないので、孔内へ複数の多重ヘリカル状線路を容
易に形成することができる。また、誘電体内における共
振器の配置の自由度が高いので、所定の共振器と入出力
部との結合も容易にとることができ、低挿入損失で小型
のフィルタが得られる。
【0065】請求項7に記載の発明によれば、導電性キ
ャビティ内における複数の多重ヘリカル状線路の配置の
自由度が高いので、複数の共振器による低挿入損失で小
型のフィルタが容易に得られる。
【0066】請求項8に記載の発明によれば、共振器間
を電界によって結合させることができるため、ジュール
損による損失が抑えられる。
【0067】請求項9に記載の発明によれば、部品点数
が削減され、また基材内にエネルギーが集中するため、
全体に小型化できる。
【0068】請求項10に記載の発明によれば、導電性
遮蔽材により所定領域内に電磁界エネルギーが閉じ込め
られて、外部への不要輻射または外部との不要な結合が
生じることがなく、入出力手段を介して外部との入出力
を行えるようになる。
【0069】請求項11に記載の発明によれば、低挿入
損失で小型のデュプレクサが得られる。
【0070】請求項12に記載の発明によれば、高周波
送受信部の挿入損失が低減されて、雑音特性および伝送
速度等の通信品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る共振器の構成を示す図
【図2】同共振器の中央破断斜視図
【図3】同共振器の電磁界分布の例を示す図
【図4】他の共振器の電磁界分布の例を示す図
【図5】多重ヘリカル状線路の解析モデルを示す図
【図6】多重ヘリカル状線路の解析モデルを示す図
【図7】複数のヘリカル状線路の配列ピッチWと共振器
のQとの関係を示す図
【図8】第2の実施形態に係る共振器の構成を示す図
【図9】同共振素子の斜視図
【図10】第3の実施形態に係る共振器の構成を示す図
【図11】第4の実施形態に係る共振器の構成を示す図
【図12】第5の実施形態に係る共振素子の構成を示す
斜視図
【図13】第6の実施形態に係るフィルタの構成を示す
【図14】第7の実施形態に係るフィルタの構成を示す
【図15】第8の実施形態に係るフィルタの構成を示す
【図16】第9の実施形態に係るフィルタの構成を示す
【図17】第10の実施形態に係る共振器の線路部分の
拡大断面図
【図18】第11の実施形態に係る共振器の線路部分の
拡大断面図
【図19】第12の実施形態に係る共振器の線路部分の
拡大断面図
【図20】第13の実施形態に係る共振器の線路部分の
拡大断面図
【図21】デュプレクサの構成を示す図
【図22】通信装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1−誘電体 2−ヘリカル状線路 3−グランド電極 4−導電性キャビティ 4′−導電性遮蔽板 5−入出力電極 6−線路 7−支持体 9−孔 10−同軸コネクタ 11−結合ループ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−13112(JP,A) 特開 昭61−222301(JP,A) 実開 平1−175002(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 7/00 H01P 1/20 H01P 1/213 H01P 3/08

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面に、それぞれヘリカル状の複数の線
    路を配列した孔を誘電体内に設け、該誘電体の外面にグ
    ランド電極を形成してなる共振器であって、前記複数の
    ヘリカル状の線路は、各線路がその左右にはそれぞれ他
    の線路が所定の間隔を隔てて近接している位置関係とな
    るように配置されていることを特徴とする共振器。
  2. 【請求項2】 絶縁体または誘電体から成る柱状の基材
    の側面にそれぞれヘリカル状の複数の線路を配列して成
    る共振素子であって、 前記複数のヘリカル状の線路は、各線路がその左右には
    それぞれ他の線路が所定の間隔を 隔てて近接している位
    置関係となるように配置されていることを特徴とする共
    振素子。
  3. 【請求項3】 前記ヘリカル状の複数の線路の略等位相
    となる部分を線路で互いに接続して成る請求項1に記載
    の共振器。
  4. 【請求項4】 前記ヘリカル状の複数の線路の略等位相
    となる部分を線路で互いに接続して成る請求項2に記載
    の共振素子。
  5. 【請求項5】 請求項1もしくは3に記載の共振器また
    は請求項2もしくは4に記載の共振素子と導電性遮蔽材
    とから成る共振器装置。
  6. 【請求項6】 前記誘電体内に、それぞれの軸を異なら
    せて複数の前記孔を互いに略平行に配列した請求項1ま
    たは3に記載の共振器と、これらの共振器のうち所定の
    共振器に結合する入出力手段とを設けたフィルタ。
  7. 【請求項7】 前記基材を、それぞれの軸を異ならせて
    互いに平行に共通の導電性キャビティ内に配列した請求
    項2または4に記載の共振素子と、これらの共振素子の
    うち所定の共振素子に結合する入出力手段とを設けたフ
    ィルタ。
  8. 【請求項8】 前記孔の内面に、それぞれヘリカル状の
    複数の線路の集合体を同軸上に複数組配列した請求項1
    または3に記載の共振器と、これらの共振器のうち所定
    の共振器に結合する入出力手段とを設けたフィルタ。
  9. 【請求項9】 前記基材の側面に、前記ヘリカル状の複
    数の線路の集合体を同軸上に複数組配列した請求項2ま
    たは4に記載の共振素子と、これらの共振素子のうち所
    定の共振素子に結合する入出力手段とを設けたフィル
    タ。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載の共振器装置と入出力
    手段とから成るフィルタ。
  11. 【請求項11】 請求項6〜10のうちいずれかに記載
    のフィルタを用いて構成したデュプレクサ。
  12. 【請求項12】 請求項6〜10のうちいずれかに記載
    のフィルタまたは請求項11に記載のデュプレクサを用
    いて構成した通信装置。
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