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JP3380165B2 - 高周波フィルタ装置、共用器および通信装置 - Google Patents

高周波フィルタ装置、共用器および通信装置

Info

Publication number
JP3380165B2
JP3380165B2 JP13474198A JP13474198A JP3380165B2 JP 3380165 B2 JP3380165 B2 JP 3380165B2 JP 13474198 A JP13474198 A JP 13474198A JP 13474198 A JP13474198 A JP 13474198A JP 3380165 B2 JP3380165 B2 JP 3380165B2
Authority
JP
Japan
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filter
resonator
electrode
band
superconducting
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Application number
JP13474198A
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JPH11330803A (ja
Inventor
準 服部
青路 日高
則文 松井
祥一 楢橋
俊雄 野島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTT Docomo Inc
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
NTT Docomo Inc
Murata Manufacturing Co Ltd
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Publication date
Application filed by NTT Docomo Inc, Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical NTT Docomo Inc
Priority to JP13474198A priority Critical patent/JP3380165B2/ja
Publication of JPH11330803A publication Critical patent/JPH11330803A/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無線通信等に利
用されるマイクロ波帯やミリ波帯における高周波フィル
タ装置、共用器およびそれらを用いた通信装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】無線通信に利用されるマイクロ波帯やミ
リ波帯の高周波フィルタ装置において、特に移動体通信
システムの基地局に使用される高周波フィルタ装置は、
大電力を扱うにも拘らず小型、低損失、低コスト化が要
求される。このような大電力を扱う高周波フィルタ装置
においては、無負荷Qが高く、且つ小型である誘電体共
振器が用いられているが、装置が小型になるほどその放
熱効率が低下し、温度上昇に対する対策が深刻な問題と
なる。
【0003】そこで、特開平6−37513号公報で
は、電極材料として超伝導体を用いた装置が提案されて
いる。その構成例を図24に示す。同図の(A)は上面
図、(B)は(A)におけるA−A部分の断面図であ
る。このように、誘電体基板の下面に全面接地電極を形
成し、上面にマイクロストリップラインを形成してい
る。これらの電極は誘電体基板表面から超伝導体薄膜、
高耐熱性金属薄膜、高導電率金属薄膜の順に層をなして
形成している。
【0004】このように超伝導体薄膜と高導電率金属薄
膜を組み合わせた電極を形成することによって、通常状
態では超伝導体薄膜の導電率は極めて大きくなって、導
体損失の少ない、Qの高い共振器(マイクロストリップ
共振器)として作用する。そして電極が超伝導体材料の
超伝導転移温度(以下単に「転移温度」という。)以上
に昇温した場合、超伝導体薄膜の導電率が急激に低下す
るが、高導電率金属薄膜により導体損失が低く抑えら
れ、致命的な特性劣化に到らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図24に示
した従来の装置においては、超伝導体または常伝導体
(金属導体)のそれぞれを単体の電極として構成する場
合に比べて、低損失性、信頼性、耐電力性の点で劣るも
のと考えられる。すなわち超伝導体薄膜に対して金属薄
膜を積層形成することによって超伝導体薄膜の物性に変
化を来すおそれがあり、電極が転移温度以上に昇温した
際に電極各層の発熱により信頼性が低下し、耐電力特性
に問題が生じるものと考えられる。また電極を超伝導体
薄膜のみにより構成した場合に比べて、電極が転移温度
以上に昇温した際のフィルタとしての挿入損失は小さく
なるが、転移温度を超える場合と超えない場合での導体
損失の変化が小さくなく、誘電体共振器としての無負荷
Qの変化およびフィルタとしての特性変化はまだ充分に
抑えられない。
【0006】この発明の目的は上述の各種問題点を解消
して、通常状態における低損失性、高信頼性、高耐電力
性を維持し、且つ電極が転移温度以上に昇温した場合で
も、致命的な特性劣化を招かないようにした高周波フィ
ルタ装置、共用器および通信装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】超伝導体薄膜と金属薄膜
との積層体からなる電極を用いることによる上述した問
題を解消するために、この発明では、超伝導体を電極材
料とする共振器による超伝導フィルタと、常伝導体を電
極材料とする共振器による常伝導フィルタとを組み合わ
せて高周波フィルタ装置を構成する。特に、常伝導フィ
ルタで周波数特性の中央部付近の特性を定めるフィルタ
を構成し、該常伝導フィルタに対して超伝導フィルタ
を、周波数特性の端部付近の特性を強化する関係に接続
してフィルタ装置を構成する。
【0008】超伝導体を電極材料とする共振器は、その
電極が超伝導を示す通常の使用状態で無負荷Qが極めて
高い特性を示し、転移温度以上に昇温した際に、この共
振器の無負荷Qは大きく低下することになる。一方、常
伝導体の導電率は温度依存性があるものの、超伝導体の
ように転移温度付近で導電率が急激に変化するようなこ
とがない。そのため常伝導体を電極材料とする共振器
は、超伝導体の転移温度を超えるか超えないかに殆ど関
係なく、共振器の無負荷Qは安定している。
【0009】したがって上記超伝導体が超伝導性を示す
通常状態では、超伝導体を電極材料とする共振器の高い
無負荷Qの特性が生かされて、電極温度が転移温度以上
に昇温した際には、常伝導体を電極材料とする共振器に
よるフィルタ特性を示すことになる。そのため電極の温
度が転移温度以上に昇温しても、致命的な特性劣化に到
らないように、常伝導体を電極材料とする共振器でフィ
ルタ特性の主要部を定め、超伝導体を電極材料とした共
振器を、フィルタ特性を強化するために用いれば、転移
温度以上に昇温した場合の致命的な特性劣化を招くこと
がない。
【0010】たとえば超伝導体を電極材料とする共振器
を、通過帯域の片端または両端の近傍の周波数を通過さ
せるフィルタとし、常伝導体を電極材料とする共振器
を、通過帯域の中央付近の周波数を通過させるフィルタ
とする。このことにより、電極の温度に関わらず常伝導
体を電極材料とする共振器により帯域通過特性をもたせ
ることができ、上記超伝導体が超伝導を示す通常の使用
状態では、その共振器は通過帯域の片端または両端の近
傍の周波数を通過させるため、通過帯域の上端、下端ま
たは両端に急峻な減衰特性をもたせることができる。し
たがって電極の温度が超伝導体の転移温度以上に昇温し
ても、この帯域通過特性の片端または両端の減衰特性が
緩やかになるだけであり、全体として帯域通過特性を保
つことができる。
【0011】また、たとえば超伝導体を電極材料とする
共振器を、通過帯域の片端または両端の近傍の周波数を
阻止するフィルタとし、常伝導体を電極材料とする共振
器を、通過帯域の中央付近の周波数を通過させるフィル
タとする。この場合も、電極の温度に関わらず常伝導体
を電極材料とする共振器により帯域通過特性をもたせる
ことができ、上記超伝導体が超伝導を示す通常の使用状
態では、その共振器は通過帯域の片端または両端の近傍
の周波数を阻止するため、通過帯域の上側、下側または
両側に急峻な減衰特性をもたせることができる。
【0012】また、この発明では常伝導体による電極の
一部または全部を、薄膜導電体層と薄膜誘電体層の積層
体からなる薄膜多層電極とする。このことにより電極部
分の電流密度の集中が緩和されて、全体として導体損失
が低減され、無負荷Qの高い共振器が得られる。したが
って、電極温度が上昇して、超伝導体が超伝導性を示さ
なくなる状態でも、常伝導体による電極を用いた共振器
の高い無負荷Q特性が生かされて、低挿入損失の高周波
フィルタ装置が得られる。
【0013】また、この発明では、共通のポートとその
他の個別のポートとの間に、上記のいずれかの高周波フ
ィルタ装置を設けて共用器を構成する。たとえば共通の
ポートと個別の或るポートとの間に、送信信号を通過さ
せる送信フィルタとしての高周波フィルタ装置を設け、
共通のポートと他の個別のポートとの間に、受信信号を
通過させる受信フィルタとしての高周波フィルタ装置を
設ければ、全体として転移温度前後の温度変化に対する
特性変化の少ないアンテナ共用器等の送受共用器が得ら
れる。また1つの共通のポートと他の複数の個別のポー
トの間にそれぞれ送信信号を通過させる送信フィルタと
しての高周波フィルタ装置を設ければ、全体として転移
温度前後の温度変化に対する特性変化の少ない送信共用
器が得られる。
【0014】さらに、この発明では、上記のいずれかの
高周波フィルタ装置を通信信号の送信部または受信部に
設けて通信装置を構成する。たとえば移動体通信システ
ムの基地局に使用される送信共用器における各チャンネ
ルフィルタやアンテナフィルタに上記高周波フィルタ装
置を用いる。このことによって、小型、低損失、低コス
トで且つ信頼性の高い通信装置が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】第1の実施形態に係る高周波フィ
ルタ装置の構成を図1および図2を参照して説明する。
【0016】図2は高周波フィルタ装置を構成する各部
をブロック化して示したものである。同図においてKは
結合回路、Rsは超伝導体を電極材料とする共振器(以
下「超伝導共振器」と言う。)、Rnは常伝導体を電極
材料とする共振器(以下「常伝導共振器」と言う。)、
PSは移相器であり、たとえば位相をπだけシフトさせ
る。また(fi)は共振周波数がfiの共振器であるこ
とを示している。たとえばRs(f1)は共振周波数が
f1の超伝導共振器であること、Rn(f8)は共振周
波数がf8の常伝導共振器であることを表している。
【0017】図1は上記各共振器の共振周波数と通過帯
域との関係を示している。この例では通過帯域の下端近
傍の周波数を共振周波数f1とf2の2つの超伝導共振
器が担い、通過帯域の中央から上端近傍の周波数を共振
周波数f3〜f8の6つの常伝導共振器が担う。そのた
め、通常の使用状態では図1の(A)に示すように通過
帯域の低域側は急峻な減衰特性を示す。超伝導共振器の
温度(電極の温度)が転移温度以上に昇温して、共振周
波数f1,f2を担う超伝導共振器の無負荷Q(Qo)
が低下した場合、その挿入損失が増大するため、図1の
(B)に示すように通過帯域の低域側の減衰特性は若干
なだらかになる。しかし、f3〜f8を担う常伝導共振
器の特性はほとんど変化しないため、全体として帯域通
過特性を維持することになる。
【0018】なお、通過帯域の上端側の減衰特性も急峻
にするためには、たとえば共振周波数f7,f8を担う
2つの共振器に超伝導共振器を用いればよい。
【0019】図2に示したように、各共振器の共振周波
数を順に並べた場合の、共振周波数の隣接する共振器
を、たとえばπだけ移相する移相器PSを介して並列に
接続することにより、共振周波数の隣接する2つの共振
器は分岐点から見たインピーダンスが非常に大きくなる
ため、相互の干渉を防ぐことができる。
【0020】図2において各共振器はたとえば図18に
示すような、円柱形状の誘電体柱の上下面に電極を形成
した円形TMモードの誘電体共振器であり、結合回路K
はたとえばその円形TMモードの誘電体共振器と結合す
るループまたはプローブである。また移相器PSはたと
えば位相差πをもたせる電気長の線路である。
【0021】なお、図18において(A)は遮蔽空胴
(キャビティ)内の底面に誘電体柱を載置した例、
(B)は上下面に電極を形成した誘電体柱を積層一体化
するとともに、外面の電極を遮蔽空胴(キャビティ)内
の天面と底面の間にそれぞれ接合させた例である。いず
れの場合も円形TMモードの誘電体共振器として作用す
るが、電極を超伝導体とすることによって超伝導共振器
となり、電極を常伝導体とすることによって常伝導共振
器となる。
【0022】上記共振器としては、その他に、後に説明
する図12のようなTM二重モードの誘電体共振器や、
図19〜図22に示すような短絡型誘電体共振器を用い
ることができる。これらの図において(A)は斜視図、
(B)は(A)におけるA−A部分の断面図である。図
19に示す例では、直方体形状の誘電体ブロックの外面
に電極を形成することによって、TMモードの誘電体共
振器として作用させる。図20の例では、中央に角柱状
の誘電体部分が形成されるように、その周囲に空隙部を
形成してTMモードの誘電体共振器として作用させる。
同様に、図21に示す例では、円柱形状の誘電体ブロッ
クの外面に電極を形成することによって、円形TMモー
ドの誘電体共振器として作用させる。図22の例では、
中央に円柱状の誘電体部分が形成されるように、その周
囲に空隙部を形成して円形TMモードの誘電体共振器と
して作用させる。いずれの場合も電極を超伝導体とする
ことによって超伝導共振器となり、電極を常伝導体とす
ることによって常伝導共振器となる。
【0023】さらに、上記共振器は、誘電体共振器に限
らずストリップ型の共振器であってもよい。この場合
も、電極を超伝導体とすることによって超伝導共振器と
なり、電極を常伝導体とすることによって常伝導共振器
となる。
【0024】次に、第2の実施形態である高周波フィル
タ装置の構成を図3〜図6を参照して説明する。
【0025】図6は高周波フィルタ装置の全体の構成を
ブロック化して表したものである。同図においてSBP
F1は超伝導共振器を用いた帯域通過フィルタ(以下
「超伝導帯域通過フィルタ」と言う。)、NBPFは常
伝導共振器を用いた帯域通過フィルタ(以下「常伝導帯
域通過フィルタ」と言う。)、PSは移相器であり、位
相をたとえばπだけシフトさせる。
【0026】図3は常伝導帯域通過フィルタNBPFの
通過特性、図4は超伝導帯域通過フィルタSBPF1お
よびSBPF2のそれぞれの通過特性を示している。図
3に示す常伝導帯域通過フィルタNBPFは周波数f2
〜f3を通過帯域とし、図4に示す超伝導帯域通過フィ
ルタSBPF1は周波数f1〜f2を通過帯域とし、S
BPF2はf3〜f4を通過帯域とする。
【0027】常伝導共振器は超伝導共振器に比べればQ
oが小さいため、常伝導帯域通過フィルタの通過帯域両
端の減衰特性は比較的なだらかとなる。一方、超伝導共
振器はのQoは極めて高いため、超伝導帯域通過フィル
タの通過帯域両端の減衰特性は急峻となる。
【0028】この3つの共振器を図6に示したように並
列接続することにより、その総合特性は図5のようにな
る。すなわち通過帯域のうち低域側(f1〜f2)は超
伝導帯域通過フィルタSBPF1が担い、通過帯域の高
域側(f3〜f4)側は超伝導帯域通過フィルタSBP
F2が担い、さらに通過帯域の中央部(f2〜f3)は
常伝導帯域通過フィルタNBPFが担う。したがって通
過帯域両端の減衰特性が急峻なフィルタ特性が得られ
る。
【0029】もし超伝導帯域通過フィルタを構成する超
伝導共振器の電極が転移温度以上となって超伝導性を示
さなくなると、超伝導帯域通過フィルタの挿入損失が増
大し減衰特性もなだらかとなるが、常伝導帯域通過フィ
ルタの作用により、通過帯域中心付近の挿入損失は若干
増加する程度に抑えられ、フィルタ全体として致命的な
特性の劣化に至らない。
【0030】次に、第3の実施形態である高周波フィル
タ装置の構成を図7〜図11を参照して説明する。
【0031】図10は高周波フィルタ装置の全体の構成
をブロック化して表したものである。同図においてSB
EF1は超伝導共振器を用いた帯域阻止フィルタ(以下
「超伝導帯域阻止フィルタ」と言う。)、NBPFは常
伝導帯域通過フィルタである。
【0032】図7は常伝導帯域通過フィルタNBPFの
通過特性、図8は超伝導帯域阻止フィルタSBEF1お
よびSBEF2のそれぞれの通過特性を示している。図
7に示す常伝導帯域通過フィルタNBPFは周波数f2
〜f3を通過帯域とし、図8に示す超伝導帯域阻止フィ
ルタSBEF1は周波数f1〜f2を阻止帯域とし、S
BEF2はf3〜f4を阻止帯域とする。
【0033】この3つの共振器を図10に示したように
直列接続することにより、その総合特性は図9のように
なる。すなわち通過帯域より低域側(f1〜f2)は超
伝導帯域阻止フィルタSBEF1が急峻に減衰させ、通
過帯域より高域側(f3〜f4)側は超伝導帯域阻止フ
ィルタSBEF2が急峻に減衰させる。したがって通過
帯域両端の減衰特性が急峻なフィルタ特性が得られる。
【0034】もし超伝導帯域阻止フィルタを構成する超
伝導共振器の電極が転移温度以上となって超伝導性を示
さなくなると、超伝導帯域阻止フィルタSBEF1,S
BEF2の減衰量が小さくなるが、常伝導帯域通過フィ
ルタの作用により、通過帯域の挿入損失は若干増加する
程度に抑えられ、フィルタ全体としては致命的な特性劣
化に至らない。
【0035】図11は上記高周波フィルタ装置全体のよ
り具体的な構成例を示すブロック図である。ここでRn
は常伝導共振器、Rsは超伝導共振器、Kは結合回路、
TLは伝送線路である。2つの超伝導帯域阻止フィルタ
SBEF1およびSBEF2は、それぞれ4つの超伝導
共振器Rsを、線路上の波長をλgとした場合にλg/
4またはその奇数倍の電気長を有する伝送線路TLを介
して接続することにより構成している。このことによ
り、4つの減衰極を有する帯域阻止フィルタ特性をもた
せている。また常伝導帯域通過フィルタNBPFは4つ
の常伝導共振器Rnを順次結合させて帯域通過特性をも
たせている。そして、2つの超伝導帯域阻止フィルタS
BEF1,SBEF2と常伝導帯域通過フィルタNBP
Fとの間をλg/4またはその奇数倍の電気長を有する
伝送線路TLで接続している。これにより、常伝導帯域
通過フィルタNBPFの1段目の共振器Rnから超伝導
帯域阻止フィルタSBEF1の4段目の共振器Rsを見
たインピーダンスが非常に高くなるため両者が干渉する
ことがない。同様に、常伝導帯域通過フィルタNBPF
の4段目の共振器Rnから超伝導帯域阻止フィルタSB
EF2の1段目の共振器Rsを見たインピーダンスが非
常に高くなるため両者が干渉することがない。
【0036】図12は以上に示した常伝導帯域通過フィ
ルタを構成する常伝導共振器の主要部の構成を示す斜視
図である。この例では、2つの四角柱状の誘電体柱を交
差させたような形状の誘電体コアを四角筒形状のキャビ
ティとともに一体成形し、そのキャビティの外周面(四
側面)に電極を形成したものである。キャビティの2つ
の開口面には金属板や、電極を形成したセラミック板を
設けることによって電磁界の遮蔽を行う。この構造によ
って図における縦方向と横方向にそれぞれTM110モ
ードの共振が生じ、TM二重モードの誘電体共振器を構
成する。そして、この2つの共振モードを結合させて2
段の共振器として用いる。外部との結合は、結合ループ
をキャビティ内部へ挿入して、所定のモードと磁界結合
させることにより行えばよい。
【0037】常伝導帯域通過フィルタとしては、このT
M二重モード誘電体共振器以外に、図18に示した開放
型誘電体共振器、図19〜図22に示した短絡型誘電体
共振器、またはマイクロストリップ共振器等を用いても
よい。
【0038】図13および図14は超伝導帯域阻止フィ
ルタの構成例を示す図である。図13はその外観斜視図
である。遮蔽キャビティ内に4つの超伝導共振器を設け
て、外部に入出力コネクタを設けている。
【0039】図14の(A)は遮蔽キャビティの上面を
取り除いた状態での平面図、(B)は(A)におけるA
−A部分の断面図である。各超伝導共振器は、円柱形状
の誘電体セラミクスの上下面にそれぞれ超伝導体電極を
形成している。これらの超伝導共振器は遮蔽キャビティ
の底面に取りつけている。また、遮蔽キャビティにはλ
g/4の電気長(λgは伝送線路上の波長)を有する伝
送線路を介して結合回路(プローブ)を突出させてい
る。各結合回路は超伝導共振器の円形TMモードと容量
結合する。この構造によって4段の共振器による帯域阻
止フィルタを構成する。
【0040】超伝導帯域阻止フィルタとしては、この他
に、TM二重モード誘電体共振器、短絡型誘電体共振
器、ストリップ共振器等を用いてもよい。
【0041】図15および図16は常伝導帯域通過フィ
ルタの構成例を示す図である。図15はその外観斜視図
であり、遮蔽キャビティの内部に4つの常伝導共振器を
設け、外部に入出力コネクタを取りつけている。図16
の(A)は遮蔽キャビティの上面を取り除いた状態での
平面図、(B)は(A)におけるA−A部分の断面図で
ある。各共振器は円柱状の誘電体セラミクスの上下面に
薄膜多層電極を形成している。上面の薄膜多層電極には
結合コンデンサ(チップ)を取りつけていて、この結合
コンデンサと入出力コネクタの中心導体とを接続してい
る。また、隣接する共振器の結合コンデンサ同士を結合
回路(線路)で接続している。このような構造によって
4段の共振器からなる帯域通過フィルタを構成する。
【0042】図17は上記薄膜多層電極の構造を示す断
面図である。この例では、誘電体セラミクスの表面から
薄膜導電体層3a、薄膜誘電体層4a、薄膜導電体層3
b・・・の順に薄膜導電体層と薄膜誘電体層を交互に形
成することによって薄膜多層電極2を形成している。各
薄膜導電体層の周辺部は開放している。各薄膜電極層と
薄膜誘電体層による誘電体共振器が誘電体板による誘電
体共振器に結合するように、各薄膜電極層の厚みは共振
周波数における表皮深さと同程度かそれより薄い膜厚と
する。
【0043】このような構造によれば、各薄膜誘電体層
4a,4b,4cはそれらの上下に存在する薄膜電極層
3a,3b,3cとともにそれぞれ極めて薄い誘電体共
振器を構成する。そのため、各薄膜誘電体層に構成され
る誘電体共振器の共振周波数を誘電体板による誘電体共
振器の共振周波数にほぼ等しくすることによって、各薄
膜誘電体層に構成される誘電体共振器の上下の薄膜電極
層に流れる電流の向き(位相)が揃うことになる。これ
により、誘電体板1の上下面部分における電流集中が緩
和され、表層にまで電流が分散されることになる。その
結果、導体損失が低減され、高いQo特性が得られる。
【0044】次に、移動体通信システムの基地局に使用
される送信共用器およびそれを用いた通信装置の構成例
を図23を参照して説明する。図23において、各チャ
ンネルフィルタは各送信チャンネルの周波数帯を通過さ
せ、アイソレータは各チャンネル毎の送信機へ送信信号
が戻るのを阻止する。パワー合成回路は各チャンネルフ
ィルタを通過した送信信号を電力合成しアンテナフィル
タへ出力する。このアンテナフィルタはパワー合成され
た信号をアンテナへ出力する。この送信共用器とそれに
接続する各チャンネル毎の送信機とによって通信装置を
構成する。
【0045】このような送信共用器において、各チャン
ネルフィルタやアンテナフィルタに、先に示したいずれ
かの高周波フィルタ装置を適用する。このことによっ
て、小型、低損失、低コストで且つ信頼性の高い送信共
用器および通信装置が得られる。
【0046】なお、この発明の共用器の実施形態としは
送信共用器を例に挙げたが、同様にして送信フィルタと
受信フィルタにこの発明の高周波フィルタ装置を用い
て、送受共用器を構成することができる。
【0047】
【発明の効果】この発明によれば、超伝導体が超伝導性
を示す通常状態では、超伝導体を電極材料とする誘電体
共振器の高い無負荷Qの特性が生かされて、電極温度が
転移温度以上に昇温した際には、常伝導体を電極材料と
する誘電体共振器によるフィルタ特性を示すことにな
る。そのため、常伝導体を電極材料とする誘電体共振器
でフィルタ特性の主要部を定め、超伝導体を電極材料と
した誘電体共振器を、フィルタ特性を強化するために用
いれば、転移温度以上に昇温した場合の致命的な特性劣
化を招くことがない。
【0048】また、この発明では常伝導体による電極の
一部または全部を、薄膜導電体層と薄膜誘電体層の積層
体からなる薄膜多層電極とすることにより、電極部分の
電流密度の集中が緩和されて、全体として導体損失が低
減され、無負荷Qの高い誘電体共振器が得られる。した
がって、電極温度が上昇して、超伝導体が超伝導性を示
さなくなる状態でも、常伝導体による電極を用いた誘電
体共振器の高い無負荷Q特性が生かされて、低挿入損失
の高周波フィルタ装置が得られる。
【0049】また、この発明では、転移温度前後の温度
変化に対する特性変化の少ない送受共用器や送信共用器
が得られる。
【0050】さらに、この発明では、上記のいずれかの
高周波フィルタ装置を通信信号の送信部または受信部に
設けて通信装置を構成するため、たとえば移動体通信シ
ステムの基地局に使用される送信共用器を用いた通信装
置を小型化、低損失化、低コスト化でき且つ信頼性を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る高周波フィルタ装置の特
性を示す図
【図2】同高周波フィルタ装置の構成を示すブロック図
【図3】第2の実施形態に係る高周波フィルタ装置を構
成するフィルタの特性を示す図
【図4】第2の実施形態に係る高周波フィルタ装置を構
成する他のフィルタの特性を示す図
【図5】同高周波フィルタ装置の総合特性を示す図
【図6】同フィルタ装置の構成を示すブロック図
【図7】第3の実施形態に係る高周波フィルタ装置を構
成するフィルタの特性を示す図
【図8】第3の実施形態に係る高周波フィルタ装置を構
成する他のフィルタの特性を示す図
【図9】同高周波フィルタ装置の総合特性を示す図
【図10】同フィルタ装置の構成を示すブロック図
【図11】第3の実施形態に係る高周波フィルタ装置の
より詳細な構成例を示すブロック図
【図12】常伝導帯域通過フィルタの構成例を示す図
【図13】超伝導帯域阻止フィルタの外観斜視図
【図14】同超伝導帯域阻止フィルタの内部構造を示す
【図15】常伝導帯域通過フィルタの外観斜視図
【図16】同常伝導帯域通過フィルタの内部構造を示す
【図17】薄膜多層電極の構成を示す図
【図18】開放型誘電体共振器の例を示す図
【図19】短絡型誘電体共振器の例を示す図
【図20】短絡型誘電体共振器の例を示す図
【図21】短絡型誘電体共振器の例を示す図
【図22】短絡型誘電体共振器の例を示す図
【図23】送信共用器および通信装置の構成例を示す図
【図24】従来の超伝導体装置の構成を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 則文 京都府長岡京市天神二丁目26番10号株式 会社村田製作所内 (72)発明者 楢橋 祥一 東京都港区虎ノ門二丁目10番1号エヌ・ ティ・ティ移動通信網株式会社内 (72)発明者 野島 俊雄 東京都港区虎ノ門二丁目10番1号エヌ・ ティ・ティ移動通信網株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−186812(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 1/20 - 1/219 H01P 7/00 - 7/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超伝導体を電極材料とする共振器による
    超伝導フィルタと、常伝導体を電極材料とする共振器
    よる常伝導フィルタとを組み合わせて構成した高周波フ
    ィルタ装置であって、常伝導フィルタで周波数特性の中
    央部付近の特性を定めるフィルタを構成し、該常伝導フ
    ィルタに対して超伝導フィルタを、周波数特性の端部付
    近の特性を強化する関係に接続したことを特徴とする高
    周波フィルタ装置。
  2. 【請求項2】 前記超伝導体を電極材料とする共振器
    を、通過帯域の片端または両端の近傍の周波数を通過さ
    せるフィルタとし、前記常伝導体を電極材料とする共振
    器を、通過帯域の中央付近の周波数を通過させるフィル
    タとして、全体に帯域通過特性をもたせたことを特徴と
    する請求項1に記載の高周波フィルタ装置。
  3. 【請求項3】 前記超伝導体を電極材料とする共振器
    を、通過帯域の片端または両端の近傍の周波数を阻止す
    るフィルタとし、前記常伝導体を電極材料とする共振器
    を、通過帯域の中央付近の周波数を通過させるフィルタ
    として、全体に帯域通過特性をもたせたことを特徴とす
    る請求項1に記載の高周波フィルタ装置。
  4. 【請求項4】 前記常伝導体による電極の一部または全
    部を、薄膜導電体層と薄膜誘電体層の積層体から成る薄
    膜多層電極としたことを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の高周波フィルタ装置。
  5. 【請求項5】 共通のポートとその他の個別のポートと
    の間に、請求項1〜4のいずれかに記載の高周波フィル
    タ装置を設けたことを特徴とする共用器。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の高周波
    フィルタ装置を通信信号の送信部または受信部に設けた
    ことを特徴とする通信装置。
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