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JP3454955B2 - 光磁気記録媒体及び光磁気記録媒体再生装置 - Google Patents

光磁気記録媒体及び光磁気記録媒体再生装置

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Publication number
JP3454955B2
JP3454955B2 JP03098795A JP3098795A JP3454955B2 JP 3454955 B2 JP3454955 B2 JP 3454955B2 JP 03098795 A JP03098795 A JP 03098795A JP 3098795 A JP3098795 A JP 3098795A JP 3454955 B2 JP3454955 B2 JP 3454955B2
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layer
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JP03098795A
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伸安 根岸
政孝 山口
嘉朗 齋藤
高正 ▲吉▼川
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Corp
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Publication date
Application filed by Pioneer Corp filed Critical Pioneer Corp
Priority to JP03098795A priority Critical patent/JP3454955B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体及び光
磁気記録媒体再生装置に関し、より詳細には、情報再生
用の光ビームの光学的回折限界より小さな記録マークに
より記録された情報を再生する、いわゆる超解像再生が
可能な光磁気記録媒体及び光磁気記録媒体再生装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる光磁気ディスク等の光磁気記録
媒体は、その情報記録面に高密度で情報を記録すること
ができることから、今日、映像の記録やコンピュータデ
ータの記録用の記録媒体として広く利用されている。
【0003】近年、この光磁気記録媒体に高精細度テレ
ビジョン信号を記録しようという試みが成されている
が、従来の記録密度を有する光磁気記録媒体に対して上
記の高精細度テレビジョン信号を記録しようとすると、
一枚の光磁気記録媒体に記録できる情報量は、再生時間
にして10分程度しかない。従って、光磁気記録媒体に
おける情報の記録密度を向上させることが要求されてい
る。
【0004】情報の記録密度を向上させる方法として
は、時間軸方向(光磁気記録媒体の進行方向)の記録密
度を向上させる方法と、情報に対応する記録マークによ
り構成される情報トラックのトラックピッチ方向(前記
時間軸方向に直交する方向であり、光磁気ディスクの場
合には、その半径方向)の記録密度を向上させる方法が
考えられる。
【0005】ここで、前者(時間軸方向の記録密度を向
上させる場合)の方法として、従来より、MSR(Magn
etically induced Super Resolution )等のいわゆる超
解像再生が提案されている。
【0006】ここで、MSRについて、その概要を説明
する。従来より、顕微鏡の世界では、観察すべき物体の
位置にピンホールのような光学的マスクを設けることに
より解像度が向上することが知られていた。そこで、M
SRは光磁気記録媒体の記録面に物理的なマスクを設け
るのではなく、記録面を含む媒体上の温度分布を利用し
て、媒体内に実効的なマスクを作り出し、実効的に再生
限界の空間周波数を大きくするものであり、記録密度を
1.5〜3倍程度向上させることができる(より詳細に
ついては、「超解像光磁気ディスク」、日本応用磁気学
会誌、Vol1.15,No.5,1991 等を参照のこと)。
【0007】このようなMSRを応用した光磁気記録媒
体は、種々提案されており、その一例を図13に示す。
光磁気記録媒体としての光磁気ディスク1Pは、図13
(a)に示すように、レーザビーム等の光ビームに対し
て透過性のある基板B’と、保磁力が小さい再生層P’
と、保磁力が大きく、垂直磁化状態で情報が記録された
記録層R’と、再生層P’と記録層R’との間の交換結
合力を制御するためのスイッチ層S’と、再生層P’、
記録層R’及びスイッチ層S’より構成される光磁気層
を保護するために当該光磁気層を挟むように形成される
Si N層等の誘電体保護層C’と、光磁気ディスク1P
全体を保護するために、2P(Photo Polymer )オーバ
コート等で形成される樹脂保護層CP’により構成され
ている。
【0008】ここで、記録層R’のキュリー温度
CR’、再生層P’のキュリー温度TCP’及びスイッチ
層S’のキュリー温度TCS’の間において、 TCR’>TCS’、且つ、TCP’>TCS’ の関係が成立するように再生層P’、記録層R’及びス
イッチ層S’の組成が決定される。
【0009】光磁気ディスク1Pの各層の具体的な組成
については、例えば、再生層P’の組成は、GdFeC
oとされ、スイッチ層S’の組成は、TbFeとされ、
記録層R’の組成としては、TbFeCoが用いられ
る。
【0010】次に、上記光磁気ディスク1Pに対する情
報の記録動作について説明する。情報の記録時において
は、記録光である光ビームの出力パワーが、光ビームの
光磁気ディスク上の照射範囲(以下、光スポットとい
う。)における最高温度が記録層R’のキュリー温度T
CR’以上になるように設定される。すると、記録層
R’、スイッチ層S’及び再生層P’の保磁力が消滅す
るので、この時、外部から記録すべき情報に対応した外
部磁界を与えておくと、光磁気ディスクの移動により記
録層R’、スイッチ層S’及び再生層P’の温度が低下
するに伴い、外部磁界の方向に記録層R’、スイッチ層
S’及び再生層P’が磁化され、情報が記録される。
【0011】次に、上記光磁気ディスク1Pにおける情
報の再生動作について図13(b)を用いて説明する。
情報の再生時においては、再生光である光ビームの出力
パワーの第1条件として、光スポット内の最高温度TH
が、 TH <TCR’ となるように設定される。そして、このように出力パワ
ーが設定された光ビームが再生層P’側から光磁気ディ
スク1Pに照射されると、光磁気ディスク1Pの移動に
伴い、図13(b)に示すように、光スポットの後方部
分に周囲と比較して温度の高い領域(以下、高温領域と
いう。)ができる。
【0012】この高温領域の温度がスイッチ層S’のキ
ュリー点以上になり、且つ、その他の光スポット内の領
域(以下、低温領域という。)の温度がスイッチ層S’
のキュリー点以下になることを第2条件として、レーザ
ビームの出力パワーが設定される。このとき、低温領域
の形は図13(b)に示すように略三日月形となり、高
温領域の形は略楕円形となるように光ビームの出力パワ
ーが設定される。
【0013】そして、高温領域の温度がスイッチ層S’
のキュリー点以上になると、スイッチ層S’の磁区が消
滅し、すなわち、保磁力が零となって再生層P’と記録
層R’の交換結合力が弱くなる。これと同時に外部から
図13(a)に示すように再生磁界Hr を印加すると、
保磁力の小さな再生層P’の磁化方向が再生磁界Hr
方向に揃えられてしまう。
【0014】したがって、高温領域は記録層R’の記録
情報が読み出せないマスク領域となり、記録層R’の記
録情報の読み出しは、光スポット内の三日月形の低温領
域からのみとなる。なお、このときでも、光スポット内
の温度は、記録層R’のキュリー温度TCR’以上にはな
らないので、記録層R’に記録された情報は消去されな
い。
【0015】以上説明した低温領域及び高温領域(マス
ク領域)の機能により、記録層R’の情報の再生は光ス
ポット内の低温領域からのみとなる。つまり、低温領域
が情報再生に対する窓領域として機能することにより、
実質的に光スポットの大きさを小さくすることができ、
光スポットの物理的な空間周波数よりも高い空間周波数
を有する情報を再生することができる。すなわち、光磁
気ディスクの時間軸方向における超解像再生を行うこと
ができるのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術の光磁気ディスク1Pを用いた超解像再生において
は、再生磁界Hr を印加するための磁石が必要であるの
で装置構成が複雑化し小型化が図れないという問題点が
あった。
【0017】また、マスク領域においては、再生層P’
に対して再生磁界Hr が印加され、その磁化方向が再生
磁界の方向に揃えられる。従って、低温領域とマスク領
域との境界部分においては、磁化の方向が急激に変化す
る場合があるので、その場合には、再生光の反射光にお
けるカー回転角が当該境界部分で急激に変化することと
なる。このことにより、記録マークに対応する再生RF
波形が急激に変化することとなり、波形の対称性が失わ
れ大きく歪むという問題点があった。
【0018】そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて成
されたもので、その目的は、再生磁界を不要とすること
により、装置構成を簡略化し、更に、再生RF波形が歪
むことなく超解像再生が可能な光磁気記録媒体及び光磁
気記録媒体再生装置を提供することにある。
【0019】
【0020】
【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するた
めに、 請求項に記載の発明の光磁気記録媒体は、情報
記録用の光磁気層として、室温からそのキュリー温度ま
での間で垂直磁化状態を維持しつつ情報が記録される
ともに、当該キュリー温度がその厚さ方向において連続
的に変化し、且つ、所定の再生光が照射される照射面側
の面のキュリー温度が、前記照射面でない面側の面のキ
ュリー温度より低い当該光磁気層一層のみ備えて構成
される。
【0021】
【0022】
【0023】請求項に記載の発明は、請求項又は
に記載の光磁気記録媒体の記録情報を再生する光磁気記
録媒体再生装置であって、前記光磁気記録媒体にレーザ
等の再生光を照射する再生光照射手段と、前記光磁気記
録媒体上のマスク領域に対応する前記照射面側の前記光
磁気層の温度が、前記光磁気層における最も高いキュリ
ー温度以下の温度になるとともに、前記光磁気層におけ
る前記照射面側の面のキュリー温度以上、又は、前記照
射面側の面のキュリー温度以下の温度であって、前記光
磁気層における前記照射面側の磁化を実質的に消失させ
る温度となるように前記再生光の出力パワーを制御する
再生出力制御手段と、前記光磁気記録媒体上の前記再生
光の照射範囲からの当該再生光の反射光を受光して前記
記録情報の再生を行う再生手段と、を備えて構成され
る。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【作用】 請求項に記載の発明の光磁気記録媒体によれ
ば、再生時においては、情報記録用の光磁気層を一層の
み備える光磁気記録媒体に対して、マスク領域に対応す
る照射面側の光磁気層の温度が当該光磁気層における最
も高いキュリー温度以下の温度になるとともに、光磁気
層における所定の再生光の照射面側の面のキュリー温度
以上、又は、所定の再生光の照射面側の面のキュリー温
度以下の温度であって光磁気層における照射面側の磁化
を実質的に消失させる温度となるように当該再生光が照
射される。
【0028】すると、マスク領域に対応する光磁気層の
照射面側近傍の磁化が消失するか、又は実質的に消失す
る。これにより、当該マスク領域は、記録情報が読み出
せない領域となる。
【0029】よって、再生光の照射範囲内のマスク領域
以外の部分からのみ情報が読み出せることとなるので、
再生磁界を印加すること無く、いわゆる超解像再生が可
能となる。また、情報記録用の光磁気層が一層のみであ
るので、光磁気記録媒体の製造工程を簡略化することが
できる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】請求項に記載の発明によれば、再生光照
射手段は、請求項2又は3に記載の光磁気記録媒体に再
生光を照射する。このとき、再生出力制御手段は、マス
ク領域に対応する照射面側の光磁気層の温度が光磁気層
における最も高いキュリー温度以下の温度になるととも
に、光磁気層における所定の再生光の照射面側の面のキ
ュリー温度以上、又は、所定の再生光の照射面側の面の
キュリー温度以下の温度であって、光磁気層における照
射面側の磁化を実質的に消失させる温度となるように当
該再生光の出力パワーを制御する。
【0037】そして、再生手段は、光磁気記録媒体上の
再生光の照射範囲からの当該再生光の反射光を受光して
記録情報の再生を行う。よって、マスク領域に対応する
光磁気層の照射面側近傍の磁化が消失するか、又は実質
的に消失するので、当該マスク領域は、記録情報が読み
出せない領域となる。
【0038】従って、再生光の照射範囲内のマスク領域
以外の部分からのみ情報が読み出せることとなるので、
再生磁界を印加すること無く、いわゆる超解像再生が可
能となる。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【実施例】次に、本発明に好適な実施例について図面に
基づいて説明する。なお、以下の実施例においては、光
磁気記録媒体として、円盤状の光磁気ディスクを用いた
場合について説明する。 (I)装置構成 始めに、以下の各実施例に係る光磁気ディスクから記録
情報を再生するための光磁気ディスク再生装置につい
て、図1及び図2を用いて説明する。
【0043】先ず、図1を用いて、光磁気ディスク再生
装置の構成について説明する。なお、図1に示す光磁気
ディスク再生装置においては、光磁気ディスク1の記録
信号の再生のみならず、外部からの記録データを処理し
て光磁気ディスク1に記録することも可能である。
【0044】図1に示す光磁気ディスク再生装置Sは、
後述の制御用マイコンMCの制御の下、光磁気ディスク
1を回転駆動するためのディスク駆動部DSと、図示し
ないレーザダイオード、アクチュエータ及び偏向ビーム
スプリッタ等を有し、回転する光磁気ディスク1に再生
光としてのレーザ光等の光ビームBを照射し、この光ビ
ームBが光磁気ディスク1の光磁気層において、磁気カ
ー効果により偏向面が僅かに回転して反射され戻ってき
た光ビームB中の信号成分をRF(Radio Frequency )
信号として出力する光ピックアップ2と、光ピックアッ
プ2から出力されたRF信号を増幅するRFアンプ及び
増幅されたRF信号から記録情報に対応する変調信号を
復調するために、パーシャルレスポンス及びビタビ復号
等を行うデコーダ等を有し、RF信号を処理して再生信
号に変換し、後述の制御用マイコンMCに出力する再生
処理部PSと、光ピックアップ2の位置における周囲気
温を測定し、気温信号を後述の制御用マイコンMCに出
力する温度センサ4と、温度センサ4からの気温信号に
基づく制御用マイコンMCの制御の下、光ピックアップ
2に含まれるレーザダイオードを介して光ビームBの出
力を制御するレーザ駆動回路3と、制御用マイコンMC
を介して外部から入力される記録データを符号化するN
RZ1(NonReturn-to-Zero change-on-ones recordin
g)エンコーダ及びNRZ1エンコーダの出力に基づき
後述の磁気ヘッド5を駆動する磁気ヘッド駆動回路を含
み、当該記録データに基づき、情報記録のための後述の
磁気ヘッド5を制御する記録処理部RSと、記録処理部
RSの制御の下、光磁気ディスク1に対する情報記録に
おいて、光磁気ディスク1の情報記録部分に所定の磁界
を印加する磁気ヘッド5と、光磁気ディスク再生装置S
全体を制御する制御用マイコンMCと、により構成され
る。
【0045】また、ディスク駆動部DSは、制御用マイ
コンMCの制御によりスピンドルモータ7の回転を制御
するスピンドル駆動回路6と、スピンドル駆動回路6の
制御の下、光磁気ディスク1を回転駆動するスピンドル
モータ7と、により構成されている。
【0046】なお、実際の光磁気ディスク再生装置Sに
おいては、上記の構成の他に、光ピックアップ2に対し
てフォーカスサーボ、トラッキングサーボ等のサーボ制
御を行い、さらに、スピンドルモータ7に対してスピン
ドルサーボ等のサーボ制御を行うためのサーボ制御部を
有しているが、説明の簡略化のために、図1には示して
いない。
【0047】上記の光磁気ディスク再生装置Sにおける
記録情報の再生の際には、始めに、温度センサ4により
検出される光ピックアップ2の周囲気温に基づき、周囲
気温と光ビームBの出力の関係が図2に示す関係となる
ように光ビームBの出力が制御される。そして、後述の
各実施例において説明する再生動作により再生動作を実
行しつつそのときのBER(Bit Error Rate)を参照し
て、光ビームBの出力が細かく制御される。
【0048】より具体的には、先ず、光ビームBの出力
が図2に示す周囲気温と光ビームBの出力の関係となる
ように制御され、次に以下の各実施例の再生動作が実行
される。そして、再生時のBERが10-6台より大きく
なると、光ビームBの出力を変更し、BERが10-6
以下となるようにする。光ビームBの出力の変更方法
は、図2に示す関係にある光ビームBの出力を基準値と
し、0.05mW毎に基準値の上下0.4mW幅まで変更す
る。但し、この際、最大出力は2.4mWとされる。そし
て、最終的にBERが最低となってときの光ビームBの
出力が当該光ビームBの出力の最適値とされる。
【0049】ここで、図1の光磁気ディスク再生装置S
による記録動作については、従来技術と同様であるの
で、細部の説明は省略する。次に、本発明の光磁気ディ
スクの構造及びその再生動作を説明する。 (II)第1参考例 始めに、発明に関連する第1の参考例について図3乃
至図5を用いて説明する。
【0050】始めに、第1参考例に係る光磁気ディスク
の構造について図3を用いて説明する。図3に示す第1
参考例に係る光磁気ディスク1は、光ビームBの照射側
から順に、光磁気ディスク1の本体たる基板10と、光
磁気層を保護するための誘電体保護層11と、室温にお
いて、後述の記録層13との交換結合により記録層13
と同一の磁化方向(記録マーク)を保持するとともに、
再生時においては、キュリー温度以上に加熱されること
により記録層12の磁化が転写されないマスク層となる
再生層12と、垂直磁化状態で磁化の方向により情報が
記録される記録層13と、光磁気層を保護するための誘
電体保護層14と、光磁気ディスク1をコーティングし
て保護するための2Pオーバコート等で形成される樹脂
保護層15とを積層して構成される。上記の構成におい
て、実質的に再生動作に関与するのは、再生層12及び
記録層13であり、これらをまとめて光磁気層という。
【0051】次に、各層の働き、組成及び膜厚について
説明する。基板10は、光磁気ディスク1全体を支持す
る働きをし、その材質としては、光ビームBを透過し、
且つ、屈折させ難い材質が用いられ、具体的には、ガラ
ス等が用いられる。また、その厚さは、光磁気ディスク
1を支持するのに充分な強度を有し、且つ、光ビームB
の透過に影響を与えない膜厚であればよい。具体的に
は、0.6乃至1.2mm程度とされる。
【0052】誘電体保護層11及び14は、光ビームB
を透過するとともに、後述の光磁気層を保護する働きを
する。この膜の性質としては、光ビームBの透過に影響
を与えないように透明であって水分等を透過させない緻
密な組成を有する必要がある。この性質を有する組成と
しては、SiNx 、AlN、Ta2 5 等が使用可能で
ある。膜厚としては、経年変化や酸化に対して抵抗でき
る程度の厚さ(例えば、20〔nm〕程度)以上の厚さは
必要で、熱伝導特性や光透過特性に影響を与えない程度
の厚さ(例えば、100〔nm〕程度)以下であることが
好ましい。
【0053】再生層12は、室温で記録層13の記録情
報が転写されるとともに、再生時に再生層12のキュリ
ー温度(以下、TC1という。)以上に昇温されると、昇
温された部分の磁区が消失し、当該昇温された部分が情
報が読み出せないマスク領域として動作する。この時、
昇温時のマスク領域の到達温度(以下、再生温度とい
う。)は、記録層13の記録情報を保持するために記録
層13のキュリー温度(以下、TC2とする。)より低く
なくてはならない。更に、光磁気ディスク1の移動に伴
う降温過程において、記録層13の記録情報(記録層1
3の磁化)が再び転写されなければならない。以上の条
件から、再生層12のキュリー温度TC2及び保磁力(以
下、HC1という。)については、以下の条件を満たすこ
とが必要である。
【0054】TC1<TC2 ……(1) 及び、再生温度付近において、 HC1<HC2 ……(2) ここで、HC2は、記録層13の保磁力である。
【0055】以上の条件に適した再生層12の組成及び
膜厚としては、Tb20Fe80〔at%〕(40nm(膜厚、
以下同様))、Tb20(Fe95Co5 80〔at% 〕(4
0nm)等が用いられる。また、膜厚に関しては、Tb20
Fe80の場合には、10nm乃至60nmの範囲が適当であ
る。
【0056】ここで、組成式中の数値は2種の合金の原
子数量比を表すもので、原子パーセントという。例え
ば、 An m 〔at% 〕 という表示では、 n +m =100 であり、この式は、全原子の個数中n%のA原子および
m%のB原子によってこの物質が組成されることを意味
する。
【0057】また、再生層12の組成としては、上記組
成の他に、DyFeCo、GdTbFe等を用いること
もできる。記録層13は、記録情報を保持する働きをす
る。この膜の性質としては、垂直磁化を有する磁性材料
であって、記録時の光ビームBの照射により到達可能な
最高温度よりキュリー温度TC2が低く、最高温度時に一
旦磁区を消失させる必要がある。また、再生時には、光
磁気ディスク1の光ビームBの照射範囲の一部(マスク
領域)が再生温度に到達したときでも記録情報(磁化の
方向)が消失しないことが必要である。以上の条件か
ら、記録層13のキュリー温度TC2及び保磁力HC2につ
いては、上式(1)及び(2)の条件を満たすことが必
要である。
【0058】以上の条件に適した記録層13の組成及び
膜厚としては、再生層12として、Tb20Fe80〔at%
〕(40nm)を用いた場合には、Tb20(Fe90Co
1080〔at% 〕(40nm)等が用いられ、再生層12と
して、Tb20(Fe95Co5 80〔at% 〕(40nm)を
用いた場合には、(Gd20Tb8023(Fe90Co10
77〔at% 〕(40nm)等が用いられる。また、膜厚に関
しては、Tb20(Fe90Co1080の場合には、20nm
乃至60nmの範囲が適当である。
【0059】また、記録層13の組成としては、上記組
成の他に、GdDyFeCo等を用いることもできる。
次に、図3に示す光磁気ディスク1を用いた記録情報の
再生動作について図4乃び図5を用いて説明する。
【0060】図4(b)において、記録層13に記録さ
れた記録情報(以下、記録マークMという。)は記録層
13における上向きの磁化に対応している。そして、室
温部分(光ビームBが照射されていない部分)では、記
録層13の記録マークMが再生層13に転写され、再生
層13にも記録層13の記録マークMに対応した記録マ
ークが形成されている。
【0061】情報の再生時においては、再生光である光
ビームBの出力パワーは、レーザ駆動回路3により、光
ビームの光磁気ディスク上の照射範囲(以下、光スポッ
トB P という。)における最高温度(再生温度に相当す
る)TH が、 TC1<TH <TC2 となるように設定される。そして、このように出力パワ
ーが設定された光ビームBが再生層12側から光磁気デ
ィスク1に照射されると、光磁気ディスク1の移動に伴
い、図4に示すように、光スポットの前方部分にはその
温度TF がTF <TC1となる領域(以下、低温領域とい
う。)ができ、光スポットの後方部分には、その温度T
B がTC1<TB となる領域(以下、高温領域(マスク領
域AM )という。)ができる。このとき、低温領域の形
は図4に示すように三日月形となり、マスク領域AM
形は略楕円形となるように光ビームの出力パワーが設定
される。
【0062】低温領域においては、温度が再生層12の
キュリー温度TC2に達するまでの間は、記録層13の記
録マークMが再生層12に転写される(図4(b)参
照)。そして、転写による再生層12の磁化の方向に基
づくカー効果により記録マーク部分に照射された光ビー
ムの偏光面が回転し、この回転した偏光面を有する光ビ
ームと、記録マークM以外の部分(情報記録部分とは異
なった磁化の方向を有する)に照射された光ビーム(カ
ー効果により記録マークMに照射された光ビームとは異
なった偏光面を有する)とが、光ピックアップ2により
偏光分離されることにより情報が再生される。
【0063】次に、光磁気ディスク1の移動に伴って、
低温領域は移動しつつ昇温され、マスク領域となる(図
4(a)参照)。この時、マスク領域においては、その
再生温度TH が再生層12のキュリー温度TC1に比し
て、 TC1<TH となるため、図4(b)に示すように、再生層12の磁
化は消失する。従って、マスク領域においては、記録層
13の磁化は、再生層12に転写されないこととなり、
マスク領域に対応する記憶層13に記録されている情報
は読み出せなくなる。換言すれば、マスク領域は情報が
読み出せない領域となるのである。なお、このときで
も、光ビームの照射領域内の温度は、記録層13のキュ
リー温度TC2以上にはならないので、記録層13に記録
された情報は消去されない。
【0064】そして、更に光磁気ディスク1が移動する
ことにより、光ビームBが照射されなくなると、マスク
領域AM は降温され、その温度がキュリー温度TC1以下
となると、再生温度付近で上式(2)の関係を有するの
で、記録層13の記録マークMが再生層12に再転写さ
れ、再生層12にも記録層13と同様の記録マークMが
形成される。
【0065】以上説明した低温領域及びマスク領域AM
の機能により、記録層13に記憶された情報の再生は光
スポット内の低温領域からのみとなる。つまり、低温領
域が情報再生に対する窓領域として機能することによ
り、実質的に光スポットの大きさを小さくすることがで
き、再生磁界Hr を印加することなく光磁気ディスク1
の時間軸方向におけるいわゆる超解像再生を行うことが
できるのである。
【0066】ここで、図5には、記録マークMに対応す
る再生RF信号の波形について、再生磁界を必要としな
い第1実施例の光磁気ディスク1を用いた情報再生の場
合と、再生磁界Hr が必要な従来技術の光磁気ディスク
を用いた情報再生の場合との比較結果を示している。
【0067】図5(a)に示すように、従来技術におい
ては、マスク領域AM に対して再生磁界Hr が印加され
るため(図5(a)(i)参照)、低温領域とマスク領
域A M との境界部分においては、磁化の方向が急激に変
化する場合があり、これにより、再生光の反射光におけ
るカー回転角が当該境界部分で急激に変化して、記録マ
ークMに対応する再生RF波形が急激に変化し(図5
(a)(ii)参照)、波形の対称性が失われ大きく歪む
こととなる。
【0068】これに対し、図5(b)示すように、第1
実施例の光磁気ディスク1を用いた情報再生の場合に
は、マスク領域AM に対して再生磁界Hr が印加されな
いため(図5(b)(i)参照)、低温領域とマスク領
域AM との境界部分において、磁化の方向は急激に変化
することなく、温度上昇に伴って、滑らかに連続的に変
化する。よって、再生光の反射光におけるカー回転角が
急激に変化することもなく、記録マークMに対応する再
生RF波形についても連続的に変化し(図5(b)(i
i)参照)、波形の対称性も失われない。従って、再生
信号が歪むこともなく雑音の少ない再生信号が得られ
る。
【0069】以上説明した第1参考例によれば、光磁気
ディスクの構成を簡略化することができるとともに、再
生磁界Hrを印加すること無く、いわゆる超解像再生が
可能となる。よって、光磁気ディスク再生装置の構成も
簡略化することができる。
【0070】また、再生磁界Hr により再生層12の磁
化方向が急激に変化されることが無いので、記録マーク
Mに対応する再生RF波形が歪むことがなく、雑音の少
ない良好な再生信号を得ることができる。
【0071】なお、上記の第1参考例においては、マス
ク領域AMに対応する再生層12の温度をそのキュリー
温度TC1以上の再生温度とすることにより、マスク領
域AMに対応する再生層12の磁化を完全に消失させた
が、これに限られるものではなく、マスク領域AMに対
応する再生層12の温度をそのキュリー温度TC1以下
の温度であって、マスク領域AMに対応する再生層12
の磁化が実質的に消失する温度となるように光ビームB
の出力を制御してもよい。
【0072】より具体的には、再生温度THを、再生層
12の磁化の方向の変化による光ビームBの反射光にお
けるカー回転角の変化に基づく再生RF信号の変化が再
生処理部PSにおける所定のスレッショルド以下の値と
なるように再生層12の磁化を小さくする温度とするの
である。このようにすれば、再生層12の磁化が実質的
に消失したこととなり、上記第1参考例と同様の効果が
得られる。 (III)実施例 次に、発明に対応する実施例について図6乃至図8を
用いて説明する。
【0073】第1参考例においては、光磁気層の構成を
再生層12及び記録層13の2層構造としたが、実施例
では、光磁気層は1層構造とされ、その厚さ方向でキュ
リー温度が連続的に変化するように構成されている。
【0074】始めに、実施例に係る光磁気ディスクの構
造について図6を用いて説明する。図6に示す実施例に
係る光磁気ディスク20は、光ビームBの照射側から順
に、光磁気ディスク20の本体たる基板21と、後述の
光磁気層23を保護するための誘電体保護層22と、室
温において、垂直磁化の方向の違いにより記録マークM
を保持するとともに、そのキュリー温度が厚さ方向にお
いて連続的に変化するように、キュリー温度を変化させ
るための含有元素(例えば、Co等)の量がその厚さ方
向において連続的に変化する(図6(b)参照)ように
構成されている光磁気層23と、光磁気層23を保護す
るための誘電体保護層24と、光磁気ディスク20をコ
ーティングして保護するための2Pオーバコート等で形
成される樹脂保護層25とを積層して構成される。上記
の構成において、実質的に再生動作に関与するのは、光
磁気層23である。
【0075】また、光磁気層23においては、図6
(b)に示すように、光ビームBが照射される照射面側
(基板21側)のキュリー温度が、照射面でない面側
(樹脂保護層25側)のキュリー温度より低くなるよう
に、キュリー温度を変化させるための含有元素は基板2
1側で少なくなり、樹脂保護層25側で多くなるように
構成されている。
【0076】次に、各層の働き、組成及び膜厚について
説明する。基板21、誘電体保護層22及び24につい
ては、第1参考例と同様であるので、細部の説明は省略
する。
【0077】光磁気層23は、室温で記録マークMが保
持されるとともに、再生時に光磁気層23の基板21側
の面の近傍が基板21側の面のキュリー温度(以下、T
C3という。)以上に昇温されると、昇温された部分が情
報が読み出せないマスク領域として動作する。この時、
再生温度TH は、記録情報を保持するために光磁気層2
3の樹脂保護層25側の面近傍のキュリー温度(以下、
C4という。)より低くなくてはならない。更に、光磁
気ディスク20の移動に伴う降温過程において、光磁気
層23の樹脂保護層25側に保持された記録マークMが
再び光磁気層23の基板21側の面まで転写されなけれ
ばならない。以上の条件から、光磁気層23のキュリー
温度TC3及びTC4、並びに光磁気層23の基板21側の
面近傍の保磁力(以下、HC3という。)及び光磁気層2
3の樹脂保護層25側の面近傍の保磁力(以下、HC4
いう。)については、以下の条件を満たすことが必要で
ある。
【0078】TC3<TC4 ……(3) 及び、再生温度付近において、 HC3<HC4 ……(4) 以上の条件に適した光磁気層23の組成及び膜厚として
は、Tb20(Fe100- x Cox 80〔at% 〕(90n
m)、Gd26(Fe100-x Cox 74〔at% 〕(90n
m)等が用いられる。ここで、xは、光磁気層23の厚
さ方向で可変とされる。また、膜厚に関しては、再生時
に、光磁気層23の基板21側の面近傍が昇温されてそ
のキュリー温度TC3以上になっても、光磁気層23の樹
脂保護層25側の面近傍の温度が、そのキュリー温度T
C4以下となって、記録マークMが消失しない(磁化が消
失しない)ように設定される。
【0079】より具体的には、Tb20(Fe100-x Co
x 80〔at% 〕の場合には、30乃至150nmの範囲と
され、また、Gd26(Fe100-x Cox 74〔at% 〕の
場合にも30乃至150nmの範囲とされる。
【0080】ここで、光磁気層23としてGd26(Fe
100-x Cox 74〔at% 〕を用いた場合のコバルト(C
o)の含有量(xの大きさ)とキュリー温度との関係を
図7に示す。図7から明らかなように、コバルト(C
o)の含有量が大きいとキュリー温度が上昇する。よっ
て、光磁気層23の厚さ方向の位置とコバルト(Co)
の含有量との関係を図6(b)に示すような関係とすれ
ば、光磁気層23のキュリー温度を厚さ方向において単
調かつ連続的に変化させ、且つ、光磁気層23の基板2
1側の面近傍のキュリー温度TC3を樹脂保護層25側の
面近傍のキュリー温度TC4より低くすることができる 次に、図6に示す光磁気ディスク20を用いた記録情報
の再生動作について図8を用いて説明する。
【0081】図8(b)において、光磁気層23に記録
された記録マークMは光磁気層23における上向きの磁
化に対応している。そして、室温部分(光ビームBが照
射されていない部分)では、光磁気層23の記録マーク
Mが光磁気層23の基板21側の面まで転写され、光磁
気層23の基板21側の面に記録マークMが形成されて
いる。
【0082】情報の再生時においては、再生光である光
ビームBの出力パワーは、レーザ駆動回路3により、光
スポットBP における再生温度TH が、 TC3<TH <TC4 となるように設定される。そして、このように出力パワ
ーが設定された光ビームBが基板21側から照射される
と、光磁気ディスク20の移動に伴い、図8(a)に示
すように、光スポットの前方部分にはその温度TF がT
F <TC3となる第1実施例と同様な低温領域ができ、光
スポットの後方部分には、その温度TBがTC3<TB
なる高温領域(マスク領域AM )ができる。このとき、
第1実施例と同様に、低温領域の形は略三日月形とな
り、マスク領域AM の形は略楕円形となるように光ビー
ムの出力パワーが設定される。
【0083】低温領域においては、温度がキュリー温度
TC3に達するまでの間は、記録マークMが光磁気層2
3の基板21側の面に形成されている(図8(b)参
照)。そして、記録マークMの磁化の方向に基づくカー
効果により記録マークM部分に照射された光ビームの偏
光面が回転し、第1参考例と同様の動作により情報が再
生される。
【0084】次に、光磁気ディスク20の移動に伴っ
て、低温領域は、移動しつつ昇温されマスク領域AM
なる(図8(a)参照)。この時、マスク領域AM にお
いては、その再生温度TH が光磁気層23の基板21側
の面のキュリー温度TC3に比して、 TC3<TH となるため、図8(b)に示すように、光磁気層23の
基板21側の面近傍の磁化が消失する。従って、マスク
領域AM においては、記録マークMが光磁気層23の基
板21側の面に形成されないこととなり、記録マークM
に対応する情報は読み出せなくなる。なお、このときで
も、光ビームの照射領域内の温度は、光磁気層23の樹
脂保護層25側の面のキュリー温度TC4以上にはならな
いので、光磁気層23の樹脂保護層25側の面近傍にお
いては、記録マークMがそのまま保持され続ける。
【0085】そして、更に光磁気ディスク20が移動す
ることにより、光ビームBが照射されなくなると、マス
ク領域AM は降温され、その温度がキュリー温度TC3
下となると、再生温度付近で上式(4)の関係を有する
ので、光磁気層23の樹脂保護層25側の面近傍に残っ
ている記録マークMが光磁気層23の基板21側の面に
再転写され、光磁気層23の基板21側の面にも光磁気
層23の樹脂保護層25側の面と同様の記録マークMが
形成される。
【0086】以上説明した低温領域及びマスク領域AM
の機能により、光磁気層23の情報の再生は光スポット
内の低温領域からのみとなり、第1参考例と同様に、光
磁気ディスク20の時間軸方向におけるいわゆる超解像
再生を行うことができるのである。
【0087】以上説明した実施例によれば、光磁気ディ
スクの構成を簡略化することができるとともに、再生磁
界Hrを印加すること無く、いわゆる超解像再生が可能
となる。よって、光磁気ディスク再生装置の構成も簡略
化することができる。
【0088】また、再生磁界Hrにより光磁気層23の
基板21側の面の磁化方向が急激に変化されることが無
いので、記録マークMに対応する再生RF波形が歪むこ
とがなく、雑音の少ない良好な再生信号を得ることがで
きる。更に、情報記録用の光磁気層23が一層のみであ
るので、光磁気ディスクの製造工程を簡略化することが
できる。
【0089】なお、上記の実施例においては、マスク領
域AMに対応する光磁気層23の基板21側の面の温度
をそのキュリー温度TC3以上の再生温度とすることに
より、マスク領域AMに対応する光磁気層23の基板2
1側の面近傍の磁化を完全に消失させたが、これに限ら
れるものではなく、第1参考例と同様に、マスク領域A
Mに対応する光磁気層23の基板21側の面の温度をそ
のキュリー温度TC3以下の温度であって、マスク領域
AMに対応する光磁気層23の基板21側の面近傍の磁
化が実質的に消失する温度となるように光ビームBの出
力を制御してもよい。このようにしても、上記実施例と
同様の効果が得られる。 (IV)第2参考例 次に、発明に関連する第2の参考例について図9乃至
図12を用いて説明する。
【0090】これまでの第1参考例び実施例において
は、マスク領域AMにおける磁化を消失させるか、又は
実質的に消失したと等価にすることにより、マスク領域
AMからの情報の再生ができないようにしたが、第2参
例においては、マスク領域AMにおける磁化を消失さ
せるのではなく、昇温により当該マスク領域AMの角形
比(Squareness ratio(矩形比))を減少させ、カー回
転角を小さくすることでマスク領域AMからの情報の再
生を実質的に不可としている。
【0091】始めに、第2参考例に係る光磁気ディスク
の構造について図9を用いて説明する。図9に示す光磁
気ディスク30は、光ビームBの照射側から順に、光磁
気ディスク1の本体たる基板31と、光磁気層を保護す
るための誘電体保護層32と、室温において、後述の記
録層34との交換結合により記録層34と同一の記録マ
ークMを保持するとともに、再生時においては、所定の
再生温度以上に加熱されることにより角形比が減少しカ
ー回転角の小さいマスク層となる再生層33と、垂直磁
化状態で磁化の方向により情報が記録される記録層34
と、光磁気層を保護するための誘電体保護層35と、光
磁気ディスク30をコーティングして保護するための2
Pオーバコート等で形成される樹脂保護層36とを積層
して構成される。上記の構成において、実質的に再生動
作に関与するのは、光磁気層である再生層33及び記録
層34である。
【0092】次に、各層の働き、組成及び膜厚について
説明する。基板31、誘電体保護層32及び35につい
ては、第1参考例び実施例と同様であるので、細部の
説明は省略する。
【0093】再生層33は、室温で記録層34の記録マ
ークMが転写されるとともに、再生時に所定の再生温度
H 以上に昇温されると、昇温された領域に対応する部
分の角形比が減少し、当該領域中の記録マークMに照射
された光ビームBにおけるカー回転角が小さくなり、こ
れにより当該昇温された領域が情報が実質的に読み出せ
ないマスク領域AM として動作する。この時、再生温度
H は、記録層35の記録マークMを保持するために記
録層35のキュリー温度(以下、TC6とする。)より低
くなくてはならない。以上の条件から、再生層33にお
ける所定の再生温度TH については、以下の条件を満た
すことが必要である。
【0094】TH <TC6 ……(5) なお、第3実施例の光磁気ディスク30においては、再
生層33のキュリー温度と、記録層34のキュリー温度
との間には相関関係はない。また、再生層33における
昇温された領域においては、記録マークMが消失するこ
とはなく、記録マークMに対応する部分に照射された光
ビームBにおけるカー回転角が小さくなる。
【0095】更に、マスク領域AM において、角形比を
小さくして光ビームBにおけるカー回転角を小さくする
ためには再生層33の磁気異方性が充分に小さくなけれ
ばならない。
【0096】以上の条件に適した再生層33の組成及び
膜厚としては、Gd24(Fe80Co 2076〔at% 〕(6
0nm)等が用いられる。ここで、膜厚の範囲としては、
20乃至100nmが適当である。また、Coの含有量に
ついては角形比を1より小さくし易くするため20乃至
60〔at% 〕とされる。
【0097】ここで、再生層33として、Gd24(Fe
80Co2076〔at% 〕(60nm)を用いた場合の角形比
Rとカー回転角の関係について図10を用いて説明す
る。図10において、横軸は磁化の強さを示し、縦軸は
カー回転角を示している。また、角形比Rは、図10中
の「A」及び「B」又は「C」及び「D」を用いて、 R=B/A又は、R=D/C で表される。
【0098】図10から明らかなように、角形比Rが小
さくなるとカー回転角も小さくなる。また、図10に、
220℃の場合と25℃の場合を示すように、温度が高
いほど角形比が小さくなり、従って、カー回転角も小さ
くなる。
【0099】次に、再生層33として、Gd24(Fe80
Co2076〔at% 〕(60nm)を用いた場合の角形比R
と温度の関係について図11を用いて説明する。図11
において、横軸は温度を示し、縦軸は角形比を示す。図
11から明らかなように、角形比Rは約200度以下で
はほぼ1になる。従って、この温度領域では、情報再生
に充分なカー回転角が得られる。また、約200度以上
では、角形比Rも小さくなり、従って、カー回転角も小
さくなる。
【0100】なお、図11に示すような光磁気ディスク
30における温度と角形比の関係は、例えば、再生層3
3を保護する誘電体保護層32としてのSiN層を形成
する際のスパッタガス圧を変化させることにより得られ
る。より具体的には、図11に示す関係は、誘電体保護
層(Si N層)32を形成する際の成膜圧力が7mTorr
のときに得られる。
【0101】記録層34は、記録情報を保持する働きを
する。この膜の性質としては、第1参考例と同様の条件
を満たすことが必要である。ここで、第2参考例におい
ては、上述のようにマスク領域AMに対応する再生層の
磁化による記録マークMは昇温によっても消失しないの
で、記録層34の保磁力について、第1参考例における
式(2)のような関係を満たす必要はない。
【0102】以上の条件に適した記録層34の組成及び
膜厚としては、再生層33として、Gd24(Fe80Co
2076〔at% 〕(60nm)を用いた場合には、Tb
20(Fe 90Co1080〔at% 〕(40nm)等が用いられ
る。また、膜厚の範囲としては20nm乃至60nmが適当
である。
【0103】次に、図9に示す光磁気ディスク30を用
いた記録情報の再生動作について図12を用いて説明す
る。なお、図12(b)における再生層33の回転矢印
は、記録層34の記録マークMに対応する再生層33の
記録マークM毎の、当該記録マークMの部分に照射され
た光ビームBにおけるカー回転角の大きさを示してい
る。
【0104】図12(b)において、記録層34に記録
された記録マークMは記録層34における上向きの磁化
に対応している。そして、室温部分(光ビームBが照射
されていない部分)では、記録層34の記録マークMが
再生層33に転写され、再生層33にも記録層13の記
録マークMに対応した記録マークMが形成されている。
更に、室温においては角形比Rがほぼ1であるので、再
生層33のそれぞれの記録マークMに対応してカー回転
角も大きくなっている。
【0105】情報の再生時においては、再生光である光
ビームBの出力パワーは、レーザ駆動回路3により、光
スポットBP における再生温度TH が、図11に示す範
囲であって、上式(5)の条件を満たす温度とされる。
そして、このように出力パワーが設定された光ビームB
が再生層33側から光磁気ディスク30に照射される
と、光磁気ディスク30の移動に伴い、図12(a)に
示すように、光スポットBP の前方部分にはその温度T
F がTF <TH となる低温領域ができ、光スポットBP
の後方部分には、その温度TB がTH <TB となる高温
領域(マスク領域AM )ができる。このとき、低温領域
の形は図12(a)に示すように三日月形となり、マス
ク領域AM の形は略楕円形となるように光ビームBの出
力パワーが設定される。
【0106】低温領域においては、温度が再生温度TH
に達するまでの間は、記録層35の記録マークMと同様
の記録マークが再生層33にも形成され、記録マークM
に対応するカー回転角も大きくなる(図12(b)参
照)。そして、再生層33に照射された光ビームBのカ
ー回転角の変化により、第1実施例又は第2実施例と同
様の動作により情報が再生される。
【0107】次に、光磁気ディスク30の移動に伴っ
て、低温領域は移動しつつ昇温され、マスク領域AM
なる(図12(a)参照)。この時、マスク領域AM
おいては、その再生温度TH が上述のように図11に示
す範囲であって、上式(5)の条件を満たす温度とされ
る。このため、図12(b)に示すように、再生層33
のマスク領域AM に対応する部分では、角形比Rが小さ
くなり、これに伴って、光ビームBにおけるカー回転角
も小さくなる。従って、このカー回転角の減少により、
再生RF信号の変化が再生処理部PSにおける所定のス
レッショルド以下の値となり、実質的にマスク領域AM
の記録マークMは読み出せなくなる。なお、このときで
も、光ビームの照射領域内の温度は、記録層34のキュ
リー温度T C6以上にはならないので、記録層34に記録
された情報は消去されない。
【0108】そして、更に光磁気ディスク30が移動す
ることにより、光ビームBが照射されなくなると、マス
ク領域AM は降温され、その温度が再生温度TH 以下と
なると、再生層33の角形比が再び1となる。よって、
次の情報再生において光ビームBが再生層33に照射さ
れた場合に、光ビームBにおける再生層33の記録マー
クMに対応したカー回転角も大きくなり、情報再生が可
能となる。
【0109】以上説明した低温領域及びマスク領域AM
の機能により、記録層34の情報の再生は光スポットB
P 内の低温領域からのみとなり、第1及び第2実施例と
同様に、光磁気ディスク30の時間軸方向におけるいわ
ゆる超解像再生を行うことができるのである。
【0110】以上説明した第2参考例によれば、光磁気
ディスクの構成を簡略化することができるとともに、再
生磁界Hrを印加すること無く、いわゆる超解像再生が
可能となる。よって、光磁気ディスク再生装置の構成も
簡略化することができる。
【0111】また、再生磁界Hr により再生層33のカ
ー回転角が急激に変化されることが無いので、記録マー
クMに対応する再生RF波形が歪むことがなく、雑音の
少ない良好な再生信号を得ることができる。
【0112】なお、これまでの第1及び第2参考例並び
実施例においては、光磁気ディスクを対象として説明
してきたが、本発明はこれに限られるものではなく、テ
ープ状の支持体上に上述の光磁気層等を形成した、いわ
ゆる光テープ等のテープ状の光磁気記録媒体に対しても
適用が可能である。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【発明の効果】 以上説明したように、 請求項1又は
記載の発明によれば、マスク領域に対応する光磁気層の
照射面側近傍の磁化が消失するか、又は実質的に消失さ
れるので、当該マスク領域はは、記録情報が読み出せな
い領域となる。
【0117】従って、再生光の照射範囲内のマスク領域
以外の部分からのみ情報が読み出せることとなるので、
情報記録用の光磁気層を一層のみ備えることで光磁気記
録媒体の構成を簡略化することができるとともに、再生
磁界を印加すること無く、いわゆる超解像再生が可能と
なり、光磁気記録媒体再生装置の構成を簡略化すること
ができる。
【0118】また、再生磁界により再生層の磁化方向が
急激に変化されることが無いので、記録情報に対応する
再生RF波形が歪むことがなく、雑音の少ない良好な再
生RF波形を得ることができる。更に、情報記録用の光
磁気層が一層のみであるので、光磁気記録媒体の製造工
程を簡略化することができる。
【0119】
【0120】
【0121】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の光磁気記録媒体再生装置の概要構成を
示す図である。
【図2】周囲温度と再生光パワーとの関係を示す図であ
る。
【図3】第1参考例の光磁気記録媒体の構造を示す図で
ある。
【図4】第1参考例の光磁気記録媒体における再生動作
を示す図であり、(a)は光スポット付近の平面図、
(b)は断面図である。
【図5】再生RF波形の比較を示す図であり、(a)
(i)は従来技術における光スポット付近の平面図、
(a)(ii)は従来技術における一の記録マークに対応
する再生RF波形を示す図、(b)(i)は本発明にお
ける光スポット付近の平面図、(b)(ii)は本発明に
おける一の記録マークに対応する再生RF波形を示す図
である。
【図6】施例の光磁気記録媒体の構造を示す図であ
り、(a)は光磁気記録媒体の構造を示す図、(b)
は、光磁気層における膜厚(厚さ方向の位置)とコバル
ト含有量との関係を示す図である。
【図7】コバルト含有量とキュリー温度との関係を示す
図である。
【図8】施例の光磁気記録媒体における再生動作を示
す図であり、(a)は光スポット付近の平面図、(b)
は断面図である。
【図9】第2参考例の光磁気記録媒体の構造を示す図で
ある。
【図10】角形比とカー回転角の関係を示す図である。
【図11】角形比と温度との関係を示す図である。
【図12】第2参考例の光磁気記録媒体における再生動
作を示す図であり、(a)は光スポット付近の平面図、
(b)は断面図である。
【図13】従来技術の光磁気記録媒体を示す図であり、
(a)は光磁気記録媒体の構造を示す図、(b)は光ス
ポット付近の平面図である
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 嘉朗 埼玉県鶴ケ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 ▲吉▼川 高正 埼玉県鶴ケ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−342670(JP,A) 特開 平3−49058(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録用の光磁気層として、 室温からそのキュリー温度までの間で 垂直磁化状態を維
    持しつつ情報が記録されるとともに、 当該キュリー温度がその厚さ方向において連続的に変化
    し、且つ、所定の再生光が照射される照射面側の面のキ
    ュリー温度が、前記照射面でない面側の面のキュリー温
    度より低い当該光磁気層一層のみ備えることを特徴と
    する光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光磁気記録媒体であっ
    て、 キュリー温度を変化させる元素の含有量が前記光磁気記
    録媒体の厚さ方向において連続的に変化している 光磁気
    層を備えることを特徴とする光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の光磁気記録媒体
    の記録情報を再生する光磁気記録媒体再生装置であっ
    て、 前記光磁気記録媒体に再生光を照射する再生光照射手段
    と、 前記光磁気記録媒体上のマスク領域に対応する前記照射
    面側の前記光磁気層の温度が、前記光磁気層における最
    も高いキュリー温度以下の温度になるとともに、前記光
    磁気層における前記照射面側の面のキュリー温度以上、
    又は、前記照射面側の面のキュリー温度以下の温度であ
    って、前記光磁気層における前記照射面側の磁化を実質
    的に消失させる温度となるように前記再生光の出力パワ
    ーを制御する再生出力制御手段と、 前記光磁気記録媒体上の前記再生光の照射範囲からの当
    該再生光の反射光を受光して前記記録情報の再生を行う
    再生手段と、 を備えることを特徴とする光磁気記録媒体再生装置
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