JP3449883B2 - エステル系高分子ポリオール組成物およびその製造方法 - Google Patents
エステル系高分子ポリオール組成物およびその製造方法Info
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Description
を含有するエステル系高分子ポリオール組成物およびそ
の製造方法に関する。本発明のエステル系高分子ポリオ
ール組成物をウレタンの製造原料として用いると、ウレ
タン形成時に過剰なウレタン化反応が抑制され、ウレタ
ン化反応が円滑に進むとともに、耐熱性、耐熱水性、耐
加水分解性などの諸性能に優れたポリウレタンが得られ
る。
は、ソフトセグメントを構成する原料としてポリエステ
ルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオ
ールなどの各種高分子ポリオールが使用されている。な
かでも、ポリエステルポリオールは、得られる熱可塑性
ポリウレタンが力学的特性に優れているため、広く使用
されている。
リカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオー
ル(ポリ炭酸エステルポリオール)などのエステル系高
分子ポリオールは、通常、ポリカルボン酸もしくはその
エステル、無水物などのエステル形成性誘導体とポリオ
ールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応に
より重縮合反応させるか、あるいはラクトンを開環重合
反応させることにより製造される。これらのエステル系
高分子ポリオールを与えるエステル化反応の触媒(エス
テル化触媒)としては、チタン系化合物が高活性である
ことから広く用いられている。しかしながら、チタン系
エステル化触媒を使用して製造されたエステル系高分子
ポリオールを、そのチタン系エステル化触媒の活性を十
分に低下させずに用いて製造された熱可塑性ポリウレタ
ンでは、溶融重合中および溶融成形中にハードセグメン
トとソフトセグメント間でのエステル−ウレタン交換反
応が起こり、ポリウレタン分子鎖におけるブロック性が
低下(すなわち、部分的にランダム化)するため、この
ような熱可塑性ポリウレタンから得られる成形品や弾性
繊維などは、耐熱性、耐熱水性および耐加水分解性など
の各種性能に劣ったものになる。
系エステル化触媒を使用して製造されたエステル系高分
子ポリオールに、水を加えた後、加熱することにより
チタン系エステル化触媒を失活させる方法(WO92/
19800号公報、WO94/25529号公報参
照)、該高分子ポリオールに水を加えて加熱した後、
式;(RO)nP(O)m(OH)3-n (式中、mは0または
1、nは0、1または2、Rは炭化水素基を表す)で示
されるリン化合物を添加する方法(特開平5−2392
01号公報参照)が提案されている。
による方法では、チタン系エステル化触媒の失活は不完
全であり、さらに、一旦失活した触媒活性がポリウレタ
ンの溶融成形中に回復する傾向がある。例えば、高硬度
ポリウレタンや架橋結合を導入したポリウレタンなどの
ように高温で溶融成形する必要がある場合や、あるいは
溶融滞留時間が20〜50分程度と長くなるような大型
の押出成形機を用いて溶融成形する場合には、上記の
方法で得られた高分子ポリオールを用いて製造された熱
可塑性ポリウレタンでは、溶融成形中にハードセグメン
トとソフトセグメントのランダム化が進行し、得られる
成形品は耐熱性に劣ったものとなる。更に、成型時の溶
融滞留中に、一旦失活したチタン系エステル化触媒の活
性が回復し、加水分解触媒として作用するため、得られ
る成形品は耐加水分解性にも劣ったものとなる。このた
め、高い耐熱性、耐加水分解性が要求される用途への展
開に制限があった。また、活性水素を含有しているリン
化合物を添加する上記による方法で得られた高分子ポ
リオールを用いて製造された熱可塑性ポリウレタンは、
該リン化合物が酸性を示すため加水分解が起こりやすく
なり、耐加水分解性が劣るという問題点を有している。
て使用した場合に、過剰なウレタン化反応が抑制され、
ウレタン化反応が円滑に進むとともに、耐熱性、耐熱水
性、耐加水分解性などの諸特性に優れたポリウレタンが
得られるような、エステル系高分子ポリオール組成物を
提供することにある。
く本発明者らが検討を重ねた結果、チタン系エステル化
触媒を使用して重合反応を行った後、該チタン系エステ
ル化触媒の活性を低下させることにより得られたエステ
ル系高分子ポリオールに特定のリン化合物を配合するこ
とにより、上記目的を達成できることを見出し、これら
の知見に基づいて本発明を完成した。
触媒を使用して製造されたエステル系高分子ポリオール
に、下記の一般式(1)〜(3)で示されるリン化合物
から選ばれる少なくとも1種を、チタン系エステル化触
媒中のチタン原子1モルに対してリン化合物中のリン原
子の割合が1モル以上となるような割合で配合してなる
エステル系高分子ポリオール組成物であって、90℃で
測定した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
とのウレタン化反応速度定数が0.15(リットル/モ
ル・分)以下であり、且つ該エステル系高分子ポリオー
ル組成物を200℃で1時間加熱した後の、90℃で測
定した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと
のウレタン化反応速度定数が0.4(リットル/モル・
分)以下であることを特徴とするエステル系高分子ポリ
オール組成物に関する。
〜R3はそれぞれ炭化水素基を表す。但し、aが1の場
合には、R1〜R3のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水
素基または脂環式炭化水素基である。)
し、R4およびR5はそれぞれ炭化水素基を表す。)
し、R6〜R9はそれぞれ炭化水素基を表し、R10は二価
の炭化水素基を表す。但し、dとeがともに1の場合に
は、R6〜R10のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水素
基または脂環式炭化水素基である。)
を使用して重合反応を行った後、該チタン系エステル化
触媒の活性を低下させることにより得られたエステル系
高分子ポリオールに、上記の一般式(1)〜(3)で示
されるリン化合物から選ばれる少なくとも1種を、チタ
ン系エステル化触媒中のチタン原子1モルに対してリン
化合物中のリン原子の割合が1モル以上となるような割
合で配合することを特徴とする上記のエステル系高分子
ポリオール組成物の製造方法に関する。
分子ポリオールとは、エステル結合を分子内に有し、且
つ分子鎖末端に水酸基を有する高分子であり、例えば、
ポリエステルポリオール、ポリエステルポリカーボネー
トポリオール、ポリカーボネートポリオール(ポリ炭酸
エステルポリオール)などを挙げることができる。該エ
ステル系高分子ポリオールの数平均分子量は1000〜
8000であるのが好ましく、1200〜6000であ
るのがより好ましい。なお、本明細書でいう高分子ポリ
オールの数平均分子量は、いずれもJIS K−157
7に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平
均分子量である。
常法に従って、ポリカルボン酸またはそのエステル、無
水物などのエステル形成性誘導体とポリオールとを直接
エステル化反応もしくはエステル交換反応に付すことに
より得られる。
用いられるポリカルボン酸としては、例えば、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコ
ハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン
酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二
酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデ
カン二酸などの炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘ
キサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などを挙
げることができ、これらのうち1種または2種以上を用
いることができる。これらのなかでも、炭素数が5〜1
2の脂肪族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸を使用するのがより
好ましい。さらに、前記したようなジカルボン酸と共
に、少量の3官能以上のポリカルボン酸を併用すること
ができる。3官能以上のポリカルボン酸としては、トリ
メリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸などを
挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を
用いることができる。
用いられるポリオール成分としては、例えば、エチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オ
クタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ルなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオールなど
を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上
を用いることができる。これらのなかでも、3−メチル
−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オ
クタンジオールなどの炭素数5〜12の分岐鎖状の脂肪
族ジオールを使用するのが好ましい。さらに、前記した
ようなジオールと共に、少量の3官能以上のポリオール
を併用することができる。3官能以上のポリオールとし
ては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ブタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロー
ルブタン、トリメチロールペンタン、ペンタエリスリト
ールなどを挙げることができ、これらのうち1種または
2種以上を用いることができる。これらのなかでも、ト
リメチロールプロパンを用いるのが好ましい。
例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、ジアル
キレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカ
ーボネート化合物との反応により得られる。ポリカーボ
ネートポリオールの製造原料であるポリオールとして
は、ポリエステルポリオールの製造原料として先に例示
したポリオールを用いることができる。また、ジアルキ
ルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネートなどを、ジアルキレンカーボネートと
してはジエチレンカーボネートなどを、ジアリールカー
ボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げる
ことができる。
リオールは、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およ
びカーボネート化合物を同時に反応させることにより得
られる。あるいは、予め上記した方法によりポリエステ
ルポリオールを合成し次いでカーボネート化合物と反応
させるか、またはポリカーボネートポリオールを合成
し、次いでそれらをポリオールおよびポリカルボン酸と
反応させることによって得られる。
エステル化触媒を用いて製造されたものである。チタン
系エステル化触媒としては、チタン酸、テトラアルコキ
シチタン化合物、チタンアシレート化合物、チタンキレ
ート化合物などを挙げることができる。より具体的に
は、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチ
ルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネー
ト、テトラステアリルチタネートなどのテトラアルコキ
シチタン化合物;ポリヒドロキシチタンステアレート、
ポリイソプロポキシチタンステアレートなどのチタンア
シレート化合物;チタンアセチルアセトネート、トリエ
タノールアミンチタネート、チタンアンモニウムラクテ
ート、チタンエチルラクテート、チタンオクチレングリ
コレートなどのチタンキレート化合物などを挙げること
ができる。
とするエステル系高分子ポリオールの製造およびその後
の熱可塑性ポリウレタンの製造への使用に適した使用量
を適宜選択して採用すればよく、特に制限されないが、
一般に、エステル系高分子ポリオールを形成するための
原料成分の全重量に対して、約0.1〜50ppmの範
囲内であるのが好ましく、約1〜40ppmの範囲内で
あるのがより好ましい。チタン系エステル化触媒の使用
量が少なすぎると、エステル系高分子ポリオールの生成
に極めて長い時間を要するようになり、また得られたエ
ステル系高分子ポリオールに着色を生ずることがある。
一方、チタン系エステル化触媒の使用量が多すぎると、
過剰分の触媒がエステル系高分子ポリオールの生成の促
進に寄与しないのみならず、むしろエステル系高分子ポ
リオール合成後におけるチタン系エステル化触媒の十分
な活性低下を困難にするので好ましくない。
チタン系エステル化触媒の除去には、通常、煩雑な工程
を伴うので、生成したエステル系高分子ポリオールは、
一般にチタン系エステル化触媒を分離することなく、そ
のままポリウレタンの製造に使用されることが多い。し
たがって、本発明における「チタン系エステル化触媒を
使用して製造されたエステル系高分子ポリオール」と
は、一般に、反応に使用したチタン系エステル化触媒を
分離除去することなくそのまま含有しているエステル系
高分子ポリオールをいうが、精製などを行うことによっ
てチタン系エステル化触媒の含有量を低下させたエステ
ル系高分子ポリオールも包含する。
れたエステル系高分子ポリオールは、含有しているチタ
ン系エステル化触媒の活性が十分に低下していることが
重要である。エステル系高分子ポリオール中に含有され
るチタン系エステル化触媒の活性低下処理は、該チタン
系エステル化触媒の触媒活性を完全に喪失させるもので
あってもよく、また所望の程度に低下させるものであっ
てもよい。チタン系エステル化触媒の活性の低下は、チ
タン系エステル化触媒含有エステル系高分子ポリオール
を加熱条件下に水と接触させる方法により行うのが好ま
しい。この失活処理は、エステル系高分子ポリオールの
形成反応にそのまま引き続いて行っても、または前もっ
て製造されたエステル系高分子ポリオールに対して所定
の期間を置いて行ってもよい。
低下させる際の水の添加量は、処理に付するエステル系
高分子ポリオールの種類、使用したチタン系エステル化
触媒の種類、濃度などに応じて適宜選択することができ
るが、チタン系エステル化触媒の活性を十分に低下させ
る観点から、エステル系高分子ポリオールの重量に基づ
いて、1重量%以上が好ましい。一方、水の添加量の上
限は特に制限されず、多量の水を添加した場合であって
も、その多量の水は、チタン系エステル化触媒の活性を
低下させる作用に悪影響を及ぼすものではない。しかし
ながら、水の添加量が多すぎると添加した水の除去が煩
雑になるので、水の添加量はエステル系高分子ポリオー
ルの重量に基づいて7重量%以下に止めるのが好まし
い。水と接触する際の加熱温度としては、70〜150
℃の範囲内、特に80〜130℃の範囲内が好ましい。
加熱温度が70℃よりも低いと、チタン系エステル化触
媒の活性低下が不十分となることがあり、一方、150
℃よりも高いとエステル系高分子ポリオールの分解を伴
うことがある。なお、100℃以上に加熱する場合は、
加圧下で行ってもよく、また水を水蒸気の形態で接触さ
せてもよい。この加熱処理時間は特に限定されないが、
通常は1〜5時間程度で十分である。水を添加して加熱
処理することによりチタン系エステル化触媒の活性を低
下させた後は、減圧下での加熱乾燥などの任意の方法に
より、エステル系高分子ポリオールから水を除去するこ
とができる。
物は、前記の一般式(1)〜(3)で示されるリン化合
物から選ばれる少なくとも1種を、チタン系エステル化
触媒中のチタン原子1モルに対してリン化合物中のリン
原子の割合が1モル以上となるような割合で含有してい
る。チタン系エステル化触媒中のチタン原子1モルに対
して、リン化合物中のリン原子の割合が1モル未満の場
合には、エステル系高分子ポリオールに含有されるチタ
ン系エステル化触媒の活性失活が不完全となり、これを
使用して得られる熱可塑性ポリウレタンの耐熱性、耐熱
水性が低下する。なお、リン化合物の含有量が非常に多
い場合には、これを使用して得られる熱可塑性ポリウレ
タンの耐加水分解性が低下したり、リン化合物のブリー
ドアウトが起こりやすくなる傾向があり、またコスト的
にも高価になるので、チタン原子1モルに対してリン原
子の割合が500モル以下となるような割合でリン化合
物を含有しているのが適当である。
1〜R9が表す炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭
化水素基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチ
ル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル
基、デシル基、ドデシル基、イソデシル基、オクタデシ
ル基などの脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル基などの
脂環式炭化水素基;フェニル基、ノニルフェニル基、ク
レジル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル基、ナフチル
基、ベンジル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられ
る。芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、フェノキシ基または水酸基などの置換基
を芳香環に有していてもよい。前記の一般式(3)にお
いて、R10が表す2価の炭化水素基としては、炭素数1
〜50の2価の炭化水素基が好ましく、例えば、メチレ
ン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの2
価の脂肪族炭化水素基;シクロヘキシレン基などの2価
の脂環式炭化水素基;フェニレン基、ビフェニレン基、
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニル)基、4,4’−イソプロピリデンジフェ
ニル基などの2価の芳香族炭化水素基などが挙げられ
る。2価の芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、フェノキシ基または水酸基などの
置換基を芳香環に有していてもよい。
としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチ
ルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチ
ルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフ
ァイト、トリノニルホスファイト、トリス(デシル)ホ
スファイト、トリドデシルホスファイト、トリス(オク
タデシル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファ
イト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニル
ジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホ
スファイト、フェニルジイソデシルホスファイトなどの
亜リン酸トリエステル;トリメチルホスフェート、トリ
エチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオ
クチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホ
スフェート、トリス(デシル)ホスフェート、トリドデ
シルホスフェート、トリス(オクタデシル)ホスフェー
ト、トリシクロヘキシルホスフェートなどのリン酸トリ
エステル;フェニル亜ホスホン酸ジメチル、フェニル亜
ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジブチル、
フェニル亜ホスホン酸ジオクチル、フェニル亜ホスホン
酸ジドデシル、フェニル亜ホスホン酸ビス(オクタデシ
ル)、フェニル亜ホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニ
ル亜ホスホン酸ジフェニルなどの亜ホスホン酸誘導体の
ジエステル;フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホ
スホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジブチル、フェ
ニルホスホン酸ジオクチル、フェニルホスホン酸ジドデ
シル、フェニルホスホン酸ビス(オクタデシル)、フェ
ニルホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニルホスホン酸
ジフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸誘導体の
ジエステルなどが挙げられ、前記の一般式(2)で示さ
れるリン化合物としては、例えば、ジドデシルペンタエ
リスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イトなどの亜リン酸トリエステル;ビス(オクタデシ
ル)ペンタエリスリトールジホスフェートなどのリン酸
トリエステルなどが挙げられ、前記の一般式(3)で示
されるリン化合物としては、例えば、4,4’−ブチリ
デン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジト
リデシル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデン
ジフェノールテトラキス(トリデシル)ジホスファイト
などの亜リン酸トリエステル;テトラキス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホス
ホナイトなどの亜ホスホン酸誘導体のジエステルなどが
挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いるこ
とができる。上記のリン化合物の中でも、ビス(オクタ
デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、トリス(デシル)ホスファイト、トリス
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ビス(オクタデ
シル)ペンタエリスリトールジホスフェート、テトラキ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビ
フェニレンホスホナイト、フェニルホスホン酸ジエチ
ル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸ジエチルなどが特に好ましい。
ル系高分子ポリオールが含有するチタン系エステル化触
媒の活性を低下させた後に連続的に添加してもよいし、
該触媒の活性を低下させてから任意の期間後に添加して
もよい。さらに、リン化合物をエステル系高分子ポリオ
ールに添加した後、50〜200℃で0.5〜5時間加
熱することにより、チタン系エステル化触媒の活性をよ
り完全に失活させることができる。
物中に含有されるチタン系エステル化触媒の活性低下の
程度は、90℃で測定した、該エステル系高分子ポリオ
ール組成物と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)とのウレタン化反応速度定数により評価
することができる。本発明のエステル系高分子ポリオー
ル組成物は、該ウレタン化反応速度定数が0.15(リ
ットル/モル・分)以下になる程度にチタン系エステル
化触媒の活性が低下されており、0.13(リットル/
モル・分)以下になる程度にチタン系エステル化触媒の
活性が低下されているのが好ましい。さらに、一旦失活
したチタン系エステル化触媒の活性が高温で加熱した際
に回復する程度の割合は、エステル系高分子ポリオール
組成物を200℃で1時間加熱した後に、上記のウレタ
ン化反応速度定数を測定することにより評価することが
できる。本発明のエステル系高分子ポリオール組成物の
場合、200℃で1時間加熱した後の該ウレタン化反応
速度定数は0.40(リットル/モル・分)以下であ
り、0.30(リットル/モル・分)以下であるのが好
ましい。本発明のエステル系高分子ポリオール組成物中
に含有されるチタン系エステル化触媒の活性は、ほぼ完
全に失活されているのみならず、高温で加熱してもほと
んどその活性は回復しない。このような範囲内のウレタ
ン化反応速度定数を有するエステル系高分子ポリオール
組成物をウレタンの製造原料として使用した場合には、
過剰なウレタン化反応が抑制され、ウレタン化反応が円
滑に進むとともに、耐熱性、耐熱水性、耐加水分解性な
どの諸特性に優れたポリウレタンが得られる。
物は、必要に応じて、光安定剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤などの添加剤を含ん
でいてもよい。さらに、ウレタン化反応の触媒活性を有
している、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジ
ラウレートなどのジアルキルスズジアシレート;ジブチ
ルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸エトキシブチ
ルエステル)塩などのジアルキルスズビスメルカプトカ
ルボン酸エステル塩などのスズ系ウレタン化触媒を含ん
でいてもよい。スズ系ウレタン化触媒の含有量は、エス
テル系高分子ポリオールに対して0.1〜15ppmで
あるのが好ましい。
物は、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、
ポリウレタン発泡体、ウレタン系塗料、ウレタン系接着
剤などの種々のポリウレタンを製造する際の原料として
有用である。特に、エステル系高分子ポリオール成分、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの有
機ジイソシアネート成分および1,4−ブタンジオール
などの鎖伸長剤成分からなる熱可塑性ポリウレタンの製
造原料として用いると、溶融成形の際に耐熱性、耐加水
分解性などの諸特性が劣化せず、溶融成形性に優れた熱
可塑性ポリウレタンが得られるので好ましい。
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。なお、実施例および比較例において、エ
ステル系高分子ポリオール組成物のウレタン化反応速度
定数(k);ポリウレタンの対数粘度、耐熱性、耐加水
分解性は以下の方法により測定または評価した。
で脱水したエステル系高分子ポリオール組成物および該
組成物を200℃で1時間加熱した組成物について、イ
ソシアネート基との反応性を測定した。反応容器に、エ
ステル系高分子ポリオール組成物と4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネートとを3:1のモル比で仕込
み、撹拌しながら温度を90℃に保ち、一定時間毎に反
応物の一部をサンプリングした。これに、0.01Nジ
−n−ブチルアミンのジメチルホルムアミド溶液の一定
量を加えて溶解した後、0.01N塩酸のメタノール溶
液でブロムフェノールブルーを指示薬として中和滴定を
行うことによって、各サンプリング時間毎のイソシアネ
ート基の残存量を求めて、この残存量から各サンプリン
グ時間毎のウレタン結合[−NHCOO−]の濃度を算
出した。ウレタン化反応速度は、水酸基とイソシアネー
ト基の各々の濃度の一次に比例するところから、上記で
求めたウレタン結合[−NHCOO−]の濃度を下記の
式に代入して、ウレタン化反応速度定数(k)(リット
ル/モル・分)を算出した。
a(b−x)}=kt 〔式中、kは反応速度定数(リットル/モル・分)、t
は反応時間(サンプリング時間)(分)、aは水酸基
[−OH]の初濃度(モル/リットル)、bはイソシア
ネート基[−NCO]の初濃度(モル/リットル)、x
はtにおけるウレタン結合[−NHCOO−]の濃度
(モル/リットル)を表す。〕
mのポリウレタンフィルムを、n−ブチルアミンを1重
量%含有するN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、ポ
リウレタンの濃度が0.5g/dlになるように溶解
し、20℃で24時間放置した後に、ウベローデ型粘度
計を用いて、その溶液の30℃における流下時間を測定
し、下式により対数粘度を求めた。
oは溶媒の流下時間(秒)を、cはポリウレタン溶液の
濃度(g/dl)を表す。〕
VE−V4レオスペクトラーを用いて、厚さ100μm
のポリウレタンフィルムから採取した試験片の動的粘弾
性を、自動静荷重、周波数11Hz、変位振幅10μ、
昇温温度3℃/分の条件で測定し、流動開始温度を耐熱
性の指標とした。
0μmのポリウレタンフィルムから作製したダンベル状
試験片を、70℃、95%RHの相対湿度下に6週間放
置し、放置前後での破断強度をJISK 7311に従
って測定し、放置前の破断強度に対する放置後の破断強
度の保持率を求め、耐加水分解性の指標とした。
略号を下記の表1に示す。
Z)の製造〕 3−メチル−1,5−ペンタンジオール3000gおよ
びアゼライン酸4058gを反応器に仕込み、常圧下、
200℃で生成する水を系外に留去しながらエステル化
反応を行った。反応物の酸価が20以下になった時点
で、チタン系エステル化触媒としてテトライソプロピル
チタネート120mg(生成物に対して20ppm)を
添加し、200mmHgから100mmHgまで徐々に
減圧しながら反応を続けて重縮合させた。反応物の酸価
が1.0以下になった時点で真空ポンプにより徐々に真
空度を上げて重縮合反応を完結させた。その結果、数平
均分子量が2000のポリエステルジオール(以下、P
MAZと称する)を6210g得た。
500gを100℃に加熱し、これに水10g(2重量
%)を加えて撹拌しながら2時間加熱した後、減圧下で
水を留去した。次いで、ビス(オクタデシル)ペンタエ
リスリトールジホスファイトを0.5g(チタン原子:
リン原子=1:52(モル比))を加えて撹拌しながら
1時間加熱することによりエステル系高分子ポリオール
組成物を得た。このエステル系高分子ポリオール組成物
のウレタン化反応速度定数(k)を上記の方法で測定し
たところ、0.07(リットル/モル・分)であった。
また、このエステル系高分子ポリオール組成物を、窒素
雰囲気下、200℃で1時間加熱した後のウレタン化反
応速度定数は、0.12(リットル/モル・分)であ
り、加熱後もチタン系エステル化触媒の失活状態はほぼ
保たれていた。
AZを用い、リン化合物の種類と添加量を下記の表2に
示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてエ
ステル系高分子ポリオール組成物を製造した。得られた
エステル系高分子ポリオール組成物について、上記の方
法でウレタン化反応速度定数(k)を評価した。得られ
た結果を下記の表2に示す。
500gを100℃に加熱し、これに水10g(2重量
%)を加えて撹拌しながら2時間加熱した後、減圧下で
水を留去することによりエステル系高分子ポリオールを
得た。得られたエステル系高分子ポリオールについて、
上記の方法でウレタン化反応速度定数(k)を評価し
た。得られた結果を下記の表2に示す。
を用い、水を加えて加熱処理をすることを行わなかった
こと以外は実施例1と同様にしてエステル系高分子ポリ
オール組成物を製造した。得られたエステル系高分子ポ
リオール組成物について、上記の方法でウレタン化反応
速度定数(k)を評価した。得られた結果を下記の表2
に示す。
AZを用い、リン化合物の種類と添加量を下記の表2に
示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして
エステル系高分子ポリオール組成物を製造した。得られ
たエステル系高分子ポリオール組成物について、上記の
方法でウレタン化反応速度定数(k)を評価した。得ら
れた結果を下記の表2に示す。
D=36の同軸方向に回転する二軸押出機に、80℃に
加熱した実施例1で得られたエステル系高分子ポリオー
ル組成物、80℃に加熱した1,4−ブタンジオールお
よび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、
モル比で1:3.82:4.87の割合となるように定
量ポンプで連続的に供給して、押出機のシリンダー温度
を260℃に保って連続溶融重合させてポリウレタンを
生成させた後、ダイからストランド状に水中に押し出
し、切断してポリウレタンペレットを製造し、このポリ
ウレタンペレットを80℃で10時間、低露点雰囲気下
(露点=−30℃)で乾燥した。得られたポリウレタン
ペレットを240℃でフィルム成形し、厚さ100μm
のポリウレタンフィルムを製造し、80℃で24時間熟
成させた。このポリウレタンフィルムについて、上記の
方法で対数粘度、耐熱性、耐加水分解性を評価した。得
られた結果を下記の表3に示す。
に、実施例2〜7で得られたエステル系高分子ポリオー
ル組成物を用いること以外は、試験例1と同様にしてポ
リウレタンフィルムを製造した。このポリウレタンフィ
ルムについて、上記の方法で対数粘度、耐熱性、耐加水
分解性を評価した。得られた結果を下記の表3に示す。
に、比較例1〜4で得られたエステル系高分子ポリオー
ル組成物を用いる以外は、試験例1と同様にしてポリウ
レタンフィルムを製造した。このポリウレタンフィルム
について、上記の方法で対数粘度、耐熱性、耐加水分解
性を評価した。得られた結果を下記の表3に示す。
成物は、ウレタンの製造原料として使用した場合に、ウ
レタン形成時に過剰なウレタン化反応が抑制され、ウレ
タン化反応が円滑に進むとともに、耐熱性、耐熱水性、
耐加水分解性などの諸特性に優れたポリウレタンが得ら
れる。
Claims (2)
- 【請求項1】 チタン系エステル化触媒を使用して製造
されたエステル系高分子ポリオールに、下記の一般式
(1)〜(3); 【化1】 (式中、aおよびjはそれぞれ0または1を表し、R1
〜R3はそれぞれ炭化水素基を表す。但し、aが1の場
合には、R1〜R3のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水
素基または脂環式炭化水素基である。) 【化2】 (式中、b、c、kおよびlはそれぞれ0または1を表
し、R4およびR5はそれぞれ炭化水素基を表す。) 【化3】 (式中、d、e、mおよびnはそれぞれ0または1を表
し、R6〜R9はそれぞれ炭化水素基を表し、R10は二価
の炭化水素基を表す。但し、dとeがともに1の場合に
は、R6〜R10のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水素
基または脂環式炭化水素基である。)で示されるリン化
合物から選ばれる少なくとも1種を、チタン系エステル
化触媒中のチタン原子1モルに対してリン化合物中のリ
ン原子の割合が1モル以上となるような割合で配合して
なるエステル系高分子ポリオール組成物であって、90
℃で測定した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ートとのウレタン化反応速度定数が0.15(リットル
/モル・分)以下であり、且つ該エステル系高分子ポリ
オール組成物を200℃で1時間加熱した後の、90℃
で測定した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
トとのウレタン化反応速度定数が0.4(リットル/モ
ル・分)以下であることを特徴とするエステル系高分子
ポリオール組成物。 - 【請求項2】 チタン系エステル化触媒を使用して重合
反応を行った後、該チタン系エステル化触媒の活性を低
下させることにより得られたエステル系高分子ポリオー
ルに、下記の一般式(1)〜(3); 【化4】 (式中、aおよびjはそれぞれ0または1を表し、R1
〜R3はそれぞれ炭化水素基を表す。但し、aが1の場
合には、R1〜R3のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水
素基または脂環式炭化水素基である。) 【化5】 (式中、b、c、kおよびlはそれぞれ0または1を表
し、R4およびR5はそれぞれ炭化水素基を表す。) 【化6】 (式中、d、e、mおよびnはそれぞれ0または1を表
し、R6〜R9はそれぞれ炭化水素基を表し、R10は二価
の炭化水素基を表す。但し、dとeがともに1の場合に
は、R6〜R10のうち少なくとも1つは脂肪族炭化水素
基または脂環式炭化水素基である。)で示されるリン化
合物から選ばれる少なくとも1種を、チタン系エステル
化触媒中のチタン原子1モルに対してリン化合物中のリ
ン原子の割合が1モル以上となるような割合で配合する
ことを特徴とする請求項1記載のエステル系高分子ポリ
オール組成物の製造方法。
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