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JP3445345B2 - 高耐熱水性サイアロン基焼結体 - Google Patents

高耐熱水性サイアロン基焼結体

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JP3445345B2
JP3445345B2 JP35235293A JP35235293A JP3445345B2 JP 3445345 B2 JP3445345 B2 JP 3445345B2 JP 35235293 A JP35235293 A JP 35235293A JP 35235293 A JP35235293 A JP 35235293A JP 3445345 B2 JP3445345 B2 JP 3445345B2
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sialon
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based sintered
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信夫 鮎澤
昭 白仁田
政道 高井
正博 吉川
照光 一森
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Shinagawa Refractories Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱水性のサイアロ
ン基焼結体に関し、特に高温、高圧下での熱水中の苛酷
な環境下でも使用可能な高耐熱水性サイアロン基焼結体
に関する。
【0002】
【従来の技術】高温構造材料として有望な窒化ケイ素系
焼結体は、難焼結性であり、従来Y2O3、Al2O3等の酸化
物を焼結助剤として用いることが一般的である。これら
の焼結助剤を用いることにより常圧焼結での緻密化が達
成され、複雑形状部品への適用が可能となっている。一
方、焼結助剤を用いない場合、ガラスカプセルHIP法に
より緻密な焼結体を得ることができる。
【0003】ところで、このような窒化ケイ素系焼結体
において特に焼結助剤を用いた場合、それらは粒界相と
して焼結体内に残留することが多い。これらの粒界相の
存在は、高温での強度特性の低下や耐酸化性、耐熱水性
などの耐食性の低下をもたらす要因の一つとなってい
る。
【0004】その解決のため、添加する焼結助剤量の低
減化や粒界の結晶化処理等の検討が従来よりなされてい
る。また、α-サイアロン、β-サイアロン等のサイアロ
ン基焼結体にすることにより、粒界相を減少させ、特性
を向上させる試みもなされている。
【0005】更に、各種化合物を添加することによる耐
食性向上に関する報告もなされている。例えば特開昭62
−128969号公報には、Y2O3、B、B4C、BN、IIIa族ホウ
化物を含有する窒化ケイ素焼結体は、高温での耐酸化性
にすぐれているということが示されている。また、特開
昭62−252388号公報には、窒化ケイ素焼結体の表面がホ
ウケイ酸塩を含む表面層で構成されていることからな
る、耐酸化性にすぐれた窒化ケイ素焼結体について開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
上記のような検討にもかかわらず、窒化ケイ素系焼結体
の耐食性は未だ充分とはいえない。特に、熱水中やアル
カリ、酸を含む溶液中での耐食性は、焼結助剤を添加し
た焼結体について高いものではなく、また、焼結助剤無
添加の焼結体においても熱水中において腐食が著しい。
【0007】近年、火力発電所における熱水用バルブ
等、高温、高圧下で用いられる部材に対してセラミック
ス化への要求が高くなっているが、このような要求に耐
えられるサイアロン基系セラミックス材料が見当らない
のが実情である。
【0008】本発明は、この点に鑑み成されたものであ
って、その目的は、上記した要求に沿うサイアロン基焼
結体を提供することにあり、特に高温、高圧下での熱水
中苛酷な環境下での使用においても耐えられる高耐熱水
性のサイアロン基焼結体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の高耐熱水性サイ
アロン基焼結体は、α-サイアロン及び/又はβ-サイア
ロンを生成する組成物と、所定割合の酸化ホウ素(又は
更に所定量のCeO、HfO、ZrO、BC、SiCの各化合
物)との混合物を成形、焼結して得られる焼結体であ
り、該焼結体は、特に高温、高圧下での熱水中の苛酷な
環境下でも使用可能な高耐熱水性サイアロン基焼結体で
ある。
【0010】即ち、本発明は、「M(Si,Al)12(O,N)
16(0<x≦2、MはLi、Ca、Mg、Y及びLa、Ceを除くラ
ンタン系元素)で示されるα-サイアロンを生成する割合
からなる組成物及び/又はSi6−ZAlON8−Z(0<
z≦4.2)で示されるβ-サイアロンを生成する割合から
なる組成物と、0.1〜5.0重量%の酸化ホウ素(又はさら
に0.1〜10.0重量%のCeO、HfO、ZrO、BC、SiC
の各化合物)とからなる混合物とを成形、焼結して得ら
れることを特徴とする高耐熱水性サイアロン基焼結
体。」を要旨とする。
【0011】以下、本発明を詳細に説明すると、本発明
者等は、高耐食性を有するサイアロン基焼結体について
鋭意研究を重ねた結果、混合物中酸化ホウ素を0.1〜5.0
重量%含有し(又はさらにCeO2、HfO2、ZrO2、B4C、SiC
の少なくとも一種の化合物を0.1〜10.0重量%含有し)、
該混合物を成形、焼結することによって得られるサイア
ロン基焼結体は、耐食性、特に熱水に対する耐食性の点
でたいへん優れているということを見出し、本発明を完
成したものである。
【0012】ここでいうサイアロン基焼結体とは、MX(S
i,Al)12(O,N)16(0<x≦2、MはLi、Ca、Mg、Y及びLa、C
eを除くランタン系元素)の組成式で示されるα-サイア
ロン及び/又はSi6-ZAlZOZN8-Z(0<z≦4.2)の組成式で
示されるβ-サイアロンを含むものである。
【0013】ところで、窒化ケイ素系焼結体を高温、高
圧下の熱水中に保存した場合、例えばオ−トクレ−ブ中
で300℃の平衡蒸気圧下(8.6MPa)に長時間さらした場
合、該焼結体の重量減少が生じると共に表面から組織の
変化が起こり、強度が低下するようになる。このような
熱水による腐食は、焼結助剤として添加した化合物(Y2O
3、Al2O3等の化合物)を含有する粒界相の溶出やSiO2
溶出、さらにはそれらの粒界相の溶出による窒化ケイ素
粒子の脱落等によって生じると考えられる。
【0014】このような粒界相の溶出は、表面組織の変
化をもたらし、破壊の起点となるような欠陥の生成をう
ながし、焼結体の強度が低下するようになってくる。溶
出の程度については、焼結助剤の種類や焼結体の組織、
SiO2含有量等によって変化するが、いずれにしても粒界
相の溶出等に伴う試料の減量や強度の低下は大きい。
【0015】本発明は、混合物中酸化ホウ素を0.1〜5.0
重量%含有し、残部がMX(Si,Al)12(O,N)16(0<x≦2、M
はLi、Ca、Mg、Y及びLa、Ceを除くランタン系元素)で示
されるα-サイアロンを生成する組成物及び/又はSi6-Z
AlZOZN8-Z(0<z≦4.2)で示されるβ-サイアロンを生成
する組成物からなる混合物を成形、焼結して得られるサ
イアロン基焼結体を特徴とし、この焼結体は、耐食性、
特に熱水に対する耐食性に優れているものである。
【0016】また、本発明は、更に混合物中酸化ホウ素
を0.1〜5.0重量%含有すると共にCeO2、HfO2、ZrO2、B4
C、SiCの少なくとも一種を0.1〜10.0重量%含有し、残
部がMX(Si,Al)12(O,N)16(0<x≦2、MはLi、Ca、Mg、Y
及びLa、Ceを除くランタン系元素)で示されるα−サイ
アロンを生成する割合からなる組成物及び/又はSi6-ZA
l ZOZN8-Z(0<z≦4.2)で示されるβ-サイアロンを生成
する割合からなる組成物であって、該混合物を成形焼結
して得られるサイアロン基焼結体を特徴とし、この焼結
体は、酸化ホウ素を単独で添加した場合よりも更に耐熱
水性が向上するものである。
【0017】本発明において、添加した酸化ホウ素は、
焼結体内では粒界相として存在するが、この酸化ホウ素
を含有する焼結体を熱水中で処理を行った場合、ホウ素
を含有する反応層が焼結体表面に形成され、この反応層
がその後の熱水との反応を防止する作用(役目)をし、こ
れにより他の粒界相成分の溶出やサイアロン粒子の脱落
が抑制され、耐熱水性が向上するものと考えられる。ま
た、添加した酸化ホウ素は、焼結過程においては低温で
液相を生成し、緻密化を促進すると共に焼結体中に均一
に拡散する。このため、熱水との反応も均一に生じ、こ
の点も耐熱水性向上をもたらす要因と考えられる。
【0018】また、本発明において、酸化ホウ素以外の
他の添加化合物としてCeO2、HfO2、ZrO2、B4C、SiCを用
いた場合、耐熱水性が更に向上する理由としては、Ce
O2、HfO2の各酸化物は、焼結時に液相を形成し、それら
の酸化物を含む粒界相として存在するようになり、この
CeO2、HfO2、ZrO2を含有する粒界相は、熱水中への溶出
速度が特に低いということがその要因と考えられる。さ
>らに、ZrO2、SiC、B4Cは、本来それ自体で耐熱水性に
すぐれた材質であり、これらを添加することにより酸化
ホウ素の添加効果と相乗してすぐれた特性を示すと考え
られる。
【0019】ところで、サイアロン基焼結体は、その生
成のために加えた化合物が最終的には固溶元素として粒
内に固溶されるため、粒界相が少なく、したがって耐酸
化性や耐薬品性等耐食性に比較的すぐれているという特
徴がある。本発明においても主たる構成相はサイアロン
であり、そのため所定量の酸化ホウ素やHfO2、CeO2等の
化合物を添加した場合、それらの化合物の添加効果が明
瞭になり、よりすぐれた特性を有するサイアロン基焼結
体が得られているものと考えられる。
【0020】また、サイアロン基焼結体においては、そ
の配合組成を変えることによりα-サイアロンとβ-サイ
アロンの含有割合を調整することができる。本発明にお
いては、焼結体中のα-サイアロンとβ-サイアロンの比
率を変化させた場合、次のような特性が得られることを
見出した。
【0021】ひとつは、焼結体中のサイアロン相がα-
サイアロン単相の場合には特に耐熱水性にすぐれている
という点である。もう一点は、α-サイアロンとβ-サイ
アロンの2相サイアロンの組合せにおいては、耐熱水性
と共に曲げ強度や靱性等の機械的特性にすぐれていると
いう点である。
【0022】これは、β-サイアロンの結晶粒が焼結過
程において長柱状組織を形成し、α-サイアロンの粒状
組織と組み合わさった複合組織を形成するためである。
耐食性と共に機械的特性が要求される部材への適用にお
いては、このようなα-、β-複合サイアロン基焼結体を
好適に用いることができると考えられる。
【0023】本発明で配合する化合物の添加量について
は、酸化ホウ素は0.1〜5.0重量%の範囲が好ましい。0.
1重量%未満では耐食性(耐熱水性)向上の効果が弱く、
また5.0重量%を超えると、緻密化が阻害されると共に
耐食性(耐熱水性)が劣るようになる。CeO、HfO、Si
C等については、0.1〜10.0重量%の範囲が好ましく、特
に0.1〜5.0重量%がより好ましい。0.1重量%未満では
耐薬品性に対する効果が弱く、また10.0重量%を超える
と、耐食性(耐熱水性)と共に強度特性が劣るようにな
る。
【0024】本発明の高耐熱水性サイアロン基焼結体
は、例えば次のようにして製造することができる。ま
ず、M(Si,Al)12(O,N)16(0<x≦2、MはLi、Ca、M
g、Y及びLa、Ceを除くランタン系元素)で示されるα-サ
イアロンやSi6−ZAlON8−Z(0<z≦4.2)で示さ
れるβ-サイアロンを生成する所定割合の窒化ケイ素、
窒化アルミニウム、YO、AlOなどと共に酸化ホ
ウ素を混合する。また、CeO、HfO、SiC等の各化合
物もこの段階で添加、混合する。
【0025】混合手段としては、水あるいは有機溶剤中
でボ−ルミルや振動ミル等を用いて行うことができ、ま
た、この時バインダ−や分散剤等の有機化合物を添加す
ることもできる。混合する酸化ホウ素やサイアロンの固
溶元素としての化合物等は、本発明で特に限定するもの
ではなく、粉末の形で又は液相の形で用いることがで
き、また焼結時に分解してそれらの化合物となるものを
用いることもできる。
【0026】得られた混合物は、スプレ−ドライヤ−等
を用いて乾燥、造粒を行い、成形用原料とする。成形方
法としては、金型成形、静水圧プレス成形、射出成形、
鋳込み成形等を用いることができる。得られる成形体に
は、通常バインダ−等有機分が含まれているため脱脂を
行う。
【0027】次に、この成形体を非酸化性雰囲気中で焼
結を行う。焼成収縮は、約1200℃以上で生じるが、緻密
な焼結体を得るためには、1600℃以上の温度で焼結する
ことが好ましい。焼結時間は、通常30分〜10時間の範囲
である。焼結は、常圧焼結によって充分緻密な焼結体が
得られるが、必要に応じHIP、ホットプレス等の手法を
用いることができる。
【0028】このようにして得られる本発明のサイアロ
ン基系焼結体は、高温、高圧下での熱水に対する耐食性
がたいへん優れている。さらに、曲げ強度や破壊靱性等
機械的特性にも充分優れたものであり、構造材料として
の使用に適したものである。
【0029】
【実施例】次に、本発明の実施例をそれに対応する比較
例と共に挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0030】(実施例1、比較例1)窒化ケイ素、酸化
アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウムの
各原料粉末をサイアロン基系焼結体が得られるように配
合すると共に、酸化ホウ素を表1に示す割合で添加し
た。なお、表1中の配合No.1〜8は本発明の実施例1で
あり、配合No.9〜12は実施例1に対応する比較例1であ
る。
【0031】原料粉末の混合は樹脂製ポツト、窒化ケイ
素製玉石を用い、振動ミルにてエタノ−ル中で20時間行
った。得られた混合物を真空乾燥した後、冷間静水圧プ
レスにて1.5t/cm2の圧力で成形し、次いでこの成形体
を窒素雰囲気中、常圧下1700℃で5時間焼成してサイア
ロン基系焼結体を得た。
【0032】得られた焼結体から3×4×20(mm)の試験片
を作製し、評価用試料とした。この試験片の寸法及び乾
燥後重量を測定した後、その一部はテフロン製容器に入
れ、更に蒸留水を入れて蓋をした。このとき、B/A=10
cm(ただし、Aは試験片の表面積(cm2)、Bは蒸留水の量(c
m3)とする。)となるように蒸留水の量を設定した。な
お、テフロン製容器1個には1本の試験片を入れた。
【0033】このテフロン製容器をオ−トクレ−ブ(内
部に60体積%ほど蒸留水を満たしたオ−トクレ−ブ)中
に入れ、300℃に加熱し、300℃の平衡蒸気圧下(8.6MPa)
で100時間保持した。冷却後試料を取り出し、120℃で5
時間乾燥した後、試験片の重量を測定して重量減少量を
求めた。その測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から、実施例1のサイアロン基焼結体
(配合No.1〜8)は、その熱水中処理後の重量減少量が3mg
/cm以下と小さく、優れた耐熱水性を示していること
が理解できる。これに対して、比較例1で示すように、
酸化ホウ素を添加しない場合(配合No.9〜11)及びこれを
過剰に添加した場合(配合No.12)、いずれも重量減少量
が大きく、耐熱水性に劣るものが得られた。
【0036】(実施例2、比較例2)窒化ケイ素、酸化
アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウムの
各原料粉末をサイアロン基焼結体が得られるように配合
すると共に、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化ハフニウ
ム、酸化ジルコニウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素の各粉
末を表2(実施例2)及び表3(比較例2)に示す割合で添
加した。
【0037】なお、表2中の配合No.1〜23は本発明の実
施例2であり、表3中の配合No.25〜29はこの実施例2
に対応する比較例2であり、そして、この実施例2及び
比較例2では、すべての配合において酸化ホウ素の添加
量を1.0重量%とした。また、表2中のNo.24の配合は、
前記実施例1のNo.2の配合例(酸化ホウ素:1.0重量%を
単独添加した例)であり、参考のため表示した。即ち、
本実施例2の酸化ホウ素とCeO2、HfO2、ZrO2、B4C、SiC
の各化合物との併用による添加効果を明らかにするた
め、前記表1のNo.2の配合例を転記したものである。
【0038】これらの原料粉末を前記実施例1と同様な
方法を用いて混合、成形、焼成を行い、焼結体を得た。
なお、本実施例2では、焼結体中のサイアロン相はα-
サイアロンとβ-サイアロンの2相からなるようにし、
また、酸化ホウ素の添加量は1.0重量%とした。
【0039】得られた焼結体から3×4×20(mm)の試験片
を作製し、評価用試料とした。試験片の寸法及び乾燥重
量を測定した後、実施例1と同様な方法で熱水中での処
理を行った。処理終了後試料を取り出し、120℃で5時間
乾燥した後、試料の重量を測定して重量減少量を求め
た。その測定結果を表2(実施例2)及び表3(比較例2)
に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】表2から、本実施例2のサイアロン基焼結
体の重量減少量は、いずれも3.3mg/cm以下と小さ
く、優れた耐熱水性を示していることが理解できる。こ
れに対して、本発明で規定するCeO、HfO、ZrO、B
C、SiCの各化合物の添加範囲(0.1〜10.0重量%)を超
えて過剰に添加すると、表3の比較例2から明らかなよ
うに、重量減少量が大きく、耐熱水性に劣るものが得ら
れ、耐熱水性に対する添加効果がなくなっていることが
認められた。
【0043】また、本実施例2のサイアロン基焼結体に
おいて、本発明で規定するCeO2、HfO2、ZrO2、B4C、SiC
の各化合物の添加範囲内であっても、小量添加の場合
(配合No.1〜14)、表2の参考例(配合No.24:実施例1)
との対比から明らかなように、酸化ホウ素を単独で添加
したものよりもさらに重量減少量が小さいことが認めら
れた。
【0044】(実施例3、比較例3)窒化ケイ素、酸化
アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウムの
各原料粉末をサイアロン基焼結体が得られるように配合
すると共に、酸化ホウ素を1.0重量%、CeO2を3.0重量%
添加し、これらの原料粉末を前記実施例1と同様な方法
を用いて混合、成形、焼結を行い、焼結体を得た。
【0045】本実施例3及び比較例3で得られた焼結体
中のサイアロン相の構成割合は、表4に示すとおりであ
る。なお、焼結体中のサイアロン相の構成割合は、X線
回折によって求めた。
【0046】このようにして得られた焼結体から3×4×
40(mm)の曲げ試験片形状の試験片を作製し、評価用試料
とした。作製した各試験片について、その3点曲げ強度
(スパン30mmでの3点曲げ強度)を各配合で10本ずつ測
定し、初期強度特性を求めた。また、熱水中での耐食試
験として、各配合について3本の試験片を用い、前記実
施例1と同様な方法で行った。それらの測定結果を表4
に示す。
【0047】
【表4】
【0048】表4から、サイアロン相がα-サイアロン
単相からなるもの(実施例3の配合No.1)については、他
の例と比較して重量減少量が少ないという結果が得られ
た。α-サイアロンとβ-サイアロンの複合サイアロンか
らなるものについては、その初期強度が1000MPa以上と
高く、また、熱水処理による強度低下割合も小さいこと
が認められた。なお、比較例3の配合No.6、7は、前記
実施例1で作製した配合No.9、10の酸化ホウ素無添加の
試料を用いて評価した結果に相当する例であるが、重量
減少量が大きく、更に強度低下割合も大きいことが認め
られた。
【0049】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、α-サ
イアロン及び/又はβ-サイアロンを生成する組成物
と、所定割合の酸化ホウ素(又は更に所定量のCeO、Hf
O、ZrO、BC、SiCの各化合物)との混合物を成形、
焼結して得られる高耐熱水性サイアロン基焼結体であ
り、曲げ強度や破壊靱性等機械的特性に優れていると共
に、特に高温、高圧下の熱水に対する耐食性が優れた高
熱水サイアロン基焼結体を提供できる効果を有す
る。
【0050】そして、本発明により、構造材料としての
好適な素材を提供でき、また、火力発電所における熱水
用バルブ等、特に高温、高圧下での熱水中の苛酷な環境
下でも使用可能な素材を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−209956(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/599

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 M(Si,Al)12(O,N)16(0<x≦2、M
    はLi、Ca、Mg、Y及びLa、Ceを除くランタン系元素)で示
    されるα-サイアロンを生成する割合からなる組成物及
    び/又はSi6−ZAlON8−Z(0<z≦4.2)で示され
    るβ-サイアロンを生成する割合からなる組成物と、0.1
    〜5.0重量%の酸化ホウ素からなる混合物とを成形、焼
    結して得られることを特徴とする高耐熱水性サイアロン
    基焼結体。
  2. 【請求項2】 混合物中酸化ホウ素を0.1〜5.0重量%、
    CeO、HfO、ZrO、BC、SiCの少なくとも一種を0.
    1〜10.0重量%含有し、残部がM(Si,Al)12(O,N)16
    (0<x≦2、MはLi、Ca、Mg、Y及びLa、Ceを除くランタ
    ン系元素)で示されるα-サイアロン及び/又はSi6−Z
    AlON8−Z(0<z≦4.2)で示されるβ-サイアロン
    を生成する割合からなる組成物であって、該混合物を成
    形、焼結して得られることを特徴とする高耐熱水性サイ
    アロン基焼結体。
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