JP3311402B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
に、そのサイクル寿命及び信頼性(安全性)の向上を目
的とした結着剤の改良に関する。
リチウム二次電池の負極材料として、可撓性に優れるこ
と、モッシー状のリチウムが電析するおそれがないこと
などの理由から、コークス、黒鉛等の炭素材料が、従前
のリチウム金属に代わる負極材料として提案されてい
る。
素粉末(黒鉛、コークス粉末など)及び必要に応じて導
電剤粉末(アセチレンブラック、カーボンブラックな
ど)を、結着剤溶液に分散させてスラリーとし、このス
ラリーをドクターブレード法にて集電体金属上に塗布し
た後、乾燥する方法などにより作製されている。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)をNMP(N−メチ
ル−2−ピロリドン)に溶かした溶液が使用されてき
た。
を一体化する結着剤としては優れているものの、集電体
金属との接着性(密着性)が良くないので、充放電を繰
り返し行うと、炭素粉末が集電体金属(銅板、銅箔な
ど)から剥離して電池容量が次第に低下する。すなわ
ち、PVDFを使用した電池には、サイクル寿命が総じ
て短いという問題があった。
すると、PVDFが分解してHF(フッ化水素)が発生
し、このHFが充電により負極に生成したC6 Liと激
しく反応(発熱反応)するため、電池が破損、破裂する
おそれがある。すなわち、信頼性の点で問題があった。
であって、その目的とするところは、サイクル寿命が長
く、しかも電池温度が異常に高くなった場合でも破損、
破裂する危険性が少ない信頼性の高い二次電池を提供す
るにある。
の請求項1記載の発明に係る二次電池(以下、「第1電
池」と称する。)は、陽イオンを吸蔵放出可能な炭素粉
末を結着剤にて一体化してなる負極を備える二次電池に
おいて、前記結着剤が実質的にポリイミド樹脂からなる
ことを特徴とする。
二次電池(以下、「第2電池」と称する。)は、陽イオ
ンを吸蔵放出可能な炭素粉末を結着剤にて一体化してな
る負極を備える二次電池において、前記結着剤が実質的
にポリビニルホルマール樹脂からなることを特徴とす
る。なお、以下においては、第1電池及び第2電池を総
称して、本発明電池と称することがある。
能な炭素粉末としては、コークス、好ましくは純度99
%以上の精製コークス、セルロース等を焼成してなる有
機物焼成体、黒鉛、グラッシーカーボン(ガラス状カー
ボン)などが挙げられる。なお、これらの炭素粉末は一
種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用し
てもよい。なかでも、黒鉛がリチウムの吸蔵放出量(容
量)が多い点で好ましい。
有するものが特に好ましい。 平均粒径:1〜30μm X線回折における格子面(002)面のd値
(d002 ):3.35〜3.40Å X線回折におけるc軸方向の結晶子の大きさ(L
c):150Å以上 BET法による比表面積:0.5〜50m2 /g 真密度:1.9〜2.3g/cm3
i+ (リチウム二次電池)、Ba2+、Sr2+、Ca2+、
Mg2+、Al3+ が例示される。
を一体化するための結着剤として、第1電池では、PI
(ポリイミド樹脂)が、また第2電池ではPVF(ポリ
ビニルホルマール樹脂)が、それぞれ使用される。
使用することとしたのは、次の(1)及び(2)に示す
理由に依る。 (1) PI及びPVFは、PVDF同様、炭素粉末同
士の結着力に優れる他、PVDFに比し、負極集電体
(銅など)との接着性が格段に良い。 (2) PI及びPVFは、フッ素樹脂の一種であるP
VDFと異なり、分子内にフッ素を含有しないため、電
池温度が異常に上昇したときでも電池が破損、破裂する
という危険性がない。
同士の結着性及び集電体金属に対する接着性に優れたも
のであれば、熱硬化性ポリイミド及び熱可塑性ポリイミ
ドのいずれを用いてもよく、また熱硬化性ポリイミドと
して縮合型ポリイミド及び付加型ポリイミドのいずれを
用いてもよい。
は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物と
を反応させて得られるポリアミド酸のN−メチル−2−
ピロリドン溶液(ポリイミド中間体溶液)を、下記の化
1に示す反応により加熱硬化(脱水縮合反応)させてな
るポリイミド樹脂が挙げられる。
中間体が、加熱硬化後の負極中に残存していると、電池
温度が異常に上昇した場合、このポリイミド中間体が縮
合して水を放出し、これがリチウムと激しく反応する危
険性がある。したがって、この脱水縮合反応を完結させ
るべく、少なくとも350°C程度の温度で2時間以上
かけて加熱処理することが好ましい。
としては、無水マレイン酸とジアミンとから合成したビ
スマレイミドと芳香族ジアミンとを、下記の化2に示す
反応により加熱硬化(付加反応)させてなるポリイミド
樹脂が挙げられる。
ン社の「ベスペル」、宇部興産社の「ユーピレック
ス」、日立化成社の「PIQ」及び「PIX」、三井東
圧社の「Larc−TPI」(以上いずれも縮合型線状
ポリイミド)、GE社の「ウルテム」(ポリエーテルイ
ミド;熱可塑性ポリイミド)が挙げられる。
現するので、その種類によって多少異なるが、黒鉛10
0重量部に対して少なくとも0.5重量部、通常1重量
部程度の割合が好適である。過剰のPIは、後述する実
施例に示すように容量低下の原因となるので、2重量部
以下に抑えることが好ましい。
性及び接着性に優れたものであれば特に制限なく使用す
ることが可能である。このPVFは、PVA(ポリビニ
ルアルコール)を水又はメタノールなどに溶かし、塩
酸、硫酸等の無機酸を触媒として、ホルマール化(縮合
反応)することにより容易に得ることができる。
体金属との接着性がPIに比べて若干劣るので、黒鉛1
00重量部に対して少なくとも5重量部程度の割合で使
用することが好ましい。このPVFについても、過剰の
PVFは、容量低下をもたらすので、10重量部以下に
抑えることが好ましい。
VFをNMP等の有機溶媒に溶かした溶液に、炭素粉末
及び必要に応じて導電剤粉末を混合してスラリーとした
後、ドクターブレード法にて集電体金属上に塗布し、乾
燥して有機溶媒を蒸散させた後、加熱硬化させることに
より作製される。
液に炭素粉末を分散させたスラリーを使用することが、
サイクル寿命の長い二次電池を得る上で好ましい。
する場合の正極材料(活物質)としては、TiO2 、V
2 O5 などのトンネル状の空孔を有する酸化物、TiS
2 、MoS2 などの層状構造を有する金属カルコゲン化
物、組成式Lix MO2 又はLiy M2 O4 (Mは遷移
元素;0<x≦1、0<y≦2)で表されるLi含有複
合酸化物などが例示される。Li含有複合酸化物の具体
例としては、LiCoO2 、LiMnO2 、LiNiO
2 、LiCrO2 、LiMn2 O4 が挙げられる。
応じてアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電
剤と混練して正極合剤として使用される。なお、正極に
使用する結着剤についても、集電体金属(アルミニウム
など)と活物質との接着性を高める上で、PI又はPV
Fを使用することが好ましい。
VDFに代えて、PI又はPVFが使用されているの
で、炭素粉末同士の結着性が良く、また炭素粉末と負極
集電体金属との密着性も良い。このため、充放電サイク
ルを繰り返し行っても、炭素粉末が負極集電体から剥離
しにくく、電池容量が低下しにくい。
ので、リチウム二次電池などにおいて問題となっていた
結着剤の熱分解により生成したフッ化水素とC6 Liと
が激しく反応して電池が破裂、破損するという危険性が
ない。
に説明するが、本発明は下記実施例により何ら限定され
るものではなく、その要旨を変更しない範囲において適
宜変更して実施することが可能なものである。
としてのアセチレンブラックとを、PI(東レ社製、商
品名「トレニース♯3000」;縮合型PI)の1重量
%NMP溶液に分散させてスラリーとした後、正極集電
体としてのアルミニウム箔の片面にドクターブレード法
により塗布し、真空下において60°CでNMPを蒸散
させて乾燥した後、他方の面にもスラリーを塗布し、先
と同じ条件で乾燥した。
正極を作製した。なお、V2 O5 とアセチレンブラック
とPIとの重量比を93:5:2とした。
ウム電極を負極とし、またLiPF6 を1モル/リット
ルの割合でエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トとの等体積混合溶媒に溶かした溶液を電解液として放
電して、V2 O5 の孔内にリチウムが吸蔵された正極を
作製した。
1重量%溶かしたNMP溶液に黒鉛を分散させてスラリ
ーとした後、負極集電体としての銅箔の両面に、ドクタ
ーブレード法により塗布し、正極の作製と同じ条件で、
乾燥、加熱処理して負極を作製した。なお、黒鉛とPI
との重量比を100:1とした。
ジメチルカーボネートとの等体積混合溶媒に、LiPF
6 を1モル/リットルの割合で溶かして電解液を調製し
た。
解液を用いて円筒型の第1電池BA1を作製した(電池
寸法:直径14.2mm;長さ50.0mm)。なお、
セパレータとしてイオン透過性を有するポリプロピレン
製の微孔性薄膜(ポリプラスチックス社製、商品名「セ
ルガード3401」)を用いた。
あり、図示の第1電池BA1は、正極1及び負極2、こ
れら両電極を離隔するセパレータ3、正極リード4、負
極リード5、正極外部端子6、負極缶7などからなる。
正極1及び負極2は電解液が注入されたセパレータ3を
介して渦巻き状に巻き取られた状態で負極缶7内に収容
されており、正極1は正極リード4を介して正極外部端
子6に、また負極2は負極リード5を介して負極缶7に
接続され、第1電池BA1内部で生じた化学エネルギー
を電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっ
ている。
結着剤溶液として、PVF(チッソ社製、商品コード
「ビニレック(Vinilec)330」)の2.5重
量%NMP溶液を使用したこと以外は実施例1と同様に
して第2電池BA2を作製した。なお、正極におけるV
2 O5 とアセチレンブラックとPVFとの重量比を9
0:5:5とし、負極における黒鉛とPVFとの重量比
を100:5とした。
結着剤溶液として、PVDFを2.5重量%溶かしたN
MP溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして比
較電池BC1を作製した。なお、正極におけるV2 O5
とアセチレンブラックとPVDFとの重量比を90:
5:5とし、負極における黒鉛とPVDFとの重量比を
100:5とした。
えて作製した負極の表面に接着テープを貼り付け、その
一端をバネ秤に取りつけて引っ張り、炭素粉末が剥離し
たときのバネ秤の引張荷重を測定して、各負極の剥離強
度を調べた。また、それぞれの負極の表面抵抗を測定し
た。結果を図2及び表1に示す。
を、横軸に黒鉛100重量部に対する各結着剤の割合
(重量部)をとって示したグラフであり、同図より、本
発明電池の負極は、比較電池の負極に比し、剥離強度が
大きく、黒鉛粉末同士の結着性及び結着剤と集電体金属
との接着性に優れていることが分かる。
極は、比較電池の負極に比し、表面抵抗が小さいため、
導電性に優れていることが分かる。
鉛に対するPIの量比を変えたときの負極の放電容量の
変化を調べた。結果を図3に示す。
g)を、また横軸に黒鉛100重量部に対するPIの量
(重量部数)をとって示したグラフであり、同図より、
PI量が多くなると放電容量が少し低下することが分か
る。
び比較例1で作製した各電池について、充電電流60m
Aで充電終止電圧4.2Vまで充電した後、放電電流2
00mAで放電終止電圧2.5Vまで放電する工程を1
サイクルとするサイクル試験を行い、各電池のサイクル
特性を調べた。結果を図4に示す。
極の放電容量(mAh/g)を、また横軸にサイクル数
(回)をとって示したグラフであり、同図より、結着剤
としてPI又はPVFを使用した本発明電池BA1、B
A2では、炭素粉末同士の結着性及び炭素粉末と集電体
金属との接着性が良いため、充放電サイクルを繰り返し
行っても電極材料が電極から剥離しにくく、試験を終了
した1000サイクル目においても全く容量低下しない
のに対して、比較電池BC1では、炭素粉末の電極から
の脱落量がサイクルを重ねる毎に多くなり、1000サ
イクル目においては、200mAh/g以下にまで負極
の放電容量が低下してしまうことが分かる。
ジメチルカーボネートとの等体積混合溶媒にLiPF6
を1モル/リットルの割合で溶かしてなる電解液を単3
型の電池缶に入れ、その電解液中に予めリチウムを吸蔵
させた実施例1、2及び比較例1で作製した各負極を浸
漬し、閉蓋した後、オーブンにて室温から200°Cま
で昇温する簡易試験法により、各電池の安全性を調べ
た。
電池缶は、200°Cに加熱しても何ら変化が認められ
なかったのに対して、比較電池BC1の負極を入れた電
池缶は、150°Cに加熱した時点で内圧上昇により蓋
が飛んだ。
は安全性が高いのに対して、比較電池BC1は、電池温
度が異常上昇した場合、電池が破損、破裂する危険性が
あり、安全性の点で問題があることが分かる。
げて説明したが、本発明は、電池の形状に制限はなく、
円筒型以外にも、扁平型、角型など、種々の形状の二次
電池に適用し得るものである。
良く、また炭素粉末と負極集電体金属との密着性も良い
ため、炭素粉末が負極から剥離しにくい。このため、充
放電サイクルを繰り返し行っても、電池容量が低下しに
くく、サイクル寿命が長い。
ないPI又はPVFが使用されているので、電池温度が
異常に上昇した場合においても電池が破裂、破損する危
険性が少なく、信頼性が高い。以上の如く、本発明は優
れた特有の効果を奏する。
度との関係を示すグラフである。
を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】陽イオンを吸蔵放出可能な炭素粉末を結着
剤にて一体化してなる負極を備える二次電池において、
前記結着剤が実質的にポリイミド樹脂からなることを特
徴とする二次電池。 - 【請求項2】陽イオンを吸蔵放出可能な炭素粉末を結着
剤にて一体化してなる負極を備える二次電池において、
前記結着剤が実質的にポリビニルホルマール樹脂からな
ることを特徴とする二次電池。
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