JP3395439B2 - 樹脂成形体 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,自動車の外装品等に用
いられる樹脂成形体に関する。 【0002】 【従来技術】自動車に用いられるバンパ,バンパコーナ
ー等の外装部品は,軽量化,低コスト化,成形の容易さ
から,樹脂成形体が用いられている。樹脂成形体として
は,例えばポリプロピレンとゴム,又はポリプロピレン
とゴムとフィラーとを混合したゴム変性ポリプロピレン
からなる樹脂組成物が用いられている。この中,ゴム変
性ポリプロピレンは,特に耐衝撃性の点において優れて
おり,一般に用いられている。 【0003】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のゴ
ム変性ポリプロピレンは,上記のような特長がある反
面,耐候性が不十分である。そこで,紫外線吸収剤,光
安定剤等の耐候安定剤を添加することが考えられる。し
かし,この場合には,黒またはダークグレー等の光遮断
性の高い色調の場合は適用可能だが,赤,青,緑,ベー
ジュ,ライトグレー等の有彩色,淡色系では,屋外曝露
試験において約1.5年で,樹脂成形体の光沢が低下
し,また変色してしまうという問題があった。 【0004】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,高い
耐候性を有し,かつ高い光沢を維持し,耐変色性に優れ
た樹脂成形体を提供しようとするものである。 【0005】 【課題の解決手段】本発明は,スキン層と該スキン層に
より被覆されたコア層とからなる樹脂成形体であって,
上記スキン層は,キシレン可溶分が0〜20重量%のポ
リプロピレン樹脂と,分子量1500未満で且つ融点1
00℃以上のヒンダードアミン系光安定剤からなる第1
光安定剤と分子量1500以上のヒンダードアミン系光
安定剤からなる第2光安定剤の双方と,着色剤とを含有
してなり,上記コア層は,ポリプロピレン樹脂にゴム成
分,無機質充填材のいずれか一方又は双方を含有してい
ると共にアイゾット衝撃強度(ノッチ付)が40J/m
(−30℃)以上で,かつ曲げ弾性率が300〜250
0MPaであるポリプロピレン系複合材料からなること
を特徴とする樹脂成形体にある。 【0006】本発明において最も注目すべきことは,高
耐候性,高光沢性,耐変色性に優れた上記組成,物性を
有するスキン層と,耐衝撃性に優れた上記組成,物性を
有するコア層とよりなる,サンドイッチ構造の樹脂成形
体としたことにある。上記スキン層は,上記樹脂組成物
を用いたものであり,また上記スキン層の組成,物性
は,上記樹脂組成物と同様である。本発明において,上
記ポリプロピレン樹脂は,キシレン可溶分が0〜20重
量%である。ここに,キシレン可溶分は,ポリプロピレ
ン樹脂の中に含まれるエチレン・プロピレンランダム共
重合体等のゴム成分の含有量を示すものである。キシレ
ン可溶分が20重量%を越える場合には,ゴム成分の分
子運動による耐候安定剤の拡散・揮発が促進され,長期
間の屋外曝露でクラックが発生しやすくなるため,好ま
しくない。 【0007】上記光安定剤としてはヒンダードアミン系
光安定剤を用いている。ヒンダードアミン系光安定剤と
は分子中にヒンダードピペリジン骨格を持つ光安定剤で
あり,本発明においては,以下の2種類のものを第1光
安定剤,第2光安定剤として,両者を併せて用いる。 【0008】第1光安定剤は,分子量1500未満で且
つ融点が100℃以上のヒンダードアミン系光安定剤で
ある。融点が100℃未満の場合には,高温雰囲気での
耐候劣化において安定剤がブリードしやすいため,初期
の耐候劣化において表面にクモリが生じ光沢が低下する
ため,好ましくない。一方,第2光安定剤は,分子量1
500以上のヒンダードアミン系光安定剤である。 【0009】上記の分子量1500未満で且つ融点が1
00℃以上のヒンダードアミン系光安定剤(第1光安定
剤)としては,例えば,図1に示すごとく,1−[2−
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン,2−メチル−2−(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンア
ミドがある。 【0010】また,上記分子量1500以上のヒンダー
ドアミン系光安定剤(第2光安定剤)としては,例え
ば,図2に示すごとく,コハク酸ジメチル−1−(2−
ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン重縮合物,ポリ[{6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキ
サメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ}],N,N′−ビス(3−アミノプ
ロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル
−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリ
ジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン
縮合物がある。 【0011】上記第1光安定剤と上記第2光安定剤の双
方は,ポリプロピレン樹脂100重量部に対して,0.
05〜2.0重量部含有されていることが好ましい。
0.05重量部未満の場合には,樹脂成形体の光安定性
が低下し,変色するおそれがある。一方,2.0重量部
を越える場合には,機械物性の低下,成形加工性の低下
のおそれがある。特に本発明では第1光安定剤と第2光
安定剤とを組合わせて用いるので,屋外曝露における亀
裂の発生,色差の変化に対して相乗効果を得ることがで
きる。 【0012】上記の光安定剤の他に,ヒンダードフェノ
ール系安定剤,リン系熱安定剤,紫外線吸収剤を添加,
混合することが好ましい。これにより,高温雰囲気下で
の耐候性,加工熱安定性,耐熱性等のバランス化を図る
ことができる。 【0013】上記着色剤としては,チタン白,酸化亜
鉛,硫化亜鉛,べんがら,クロム黄,バリウム黄,群
青,コバルト青,コバルト緑,又はカーボンブラック等
の無機系顔料,ウォッチングレッド,パーマネントレッ
ド,パラレッド,トルイジンマルーン,ベンジジンイエ
ロー,フタロシアニンブルー,フタロシアニングリー
ン,ファーストスカイブルー,又はブリリアントカーミ
ン6B等の有機系顔料のグループから選ばれる1種又は
2種以上の,有彩色又は無彩色のものを用いることがで
きる。また,アルミ粉,アルミフレーク,アルミ箔,パ
ールマイカ,亜鉛粉,又はブロンズ粉,ガラスフレーク
等の光輝材を併用することもできる。 【0014】次に,上記樹脂成形体としては,例えば,
スキン層と該スキン層により被覆されたコア層とからな
る樹脂成形体であって,上記スキン層は,キシレン可溶
分が0〜20重量%のポリプロピレン樹脂と,分子量1
500未満で且つ融点100℃以上のヒンダードアミン
系光安定剤からなる第1光安定剤或いは分子量1500
以上のヒンダードアミン系光安定剤からなる第2光安定
剤の一方又は双方と,着色剤とを含有してなり,上記コ
ア層は,ポリプロピレン樹脂にゴム成分,無機質充填材
のいずれか一方又は双方を含有していると共にアイゾッ
ト衝撃強度(ノッチ付)が40J/m(−30℃)以上
で,かつ曲げ弾性率が300〜2500MPaであるポ
リプロピレン系複合材料からなることを特徴とする樹脂
成形体がある。 【0015】この場合には,高耐候性,高光沢性,耐変
色性に優れた上記組成,物性を有するスキン層と,耐衝
撃性に優れた上記組成,物性を有するコア層とよりな
る,サンドイッチ構造の樹脂成形体となる。 【0016】上記スキン層は,上記樹脂組成物を用いた
ものであり,また上記スキン層の組成,物性は,上記樹
脂組成物と同様である。 【0017】次に,本発明において,上記コア層におけ
るポリプロピレン系複合材料は,ポリプロピレン樹脂に
ゴム成分,無機質充填材のいずれか一方又は双方を含有
していると共にアイゾット衝撃強度(ノッチ付)が40
J/m(−30℃)以上で,かつ曲げ弾性率が300〜
2500MPaである。これにより,バンパーとして優
れた耐衝撃性を発揮するコア層を得ることができる。上
記コア層のポリプロピレン樹脂としては,ホモポリプロ
ピレン,ブロックポリプロピレン,ランダムポリプロピ
レン,及びこれらの混合物がある。 【0018】また,上記ゴム成分は,無定形エチレン−
α−オレフィン共重合体,スチレン系熱可塑性エラスト
マーのいずれか1種以上であることが好ましい。これに
より,適度の柔軟性を得ることができ,更に耐低温衝撃
性等の強度特性を向上させることができる。 【0019】上記無定形エチレン−α−オレフィン共重
合体としては,α−オレフィン成分としてプロピレン,
ブテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−1,オクテン−
1,4−メチルペンテン−1,ヘプテン−1等があり,
これらの1種以上を用いる。また,上記スチレン系熱可
塑性エラストマーとしては,SEBS,SEPS,SE
P,SEEPS,SBS,SIS等があり,これらの1
種以上を用いる。 【0020】また,上記無機質充填材は,ガラス繊維,
タルク,マイカ,炭酸カルシウム,ワラストナイト,ク
レー,硫酸バリウム,チタン酸カリウムウィスカー,硫
酸マグネシウムウィスカー,炭酸カルシウムウィスカ
ー,シリカのグループから選ばれる1種以上であること
が好ましい。これによっても,耐低温衝撃性等の強度特
性を向上させることができる。 【0021】また,本発明の樹脂成形体においては,ス
キン層を上記のごとく構成してあるため,スキン層は比
較的硬質である。そのため,コア層により衝撃エネルギ
ーを吸収するよう構成する必要がある。しかし,コア層
を,衝撃エネルギー吸収のために柔軟とすると衝撃時の
最大変形量が大きくなり,スキン層のみが破断し,その
ノッチ効果よりコア層も破断してしまう。 【0022】また,逆にコア層の剛性を大きくし過ぎる
と,衝撃エネルギー吸収効果が低下してしまい,スキン
層にクラックが発生する。よって,上記の両特性を満足
するためには,コア層におけるアイゾット衝撃強度(ノ
ッチ付)は40J/m以上であり,かつ曲げ弾性率は3
00〜2500MPaとする必要がある。 【0023】 【作用及び効果】本発明においては,ポリプロピレン樹
脂のキシレン可溶分が20重量%以下である。このポリ
プロピレン樹脂の中には,耐候性の阻害物質であるゴム
成分が少ない。従って,上記樹脂組成物より成形された
樹脂成形体は,クラックの発生を防止し,優れた耐候性
を発揮することができる。また,クラック発生を防止で
きるため,長期間高い光沢性を発揮し続けることができ
る。 【0024】また,本発明においては,ヒンダードアミ
ン系光安定剤については,その高分子量のものと低分子
量のものとを組み合わせて用いている。そのため,本発
明の樹脂成形体は,変色が生じにくい。従って,黒,ダ
ークグレーに限らず,種々の色を呈する着色剤を用いる
ことができる。故に,色の選択幅が広く,種々の色の樹
脂成形体を成形することができる。 【0025】次に,本発明の樹脂成形体は,スキン層
と,その内部に設けたコア層とからなる。スキン層は,
上記特定の樹脂組成物を用いて形成されたものである。
そのため,優れた耐候性及び耐変色性を有し,かつ高い
光沢を発揮することができる。 【0026】また,上記コア層は,上記特定の組成と特
定のアイゾット衝撃強度(ノッチ付)及び曲げ弾性率の
物性を有するポリプロピレン系複合材料からなる。その
ため,高い耐衝撃性は上記コア層によって発揮される。
従って,本発明の樹脂成形体によれば,スキン層の効果
に加えて,更に優れた耐衝撃性を発揮することができ
る。 【0027】本発明によれば,高い耐候性を有し,かつ
高い光沢を維持し,耐変色性に優れた樹脂成形体を提供
することができる。 【0028】 【実施例】実施例1〜5 本発明の実施例について,比較例と共に説明する。本例
においては,以下の樹脂組成物より成形された樹脂成形
体について,その耐候性及び耐変色性について測定し
た。測定に当たっては,表3に示す樹脂組成物を用い
た。同表において,ポリプロピレン樹脂としては,PP
−1〜4,及びゴム変性PPの5種類を用いた。 【0029】PP−1〜4は,表1に示すごとく,キシ
レン可溶分の異なる各種ポリプロピレン樹脂である。ゴ
ム変性PPは,同表に示すごとく,PP−3の組成物6
0重量%に対し,エチレンプロピレンゴム(EPR)3
0重量%,及びタルク10重量%を添加,混合したもの
である。また,同表には,これら樹脂のメルトフローレ
ート(MFR)を示した。MFRは,JIS─6758
に準じて,230℃,2160g荷重の条件において測
定した。 【0030】また,光安定剤としては,HALS(ヒン
ダードアミン系光安定剤)1〜3の3種類を用いた。H
ALS1は,図1に示す2−メチル−2−(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プ
ロピオンアミドである。HALS2は,図3に示すビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケートである。HALS3は,図2に示すポリ[〔6
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ〕]である。これらの分子量,融
点は,表2に示した。同表中,HALS−3は,軟化点
が約120℃であり,融点は特に存在しない。着色剤と
しては,表4に示すものを用いた。 【0031】上記樹脂組成物には,表3に示した上記の
成分の他に,該樹脂組成物100重量部に対して,ヒン
ダードフェノール系抗酸化剤0.2重量部及びリン系熱
安定剤0.1重量部を添加,混合した。当該ヒンダード
フェノール系抗酸化剤及びリン系熱安定剤の化学構造式
は,それぞれ図4,図5に示した。上記樹脂組成物は,
2軸押出機を用いて混練し,ペレット作製後,射出成形
機により40mm×100mm,厚み2mmの試験片に
成形した。 【0032】上記試験片について,耐候性及び耐変色性
(特に劣化初期の試料表面のくもり)について,以下の
方法により測定した。 (耐候性)SWOM(サンシャイン・ウエザ・オ・メー
タ)を使用して83℃の環境に,上記試験片を晒した。
試験期間中,適宜試験片のクラック発生の有無を30倍
拡大鏡により確認した。 【0033】(耐変色性)SWOMを使用して83℃の
環境に,250時間,上記試験片を晒した。その後,J
ISZ8730に準じて色差変化ΔE* を測定した。 上記測定結果を表3に示した。同表において,最上欄中
の「E」は実施例を,「C」は比較例を意味する。 【0034】次に,表3の測定結果につき説明する。同
表より知られるように,本発明に係る実施例E1〜E5
は,いずれもクラック発生時間が3200時間以上,色
差変化ΔE* は1.0以下と低かった。一方,比較例C
1〜C3の色差変化ΔE* は1.2以上と高かった。こ
のことから,上記実施例E1〜E5に係る樹脂組成物に
よれば,高い耐候性,耐変色性が得られることがわか
る。 【0035】次に,樹脂組成物の成分に着目して考察す
る。まず,ポリプロピレン樹脂におけるキシレン可溶分
を変えた場合(実施例E1〜E3,比較例C1)には,
キシレン可溶分が増加するに従ってクラック発生時間が
短縮化し,また色差変化ΔE* が高くなる傾向にある。
キシレン可溶分が41重量%のゴム変性PPを用いた場
合(比較例C2)には,クラック発生時間が1500時
間,色差変化ΔE* が1.6と,更に悪い結果となっBR
>た。 【0036】このことから,ポリプロピレン樹脂は,キ
シレン可溶分が0〜20重量%と少ない場合に,クラッ
クの発生を防止でき,耐候性が高くなり,美しい光沢を
長期間維持できることがわかる。 【0037】次に,ヒンダードアミン系光安定剤の分子
量,融点を変えたところ(実施例E4,E5,比較例C
3),分子量480,融点83℃のヒンダードアミン系
光安定剤(HALS−2)を添加した場合に,初期の耐
候劣化においてクモリが発生し,色差変化ΔE* が著し
く高くなった。このことから,光安定剤として,分子量
1500未満で且つ融点100℃以上のヒンダードアミ
ン系光安定剤,或いは分子量1500以上のヒンダード
アミン系光安定剤のいずれか又は双方を用いた場合に,
耐変色性が高いことがわかる。 【0038】 【表1】【0039】 【表2】 【0040】 【表3】 【0041】 【表4】 【0042】実施例6 本発明の実施例にかかる樹脂成形体について,図6〜図
9を用いて説明する。本例においては,樹脂成形体とし
て自動車のバンパーを作製し,その耐候性,耐変色性,
及び耐低温衝撃性につき評価した。上記バンパーは,サ
ンドイッチ型射出成形機を用いて作製した。 【0043】上記バンパーは図6〜図9に示すごとく,
自動車99の前部及び後部に設けるものである。上記バ
ンパー9は略直線状の本体バンパー90と左右のコーナ
ーバンパー91,92とよりなる。これら3者は,接着
剤により一体構成されて,自動車に取付けられる。本例
におけるテスト用のバンパーは,上記コーナーバンパー
91である。 【0044】また,上記コーナーバンパー91は,図9
に示すごとく,スキン層915と,該スキン層915に
より被覆されたコア層910とよりなり,サンドイッチ
射出成形法により成形されたものである。図8におい
て,符号911は,バンパーを自動車へ取付けるための
クリップである。 【0045】本例において,上記コーナーバンパーの特
性評価は,特に問題とされるコーナーバンパー91(9
2も同じ)について行った。コーナーバンパーは,特
に,自動車側面と同様に高光沢感,耐傷付性が要求さ
れ,かつバンパーとしての耐衝撃性も強く要求される部
分である。 【0046】本例においては,スキン層及びコア層の材
料を種々に準備し,上記評価を行った。即ち,本例にお
いて,スキン層用の材料は,上記の実施例1に係る樹脂
組成物(表3参照)である。また,コア層用のポリプロ
ピレン樹脂(以下,PPという)系複合材料は,PP4
0重量%と,EPR50重量%と,タルク10重量%と
よりなり,そのアイゾット衝撃強度(−30°)は19
0J/mであり,曲げ弾性率は450MPaである。E
PRは,ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が15であ
り,プロピレンを24重量%含有している。タルクの平
均粒径は2μmである。 【0047】次に,上記スキン層用材料と上記コア層用
のPP系複合材料とを用いて,サンドイッチ成形法によ
り,上記図6〜図9に示したコーナー用バンパー構造の
テスト用バンパーを作製した。また,比較のために,上
記実施例1のスキン層用材料のみを用いて,同様のテス
ト用パンバーを作製した。 【0048】これらについて,上記評価を行った。耐候
性及び耐変色性については,前述と同様の方法により行
った。耐低温衝撃テストは,上記テスト用バンパーとし
てのコーナー部用バンパー(図6,図9)を,−30℃
の雰囲気において3時間放置した後,直径50mmφ,
重さ1kgの鋼球を落下させ,バンパーが破壊する(ク
ラック,ヒビが入る)落下高さを測定して,「低温衝撃
強度」(N・m)として評価した。 【0049】上記評価を行ったところ,上記スキン層用
材料と上記コア層用のPP系複合材料とからなるバンパ
ーは,クラック発生時間が4300時間と長く,色差変
化ΔE* は0.8と低かった。また,低温衝撃強度は
9.8N・mよりも大きかった。一方,上記実施例1の
スキン層用材料のみからなるバンパーは,クラック発生
時間及び色差変化ΔE* は,上記と同様の結果を示した
が,低温衝撃強度は2.0N・mと低かった。 【0050】このことから,上記の特定の材料からなる
スキン層により高耐候性,高光沢性,及び耐変色性が発
揮され,また上記の特定のPP系複合材料からなるコア
層により高い耐衝撃性が発揮されることがわかる。
いられる樹脂成形体に関する。 【0002】 【従来技術】自動車に用いられるバンパ,バンパコーナ
ー等の外装部品は,軽量化,低コスト化,成形の容易さ
から,樹脂成形体が用いられている。樹脂成形体として
は,例えばポリプロピレンとゴム,又はポリプロピレン
とゴムとフィラーとを混合したゴム変性ポリプロピレン
からなる樹脂組成物が用いられている。この中,ゴム変
性ポリプロピレンは,特に耐衝撃性の点において優れて
おり,一般に用いられている。 【0003】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のゴ
ム変性ポリプロピレンは,上記のような特長がある反
面,耐候性が不十分である。そこで,紫外線吸収剤,光
安定剤等の耐候安定剤を添加することが考えられる。し
かし,この場合には,黒またはダークグレー等の光遮断
性の高い色調の場合は適用可能だが,赤,青,緑,ベー
ジュ,ライトグレー等の有彩色,淡色系では,屋外曝露
試験において約1.5年で,樹脂成形体の光沢が低下
し,また変色してしまうという問題があった。 【0004】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,高い
耐候性を有し,かつ高い光沢を維持し,耐変色性に優れ
た樹脂成形体を提供しようとするものである。 【0005】 【課題の解決手段】本発明は,スキン層と該スキン層に
より被覆されたコア層とからなる樹脂成形体であって,
上記スキン層は,キシレン可溶分が0〜20重量%のポ
リプロピレン樹脂と,分子量1500未満で且つ融点1
00℃以上のヒンダードアミン系光安定剤からなる第1
光安定剤と分子量1500以上のヒンダードアミン系光
安定剤からなる第2光安定剤の双方と,着色剤とを含有
してなり,上記コア層は,ポリプロピレン樹脂にゴム成
分,無機質充填材のいずれか一方又は双方を含有してい
ると共にアイゾット衝撃強度(ノッチ付)が40J/m
(−30℃)以上で,かつ曲げ弾性率が300〜250
0MPaであるポリプロピレン系複合材料からなること
を特徴とする樹脂成形体にある。 【0006】本発明において最も注目すべきことは,高
耐候性,高光沢性,耐変色性に優れた上記組成,物性を
有するスキン層と,耐衝撃性に優れた上記組成,物性を
有するコア層とよりなる,サンドイッチ構造の樹脂成形
体としたことにある。上記スキン層は,上記樹脂組成物
を用いたものであり,また上記スキン層の組成,物性
は,上記樹脂組成物と同様である。本発明において,上
記ポリプロピレン樹脂は,キシレン可溶分が0〜20重
量%である。ここに,キシレン可溶分は,ポリプロピレ
ン樹脂の中に含まれるエチレン・プロピレンランダム共
重合体等のゴム成分の含有量を示すものである。キシレ
ン可溶分が20重量%を越える場合には,ゴム成分の分
子運動による耐候安定剤の拡散・揮発が促進され,長期
間の屋外曝露でクラックが発生しやすくなるため,好ま
しくない。 【0007】上記光安定剤としてはヒンダードアミン系
光安定剤を用いている。ヒンダードアミン系光安定剤と
は分子中にヒンダードピペリジン骨格を持つ光安定剤で
あり,本発明においては,以下の2種類のものを第1光
安定剤,第2光安定剤として,両者を併せて用いる。 【0008】第1光安定剤は,分子量1500未満で且
つ融点が100℃以上のヒンダードアミン系光安定剤で
ある。融点が100℃未満の場合には,高温雰囲気での
耐候劣化において安定剤がブリードしやすいため,初期
の耐候劣化において表面にクモリが生じ光沢が低下する
ため,好ましくない。一方,第2光安定剤は,分子量1
500以上のヒンダードアミン系光安定剤である。 【0009】上記の分子量1500未満で且つ融点が1
00℃以上のヒンダードアミン系光安定剤(第1光安定
剤)としては,例えば,図1に示すごとく,1−[2−
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン,2−メチル−2−(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンア
ミドがある。 【0010】また,上記分子量1500以上のヒンダー
ドアミン系光安定剤(第2光安定剤)としては,例え
ば,図2に示すごとく,コハク酸ジメチル−1−(2−
ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン重縮合物,ポリ[{6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキ
サメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ}],N,N′−ビス(3−アミノプ
ロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル
−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリ
ジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン
縮合物がある。 【0011】上記第1光安定剤と上記第2光安定剤の双
方は,ポリプロピレン樹脂100重量部に対して,0.
05〜2.0重量部含有されていることが好ましい。
0.05重量部未満の場合には,樹脂成形体の光安定性
が低下し,変色するおそれがある。一方,2.0重量部
を越える場合には,機械物性の低下,成形加工性の低下
のおそれがある。特に本発明では第1光安定剤と第2光
安定剤とを組合わせて用いるので,屋外曝露における亀
裂の発生,色差の変化に対して相乗効果を得ることがで
きる。 【0012】上記の光安定剤の他に,ヒンダードフェノ
ール系安定剤,リン系熱安定剤,紫外線吸収剤を添加,
混合することが好ましい。これにより,高温雰囲気下で
の耐候性,加工熱安定性,耐熱性等のバランス化を図る
ことができる。 【0013】上記着色剤としては,チタン白,酸化亜
鉛,硫化亜鉛,べんがら,クロム黄,バリウム黄,群
青,コバルト青,コバルト緑,又はカーボンブラック等
の無機系顔料,ウォッチングレッド,パーマネントレッ
ド,パラレッド,トルイジンマルーン,ベンジジンイエ
ロー,フタロシアニンブルー,フタロシアニングリー
ン,ファーストスカイブルー,又はブリリアントカーミ
ン6B等の有機系顔料のグループから選ばれる1種又は
2種以上の,有彩色又は無彩色のものを用いることがで
きる。また,アルミ粉,アルミフレーク,アルミ箔,パ
ールマイカ,亜鉛粉,又はブロンズ粉,ガラスフレーク
等の光輝材を併用することもできる。 【0014】次に,上記樹脂成形体としては,例えば,
スキン層と該スキン層により被覆されたコア層とからな
る樹脂成形体であって,上記スキン層は,キシレン可溶
分が0〜20重量%のポリプロピレン樹脂と,分子量1
500未満で且つ融点100℃以上のヒンダードアミン
系光安定剤からなる第1光安定剤或いは分子量1500
以上のヒンダードアミン系光安定剤からなる第2光安定
剤の一方又は双方と,着色剤とを含有してなり,上記コ
ア層は,ポリプロピレン樹脂にゴム成分,無機質充填材
のいずれか一方又は双方を含有していると共にアイゾッ
ト衝撃強度(ノッチ付)が40J/m(−30℃)以上
で,かつ曲げ弾性率が300〜2500MPaであるポ
リプロピレン系複合材料からなることを特徴とする樹脂
成形体がある。 【0015】この場合には,高耐候性,高光沢性,耐変
色性に優れた上記組成,物性を有するスキン層と,耐衝
撃性に優れた上記組成,物性を有するコア層とよりな
る,サンドイッチ構造の樹脂成形体となる。 【0016】上記スキン層は,上記樹脂組成物を用いた
ものであり,また上記スキン層の組成,物性は,上記樹
脂組成物と同様である。 【0017】次に,本発明において,上記コア層におけ
るポリプロピレン系複合材料は,ポリプロピレン樹脂に
ゴム成分,無機質充填材のいずれか一方又は双方を含有
していると共にアイゾット衝撃強度(ノッチ付)が40
J/m(−30℃)以上で,かつ曲げ弾性率が300〜
2500MPaである。これにより,バンパーとして優
れた耐衝撃性を発揮するコア層を得ることができる。上
記コア層のポリプロピレン樹脂としては,ホモポリプロ
ピレン,ブロックポリプロピレン,ランダムポリプロピ
レン,及びこれらの混合物がある。 【0018】また,上記ゴム成分は,無定形エチレン−
α−オレフィン共重合体,スチレン系熱可塑性エラスト
マーのいずれか1種以上であることが好ましい。これに
より,適度の柔軟性を得ることができ,更に耐低温衝撃
性等の強度特性を向上させることができる。 【0019】上記無定形エチレン−α−オレフィン共重
合体としては,α−オレフィン成分としてプロピレン,
ブテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−1,オクテン−
1,4−メチルペンテン−1,ヘプテン−1等があり,
これらの1種以上を用いる。また,上記スチレン系熱可
塑性エラストマーとしては,SEBS,SEPS,SE
P,SEEPS,SBS,SIS等があり,これらの1
種以上を用いる。 【0020】また,上記無機質充填材は,ガラス繊維,
タルク,マイカ,炭酸カルシウム,ワラストナイト,ク
レー,硫酸バリウム,チタン酸カリウムウィスカー,硫
酸マグネシウムウィスカー,炭酸カルシウムウィスカ
ー,シリカのグループから選ばれる1種以上であること
が好ましい。これによっても,耐低温衝撃性等の強度特
性を向上させることができる。 【0021】また,本発明の樹脂成形体においては,ス
キン層を上記のごとく構成してあるため,スキン層は比
較的硬質である。そのため,コア層により衝撃エネルギ
ーを吸収するよう構成する必要がある。しかし,コア層
を,衝撃エネルギー吸収のために柔軟とすると衝撃時の
最大変形量が大きくなり,スキン層のみが破断し,その
ノッチ効果よりコア層も破断してしまう。 【0022】また,逆にコア層の剛性を大きくし過ぎる
と,衝撃エネルギー吸収効果が低下してしまい,スキン
層にクラックが発生する。よって,上記の両特性を満足
するためには,コア層におけるアイゾット衝撃強度(ノ
ッチ付)は40J/m以上であり,かつ曲げ弾性率は3
00〜2500MPaとする必要がある。 【0023】 【作用及び効果】本発明においては,ポリプロピレン樹
脂のキシレン可溶分が20重量%以下である。このポリ
プロピレン樹脂の中には,耐候性の阻害物質であるゴム
成分が少ない。従って,上記樹脂組成物より成形された
樹脂成形体は,クラックの発生を防止し,優れた耐候性
を発揮することができる。また,クラック発生を防止で
きるため,長期間高い光沢性を発揮し続けることができ
る。 【0024】また,本発明においては,ヒンダードアミ
ン系光安定剤については,その高分子量のものと低分子
量のものとを組み合わせて用いている。そのため,本発
明の樹脂成形体は,変色が生じにくい。従って,黒,ダ
ークグレーに限らず,種々の色を呈する着色剤を用いる
ことができる。故に,色の選択幅が広く,種々の色の樹
脂成形体を成形することができる。 【0025】次に,本発明の樹脂成形体は,スキン層
と,その内部に設けたコア層とからなる。スキン層は,
上記特定の樹脂組成物を用いて形成されたものである。
そのため,優れた耐候性及び耐変色性を有し,かつ高い
光沢を発揮することができる。 【0026】また,上記コア層は,上記特定の組成と特
定のアイゾット衝撃強度(ノッチ付)及び曲げ弾性率の
物性を有するポリプロピレン系複合材料からなる。その
ため,高い耐衝撃性は上記コア層によって発揮される。
従って,本発明の樹脂成形体によれば,スキン層の効果
に加えて,更に優れた耐衝撃性を発揮することができ
る。 【0027】本発明によれば,高い耐候性を有し,かつ
高い光沢を維持し,耐変色性に優れた樹脂成形体を提供
することができる。 【0028】 【実施例】実施例1〜5 本発明の実施例について,比較例と共に説明する。本例
においては,以下の樹脂組成物より成形された樹脂成形
体について,その耐候性及び耐変色性について測定し
た。測定に当たっては,表3に示す樹脂組成物を用い
た。同表において,ポリプロピレン樹脂としては,PP
−1〜4,及びゴム変性PPの5種類を用いた。 【0029】PP−1〜4は,表1に示すごとく,キシ
レン可溶分の異なる各種ポリプロピレン樹脂である。ゴ
ム変性PPは,同表に示すごとく,PP−3の組成物6
0重量%に対し,エチレンプロピレンゴム(EPR)3
0重量%,及びタルク10重量%を添加,混合したもの
である。また,同表には,これら樹脂のメルトフローレ
ート(MFR)を示した。MFRは,JIS─6758
に準じて,230℃,2160g荷重の条件において測
定した。 【0030】また,光安定剤としては,HALS(ヒン
ダードアミン系光安定剤)1〜3の3種類を用いた。H
ALS1は,図1に示す2−メチル−2−(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プ
ロピオンアミドである。HALS2は,図3に示すビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケートである。HALS3は,図2に示すポリ[〔6
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ〕]である。これらの分子量,融
点は,表2に示した。同表中,HALS−3は,軟化点
が約120℃であり,融点は特に存在しない。着色剤と
しては,表4に示すものを用いた。 【0031】上記樹脂組成物には,表3に示した上記の
成分の他に,該樹脂組成物100重量部に対して,ヒン
ダードフェノール系抗酸化剤0.2重量部及びリン系熱
安定剤0.1重量部を添加,混合した。当該ヒンダード
フェノール系抗酸化剤及びリン系熱安定剤の化学構造式
は,それぞれ図4,図5に示した。上記樹脂組成物は,
2軸押出機を用いて混練し,ペレット作製後,射出成形
機により40mm×100mm,厚み2mmの試験片に
成形した。 【0032】上記試験片について,耐候性及び耐変色性
(特に劣化初期の試料表面のくもり)について,以下の
方法により測定した。 (耐候性)SWOM(サンシャイン・ウエザ・オ・メー
タ)を使用して83℃の環境に,上記試験片を晒した。
試験期間中,適宜試験片のクラック発生の有無を30倍
拡大鏡により確認した。 【0033】(耐変色性)SWOMを使用して83℃の
環境に,250時間,上記試験片を晒した。その後,J
ISZ8730に準じて色差変化ΔE* を測定した。 上記測定結果を表3に示した。同表において,最上欄中
の「E」は実施例を,「C」は比較例を意味する。 【0034】次に,表3の測定結果につき説明する。同
表より知られるように,本発明に係る実施例E1〜E5
は,いずれもクラック発生時間が3200時間以上,色
差変化ΔE* は1.0以下と低かった。一方,比較例C
1〜C3の色差変化ΔE* は1.2以上と高かった。こ
のことから,上記実施例E1〜E5に係る樹脂組成物に
よれば,高い耐候性,耐変色性が得られることがわか
る。 【0035】次に,樹脂組成物の成分に着目して考察す
る。まず,ポリプロピレン樹脂におけるキシレン可溶分
を変えた場合(実施例E1〜E3,比較例C1)には,
キシレン可溶分が増加するに従ってクラック発生時間が
短縮化し,また色差変化ΔE* が高くなる傾向にある。
キシレン可溶分が41重量%のゴム変性PPを用いた場
合(比較例C2)には,クラック発生時間が1500時
間,色差変化ΔE* が1.6と,更に悪い結果となっBR
>た。 【0036】このことから,ポリプロピレン樹脂は,キ
シレン可溶分が0〜20重量%と少ない場合に,クラッ
クの発生を防止でき,耐候性が高くなり,美しい光沢を
長期間維持できることがわかる。 【0037】次に,ヒンダードアミン系光安定剤の分子
量,融点を変えたところ(実施例E4,E5,比較例C
3),分子量480,融点83℃のヒンダードアミン系
光安定剤(HALS−2)を添加した場合に,初期の耐
候劣化においてクモリが発生し,色差変化ΔE* が著し
く高くなった。このことから,光安定剤として,分子量
1500未満で且つ融点100℃以上のヒンダードアミ
ン系光安定剤,或いは分子量1500以上のヒンダード
アミン系光安定剤のいずれか又は双方を用いた場合に,
耐変色性が高いことがわかる。 【0038】 【表1】【0039】 【表2】 【0040】 【表3】 【0041】 【表4】 【0042】実施例6 本発明の実施例にかかる樹脂成形体について,図6〜図
9を用いて説明する。本例においては,樹脂成形体とし
て自動車のバンパーを作製し,その耐候性,耐変色性,
及び耐低温衝撃性につき評価した。上記バンパーは,サ
ンドイッチ型射出成形機を用いて作製した。 【0043】上記バンパーは図6〜図9に示すごとく,
自動車99の前部及び後部に設けるものである。上記バ
ンパー9は略直線状の本体バンパー90と左右のコーナ
ーバンパー91,92とよりなる。これら3者は,接着
剤により一体構成されて,自動車に取付けられる。本例
におけるテスト用のバンパーは,上記コーナーバンパー
91である。 【0044】また,上記コーナーバンパー91は,図9
に示すごとく,スキン層915と,該スキン層915に
より被覆されたコア層910とよりなり,サンドイッチ
射出成形法により成形されたものである。図8におい
て,符号911は,バンパーを自動車へ取付けるための
クリップである。 【0045】本例において,上記コーナーバンパーの特
性評価は,特に問題とされるコーナーバンパー91(9
2も同じ)について行った。コーナーバンパーは,特
に,自動車側面と同様に高光沢感,耐傷付性が要求さ
れ,かつバンパーとしての耐衝撃性も強く要求される部
分である。 【0046】本例においては,スキン層及びコア層の材
料を種々に準備し,上記評価を行った。即ち,本例にお
いて,スキン層用の材料は,上記の実施例1に係る樹脂
組成物(表3参照)である。また,コア層用のポリプロ
ピレン樹脂(以下,PPという)系複合材料は,PP4
0重量%と,EPR50重量%と,タルク10重量%と
よりなり,そのアイゾット衝撃強度(−30°)は19
0J/mであり,曲げ弾性率は450MPaである。E
PRは,ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が15であ
り,プロピレンを24重量%含有している。タルクの平
均粒径は2μmである。 【0047】次に,上記スキン層用材料と上記コア層用
のPP系複合材料とを用いて,サンドイッチ成形法によ
り,上記図6〜図9に示したコーナー用バンパー構造の
テスト用バンパーを作製した。また,比較のために,上
記実施例1のスキン層用材料のみを用いて,同様のテス
ト用パンバーを作製した。 【0048】これらについて,上記評価を行った。耐候
性及び耐変色性については,前述と同様の方法により行
った。耐低温衝撃テストは,上記テスト用バンパーとし
てのコーナー部用バンパー(図6,図9)を,−30℃
の雰囲気において3時間放置した後,直径50mmφ,
重さ1kgの鋼球を落下させ,バンパーが破壊する(ク
ラック,ヒビが入る)落下高さを測定して,「低温衝撃
強度」(N・m)として評価した。 【0049】上記評価を行ったところ,上記スキン層用
材料と上記コア層用のPP系複合材料とからなるバンパ
ーは,クラック発生時間が4300時間と長く,色差変
化ΔE* は0.8と低かった。また,低温衝撃強度は
9.8N・mよりも大きかった。一方,上記実施例1の
スキン層用材料のみからなるバンパーは,クラック発生
時間及び色差変化ΔE* は,上記と同様の結果を示した
が,低温衝撃強度は2.0N・mと低かった。 【0050】このことから,上記の特定の材料からなる
スキン層により高耐候性,高光沢性,及び耐変色性が発
揮され,また上記の特定のPP系複合材料からなるコア
層により高い耐衝撃性が発揮されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における,第1光安定剤の化学構造式の
説明図。 【図2】本発明における,第2光安定剤の化学構造式の
説明図。 【図3】実施例におけるHALS−2の化学構造式の説
明図。 【図4】実施例におけるヒンダードアミン系光安定剤の
化学構造式の説明図。 【図5】実施例におけるリン系熱安定剤の化学構造式の
説明図。 【図6】実施例6におけるバンパーの取付状態を示す自
動車の正面図。 【図7】実施例6におけるコーナーバンパーの斜視図。 【図8】実施例6におけるコーナーバンパーの裏面側の
斜視図。 【図9】図7のE−E線矢視断面図。
説明図。 【図2】本発明における,第2光安定剤の化学構造式の
説明図。 【図3】実施例におけるHALS−2の化学構造式の説
明図。 【図4】実施例におけるヒンダードアミン系光安定剤の
化学構造式の説明図。 【図5】実施例におけるリン系熱安定剤の化学構造式の
説明図。 【図6】実施例6におけるバンパーの取付状態を示す自
動車の正面図。 【図7】実施例6におけるコーナーバンパーの斜視図。 【図8】実施例6におけるコーナーバンパーの裏面側の
斜視図。 【図9】図7のE−E線矢視断面図。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平6−184365(JP,A)
特開 平4−7342(JP,A)
特開 平6−212033(JP,A)
特開 平7−278373(JP,A)
特開 平4−246534(JP,A)
特開 昭56−98214(JP,A)
実開 昭64−49493(JP,U)
実開 昭59−16257(JP,U)
特公 平4−25975(JP,B2)
実公 昭64−6656(JP,Y1)
Overleaf:Data ban
k for CIBA−GEIGY L
ight Stabilization
of Polyolefins,Ci
ba−Geigy AG,1992年 1月
1日
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 23/00 - 23/36
C08K 3/00 - 13/08
B60R 19/03
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 スキン層と該スキン層により被覆された
コア層とからなる樹脂成形体であって, 上記スキン層は,キシレン可溶分が0〜20重量%のポ
リプロピレン樹脂と,分子量1500未満で且つ融点1
00℃以上のヒンダードアミン系光安定剤からなる第1
光安定剤と分子量1500以上のヒンダードアミン系光
安定剤からなる第2光安定剤の双方と,着色剤とを含有
してなり, 上記コア層は,ポリプロピレン樹脂にゴム成分,無機質
充填材のいずれか一方又は双方を含有していると共にア
イゾット衝撃強度(ノッチ付)が40J/m(−30
℃)以上で,かつ曲げ弾性率が300〜2500MPa
であるポリプロピレン系複合材料からなることを特徴と
する樹脂成形体。
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