[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3355759B2 - 光磁気記録媒体及びその再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその再生方法

Info

Publication number
JP3355759B2
JP3355759B2 JP02558694A JP2558694A JP3355759B2 JP 3355759 B2 JP3355759 B2 JP 3355759B2 JP 02558694 A JP02558694 A JP 02558694A JP 2558694 A JP2558694 A JP 2558694A JP 3355759 B2 JP3355759 B2 JP 3355759B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magneto
temperature
mask layer
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02558694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07235088A (ja
Inventor
敏史 川野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP02558694A priority Critical patent/JP3355759B2/ja
Publication of JPH07235088A publication Critical patent/JPH07235088A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3355759B2 publication Critical patent/JP3355759B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光磁気記録媒体及びその
再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】光磁気記録媒体は、高密度、
低コストの書換え可能な情報記録媒体として実用化され
ている。特に希土類元素と遷移金属のアモルファス合金
の記録層を用いた媒体は非常に優れた特性を示してい
る。光磁気ディスクは非常に大容量の記録媒体である
が、社会の情報量の増大に伴いさらなる大容量化が望ま
れている。
【0003】この光ディスクの記録密度は通常の場合、
その再生光のスポット径の大きさで決定づけられる。ス
ポット径の大きさはレーザーの波長が短いほど小さくす
ることができるため、レーザーの短波長化の検討が進め
られているが、非常に困難を伴っている。一方、レーザ
ーの波長によって決定される以上の分解能を色々な工夫
によって得ようとする、いわゆる超解像技術の試みが近
年行われている。
【0004】その一つに、光磁気ディスクを用い、多層
膜間の交換結合力を用いた超解像(Magnetically induce
d super resolution、MSR)が報告されている。この
方式の一つの形態は、保磁力の小さな再生層、キュリー
温度の低い切断層、キュリー温度および保磁力が高い記
録層の互いに交換結合した3層からなる媒体を用いる。
【0005】再生磁界を印加しながら再生光により加熱
したとき、媒体の高温部で、交換結合が切れる。再生層
は単独での保磁力が小さいので高温部では磁化が一様に
再生磁界の方向を向き記録ビットが消去される。この結
果、低温部のみが再生され、結果的に再生範囲が狭くな
るため、再生光を絞った場合と同じ効果が得られ、高密
度の記録ビットの再生を行うことができる。
【0006】消去された記録ビットは、媒体温度が低く
なり交換結合が回復したときに、記録層から転写される
ことにより復活する。この方式は、信号を再生光スポッ
トの前部で検出するため、Front aperture detection、
FADと呼ばれる。また別の形態として、高温で保磁力
が小さくなる再生層と、高い保磁力を持つ記録層を重ね
合わせて、初期化磁界により最初に再生層を初期化し、
再生光による高温部で再生層に記録層の磁区を転写す
る、Rear aperture detection、RADと呼ばれる方式
も提案されている。
【0007】この方式は原理的にクロストークを生じ
ず、トラックピッチを小さくすることが可能である。し
かしFAD、RAD方式の欠点として、再生時に再生磁
界(Hr)が必要な点が挙げられる。再生磁界は、通常2
4000A/m以上の磁界が必要であり、再生磁界を印
加しつつ再生することによって、記録層に記録されたビ
ットが不安定になるという欠点があった。
【0008】また、記録に必要な磁界より大きな磁界が
再生に必要となる可能性もあり、磁気ヘッドを小型化
し、装置を簡略化しようとする際に大きな問題となる。
特に、磁界変調記録では記録磁界が10000A/m以
下であることも多く、再生磁界の印加が磁気ヘッドには
大きな負担となる。また、FADではクロストークの低
減効果が得られないため、トラックピッチを縮めること
による高密度化は期待できない。
【0009】さらに、RADの方式ではドライブに大き
な初期化磁石を要するという点でコストや小型化という
面に問題がある。また、FAD、RAD共に交換結合力
を利用するため、層間の酸化等によって特性が大きく変
化するといった生産上の問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、初期化磁界
や再生磁界が不要でかつクロストークの低減も可能であ
り、さらに交換結合力を制御する必要が全くない超解像
再生方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、2層膜により
互いのカー回転を打ち消すか、または増強させて超解像
を起こすもので、従来の磁区が一方向を向いたマスクを
用いた超解像とは全く異なるものである。また交換結合
ではなく、静磁結合を用いるという点でも従来の技術と
は異なる。
【0012】本発明の要旨は、磁区の方向によって情報
が蓄えられ磁気光学効果によって情報が再生される光磁
気記録媒体において、少なくとも静磁的に結合された記
録層とマスク層の2層を有し、前記記録層は情報に応じ
た磁区が記録されており、マスク層には記録層が発生す
る磁界によって記録層の記録磁区に対応した磁化方向と
なる室温以上の温度範囲が存在し、その温度範囲内に、
マスク層が記録層の示すカー回転方向にかかわらず常に
記録層と反対のカー回転方向も持つ温度範囲1と常に記
録層と同一のカー回転方向を持つ温度範囲2を有するこ
とを特徴とする光磁気記録媒体に存する。
【0013】具体的には、前記記録層とマスク層はいず
れも希土類金属と遷移金属の合金からなり、記録層とマ
スク層のどちらか一方が室温以上でかつ両層のキュリー
温度以下に補償温度Tcompを有し、前記温度範囲1と2
のいずれかがTcompを含んで存在する光磁気記録媒体を
用いることによって達成できる。本発明の光磁気記録媒
体に記録を行う場合は、通常の光磁気記録媒体と同様
に、光変調記録、あるいは磁界変調記録を用いることが
できる。
【0014】記録、消去時は記録層のキュリー温度以上
に媒体を加熱すればよい。マスク層には以下に述べる様
に、記録層の磁化方向が転写される。本発明では静磁結
合した記録層とマスク層を用いる。ここで言う静磁結合
とは、磁性膜間に働く力が、磁性膜が膜の外部に発生す
る磁界の作用によるものが主であり、磁性層間の交換結
合力がそれに比べて無視しうる程小さい場合を指す。
【0015】今、このようなマスク層が室温以上、キュ
リー温度以下に補償温度Tcompを有しており室温におい
て記録層が遷移金属優勢、マスク層が希土類金属優勢で
ある場合を図を用いて説明する。図1、図2に示す様
に、記録層3には情報に応じた磁区が記録され、マスク
層1との間は切断層2によって交換結合が切断されてい
る。
【0016】マスク層の磁化は、静磁結合により記録層
の磁化方向と同じ方向を向いているようにすれば、マス
ク層1のカー回転方向10と記録層3のカー回転方向1
1は互いに打ち消し合い、入射光の偏光方向8と反射光
の偏光方向9がほとんど一致する。すなわち、この場合
再生信号がほとんど得られない状態となる。別の表現を
すれば、入射光をS偏波としたとき、マスク層と記録層
でカー効果により各々生じるP偏波の干渉により、反射
光のS偏波とP偏波の位相差がπ/2に近くなる。この
ため、反射光のカー回転角は非常に小さくなる。
【0017】この状態を実現するためには、再生光の波
長が780nmである場合、記録層3とマスク層1のう
ち、光の入射側にある層(第1磁性層)が3nm以上、
20nm以下の膜厚であることが好ましい。さらに好ま
しくは5nm以上、15nm以下である。膜厚が厚すぎ
る場合、光は下の層まで届かずカー回転角の打ち消しの
効果が無くなる。
【0018】第1磁性層と積層された今一つの磁性層
(第2磁性層)は、光を充分反射できるような膜厚を持
つか、あるいはAl、Au、Ag、Ptの単体あるいは
それらを主体とした合金よりなる反射層を第2磁性層に
直接あるいはSiN、AlN等の誘電体層を介して積層
して光を反射するようにする。反射層が無い場合、第2
磁性層の膜厚は30nm以上、150nm以下が好まし
く、反射層が有る場合は10nm以上50nm以下が好
ましい。
【0019】再生光が780nm以外の波長である場
合、上記の好ましい膜厚範囲は波長に比例して変化す
る。反射層の膜厚は波長によらず20nm以上80nm
以下が好ましい。こういった媒体において、再生光によ
り一部をTcomp以上に加熱すれば、マスク層1の内部で
希土類金属の副格子磁化4と遷移金属の副格子磁化5の
大小関係が逆転し、その合成の磁化6の方向が反対とな
るため、静磁結合によりマスク層1の磁化方向が逆転し
て記録層の磁化方向7と向きを揃える。
【0020】この結果、マスク層のカー回転角10が反
転するため、この部分では逆に記録層のカー回転角11
と強め合うこととなり、記録に応じた偏光方向9を発生
する。このようにすると、図3に示すように低温部15
ではカー回転角を打ち消し、高温部13ではカー回転角
を強め合うことにより、高温部13からのみ再生信号が
得られ、このため、再生スポット12が小さくなったの
と実質的に等しく、超解像の効果が得られる。
【0021】このように、従来磁区を均一にそろえる事
によって生じていた「マスク領域」を、本発明において
はマスク層と記録層のカー回転が打ち消しあって信号を
発生させないようにすることにより得るものである。ま
た、従来のように交換結合を用いている場合は、各層の
カー回転角が常に一致してしまいカー回転角の打ち消し
は起こらない。
【0022】本発明の原理は静磁結合を用いてはじめて
達成されるものである。この場合低温部では再生信号が
ほとんど発生しないため、クロストークが非常に小さく
なる。RADのような初期化磁界さらには再生磁界も不
要であり、交換結合を用いていないため媒体作成も容易
である。原理的には、第1磁性層に記録層を設けること
も可能であるが、第1磁性層の膜厚は前記の理由で薄く
する必要があるので、充分な静磁界を得られない可能性
があり、入射側にはマスク層を設けるのが好ましい。
【0023】ただし、充分な静磁界が得られる場合は入
射側に記録層を設けることももちろん可能な構成であ
る。室温において記録層、マスク層共に希土類金属優勢
であることも可能な構成である。この場合は低温におい
てカー回転角が強め合っているため、低温部から再生信
号が発生し、高温部からは信号が発生せず超解像再生が
可能である。
【0024】しかしこの場合クロストーク低減の効果は
得られないので、前記のように低温においてカー回転角
が打ち消されるようにするのがより好ましい構成であ
る。このような現象を得るにはTcompを有しているのが
マスク層である必要はなく、記録層であっても同様の効
果がある。しかし、記録層は保磁力が大きいため、補償
温度近傍でかなり広い範囲磁化が小さくなり、マスク層
の反転に充分な静磁界が得られにくい。したがって、マ
スク層の磁化がTcompを有している方が好ましい。
【0025】いずれの層がTcompを有している場合で
も、両層がカー回転角を持っていなくてはならないの
で、Tcompはいずれの層のキュリー温度よりも小さい値
である必要がある。マスク層は室温において必ずしも完
全に垂直磁化である必要は無く、温度が上がりTcomp近
くになったとき初めて垂直磁化となって記録層の磁化を
転写しても良い。ただし、少なくともTcompを含んでマ
スク層の磁化が記録層の磁化方向に応じた方向に転写さ
れる温度範囲を持つ必要がある。
【0026】マスク層と記録層のカー回転角が打ち消し
あう「温度範囲1」と強め合う「温度範囲2」はマスク
層の保磁力のため、昇温時と降温時で多少のシフトをす
る場合がある。この場合、昇温時はTcompが温度範囲1
と2の低温側にあり、降温時はTcompは温度範囲1と2
の高温側にある。記録層とマスク層の間には交換結合を
切断するために切断層を有していてもよい。
【0027】切断層は、30nm以下の透明な誘電体が
好ましい。切断層が厚すぎる場合は、磁性層間の静磁結
合が弱まり、再生時の信号レベルを低下させる。また、
交換結合を完全に切断するためには切断層は0.5nm
以上であることがさらに好ましい。例えばSiN、Al
N、SiC、SiO、SiO2、Ta25、Al23
が挙げられる。不透明なもの、例えば非磁性金属でもか
まわないが、この場合は再生光が効率良く通過するため
に切断層は充分薄くなくてはならない。
【0028】Tb、Mo、W、Cr等の金属では0.5
nm以上、5nm以下が好ましい。また切断層を用いな
くても、第1磁性層の成膜後の表面を充分に酸化あるい
は窒化することにより交換結合の切断を行うことができ
る。酸化、あるいは窒化には酸素あるいは窒素を導入し
て放置するか、あるいは放電によって反応を促進するこ
とも可能である。
【0029】マスク層に用いられる物質としては、Gd
FeCo、GdCo、GdFe、GdDyFe、GdD
yCo、GdDyFeCo、GdTbFe、GdTbC
o、GdTbFeCo、DyFeCo、DyCo、Tb
Co、TbFeCo、TbDyFeCo、TbDyCo
等の希土類金属と遷移金属のアモルファス合金が用いら
れる。
【0030】中でも、Gdを含有する合金を用いるのが
キュリー温度や保磁力の点から好ましい。特にGdFe
Coを用いるのが好ましい。キュリー温度としては、2
50℃以上であることが好ましい。マスク層の保磁力は
静磁界により反転するように小さい必要があるが、あま
り小さい場合は磁化が完全に垂直にならなかったり、内
部の反磁界による反転を生じてしまうため、室温でのマ
スク層の保磁力Hcは10(Oe)以上300(Oe)
以下が好ましい。
【0031】さらに好ましくは20(Oe)以上200
(Oe)以下である。マスク層の体積磁化率Msは60
emu/cc以上400emu/cc以下であることが好ましい。マ
スク層が室温以上、キュリー温度以下に補償温度を持つ
場合、補償温度は60℃以上200℃以下が好ましい。
さらに好ましくは80℃以上160℃以下である。補償
温度は記録層のキュリー温度以下である必要がある。
【0032】記録層に用いられる物質としては、TbF
eCo、TbDyFeCo、DyFeCo、GdTbF
eCo、TbCo、GdDyFeCo、GdTbFe、
GdDyFe等の希土類金属と遷移金属のアモルファス
合金が用いられる。中でもTbを含んだ合金が、充分な
保磁力を確保できるという点で優れている。記録層の保
磁力は記録を保つためにある程度大きい必要がある。
【0033】好ましい記録層の保磁力は1k(Oe)以
上である。記録層はマスク層の反転を行うための静磁界
を発生するために、ある程度の磁化を有する事が好まし
いが、磁化が大きすぎると記録時に磁区の乱れを生じ、
ノイズを発生する。室温での好ましい体積磁化率Msは
80emu/cc以上350emu/cc以下である。記録層のキュ
リー温度は、高すぎると記録に必要なレーザーパワーが
大きくなり、低すぎると、再生パワーに対して記録が不
安定となるので180℃以上300℃以下が好ましい。
さらに好ましくは200℃以上260℃以下である。
【0034】記録層が補償温度Tcompを持っている場
合、60℃以上200℃以下が好ましく、さらに好まし
くは80℃以上160℃以下である。マスク層が補償温
度を持っている場合、記録層に補償温度が存在する必要
は無い。以上の磁性層は、希土類金属と遷移金属の合金
を用いているため、非常に酸化しやすい。そこで磁性層
の両側あるいは片側に保護層を着けた態様をとることが
好ましい。
【0035】保護層としては、酸化Si、酸化Al、酸
化Ta、酸化Ti、窒化Si、窒化Al、炭化Siなど
の単体あるいはそれらの混合物が好ましく用いられる。
保護層の膜厚は50nm〜150nm程度が好ましい。
基板側の保護層を作製後、表面をプラズマエッチングす
ることで磁性層の磁気異方性を向上させることができ
る。反射層を持つ場合は、反射層が保護層を兼ねる事が
可能である。
【0036】本発明の媒体は基板として、溝を設けたガ
ラス、紫外線硬化樹脂付きガラス、ポリカーボネート、
PMMA等のプラスチック基板が用いられる。基板側の
保護膜は光の干渉を起こして反射率を低下させる干渉層
としての役割もはたすので屈折率は1.8以上2.6以
下が好ましい。また、マスク層と記録層のカー回転方向
が等しいとき、全ての層を含めた系が光学的にカー楕円
率が低下するように設計されていることが好ましい。
【0037】成膜にはスパッタリングが好ましく用いら
れるが、CVDや電子線蒸着も利用可能である。従来の
FAD方式では磁性層が3種類必要であったが、本発明
では2種類の磁性層で済むため、スパッタリングの場
合、高価な希土類金属あるいは希土類と遷移金属の合金
ターゲットの使用を減らす事ができ、コスト的にも有利
である。
【0038】さらに、従来の交換結合を利用するタイプ
では磁性層間のわずかな酸化によっても交換結合力が変
化し、安定に生産する上で困難があったが、本発明は交
換結合を使用していないため、そのような困難は生じな
い。本発明による媒体のさらなる特徴として、従来の超
解像媒体と比べて、磁性層の膜厚を小さくできるため、
高記録感度にできることがある。
【0039】また、磁性層の膜厚を小さくして、さらに
反射膜を設ける事によって、従来用いられてきた反射膜
の効果と同様に、ファラデー効果による信号レベルの増
強や、反射膜の熱拡散効果による、記録パルス間熱干渉
の低減もできる。
【0040】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は その要旨を越えない限り以下の
実施例に限定されるものではない。 実施例1 スパッタリング装置に1.4μmのトラックピッチの案
内溝を持ったポリカーボネートディスク基板とガラス基
板を導入し、5×10-5 Pa以下の真空度まで排気を
行った。この後、干渉層として基板上に反応性スパッタ
リングを用い80nmの酸化Taを形成した。
【0041】次に酸化Ta上に、Gd27(Fe80
2073(原子%以下同じ)よりなるマスク層を設け
た。次にSi34よりなる3nmの切断層、Tb18(F
80Co2082よりなる60nmの記録層を設けた。最
後にSi34よりなる80nmの保護層を設けた。マス
ク層の膜厚は0から25nmまで変化させた。マスク
層、記録層のキュリー温度を測定したところ、各々30
0℃以上、240℃であった。
【0042】また、マスク層は室温においては希土類金
属の磁化が優勢であり保磁力は80(Oe)、体積磁化
率は280emu/ccであり、補償温度は130℃であっ
た。記録層は室温において遷移金属の磁化が優勢であ
り、保磁力は6k(Oe)、体積磁化率は220emu/cc
であった。ガラス基板を用いて記録層を一方向に磁化し
た後、50℃と180℃でのカー回転角を測定したとこ
ろ、各々0.02度と0.37度であった。
【0043】このようにして作製したディスクを波長7
80nm、開口数0.55の評価機を用いてCNR(狭
帯域の信号雑音比)の評価を行った。記録条件は線速7
m/s、周波数7MHz、記録パワー7mW、記録磁界
500Oe、記録duty30%である。再生は2.4mW
で行い、再生磁界は印可していない。
【0044】この結果を第1表に示すように、マスク層
の膜厚が3nm以上、20nm以下において、高いCN
Rを得ることができた。マスク層が10nmのディスク
について、再生パワーPrを変化させながら測定してい
ったところ、Prが1.6mW未満ではほとんどCNR
が得られなかったが、Prが1.6mW以上でCNRが
立ち上がり、2.2mWで48.0dBが得られた。
【0045】さらに、隣接トラックに2MHzで記録を
行いクロストークを測定したところ、−43dBであっ
た。
【0046】
【表1】
【0047】実施例2 マスク層の膜厚を10nm、記録層の膜厚を30nmと
し、切断層の厚さを0から50nmまで変化させた。そ
れ以外は実施例1と同様に作成した。実施例1と同様な
CNRの測定を行った結果を第2表に示す。この結果、
切断層が0.5nm以上、30nm以下で高いCNRを
得る事ができた。
【0048】
【表2】
【0049】実施例3 マスク層の膜厚を10nm、記録層の膜厚を30nmと
し、記録層までを実施例1と同様に作成した後、Si3
4よりなる断熱層を20nm、Alよりなる反射層を
50nm設けた。実施例1と同様の条件でCNRの測定
を行ったところ、48.5dBが得られた。
【0050】実施例4 実施例1と同じ基板に80nmのTa25干渉層を設け
た後、Tb18(Fe80Co20)の記録層を15nm設け
た。続いて、切断層として3nmのSi34、マスク層
として20nmのGd27(Fe80Co2073、反射層と
して30nmのAl97Ta3を設けた。実施例1と同様
の条件でCNRの測定を行ったところ、46dBが得ら
れた。2MHzで記録した場合のクロストークは−42
dBであった。
【0051】実施例5 実施例1と同じ基板に80nmのTa25干渉層を設け
た後、Gd18(Fe80Co20)のマスク層を10nm設
けた。続いて、切断層として3nmのSi34、記録層
として60nmのTb27(Fe80Co20)、保護層とし
て80nmのSi34を設けた。マスク層、記録層のキ
ュリー温度は各々300℃以上、240℃であった。ま
た、マスク層は室温では遷移金属磁化が優勢であり、保
磁力は60(Oe)、体積磁化率は280emu/ccであっ
た。記録層は室温では希土類金属の磁化が優勢であり保
磁力は6.5k(Oe)、体積磁化率は220emu/ccで
あった。実施例1と同様の条件でCNRの測定を行った
ところ、44dBが得られた。2MHzで記録した場合
のクロストークは−40dBであった。
【0052】実施例6 マスク層までを実施例3と同様に作成した後、酸素ガス
を0.5Pa導入して10秒放置した後、切断層を設け
ずに記録層以降を実施例3と同様に作成した。実施例1
と同様の条件でCNRの測定を行ったところ、47.5
dBが得られた。2MHzで記録した場合のクロストー
クは−41dBであった。
【0053】比較例1 実施例1と同一の基板を用い、干渉層として80nmの
Ta25を設け、続いて、再生層としてを30nmのG
25(Fe80Co2079、切断層として10nmのTb
Fe、記録層として40nmのTb(FeCo)、保護
層として、80nmのSi34を設け、従来のFAD媒
体を作成した。実施例1と同条件で再生磁界を印可せず
CNRを測定したところ35dBであった。再生磁界を
消去方向に400(Oe)印可したところ、48dBが
得られた。再生磁界を印可しながら2MHzでクロスト
ークの測定を行ったところ−26dBであった。
【0054】比較例2 同一の基板を用い、保護層としてTa25を90nm、
記録層としてTb21(Fe93Co779 を28nm、中
間層としてSi34を30nm、反射層としてAlを4
0nm設けたディスクを作製した。
【0055】その後、実施例1と同条件で再生磁界を印
可せずCN比を測定したところ32dBであった。さら
に実施例1と同様にしてクロストークの測定を行ったと
ころ−27dBであった。
【0056】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体及びその再生方
法を用いることによって、再生磁界や、初期化磁界を必
要とせずに非常に短いビットで高いCNRが得られ、さ
らにクロストークも低減されるため、簡単なドライブで
高密度記録が達成できる。さらに、交換結合を用いてい
ないため、従来の超解像媒体に比べて生産性に優れる。
また、磁性層の数が少なく膜厚が薄くできるのでコス
ト、感度の点からも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明光磁気記録媒体の原理の説明図例
【図2】本発明光磁気記録媒体の原理の説明図例
【図3】本発明光磁気再生方式の再生状態の説明図
【符号の説明】
1 マスク層 2 切断層 3 記録層 4 マスク層の磁化 5 マスク層の希土類金属の副格子磁化 6 マスク層の遷移金属の副格子磁化 7 記録層の磁化 8 入射光の偏光方向 9 反射光の偏光方向 10 マスク層によるカー回転方向 11 記録層によるカー回転方向 12 再生スポット 13 記録ビット 14 高温部(再生領域) 15 低温部(マスク領域)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁区の方向によって情報が蓄えられ磁気光
    学効果によって情報が再生される光磁気記録媒体におい
    て、少なくとも静磁的に結合された記録層とマスク層の
    2層を有し、前記記録層は情報に応じた磁区が記録さ
    れ、マスク層には記録層が発生する磁界によって記録層
    の記録磁区に対応した磁化方向となる室温以上の温度範
    囲が存在し、該記録層とマスク層は希土類金属と遷移金
    属の合金からなり、室温において記録層が遷移金属優
    勢、マスク層が希土類金属優勢であり、マスク層が室温
    以上でかつ前記記録層とマスク層のキュリー温度以下に
    補償温度Tcompを有することを特徴とする光磁気記
    録媒体
  2. 【請求項2】マスク層の室温での保磁力Hcが10(O
    e)以上、300(Oe)以下である請求項に記載の
    光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】マスク層の室温での体積磁化率Msが60
    emu/cc以上、400emu/cc以下である請求
    項1又は2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】マスク層の補償温度が60℃以上、200
    ℃以下である請求項1乃至のいずれかに記載の光磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】記録層の室温での体積磁化率Msが80e
    mu/cc以上、350emu/cc以下である請求項
    1乃至のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】記録層のキュリー温度が180℃以上、3
    00℃以下である請求項1乃至のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】記録層とマスク層との間に交換結合を切断
    する切断層を有してなり、該切断層が透明誘電体又は非
    磁性金属よりなる請求項1乃至のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】切断層が誘電体であり、該切断層の膜厚が
    0.5nm以上、30nm以下である請求項に記載の
    光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】切断層が非磁性金属であり、該切断層の膜
    厚が0.5nm以上、5nm以下である請求項に記載
    の光磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】記録層とマスク層のうち、光の入射側に
    ある層の膜厚が3nm以上、20nm以下である請求項
    1乃至のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】記録層とマスク層のうち、光の入射側に
    ない層に直接又は誘電体層を介して反射層が設けられて
    なり、記録層とマスク層のうち、光の入射側にない層の
    膜厚が10nm以上、50nm以下である請求項1乃至
    10のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】請求項に記載の光磁気記録媒体を用い
    て情報の再生を行う場合において、再生光の加熱により
    再生スポット内にマスク層の補償温度より低い温度範囲
    と高い温度範囲が両方存在するようになしたことを特徴
    とする光磁気記録媒体の再生方法。
  13. 【請求項13】磁区の方向によって情報が蓄えられた磁
    気光学効果によって情報が再生される光磁気記録媒体に
    おいて、少なくとも静磁的に結合された記録層とマスク
    層の2層を有し、前記記録層は情報に応じた磁区が記録
    され、マスク層には記録層が発生する磁界によって記録
    層の記録磁区に対応した磁化方向となる室温以上の温度
    範囲が存在し、その記温度範囲内に、マスク層が記録層
    の示すカー回転方向にかかわらず常に記録層と反対のカ
    ー回転方向を持つ温度範囲1と常に記録層と同一のカー
    回転方向を持つ温度範囲2を有し、前記記録層とマスク
    層はいずれも希土類金属と遷移金属の合金からなり、記
    録層とマスク層のどちらか一方が室温以上でかつ両層の
    キュリー温度以下に補償温度Tcompを有することを
    特徴とする光磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】マスクが室温以上、キュリー温度以下
    に補償温度Tcompを有しており室温において記録層
    が遷移金属優勢、マスク層が希土類金属優勢であり、前
    記温度範囲1が前記温度範囲2に比べ低温側にある請求
    13に記載の光磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】前記記録層とマスク層はいずれも希土類
    金属と遷移金属の合金からなり、記録層とマスク層のど
    ちらか一方が室温以上でかつ両層のキュリー温度以下に
    補償温度Tcompを有し、前記温度範囲1と2のいず
    れかがTcompを含んでいる請求項13又は14に記
    載の光磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】記録層とマスク層のうち、再生光の照射
    側にある層は3nm以上20nm以下の膜厚である請求
    13乃至15のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】記録層とマスク層の間に0.5nm以
    上、30nm以下の透明な誘電体層が存在する請求項
    3乃至16のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
JP02558694A 1994-02-23 1994-02-23 光磁気記録媒体及びその再生方法 Expired - Fee Related JP3355759B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02558694A JP3355759B2 (ja) 1994-02-23 1994-02-23 光磁気記録媒体及びその再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02558694A JP3355759B2 (ja) 1994-02-23 1994-02-23 光磁気記録媒体及びその再生方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07235088A JPH07235088A (ja) 1995-09-05
JP3355759B2 true JP3355759B2 (ja) 2002-12-09

Family

ID=12170027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02558694A Expired - Fee Related JP3355759B2 (ja) 1994-02-23 1994-02-23 光磁気記録媒体及びその再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3355759B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07235088A (ja) 1995-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3078145B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JP3477384B2 (ja) 光磁気記録媒体
US5777953A (en) Arrangement of magneto-optical recording medium which capable of reproducing an individual bit
KR100271114B1 (ko) 초 해상도의 광자기 기록 매체 및 이 매체를 이용한 정보 재생 방법
JP3355759B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3474464B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP3093340B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH07230637A (ja) 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法
JP2929918B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3075048B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH11238264A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3218735B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP3592399B2 (ja) 光磁気記録媒体
WO2000013177A1 (fr) Support d'enregistrement magneto-optique
JPH0696479A (ja) 光磁気記録媒体
JP3516865B2 (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JP2985641B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH07262631A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH07262632A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH06309710A (ja) 光磁気記録媒体
JPH09293285A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP2001176140A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録再生方法
JP2000149349A (ja) 光磁気記録の再生方法
JPH08315436A (ja) 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法
JPH0757316A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071004

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees