JP3355245B2 - 透明高耐衝撃性樹脂組成物 - Google Patents
透明高耐衝撃性樹脂組成物Info
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Description
バランスに優れた透明高耐衝撃性樹脂組成物に関するも
のであり、押出成形して得られるシート、フィルムある
いは更に真空成形、折り曲げ成形、プレス成形などを行
って得られる容器、ケース又は射出成形、異型押出成形
して得られる容器などの高度の透明性と耐面衝撃性を必
要とする透明成形品に好適な樹脂組成物に関する。
なるブロック共重合体樹脂は優れた透明性と耐衝撃性を
備えた樹脂であり、シート、フィルム、射出成形品等に
広く使用されている。しかし、該樹脂には耐衝撃性に優
れたものは剛性が低く、反対に剛性の高いものは耐衝撃
性が低いという、二律背反の関係があり、特に耐面衝撃
性と剛性の両者とも優れたブロック共重合体樹脂は未だ
得られていないのが実状である。
する試みが特公昭52−16496号公報に開示されて
いる。スチレン・ブタジエンブロック共重合体にゴム変
性ポリスチレンを15%以上配合すると衝撃強度は向上
するが、透明性は著しく低下する。またゴム変性ポリス
チレンが0.5%の配合量では耐衝撃性、強度、剛性は
ゴム変性ポリスチレンを配合しない時と同等であり、な
んらの改良効果も認められない。 特公昭59−258
21号公報には特定構造のブロック共重合体を用いて変
性したゴム変性耐衝撃スチレン重合体とビニル芳香族炭
化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体とからな
る重合体組成物が開示され、優れた耐衝撃性と透明性で
あることが記載されている。しかしながら、開示された
ゴム変性耐衝撃スチレン重合体はそれ自身のアイゾット
衝撃強さが従来のものに比べ低く、十分な耐衝撃性には
至っていない。特開昭51−89550号公報にはビニ
ル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合
体とゴム変性スチレン重合体及びスチレン重合体とから
なる透明耐衝撃性スチレン系重合体組成物が開示されて
いる。しかし、この組成物においても透明性と耐衝撃性
の両者とも満足できる組成物は見あたらない。
素を原料とする樹脂を非塩素系の樹脂に置き換える動き
が活発となり、剛性、透明性、耐衝撃性の総合的なバラ
ンスに優れた樹脂が望まれている。特開平4−3935
1号公報にはスチレン系樹脂(スチレン単独重合体又は
アクリロニトリルとの共重合体)と一般式A1 −B−A
2 で表れるブロック共重合体との樹脂組成物が開示され
ている。しかしながら、これに示されたブロック共重合
体樹脂組成物はブロック共重合体自身の低温での耐衝撃
性が十分でなく、0℃以下の温度で耐衝撃性が著しく低
下するため冷蔵庫などに保存する食品包装容器としての
使用あるいは寒冷地での使用が制限される欠点を有して
いる。特開平4−57845号公報にはスチレン系共重
合体樹脂とブロック共重合体との組成物が開示されてい
る。これに示されたブロック共重合体は、スチレン系成
分を主体とするブロックと共役ジエンを主体とするブロ
ック共重合体から構成されてはいるものの各ブロックを
構成する成分の比率は明確に示されておらず、実施例は
それぞれのブロックがスチレン、ブタジエン単独重合体
ブロックである。従って、実施例のようなブロック共重
合体のうちビニル芳香族炭化水素含有量の多いブロック
共重合体を用いた場合には、耐衝撃性が不足し、反対に
ビニル芳香族炭化水素含有量の少ないブロック共重合体
を用いた場合には剛性が著しく低下するだけでなく成形
品が青白く見える欠点を有している。特開平4−236
239号公報にはスチレン系共重合体樹脂とビニル芳香
族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体との
スチレン系樹脂シートが開示され、特開平4−2985
56号公報にはスチレン系重合体とゴム補強スチレン系
重合体及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる
ブロック共重合とからなる透明スチレン系樹脂が開示さ
れ、強度、透明性に優れることが記載されている。しか
し、このシート及び透明スチレン系樹脂は耐面衝撃性及
び剛性共にまだ充分に満足されるものではなく、また、
シート表面も平滑ではないためクリア感に欠ける問題を
有していた。
の透明性、剛性と耐面衝撃性を必要とする押出シート、
フィルム、更に真空成形、プレス成形、折り曲げ成形し
た容器、ケース又は射出成形、異型押出成形して得られ
る容器、ケースにおいて、高度の透明性、特に青白く見
える欠点の無い透明性とシート、成形品表面の平滑性、
剛性、室温及び−10℃以下の耐面衝撃性のバランスに
優れる樹脂組成物を提供することである。
ートの青白さ、シート表面の平滑性及びシートの剛性と
耐面衝撃性を一挙に改良すべく鋭意検討した結果、ビニ
ル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる特定構造の熱可
塑性ブロック共重合体と、ビニル芳香族炭化水素と(メ
タ)アクリル酸エステルとの共重合体樹脂とからなる組
成物にゴム変性耐衝撃性ポリスチレン及び/又はビニル
芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラス
トマーを添加配合せしめた樹脂組成物が、青白さもな
く、シート表面の平滑性に優れ、しかも剛性が高く、室
温での耐面衝撃性はもとより−10℃以下の耐面衝撃性
を高度に兼ね備えた性能を有することを見いだし、本発
明を完成するに至った。
重量部以上、90重量部以下と、成分(b)が10重量
部以上、90重量部以下とからなる組成物に、成分
(c)及び/又は成分(d)を含有してなる透明高耐衝
撃性樹脂組成物、(a)少なくとも2個のビニル芳香族
炭化水素を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1
個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBからなる
ブロック共重合体で、該ブロック共重合体中のビニル芳
香族炭化水素含有量が65重量%以上、80重量%以
下、ブロック共重合体中に組み込まれているビニル芳香
族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50重量%以
上、80重量%以下、該ビニル芳香族炭化水素重合体ブ
ロックの重量平均分子量を数平均分子量で徐した値であ
る分子量分布が1.6を超え、3.0以下で分子量が6
0000以上の成分を15重量%以上、60重量%以下
有するブロック共重合体、(b)(メタ)アクリル酸エ
ステルの含有量が8重量%以上、25重量%以下のビニ
ル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体樹脂、(c)ブタジエン系ゴム状重合体にスチレンを
グラフト重合して得られるゴム変性耐衝撃性ポリスチレ
ン、(d)ビニル芳香族炭化水素含有量が10重量%以
上、50重量%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエ
ンのブロック共重合体エラストマー、である。
用いるブロック共重合体は、ポリマーの構造が、A−
(B−A)n ,B−(A−B)n −A,B−(A−B)
n+1 (前式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体
とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体と
する重合体ブロックである。AブロックとBブロックと
の境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1
以上の整数、一般的には1〜5である)で表される線状
ブロック共重合体、あるいは一般式、[(A−B)k ]
m+2 −X,[(A−B)k−A]m+2 −X,[(B−
A)k ]m+2 −X ,[(B−A)k −B]m+2 −X
(上式において、A、Bは前記と同じであり、k及びm
は1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば
四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリ
シジルアミノメチル)シクロヘキサンなどのカップリン
グ剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤
の残基を示す。)で表されるラジアルブロック共重合
体、あるいはこれらのブロック共重合体の任意のポリマ
ー構造の混合物が使用できる。
重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含有量が50
重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエン
との共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素
単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重
合体ブロックとは共役ジエンを50重量%を越える量で
含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブ
ロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示
す。
ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中
にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合
体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族
炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、
テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共
重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布してい
る部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数
個共存してもよい。
には従来公知の手法で製造でき、例えば特公昭36−1
9286号公報、特公昭43−17979号公報、特公
昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公
報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11
446号公報などに記載された手法があげられるが、各
構成ポリマーは後述する要件を満足するように製造条件
を設定しなければならない。上記の公知の手法はすべ
て、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン
開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブ
ロック共重合する手法である。
としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメ
チルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン
などがあるが、特に代表的なものとしてはスチレンが挙
げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用し
てもよい。
を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエ
ン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に代
表的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンな
どが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合
使用してもよい。
ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪
族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロ
ヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が
使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用
してもよい。
のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有
機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。
これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピ
ルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウ
ム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウ
ム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは
1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは
40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によ
って異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適に
は1〜10時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガ
スなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望まし
い。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒
を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特
に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及び
リビングポリマーを不活性化させるような不純物、例え
ば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要
がある。
芳香族炭化水素含有量の好ましい範囲は65重量%以
上、80重量%以下であり、更に好ましい範囲は65重
量%以上、75重量%以下である。ブロック共重合体の
ビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%未満では、樹
脂組成物成形品の剛性が劣り、逆に80重量%を越える
と耐面衝撃性が低下するため好ましくない。又、本発明
のブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量の範
囲外にあっては成形品に青白さが生じるため好ましくな
い。
芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率の好ましい
範囲は50重量%以上、80重量%以下であり、更に好
ましい範囲は55重量%以上、75重量%以下である。
ブロック率が50重量%以下の場合は樹脂組成物成形品
の剛性と−10℃以下の耐面衝撃性が劣り、80重量%
を越えると耐面衝撃性が低下するため好ましくない。ビ
ニル芳香族炭化水素ブロックのブロック率は、ブロック
共重合体の製造時において少なくとも一部のビニル芳香
族炭化水素と共役ジエンが共重合する工程におけるビニ
ル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反
応性比等を変えることによりコントロールすることがで
きる。
族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に
供給して重合する、及び/又は(ロ)極性化合物或はラ
ンダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエ
ンを共重合する等の方法が採用できる。極性化合物やラ
ンダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
ブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テ
トラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテ
ル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシ
ド等が挙げられる。尚、本発明においてブロック共重合
体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブ
ロックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒とし
てジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによ
りブロック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KO
LTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.
1,429(1946)に記載の方法)により得たビニ
ル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度
が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除か
れている)を定量し、ブロック率(重量%)とは、ブロ
ック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック
の重量%をXとし、ブロック共重合体中の全ビニル芳香
族炭化水素の重量%をYとすると、(X/Y)×100
の式から求めた値を云う。
の分子量分布は該ブロック率の定量に用いたものと同一
成分の重量平均分子量を数平均分子量で徐した値であ
る。重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)用の単分散ポリス
チレンをGPCにより、そのピークカウント数と単分散
ポリスチレンの数平均分子量との検量線を作成し、常法
(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>」講談社
発行)に従って算出した。
体ブロックの好ましい分子量分布(重量平均分子量を数
平均分子量で徐した値)の範囲は1.6を超え、3.0
以下、更に好ましくは1.7以上、2.5以下である。
ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量分布が
1.6以下では樹脂組成物形品の表面平滑性に劣り、
3.0を超えると−10℃以下の耐面衝撃性に劣るため
好ましくない。又、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロッ
クの分子量の60000以上の成分が15重量%以上、
60重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは
20重量%以上、55重量%以下である。ビニル芳香族
炭化水素重合体ブロックの分子量の60000以上の成
分が15重量%未満では樹脂組成物成形品の表面平滑性
に劣り、60重量%を越えると−10℃以下の耐面衝撃
性に劣るため好ましくない。尚、ビニル芳香族炭化水素
重合体ブロックはモノモダル、バイモダル或はポリモダ
ルであっても良く、バイモダル或はポリモダルにあって
は高分子側ピーク分子量を100000以下にすること
が−10℃以下の耐面衝撃性を発現する上で好ましい。
は、重合に使用する触媒量により任意に調整できる。成
形加工性の点から、分子量の一つの尺度であるメルトフ
ローインデックス(JIS K−6870により測定。
条件はG条件で温度200℃、加重5Kg)が0.1〜
50g/10min、好ましくは1〜20g/10mi
nである。
より不活性溶剤中で水素添加触媒の存在化に水素添加し
て水添物として使用することもできる。具体的な方法と
しては特公昭42−8704号公報、特公昭43−66
36号公報に記載された方法、特に好ましくは特公昭6
3−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に
記載された方法である。
炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成
する単量体は、例えば、ビニル芳香族炭化水素として
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレンなどであり、(メタ)アク
リル酸エステルとしては、メタクリル酸のメチルエステ
ル、エチルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチル
エステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエ
ステル、アクリル酸のメチルエステル、エチルエステ
ル、n−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル
など、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜8のアルコール
とのエステルである。
透明性と剛性を維持し、同時に加工性を改良するため
に、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体が好まし
い。剛性、耐熱性を改良するにはスチレン−メタクリル
酸メチル共重合体が好ましいが、多量に配合すると透明
性はやや劣るものとなる。スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−n−アクリル酸ブチル共重合体
においてメタクリル酸メチルあるいはアクリル酸ブチル
の共重合組成比は、最終組成物の青白さをなくすため8
〜25重量%が好ましく、更に好ましくは10〜23重
量%であるが、0.1〜2%の他の単量体を含んでいて
もよい。また、これらのビニル芳香族炭化水素−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体のMI(G)は1〜1
0g/10minが好ましい。
撃性ポリスチレンは、ブタジエン系ゴム状重合体をスチ
レンに溶解した後、スチレンの重合を開始し、ゴム状重
合体にスチレンがグラフト重合する条件下で重合を行っ
たものであり、グラフトされたゴム状重合体が形成する
ゴム粒子の平均粒子径は1.5μ以上、8.0μ以下の
ものが好ましく、1.8μ以上5.0μ以下のものが更
に好ましい。
撃性ポリスチレンの越薄切片法による透過型電子顕微鏡
写真を撮影し、写真中のゴム粒子約500個の粒子径を
測定して、平均粒子径=(ΣniDi4 )/(ΣniD
i3 )により算出したものである(ここでniはゴム粒
子の長径がDiである粒子の個数である)。これらのゴ
ム粒子は、その内部にポリスチレン部分を内蔵した、い
わゆるサラミ構造のものや、コア・シェル構造のものを
言う。
撃性ポリスチレンでは、耐面衝撃性の改良効果が小さく
好ましくない。又、平均粒子径が8.0μを越えるゴム
変性耐衝撃性ポリスチレンでは曇価が高くなり透明性が
著しく悪くなるので好ましくない。ゴム粒子の平均粒子
径を制御するには、スチレンに溶解するゴム状重合体の
組成、重合度、スチレンを重合するときの撹拌状態、重
合開始剤、連鎖移動剤、ゴム粒子のグラフト率や架橋度
を適宜変えることによって可能である。
炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラストマ−
のビニル芳香族炭化水素含有量は10重量%以上、50
重量%以下が好ましい。ビニル芳香族炭化水素含有量が
10%未満では成分(a)、成分(b)との相溶性が悪
く透明性が著しく悪化するので好ましくない。ビニル芳
香族炭化水素含有量が50%を越えると耐面衝撃性の向
上効果が少なく好ましくない。
ック共重合体(a)とビニル芳香族炭化水素−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体樹脂(b)の重量比は、
(a)+(b)=100重量部に対して、(a)が10
重量部以上、90重量部以下、(b)が90重量部以
下、10重量部以上であり、好ましくは(a)が20重
量部以上、80重量部以下、(b)が80重量部以下、
20重量部以上である。ブロック共重合体(a)の重量
比が10重量部未満の場合は、樹脂組成物成形品の耐面
衝撃性が低下するため好ましくない。又、90重量部を
越える場合は樹脂組成物成形品の剛性が低下すると共
に、成形性が悪化するため好ましくない。
加配合割合いは、(a)+(b)=100重量部に対し
て0.3重量部以上、10重量部以下であり、好ましく
は、0.5重量部以上、8重量部以下である。成分
(c)が0.3重量部未満の場合は耐面衝撃性の向上効
果はほとんど得られず好ましくない。又、10重量部を
越える場合は樹脂組成物成形品の曇価が高くなり透明性
が著しく悪くなるので好ましくない。
ック共重合体エラストマ−(d)の添加配合割合いは、
(a)+(b)=100重量部に対して1.0重量部以
上、20重量部以下であり、好ましくは3.0重量部以
上、18重量部以下である。成分(d)が1.0重量部
未満の場合は耐面衝撃性の向上効果はほとんど得られず
好ましくない。又、20重量部を越える場合は樹脂組成
物成形品の曇価が高くなり透明性が著しく悪くなるので
好ましくない。成分(C)と成分(D)は透明性と耐面
衝撃性を損なわない範囲で必要に応じて組合わせて使用
することができる。
性、剛性、耐面衝撃性を損なわない範囲で必要に応じて
種々の添加剤を配合することができる。これらの添加剤
には、非ゴム変性ポリスチレンやその他の透明性を損な
わないポリマ−、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、紫
外線吸収剤、滑剤、着色剤、ミネラルオイル、可塑剤等
がある。 本発明の透明高衝撃樹脂組成物を得る方法
は、従来公知のあらゆる配合方法によって製造すること
ができる。例えば、オープンロール、インテシブミキサ
ー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター
付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶
融混練方法等がある。
は本発明の範囲を制限するものではない。 成分(a)のブロック共重合体の製造 表1に実施例で用いた成分(a)のブロック共重合体を
示した。A−1〜A−12のブロック共重合体はA−B
−A' 構造のブロック共重合体であり、シクロヘキサン
溶媒中でn−ブチルリチウムを開始剤に用い、スチレ
ン、スチレン・ブタジエン混合物、スチレンの順にモノ
マーのシクロヘキサン溶液を添加して重合し、メタノー
ルで重合を停止した後、2−(2−ヒドロキシ−3−t
−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−t
−ブチルフェニルアクリレートとトリスノニルフェニル
ホスファイトをブロック共重合体100重量部に対して
それぞれ0.5重量部、安定剤として添加し、溶剤を留
去して得た。尚、ブロックポリスチレンの含有量(重量
%)はブロック共重合体をオスミウム酸で分解した後、
メタノールに再沈澱して測定した。また、そのブロック
スチレンのGPC曲線からブロックスチレンの分子量分
布(Mw/Mn)を求め、ブロックスチレンの分子量が
60000以上の成分量(重量%)は、ブロックスチレ
ンのGPC曲線の面積比から算出した。メルトフロー
(MI)はG条件で測定した。ブロック重合体のブロッ
クスチレンのMw/Mn、分子量が60000以上の成
分量の調整はスチレンモノマー量の組成比、重合器の撹
拌翼の撹拌数、重合温度等をコントロールすることによ
って調整した。ブロック共重合体A−13は、C−A−
B−A' 構造のブロック共重合体であって、リブタジエ
ン部分Cがブロック重合体の8重量%を占めるようにモ
ノマーを添加した以外はA−1と同様の手法でブロック
共重合体を得た。ブロック共重合体A−14、15は第
1段目にシクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリチウムと
スチレンを添加して重合し、第2段目にもn−ブチルリ
チウムとスチレンを添加して重合させ、次にスチレン・
ブタジエン混合物を添加して重合を完結した後、カップ
リング剤として1,3ビス(N,N−グリシジルアミノ
メチル)シクロヘキサンを添加したラジアルブロック共
重合体である以外はA−1と同様の手法でブロック共重
合体を得た。
販のものを、B−2〜B−5は、撹拌器付き10Lオー
トクレーブに、スチレンとアクリル酸n−ブチルを表2
に示す割合で5Kg添加し、同時にエチルベンゼン0.
3Kg、MI(G)を調整するため1,1ビス(t−ブ
チルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、11
0℃で2時間、130℃で3時間、150℃で2時間重
合後、押出機で未反応スチレン、アクリル酸n−ブチ
ル、エチルベンゼンを回収して得た。
ンの製造 表3に実施例で用いた成分(c)のゴム変性耐衝撃性ポ
リスチレンを示した。表3のゴム変性耐衝撃性ポリスチ
レンは表3に示したゴムをスチレンモノマ−に溶解し、
撹拌翼の装着された反応釜中で重合して未反応のモノマ
−等を減圧下で除去して得た。ゴム粒子の平均粒子径は
撹拌翼の回転数を変更することで調節した。
レン含有量40% D−2:旭化成工業(株)製 タフプレンA、スチレン
含有量40% 本発明における評価方法は下記のとおりである。 [引張弾性率] JIS K−6872に準拠して、シ
ートの押出方向及び押出方向に垂直な方向について測定
した(単位はKg/cm2 )。
が半径1/2インチのものを用いた以外はASTM D
−1709に準拠して測定し、50%破壊値を求めた
(単位はKg・cm)。 [透明性] JIS K−6714に準拠して曇価を測
定した。 [肌荒れ度] 押出シート(厚さ約0. 7mm)を紫外
分光光度計(島津製作所株)UV−2100)を用い
て、波長700nmの透過率より判定した。
び表6に示した配合量(重量部)の成分(a)、成分
(b)、成分(c)又は成分(d)からなる樹脂組成物
を、40mmシート押出機で厚さ約0.7mmのシート
に成形し、面衝撃強さ、曇価、及び表面平滑性を表す肌
荒れ度について測定した。
た。本発明で規定した範囲の組成物は、成形シートの表
面平滑性が良好なため透明感があり、耐衝撃性に著しく
優れていることが分かる。
8、及び表9に示した配合量(重量部)の成分(a)、
成分(b)、成分(c)及び/又は成分(d)からなる
樹脂組成物を実施例1と同様な方法で厚さ約0.7mm
のシートに成形し、引張弾性率、面衝撃強さ、肌荒れ
度、及び青白さについて測定した。
た。本発明で規定した範囲の組成物は成形シートの青白
さは極めて小さく、表面平滑性が良好なため透明感があ
り、耐衝撃性に著しく優れ且つ剛性とのバランスに優れ
ることが分かる。又、とくに耐低温衝撃性にも優れるこ
とが分かる。
もなく表面が平滑な優れた透明性を有し、しかも剛性が
高く、室温での耐面衝撃性はもとより、−10℃以下の
温度でも良好な耐面衝撃性をも兼ね備えた性能を有して
いる。したがって本発明の樹脂組成物は、このような特
性を利用し、内容物が鮮やかに見える食品用のケース、
包装用材料、ブリスター等の用途に好適である。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記の成分(a)が10重量部以上、9
0重量部以下と、成分(b)が10重量部以上、90重
量部以下とからなる組成物に、成分(c)及び/又は成
分(d)を含有してなる透明高耐衝撃性樹脂組成物。
(a)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素を主体と
する重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエンを
主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体
で、該ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素含有
量が65重量%以上、80重量%以下、ブロック共重合
体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブ
ロックのブロック率が50重量%以上、80重量%以
下、該ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量平均
分子量を数平均分子量で徐した値である分子量分布が
1.6を超え、3.0以下で分子量が60000以上の
成分を15重量%以上、60重量%以下有するブロック
共重合体、(b)(メタ)アクリル酸エステルの含有量
が8重量%以上、25重量%以下のビニル芳香族炭化水
素-(メ タ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、(c)
ブタジエン系ゴム状重合体にスチレンをグラフト重合し
て得られるゴム変性耐衝撃性ポリスチレン、(d)ビニ
ル芳香族炭化水素含有量が10重量%以上、50重量%
以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共
重合体エラストマー、 - 【請求項2】 成分(b)の(メタ)アクリル酸エステ
ルがアクリル酸n−ブチルである請求項1記載の透明高
耐衝撃性樹脂組成物。 - 【請求項3】 成分(c)のゴム変性耐衝撃性ポリスチ
レンのゴム粒子の平均粒子径が1.5μ以上、8.0μ
以下である請求項1記載の透明高耐衝撃性樹脂組成物。 - 【請求項4】 成分(c)のゴム変性耐衝撃性ポリスチ
レンの配合量が、成分(a)+成分(b)=100重量
部に対して0.3重量部以上、10重量部以下である請
求項1記載の透明高耐衝撃性樹脂組成物。 - 【請求項5】 成分(d)のビニル芳香族炭化水素がス
チレンである請求項1記載の透明高耐衝撃性樹脂組成
物。 - 【請求項6】 成分(d)のブロック共重合体エラスト
マ−の配合量が、成分(a)+成分(b)=100重量
部に対して1.0重量部以上、20重量部以下である請
求項1記載の透明高耐衝撃性樹脂組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10665994A JP3355245B2 (ja) | 1994-05-20 | 1994-05-20 | 透明高耐衝撃性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10665994A JP3355245B2 (ja) | 1994-05-20 | 1994-05-20 | 透明高耐衝撃性樹脂組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07309992A JPH07309992A (ja) | 1995-11-28 |
JP3355245B2 true JP3355245B2 (ja) | 2002-12-09 |
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ID=14439225
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10665994A Expired - Lifetime JP3355245B2 (ja) | 1994-05-20 | 1994-05-20 | 透明高耐衝撃性樹脂組成物 |
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Country | Link |
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Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
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JP4536226B2 (ja) * | 2000-08-01 | 2010-09-01 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | スチレン系樹脂組成物 |
US7211626B2 (en) | 2003-01-28 | 2007-05-01 | Dainippon Ink And Chemicals, Inc. | Styrenic resin composition |
-
1994
- 1994-05-20 JP JP10665994A patent/JP3355245B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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