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JP3289401B2 - タイヤ空気圧検知装置 - Google Patents

タイヤ空気圧検知装置

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Publication number
JP3289401B2
JP3289401B2 JP13225893A JP13225893A JP3289401B2 JP 3289401 B2 JP3289401 B2 JP 3289401B2 JP 13225893 A JP13225893 A JP 13225893A JP 13225893 A JP13225893 A JP 13225893A JP 3289401 B2 JP3289401 B2 JP 3289401B2
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JP
Japan
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tire
resonance frequency
speed
air pressure
torsional resonance
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JP13225893A
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俊治 内藤
雅彦 神谷
健康 田口
健司 藤原
健治 冨板
祐一 井上
周策 藤本
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のタイヤの空気圧
の状態を検知するタイヤ空気圧検知装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、タイヤの空気圧を検知する装置と
しては、タイヤの内部にタイヤ空気圧に応動する圧力応
動部材等を設け、直接的にタイヤの空気圧を検知するも
のが提案されている。しかし、直接的にタイヤの空気圧
を検知する装置では、タイヤの内部に圧力応動部材等を
設ける必要があることから構造が複雑となり、また価格
も高価となってしまうという問題があった。
【0003】このため、タイヤの空気圧が低下したとき
にタイヤ半径が変化する(短くなる)ことを利用して、
各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサの検出信号
に基づいて、車両のタイヤの空気圧を間接的に検知する
ことが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、検出対
象であるタイヤ半径は、磨耗等による個体差があった
り、旋回,制動,発進等の走行状態の影響を受けやす
い。さらに、近年普及が著しいラジアルタイヤは、タイ
ヤ空気圧の変化によるタイヤ半径の変形量が小さい(例
えば、タイヤの空気圧が1kg/cm2 低下したとき、
タイヤ半径の変形量は約1mmである。)。このような
理由から、タイヤ半径の変形量からタイヤ空気圧の変化
を間接的に検知する方式は、検知精度が充分に確保でき
ないという問題がある。
【0005】そこで、本願発明者らは上記問題を鑑み
て、車輪速度信号からタイヤ単体の共振周波数を抽出し
たり、タイヤのバネ定数を推定したりすることで、タイ
ヤの空気圧を検知する装置を発明し、これを出願した
(特願平5−119607号)。しかしながら、上記装
置は、一定の走行特性を前提にしたものであり、様々に
変化する車両の走行特性を考えた場合、検知精度を充分
に確保したとはいいがたく、さらなる検知精度の向上が
望まれる。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、さらなる検知精度の向上を達成することができる
タイヤ空気圧検知装置を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、車両の走行時に、タイヤの
振動周波数成分を含む信号を出力する出力手段と、前記
タイヤの振動周波数成分を含む信号からタイヤ単体の共
振周波数を抽出する抽出手段と、前記タイヤ単体の共振
周波数に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を検知す
る検知手段と、を備えると共に、 前記検知手段は、前記
共振周波数の変化率を求めこの変化率が所定値以下とな
り、且つ連続して所定回の演算において前記共振周波数
が基準周波数より所定値以上低下したと判断されたかの
双方に基づいてタイヤ空気圧の低下状態を判断すること
を特徴とするタイヤ空気圧検知装置をその要旨とする。
【0008】また請求項2記載の発明は、車両の走行時
に、タイヤの振動周波数成分を含む信号を出力する出力
手段と、前記タイヤの振動周波数成分を含む信号からタ
イヤ単体の共振周波数を抽出する抽出手段と、前記タイ
ヤ単体の共振周波数に基づいて、前記タイヤの空気圧の
状態を検知する検知手段と、前記車両が高速走行をして
いるかを判断する高速走行判断手段と、を備え、前記高
速走行をしていると判断され、且つ前記共振周波数が大
きくなったと判断された場合には、前記タイヤが発熱し
ている状態であると判断し、前記共振周波数による空気
圧の検知時に用いる判定値を補正することを特徴とする
タイヤ空気圧検知装置をその要旨とする。また、請求項
3に記載の発明は、車両の走行時に、タイヤの振動周波
数成分を含む信号を出力する出力手段と、前記タイヤの
振動周波数成分を含む信号からタイヤ単体の共振周波数
を抽出する抽出手段と、前記タイヤ単体の共振周波数に
基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を検知する検知手
段と、車輪速度および/または車体速度を検出する速度
検知手段と、前記速度検知手段によって検出される速度
が所定以上の場合には、タイヤ空気圧の許容範囲を上昇
させる補正手段と、を備えることを特徴とするタイヤ空
気圧検知装置をその要旨とする。
【0009】
【作用】上記構成により、請求項1記載のタイヤ空気圧
検知装置は、2つの異なる方法により2段階判定を行
う。これにより正確な空気圧検知が実現できる。
【0010】また請求項2記載のタイヤ空気圧検知装置
は、タイヤの発熱状態をタイヤから直接温度検知するこ
となく間接的に推定でき、且つタイヤ発熱状態をタイヤ
空気圧検知に利用することで正確な空気圧検知をするこ
とができる。 また、請求項3記載のタイヤ空気圧検知装
置は、タイヤのバーストやスタンディングウェーブ現象
が起こると危険となる可能性がある高速域でのタイヤ空
気圧の検知を低速域に比べて敏感に行うことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳し
く説明する。図1は、第1実施例の全体の構成を示す構
成図である。図1に示すように、車両の各タイヤ1a〜
1dに対応して車輪速度センサが設けられている。各車
輪速度センサは、歯車2a〜2d及びピックアップコイ
ル3a〜3dによって構成されている。歯車2a〜2d
は、各タイヤ1a〜1dの回転軸(図示せず)に同軸的
に取り付けられており、円盤状の磁性体より成る。ピッ
クアップコイル3a〜3dは、これらの歯車2a〜2d
の近傍に所定の間隔を置いて取り付けられ、歯車2a〜
2d、すなわちタイヤ1a〜1dの回転速度に応じた周
期を有する交流信号を出力する。ピックアップコイル3
a〜3dから出力される交流信号は、波形整形回路,R
OM,RAM等よりなる公知の電子制御装置(ECU)
4に入力され、波形整形を含む所定の信号処理が行われ
る。この信号処理の結果は表示部5に入力され、表示部
5は運転者に対して各タイヤ1a〜1dの空気圧の状態
を報知する。この表示部5は、各タイヤ1a〜1dの空
気圧の状態を独立に表示しても良いし、一つの警告ラン
プを設けて、いずれか一つのタイヤの空気圧が基準空気
圧よりも低下したときに点灯させて、それを警告するよ
うにしても良い。
【0012】ここで、まず本実施例におけるタイヤ空気
圧の検知原理について説明する。車両が、例えば舗装さ
れたアスファルト路面を走行した場合、その路面表面の
微小な凹凸により加振力を受け、その力によってタイヤ
は振動する。このときの振動特性を説明する。図2
(a)に示すように、タイヤ単体に実使用状態に相当す
る荷重を作用させ、回転ドラム上に設置した突起をタイ
ヤが通過したときに、タイヤ回転軸に作用する6つの力
(図2(b)、図2(c)中、x,y,z方向の力
(F)およびx,y,z軸まわりのモーメント(M)で
あり、以下「6分力」という)をスペクトル解析すると
図3,4に示すようになる。ただし、この場合の慣性モ
ーメントは実車両状態に設定してある。
【0013】図3,4に示すように、タイヤが路面から
の入力を受けると、タイヤの車軸には、車軸(y軸)回
りのねじりモーメント(My )と車軸の前後方向力(F
x )が作用し、両者とも約40Hz付近で共振点をも
つ。ここで、タイヤ外周はスチールベルトのため剛性が
高く、接地状態で荷重が作用している点を考え合わせる
と、図5に示すねじりモーメント(My )の共振点は、
タイヤサイドウォール部の車軸(y軸)まわりのねじり
共振現象と考えることができる。この結果、路面とタイ
ヤの接地部を中心に、タイヤ進行方向(x軸方向)に前
後力が発生、この力の反力として、図4に示すように車
軸に前後方向力(Fx )が現れることになる。
【0014】一方、タイヤ空気圧が変化すると、タイヤ
のサイドウォール部のばね定数も変化するため、前記図
3,4の共振点も変化する。例えば、図5に示すよう
に、タイヤの空気圧が変化した場合には、タイヤのサイ
ドウォール部のばね定数が変化するので、前記ねじり共
振点も低下する。従って、タイヤの振動周波数を抽出す
れば、この共振周波数に基づいてタイヤの空気圧の状態
を検知することができる。
【0015】そのため、本実施例では、車輪速度センサ
の検出信号から、タイヤのねじり(回転方向)共振周波
数を抽出する(以下「ねじり共振周波数」と言う)。こ
れは、図6に示すように、発明者らの詳細な検討の結
果、車輪速度センサの検出信号を周波数解析すると、図
3および図4のねじり共振周波数が検知可能であること
が判明した。更に、図6に示すように、図5と同様にタ
イヤ空気圧が低下すると、このねじり共振周波数も低下
することが明らかとなった。
【0016】これにより、本実施例によれば、近年搭載
車両の増加しているアンチスキッド制御装置(ABS)
を備える車両等は、既に各タイヤに車輪速度センサが装
備されているため、何ら新たなセンサ類を追加しなくと
もタイヤ空気圧の検知が可能となる。また、車両の実用
範囲では、上記共振周波数の変化量はほとんどタイヤ空
気圧の変化に起因するタイヤばね定数の変化に基づくも
のであるため、例えばタイヤの摩粍等の他の要因の影響
を受けることなく安定した空気圧検知が可能となる。
【0017】図7に、ECU4が実行する処理内容を表
したフローチャートを示す。なお、ECU4は各車輪1
a〜1dに対して同様の処理を行うため、図7のフロー
チャートは1車輪に対しての処理の流れのみを示してい
る。また、これ以後の説明において、各符号の添字は省
略する。さらに、図7に示すフローチャートでは、特に
タイヤの空気圧が基準値以下に低下したことを検知し、
運転者に対して警告を行う例について示している。
【0018】図7において、ステップ100では、ピッ
クアップコイル3から出力された交流信号(図8)を波
形整形してパルス信号とした後に、そのパルス間隔をそ
の間の時間で除算することにより車輪速度vを演算す
る。この車輪速度vは、図9に示すように、通常、ねじ
り共振周波数を含む多くの高周波成分を含んでいる。ス
テップ110では、演算された車輪速度vの変動幅Δv
が基準値v0 を超えたか否かを判定する。このとき、車
輪速度vの変動幅Δvが基準値v0 を超えていると判定
されると、ステップ120に進む。ステップ120で
は、車輪速度vの変動幅Δvが基準値v0 を超えている
時間ΔTが、所定時間t0 を超えたか否かを判定する。
上記ステップ110,120での処理は、車両が走行し
ている路面が、本実施例の検知手法によってタイヤ空気
圧の検知が可能な路面か否かを判定するために行うもの
である。つまり、本実施例では、タイヤの空気圧の検知
を、タイヤの振動周波数成分に含まれる共振周波数の変
化に基づいて行う。このため、車輪速度vがある程度変
動し、かつそれが継続されなければ、上記共振周波数を
算出するための充分なデータを得ることができない。な
お、ステップ120における判定では、車輪速度vの変
動幅Δvが基準値v0 を超えた時点で所定時間Δtが設
定され、この所定時間Δt内に再び車輪速度vの変動幅
Δvが基準値v0を超えると、時間ΔTの計測が継続さ
れる。
【0019】ステップ110及びステップ120におい
て、ともに肯定判断されるとステップ130に進み、ど
ちらか一方において否定判断されると、ステップ100
に戻る。ステップ130では、演算された車輪速度に対
して周波数解析(例えばFFT)演算を行うとともに、
その演算回数Nをカウントする。このFFT演算を行っ
た結果の一例を図10に示す。
【0020】図10に示すように、実際に車両が一般道
を走行して得られる車輪速度に対してFFT演算を実施
すると、非常にランダムな周波数特性となることが通常
である。これは、路面に存在する微小な凹凸の形状(大
きさや高さ)が全く不規則なためであり、従って車輪速
度データ毎にその周波数特性は変動することとなる。従
って、本実施例では、この周波数特性の変動をできるだ
け低減するために、複数回のFFT演算結果の平均値を
求める。このため、ステップ140では、ステップ13
0におけるFFT演算回数Nが所定回数n0 に達したか
否かを判定する。そして、演算回数Nが所定回数n0
達っしていないときには、さらにステップ100からス
テップ130の処理を繰り返し実行する。一方、演算回
数Nが所定回数n0 に達っしているときには、ステップ
150に進んで平均化処理を行う。この平均化処理は、
図11に示すように、各FFT演算結果の平均値を求め
るものであり、各周波数成分のゲインの平均値が算出さ
れる。このような平均化処理によって、路面によるFF
T演算結果の変動を低減することが可能となる。
【0021】しかし、上述の平均化処理だけでは、ノイ
ズ等によって、ねじり共振周波数のゲインが、その近辺
の周波数のゲインに比較して必ずしも最大ピーク値にな
るとは限らないという問題がある。そこで、本実施例で
は、上述の平均化処理に引き続き、ステップ160にお
いて以下の移動平均処理を実施する。この移動平均処理
は、n番目の周波数のゲインYn を以下の演算式によっ
て求めることにより実施される。
【0022】
【数1】Yn =(yn+1 +Yn-1 )/2 つまり、移動平均処理では、n番目の周波数のゲインY
n が、前回の演算結果におけるn+1番目のゲインy
n+1 と既に演算されたn−1番目の周波数のゲインY
n-1 との平均値とされる。これにより、FFT演算結果
は、滑らかに変化する波形を示すことになる。この移動
平均処理により求められた演算結果を図12に示す。
【0023】なお、ここでの波形処理は、上記移動平均
処理に限らず、平均化処理後のFFT演算結果に対して
ローパスフィルタ処理を施しても良いし、或いは、ステ
ップ130のFFT演算を実施する前に、車輪速度vの
微分演算を行い、その微分演算結果に対してFFT演算
を実施してもよい。次に、ステップ170では、上記移
動平均処理によりスムージングされたFFT演算結果に
基づいて、ねじり共振周波数fK を算出する。そしてス
テップ180では、予め正常なタイヤ空気圧に対応して
設定されている初期周波数f0 からの低下偏差(f0
K )を求め、この低下偏差(f0 −fK )と所定偏差
Δfとを比較する。この所定偏差Δfは、正常なタイヤ
空気圧に対応する初期周波数f0 を基準として、タイヤ
空気圧の許容下限値(例えば1.4kg/m2 )に対応
して設定されている。
【0024】次にステップ182Aでは、前記ねじり共
振周波数fK の時間当たりの変化率dfK を判定値( △
K /△t) と比較することにより、タイヤ空気圧の低
下の程度( 度合い) を判定する。ここで△fK は、今回
のねじり共振周波数の演算結果と前回の演算結果との差
であり、△tはその間の時間である。この変化率が前記
判定値以下の場合、即ち急激なタイヤ空気圧の低下でな
い場合は、ステップ184Aへ進みカウンタを設定す
る。続くステップ186Aでは、算出されるねじり共振
周波数fK の変化率が前記判定値以下となり、且つ連続
してm0 回以上低下偏差が所定偏差Δf以下となるか否
かの判定を行う。ステップ186Aで肯定されると、ス
テップ190へ進んで検知対象のタイヤの空気圧が低下
した旨の警告が表示部5に表示される。
【0025】また、前記ステップ180で否定される
と、ステップ182A以下の連続処理回数をカウントす
るため、ステップ188Aにてカウンタ値を「0」に初
期化する。さらに、前記ステップ182Aでねじり共振
周波数fK の変化率が前記判定値以上の場合は、タイヤ
空気圧の洩れが急激に発生してタイヤ空気圧が低下した
ものと判断し、ステップ190へジャンプして直ちに前
記内容の警告表示を行う。
【0026】尚、上記実施例は一旦ステップ190で警
告表示を行うと、車両停止まではその警告表示を継続す
る。そして、車両再スタート後又はイグニッションスイ
ッチがオンされ再スタートした後、最初に演算されるね
じり共振周波数fK の値が前記空気圧低下判定値より大
であれば、タイヤ空気圧低下判定状態を解除し警告表示
を中止する。最初に演算されるねじり共振周波数fK
値が空気圧低下判定値以下であれば、次の車両停止まで
その警告表示を継続するものとし、上記ステップを繰り
返すものとする。
【0027】上記実施例は、ねじり共振周波数fK の時
間当たりの変化率を求め、この変化率が判定値以下とな
り、且つ連続してm0 回以上低下偏差(f0 −fK )が
所17差Δf以上となるか否かの判定を行う2段階の判
定結果により、タイヤの空気圧が低下した旨の警告を行
うものであるので、誤判定を回避でき信頼性を向上でき
る。
【0028】次に第2実施例について説明する。第2実
施例では、最適なタイヤの空気圧は車速によって異なる
とともに、タイヤの空気圧自体も長時間の高速走行に起
因するタイヤ加熱によって変化するため、走行速度に応
じた比較基準の補正によって、上記問題に対処し、より
正確なタイヤ空気圧を検知することを特徴とする。
【0029】具体的には、図7においてステップ170
以降に図12に示す処理を実行する。ステップ181B
〜187Bでは、長時間の高速走行時に発生するタイヤ
の発熱を考慮してタイヤ空気圧の許容上下限値(例えば
上限値2.5kg/cm2 、下限値1.4kg/c
2 )に対応して設定されているねじり共振周波数上限
値fH およびねじり共振周波数下限値fL を補正する処
理を行う。すなわち、タイヤが発熱するとタイヤの内で
空気が膨張し、タイヤ内の空気量が同じ量であるにかか
わらずタイヤ内での空気圧が上昇することから、実際の
タイヤ内空気量に見合った空気圧の検知ができない。こ
のため、ステップ181B〜187Bでは、ねじり共振
周波数上限値fH およびねじり共振周波数下限値fL を
補正して、タイヤの発熱に依存されることなく正確にタ
イヤの空気圧を検知できるようにする。
【0030】そこで、まず、ステップ181Bにて車輪
速度vが所定速度vT を上回りかつ高上偏差Δf(=f
k −fs )が所定偏差Δf0 を上回っているか否かを判
定する。この所定偏差Δf0 は、初期ねじり共振周波数
fs を基準として、あらかじめ、タイヤの発熱特性を考
慮し、設定されている。ここでYESと判定されると、
車両は高速走行をしており、かつ共振周波数が大きくな
っていることから、タイヤが発熱しているとみなすこと
ができる。そこでステップ182Bに進み、ねじり共振
周波数上限値fH およびねじり共振周波数下限値fL の
補正中を示すフラグFを1とする。次に、ステップ18
3Bに進み、高上偏差Δfを発熱補正前ねじり共振周波
数上限値fH ’およびねじり共振周波数下限値fL ’に
加算することによって、タイヤ発熱による温度補正を行
い、改めてねじり共振周波数上限値fH およびねじり共
振周波数下限値fL として算出する。
【0031】また、ステップ181BでNOと判定され
たときには、ステップ184Bに進み車輪速度vが所定
速度vT を下回りかつ高上偏差Δfが所定偏差Δf0
回っているか否かを判定する。ここでYESと判定され
ると、車両は低速走行をしており、かつ共振周波数が小
さくなっていることから、タイヤは発熱していないとみ
なすことができる。そこでステップ186Bに進み、ね
じり共振周波数上限値fH およびねじり共振周波数下限
値fL の補正中を示すフラグFを0とする。そして、ス
テップ187Bに進み、発熱補正前ねじり共振周波数上
限値fH ’およびねじり共振周波数下限値fL ’を、そ
のままねじり共振周波数上限値fH およびねじり共振周
波数下限値fL とする。
【0032】一方、ステップ184BでNOと判定され
たときは、車輪速度vが所定速度vT を下回りかつ高上
偏差Δfが所定偏差Δf0 上回っているか、あるいは車
輪速度vが所定速度vT を上回りかつ高上偏差Δfが所
定偏差Δf0 を下回っているかのどちらかである。この
ような場合は、一概にタイヤが発熱しているか否かを判
定することはできないので本実施例では、それ以前の状
態を継続することにする。なぜなら例えば、車輪速度v
が所定速度vT を上回りかつ高上偏差Δfが所定偏差Δ
0 を下回った場合には、それ以前が補正中であれば、
路面等の要因によって高上偏差Δfは一時的に低下した
ものとみなすことができるし、補正中でなければ、車両
の一時的な加速によって車輪速度vが上昇したとみなす
ことができるからである。そこで、ステップ184Bで
NOと判定されたときには、ステップ185Bに進み、
補正中を示すフラグFが1であるか否かを判定する。フ
ラグFが1であれば、補正中であるとみなすことができ
るので、ステップ183Bに進み補正を継続する。フラ
グFが0であれば、補正中でないとみなすことができる
ので、ステップ187Bに進み補正を行わない。
【0033】以上説明したステップ181B〜187B
の処理をタイムチャートに示すと、図13のようにな
る。図13から明らかなように、車輪速度vが所定速度
vT を上回りかつ高上偏差Δfが所定偏差Δf0 上回る
と補正を開始し、車輪速度vが所定速度vT を下回りか
つ高上偏差Δfが所定偏差Δf0 下回ると補正を解除す
る。そして、一旦補正を開始すると、車輪速度vあるい
は高上偏差Δfだけの低下では、補正を解除しない。
【0034】さて、ステップ183Bおよびステップ1
87Bにて、ねじり共振周波数上限値fH およびねじり
共振周波数下限値fL が求められるとステップ188B
に進む。ステップ188Bでは、ねじり共振周波数fk
をねじり共振周波数上限値fH およびねじり共振周波数
下限値fL と比較する。ねじり共振周波数fk がねじり
共振周波数上限値fH よりも大きいと判定されると、タ
イヤ空気圧が許容上限値を上回ったとみなし、ねじり共
振周波数fk がねじり共振周波数上限値fL よりも小さ
いと判定されると、タイヤの空気圧が許容下限値を下回
ったとみなして、いずれの場合もステップ190に進
み、表示部5によって運転者に対して警告表示を行う。
【0035】また、高上偏差Δfは上記算出値(fk −
fs )でなく、初期に設定した値を用いてもよい。さら
に、上記実施例では、ねじり共振周波数上限値fH およ
びばね下共振周波数下限値fL の補正を各輪独立して行
っているが、少なくとも一輪において高上偏差Δfが所
定偏差Δf0 を上回ったならば、全車輪のねじり共振周
波数上限値fH およびねじり共振周波数下限値fL の補
正を実施するようにしてもよい。このとき、例えば、高
上偏差Δfが所定偏差Δf0 を上回った車輪について
は、ステップ183Bと同様にねじり共振周波数上限値
fH およびねじり共振周波数下限値fL に高上偏差Δf
を加算し、高上偏差Δfが所定偏差Δf0 を上回ってい
ない車輪については、上回った車輪の高上偏差Δfの平
均値ΔfAVE により、補正を行うものとする。
【0036】また、初期共振周波数fs は予め定められ
た車速に到達する間に算定される共振周波数の平均値を
用いても良く、また予め定められた車速に到達するまで
に算定される共振周波数の最後の値を用いても良い。次
に、第3実施例について説明する。上述の第2実施例で
は、タイヤの発熱に対処すべくねじり共振周波数上限値
fH およびねじり共振周波数下限値fL を補正するもの
であったが、第3実施例では、第2実施例に加えて車速
上昇によって発生されるバーストやスタンディングウェ
ーブ現象を防止すべくねじり共振周波数上限値fH およ
びねじり共振周波数下限値fL を補正することを特徴と
する。
【0037】通常タイヤは、そのグレードに応じて使用
可能な車速範囲が決まっていると同時に、その車速に対
し維持すべき最低空気圧と最高空気圧が基準値(許容下
限値P0 、許容上限値Pz )として設定されている。し
かしながら、車輪速度が上昇したときにタイヤの空気圧
が低いと、バーストやスタンディングウェーブ現象の発
生が予想されるため、許容下限値P0 および許容上限値
z を上昇させることによってタイヤ空気圧の許容範囲
を全体的に上昇させることが望ましい。第3実施例で
は、これに対応して実施するもので、車速領域に応じて
初期のねじり共振周波数上限値fH'' およびねじり共振
周波数下限値fL'’に対し、共振周波数の補正値を加算
するものである。
【0038】従って、この第3実施例では、図12のフ
ローチャートのステップ170とステップ181Bの間
に図14に示す処理を実行する。図14において、ステ
ップ171Cでは、車輪速度vが第1速度vQ (vT <
vQ )を上回っているか否かを判定する。車輪速度vが
第1速度vQ を上回っていなければ、それほど高速走行
をしていなく、初期のねじり共振周波数上限値fH ''お
よびねじり共振周波数下限値fL'' を補正する必要がな
いとみなし、ステップ172Cに進み、初期のねじり共
振周波数上限値fH'' およびねじり共振周波数下限値f
L'' を発熱補正前ねじり共振周波数上限値fH ’および
ねじり共振周波数下限値fL ’とする。車輪速度vが第
1速度vQ を上回っているときは、ステップ173Cに
進み、車輪速度vが第2速度vH (vQ <vH )を上回
っているか否かを判定する。ここで、車輪速度vが第2
速度vH を上回っていなければ、ステップ174Cに進
み、初期のねじり共振周波数上限値fH'' に補正値Δ
Q’を、ねじり共振周波数下限値fL'' に補正値ΔQを
それぞれ加算することにより発熱補正前ねじり共振周波
数上限値fH ’およびねじり共振周波数下限値fL ’を
求める。
【0039】車輪速度vが第2速度vH を上回っていれ
ば、ステップ175Cに進み、車輪速度vが第3速度v
V (vH <vV )を上回っているか否かを判定し、上回
っていなければ、ステップ176Cにて初期のねじり共
振周波数上限値fH'' に補正値ΔH’を、ねじり共振周
波数下限値fL'' に補正値ΔHをそれぞれ加算すること
により発熱補正前ねじり共振周波数上限値fH ’および
ねじり共振周波数下限値fL ’を求め、上回っていれ
ば、ステップ177Cにて初期のねじり共振周波数上限
値fH'' に補正値ΔV’を、ねしり共振周波数下限値f
L'' に補正値ΔVをそれぞれ加算することにより発熱補
正前ねじり共振周波数上限値fH ’およびばね下共振周
波数下限値fL ’を求める。
【0040】以上説明したステップ171C〜177C
の処理をタイムチャートに示すと、図15のようにな
る。図15から明らかなように、車輪速度vが所定速度
vQ よりも小さいときには、初期のねじり共振周波数上
限値fH'' およびねじり共振周波数下限値fL'' がその
まま発熱補正前ねじり共振周波数上限値fH ’およびね
じり共振周波数下限値fL ’となるが、車輪速度vが上
昇するにつれて初期のねじり共振周波数上限値fH'' お
よびねじり共振周波数下限値fL'' を補正することによ
って発熱補正前ねじり共振周波数上限値fH ’および,
ねじり共振波数下限値fL ’を段階的に大きくして行
く。これにより許容下限値P0 、許容上限値Pz も大き
くなって行くことになり、タイヤ空気圧の許容範囲を全
体的に上昇させバーストやスタンディングウェーブ現象
を防止することができる。
【0041】次に第4実施例について説明する。上述の
実施例は、同一種のタイヤを前提とするものであり、ね
じり共振周波数が同一でもタイヤの種類が異なると、タ
イヤ空気圧が異なり空気圧の低下を判定する判定値(ね
じり共振周波数)も異なってくる。本実施例では、装着
するタイヤの種別に応じて、タイヤ空気圧の異常を判定
する基準値を設定する点を特徴とする。
【0042】本実施例では、装着するタイヤの種別を選
定する2個の選択スイッチ6a,6b(図示せず)がE
CU4に接続されている。この選択スイッチ6a,6b
からの信号はECU4に入力する。選択スイッチ6a
は、前輪に装着されるタイヤ1a,1bの種別選定用で
あり、選択スイッチ6bは、後輪に装着されるタイヤ1
c,1dの種別選定用である。この選択スイッチ6a,
6bは、運転者が操作可能位置に配設するとともに、容
易に操作できない隠しタイプとすることが望ましい。そ
して、選択スイッチ6a,6bによるタイヤ種別の選定
状況は運転者が容易に確認できるようにインストルパネ
ル内に表示できるようにする。
【0043】本願発明者らの検討の結果、タイヤ空気圧
−ねじり共振周波数特性は通常ラジアルタイヤの場合
と、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)の場合とでは、
図16に示すように明確に相違することが判明した。図
16中符号Aで示す通常ラジアルタイヤ(以下単にラジ
アルタイヤという)のねじり共振周波数のバラツキ範囲
は、符号Bで示すスタッドレスタイヤのねじり共振周波
数のバラツキ範囲よりも共振周波数の高い領域に現れ
る。このバラツキは、タイヤメーカの相違(銘柄)によ
るものの他に、タイヤを装着するホイールの重量に基づ
いて生じる。バラツキの上限特性を示すAmax 、Bmax
は、最も軽いホイールに装着した場合であり、バラツキ
の下限特性を示すAmin 、Bminは、最も重いホイール
に装着した場合である。これは、ねじり共振周波数fが
f∝√(k/m)となるためである(但しmはばね下重
量、kはタイヤばね定数である)。
【0044】ここで、タイヤ空気圧が低下した場合、警
告すべき空気圧(kg/cm2 )の範囲の下限をPL
上限をPH とすれば、ラジアルタイヤの空気圧の低下を
判定する基準共振周波数(ねじり共振周波数)fL はf
RAとなり、同様にスタッドレスタイヤの基準共振周波数
L はfSTとなる。この場合のPL の値として、例えば
JIS規格で規定される最低空気圧(1.4kg/cm
2 )を用いてもよい。また、PH の値としては、JIS
規格で規定されている最高空気圧(2.5kg/c
2 )を用いてもよい。
【0045】以下、図17に示すフローチャートを用い
て説明する。図17に示すように、イグニッションスイ
ッチオンによりECU4による信号処理がスタートする
と、ステップ10DでフラグFが「1」にセットされて
いるか否かを判定する。フラグFは、イグニッションス
イッチのオフにより「0」にリセットされるものとす
る。従って、信号処理開始直後のステップ10Dの判定
は、否定判定となりステップ20Dへ進む。
【0046】ステップ20Dでは、前記選定スイッチ6
a,6bの両方がオン状態か否かを判定する。両方がオ
ン状態であれば、ステップ50Dで4輪ともスタッドレ
スタイヤが装着されているとして、ステップ55Dで基
準共振周波数fL を4輪ともfSTに設定する。ステップ
20DでNOであれば、ステップ30Dへ進み選定スイ
ッチ6a,6bの両方がオフ状態か否かを判定する。両
方がオフ状態であれば、ステップ60Dで4輪ともラジ
アルタイヤが装着されているとして、ステップ65Dで
基準共振周波数fL を4輪ともfRAに設定する。ステッ
プ30DでNOであれば、ステップ40Dへ進みその判
定により選定スイッチ6aがオフ状態であれば、前記各
判定結果により選定スイッチ6bがオン状態であるか
ら、ステップ70Dで前2輪にラジアルタイヤが装着さ
れ、後2輪にスタッドレスタイヤが装着されているとし
て、ステップ75Dで前2輪に対する基準共振周波数f
L をfRAとし、後2輪に対する基準共振周波数fL をf
STにそれぞれ設定する。
【0047】ステップ40DでNOであれば、ステップ
80Dで前2輪にスタッドレスタイヤが装着され、後2
輪にラジアルタイヤが装着されているとして、ステップ
85Dで共振周波数fL をfSTとし、後2輪に対する基
準共振周波数fL をfRAにそれぞれ設定する。図17の
処理の後に、図7に示すステップ100以降の処理を実
行する。そして、ステップ170の後に、図18に示す
ステップ180Dに進む。ステップ180Dでは、演算
された上記ねじり共振周波数fK が前2輪に装着したス
タッドレスタイヤに対する基準共振周波数fST以下の場
合、若しくは後2輪に装着したラジアルタイヤに対する
基準共振周波数fRA以下の場合は、それぞれタイヤ空気
圧の許容下限値を下回ったとして、ステップ190へ進
み表示部5により運転者に対して警告表示を行う。
【0048】上記実施例は、2個の選定スイッチ6a,
6bのオン・オフの組合わせにより、前2輪及び後2輪
に装着したタイヤの種別がスタッドレスタイヤである
か、ラジアルタイヤであるかを選定することができる。
そして、その選定に基づいて基準共振周波数fL をスタ
ッドレスタイヤに対してはfSTに設定し、ラジアルタイ
ヤに対してはfRAに設定するものであるので、タイヤ交
換の際タイヤの種別を変更しても、タイヤ空気圧の状態
を正確に検知できる。
【0049】尚、上記実施例は、基準共振周波数として
ST、fRAを用いたが、正常な空気圧に対するねじり共
振周波数fST0 、fRA0 と演算されたねじり共振周波数
KS T 、fKRA の差(fST0 −fKST )、(fRA0 −f
KRA )を基準共振周波数として用いてもよい。次に第5
実施例について説明する。
【0050】本実施例は、運転者がタイヤ交換時に設定
スイッチ16e(図示せず)をオンすることにより、交
換時の正常なタイヤ空気圧に対応して演算される共振周
波数fK を基準共振周波数fK0とし、交換されたタイヤ
の種別に拘わらず高精度にタイヤ空気圧を検知すること
を特徴とする。第5実施例を図19のフローチャートと
図20を参照して説明する。図20は共振周波数とタイ
ヤ空気圧の関係から、タイヤ空気圧の低下を判定際の説
明図である。
【0051】図19において、ステップ172Eでフラ
グFE が「1」にセットされているか否かを判定する。
フラグFE は、イグニッションスイッチのオフにより
「0」にリセットされるものとする。従って、処理開始
後のステップ172Eの判定は、否定判定となりステッ
プ174Eへ進む。ステップ174Eでは、設定スイッ
チ16eがオン状態か否かを判定する。オン状態でなけ
れば、ステップ182Eで、処理開始時最初に演算され
た共振周波数を基準共振周波数fK0として、逐次演算さ
れるねじり共振周波数fK との低下偏差(fK0−fK
を求め、前記fK0とタイヤ空気圧低下警告圧力に対応す
る共振周波数fL との判定偏差△f=( fK0−fL ) と
を比較する(図20)。(f K0−fK )≦△fであれ
ば、前記ステップ100に戻る。一方、(fK0−fK
>△fならばステップ190へ進んで、タイヤ空気圧の
許容値を下回ったとして、表示部5により運転者に対し
て警告表示を行う。
【0052】前記ステップ174Eで設定スイッチ16
eがオン状態と判定された場合は、ステップ176Eで
設定スイッチ16eオン後に最初に演算されるねじり共
振周波数fK を、基準共振周波数fK0として4輪それぞ
れ独立に設定する。そして、ステップ178Eでフラグ
Fを「1」にセットして前記ステップ100へ戻る。従
って、設定スイッチ16eのオン後の処理では、新たに
設定された基準共振周波数fK0と逐次演算されるねじり
共振周波数fK との偏差と、該基準共振周波数fK0と前
記共振周波数fL との偏差△fとの比較によりタイヤ空
気圧の検知処理が行われる。
【0053】上記実施例は、運転者がタイヤ交換時に設
定スイッチ16eをオンすることにより、交換時の正常
なタイヤ空気圧に対応して演算されるねじり共振周波数
Kを基準共振周波数fK0とすることができるため、交
換されたタイヤの種別に拘わらず高精度にタイヤ空気圧
を検知することができる。尚、前記基準共振周波数fK0
は、上記のように4輪それぞれ独立に設定してもよい
が、(1)4輪毎に演算されるねじり共振周波数fK
平均値、(2)最大値と最小値を除いた2輪のねじり共
振周波数fK の平均値、(3)ねじり共振周波数fK
最大値又は最小値をそれぞれ4輪の基準共振周波数fK0
としてもよい。
【0054】次に第6実施例について説明する。第6実
施例は、第5実施例の設定スイッチ16eを省略した点
を特徴とする。すなわち、ステップ172EでフラグF
=1か否かを判定し、否定判定であればステップ176
Eへ進む。また、ステップ172Eで肯定判定であれ
ば、ステップ182Eへ進む。
【0055】上記実施例は、設定スイッチ16を省略す
ることにより、車両発進直後のタイヤ空気圧を正常とみ
なして、タイヤ空気圧の検知処理開始後最初に演算され
るねじり共振周波数fK を基準共振周波数fK0として4
輪に対しそれぞれ独立に設定するもので、走行中に発生
するタイヤ空気圧の低下をタイヤの種別に拘わらず検知
することができる。尚、前記基準共振周波数fK0は、上
記第5実施例の場合と同様に(1)〜(3)の態様で設
定できる。
【0056】次に第7実施例について説明する。本実施
例では、タイヤ交換を判定する方法として、タイヤの負
荷半径とバネ下共振周波数を利用する点を特徴とする。
すなわち、図21に示す如く、タイヤ負荷半径rs とそ
の時の,ねじり共振波数fsはタイヤの種類によりほぼ
一対一対応となっており(図中のx,y,zは既述のタ
イヤ種類に対応している)、両者の値よりタイヤの種類
を判定することができる。そこで、タイヤ交換判定マッ
プとして、図21に示す値を電子制御装置1内に記憶し
ておく。さらに、図22に示す如く、かかるタイヤ種に
応じた判定基準値fLa,fLb,fLc,fHa, fHb,fHc
を予め電子制御装置1内に記憶しておく。
【0057】図23,24にフローチャートを示す。イ
グニション投入により処理が開始され、ステップ100
で車輪速センサからの信号に基づき車輪速vを演算し、
タイヤ負荷半径が遠心力の影響を受けない車両スタート
直後にステップ100FでフラグFF を確認して、
「1」でなければステップ101F以下へ進む。なお、
上記車輪速vは、車輪速センサの出力信号を波形成形し
て得たパルスの数を、その間の時間で除算することによ
り算出される。
【0058】ステップ101Fでは、ドップラ式車速計
あるいはトランスミション回転軸の回転速度等より車速
Vを検知し、ステップ102Fで上記車速Vと車輪速v
よりタイヤ負荷半径rs を算出する。ステップ103
F,104Fでは車輪速vに対して高速フーリエ変換
(FFT)演算による周波数解析を行い、この周波数解
析の演算回数Kが所定回数K0 になるまで繰り返す。ス
テップ105Fでは周波数解析の演算値を平均化し、こ
の結果に基づいてねじり共振周波数fs が演算される
(ステップ106F)。
【0059】ステップ107Fでは、ステップ102
F,106Fで得たタイヤ負荷半径rs とねじり共振周
波数fs より、前記図22のマップに基づいてタイヤ種
類の判定を行う。続くステップ108Fでは、前記図2
1のマップに基づき、判定されたタイヤ種に対応するね
じり共振周波数の判定基準値fLa,fLb,fLc,fHa,
fHb,fHcを選択して、警報用基準値fL ,fH として
記憶する。
【0060】続いてフラグFを「1」とする(ステップ
109F)。これにより、タイヤ交換を判定する上記ス
テップ101F〜109Fは車両スタート直後のみ実行
される。なお実際には、上記ステップ108F、車輪の
4輪全てについて、あるいは駆動輪2輪についてステッ
プ107Fでタイヤ交換と判定された場合にのみ実行さ
れる。
【0061】図24において、ステップ110〜170
は図7と同様である。ステップ180Fでは、演算され
た上記ねじり共振周波数fK が警報用基準値fH 以上と
なり、あるいは警報用基準値fL 以下となったか確認
し、なった場合にはステップ190にて警報表示する。
次に第8実施例について説明する。
【0062】本実施例では、図23のステップ107F
におけるタイヤ種類の判定を、図21に示した直線的マ
ップに代えて、図25に示す如き領域的マップを使用し
て行っても良く、上記図5のステップ102F,106
Fで算出されるタイヤ負荷半径rs とねじり共振周波数
fsの値が、図25のX領域、Y領域、Z領域のいずれ
に属するかにより、それぞれ通常のラジアルタイヤ、ス
タッドレスタイヤ、偏平タイヤを判定する。この場合
も、最終的に警報用基準値を変更するのは、実施例1と
同様、車輪の4輪全てについて、あるいは駆動輪2輪に
ついてタイヤ交換が判定された場合のみとする。かかる
構成によっても、上記第7実施例と同様の効果がある。
【0063】さらにタイヤ種類の判定を、表1のマトリ
クスで行うこともできる。すなわち、工場出荷時の通常
ラジアルタイヤのタイヤ負荷半径r0 、ねじり共振周波
数f0 を基準として、走行開始時に測定されたタイヤ負
荷半径rs 、ねじり共振周波数fs の増減により9種類
のマトリクスで判定する。
【0064】
【表1】
【0065】例えば、通常のラジアルタイヤが装着され
ている場合、タイヤ空気圧低下によるねじり共振周波数
の減少と同時にタイヤ負荷半径も減少し、タイヤ空気圧
供給時にはねじり共振周波数の増加とともにタイヤ負荷
半径も増大する。この特性をマトリクス上に示すと表1
のaの部分となる。
【0066】スタッドレスタイヤでは、使用されるゴム
材が柔らかいため、ねじり共振周波数は全体に低くな
り、表1のbで示す部分となる。また、偏平タイヤの場
合は、一般的にその偏平率の影響でタイヤバネ定数が高
いため、ねじり共振周波数は全体に高くなって表1のc
で示す部分となる。この場合、表1の斜線部分は、通常
のラジアルタイヤかそれ以外のタイヤかの判別が困難な
部分であるが、他の車輪での判別結果と併せ考えること
で推定することができる。すなわち、空気圧低下ないし
上昇が2輪または4輪同時に起きることは稀であるか
ら、かかる場合にはタイヤ交換があったものと判定す
る。この場合、4輪または駆動2輪について同時にねじ
り共振周波数およびタイヤ負荷半径が減少した場合には
スタッドレスタイヤへの交換と、反対に増加した場合に
は偏平タイヤへの交換と判定される。本実施例によって
も、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
【0067】なお、上記基準値r0 ,f0 としては、通
常のラジアルタイヤの最適空気圧時の値、あるいは車両
停止直前の値を使用することもできる。次に第9実施例
について説明する。本実施例では、タイヤやホイールの
交換に起因するタイヤ空気圧の誤判定を以下の方法によ
って防止する。
【0068】一般的に左右の車輪でタイヤ・ホイールの
組合せを変更することは考えられない。そこで、車両の
駆動輪及び従動輪毎に、左右の車輪のねじり共振周波数
を求めて比較し、両者に差が生じたときは共振周波数の
低い側のタイヤの空気圧が低下したことが検知できる。
具体的には、図7におけるステップ180以降の処理を
図26に示すようにする。
【0069】ステップ201Jで前輪又は後輪の左側車
輪について演算されたねじり共振周波数fL と右側車輪
について演算されたねじり共振周波数fR とを比較し、
ステップ202J及びステップ203Jで共振周波数の
高い方をfMAX とし、低い方をfMIN とする。続くステ
ップ204Jでは、ねじり共振周波数(Hz)とタイヤ
空気圧(kg/cm2 )との関係から、ねじり共振周波
数fMIN に対するタイヤ空気圧の最小値PMIN を求め
る。これは、タイヤ・ホイールの材質を変えること等に
よりばね下荷重が変化すると、ねじり共振周波数とタイ
ヤ空気圧の関係が図27の斜線領域で示すようにばらつ
き、ねじり共振周波数が等しくても異なるタイヤ空気圧
が求まるためである。
【0070】そして、ステップ205Jに進み前記タイ
ヤ空気圧の最小値PMIN と、タイヤ空気圧の低下異常を
判定するために予め設定したスレッショルドレベルPTH
と比較し、PMIN <PTHであればステップ209Jへジ
ャンプして、タイヤ空気圧が異常低下した旨の警告表示
を表示部5に表示する。この処理は、左右の両輪のタイ
ヤ空気圧が同時に低下した場合のガード処理となる。
【0071】尚、前記おいて、共振周波数fMIN の代わ
りに、ねじり共振周波数fMAX を用いてタイヤ空気圧の
低下を判定してもよい。この選択は左右車輪のタイヤ空
気圧の落ち込み具合(実際の車両での左右両輪相互のタ
イヤ空気圧の減り具合の関係等)を参考にして決定す
る。また、前記図27に示すねじり共振周波数とタイヤ
空気圧との関係は、マップとして予めECU4内に記憶
する。
【0072】前記ステップ205Jの判定でPMIN ≧P
THであれば、ステップ206Jへ進む。ステップ206
Jでは、左右の車輪の前記ねじり共振周波数fMAX とf
MINの差△fを求める。前記したように、タイヤ・ホイ
ールの材質を変えること等によりばね下荷重が変化する
と、ねじり共振周波数とタイヤ空気圧間の特性が変化す
る。従って、図28に示すように、特性曲線(A)によ
る場合の正常なタイヤ空気圧PN に対するねじり共振周
波数fANと、低圧異常のタイヤ空気圧に対するねじり共
振周波数fAWの差△fA は、特性曲線(B)による場合
の正常なタイヤ空気圧PN に対するねじり共振周波数f
BNと、低圧異常のタイヤ空気圧に対するねじり共振周波
数fBWの差△fB よりも大きくなる。このため、左右の
車輪の前記ねじり共振周波数fMAX とfMIN の差△f
と、タイヤ空気圧の低下異常を判定するため一義的に求
めたねじり共振周波数差のスレッショルドレベルfTH
の単純な比較では、タイヤ空気圧の低下異常を誤判定す
る虞れがある。
【0073】左右の車輪におけるばね下係数要因の変化
は、左右の車輪のタイヤ空気圧の差によってのみ生じる
と考えれば、種種のタイヤ・ホイールの組合せに対して
正常タイヤ空気圧(例えば2.0kg/cm2 )と低下
警告タイヤ空気圧(例えば1.4kg/cm2 )のねじ
り共振周波数差との関係の特性図(図29)を求め、正
常タイヤ空気圧とみなす高い側のねじり共振周波数f
MAX で検索することにより、タイヤ空気圧以外のばね下
係数要因によるねじり共振周波数への影響を吸収するこ
とができる。尚、前記図29に示す特性図は、マップと
してECU4内に記憶する。
【0074】従って、ステップ207Jでは、正常なタ
イヤ空気圧とみなす高い側のねじり共振周波数fMAX
対する前記ねじり共振周波数差のスレッショルドレベル
THを、ECU4内に記憶したマップにより求める。そ
して、ステップ208Jへ進み、ねじり共振周波数差△
fと前記マップから求めた新たなスレッショルドレベル
THとを比較する。△f≧fTHであれば、ステップ20
9Jでタイヤ空気圧が異常低下した旨の警告表示を表示
部5に表示する。また、△f<fTHであればそのままリ
ターンする。
【0075】尚、車両の走行状態によっては、同じタイ
ヤ空気圧でも危険な場合と危険でない場合がある。この
ため、図30に示すマップでは車両の走行状態を表す車
速、又は旋回状態に対応して、前記ねじり共振周波数差
のスレッショルドレベルfTHを求める特性曲線を複数用
意する。上記実施例は、左右両輪のねじり共振周波数の
変化量(△f)とタイヤ空気圧変化量との関係が、ばね
下係数要因により影響を受けるため、正常タイヤである
と思われる高い方のねじり共振周波数fMAX でねじり共
振周波数差のスレッショルドレベルfTHを補正すること
により、タイヤ空気圧の低下異常の誤判定を回避するこ
とができ信頼性を向上できる。
【0076】また、左右両輪のタイヤ空気圧が同時に低
下する自然漏洩等の対策として、左右の車輪のねじり共
振周波数のfMAX 又はfMIN を判定しきい値として設定
することにより、絶対的なガードを設定することができ
る。この場合、タイヤ・ホイール等の種別によるねじり
共振周波数とタイヤ空気圧間の特性のばらつきに対して
は、設定するガード値及びねじり共振周波数のfMAX
はfMIN のいずれを選択するかにより前記判定しきい値
を調整する。
【0077】次に第10実施例について説明する。実際
に車両が一般道を走行したときに得られる車輪速度vの
時間波形の大きさ(振幅)は、図31に示すように路面
の凹凸の程度により一様の大きさとは限らない。図31
(a)の(A)部分は、非常に荒れた路面を走行した場
合の車輪速度vの時間波形を示す。また、(B)部分は
低速度で走行した場合か、若しくはブレーキが作動した
制動時の車輪速度vの時間波形を示す。
【0078】非常に荒れた路面を走行すると、タイヤの
みならずサスペンション等に衝撃的な力が作用し、サス
ペンション等の支持部に用いられるブッシュ類や防振ゴ
ムの非線形特性が影響し、タイヤ空気圧が同一であって
も、ねじり共振周波数が低めに検知される。また、制動
時等のように車両速度が低下すると、ねじり共振周波数
の演算に用いる信号レベル(ゲイン)が低下し共振点を
明確に検出できない。
【0079】本実施例は上記問題点を解決するためにな
されたものであり、タイヤ空気圧検知に用いる信号レベ
ルが変化しても、精度よくタイヤ空気圧検知する点を特
徴とする。具体的には、図32のフローチャートに示す
ように、ステップ122GにてFFT演算した後に、ス
テップ124Gでデータ選別処理を行う。データ選別処
理は、具体的にはFFT演算結果の車輪速度vの波形に
対して選別下限判定値vL及び選別上限判定値vH を設
定して、予め定めた周波数範囲(f1 〜f2 )内のピー
ク値vP と比較する。そして、vP ≦vL となる場合
(図31(b))又はvP ≧vH となる場合(図31
(c))は、図31(a)の(A)部分及び(B)部分
に対して行ったFFT演算結果を、ねじり共振周波数f
K の演算には使用しないようにするものである。
【0080】前記ステップ124Gで前記選別下限及び
上限判定値vL ,vH によりデータ選別処理を行なう
が、選別後のデータ(図31の( C) 部分)に於いて
も、図33に示すように各FFT演算結果のゲインの大
きさが不揃いとなる。この結果、後の平均化処理の回数
が増加し、ねじり共振周波数fK の算出に時間がかか
る。このため、ステップ126Gでは、車輪速度信号の
ゲイン(大きさ)の調整を行う。このゲイン調整処理
は、予め定めた周波数範囲(f1 〜f2 )内の各ピーク
値vP の値が、各FFT演算結果の波形に於いて、予め
設定した値vPK(同一値)に等しくなるように、ある係
数k1,k2 ・・・ ki をそれぞれFFT演算結果に乗ず
る。その後、図7のステップ140以下の処理を実行す
る。
【0081】次に第11実施例について説明する。本実
施例では、FFT演算する前のデータ、すなわち車輪速
度vの時間波形に対して、データ選別処理及びゲイン調
整処理を行うことによって、第10実施例と同様の作用
効果を得るものである。具体的には、図34のフローチ
ャートに示すように、ステップ100にて車輪速度vを
演算すると、ステップ102Hのデータ選別処理に進
み、図35に示すように選別下限判定値|vL ′|及び
選別上限判定値を設定し、 車輪速度vの時間波形の大き
さが、(−vH ′〜−vL ′)の範囲及び(vL ′〜v
H ′)の範囲に入る波形データのみを用いる。
【0082】ステップ104Hのゲイン調整処理は、デ
ータ選別処理後の車輪速度vの時間波形に対し、図36
に示すように設定した一定時間△t′内での各ピーク値
P′の値が、予め設定した値(同一値)に等しくなる
ように、ある係数ki ′をそれぞれ一定時間△t′内の
車輪速度vの値に乗ずる。そして、図7のステップ12
0以下の処理を行って、タイヤ空気圧の低下を検出す
る。
【0083】次に第12実施例について説明する。本実
施例は、タイヤ空気圧を誤検知してしまいそうな状態を
検出して、この状態のときにはタイヤ空気圧の検知自体
を禁止してしまう点を特徴とする。図37はECUが実
行する処理内容を表したフローチャートを示す。なお、
ECUは各車輪1a〜1dに対してステップ010K〜
080Kまでの処理を平行して行い、ステップ090K
のみ前輪1a,1bまたは後輪1c,1d毎に処理され
る。
【0084】図37において、ステップ000KでRA
Mの初期化及び初期値をセットする。ステップ010K
では車輪速度vを演算する。この演算された車輪速度v
は後述する周波数解析(FFT)演算のデータとなるた
めRAMに格納しておく。また車輪速度vを演算する毎
にカウンタN1がカウントアップする。そして、ステッ
プ030Kにて一回の演算毎にカウントされたカウンタ
N1がFFT演算に必要なデータ数n0に達したか否か
を判定する。データ数がn0に達していない場合はステ
ップ010Kに戻り引き続き車輪速度を演算する。デー
タ数がn0に達したと判定された場合には、ステップ0
40Kに進み、カウンタN1を初期化するとともにFF
T演算回数をカウントするカウンタN2をカウントアッ
プする。
【0085】ステップ050Kでは、演算された車輪速
度に対して、第1実施例と同様にしてFFT演算を行な
う。ステップ060Kでは、ステップ050Kにおける
FFT演算回数であるカウンタN2が所定回数n1に達
したか否かを判定する。そして、カウンタN2が所定回
数n1に達していないときには、さらにステップ010
K〜060Kを返し実行する。
【0086】一方、カウンタN2が所定回数n1に達し
ているときには、ステップ070Kにて演算回数N2を
初期化した後に、ステップ080Kに進み、第1実施例
と同様にして平均化処理を行う。次に、ステップ090
Kでは、上記平均処理により平均化されたFFT演算結
果に基づいて、ねじり共振周波数f(左輪のねじり共振
周波数fL ,ねじり共振周波数fR )を演算する。
【0087】ステップ100Kでは、演算されたねじり
共振周波数fL 及びfR に基づいてタイヤ空気圧の低下
を検知し運転者に警告表示を行なう。図38に具体的な
処理のフローチャートを示す。まずステップ110K〜
130Kにて現在のタイヤ空気圧の検定を行っても良い
かの判定を行なう。
【0088】ステップ110Kでは、現在走行中の路面
状態を検出する。これは特定の悪路などを走行した場合
に各車輪速度に路面の凹凸に比例した信号成分が含まれ
てしまい、抽出したねじり共振周波数の精度が落ちてし
まうからである。この路面に起因する振動はバネ下荷重
による振動成分が単発的な入力であるのと比較して、そ
の振動が連続的に発生するため、車輪速度の時間変化の
監視を行なうことにより検出可能である。
【0089】具体的には図39のステップ111Kで上
記車輪の振動を判定する。比較的振幅の大きい車輪振動
を検出するためには図40に示すように、所定の時間間
隔Tにおける車輪速度の振動のピーク(山)から次のピ
ーク(谷)までの振動の振幅,周期およびその個数を監
視してやれば良い。このピーク間の振幅および周期が予
め定められた所定値より共に上回っており、かつその個
数が複数(2コ以上)である場合には路面の凹凸に起因
する振動であることが検出できる。このようにしてステ
ップ111Kで車輪振動中であることが判定された場合
にはステップ114Kで空気圧の判定を禁止状態とする
(車輪振動状態でない場合はステップ113Kで判定許
可状態とする)。尚、この路面状態の振動は転動輪・駆
動輪に関係なく現れるが、駆動輪には後述する車両系の
振動も含まれる場合があるため、転動輪のみを用いて上
記判定を行うのが一般的である。
【0090】ステップ110Kで悪路状態による空気圧
判定禁止領域であると判断された場合にはステップ01
0Kに戻る。次にステップ120Kでは現在の走行状態
の判定を行う。空気圧の判定を禁止する走行状態として
は、制動中、加速中、タイヤチェーン装着中、
低速走行中であり、図41に示すような処理により判定
される。まず、車両の加減速状態を判定するためにステ
ップ121Kで現在の車体速度VSOを転動輪の車輪速度
(VWPR,VWRL)情報に基づいて数2のように演算する。
【0091】
【数2】 VSO(n)=Med{Max(VWPR,VWRL),VSO(n−1)+αUP・Δt, VSO(n−1)−αDW・Δt} ただし、Med,Maxはそれぞれ括弧内の中間値,最
大値を選択する関数 αUP,αDWはそれぞれ車体の加減速度のガード Δtは車体速度の演算間隔 を表す。
【0092】これは、駆動輪に対し転動輪がスリップを
発生し難く、車体速度により近い情報であり、低μ路な
どでの転動輪のロックを考慮して左右輪のMax側速度
を、また、転動輪両輪同時にスリップが発生した場合の
ガードとして所定のαUP,αDWの項で示される車輪速度
変化限界値とのMedを採ることで推定精度を向上させ
ている(公知ABSまたはTRC装置にて実用済み)。
【0093】次にステップ122Kで実際に車両が加速
または制動を行っているか否かを判定するために前記車
体速度の所定時間毎の変化量ΔVSOを数3の様に演算す
る。
【0094】
【数3】ΔVSO(n)=VSO(n)−VSO(n−1) この車体速度変化量ΔVSOの絶対値についてステップ1
23Kにおいて所定の基準値KDVとの比較を行う。こ
れにより車体が所定値以上の加速または減速を行ってい
ることが検出可能である(加速側・減速側個別に判定基
準値を設定しても良い)。ここでΔVSOがKDVを上回
っている場合は加速または減速(制動)により車体系の
ねじれ振動成分が車輪速度情報に含まれているとしてス
テップ128Kに進み、空気圧の判定を禁止する状態と
する。詳細な説明は省くが、ブレーキやアクセルを運転
者が操作しているのを検知するセンサを取り付けること
により、車輪情報を用いなくても、加減速を検知可能で
ある。ステップ123Kで加減速が閾値内であった場合
にはステップ124Kに進みタイヤチェーン装着の有無
を判定する。ステップ123Kのタイヤチェーン装着判
定に関する詳細を図42に示す。タイヤチェーン装着時
は、一般的に駆動輪に装着されるため、路面による振動
のみの転動輪と比べ、駆動輪の振動は相対的に大きくな
る。そのため、転・駆動輪間の車輪速度を相対比較する
ことにより検出可能である。
【0095】具体的には図42のステップ310K,3
20Kで、悪路状態を判定するステップ111Kと同様
の処理を転動輪および駆動輪について行ってやれば良
い。このようにしてステップ310K,320Kで駆動
輪のみ振動中であることが判定された場合にはステップ
350Kでタイヤチェーン装着状態をON(装着中)に
する(車輪振動状態でない場合はタイヤチェーン装着状
態をOFFにする)。
【0096】タイヤチェーン装着中である場合にはステ
ップ128Kに進み、空気圧の判定を禁止する状態が設
定される。ステップ125Kでタイヤチェーンの装着も
されていないと判定された場合に、ステップ126Kに
進み最後に車両の走行状態を判定する。これは車輪速度
を検出するためのセンサからのパルス入力が存在しない
限り正確な車輪速度を検出できないため、その振動成分
について周波数解析する意味がないためである。
【0097】ここでは車輪毎にその回の演算周期での車
輪速度センサからの入力パルス個数をチェックする。こ
の入力パルスが前回演算時と今回演算時共に1個以上あ
る場合に初めてそのパルス個数とパルス入力時間間隔を
用いて今回の車輪速度を演算可能となる。従って前回お
よび今回共に入力パルス個数が0でない場合のみステッ
プ127Kに進み空気圧判定許可状態とする。それ以外
の状態ではステップ128Kに進み空気圧の判定を禁止
状態とする。
【0098】このようにして現在の走行状態が空気圧の
判定を禁止する状態であると判断された場合にはステッ
プ010Kまで戻る。ステップ120Kからの処理で走
行状態による空気圧判定禁止状態が成立しない場合には
ステップ130に進み、最後に応急タイヤの判定を行
う。特殊な車両を除いて応急タイヤには一般的に標準タ
イヤとはタイヤ径の異なる異径タイヤが設定されてい
る。このため、異径タイヤを装着している輪の車輪速度
は他の輪の速度に対しタイヤ径に比例して高速になる。
従ってこの状態を検出することで応急タイヤ装着時の誤
判定は防止できる。
【0099】具体的には図43に示すようにステップ1
31Kで車輪速度4輪の平均速度VWAVEを以下の数4で
計算し、ステップ132Kでは4輪の内最大となる車輪
速度VWMAXを検出する。次にステップ133Kで数5で
示すように、VWAVEとVWMAXを比較しこの差がVWAVEの
KTEMP〔%〕以上であればVWMAXに該当する車輪を
テンパタイヤであると判定する。このようにしてテンパ
タイヤが装着されていると判定された場合には110
K,120K同様ステップ010Kに戻る。
【0100】
【数4】VWAVE=(VPR+VPL+VDR+VDL)/4 ただし、VPR,VPL:右,左各転動輪速度 VDR,VDL:右,左各駆動輪速度
【0101】
【数5】VWMAX−VWAVE:KTENP×VWAVE/100 ステップ110K〜130Kでタイヤ空気圧判定禁止状
態に含まれていない場合にはステップ90Kで演算した
ねじり共振周波数fを用いてステップ140Kにて現在
の空気圧を演算する。そして、演算した空気圧を判定し
て、異常時には表示部5によって運転者に対する警告表
示を行う。
【0102】次に第13実施例について説明する。本実
施例では、検出原理の異なる空気圧の判定手段を併用す
ることで、検出精度を向上することを目的とする。まず
概略について、まず図44のメイン処理を表すフローチ
ャートに基づいて説明する。なおECU4は各タイヤ1
a 〜1d についてステップ010L、050L、080
L、150L〜170Lまでの処理は4輪個別に行わ
れ、他のステップは4輪について一回だけ処理される。
まずステップ000LでRAMの初期化及び初期値をセ
ットする。ステップ010Lではタイヤ回転速度Vを演
算する。ステップ020Lでは演算された各タイヤの回
転速度Va 〜Vd の値から平均速度VAVE を計算する。
ステップ030Lではタイヤの回転速度演算の回数をカ
ウントするカウンタがカウントアップされる。尚、N1
はタイヤ回転速度演算開始判定用、N2はねじり共振周
波数演算用のカウンタである。ステップ040Lではカ
ウンタN1の値がタイヤ回転速度を演算するための積算
回数n1に到達したか否かを判定し、到達した場合には
ステップ050Lの後述するタイヤ回転速度による空気
圧の検出処理200Lが行われる。また積算回数がn1
に達していない場合にはステップ055Lに進み各タイ
ヤ毎の積算速度及び平均速度の積算値を順次計算する。
【0103】ステップ060Lはステップ050Lで空
気圧検出処理が終了した場合に次回の計算用にカウンタ
N1及び各タイヤの積算速度及び平均速度の積算値をそ
れぞれゼロクリアする。次のステップ070Lではねじ
り共振周波数の積算タイミングを判定するために、ステ
ップ040Lと同様にカウンタN2 を所定回数n2 と比
較する。このn2 は後述する周波数解析演算(以下単に
FFT演算という)を行うためのデータ個数を意味す
る。ステップ070LでFFT演算を開始可能と判断さ
れた場合はステップ080Lに進みFFT演算を実行し
て後述するねじり共振周波数による空気圧の検出処理3
00Lを行う。ステップ090Lは次回の検出用にカウ
ンタN2 をゼロクリアする処理である。次のステップ1
00Lはタイヤの回転速度やねじり共振周波数などの情
報から車両の走行状態を推定する後述する処理400L
である。ステップ100Lでは車両の走行状態につい
て、タイヤ回転速度またはねじり共振周波数のどちらの
検出手段の検出精度の信頼性が高いかを判定するため
A、B、Cの3段階の走行状態に分類される。
【0104】走行状態Aはタイヤ回転速度の判定結果の
信頼性がより高い場合で出力する空気圧を計算するため
の各空気圧判定結果P1 、P2 の重み付け係数K1 、K
2 に対しK1 側にウエイトを置いたKA1、KA2が設定さ
れステップ150Lに進む。また走行状態がBであると
判断された場合にはねじり共振周波数の判定精度の方が
信頼性が高いため、ステップ140LでK2にウエイト
を持たせた係数KB1、KB2が設定されステップ150L
に進む。また、走行状態がCである場合はタイヤ回転速
度またはねじり共振周波数いずれの検出手段の判定値も
信頼性が低い状態としてステップ170Lへ進むことに
より空気圧の表示を更新しない。尚、ここでステップ1
70Lには進まず空気圧判定が困難であることをユーザ
に警告するため、所定の表示状態をステップ160Lで
表示させることも可能である。ステップ150Lはステ
ップ120Lまたは140Lで設定された係数K1 、K
2を用いて出力する空気圧Pを計算する。尚、2つの検
出手段の判定値を重み付けでなく切り換えて出力したい
場合には、設定係数KA1=1.0、KA2=0.0といっ
た設定値を代入してやることで容易に実現可能である。
ステップ160Lの処理は計算された空気圧Pを基に表
示回路の更新を行う処理である。次のステップ170L
は2つの検出手段の判定値からタイヤの摩耗やサスペン
ション等の経年変化及びユーザによるタイヤやホイール
交換のいずれかといった空気圧以外の変動要因が発生し
た場合を検出して正常時のタイヤ回転速度及びねじり共
振周波数を変更するように学習する後述する処理500
Lであり、このような変動が発生した場合にも空気圧の
検出を正確に行うことを可能としている。
【0105】以上が全体的な流れを示した説明であり、
以下に各処理に関する詳細な説明を行う。図45はタイ
ヤ回転速度に基づいて空気圧の計算を行う処理200L
であり、各タイヤについてステップ220L及びステッ
プ230Lにより空気圧P1iが計算される。まずステッ
プ210Lでは各タイヤ番号を示す変数iに前輪右タイ
ヤ(以下FRタイヤという)であるaが設定される。次
にステップ220Lではそのタイヤの積算値と前後輪左
右タイヤの平均速度積算値の差DViが計算される。荷
重移動や旋回半径の影響及びタイヤ摩耗といったタイヤ
回転速度に影響を及ぼす他の要因が存在しない場合には
このDViは空気圧による変動分であるため、ステップ2
30Lで示すように補正係数KG1を乗ずることで空気圧
変化量△P1を計算できる。この△P1と正常圧P0iとの
差を求めれば現在の空気圧P1iが算出可能となる。ステ
ップ240Lでは変数i をインクリメントして次のタイ
ヤについて同様の判定をする。ステップ250は変数i
が最後のタイヤである後輪左タイヤ(以下RLタイヤと
いう)を示すd であるかどうかを判定し、d以上になっ
た場合に前後輪左右タイヤの計算が終了したとして空気
圧検出処理からメイン処理000Lに復帰する。ここで
は前後輪左右タイヤの平均回転速度と各タイヤ回転速度
を比較して空気圧の判定を行っているが、例えば対角タ
イヤや前後及び左右タイヤ間の回転速度を平均、差分処
理などを併用することにより空気圧の検出を行ってもよ
い。
【0106】図46はねじり共振周波数に基づいて空気
圧を検出する処理300Lであり、各タイヤについてス
テップ320L〜370Lの処理により空気圧P2iが計
算される。まずステップ310Lでは各タイヤ番号を示
す変数i にFRタイヤであるaが設定される。次にステ
ップ320Lでは時間軸データであるn1個のタイヤ回転
速度から周波数分布を求めるためにFFT演算(周波数
解析演算)を行う。次にステップ330Lで周波数デー
タの獲得個数をカウントするカウンタN21をカウントア
ップする。これはタイヤ回転速度センサの精度や路面な
どの影響により発生する特定のノイズを加算平均処理に
より除去するためのものであり、ステップ340Lで所
定の回数n21に到達したか否かを判定し、未到達の場合
はステップ345Lにて周波数情報について周波数毎の
加算処理を行い、空気圧の判定は行わずに次のタイヤに
進む(その場合、今回のねじり共振周波数による空気圧
判定値としては前回までの最新の判定値が保持されてい
る)。
【0107】ステップ340Lでねじり共振周波数を検
出可能な積算回数n21に到達したと判断されると、ステ
ップ350Lに進み周波数領域のデータ積算値を各周波
数について平均化する処理が行われる。次にステップ3
60Lでは加算平均された周波数分布からねじり共振周
波数を算出する処理が行われる。具体的には例えば、予
め適合等により設定された周波数範囲における各周波数
のゲイン比較を行い、その最大値を取る周波数をねじり
共振周波数fK とする。次にステップ370Lで求めら
れたねじり共振周波数fK から所定の変換により空気圧
P2iを算出する。具体的には図57に示すように、その
車両(タイヤを含む)の特性に基づいたねじり共振周波
数−空気圧の変換マップをCPUのROMなどに設定す
ることで簡単に実現できる。ステップ380Lでは変数
iをインクリメントして次のタイヤについて同様の判定
をする。ステップ390Lは変数iが最後のタイヤであ
るRLタイヤを示すdであるかどうかを判定し、d以上
になった場合に前後輪左右タイヤの計算が終了したとし
て空気圧検出処理300Lからメイン処理000Lに復
帰する。
【0108】図47には走行状態の検出方法の一例であ
る処理400Lを示す。これは路面入力を検出してその
荒れ具合により各検出手段の判定値に重み付けを行うた
めのものである。まずステップ410Lにてタイヤ回転
速度情報から路面の荒れ具合を判断するための振動成分
を抽出するために所定の帯域(ここではタイヤ回転速度
成分の絶対値としての直流成分)をカットすることがで
きる以下の演算式のように、予め設定された係数を持つ
高域通過デジタルフィルタによってタイヤ回転速度の高
域通過フィルタ(H,P,F)処理を行う。ただし、K
a1〜Kb2はフィルタカットオフ周波数で決定される定数
である。
【0109】
【数6】 VAC(n) =Ka1・ Vi(n)+Ka2・ Vi(n-1)+Ka3・ Vi(n-2)+Kb1・ VAC (n-1)+Kb2・ VAC(n-2) 尚、このVi は各タイヤについて個別に求めても良い
し、駆動系固有の振動を除去する目的で転動タイヤのみ
の平均値またはどちらか一タイヤの情報を代表値として
用いても良い。次にステップ420Lでは求められた振
動成分VACの所定時間内の平均振動幅DVACを計算し、
ステップ430Lでまず、所定のスレッシュレべルTH
R1との比較を行う。このスレッシュレベルTHR1はタイ
ヤ回転速度による空気圧の検出精度がねじり共振周波数
のそれよりも優れている上限の振動レベルを設定したも
ので、DVACがそれより小さい場合にはステップ450
Lに進み重み付け係数をタイヤ回転速度側を有利にする
ための状態である走行状態Aをセットしてメイン処理0
00Lに戻る。
【0110】ステップ430Lで振動レベルがTHR1以
上であると判断された場合にはステップ440Lに進み
THR1よりも大きな値の設定されたスレッシュレべルT
HR2との比較が行われる。このスレッシュレベルTHR2
はねじり共振周波数で検出可能な最大の振動レベルを設
定したもので、ある振動レベルを超過した極悪路などで
はねじり共振周波数が路面による振動ノイズレベルと混
合され分離不可能となってしまうためねじり共振周波数
の検出が困難となってしまうためである(ねじり共振周
波数の路面入力レベルに対する特性は図59に示す)。
また原理上明らかなようにタイヤ回転速度による空気圧
の検出手段ではこれらの悪路ではランダム振動の影響で
各タイヤ同士の回転速度比較が不可能となり、やはり検
出精度は確保できない(タイヤ回転速度の路面入力レベ
ルに対する特性は図60に示す)。従って、このような
極悪路レベルの路面を通過している場合はステップ47
0Lにて走行状態Cを設定することで空気圧の更新また
は表示を中止する。尚、このねじり共振周波数を見られ
なくなるような荒れた路面は一般路走行においてはその
頻度及び継続時間ともに十分に小さいためシステム性能
の低下にはつながらないと思われる。ステップ440L
でDVACがTHR2よりも小さいと判断された場合はねじ
り共振周波数から求めた空気圧の精度が十分確保された
状態とみなして走行状態Bをステップ460Lで設定す
る。
【0111】図48は経年変化などによるタイヤ回転速
度またはねじり共振周波数の変化による空気圧の誤検出
を防止するために、2種類の検出値から正常圧に対する
変更をするように学習を行う処理500Lである。ステ
ップ510Lは各検出値の相互比較をできるだけ外乱性
ノイズの少ない所定の条件下で行うために、学習を行う
かどうかの判定処理である。ここでは例えば各タイヤの
回転速度に基づいて直進状態や加減速度合いを判断し、
加減速の度合いが小さい直進走行状態にあるか否かを判
定し、前記直進走行時のような一定条件下での走行状態
時を学習許可状態と定義する。ステップ510Lで学習
許可状態でないと判定された場合にはメイン処理000
Lに戻る。逆に学習許可状態である場合、まずステップ
520Lでタイヤ回転速度による空気圧判定値P1が正
常圧であるかどうかを判断する。ここで空気圧が正常圧
である場合はステップ530Lへ進みねじり共振周波数
による空気圧判定結果P2について同様に正常圧か否か
の判断を行う。両方の検出圧が共に正常値である場合は
経年変化等が発生していない正常圧の状態と判断してメ
イン処理000Lに戻る。
【0112】ステップ530Lでねじり共振周波数の判
定値が正常値と異なっている場合、前記走行状態におい
て考えられる原因としてはタイヤ及びホイールのいずれ
かの変更による偏平率の変更、軽量化、またはサスペン
ションブッシュなどの経年変化もしくはラジアルタイヤ
からスタッドレスタイヤへの変更であることが判別でき
る。従ってステップ550Lではねじり共振周波数から
空気圧を算出するための変換マップ2を変更する。具体
的な変更の方法としては現在のねじり共振周波数を正常
圧として、図58に示すように前後のねじり共振周波数
についても線形変更することにより空気圧検出値を変更
する。またステップ520Lでタイヤ回転速度による空
気圧の検出値が正常圧でない場合は、ステップ540L
でねじり共振周波数による検出圧が正常値であるか否か
の判定を行う。ここで空気圧P2が正常値を示す場合
は、タイヤの摩耗やタイヤ径の変化を伴ったタイヤの変
更などが発生したことを検出できる。この場合はステッ
プ560Lに進みタイヤ径を変更する。具体的には前後
輪左右タイヤの平均速度VAVE 及び前回までに補正され
た各輪のタイヤ径Ri(n-1)及び各タイヤ回転速度Vi と
から次に示す演算式によって補正された各輪タイヤ径R
i(n)を算出する。
【0113】
【数7】Ri(n)=Ri(n-1)・(Vi/VAVE) この新たに変更されたRi に基づき以降のタイヤ回転速
度計算が行われるため純粋な空気圧の変化を検出し続け
ることが可能となる。またステップ540Lで空気圧P
2も正常圧でないと判断された場合は、空気圧の低下と
経年変化などを分離不可能なため変更を行わずメイン処
理000Lに戻る。尚、ここで参照される空気圧検出値
P1及びP2は各タイヤについて個別に行われても良い
し、判定精度の向上や経年変化、タイヤ等の変更の実状
を考慮して前輪タイヤまたは後輪タイヤについて平均処
理やAND処理を行ってやることで経年変化などの状況
をより詳細に解析可能となる。以上の処理により従来の
システムに対しあらゆる面で精度の向上した空気圧検知
が可能になると共に、従来のシステムで最大の問題点と
考えられるイニシャル状態の学習をユーザの手を煩わせ
ることなく実現可能なメンテナンスフリーのシステムと
することができる。
【0114】次に本発明の第14実施例について説明す
る。図49に走行状態として旋回状態を検出して空気圧
の検出手段を切り換える場合の方法600Lを示す。ス
テップ610Lでは、まず旋回状態で発生する左右タイ
ヤ間の速度差が演算される。一般的に旋回状態では前後
輪タイヤ共に速度差が発生するため、DVF、DVRと
いう前輪タイヤ、後輪タイヤそれぞれのパラメータを演
算することにより正確な検出を行うことが可能である。
尚、ここで利用する各タイヤの回転速度は前後輪左右タ
イヤとも正常圧であれば以下の処理で正確に旋回状態を
判定できるが、いずれかのタイヤに空気圧の異常が発生
している場合には、そのタイヤの回転速度に影響を与え
てしまうために正確に旋回状態を判定することが不可能
になってしまう。その場合の対応策として前回の判定ま
でに既に空気圧の異常が検出されている場合には、対応
するタイヤの回転速度に対してタイヤ径の変化分を考慮
した変更を施したタイヤ回転速度を用いることで解決で
きる(変更方法については、図48で説明したタイヤ径
の変更方式と同様の方法で対応可能)。
【0115】次のステップ620Lでは前輪タイヤの回
転速度差DVFが所定以上の旋回状態で現れる回転速度
差以下であるかを判断する。このスレッシュレベルTH
VFAは横Gや荷重移動の影響でタイヤ回転速度やねじ
り共振周波数が非線形に変化する旋回領域での回転速度
差を表したものであり、実験データなどから得られる定
数である(ねじり共振周波数と旋回半径の特性について
は図62に示す。タイヤ回転速度の左右輪差と旋回半径
の特性については図61に示す)。またタイヤの回転速
度により定数を切り換えても良い。それは以下に示す各
スレッシュレベルについても同様である。ここでDVF
がTHVFAを上回っている場合は、両方式の検出結果
とも信頼できないものとしてステップ680Lにて走行
状態Cを設定する。DVFがTHVFA以下の場合には
ステップ630Lに進み後輪タイヤについて同様の判定
を行う。前後輪タイヤとも上記スレッシュレベル以下の
場合はステップ640Lに進み再度前輪タイヤの回転速
度差のレベル判定を行う。ここで設定されたTHVFは
旋回によるタイヤ回転速度の差が発生しないほぼ直進状
態での回転速度差レベルを表している。
【0116】ステップ650Lで後輪タイヤに関する同
様の判定を行って、前後輪タイヤ共に直進状態を検出し
ている場合には、タイヤ回転速度による空気圧の判定結
果が利用できるためステップ660Lで走行状態Aを選
択する。それ以外の旋回状態はねじり共振周波数の検出
結果を利用するために、ステップ670Lで走行状態B
を設定する。このようにして比較的直進に近い安定した
走行状態にある場合にはタイヤ回転速度の検出結果を、
共振現象に変化の現れない程度の旋回状態ではねじり共
振周波数の検出結果をそれぞれ利用し、それ以上の急激
な旋回状態(実走行に占める割合は十分小さく検出性能
の低下にはつながらない)では前回の検出結果を保持す
る処理が実現できる。尚、本実施例における他の処理は
実施例13と同様とする。また、今回の旋回状態の判定
にはタイヤ回転速度情報を用いたが、これとは別に直接
旋回状態を検出可能なセンサ(たとえば、ハンドル角セ
ンサやヨーレートセンサなど)を用いることにより更に
旋回状態の検出精度を向上させることも可能である。
【0117】次に本発明の第15実施例について説明す
る。図50に走行状態としてエンジンに連結していない
転動輪の加減速度状態を検出してタイヤ空気圧の検出手
段を切り換える方法700Lを示す。まず、現在の車体
速度を求めるためにステップ710LでVT0 を演算す
る。一般的に加速状態では前記転動輪の回転速度には何
等のスリップも発生していないため、転動輪の回転速度
情報の利用が可能である。また減速状態では低μ路など
での各タイヤ落ち込み状態のばらつきが想定されるが所
定の減速度ガードを併用することで十分実用的な推定精
度を達成できる(ABS,TRCで実証済み)。また、
旋回状態での内外輪タイヤの回転速度差を補正するため
には左右の転動輪回転速度を加算平均する方法が有効で
ある。このようにして演算された推定車体速度VT0に
ついて、その時間変化を観測することにより車体の加減
速度(DVT)を算出する。ステップ720Lではこの
算出されたDVTを次のスレッシュレベルよりも大きい
所定の定数THVT1と比較する。旋回状態と同様に所
定のレベル以上の加減速を行った場合、接地荷重の変化
による共振現象の変動が発生するため共振周波数の検出
結果の信頼性も低下する。
【0118】THVT1,T2ともに実験データから得
られる定数である。ステップ720Lで加減速度がTH
VT1より大きいと判定された場合にはステップ760
Lで走行状態をCとして前回の検出結果を保持する。そ
れ以外はステップ730Lに進み次のスレッシュレベル
THVT2との比較を行う。このスレッシュレベルTH
VT2はほぼ一定走行に近い値を設定した定数であり、
このような状態では各タイヤのスリップレベルが十分に
小さいためタイヤ回転速度による空気圧検出精度は安定
する。従って、THVT2より小さい加減速度である場
合はステップ740に進み走行状態をAに設定する。そ
れ以上の加減速度を行っている場合には共振現象の検出
結果を利用するためステップ750Lで走行状態Bを設
定する。尚、これらのスレッシュレベルTHVT1,T
2は路面−タイヤ間の摩擦係数に影響を受けるため、別
途路面μ状態を検出する手段を設けて、その検出結果に
よるスレッシュレベルTHVT1,T2を補正すること
も可能である(二輪駆動車における加速度のタイヤ回転
速度の前後輪タイヤ差に与える影響を図63に示す)。
また、タイヤ速度情報による推定演算の代わりに対地速
度計などの直接検知する手段を利用しても良い。
【0119】次に本発明の第16実施例について説明す
る。図51に走行状態として車両の姿勢変化(ロール、
ピッチ、ヨー)による荷重移動の検出結果を検出してタ
イヤ空気圧の検出方法を切り換える方法800Lについ
て示す。ステップ810Lでは各走行状態でのロール、
ピッチ、ヨーを直接検知するセンサを用いてそれぞれの
状態量を検出する。ステップ820Lでは、まずロール
量を所定の定数KMRAと比較する。このスレッシュレ
ベルは荷重移動によりタイヤ回転速度、ねじり共振周波
数ともに変動を発生するレベルが設定されており、これ
以上の場合はステップ895Lに進み走行状態Cを設定
して前回の検出結果を保持する。ロール量がKMRAよ
りも小さいレベルである場合、ステップ830Lでそれ
よりも小さいスレッシュレベルKMRとの比較を行う。
もし、ロール量がこのスレッシュレベルKMR以上の場
合は荷重移動によりタイヤ回転速度に変動が発生してし
まうためタイヤ回転速度による検出結果の信頼性が低下
する。従ってステップ880Lに進み走行状態をBと設
定することでねじり共振周波数の検出結果にウエイトを
置いた検出結果を算出する。ステップ850L〜870
Lの処理はピッチ、ヨーについてのロールの場合と同様
の判定を行う処理である。全ての検出結果が所定値以下
の状態になった場合、タイヤ回転速度の荷重移動による
変化が無視できるレベルであるため、ステップ890L
で走行状態Aを設定する。尚、この各モーメントの検出
はタイヤ回転速度やGセンサの出力を組み合わせること
により代用可能である。タイヤ回転速度及びねじり共振
周波数の接地荷重特性は図64、及び図65に示す。
【0120】次に本発明の第17実施例について説明す
る。図52に走行状態として車両の走行速度を検出して
空気圧の検出方法を切り換える方法900Lについて説
明する。実際の路面では高速道路など比較的高い速度で
の走行を想定された路面では路面状態が良好であるた
め、共振現象を引き起こす路面凹凸の頻度が低下する。
従って、まずステップ910L〜930Lで実施例13
及び15で利用した路面入力、車体速度を算出する。ス
テップ940Lではこの演算された走行速度VT0 に基
づいて現在の走行状態に合った路面入力を検索する。こ
の検索方法としては予めプログラム内に設定した車体速
度とスレッシュレベルの関係を示すマップを利用するこ
とで簡単に実現できる。各速度でのスレッシュレベルは
実験データなどから得られる。このようにして検索され
たスレッシュレベルTHRについてステップ950Lで
現在の路面入力DVACとの比較を行う。
【0121】ここでDVACの値がTHRよりも小さい
場合には、実施例13の場合と同様タイヤ回転速度への
影響が無視できるレベルにありステップ960Lで走行
状態Aを設定する。その反対にDVACがTHR以上で
ある路面では共振現象が正確に把握できるためステップ
970Lで走行状態Bを設定する。このようにして各走
行状態に最適な空気圧の検出方法が選択される。また、
ここでは詳細な解説は行わないが、一般的に車両の走行
速度が上昇するとタイヤに発生する遠心力のタイヤ回転
速度への影響が無視できないレベルになるため、走行速
度のみを所定のスレッシュレベルと比較し、該スレッシ
ュレベル以上である場合には走行状態をBとしてねじり
共振周波数の検出結果を優先させることも可能である。
図66に走行速度による遠心力のタイヤ回転速度への影
響を示す。
【0122】次に本発明の第18実施例について説明す
る。図53に各種の走行状態を検出しこれらの総合評価
を行って空気圧の検出方法を切り換えるための方法10
00Lを示す。実際の車両では前述の各走行状態はそれ
ぞれ単独で発生する場合は少なく、各種の状態が複合し
た走行状態が一般的である。複数の走行状態がいずれも
どちらか一方の空気圧検出手段のみを有利にさせる状態
では何等問題ないが、例えば良好な路面での旋回走行な
どどちらの空気圧検出方法にも一長一短があり一概には
選択できない。本実施例はこれら現実の走行状態での正
確な空気圧の検出方法を説明する。ここでは各走行状態
について、その度合いからいずれの検出手段が有利であ
るかを判定するための評価量を導入する。評価量として
は走行状態Aを基準として、各走行状態の度合いから順
次評価量を走行状態B、C側へ補正していく、具体的に
は、例えば評価値の初期設定値を0として,ステップ1
010Lで示すように実施例13〜17で示すような方
法で各走行状態を検出する。次のステップ1020L〜
1050Lではそれぞれの検出結果に基づいてねじり共
振周波数が有利な場合の所定量を加算する。
【0123】また各状態の検出結果の内1つでも共振現
象に影響を与えるような状態が現れる場合には別途設定
したスレッシュレベルTHLBを評価値に加算すること
により以降の処理で自動的に設定する。このようにして
全ての状態に関して評価の終わった評価値に関してステ
ップ1060LでスレッシュレベルTHLAとの比較を
行う。このスレッシュレベルはタイヤ回転速度による検
出結果に何等影響の発生しない走行状態である場合の評
価量が設定される。そして評価量がこれら2つのスレッ
シュレベルの間にある場合にのみ走行状態Bを選択す
る。また、これとは別にそれぞれの走行状態について各
空気圧検出手段への影響の高い状態から優先順位を設定
し、その順に判定を行って走行状態A〜Cを切り換える
処理とすることも可能である。またこれら走行状態の3
状態への分離を行わずに前記の評価量に基づいて各空気
圧検出結果への重み付け係数であるK1、K2を連続的
に切り換える方法でも良いし、これらの方法の組み合わ
せでも良い。
【0124】次に本発明の第19実施例について説明す
る。図54に経年変化等で発生する正常圧の検出値(タ
イヤ回転速度、共振周波数)の変化を学習するためのも
う1つの実施例1100Lを示す。この実施例ではユー
ザなどで操作されるマニュアルのスイッチなどを設置す
ることにより、このスイッチが押されている場合にタイ
ヤの空気圧が正常であることをシステムに伝達する装置
の追加を前提とする。ステップ1110Lでは、この変
更要求がシステム側に伝達されているかどうかの判定を
行う。ここで変更要求がない場合は一切の変更を行わず
に実施例同様のメイン処理000Lに戻る。変更要求が
発生していることが検出された場合には、ステップ11
20Lで変更可能な走行状態にあるか否かの判定が行わ
れる。
【0125】ここでの変更可能な走行状態とはタイヤ変
更やねじり共振周波数に影響を及ぼす要素の存在しない
走行状態であり、このような走行状態は前述の各実施例
で説明した走行状態検出手段を用いて判断される。ステ
ップ1120Lで変更可能な走行状態にあることが判別
された場合、ステップ1130Lに進んで現在のタイヤ
回転速度、ねじり共振周波数検出値を用いて実施例1の
様に正常圧に対する検出値の変更を行う。また、一般的
にタイヤ径を安定して検出可能な走行状態とねじり共振
周波数のそれとは異なる場合が多いため、学習許可状態
を個々に設けて独立して変更を行う方法でも良い。
【0126】次に本発明の第20実施例について説明す
る。図55にタイヤ回転速度及びねじり共振周波数を用
いた空気圧の判定手段の判定結果が一致した場合にのみ
空気圧の表示または更新を行う方法1200Lについて
示す。ステップ1210L〜1290Lまでの処理は実
施例1におけるステップ010L〜090Lまでの処理
と同一であり、その部分の内容の説明を省略する。ステ
ップ1293Lでは各判定手段による検出圧P1、P2
を相互比較する。この比較の結果、それぞれの判定結果
が等しい(所定のレンジ内にある場合も含めることも可
能)場合にのみステップ1295Lに進み空気圧の表示
を行う。
【0127】次に本発明の第21実施例について説明す
る。図56にタイヤ回転速度及びねじり共振周波数を用
いた空気圧の判定結果について、それぞれの安定性を評
価して安定した判定結果を持つ判定手段を採用する方法
1300Lについて示す。ステップ1310L〜139
0Lまでの処理は実施例1におけるステップ010L〜
090Lまでの処理と同一であり、その部分の内容の説
明を省略する。ステップ1391Lでは、それぞれの検
出結果についてその安定性を評価する。具体的な安定性
の評価方法としては、例えば各検出タイミングでの検出
圧について検出圧毎にカウンタを設けその分布状態を所
定時間観測する。所定時間が経過した後、それぞれの空
気圧分布状態を評価する評価量を算出する。例えば検出
された空気圧のレンジなどを評価量A1、A2とする。
ステップ1392Lではその評価量を相互比較する。こ
の場合は空気圧検出値のばらつきであるため、評価量の
小さい方が安定であると判断される。このようにしてス
テップ1393L、1394Lで安定した検出方法での
空気圧が表示用空気圧Pにセットされる。この場合の設
定すべき空気圧としては前記分布状態から判定された平
均空気圧を用いるのがよい。
【0128】上述した第13乃至第21実施例により、
ユーザによるタイヤ変更や経年変化を含めたあらゆる走
行状態に対応することができると共に、高い検出精度を
維持することができる。次に第22実施例について説明
する。本実施例では、タイヤ空気圧を検知する際に、各
車輪のタイヤ状態を高精度に検知すべく、車体の絶対速
度に着目し、簡易に構成にて車体の絶対速度を精度良く
推定し、この推定した車体速度を用いて、タイヤ空気圧
を高精度に検知することを特徴とする。
【0129】まず、本実施例の特徴である相互相関から
位相遅れを算出し、これに基づいて絶対速度を算出する
原理について説明する。図67に示すように、車両があ
る車速VABで路面を走行すると、フロント車輪速度信
号F(t)及びリヤ車輪速度信号R(t)には、路面入
力(凹凸)によるタイヤの振動周波数成分が含まれるこ
ととなる。
【0130】例えば、高速道路の高架橋にみられる目地
突起や、マンホールの段差,突起あるいは、アスファル
ト舗装の改修部の継目や横断歩道のペンキ段差などで
は、特に顕著に発生する。一般的に、車両が直進走行状
態にある場合には、後輪は前輪とほぼ同一の路面形状を
走行すると考えられるため、路面形状やタイヤの摩耗に
よらず、前後輪の位相遅れをτとすると、R(t)=F
(t−τ)の関係が成立する。(図67(B)) よって、既知の値である車両のホイールベースLを用い
て、絶対車両VABは以下の数式8のようになる。
【0131】
【数8】VAB=L/τ 従って、前後輪の車輪速度信号F(t),R(t)から
位相遅れτを求めれば絶対車速VABを推定することがで
きる。そして、その位相遅れτの算出においては、例え
ば前後輪の車輪速信号F(t),R(t)をフーリエ変
換した後、以下の数式9に示すR(t)とF(t−τ)
の相互相関RFRから求めるとよい。
【0132】
【数9】 RFR(t,t−τ)=E[R(t)・F(t−τ)] (但し、E[ ]:総計平均) これにより、本実施例によれば、近年搭載車両の増加し
ているアンチスキッド制御装置(ABS)を備える車両
等は、既に各タイヤに車輪速度センサが装備されている
ため、何ら新たなセンサ類を追加しなくとも、車体絶対
車速の検知が可能となる。
【0133】また、車両の実用範囲では、タイヤの摩耗
や種類及び路面状況には、ほとんど影響を受けない。更
に、車両ホイールベースLは、mm単位で管理,計測でき
るため、本車体速推定装置では、極めて高精度な絶対車
対速が演算可能となる。図68に、ECU4が実行する
処理内容を表したフローチャートを示す。
【0134】図68において、ステップ90Mにおいて
初期設定した後、ステップ100M〜ステップ120M
にて図7の第1実施例と同様の処理を実行する。すなわ
ち本実施例では、車体絶対車速の算定を、タイヤの移動
周波数成分に含まれる信号に基づき行なうため、車輪速
度がある程度変動する必要があるからである。ステップ
110M及びステップ120Mにおいて、ともに肯定判
断されるとステップ130Mに進み、どちらか一方にお
いて否定判断されると、ステップ100Mに戻る。ステ
ップ130Mでは、演算された車輪速度に対して周波数
解析(例えば高速フーリエ変換(FFT))演算を行
う。
【0135】次に、ステップ140M,150Mでは逆
フーリエ変換により、相互相関関数RFR(τ)を求め、
ステップ150Mで位相遅れτを演算する。次に、ステ
ップ170Mでは、数式 により車体絶対車速VABを求
めステップ180Mで出力する。なお、ステップ130
Mの高速フーリエ変換(FFT)で使用する信号の周波
数範囲は、図69に示すようにステップ120Mの次
に、適当な狭帯域フィルタ(B,P,F)を介して、ね
じり共振周波数成分が多く含むを用いても良い。
【0136】前後輪の位相差τにより、絶対車体速VAB
を求めるには、図68で示したように、高速フーリエ変
換(例えばFFT)を用いなければならないが、この演
算には、多くのメモリー(RAM)が必要となり、演算
回数も多いため、ECUの演算負荷が問題となる場合が
ある。このような場合には、簡便な手段が必要となるの
で、以下その説明を行う。
【0137】図70に、高速道路の高架橋やコンクリー
ト目地、あるいはマンホール路、さらには、アスファル
ト道路の改修部によく見られるような路面の目地,突
起,段差などを車両か通過した際、ばね下に発生する振
動の代表的パターンを示す。これは、ABSの車輪速信
号にも現われるために、図1に示すシステム構成で検知
可能である。
【0138】車両が直進に近い状態で走行する場合を想
定すると、前後輪の位相差τは、時間波形の中で、特徴
的な波形を比較することで検知可能となる。ECU4の
処理の流れを図71で説明する。前,後輪とも同じ処理
を行うので、前輪の処理のみ説明する。なお、図71に
おいてステップ151M〜158Mが前輪に関するもの
であり、ステップ158M,161M〜167Mが後輪
に関するものである。ステップ100Mで演算された車
輪速Vは、ステップ151MにてECU4のRAMに、
サンプリング時間分取り込まれる。ステップ152Mで
は、予め設定された車輪速変動幅ΔVtに対して大小比
較を行い、肯定されるとステップ153Mへ進む。これ
は、目地突起などを通過すると、比較的大きな入力が得
られるので、入力の大きさでまずデータを選別するため
である。
【0139】次に、ステップ153Mにて、ピークサー
チを行いVFmaxを求める。ステップ154Mでは、ステ
ップ153Mで求められたVFmaxを中心に、予め設定さ
れた時間幅Tsに対し、それ以外の時間領域での車輪速
変動平均値VaVE を求める。ステップ155Mでは、求
められたVFmaxとVaVE の比率Kpを求め、ステップ1
56Mにて予め設定された値Cとの大小比較を行う。こ
のとき肯定判断がなされると、ステップ157MにてV
Fmax発生時の時間TF を記憶する。
【0140】以上の処理は、車輪速データの中から、位
相差を時間領域で算定容易とするために、単発入力を選
別するためのものでる。ここで、前後輪から、TF,R
が算定されるので、この差から位相差τを求めることが
できる。位相差τを求めた後は図68のステップ170
M以降の処理を行う。なお、上述の前後輪の車輪速度の
振動成分から位相差τを求める処理は、車両の前後輪が
直進状態であることが前提となる。このため、左右輪の
車輪速度差が所定値以下であるとの条件、あるいは別途
ステアリングセンサを設けて操舵角が所定値以下との条
件等、直進状態を示す条件が成立したときに上述の処理
を行うようにする。
【0141】また、前述の実施例では車両の前後輪の車
輪速度の振動成分から車体の絶対速度等を求めたが車輪
角変位,角速度及び角加速度より求めることも可能であ
る。次に本発明の第23実施例について説明する。第2
3実施例では、上述で算定された車体絶対車速VABを用
いることで、車両走行時のタイヤの回転半径である動負
荷半径を算定し、この動負荷半径よりタイヤの空気圧を
検知しようとするものである。このため、第23実施例
では、図72に示すようにタイヤ空気圧とタイヤ動負荷
半径との対応関係を示す特性をマップとして記憶し、車
体絶対車速V ABから算定される動負荷半径からタイヤ空
気圧を直接推定する。
【0142】車両走行時のタイヤ動負荷半径は、タイヤ
空気圧だけでなく、タイヤに加わる荷重やタイヤの摩耗
及び車速の影響を受ける。そこで、図72のタイヤ動負
荷半径と空気圧のマップに於いては、動負荷半径が荷
重,摩耗によって変動することを考慮し、バラツキの幅
を考慮する。また、図73は車速による影響を考慮し、
車速からタイヤ動負荷半径の修正係数Krを求めるマッ
プである。
【0143】この第23実施例では、ECU4における
処理内容のみが、第22実施例と異なり、その構成は同
じなので、構成の説明は省略し、処理内容だけを記載す
る。第23実施例の処理内容を図74のフローチャート
で説明する。ステップ200N〜ステップ220Nまで
は、第22実施例のフローチャート(図68)のステッ
プ100M〜ステップ130Mの演算処理と同一内容な
ので説明を省略する。
【0144】ステップ220NのFFT処理後、FFT
演算回数をステップ225Nでカウントし、演算回数N
が所定値Noに達したか否かをステップ230Nで判断
する。ステップ230Nで肯定判断されるとステップ2
35Nで所定回数のFFT演算結果の平均処理が行わ
れ、ステップ240N,245Nで逆フーリエ変換によ
り前後輪間の相互相関RFR(τ)が求められる。ステッ
プ250Nでは、この相互相関RFR(τ)から前後輪間
の位相差τが求められる。なお、ステップ225N〜ス
テップ230Nの処理は、ノイズの影響を除くためのも
のであり、路面状況及び車速によっては省略も可能であ
る。
【0145】次に、ステップ255Nでは、車両ホイー
ルベースLを位相差τで除算することで、車体絶対車速
ABが求められる。ステップ260Nでは、車輪の回転
速度に比例し、所定の時間(dt)内にカウントされる
パルス数(n)及び前記算定された車体絶対車速VAB
りタイヤ動負荷半径rABが算定される。更に、ステップ
265Nでは車速VABに対するタイヤ動負荷半径の修正
係数KV がマップより求められ、修正タイヤ動負荷半径
RFが求められる。
【0146】ステップ270Nでは、修正タイヤ動負荷
半径とタイヤ空気圧の関係(図72)より、タイヤ空気
圧Prが推定される。そして、ステップ275Nにおい
て、算出されたタイヤ空気圧Pと予め設定されるタイヤ
空気圧の許容下限値P0 とを比較し、算出されたタイヤ
空気圧Pが許容下限値P0 以下であるとき、ステップ2
80Nに進む。
【0147】ステップ280Nでは、表示部5により、
タイヤの空気圧が低下している旨の警告表示を行う。次
に本発明の第24実施例を説明する。ねじり共振周波数
が各車輪の車輪速信号から検知可能であることを示した
が、このねじり共振周波数は、タイヤ空気圧が低下する
と共振点が低下する。このた第24実施例では、上述の
ねじり共振点の変化からタイヤの空気圧の状態を検知す
るとともに、前述の第23実施例で説明したタイヤの動
負荷半径からもタイヤの空気圧の状態を検知する。そし
てそれぞれ検知されたタイヤ空気圧Pf,Prの偏差が
所定値ΔP以下となり、かつPf,Prがタイヤ空気圧
の許容下限値P0 を下まわった場合に、警告を出すよう
に構成したものである。
【0148】図75,図76のフローチャートにおい
て、ステップ300P〜370Pは、第23実施例のス
テップ200N〜270Nと同一内容のため説明を省略
する。ステップ375Pでは、ステップ335Pで実施
される平均処理では、平均化が充分でない場合を考慮
し、共振点をさらに見易くするために、移動平均処理を
行う。ステップ380Pでは,ねじり共振点fK を検知
する。ステップ385では、図77に示すように共振点
とタイヤ空気圧との関係から、現状のタイヤ空気圧Pf
を推定する。
【0149】ステップ370P及び385Pで推定され
たタイヤ空気圧Pr,Pfに基づき、ステッフ390P
では双方の偏差を求め、この偏差が所定値ΔP以下にな
ったときのみステップ395Pへ進む。ステップ395
Pでは両者の値がともにタイヤ空気圧の許容下限値P0
以下となった場合のみ、ステップ396Pにて警告表示
を行う。このような構成によれば、タイヤ空気圧の検知
がより正確となり、誤判定を防止することが可能とな
る。
【0150】次に本発明の第25実施例について、図7
8,図79を用いて説明する。この第25実施例の電子
制御装置の処理は図78,図79のフローチャートに示
されるが、図78におけるステップ400Q〜430Q
は第24実施例と同一のため説明を省略する。ステップ
435Qでは、車両の走行車速VX が所定の下限車速V
L から上限車速VH の範囲内に存在するか否かの判定を
行い、肯定判断されるとステップ440Qへ進む。ここ
で下限車速VL 及び上限車速VH は、それぞれ10km/
h, 150km/h位の値に設定されることが望ましい。ス
テップ440Qでは、ステップ400Qで演算される車
輪速度Vの変動幅Δvを所定の値vL と比較し、肯定判
断されるとステップ485Qへ進む。なお、ステッフ4
40Qにおける判定基準値vL は、ステップ405Qの
判定基準値vO よりも高く設定されることは言うまでも
ない。
【0151】ここで、ねじり共振周波数fK からタイヤ
空気圧を推定,演算する場合は、検知原理がタイヤ単体
の振動における特定の周波数領域の振動成分の大きさに
基づいており、極低速状態ではその振動自体が発生しに
くいため、求められるタイヤ空気圧の精度も低下しやす
いという問題点がある。また、車両が高速にて走行して
いる状態(例えば150km/h以上)でもタイヤ単体の振
動が発生しにくくなり、タイヤ空気圧が検知しにくいと
いう問題点がある。また、車両が氷上を走行している場
合などは、その走行路面が滑らかで振動の発生が小さ
く、やはり検出精度が低下するという問題がある。
【0152】このため、ステップ435Q,440Qに
より車速が一定車速の範囲外(VL≦VX ≦VH )で、
かつ路面入力が少ない良路などでの空気圧検知は、前記
絶対車体速度VABから算定されるタイヤ動負荷半径rAB
を用いて空気圧検知を行うようにしている。ステップ4
85Q〜495Qの処理は、ねじり共振周波数よりタイ
ヤの空気圧を検知するためのもので、前記第24実施例
と同一であるため説明は省略する。
【0153】一方、ステップ435Q又は440Qで否
定判断されると、ステップ445Qへ進むが、ステップ
445Q〜480Qの処理は、タイヤの動負荷半径より
タイヤの空気圧を検知するためのもので、第24実施例
と同一のため省略する。なお、ステップ470Qでは、
前後輪の位相差τより求められた絶対車体速の左右差が
所定の値ΔVAB以下(直進状態)であることを確認後、
ステップ475Qへ進む。
【0154】ステップ496Qでは、ステップ480Q
又はステップ495Qにおいて推定演算された圧力Pf
又はPrと予め設定されるタイヤ空気圧の許容下限値P
O とを比較し、算出されたタイヤ空気圧Pf又はPrが
許容下限値PO 以下であるとき、ステップ497Qへ進
み警告表示を行う。次に、本発明の第26実施例につい
て説明する。本実施例は前述の第24、第25実施例に
加えて、第4実施例のようなタイヤ交換したときにおけ
る対策を考慮している。
【0155】図80のフローチャートにおいて、ステッ
プ501R〜ステップ535Rの処理は、既述の実施例
の処理と同一であるため、説明は省略する。なお、ステ
ップ515Rの処理は既にタイヤ種類の判定がなされて
いるか否かを判定するもので、フラグF=1であるとき
には既に判定がなされていると判断されステップ550
Rに進む。
【0156】ステップ540R〜542Rでは、ステッ
プ535Rで得られたFFTの平均処理結果に対して、
逆フーリエ変換を行い、前後輪の相互相関関数R
FR(τ)から、位相差τを求め、ステップ543Rでは
位相差τ及びホイールベースLから絶対車体速VABを求
める。次に、ステップ544Rでは、VABと所定時間d
T内のパルス数nからタイヤ動負荷半径rABを算定す
る。
【0157】一方、ステップ540R〜544Rの処理
と並列的にステップ545Rにてフーリエ変換(FF
T)の結果に対して更に平均処理を行い、ステップ54
6Rにてねじり共振周波数fS の抽出を行う。ステップ
547Rでは、ステップ544Rで得たタイヤ負荷半径
とステップ546Rで求めたねじり共振周波数fS
り、前記図21のマップに基づいてタイヤ種類の判定を
行う。続くステップ548Rでは、前記22のマップに
基づき、判定されたタイヤ種類に対応するねじり共振周
波数の判定基準値fLa,fLb,fLcを選択して、警報要
基準値fLとして記憶する。
【0158】続いてステップ549RにてフラグFを
「1」とする。これにより、タイヤ交換を判定する上記
ステップ520R〜549Rは車両スタート直後のみ実
行される。なお実際には、上記ステップ548Rは、車
輪の4輪全てについて、あるいは駆動輪2輪についてス
テップ547Rでタイヤ交換と判定された場合にのみ実
行される。
【0159】一度、タイヤ交換と判定されると、ステッ
プ501Rへ戻り、ステップ505R,510R,51
5Rにてそれぞれ肯定判断されたとき、ステップ550
Rに進む。ステップ550Rでは上記時間ΔT内で得ら
れた車輪速vに対して高速フーリエ変換(FFT)演算
による周波数解析を行うとともに、その演算回数nをカ
ウントし、ステップ555Rにてこの周波数解析の演算
回数nが所定回数n0になるまで、ステップ501R以
下が繰り返される。
【0160】ステップ560Rでは周波数解析の演算値
を平均化し、さらにステップ565Rではこれまでの所
定数の演算平均値を移動平均処理し、ステップ570R
にてこの結果に基づいてねじり共振周波数fK を演算す
る。しかして、ステップ575Rでは、演算された上記
共振周波数fK が警報用基準値fL以下となったか確認
し、基準値fL以下となった場合にはステップ580R
にてタイヤ空気圧過小として警報する。
【0161】なお、ステップ547Rにおけるタイヤ種
類の判定を、図21に示した直線的マップに代えて、図
25に示す如き領域的マップを使用して行っても良い
し、表1のマトリクスで行うことも可能である。次に本
発明の第27実施例について説明する。第27実施例
は、タイヤの動負荷半径とねじり共振周波数成分とによ
ってタイヤの摩耗状態を検知するものである。
【0162】前述したように、各車輪の車輪速度を検出
する車輪速度センサの検出信号から、ねじり共振周波数
成分を抽出し、このねじり共振周波数成分からタイヤ空
気圧が算定でき、また、この共振周波数は摩耗の影響を
受けない。このため、車両の直進状態でかつ正常状態に
おけるタイヤ動負荷半径とねじり共振周波数の関係を求
め、これを基準とし、この基準値からのタイヤ動負荷半
径のずれ量からタイヤの摩耗量及び異常摩耗を検知でき
る。
【0163】ここで、第22の実施例に基づき算定され
る絶対車体速度VABより算定されるタイヤ動負荷半径r
AB(m)とタイヤ空気圧(kg/cm2)の関係を図82に示
す。また、第23実施例に基づき算定されるねじり共振
周波数fK (HZ)とタイヤ空気圧(kg/cm2)の関係を
図83に示す。上記図82と図83から、前記タイヤ動
負荷半径rABとねじり共振周波数fK の関係が図84に
示される。この図84に示す関係は、タイヤの摩耗が生
じない状態において、タイヤ空気圧の変動のみでタイヤ
動負荷半径が変化する場合の特性を示し、車両がある単
位時間(一定時間)直線走行を行った場合を想定したも
のである。4個の車輪が摩耗状態でない場合、若しくは
4個の車輪が同程度の摩耗状態の場合は、各車輪のタイ
ヤの共振周波数(タイヤ空気圧)とタイヤ動負荷半径の
関係は、図84の点P1 〜P4 に示すように一定の相関
関係を有し、ある特定の線上にプロットされる。
【0164】尚、点P1 は最もタイヤ空気圧が低い場合
を示し、点P4 は最もタイヤ空気圧が高い場合を示す。
図85は、タイヤ空気圧がPiでタイヤ共振周波数がf
iと算定されるタイヤを例にとったものであるが、摩耗
がない場合のfi−Pi特性を示している。PiL は、
空気圧が低下した場合であり、PiH は空気を供給しす
ぎた場合を示す。これに対し、空気圧はPiであるが摩
耗したタイヤの場合はタイヤ動負荷半径がRRFi 点とな
る。つまり、図中Δrを算定することで、タイヤの摩耗
量が検知可能となる。
【0165】これを実際に行う為には、図85に示すタ
イヤ空気圧とタイヤ共振周波数の関係をマップとして記
憶し、前後輪の車輪速信号から算定される位相差τを求
め、絶対車体速度VABから求められるタイヤ動負荷半径
ABを算出し、更にばね下共振周波数を求め、前記マッ
プとの関係から、摩耗量Δrを算出することが必要であ
る。これにより、所定の摩耗量r0 との比較を行い、表
示器5によりタイヤの異常摩耗を運転者へ知らせること
も可能となる。上記の理論的考案に基づいて、タイヤの
摩耗量が基準値以上に達したことを検知し、運転者に対
して警告を行うECU4の信号処理を、図86,図87
のフローチャートを参照して説明する。
【0166】ステップ600S〜637S及びステップ
640S〜650Sは、前記実施例と同一な為、説明を
省略する。ステップ636Sでは、ステップ635Sで
求められた走行状態におけるタイヤ動負荷半径rABに対
し車速の影響を考慮し、修正係数KV から修正タイヤ動
負荷半径rRFが算定される。またステップ650Sで求
められたねじり共振周波数fK によりステップ655S
では予めECU4内に記憶されているマップより、摩耗
がない状態でのタイヤ動負荷半径RRFが求められる。ス
テップ660Sでは、ステップ636S,655Sで求
められたそれぞれの動負荷半径RRF及びrRFよりタイヤ
摩耗量Δrを算定し、ステップ665Sでは所定の摩耗
量mHに対する大小比較を行い、肯定判断されるとステ
ッフ670Sで表示器5により運転者へ警告する。
【0167】次に本発明の第28実施例につき以下説明
する。第28実施例は、タイヤ動負荷半径によりタイヤ
空気圧を推定する際にタイヤ動負荷半径とねじり共振周
波数とにより、タイヤ摩耗量を推定し、この推定された
タイヤ摩耗量によってタイヤ動負荷半径を修正,算出
し、タイヤ空気圧を正確に検知するものである。本実施
例におけるECU4の処理は図88,図89に示される
が、ステップ700T〜714Tは、すでに第23実施
例の図74(ステップ200N〜265N)で説明した
ので詳しい説明は省略する。ステップ700T〜706
Tでは、車輪速Vを演算後、路面状態,路面長を判定
後、フーリエ変換(FFT)を行い、所定のFFT演算
回数に到達したら平均処理を実施する。次に、ステップ
710T〜713Tでは、逆フーリエ変換を行い、相互
相関関数RFR(τ)より、前後輪の位相差τを求め、車
体絶体車速VABから、タイヤ度を負荷半径rABを求め
る。次に、ステップ714Tでは、修正係数KV により
タイヤ動負荷半径の車速による影響を考慮し、修正タイ
ヤ動負荷半径RRFを求める。一方、ステップ720T〜
722Tでは、ステップ706Tの平均処理結果に対
し、更に移動平均処理を行い、ピークサーチによりねじ
り共振周波数fK を算出する。ステップ722Tでは、
第27実施例の図86で示したように、,ねじり共振波
数fK とタイヤ動負荷半径との関係から摩耗がない場合
のタイヤ動負荷半径RRFが算出される。
【0168】ステップ730TではフラグFを確認して
「1」でなければステップ735Tへ進み、前記算出さ
れたRRFとrRFからタイヤ摩耗量Δrが算定される。走
行中に1度摩耗量が算定されると、ステップ736Tで
フラグFが「1」にされる。これは、タイヤの摩耗量は
スタート後1度算定されれば、走行中に増加することは
ほとんど考えられないため、車両スタート後の摩耗量の
算定は、1度行えば良いと考えられるためである。ま
た、スタート後又はIGON後、必ずΔr(摩耗量)を
算定する必要もなく、数回に1度の割合でこの処理を行
うようにしても良い。
【0169】ステップ740Tでは、ステップ714T
で算定されたタイヤ動負荷半径に対し、摩耗量Δrが補
正(この場合は加算される)され、新たなタイヤ動負荷
半径rFFに置き換えられる。ステップ745Tでは、第
23実施例で示した図72と同様に、タイヤ空気圧と修
正タイヤ動負荷半径の関係から、そのときのタイヤ空気
圧Prが推定される。ステップ750Tでは、この検知
されたタイヤ空気圧Prと予め設定されたタイヤ空気圧
の許容限界値P0 との大小比較を行い、肯定判断される
とステップ755Tへ進み、表示器5により警告表示を
行う。
【0170】上述の実施例ではそれぞれタイヤの空気
圧,タイヤの種類,タイヤの摩耗状態等を検知するもの
について説明してきた。これらの実施例で検知したタイ
ヤに関する情報を他の車両の走行状態を制御する装置に
与えると、非常に有用である。例えば、制動時の車輪の
ロック状態を防止するアンチロックブレーキ(ABS)
においては車輪の種類に応じて、ブレーキ圧力を減圧す
る基準値を補正することができる。これにより、適切な
タイミングで制御を開始できるため制動効率が向上す
る。
【0171】上記ABS以外にも、TRC(トラクショ
ンコントロールシステム),4WS(4輪操舵システ
ム)等への応用が可能である。なお、上述した実施例で
は、基本的に図12に示すねじり共振周波数fk に基づ
いてタイヤ空気圧を検知していたが、車輪速度信号の周
波数解析によって検知可能なタイヤ単体の共振周波数は
他にも存在し、例えば、図90の周波数f1 などがあ
る。これは、タイヤ単体の一次(偏心)の共振周波数
(約70〜90HZ)であり、タイヤ空気圧により、共
振周波数が変化することは、前述した回転方向の共振周
波数と全く同様である。従って、この一次の共振周波数
f1 とタイヤ空気圧との関係からも、車輪速度信号から
タイヤ空気圧を検知することが可能となる。
【0172】更に、図示しないが、100Hz以上にも
タイヤ単体の整数倍の共振周波数が存在しており、図7
の車輪速度演算および周波数解析演算(例えば、FFT
演算)を更に高精度とすることで、タイヤ空気圧の推定
が可能となる。さらには、タイヤ空気圧の推定を高精度
にする上述の実施例を適応することができることは言う
までもない。
【0173】次に第29実施例について説明する。車両
が、例えば舗装されたアスファルト路面を走行した場
合、その路面表面の微小な凹凸により加振力を受け、そ
の力によってタイヤは振動する。この時の振動は、前述
したように回転ドラムの突起乗り越し試験結果により、
タイヤの車軸回転方向のねじり共振現象であることは既
に説明した。本実施例の検知原理は、このねじり共振点
におけるタイヤのばね定数を推定演算し、タイヤ空気圧
を検知するようにする点を特徴とする。
【0174】以下、タイヤばね定数の推定演算方法につ
いて、概略を説明する。タイヤモデルを図91に示す。
図92において、タイヤ・ねじり振動の運動方程式は、
以下の式で表される。
【0175】
【数10】
【0176】
【数11】 ここで、ω1 は図1の3a〜3dのピックアップコイル
で検出し演算される車輪速度(角速度)であり、θ1 は
その角度である。J1 はばね下回転重量部(ホイールや
アクスルシャフト等)の慣性モーメントである。kはタ
イヤのねじりばね定数であり、θ2 はタイヤ外周スチー
ルベルト部やトレッド部のねじれ角である。
【0177】図2乃至図4ですでに説明したように、ね
じり振動モードは、車軸まわりのねじりモーメント(M
y )と車軸前後力(Fx )の両方が関係するモードであ
ることから、タイヤ外周(スチールベルトやトレッド
部)のねじれ変位はほとんど発生しないものと考えられ
る。なぜならば、タイヤ外周のねじれ変位の発生がある
ならば、ねじれモーメント(My )の反力である車軸前
後力(Fx )は発生しないばずであるとの理由による。
【0178】これらの理由により、数10におけるθ2
はθ2 ≒0と近似可能となるため、次式にてタイヤのね
じりばね定数kを算出することができる。
【0179】
【数12】 ここで、ω1 はピックアップコイルにて検出可能であ
り、J1 は車両諸元で決定される値であるので、ねじり
ばね定数kは数 により演算されることになる。
【0180】次に、ω1 の検出方法について、図92の
フローチャートに基づき説明する。ステップ220U〜
220Uまでは、第1実施例と同様であるため説明を省
略する。ステップ230Uでは、ねじり共振周波数成分
が抽出可能な周波数帯に予め設定された狭帯域フィルタ
(B.P.F.)処理をステップ200Uにて演算され
た車輪速度信号に施す。ステップ240U,250Uで
は、前述のB.P.F.で抽出された車輪速度(角速度
ω1 )の微分値および積分値を求め、ステップ260U
では、これら求めた値を数12に代入することにより、
ねじりばね定数kを算出する。そして、ステップ270
Uでは、このねじりばね定数kが時間軸領域で変動する
場合は、予め定められた時間内の平均値Kを求める。
【0181】その後、ステップ280Uにて、算出され
たねじりばね定数の平均値Kと基準ばね定数K0 (適性
なタイヤ空気圧に相当したばね定数)との偏差が予め設
定された値ΔKより大となった場合に、ステップ290
Uに進み空気圧低下警報を行う。以上説明したように、
ねじりばね定数kを推定することによっても、タイヤの
空気圧を検知することができる。さらには、タイヤ空気
圧の推定を高精度にする上述の実施例を適応することが
できることは言うまでもない。
【0182】なお、本実施例では、ステップ270Uの
ように必ずしも平均値Kを求める必要はなく、これに代
えて所定の時間内におけるねじりばね定数kの代表値
(例えば、積分した面積でもよい)を用いてもよい。ま
た、ねじりばね定数を求める他の方法としては、すでに
本願出願人が先に特願平4−294622号にて出願し
ているような、タイヤ空気圧の推定方法であるばね下の
上下方向共振周波数、前後方向共振周波数や、または第
1実施例のタイヤ単体の共振周波数から間接的に求めて
もよい。これは、共振周波数fは一般的には、次式
【0183】
【数13】f∝√(k/m) で表され、mは車両諸元が決まれば決定される定数であ
るため、前記関係から求めることが可能となる。さら
に、図93に示すように、ねじりばね定数の平均値Kと
タイヤ空気圧の関係との関係をマップとして記憶し、ね
じりばね定数の平均値Kを算出した後に、マップを用い
て直接タイヤ空気圧を推定するようにしてもよい。同様
にして、図94に示すように、タイヤ単体の共振周波数
とタイヤ空気圧の関係をマップとして記憶し、タイヤ単
体の共振周波数を求めた後に、マップを用いて直接タイ
ヤ空気圧を推定するようにしてもよい。なお、図93あ
るいは図94のマップを用いる方法のときには、表示部
5の表示形態を代えて、マップを用いて推定したタイヤ
空気圧を各輪毎に直接表示するようにしてもよい。
【0184】
【0185】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す構成図であ
る。
【図2】第1実施例のタイヤ空気圧の検知原理を示す説
明図である。
【図3】ねじりモーメントパワースペクトルと周波数の
関係を示す特性図である。
【図4】前後力パワースペクトルと周波数の関係を示す
特性図である。
【図5】タイヤの空気圧の変化によるパワースペクトル
の共振周波数の変化の様子を示す特性図である。
【図6】タイヤの空気圧の変化による車輪速パワースペ
クトルの共振周波数の変化の様子を示す特性図である。
【図7】第1実施例の電子制御装置の処理内容を示すフ
ローチャートである。
【図8】車輪速度センサの出力電圧波形を示す波形図で
ある。
【図9】車輪速度センサの検出信号に基づいて演算され
た車輪速度vの変動状態を示す波形図である。
【図10】図9に示す波形の車輪速度vに対して周波数
解析演算を行った結果を示す特性図である。
【図11】第1実施例における平均処理を説明するため
の説明図である。
【図12】第2実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図13】第2実施例における車輪速度とねじり共振周
波数の関係を示すタイムチャートである。
【図14】第3実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図15】車輪速度とタイヤ空気圧およびねじり共振周
波数の関係を示す特性図である。
【図16】ラジアルタイヤ及びスタッドレスタイヤのタ
イヤ空気圧とねじり共振周波数特性を示した特性図であ
る。
【図17】第4実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図18】第4実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図19】第5実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図20】ねじり共振周波数とタイヤ空気圧の関係か
ら、タイヤ空気圧の低下を判定する際の説明図である。
【図21】タイヤ負荷半径とねじり共振周波数の関係を
示すグラフである。
【図22】タイヤ空気圧とねじり共振周波数の関係を示
すグラフである。
【図23】第7実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図24】第7実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図25】第8実施例におけるタイヤ負荷半径とねじり
共振周波数の関係を示すグラフである。
【図26】第9実施例の電子制御装置の処理内容を示す
フローチャートである。
【図27】ばね下荷重による同一共振周波数に対するタ
イヤ空気圧のばらつきを示す特性図である。
【図28】ねじり共振周波数の差とタイヤ空気圧との関
係を示す特性図である。
【図29】ねじり共振周波数fMAX とねじり共振周波数
の差を関係を示す特性図である。
【図30】ねじり共振周波数fMAX とねじり共振周波数
の差を関係を示す他の特性図である。
【図31】第10実施例のデータ選別処理を示す説明図
である。
【図32】第10実施例の電子制御装置の処理内容を示
すフローチャートである。
【図33】第10実施例のゲイン調整処理を示す説明図
である。
【図34】第11実施例の電子制御装置の処理内容を示
すフローチャートである。
【図35】第11実施例のデータ選別処理を示す説明図
である。
【図36】第11実施例のゲイン調整処理を示す説明図
である。
【図37】第12実施例の電子制御装置の処理内容を示
すフローチャートである。
【図38】図37におけるステップ100Kの詳細を示
すフローチャートである。
【図39】図37におけるステップ110Kの詳細を示
すフローチャートである。
【図40】振幅の大きい車輪振動を検出するための説明
図である。
【図41】図38におけるステップ120Kの詳細を示
すフローチャートである。
【図42】図41におけるステップ124Kの詳細を示
すフローチャートである。
【図43】図38におけるステップ130Kの詳細を示
すフローチャートである。
【図44】第13施例のメイン処理を示すフローチャー
トである。
【図45】タイヤ回転速度に基づいて空気圧の計算を行
う処理を示すフローチャートである。
【図46】ねじり共振周波数に基づいて空気圧を判定す
る処理を示すフローチャートである。
【図47】路面入力を検出してその荒れ具合により各空
気圧判定手段の判定値に重み付けを行う処理を示すフロ
ーチャートである。
【図48】2種類の検出値から正常圧に対する変更の学
習を行う処理を示すフローチャートである。
【図49】旋回状態を検出して空気圧の判定手段を切り
換える処理を示すフローチャートである。
【図50】車体の加減速度を検出して空気圧の判定手段
を切り換える処理を示すフローチャートである。
【図51】車両の姿勢変化による荷重移動を検出して空
気圧の判定手段を切り換える処理を示すフローチャート
である。
【図52】車両の走行速度を検出して空気圧の判定手段
を切り換える処理を示すフローチャートである。
【図53】各種の走行状態の総合評価によって空気圧の
判定手段を切り換える処理を示すフローチャートであ
る。
【図54】経年変化等で発生する正常圧の検出値の変更
を学習するための別の実施例の処理を示すフローチャー
トである。
【図55】二つの空気圧判定手段の検出結果が一致した
場合にのみ空気圧の表示または更新を行う処理を示すフ
ローチャートである。
【図56】各空気圧の判定結果について、それぞれの安
定性を評価して安定した判定結果を持つ判定手段を採用
する処理を示すフローチャートである。
【図57】車両の特性に基づいたねじり共振周波数−空
気圧の変換マップである。
【図58】上記図57におけるねじり共振周波数−空気
圧の変換マップをねじり共振周波数について線形補正し
た変換マップである。
【図59】ねじり共振周波数と路面入力レべルの関係を
示す特性図である。
【図60】タイヤ回転速度と路面入力レべルの関係を示
す特性図である。
【図61】タイヤ回転速度の左右タイヤ差と旋回半径の
関係を示す特性図である。
【図62】共振周波数と旋回半径の関係を示す特性図で
ある。
【図63】二輪駆動車における加速度とタイヤ回転速度
の前後タイヤ差の関係を示す特性図である。
【図64】接地荷重とタイヤ回転速度の関係を示す特性
図である。
【図65】接地荷重とねじり共振周波数の関係を示す特
性図である。
【図66】走行速度による遠心力のタイヤ回転速度への
影響を示す特性図である。
【図67】前後輪の車輪速度の振動成分の相互相関から
位相遅れを算出、絶対車速を算出する原理を説明するた
めの説明図である。
【図68】第22実施例の電子制御装置の処理内容を示
すフローチャートである。
【図69】第22実施例の変形例を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図70】第22実施例の他の変形例の原理を説明する
ための説明図である。
【図71】第22実施例の他の変形例の電子制御装置の
処理内容を示すフローチャートである。
【図72】修正タイヤ動負荷半径とタイヤ空気圧との関
係を示す特性図である。
【図73】タイヤ動負荷半径の修正係数と車速との関係
を示す特性図である。
【図74】第23実施例の電子制御装置の処理内容を示
すフローチャートである。
【図75】第24実施例の電子制御装置の処理内容の一
部を示すフローチャートである。
【図76】第24実施例の電子制御装置の処理内容の残
りの一部を示すフローチャートである。
【図77】ねじり共振周波数とタイヤ空気圧との関係を
示す特性図である。
【図78】第25実施例の電子制御装置の処理内容の一
部を示すフローチャートである。
【図79】第25実施例の電子制御装置の処理内容の残
りの一部を示すフローチャートである。
【図80】第26実施例の電子制御装置の処理内容の一
部を示すフローチャートである。
【図81】第26実施例の電子制御装置の処理内容の残
りの一部を示すフローチャートである。
【図82】タイヤ動負荷半径とタイヤ空気圧との関係を
示す特性図である。
【図83】ねじり共振周波数とタイヤ空気圧との関係を
示す特性図である。
【図84】ねじり共振周波数とタイヤ動負荷半径との関
係を示す特性図である。
【図85】タイヤの摩耗状態の検知原理を説明するため
の説明図である。
【図86】第27実施例の電子制御装置の処理内容の一
部を示すフローチャートである。
【図87】第27実施例の電子制御装置の処理内容の残
りの一部を示すフローチャートである。
【図88】第28実施例の電子制御装置の処理内容の一
部を示すフローチャートである。
【図89】第28施例の電子制御装置の処理内容の残り
の一部を示すフローチャートであ
【図90】第1実施例における移動平均処理を行った後
の周波数解析結果を示す特性図である。
【図91】第29実施例を説明するためのタイヤモデル
図である。
【図92】第29実施例の電子制御装置の処理内容を示
す特性図である。
【図93】タイヤ空気圧とねじりばね定数との関係を示
す特性図である。
【図94】タイヤ空気圧とタイヤ単体の共振周波数との
関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 タイヤ 2 歯車 3 ピックアップコイル 4 電子制御装置(ECU) 5 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 健司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 冨板 健治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 井上 祐一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 藤本 周策 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−133831(JP,A) 特開 平3−5211(JP,A) 特開 平3−143711(JP,A) 特開 平4−85118(JP,A) 特開 平2−241864(JP,A) 実開 昭62−148404(JP,U) 特表 平3−501715(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 23/00 - 23/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行時に、タイヤの振動周波数成
    分を含む信号を出力する出力手段と、 前記タイヤの振動周波数成分を含む信号からタイヤ単体
    の共振周波数を抽出する抽出手段と、前記タイヤ単体の
    共振周波数に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を検
    知する検知手段と、を備えると共に、 前記検知手段は、 前記共振周波数の変化率を求めこの変化率が所定値以下
    となり、且つ連続して所定回の演算において前記共振周
    波数が基準周波数より所定値以上低下したと判断された
    かの双方に基づいてタイヤ空気圧の低下状態を判断する
    ことを特徴とする タイヤ空気圧検知装置。
  2. 【請求項2】 車両の走行時に、タイヤの振動周波数成
    分を含む信号を出力する出力手段と、 前記タイヤの振動周波数成分を含む信号からタイヤ単体
    の共振周波数を抽出する抽出手段と、前記タイヤ単体の
    共振周波数に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を検
    知する検知手段と、 前記車両が高速走行をしているかを判断する高速走行判
    断手段と、 を備え、前記高速走行をしていると判断され、且つ前記
    共振周波数が大きくなったと判断された場合には、前記
    タイヤが発熱している状態であると判断し、前記共振周
    波数による空気圧の検知時に用いる判定値を補正するこ
    とを特徴とするタイヤ空気圧検知装置。
  3. 【請求項3】 車両の走行時に、タイヤの振動周波数成
    分を含む信号を出力する出力手段と、 前記タイヤの振動周波数成分を含む信号からタイヤ単体
    の共振周波数を抽出する抽出手段と、前記タイヤ単体の
    共振周波数に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を検
    知する検知手段と、 車輪速度および/または車体速度を検出する速度検知手
    段と、 前記速度検知手段によって検出される速度が所定以上の
    場合には、タイヤ空気 圧の許容範囲を上昇させる補正手
    段と、 を備えることを特徴とするタイヤ空気圧検知装置。
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