JP3279885B2 - アルミナ質焼結体の製造方法 - Google Patents
アルミナ質焼結体の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度、靱性に優れ
たアルミナ質焼結体の製造方法に関わり、特に、航空・
宇宙業界,製錬業界,化学業界等で用いられたり、ガス
タ−ビン,エンジン用部品等に使用される耐高温構造材
料のアルミナ質焼結体の製造方法に関する。
たアルミナ質焼結体の製造方法に関わり、特に、航空・
宇宙業界,製錬業界,化学業界等で用いられたり、ガス
タ−ビン,エンジン用部品等に使用される耐高温構造材
料のアルミナ質焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルミナ質焼結体は、耐高温
の構造部材として、耐環境性,強度ともに優れることで
注目されてきた。また、その強度と破壊靭性をさらに向
上させるために、種々の組織制御および複合化が試みら
れている。例えば、低温焼成や、粒成長を抑制する助剤
を添加することにより、微粒な焼結組織を形成すること
は一般的に知られている。また、Al2 O3 −SiC複
合材料、Al2 O3 −ZrO2 複合材料、形状異方性の
β−Al2 O3 結晶分散アルミナ材料が知られており
(特開昭61−122164号公報、特開昭63−13
9044号公報、特開昭63−134551号公報等参
照)、このような複合材料によれば、純粋なアルミナ質
焼結体よりも強度および靭性を向上することができる。
の構造部材として、耐環境性,強度ともに優れることで
注目されてきた。また、その強度と破壊靭性をさらに向
上させるために、種々の組織制御および複合化が試みら
れている。例えば、低温焼成や、粒成長を抑制する助剤
を添加することにより、微粒な焼結組織を形成すること
は一般的に知られている。また、Al2 O3 −SiC複
合材料、Al2 O3 −ZrO2 複合材料、形状異方性の
β−Al2 O3 結晶分散アルミナ材料が知られており
(特開昭61−122164号公報、特開昭63−13
9044号公報、特開昭63−134551号公報等参
照)、このような複合材料によれば、純粋なアルミナ質
焼結体よりも強度および靭性を向上することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記A
l2 O3 −SiC複合材料では、非酸化物のSiCを分
散含有するため、高温酸化雰囲気において耐酸化性に欠
け、Al2 O3 −ZrO2 複合材料は900℃付近の温
度で強度が急激に低下するという問題があり、SiCや
ZrO2 などの第2相を含まない系での強度および靱性
の向上が望まれる。
l2 O3 −SiC複合材料では、非酸化物のSiCを分
散含有するため、高温酸化雰囲気において耐酸化性に欠
け、Al2 O3 −ZrO2 複合材料は900℃付近の温
度で強度が急激に低下するという問題があり、SiCや
ZrO2 などの第2相を含まない系での強度および靱性
の向上が望まれる。
【0004】また、前記微粒組織のアルミナ質焼結体
は、強度が向上されたものの、破壊靭性はむしろ低下す
る傾向にあるという問題があり、強度とともに靱性の向
上には至っていない。また、β−Al2 O3 分散アルミ
ナ材料は、β−Al2 O3 結晶のヤング率が低く、また
粒成長速度が低いために形状異方性粒子が成長しにくい
等の理由から、靭性の向上に対する寄与が小さく、例え
ば、室温における破壊靱性は、せいぜい3.2〜3.4
MPa・m1/2 であった。(特開昭63−134551
号)。
は、強度が向上されたものの、破壊靭性はむしろ低下す
る傾向にあるという問題があり、強度とともに靱性の向
上には至っていない。また、β−Al2 O3 分散アルミ
ナ材料は、β−Al2 O3 結晶のヤング率が低く、また
粒成長速度が低いために形状異方性粒子が成長しにくい
等の理由から、靭性の向上に対する寄与が小さく、例え
ば、室温における破壊靱性は、せいぜい3.2〜3.4
MPa・m1/2 であった。(特開昭63−134551
号)。
【0005】本発明は、これらの問題を解決し、強度と
破壊靭性に優れたアルミナ質焼結体およびその製造方法
を提供することを目的とするものである。
破壊靭性に優れたアルミナ質焼結体およびその製造方法
を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アルミナの
室温強度および破壊靭性を同時に上げるためには、微細
な等方性結晶と異方性形状を有する結晶を共存させるこ
とが有効であり、また、異方性形状結晶は高ヤング率を
有するとともに、サイズと形状を制御することが重要で
あるという見地に基づいて研究を重ねた結果、長径が3
μm以下、アスペクト比が1.5以下の等方性Al2 O
3 結晶粒と、長径が10μm以上、アスペクト比が3以
上の異方性Al2 O3 結晶粒の混合組織を持つアルミナ
質焼結体は強度と破壊靭性がともに優れることを見いだ
し、本発明に至った。
室温強度および破壊靭性を同時に上げるためには、微細
な等方性結晶と異方性形状を有する結晶を共存させるこ
とが有効であり、また、異方性形状結晶は高ヤング率を
有するとともに、サイズと形状を制御することが重要で
あるという見地に基づいて研究を重ねた結果、長径が3
μm以下、アスペクト比が1.5以下の等方性Al2 O
3 結晶粒と、長径が10μm以上、アスペクト比が3以
上の異方性Al2 O3 結晶粒の混合組織を持つアルミナ
質焼結体は強度と破壊靭性がともに優れることを見いだ
し、本発明に至った。
【0007】また、Al2 O3 粉末に、Al2 O3 との
共晶点が1600℃以下である金属酸化物を添加混合
し、成形後、焼成するに際し、室温から焼成温度までを
8℃/min以上の昇温速度で昇温すれば、上記組織特
徴を有するアルミナ質焼結体が得られることを見いだ
し、本発明に至った。なお、上記製造方法の中、焼成が
マイクロ波により加熱することで、所定の昇温速度を実
現できる上に、前記組織の形成が促進されることを見い
だし、本発明に至った。
共晶点が1600℃以下である金属酸化物を添加混合
し、成形後、焼成するに際し、室温から焼成温度までを
8℃/min以上の昇温速度で昇温すれば、上記組織特
徴を有するアルミナ質焼結体が得られることを見いだ
し、本発明に至った。なお、上記製造方法の中、焼成が
マイクロ波により加熱することで、所定の昇温速度を実
現できる上に、前記組織の形成が促進されることを見い
だし、本発明に至った。
【0008】さらに、マイクロ波による加熱焼成中に、
焼結体に対して圧力を加えることにより得られた前記組
織特徴を有する焼結体は、緻密性が向上し、より優れた
強度と破壊靭性を示すことを見いだし、本発明に至っ
た。
焼結体に対して圧力を加えることにより得られた前記組
織特徴を有する焼結体は、緻密性が向上し、より優れた
強度と破壊靭性を示すことを見いだし、本発明に至っ
た。
【0009】
【作用】本発明におけるアルミナ質焼結体は、粒径3μ
m以下の微細な等方性Al2 O3 結晶粒と、長径が10
μm以上、アスペクト比が3以上の異方性Al2 O3 結
晶粒を共存させることにより、強度と破壊靭性がともに
優れたアルミナ質焼結体を得ることができる。しかも、
SiCやZrO2 などの第2相を含まないことから、A
l2 O3 が有する優れた高温での耐酸化性や急激な強度
劣化を招くこともない。
m以下の微細な等方性Al2 O3 結晶粒と、長径が10
μm以上、アスペクト比が3以上の異方性Al2 O3 結
晶粒を共存させることにより、強度と破壊靭性がともに
優れたアルミナ質焼結体を得ることができる。しかも、
SiCやZrO2 などの第2相を含まないことから、A
l2 O3 が有する優れた高温での耐酸化性や急激な強度
劣化を招くこともない。
【0010】また、Al2 O3 粉末に、Al2 O3 との
共晶点が1600℃以下である金属酸化物をを添加混合
し、成形後、焼成するにあたって、少なくとも室温から
焼成温度までの温度領域を8℃/min以上の昇温速度
で昇温することにより、昇温過程で液相成分が急激に生
成されるために液相が不均一に生成され、その結果、部
分的な粒成長を引き起こし、等方性Al2 O3 結晶粒
と、異方性Al2 O3 結晶粒とが共存した焼結体を作製
することができる。
共晶点が1600℃以下である金属酸化物をを添加混合
し、成形後、焼成するにあたって、少なくとも室温から
焼成温度までの温度領域を8℃/min以上の昇温速度
で昇温することにより、昇温過程で液相成分が急激に生
成されるために液相が不均一に生成され、その結果、部
分的な粒成長を引き起こし、等方性Al2 O3 結晶粒
と、異方性Al2 O3 結晶粒とが共存した焼結体を作製
することができる。
【0011】なお、焼成時の加熱をマイクロ波により行
えば、15℃/min以上もの高い昇温速度を実現する
することができ、さらに、マイクロ波加熱焼成と同時に
圧力を付与することにより、さらに高密度化を促進し、
高強度、高靱性のアルミナ質焼結体を作製することがで
きる。
えば、15℃/min以上もの高い昇温速度を実現する
することができ、さらに、マイクロ波加熱焼成と同時に
圧力を付与することにより、さらに高密度化を促進し、
高強度、高靱性のアルミナ質焼結体を作製することがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
のアルミナ質焼結体は、組織上、微粒な等方性Al2 O
3 結晶粒と形状異方性Al2 O3 結晶粒が共存すること
を特徴とする。
のアルミナ質焼結体は、組織上、微粒な等方性Al2 O
3 結晶粒と形状異方性Al2 O3 結晶粒が共存すること
を特徴とする。
【0013】ここで、微粒な等方性結晶とは、長径が3
μm以下、アスペクト比(長径/短径)が1.5以下の
結晶粒を言う。この微粒な等方性結晶の存在は、焼結体
の強度向上に寄与することが知られている。本発明で
は、このような微粒かつ等方性の結晶は焼結体全体の1
5〜80体積%の割合で存在することが重要である。こ
のような微粒結晶の存在量が15体積%より少ないと、
強度向上の効果が小さくなり、逆に、その量が80体積
%より多くなると、粒界に沿ってクラックが容易に進展
し、材料の破壊靭性が低下する。この等方性結晶は、焼
結体全体の30〜70体積%の割合で存在することが望
ましい。
μm以下、アスペクト比(長径/短径)が1.5以下の
結晶粒を言う。この微粒な等方性結晶の存在は、焼結体
の強度向上に寄与することが知られている。本発明で
は、このような微粒かつ等方性の結晶は焼結体全体の1
5〜80体積%の割合で存在することが重要である。こ
のような微粒結晶の存在量が15体積%より少ないと、
強度向上の効果が小さくなり、逆に、その量が80体積
%より多くなると、粒界に沿ってクラックが容易に進展
し、材料の破壊靭性が低下する。この等方性結晶は、焼
結体全体の30〜70体積%の割合で存在することが望
ましい。
【0014】また、本発明のアルミナ質焼結体中には、
形状異方性Al2 O3 結晶粒の存在が重要である。ここ
で言う形状異方性Al2 O3 結晶粒は、長径が10μm
以上、アスペクト比が3以上の柱状あるいは板状Al2
O3 結晶である。微粒のAl2 O3 結晶組織の中上記柱
状あるいは板状Al2 O3 結晶の存在は、クラックの進
展に対して、ディフラクション効果またはブリジング効
果により材料の破壊靭性を著しく向上する。しかし、こ
の柱状あるいは板状結晶が20体積%より少ないと靭性
向上効果が小さく、また85体積%を越えるような場合
では、異常成長結晶が多く現れ、焼結体の強度を著しく
低下させる。従って、上記形状異方性Al2 O3 結晶粒
は焼結体全体の20〜85体積%、特に40〜80体積
%であることがより望ましい。
形状異方性Al2 O3 結晶粒の存在が重要である。ここ
で言う形状異方性Al2 O3 結晶粒は、長径が10μm
以上、アスペクト比が3以上の柱状あるいは板状Al2
O3 結晶である。微粒のAl2 O3 結晶組織の中上記柱
状あるいは板状Al2 O3 結晶の存在は、クラックの進
展に対して、ディフラクション効果またはブリジング効
果により材料の破壊靭性を著しく向上する。しかし、こ
の柱状あるいは板状結晶が20体積%より少ないと靭性
向上効果が小さく、また85体積%を越えるような場合
では、異常成長結晶が多く現れ、焼結体の強度を著しく
低下させる。従って、上記形状異方性Al2 O3 結晶粒
は焼結体全体の20〜85体積%、特に40〜80体積
%であることがより望ましい。
【0015】上記の本発明のアルミナ質焼結体は、Al
2 O3 粉末に、Al2 O3 との共晶点が1600℃以下
である金属酸化物を添加し、混合、成形後、かかる成形
体を室温から焼成温度までを8℃/min以上の昇温速
度で昇温した後、焼結することにより製造される。ここ
で、上記昇温速度は、室温から焼成温度までの平均昇温
速度であって、焼成温度と室温(25℃)との差を室温
から焼成温度に達するまでの時間で割った値で算出され
る。
2 O3 粉末に、Al2 O3 との共晶点が1600℃以下
である金属酸化物を添加し、混合、成形後、かかる成形
体を室温から焼成温度までを8℃/min以上の昇温速
度で昇温した後、焼結することにより製造される。ここ
で、上記昇温速度は、室温から焼成温度までの平均昇温
速度であって、焼成温度と室温(25℃)との差を室温
から焼成温度に達するまでの時間で割った値で算出され
る。
【0016】かかる製造方法によれば、Al2 O3 との
共晶点が1600℃以下の金属酸化物の添加が重要であ
る。上記金属酸化物の添加により、焼成中に液相を一定
量生成し、結晶の異方性成長を促進する。Al2 O3 と
の共晶点が1600℃以下になるなら、単一種類の添加
剤あるいは複数の添加物どちらでも良い。その種類は特
に限定しないが、例えば、Na、Mg、Ca、Sr、B
a、Ti、Fe、Mn、W、Si、および周期律表第3
A族元素の酸化物から選ぶ1種類以上のものである。ま
た、その添加量は、添加種類および焼成条件に応じて調
整するが、組織制御と材料特性の向上の見地から、0.
1〜10mol%の範囲で添加することが望ましい。ま
た、Al2 O3 原料中の一部の不純物は添加する金属酸
化物と作用し、低融点相を形成することも可能である。
共晶点が1600℃以下の金属酸化物の添加が重要であ
る。上記金属酸化物の添加により、焼成中に液相を一定
量生成し、結晶の異方性成長を促進する。Al2 O3 と
の共晶点が1600℃以下になるなら、単一種類の添加
剤あるいは複数の添加物どちらでも良い。その種類は特
に限定しないが、例えば、Na、Mg、Ca、Sr、B
a、Ti、Fe、Mn、W、Si、および周期律表第3
A族元素の酸化物から選ぶ1種類以上のものである。ま
た、その添加量は、添加種類および焼成条件に応じて調
整するが、組織制御と材料特性の向上の見地から、0.
1〜10mol%の範囲で添加することが望ましい。ま
た、Al2 O3 原料中の一部の不純物は添加する金属酸
化物と作用し、低融点相を形成することも可能である。
【0017】上記金属酸化物は公知の原料、例えば酸化
物粉末、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの酸化物形成粉
末、金属粉末、当該金属を含む有機、無機物およびその
溶液を用いることができる。
物粉末、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの酸化物形成粉
末、金属粉末、当該金属を含む有機、無機物およびその
溶液を用いることができる。
【0018】上記金属酸化物をAl2 O3 と混合し、公
知の成形技術、例えば、金型プレス,鋳込み成型,押出
成型,射出成型,冷間静水圧プレスなどにより任意の形
状に成形する。この成形体を公知の焼結法で焼成する
が、本発明によれば、焼成時において室温から焼成温度
までの昇温速度が8℃/min以上であることが重要で
ある。このような条件で昇温すると、焼結体中に不均一
的に液相が生成する。液相が多く生成する箇所では一部
の形状異方性結晶の成長が促進されるが、液相が少ない
領域では等方性結晶が微粒のままで焼成できるため、形
状異方性結晶と等方性結晶が混在した焼結体が生成され
る。
知の成形技術、例えば、金型プレス,鋳込み成型,押出
成型,射出成型,冷間静水圧プレスなどにより任意の形
状に成形する。この成形体を公知の焼結法で焼成する
が、本発明によれば、焼成時において室温から焼成温度
までの昇温速度が8℃/min以上であることが重要で
ある。このような条件で昇温すると、焼結体中に不均一
的に液相が生成する。液相が多く生成する箇所では一部
の形状異方性結晶の成長が促進されるが、液相が少ない
領域では等方性結晶が微粒のままで焼成できるため、形
状異方性結晶と等方性結晶が混在した焼結体が生成され
る。
【0019】なお、焼成温度は、その組成にもよるが、
緻密化と組織形成の見地から、液相形成温度以上、17
00℃以下、さらに具体的には、1200℃〜1700
℃がよい。
緻密化と組織形成の見地から、液相形成温度以上、17
00℃以下、さらに具体的には、1200℃〜1700
℃がよい。
【0020】また、本発明の製造方法によれば、成形体
を加熱手段としてマイクロ波を用いることが有効であ
る。通常の抵抗加熱方法では、焼結体の外部から内部へ
熱が伝わるため、サイズが大きな焼結体には、高速昇温
には困難である。これに対して、マイクロ波加熱では、
焼結体自体を発熱させることができるために、本発明の
ような高い昇温速度を実現しやすい。その上、組成によ
りマイクロ波を選択的に吸収し発熱する現象を利用し、
異方性結晶の発達を促進されると同時に、焼成時間が短
縮でき、微粒結晶の存在割合を増やすことができる。加
熱手段として用いるマイクロ波は出力1KW以上、特に
5KW以上がよい。
を加熱手段としてマイクロ波を用いることが有効であ
る。通常の抵抗加熱方法では、焼結体の外部から内部へ
熱が伝わるため、サイズが大きな焼結体には、高速昇温
には困難である。これに対して、マイクロ波加熱では、
焼結体自体を発熱させることができるために、本発明の
ような高い昇温速度を実現しやすい。その上、組成によ
りマイクロ波を選択的に吸収し発熱する現象を利用し、
異方性結晶の発達を促進されると同時に、焼成時間が短
縮でき、微粒結晶の存在割合を増やすことができる。加
熱手段として用いるマイクロ波は出力1KW以上、特に
5KW以上がよい。
【0021】さらに、本発明の製造方法によれば、上記
マイクロ波加熱により昇温または焼成中に、焼結体に圧
力を加えることはが有効である。本発明の焼結体を製造
するには、異方性粒子を発達すると同時に、微粒な等方
性粒子の成長を抑制することが重要である。従って、焼
成温度の低温化及び焼成時間の短縮は組織の形成にとっ
て好ましい。しかし、焼成温度を下げたり、焼成時間を
短縮することで、焼結体が充分に緻密化できないことが
ある。そこで、昇温、焼成中に圧力を加えることによ
り、制御された組織と充分な密度を有する焼結体が得ら
れる。圧力付与としては、ガス圧力あるいは機械的圧力
を用いることが可能であり、例えば、50kg/cm2
以上、特に200kg/cm2 以上の機械的圧力を付与
したり、熱間静水圧焼成炉を用いてガス圧力を付与する
こともできるが、装置上の簡略性からは、機械的圧力を
加えることが有効である。
マイクロ波加熱により昇温または焼成中に、焼結体に圧
力を加えることはが有効である。本発明の焼結体を製造
するには、異方性粒子を発達すると同時に、微粒な等方
性粒子の成長を抑制することが重要である。従って、焼
成温度の低温化及び焼成時間の短縮は組織の形成にとっ
て好ましい。しかし、焼成温度を下げたり、焼成時間を
短縮することで、焼結体が充分に緻密化できないことが
ある。そこで、昇温、焼成中に圧力を加えることによ
り、制御された組織と充分な密度を有する焼結体が得ら
れる。圧力付与としては、ガス圧力あるいは機械的圧力
を用いることが可能であり、例えば、50kg/cm2
以上、特に200kg/cm2 以上の機械的圧力を付与
したり、熱間静水圧焼成炉を用いてガス圧力を付与する
こともできるが、装置上の簡略性からは、機械的圧力を
加えることが有効である。
【0022】
【実施例】純度99.9%のアルミナ粉末、酸化マグネ
シウム粉末、酸化チタン粉末、酸化ランタンニウム粉末
および酸化珪素粉末を用い、表1に示すような組成にな
るように調合した。それぞれの組成系の共晶温度は、原
料中に不純物としての酸化珪素(約500ppm)の存
在から1300℃〜1400℃であると推定された。上
記混合粉末を1t/cm2 の圧力でプレス成形した後、
さらに3t/cm2の圧力で静水圧処理を加えた。上記
成形体を大気中に表1に示す加熱方式で室温から焼成温
度までを表1の昇温速度で昇温し、表1の条件で焼成し
た。なお、試料No.8、11については、ホットプレス
法に基づき100〜300kg/cm2 の圧力を付与し
た。
シウム粉末、酸化チタン粉末、酸化ランタンニウム粉末
および酸化珪素粉末を用い、表1に示すような組成にな
るように調合した。それぞれの組成系の共晶温度は、原
料中に不純物としての酸化珪素(約500ppm)の存
在から1300℃〜1400℃であると推定された。上
記混合粉末を1t/cm2 の圧力でプレス成形した後、
さらに3t/cm2の圧力で静水圧処理を加えた。上記
成形体を大気中に表1に示す加熱方式で室温から焼成温
度までを表1の昇温速度で昇温し、表1の条件で焼成し
た。なお、試料No.8、11については、ホットプレス
法に基づき100〜300kg/cm2 の圧力を付与し
た。
【0023】得られた焼結体の密度を測定し、鏡面に研
磨後、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で組織を観察
し、長径が3μm以下、アスペクト比が1.5以下の等
方性Al2 O3 結晶粒と、長径が10μm以上、アスペ
クト比が3以上の異方性Al2 O3 結晶粒との存在割合
をルーゼックスによる画像解析から求めた。
磨後、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で組織を観察
し、長径が3μm以下、アスペクト比が1.5以下の等
方性Al2 O3 結晶粒と、長径が10μm以上、アスペ
クト比が3以上の異方性Al2 O3 結晶粒との存在割合
をルーゼックスによる画像解析から求めた。
【0024】さらに、各焼結体をJIS−R1601に
て指定されている形状まで研磨し抗折試料を作製した。
この試料についてJIS−R1601に基づく室温で4
点曲げ抗折強度試験を実施した。また、ビッカース圧痕
法により破壊靭性(K1c)を測定した。密度、組織定量
化測定の結果および強度と破壊靭性測定の結果を表2に
示す。なお、試料No.5の焼結体の組織の模写図を図1
に示した。
て指定されている形状まで研磨し抗折試料を作製した。
この試料についてJIS−R1601に基づく室温で4
点曲げ抗折強度試験を実施した。また、ビッカース圧痕
法により破壊靭性(K1c)を測定した。密度、組織定量
化測定の結果および強度と破壊靭性測定の結果を表2に
示す。なお、試料No.5の焼結体の組織の模写図を図1
に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表2の結果から、本発明に基づいて得られ
た等方性Al2 O3 結晶粒と異方性Al2 O3 結晶粒と
が所定の割合で混在したアルミナ質焼結体は、従来のア
ルミナ質焼結体および本発明以外のアルミナ質焼結体に
比べて、より優れた強度と破壊靭性を示し、室温強度5
00MPa以上、靱性4.0MPa・m1/2 以上の優れ
た特性が得られた。
た等方性Al2 O3 結晶粒と異方性Al2 O3 結晶粒と
が所定の割合で混在したアルミナ質焼結体は、従来のア
ルミナ質焼結体および本発明以外のアルミナ質焼結体に
比べて、より優れた強度と破壊靭性を示し、室温強度5
00MPa以上、靱性4.0MPa・m1/2 以上の優れ
た特性が得られた。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、Al2O3粉末とAl2
O3との共晶点が1600℃以下である金属酸化物との
混合物からなる成形体を、焼成温度まで高速昇温して焼
成することにより、等方性Al2O3結晶粒と異方性Al
2O3結晶粒とが共存した、強度と破壊靭性がともに優れ
たアルミナ質焼結体を容易に得ることができる。
O3との共晶点が1600℃以下である金属酸化物との
混合物からなる成形体を、焼成温度まで高速昇温して焼
成することにより、等方性Al2O3結晶粒と異方性Al
2O3結晶粒とが共存した、強度と破壊靭性がともに優れ
たアルミナ質焼結体を容易に得ることができる。
【図1】本発明のアルミナ質焼結体の組織を示す模写図
である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】Al2O3粉末に、Al2O3との共晶点が1
600℃以下の金属酸化物を添加混合し、成形後、室温
から8℃/min以上の昇温速度で焼成温度まで昇温し
て焼成し、長径が3μm以下、アスペクト比が1.5以
下の等方性Al2O3結晶粒を全量中15〜80体積%、
長径が10μm以上、アスペクト比が3以上の異方性A
l2O3結晶粒を全量中20〜85体積%の割合で含有す
ることを特徴とするアルミナ質焼結体の製造方法。 - 【請求項2】前記昇温、焼成をマイクロ波による加熱に
よって行う請求項1記載のアルミナ質焼結体の製造方
法。 - 【請求項3】前記昇温、焼結を圧力を付与した状態で行
う請求項1または請求項2記載のアルミナ質焼結体の製
造方法。
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-
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- 1995-09-28 JP JP25073595A patent/JP3279885B2/ja not_active Expired - Fee Related
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