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JP3128213B2 - 炉内耐火物表面にガラス状釉層を形成する釉薬およびガラス状釉層形成方法 - Google Patents

炉内耐火物表面にガラス状釉層を形成する釉薬およびガラス状釉層形成方法

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Publication number
JP3128213B2
JP3128213B2 JP09287316A JP28731697A JP3128213B2 JP 3128213 B2 JP3128213 B2 JP 3128213B2 JP 09287316 A JP09287316 A JP 09287316A JP 28731697 A JP28731697 A JP 28731697A JP 3128213 B2 JP3128213 B2 JP 3128213B2
Authority
JP
Japan
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glaze
furnace
weight
refractory
glaze layer
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP09287316A
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English (en)
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JPH10158080A (ja
Inventor
誠一 坂口
光俊 村瀬
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Asahi Chemical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Co Ltd
Priority to JP09287316A priority Critical patent/JP3128213B2/ja
Publication of JPH10158080A publication Critical patent/JPH10158080A/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温炉の壁面である耐
火煉瓦、不定形耐火物、目地などの部位に熱間または冷
間で施工し、前記耐火物表面にガラス状釉層を形成する
釉薬およびガラス状釉層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温炉、たとえばコークス炉は石炭を約
1100℃で20〜25時間蒸焼することによってコー
クスを製造する。この石炭の乾留過程でタール状物質や
炭化水素のガスが発生する。これらはコークス炉内壁、
炉蓋、石炭投入口等の隙間や、炉体耐火物の開口気孔に
侵入、熱分解炭化して強固なカーボンの付着物を形成す
る。またカーボン焼成炉は、カーボン原料を焼成してカ
ーボンを製造する。このカーボン原料の焼成に際してカ
ーボンの一部が飛散して、炉内耐火物に強固に付着成長
する。
【0003】このカーボン付着物は耐火物の融点を低下
させ、かつ耐火物の脆化の原因となる。また堆積するカ
ーボン付着物のために炉蓋の開閉が困難になり、かつ炉
蓋の炉に対する密封性を悪くする。このため付着したカ
ーボンを機械的に除去することも行われているが、付着
が強固なため、除去作業に長時間かかり、作業環境も劣
悪である。さらに除去作業中に、耐火物自体の表面が削
り取られることもある。別の方法として、空気または酸
素ガスを吹き込んで焼き落としを行っているが、この方
法では作業範囲は炉口近傍に限られてしまう。炉の全域
を清掃するためには、炉の操業を中断し、炉を空窯状態
にして焼落としせねばならない。しかし焼落とし作業自
体苛酷な高熱作業であるとともに、焼落とし時の燃焼熱
は炉体の耐火物に対して局部的な高熱状態をもたらし、
炉体損傷の原因ともなる。またコークス炉は、長期の使
用によって、たとえば目地切れなどが発生する。
【0004】このような状況に対し、従来よりカーボン
の付着しにくい耐火物や耐火物表面をカーボンの付着し
難いコーティング膜で被覆することおよび目地切れなど
を補修する方法について種々検討されてきた。たとえ
ば、 特公昭62−19477:炭化ケイ素、窒化珪素また
は黒鉛粒子と無機結合剤とから成る組成物をコークス炉
内の内張り煉瓦上に塗布する。 特開昭62−197371:炭化ケイ素、窒化ケイ素
などから成る耐熱性およびタール性物質浸透防止性付与
剤と、リン酸塩、酸化イットリウムなどから成るバイン
ダーと、チタン酸カリウム繊維から成る断熱性付与剤と
をコークス炉の内壁面に塗布する。 特公昭63−40463:黒鉛粉末とコロイダルシリ
カ、アルミナゾルなどの無機バインダーをコークス炉の
ドア用内張耐火物に塗布する。 特開昭63−236783:釉薬と煉瓦を同時焼成し
釉層が形成されたコークス炉用耐火煉瓦を製造する。
【0005】前記の方法のうち、炭化ケイ素、窒化ケイ
素または黒鉛などを使用する,,の方法は、これ
らの粒子とバインダーの馴染みが悪く、密着強度が不充
分で、操業中被覆層が剥離脱落するという問題がある。
【0006】の釉層を形成した煉瓦を用いる方法は、
密着性が良好で操業中脱落することもない。また釉層被
膜中の気孔もほとんどないため、カーボンが浸透するこ
ともなく非常に効果的な方法である。しかしながら、コ
ークス炉または炉蓋などを新たに製作する場合、この方
法が適用可能であるが、炉を操業しながら、炉の耐火物
表面に釉層を形成することは不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
点に鑑みて成されたものであり、高温炉の炉内壁面に、
釉薬を熱間または冷間で施工し、壁面耐火物上に緻密で
耐久性のあるガラス状釉層を溶着形成させる釉薬、およ
びガラス状釉層を形成する方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、釉層を形成す
る組成として、酸化物基準で、R2O(RはNaまたは
Kを表す、以下同じ)が10〜40重量%と、残部にS
iO2 とを含み、かつ融点が900℃以下であることを
特徴とする炉内耐火物表面にガラス状釉層を熱間施工ま
たは冷間施工で形成する釉薬である。
【0009】本発明者らは、多様な金属酸化物の組合せ
について、酸化珪素と共に用いた場合の釉薬としての利
用可能性を試験し、900℃以下の温度で溶融し、溶融
後成分の一部が高温炉の操業温度以下で揮散または拡散
して、その融点が上昇し、高温炉の操業温度で溶融しな
い金属酸化物をみつけ本発明を完成した。
【0010】本明細書中で釉薬とは、高温炉の炉体を構
成する耐火物の表面に塗布される状態の薬剤を指す。施
工後各々酸化物に変換される金属塩あるいは金属化合物
と珪酸化合物とを含有すればよく、必ずしも前記酸化物
を施工前から含む必要はない。
【0011】本発明に従えば、釉薬はR2Oを10〜4
0重量%と残部にSiO2とを含む。R2Oは、Na2
またはK2Oから成り、両者の混合物であってもよい。
2Oが10重量%未満では、釉薬の融点が900℃以
下にならず、またこれが40重量%を超えると、融点が
低くなりすぎ、施工後の融点上昇に時間がかかり、鉛直
面に塗布された場合に垂下がり現象を起こす。さらに釉
層からの揮散物が増加し、緻密な釉層ができない。
【0012】前記酸化物に変換される適当な前駆体とし
て、同一の金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩、
硫酸塩、塩化物等が挙げられる。前駆体は施工後、好ま
しくは約600℃以上の温度で酸化物に変換されるもの
であればよい。
【0013】Na2Oの前駆体としては、水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナト
リウム、燐酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリ
ウム、珪酸ナトリウムなどが好ましい。
【0014】K2Oの前駆体としては、水酸化カリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硝酸カリウム、
燐酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、珪酸カリ
ウムなどが好ましい。
【0015】本発明において、釉薬の融点が施工後、高
温炉の操業温度以下の温度で上昇する理由は、組成物中
の成分の一部が時間とともに揮散または拡散するためと
考えられる。この機構の詳細は、本発明を限定するもの
ではないが、R2OがSiO2と共存すると、融点(Si
2単独なら1728℃)を著しく降下させる。これら
アルカリ金属酸化物は拡散係数が大きくまた蒸気圧も比
較的高いため、施工後、時間の経過とともに拡散、揮散
し釉層の組成がSiO2 膜に近づき、その結果融点が上
昇する。
【0016】また本発明は、釉層を形成する組成とし
て、酸化物基準で、Li2Oが0〜10重量%、B23
が0〜10重量%、R2Oが10〜40重量%と、残部
にSiO2 とを含み、かつ融点が900℃以下であるこ
とを特徴とする炉内耐火物表面にガラス状釉層を熱間施
工または冷間施工で形成する釉薬である。
【0017】また本発明は、Li2Oを0.2〜10重
量%含むことを特徴とする。また本発明は、B23
0.5〜10重量%含むことを特徴とする。
【0018】本発明に従う釉薬は、酸化物基準で、Li
2O、0〜約10重量%と、B23、0〜約10重量%
とを含むことが好ましい。さらにLi2O、0.2〜約
10重量%および/またはB23、0.5〜約10重量
%を含むことが特に好ましい。
【0019】したがって、釉薬の組成として、前記R2
O、10〜40重量%および残部がSiO2からなる基
本組成のものの他に、第1の好適な釉薬の組成として、
Li2O、0.2〜10重量%、R2O、10〜40重量
%および残部がSiO2からなるものと、第2の好適な
釉薬の組成として、B23、0.5〜10重量%、R2
O、10〜40重量%および残部がSiO2からなるも
のと、第3の好適な釉薬の組成として、Li2O、0.
2〜10重量%、B23 、0.5〜10重量%、R
2O、10〜40重量%および残部がSiO2からなるも
のとがある。
【0020】Li2O,B23は、釉薬の融点を下げる
のに効果があり、また釉層が形成された後、昇温によっ
て揮散しやすい。Li2O,B23の割合が10重量%
を超えると、融点が低くなり過ぎ好ましくない。
【0021】本発明に用いる釉薬の融点は、実炉温度以
下で、炉内壁耐火物の周辺部を考慮して約900℃以下
に設定する必要がある。融点を設定値以下になるよう
に、組成物の成分比を適宜調整することも本発明の一態
様である。具体的には、Li2O−Na2O−SiO2
三成分系の場合、その状態図(たとえば、F.C.Kracek,
J.Am.Chem.Soc.,61,2871(1939)を参照)から融点9
00℃以下の適当な領域で各成分の重量%を求め、所望
の成分比を与えるよう、Li2O,Na2O,SiO2
前駆体を各々規定量混合し、本発明の釉薬を得ることが
できる。
【0022】Li2O,B23は、R2Oと同じく前駆体
の形で水溶液またはスラリーとして釉薬に用いられる。
Li2Oの前駆体としては、水酸化リチウム、炭酸リチ
ウム、炭酸水素リチウム、硝酸リチウム、燐酸リチウ
ム、硫酸リチウム、塩化リチウム、珪酸リチウムなどが
好ましい。B23の前駆体としては、ホウ酸、ホウ酸ナ
トリウム、ホウ酸カリウムなどが好ましい。
【0023】以上のように本発明に従う釉薬は、R2
を10〜40重量%と、Li2Oを0〜10重量%と、
23 を0〜10重量%と、残部にSiO2 とを含
む。すなわち、R2O、Li2O、B23、SiO2以外
の物質を含むことを妨げない。R2O、Li2O、B
23、SiO2以外の物質としては、Al23、Mg
O、CaO、ZrO2、TiO2(以下、Al23などと
いう)が好ましい。Al23などは、釉薬が耐火物表面
に釉層を形成したとき、耐火物と釉層の馴染みをよく
し、耐火物と釉層との間の熱膨張の差によって、釉層に
クラックが生じるのを防ぐ。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】また本発明は、SiO2 を形成する化合物
が珪酸ナトリウム、珪酸カリウムおよび珪酸リチウムか
ら成る群より選ばれる一種以上およびアルカリシリコネ
ートから成ることを特徴とする。
【0030】また本発明は、アルカリシリコネートがナ
トリウムメチルシリコネートで、かつCH3SiO1.5
基準で2重量%〜30重量%であることを特徴とする。
【0031】本発明に従えば、SiO2を形成する化合
物(SiO2前駆体)としては、前記のものが好まし
い。またアルカリシリコネートとしてナトリウムメチル
シリコネートが特に好ましく、これがCH3SiO1.5
準でSiO2を形成する化合物の2〜30重量%含まれ
るものが特に好ましい。
【0032】また本発明は、炉内耐火物が耐火煉瓦、目
地および不定形耐火物から成る群より選ばれることを特
徴とする。
【0033】本発明に従えば、釉薬を塗布して釉層を形
成する炉内耐火物は特に限定されないが、耐火煉瓦、目
地および不定形耐火物に対して用いることが好ましく、
特に目地切れなどを熱間で補修するのに好ましい。
【0034】また本発明は、前記釉薬を炉内耐火物の表
面に熱間施工することを特徴とするガラス状釉層の形成
方法である。
【0035】本発明に従う釉薬を高温炉の内壁面を構成
する耐火物表面に施工するためには、釉薬を所定面には
けもしくはこてで塗布または吹付け等の標準的な塗布方
法を用いる。したがって、耐火物表面に均一に施工する
には、釉薬は水溶液あるいは水溶液に近いスラリー状に
されることが望ましい。前記の金属塩および金属化合物
のうち水溶性ものもは、金属を所望の組成比に、水溶液
中で容易に調製できる。また水に不溶または難溶のもの
は微粉砕し、水中に分散させてスラリー状として使用す
る。
【0036】施工する水溶液中の金属酸化物換算の固形
分濃度は通常約5〜約50重量%、好ましくは約10〜
約40重量%に調整する。濃度が約50重量%以上にな
ると、施工時熱によりゲル化が起こりやすく、吹付けノ
ズルの目詰まりが発生する。また約5重量%以下になる
と、充分な被膜を形成するには大量の組成物水溶液が必
要になり施工の効率が悪くなる。釉層の厚みには特に制
限はないが、実用的には約3mm以下でよい。
【0037】本発明に従えば、釉薬はその融点近くの高
温で施工される。したがって塗布された時点で水分が蒸
発し、釉薬が耐火物表面で溶融し、耐火物表面に均一で
緻密なガラス質釉層が形成される。溶融した釉層は、高
粘度であり、鉛直な壁面に形成されても短時間内で垂下
がることはない。釉層は時間の経過とともに融点が上昇
し、高温炉の操業温度以上となるので、堅固な被膜とな
り再び溶融することはない。高温施工は、炉の操業を停
止せずに行えるが、炉外から長い柄のこて、はけまたは
吹付工具を用いて行わねばならず、小規模の補修に適す
る。
【0038】また本発明は、前記釉薬を炉内耐火物の表
面に冷間施工後、釉薬の融点以上で炉の操業温度以下の
温度に加熱することを特徴とするガラス状釉層の形成方
法である。
【0039】本発明に従えば、釉薬は100℃以下の低
温で施工される。釉薬の形状は熱間施工と同じく水溶液
またはスラリー状である。低温施工は、塗布後コークス
炉が昇温され、まず水分が蒸発し、次いで釉薬の溶融温
度で釉薬が溶融して耐火物表面に均一で緻密な釉層が形
成され、高温炉の操業温度に昇温されるまでの間に、釉
層の融点が上昇し、堅固な釉層被膜を形成する。低温塗
布は、よい作業環境で行えるので、完全な塗布ができる
が、コークス炉の操業を一時停止せねばならず、大規模
な補修に適する。
【0040】先行技術において、種々の釉薬は知られて
いるが、融点を考慮した組成となっていないため、施工
後、釉層が溶融して垂下し、耐火物を露出させたり、釉
層がガラス状を保ち得ず水飴のようになり、カーボンの
付着を促進する。またカーボン粒子によって釉層が削り
取られることもあり、満足な結果を得られない。これに
対し本発明の釉薬は、前記のように融点を考慮し、施工
後釉薬が溶融して耐火物表面に強固に溶着した釉層を形
成し、炉の操業温度以下で釉層から一部の成分が揮散し
て融点が上昇し、高温炉の操業温度以上の溶融温度のガ
ラス状釉層となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施例によりさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限される
ものではない。実施例中「%」は全て重量%を表す。
【0042】(実施例1)3号水ガラス(Na2
8.7%、SiO2 27.8%、水 63.5%)1
00重量部、珪酸リチウム(Li2O 2.2%、Si
2 20%)50重量部を混合し、完全な透明液とな
るまで撹拌した。これをA液とする。
【0043】水959重量部に水酸化リチウム(LiO
H)96重量部を添加し、溶解した。次いでホウ酸粉末
(H3BO3)318重量部を添加し、撹拌し完全に透明
液にした。これをB液とする。
【0044】ナトリウムメチルシリコーネート(Na2
O 10.7%、CH3SiO1.520%:SiO2 とし
て17.9%)100重量部にB液を12.5重量部添
加し透明液となるまで撹拌した。これをC液とする。
【0045】A液100重量部にC液30重量部を添加
し、透明液となるまで撹拌した。これをD液とする。
【0046】なおこれらの調合に際し、速度を速めるた
め70〜80℃で加熱しても特に結果は変わらなかっ
た。
【0047】得られた釉薬組成物は酸化物となったとき
の釉薬組成としてはNa2O 21.7%、Li2
2.2%、B23 1.1%、SiO2 75.0%で
あった。SiO2 36%、Al23 54%を含む市
販のキャスタブルレンガを100×100×40mmに
切断し、試験耐火物片を作成した。
【0048】この試験片を900℃の炉入れ加熱した。
レンガの温度が900℃に上がったのを確認した後、レ
ンガを取り出すと同時にスプレーガンにてD液をレンガ
面に噴霧した。最初レンガが発泡するが約1分くらいの
後、溶融し均一、強固なガラス被膜が形成された。これ
を再び900℃の炉に入れ、2時間保持した。
【0049】このようにして釉層被膜を形成したレンガ
上に石炭粉5部、コールタール3部から成るスラリーを
塗り、不活性雰囲気下(たとえば、窒素下)800℃で
3時間加熱保持した。冷却後、接着テープを用いて付着
カーボンの剥がれ易さを評価したところ、カーボンは簡
単に剥離した。
【0050】一方、本発明の釉薬組成物を塗布しなかっ
た試料は、レンガ表面に強固にカーボンが付着し、機械
的な力を加えても完全に除去できなかった。
【0051】(実施例2)3号水ガラス(Na2
9.6%、SiO2 27.8%、水 62.6%)1
00%、珪酸リチウム(Li2O 2.2%、SiO2
20%、水 77.8%)4.4重量部を混合し、完全
な透明液となるまで撹拌し、これをA液とした。
【0052】A液100重量部に水10.1重量部を添
加し、ついで実施例1と同一組成のB液を2.7重量部
添加し、最後にナトリウムメチルシリコネート(Na2
O10.7%、CH3SiO1.5 20.0%:SiO2
として17.9%)を10.5%添加し、透明液となる
まで撹拌した。これをD液とする。
【0053】得られた釉薬組成物は酸化物となったとき
の釉薬組成としてはNa2O 25.8%、Li2
0.4%、B23 1.0%、SiO2 72.8%で
あった。なお、ナトリウムメチルシリコネートのメチル
基が消失する前の組成としてはSiO2 67.8%、
Li2O 0.4%、Na2O 25.6%、B23
1.0%、CH3SiO1.5 5.2%であった。また実
施例1と同様の試験耐火物片を作成した。
【0054】この試験片を900℃の炉に入れ加熱し
た。レンガの温度が900℃に上がったのを確認した
後、レンガを取出すと同時にスプレーガンにてD液をレ
ンガ面に噴霧した。最初レンガが発泡するが、約1分く
らいの後、溶融し均一、強固なガラス被膜が形成され
た。
【0055】なお、上記のナトリウムメチルシリコネー
トの量を1/5にした他は、ほぼ同様の組成としたもの
をE液とした。
【0056】得られたE液は酸化物となったときの釉薬
組成としてNa2O 25.0%、Li2O 0.5%、
23 1.1%、SiO2 73.5%であった。
【0057】またナトリウムメチルシリコネートのメチ
ル基が消失する前の組成としては、SiO2 72.4
%、Li2O 0.5%、Na2O 24.9%、B23
1.3%、CH3SiO1.5 1.1%であった。
【0058】このものを実施例1と同様の方法でテスト
した結果、均一強固なガラス皮膜が形成されたが、煉瓦
の垂直面に塗布した場合には、かなりの部分垂下した。
【0059】(実施例3〜6)釉の組成が表1に示すも
のになるように、実施例1と同様な方法で釉薬組成物を
調製し、得られた釉層について被膜形成と付着カーボン
の剥離の評価を行った。それぞれ組成と評価結果を表1
に示す。
【0060】(実施例7) 前記実施例1の釉薬組成物のD液を100重量部と、平
均粒径〜5μmのアルミナ粉末20重量部とを混合しス
ラリー状とし、釉薬を得た。
【0061】このスラリーを実施例1と同様な方法でレ
ンガに噴霧した。形成された被膜は透明ではないが表面
は光沢があり、ガラス状であった。
【0062】(比較例1〜2)釉の組成が表1に示すも
のになるように、実施例1と同様な方法で組成物を調製
し、さらに得られた釉層について評価を行った。それぞ
れの組成と評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】融点は600℃,700℃,800℃,9
00℃,1000℃で熱処理した際、釉薬が溶融、釉層
を形成するかどうか肉眼で観察して推定した。
【0065】表1の試験結果より、実施例の釉薬は、被
膜形成に優れ、カーボン付着防止効果も顕著であるが、
比較例の釉薬は両者において劣ることが明らかになっ
た。
【0066】(高温保持テスト)実施例1で得られた釉
層で被覆したレンガを900℃の温度で約5時間保持
し、焼成レンガの釉層被膜中の成分を分析するとSiO
2/Na2Oのモル比は3.5で当初の3.0に比べNa
2Oが減少傾向にあった。
【0067】さらに1100℃で1時間保持するとモル
比は7.5でNa2Oの減少が顕著に認められた。なお
このときB23 、Li2Oは検出されなかった。この釉
層の融点は1300℃以上であり、初期の800℃以下
の融点から顕著な融点上昇効果が認められた。
【0068】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、R2Oと
SiO2とを含み、融点が900℃以下の釉薬である。
これらの本発明の釉薬は、熱間施工されまたは冷間施工
された後、融点以上の温度で溶融してガラス状釉層を形
成する。この釉層は時間の経過とともに、高温炉の操業
温度以下で融点が上昇し、高温炉の操業温度では再び溶
融しない。これによって高温炉を構成する耐火物の表面
に緻密で均一なガラス状釉層が強固に形成され、高温の
操業によって発生するカーボンなどが耐火物表面に付着
することがほとんどなく、また少量の付着したカーボン
などは容易に剥離できるとともに耐火物表面が容易に補
修できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/80 - 41/91 C04B 35/66

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、R2O(RはNaまたはKを表す)が10〜40重
    量%と、残部にSiO2 とを含み、かつ融点が900℃
    以下であることを特徴とする炉内耐火物表面にガラス状
    釉層を熱間施工で形成する釉薬。
  2. 【請求項2】 釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、R2O(RはNaまたはKを表す)が10〜40重
    量%と、残部にSiO2 とを含み、かつ融点が900℃
    以下であることを特徴とする炉内耐火物表面にガラス状
    釉層を冷間施工で形成する釉薬。
  3. 【請求項3】 釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、Li2Oが0〜10重量%、B23 が0〜10重量
    %、R2O(RはNaまたはKを表す)が10〜40重
    量%と、残部にSiO2 とを含み、かつ融点が900℃
    以下であることを特徴とする炉内耐火物表面にガラス状
    釉層を熱間施工で形成する釉薬。
  4. 【請求項4】 釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、Li2Oが0〜10重量%、B23 が0〜10重量
    %、R2O(RはNaまたはKを表す)が10〜40重
    量%と、残部にSiO2 とを含み、かつ融点が900℃
    以下であることを特徴とする炉内耐火物表面にガラス状
    釉層を冷間施工で形成する釉薬。
  5. 【請求項5】 Li2Oを0.2〜10重量%含む請求
    項3または4記載の釉薬。
  6. 【請求項6】 B23を0.5〜10重量%含む請求項
    3〜5のいずれかに記載の釉薬。
  7. 【請求項7】 SiO2 を形成する化合物が珪酸ナトリ
    ウム、珪酸カリウムおよび珪酸リチウムから成る群より
    選ばれる一種以上およびアルカリシリコネートから成る
    請求項1〜6のいずれかに記載の釉薬。
  8. 【請求項8】 アルカリシリコネートがナトリウムメチ
    ルシリコネートで、かつCH3SiO1.5 基準で2重量
    %〜30重量%である請求項7記載の釉薬。
  9. 【請求項9】 炉内耐火物が耐火煉瓦、目地および不定
    形耐火物から成る群より選ばれる請求項1〜8のいずれ
    かに記載の釉薬。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の釉薬
    を炉内耐火物の表面に熱間施工することを特徴とするガ
    ラス状釉層の形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載の釉薬
    を炉内耐火物の表面に冷間施工後、釉薬の融点以上で炉
    の操業温度以下の温度に加熱することを特徴とするガラ
    ス状釉層の形成方法。
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