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JP3153618B2 - 過共析鋼線材の製造方法 - Google Patents

過共析鋼線材の製造方法

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JP3153618B2
JP3153618B2 JP10005892A JP10005892A JP3153618B2 JP 3153618 B2 JP3153618 B2 JP 3153618B2 JP 10005892 A JP10005892 A JP 10005892A JP 10005892 A JP10005892 A JP 10005892A JP 3153618 B2 JP3153618 B2 JP 3153618B2
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JP
Japan
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wire
steel wire
molten salt
steel
hypereutectoid
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JP10005892A
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征雄 落合
浩 大羽
世紀 西田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スティールコード、ビ
ードワイヤなど細径高強度鋼線の製造に供される過共析
鋼線材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炭素鋼線の強度を上げる方策として、
C含有率を上げることは、安価で高い効果が得られるた
め工業的には最も望ましい方法である。しかし、過共析
領域、すなわち、通常Cが0.9%を越える領域では、
熱間圧延後の線材には旧オーステナイト粒界に沿って脆
い初析セメンタイトがネットワーク状に生成する。この
ため、圧延後の線材をそのまま伸線加工した場合、初析
セメンタイトに沿って粒界割れが発生するため断線が頻
発する。
【0003】従来、過共析鋼の伸線加工性を向上させる
熱処理方法が開発されている。たとえば、特公昭56−
8893号公報には、熱処理により組織を粒状セメンタ
イトが分散したパーライト組織に変える方法が開示され
ている。これは、過共析鋼線をオーステナイト化し、油
焼き入れ処理してマルテンサイト組織とした後、770
〜930℃の温度域に急速加熱して粒状セメンタイトを
析出せしめ、目標加熱温度に到達後直ちに535〜66
0℃の温度でパテンティング処理する方法である。この
方法は、伸線加工限界を高める方法としてはすぐれてい
るが、熱処理工程が複雑となるため線材圧延後の直接熱
処理に適用することは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では、熱間圧延後の過共析鋼線材をそのまま伸線加工に
供することは不可能であった。本発明の目的は、過共析
鋼線材の中でも特にC含有率が高い、すなわち1.10
%以上のCを含有する過共析鋼線材の粒界初析セメンタ
イトの生成を完全に阻止し、熱間圧延ままの状態の過共
析鋼線材に高減面率の伸線加工を付与することを可能な
らしめることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】すなわち、本
発明は、 1)重量比で C:1.10〜1.30%, Si:0.15〜0.50%, Mn:0.30〜0.60%, 残余をFeおよび不可避的不純物からなる鋼を線材圧延
後、900未満〜750℃で巻取り、その後ただちに5
00〜650℃に保持された溶融塩浴中に浸漬し、該溶
融塩中で変態を完了させることにより初析セメンタイト
を含まない微細パーライト組織とすることを特徴とする
過共析鋼線材の製造方法。
【0006】2)重量比で C:1.10〜1.30%, Si:0.15〜0.50%, Mn:0.30〜0.60%, Cr:0.10〜0.50%, 残余をFeおよび不可避的不純物からなる鋼を線材圧延
後、900未満〜750℃で巻取り、その後ただちに5
00〜650℃に保持された溶融塩浴中に浸漬し、該溶
融塩中で変態を完了させることにより初析セメンタイト
を含まない微細パーライト組織とすることを特徴とする
過共析鋼線材の製造方法。以上である。
【0007】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
者らは、過共析鋼線材のパテンティング時に初析セメン
タイトが生成するのを防止すべく、多くの実験を行っ
た。その結果、以下に示すように、線材圧延後所定の温
度範囲で巻取り、巻取り後の線材を500〜650℃に
保持された溶融塩中に焼き入れ、該溶融塩中で恒温変態
を完了させることにより初析セメンタイトの生成を阻止
し、伸線加工性の良好な微細パーライト組織を有する線
材を製造できるという新たな知見を得た。
【0008】初析セメンタイトの生成を阻止するために
は、オーステナイト域からの冷却速度を十分高くとる必
要がある。通常の直接パテンティングのように、線材圧
延後の線材を空冷するだけではC含有量が1.1%以上
の過共析鋼における初析セメンタイトの生成を阻止する
ことは不可能である。そこで、本発明者らは、線材圧延
後の線材を所定の温度で巻取り、巻取温度から赤熱線材
を溶融塩浴中に浸漬する方法により初析セメンタイトの
生成を防止できることを見いだした。
【0009】溶融塩温度が500℃未満では、冷却速度
は大きくとれるが、線材表層にベイナイトが大量に生成
するうえ、中心偏析部にマルテンサイトが発生し、伸線
加工限界が低下する。一方、650℃を越えると、パー
ライトを構成するセメンタイトが厚くなり、このため、
伸線加工性が低下する。したがって、溶融塩温度は50
0〜650℃とする。
【0010】線材圧延後の巻取温度に関しては、巻取温
度が900℃以上の場合、巻取り後の冷却中にオーステ
ナイト粒界に初析セメンタイトが生成するため伸線加工
性が低下する。一方、巻取温度が750℃未満の場合、
パーライトの層状構造の発達が不十分となるため伸線加
工限界が低下する。以上の理由により巻取温度は950
〜750℃とする必要がある。
【0011】次に、本発明の成分限定理由について説明
する。Cは強度を上げるための有効かつ経済的な元素で
あり、本発明の最も重要な元素の一つである。C含有率
を上げるに伴い、パテンティング後の強度ならびに伸線
時の加工硬化量が増大する。したがって、伸線加工によ
り高強度鋼線を得るためには、C含有量は高い方が有利
であり、本発明では、1.10%以上とする。一方C含
有率が1.30%を超した場合、初析セメンタイトの発
生を防止することが不可能となるためC含有率の上限は
1.30%とする。
【0012】Siは脱酸剤として0.15%以上添加す
る。一方、Siは合金元素として、フェライトに固溶し
て顕著な固溶強化作用を示す。また、フェライト中のS
iは伸線後の溶融亜鉛めっきやブルーイング時の強度低
下を低減させる効果を有するため、高強度鋼線の製造に
は不可欠な元素である。しかし、Siはベイナイトの生
成を助長し、伸線加工性を低下させるため0.5%を上
限とする。
【0013】Mnも脱酸剤として0.3%以上添加す
る。また、Mnは焼入れ性向上効果が大きいため、線径
が大きい場合には、Mn含有率を上げることにより断面
内の均一性を高めることが可能であり、伸線後の鋼線の
延性向上に有効である。しかし、0.60%を超える
と、連続冷却中に中心偏析部にマルテンサイトが生成
し、伸線加工性が劣化するため、0.60%を上限とす
る。
【0014】Crはパーライトのラメラー間隔を低減
し、鋼線の強度と伸線加工性を向上させるため、必要に
応じて0.10%以上添加する。0.10%未満ではその
効果が十分でなく、一方、0.50%を超えると変態に
要する時間が長くなり、連続冷却中にマルテンサイトが
生成し伸線性が著しく低下するため、0.50%を上限
とする。
【0015】
【実施例】以下、引張強さ140kgf/mm2以上、
伸線加工限界90%以上を有する高強度鋼線材の製造結
果について説明する。表1に示す化学成分の直径5.5
mmの線材を熱間圧延後溶融塩冷却し、そのまま伸線限
界まで伸線した。
【0016】A鋼はC量が1.10%未満であるため目
標強度に未達である。一方、J鋼は高いC量に見合った
冷却速度が得られなかったため初析セメンタイトが生成
し、このため伸線性が大幅に劣化した。B−4鋼は溶融
塩温度が500℃未満の場合であり、絞りは高いがベイ
ナイトが混入したため伸線限界が低い。一方、H−4鋼
は溶融塩温度が650℃を超えたため粗いパーライトと
なり伸線加工限界は80%以下にとどまった。B−2お
よびH−2鋼は巻取温度が900℃以上のため初析セメ
ンタイトが生成し、このため絞りおよび伸線限界が著し
く低下した。
【0017】B−3およびH−3鋼は巻取温度が750
℃未満であったため、絞りが比較的高いにもかかわらず
伸線加工性は低い。Mn量が、0.6%を超えているC
鋼およびCr量が0.50%を超えているF鋼は、中心
偏析部にマルテンサイトが生成したため絞りおよび伸線
限界ともに低下した。また、G鋼はSi量が0.5%を
超えているため絞りが高いにもかかわらず伸線加工限界
は目標値に達していない。B−5およびH−5鋼は従来
法、すなわち線材圧延後衝風冷却する方法で製造された
もので、初析セメンタイトが生成したため1ダイスめに
断線が発生し、以後の伸線は不可能であった。
【0018】これに対して、本発明法で製造された線材
は、いずれも目標とする強度および伸線加工性を十分満
足している。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明法によれ
ば、従来法より強度が高く、かつ、伸線加工性に優れた
過共析鋼線材を製造することが可能となる。
【0020】
【表1】5.5mm線材の化学成分、製造条件、伸線加
工性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−271329(JP,A) 特開 昭62−142725(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/06,9/52 C22C 38/00,38/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で C :1.10〜1.30%, Si:0.15〜0.50%, Mn:0.30〜0.60%, 残余をFeおよび不可避的不純物からなる鋼を線材圧延
    後、900未満〜750℃で巻取り、その後ただちに5
    00〜650℃に保持された溶融塩浴中に浸漬し、該溶
    融塩中で変態を完了させることにより初析セメンタイト
    を含まない微細パーライト組織とすることを特徴とする
    過共析鋼線材の製造方法。
  2. 【請求項2】重量比で C :1.10〜1.30%, Si:0.15〜0.50%, Mn:0.30〜0.60%, Cr:0.10〜0.50% 残余をFeおよび不可避的不純物からなる鋼を線材圧延
    後、900未満〜750℃で巻取り、その後ただちに5
    00〜650℃に保持された溶融塩浴中に浸漬し、該溶
    融塩中で変態を完了させることにより初析セメンタイト
    を含まない微細パーライト組織とすることを特徴とする
    過共析鋼線材の製造方法。
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