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JP3152090B2 - セラミック配線板の製造方法 - Google Patents

セラミック配線板の製造方法

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Publication number
JP3152090B2
JP3152090B2 JP29409494A JP29409494A JP3152090B2 JP 3152090 B2 JP3152090 B2 JP 3152090B2 JP 29409494 A JP29409494 A JP 29409494A JP 29409494 A JP29409494 A JP 29409494A JP 3152090 B2 JP3152090 B2 JP 3152090B2
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copper
vanadium
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ceramic
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JP29409494A
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広明 高橋
出 吉澤
智之 川原
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電子部品として
利用されるセラミック配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセラミック配線板(セラミック基
板を使用したプリント配線板)には、セラミック基板と
その表面に形成されるメタライズ層(導体層)の密着力
が強く、導体層のシート抵抗が低いことが要求される。
金属ペーストを用いたメタライズ法の場合、導体層の密
着力を強くするために、金属ペースト中に、焼成温度で
溶解しセラミック基板に融着するガラスを含ませるのが
一般的である。この場合、ガラス成分の含有分だけ純金
属よりシート抵抗が高くなる欠点がある。
【0003】一方、めっき法またはスパッタ法あるいは
蒸着法等の気相法等により得られる導体層は、不純物の
含有量が少ないためシート抵抗は純金属と略同レベルで
ある。しかし、この場合の導体層とセラミック基板の密
着力は一般に低い。そこで従来より、導体層の密着力を
向上させる方法として、メタライズ処理の前に、予めフ
ッ酸、リン酸、水酸化ナトリウムなどの高温溶液にセラ
ミック基板を浸漬する化学エッチング法などの方法によ
ってセラミック基板表面を粗面化し、いわゆるアンカー
効果によりセラミック基板との密着力を得るという方法
が一般的である。
【0004】しかし、このようなセラミック基板表面を
粗面化することは高周波特性を損うという問題があるた
め、極力平滑なセラミック基板表面に、強固に密着する
メタライズ層が得られるメタライズ法の開発が望まれて
いる。そこで、粗面化せずに、密着性の優れた導体層を
形成できる方法として、無電解銅めっきの前処理や、下
地層形成等について種々の研究がなされ、例えば、特公
昭63−4336号、特公平4−82043号及び特公
平3−69191号等の提案がされている。
【0005】特公昭63−4336号には、Cu、Z
n、Cd、Pb又はBiの化合物の少なくとも1種の成
分を含むペーストをセラミック基板に塗布し、その後、
非酸化性雰囲気中において350〜900℃の範囲内の
温度で熱処理を施して、Cu、Zn、Cd、Pb、Bi
の少なくとも1種の金属又は合金の粒子を析出させ、そ
の後、Pd又はPtの少なくとも一方のイオンを含む溶
液中で上記金属又は合金の金属の表面をPd又はPtの
少なくとも一方に置換する置換処理を施し、さらに無電
解めっきによりニッケル、コバルト又は銅の金属電極を
形成するセラミック電子部品の製造方法が記載されてい
る。しかし、この場合には非酸化性雰囲気中においての
熱処理が必要であるため、製造装置や製造工程が複雑に
なるという問題点があり、さらに、Pd又はPtの少な
くとも一方に置換する置換処理によって、下地層とセラ
ミック基板の密着性が損なわれるためと推定されるが、
特公昭63−4336号の実施例にみるように引っ張り
強度は最大値でも2.75kg/5φの面積(0.53
kg/4mm2 )程度であり、近年ではさらなる密着性
の向上が求められている。
【0006】特公平4−82043号にはセラミック表
面に無電解めっき法により金属薄膜形成後、900〜1
200℃で熱処理して、セラミックと金属薄膜との間に
化学結合を形成させ、その後、化学的にエッチングして
該金属薄膜を除去し、その後無電解めっき法によりセラ
ミック表面の金属化を行なう方法が記載されている。し
かし、この方法の場合、その密着力は形成される金属薄
膜の膜厚に大きく依存する傾向があり、安定した密着力
を得ることが困難であるという問題がある。
【0007】また、特公平3−69191号にはアルミ
ナ基板に無電解銅めっきを施し、次いで300〜900
℃で酸化性雰囲気中で熱処理し、さらに還元性雰囲気中
200〜900℃で処理し、次いで無電解銅めっきを施
し、しかる後電気銅めっきを施す方法が記載されてい
る。しかし、この方法の場合、還元性雰囲気中での処理
を行なうため、製造装置や製造工程が複雑になるという
問題点や、還元処理が200〜900℃と高温で行われ
るためと推定されるが、還元処理を終えた下地層とその
上に形成する無電解銅めっき膜間の密着力が不十分であ
るという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑みて、
本発明は、還元性雰囲気等の特殊な雰囲気を必要とせ
ず、平滑なセラミック基板表面に強固な密着力を持つ導
体層が形成できるセラミック配線板の製造方法を開発す
ることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のセ
ラミック配線板の製造方法は、セラミック基板に対し
て、その表面にバナジウム及び銅を含有する下地層を形
成し、次に酸化性雰囲気中で450〜620℃で熱処理
し、次に還元性溶液中に浸漬して還元処理し、次いで銅
メタライズを施して銅含有率99重量%以上の銅膜を形
成することを特徴としている。
【0010】請求項2に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1記載のセラミック配線板の製造方
法において、銅メタライズの方法が無電解めっき法、電
解めっき法又はスパッタ法であることを特徴としてい
る。
【0011】請求項3に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1又は請求項2記載のセラミック配
線板の製造方法において、セラミック基板表面にバナジ
ウム及び銅を含有する材料をコーティングして、バナジ
ウム及び銅を含有する下地層を形成することを特徴とし
ている。
【0012】請求項4に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1又は請求項2記載のセラミック配
線板の製造方法において、セラミック基板表面に銅含有
層を形成し、次に前記銅含有層上にバナジウム含有層を
形成することにより、バナジウム及び銅を含有する下地
層を形成することを特徴としている。
【0013】請求項5に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1又は請求項2記載のセラミック配
線板の製造方法において、セラミック基板表面にバナジ
ウム含有層を形成し、次に前記バナジウム含有層上に銅
含有層を形成することにより、バナジウム及び銅を含有
する下地層を形成することを特徴としている。
【0014】請求項6に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1から請求項5までのいずれかに記
載のセラミック配線板の製造方法において、バナジウム
及び銅を含有する下地層を形成する銅成分がエチレンジ
アミン系キレート剤含有液で処理された金属銅粉末であ
ることを特徴としている。
【0015】請求項7に係る発明のセラミック配線板の
製造方法は、請求項1から請求項5までのいずれかに記
載のセラミック配線板の製造方法において、バナジウム
及び銅を含有する下地層を形成する銅成分がエチレンジ
アミン系キレート剤を含有する無電解めっき液から析出
した金属銅粉末であることを特徴としている。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるセラミック基板の材質としては、例えば、アルミ
ナ、ジルコニア、コージェライト、チタン酸バリウム等
の酸化物系のセラミックや窒化アルミニウム、窒化珪素
等の窒化物系のセラミックや炭化珪素等の炭化物系のセ
ラミック等があり、特に限定はない。
【0017】上記のセラミック基板の表面にバナジウム
及び銅を含有する下地層を形成するが、この形成方法と
しては例えば次の3種類の方法が挙げられる。 例えばバナジウムレジネートペーストと銅レジネート
ペーストを混合した混合レジネートペースト等のバナジ
ウム及び銅を含有する材料をコーティングして、バナジ
ウム及び銅が混在する層を単一工程で形成する方法。 銅含有層を形成し、次にこの銅含有層上にバナジウム
含有層を形成することにより、バナジウム及び銅を含有
する下地層を形成する方法。 バナジウム含有層を形成し、次にこのバナジウム含有
層上に銅含有層を形成することにより、バナジウム及び
銅を含有する下地層を形成する方法。
【0018】また、バナジウム及び銅を含有する下地層
を形成するための、銅含有層、バナジウム含有層及びバ
ナジウム及び銅が混在する層の形成手段に関しては、特
に限定はなく、例えば無電解めっき法、スパッタ法、金
属ペースト法、有機金属レジネート(またはそのペース
ト)法等で形成することができる。
【0019】また、上記した銅含有層、バナジウム含有
層及びバナジウム及び銅が混在する層の厚みについて
も、特に限定はないが、それぞれの厚みが0.05〜
3.0μmの範囲にあることが、最終のメタライズで形
成される導体層が安定した密着力を有するためには好ま
しい。
【0020】上記のようにして、セラミック基板表面に
バナジウム及び銅を含有する下地層を形成した後、熱処
理してバナジウム及び銅を酸化させる。この工程によ
り、酸化バナジウムが拡散することにより、バナジウム
及び銅を含有する下地層の表面には銅の酸化物が生成す
ることになる。この熱処理は大気中等の酸化性雰囲気中
で450〜620℃の温度で行なうことが重要であり、
450℃未満の温度では、最終のメタライズで形成され
る銅膜の、平滑なセラミック基板表面に対する密着力が
不十分となり、また620℃を越える温度では熱処理中
に形成される酸化バナジウムが飛散し、密着力向上に寄
与するバナジウム量が確保できないためと考えられる
が、やはり密着力が不十分となる。
【0021】上記の熱処理を終えたセラミック基板を還
元性溶液中に浸漬して還元処理を行う。この工程によ
り、バナジウム及び銅を含有する層の表面に存在する銅
の酸化物は容易に還元されて金属銅となる。この金属銅
はこの後の銅メタライズ法が無電解めっき法の場合には
無電解めっきの触媒核となり、所望する無電解銅めっき
が触媒付与工程無しで可能となる。そして、還元性溶液
については銅の酸化物を還元するものであればよく、特
に限定はないが、例えば、水素化ホウ素塩液、次亜リン
酸塩液、ジメチルアミンボラン液などを用いることがで
きる。還元性溶液の温度については、特に限定はない
が、室温より高い温度で行うことが還元処理の時間を短
縮するには好ましい。
【0022】次いで、上記の還元処理を終えたセラミッ
ク基板に無電解めっき、電解めっき、スパッタ等の方法
で銅メタライズを施して銅含有率99重量%以上の銅膜
を形成して導体層とし、セラッミック配線板を得る。な
お、この銅膜上に、電気めっき等の方法でさらに金属層
を形成して導体層を形成するようにしてもよい。
【0023】さらに、本発明において、前記のバナジウ
ム及び銅を含有する下地層を形成する銅成分としてエチ
レンジアミン系キレート剤を用いて処理された金属銅粉
末又はエチレンジアミン系キレート剤を含有する無電解
めっき液から析出した金属銅粉末を使用すると、最終的
に得られる導体層の密着力がさらに高まり好ましい。本
発明でいうエチレンジアミン系キレート剤とは、銅のキ
レート化合物を形成できるエチレンジアミン系の化学物
質を指していて、エチレンジアミン系キレート剤として
は、特に限定するものではないが、エチレンジアミン四
酢酸(以下EDTAと略す)、エチレンジアミン二酢酸
等のエチレンジアミン系キレート試薬やエチレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウム等のエチレンジアミン系キレート
化合物を例示できる。そして、エチレンジアミン系キレ
ート剤を用いて処理する方法としては、特に限定するも
のではないが、例えば浸漬、塗布、噴霧等が例示でき
る。
【0024】
【作用】本発明に係るセラミック配線板の製造方法で
は、セラミック基板表面にバナジウム及び銅を含有する
下地層を形成し、次に酸化性雰囲気中で450〜620
℃で熱処理するが、この熱処理により酸化バナジウムと
銅の酸化物が形成される。酸化バナジウムはセラミック
基板へのぬれ性がよく、拡散してセラミック基板に対す
る密着剤として作用する。また、酸化バナジウムと銅の
酸化物は化合物を形成するので、それら同士の密着は強
固なものになる。さらに、酸化バナジウムのセラミック
基板側への拡散速度は銅の酸化物に比べて速いことか
ら、バナジウム及び銅を含有する下地層を前記の〜
のいずれの方法で形成しても、熱処理後のバナジウム及
び銅を含有する層の表面には銅の酸化物層が現れること
になる。
【0025】本発明では、熱処理の後、還元性溶液中に
浸漬して還元処理し、次いで銅メタライズを施す構成と
なっているので、熱処理後にバナジウム及び銅を含有す
る下地層の表面に現れる銅の酸化物層は還元処理によっ
て金属銅に変わる。この金属銅は、次の工程の銅メタラ
イズで形成される銅膜と強固に密着する。また、この金
属銅は銅メタライズの方法が無電解めっき法である場合
には、無電解銅めっきにおけるめっき触媒として作用す
ることができる。
【0026】さらに、本発明において、バナジウム及び
銅を含有する下地層を形成する銅成分がエチレンジアミ
ン系キレート剤を用いて処理された金属銅粉末又はエチ
レンジアミン系キレート剤を含有する無電解めっき液か
ら析出した金属銅粉末であることは、金属銅粉末の表面
に銅のキレート化合物が形成されるため、酸化性雰囲気
中450〜620℃で熱処理するときの銅の酸化物が完
全なCuOとはなりにくく、その結果、次の還元処理で
銅の酸化物層が金属銅に確実に変わりやすくなる。従っ
て、還元処理で得られた金属銅は、次の工程の銅メタラ
イズで形成される銅膜と強固な結合が可能となり、導体
層の密着力の向上ができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例及び比較例
を示す。
【0028】(1)バナジウム及び銅の両金属成分を含
有する材料を用いて、コーティングで下地層を形成した
実施例。(実施例1〜実施例5) 表面粗化処理を行なっていない、表1に示す各種のセラ
ミック基板表面に、バナジウムレジネートペースト(エ
ヌ・イー・ケムキャット社製、#51−F、バナジウム
含有率3.9%)5重量部と銅レジネートペースト(エ
ヌ・イー・ケムキャット社製、#29−B、Cu含有率
6.4%)5重量部を混合した混合レジネートペースト
を印刷して、回路パターンを形成し、次いで、125
℃、10分間の乾燥を行なって、バナジウム及び銅を含
有する下地層を形成した。その後、この基板を550
℃、1時間、大気中で熱処理し、次いで80℃の水素化
ホウ素ナトリウム水溶液(pH12.5)に5分間浸漬
して還元処理を行なった。
【0029】還元処理を終えた基板に、無電解銅めっき
を施し、前記の回路パターン上に厚みが約10μmの銅
めっき膜を厚付けして導体層を形成し、セラミック配線
板を得た。この無電解銅めっきによる銅めっき膜の銅含
有率は99重量%以上であった。得られたセラミック配
線板におけるセラミック基板と導体層(バナジウム及び
銅を含有する下地層を含む)との密着力を測定した。こ
の導体層の密着力の測定は、図1に示すように、セラミ
ック基板1上に形成した2mm角の導体層2に0.7m
mφのスズめっき銅線4をはんだ3により接合した試験
片を用いて行なった。なお図1中の矢印は引張試験の引
張方向を示す。得られた密着力の測定結果を表1に示
す。なお、2mm角の導体層の形成はエッチング法によ
り行なった。
【0030】表1の結果から、実施例1〜実施例5では
良好な密着力が得られていることがわかる。
【0031】
【表1】
【0032】(2)銅含有層を形成し、次に銅含有層上
にバナジウム含有層を形成して、下地層を形成した実施
例。(実施例6〜実施例15) 表面粗化処理を行なっていない、表2に示す各種のセラ
ミック基板表面にPd核付けをして感受性化した後、無
電解銅めっきを施し、表2に示す厚みの銅含有層をセラ
ミック基板表面の全面に形成した。次いで、バナジウム
レジネートペースト(エヌ・イー・ケムキャット社製、
#51−F、バナジウム含有率3.9%)を、基板の全
面にスクリーン印刷法により塗布し、125℃で10分
間の乾燥処理を行なってバナジウム含有層を形成した。
【0033】その後、上記基板を550℃、1時間、大
気中で熱処理し、次いで、80℃の水素化ホウ素ナトリ
ウム水溶液(pH12.5)に5分間浸漬して還元処理
を行なった。還元処理を終えた基板に無電解銅めっきを
施し、厚みが約10μmの銅めっき膜を厚付けして導体
層を形成した。この無電解銅めっきによる銅めっき膜の
銅含有率は99重量%以上であった。得られた基板につ
いてセラミック基板と導体層(バナジウム及び銅を含有
する下地層を含む)との密着力を、前記の実施例1〜実
施例5の場合と同様の方法で測定し、得られた測定結果
を表2に示す。なお、得られた基板に回路を形成するこ
とによってセラミック配線板が得られる。
【0034】表2の結果から、実施例6〜実施例15で
は良好な密着力が得られていることがわかる。
【0035】
【表2】
【0036】(3)バナジウム含有層を形成し、次にバ
ナジウム含有層上に銅含有層を形成して、下地層を形成
した実施例。(実施例16〜実施例20) 表面粗化処理を行なっていない、表3に示す各種のセラ
ミック基板の表面全面に、バナジウムレジネートペース
ト(エヌ・イー・ケムキャット社製、#51−F、バナ
ジウム含有率3.9%)をスクリーン印刷法により塗布
し、125℃で10分間の乾燥処理を行なってバナジウ
ム含有層を形成した。
【0037】次いで、銅レジネートペースト(エヌ・イ
ー・ケムキャット社製、#29−B、Cu含有率6.4
%)を、上記で得られた基板の全面にスクリーン印刷法
により塗布し、125℃で10分間の乾燥処理を行なっ
て銅含有層を形成した。
【0038】その後、上記で得られた基板を550℃、
1時間、大気中で熱処理し、次いで、80℃の水素化ホ
ウ素ナトリウム水溶液(pH12.5)に5分間浸漬し
て還元処理を行なった。還元処理を終えた基板に、無電
解銅めっきを施し、厚みが略10μmの銅めっき膜を厚
付けして導体層を形成した。この無電解銅めっきによる
銅めっき膜の銅含有率は99重量%以上であった。得ら
れた基板についてセラミック基板と導体層(バナジウム
及び銅を含有する層を含む)との密着力を、前記の実施
例1〜実施例5の場合と同様の方法で測定し、得られた
測定結果を表3に示す。なお、得られた基板に回路を形
成することによってセラミック配線板が得られる。
【0039】表3の結果から、実施例16〜実施例20
では良好な密着力が得られていることがわかる。
【0040】
【表3】
【0041】(4)前記の実施例16の製造条件の中
の、熱処理温度を変えた実施例及び比較例(実施例2
1、22及び比較例1、2) 大気中で熱処理する温度条件を表4に示す条件にした以
外については、前記の実施例16(熱処理温度550
℃)と同様にして、導体層を形成したセラミック基板を
得た。得られたセラミック基板についてセラミック基板
と導体層(バナジウム及び銅を含有する層を含む)との
密着力を、前記の実施例1〜実施例5の場合と同様の方
法で測定し、得られた測定結果を実施例16の値も含め
て表4に示す。
【0042】表4の結果から、熱処理温度が450〜6
20℃の範囲であれば良好な密着力が得られることがわ
かる。なお、本発明では、設定する熱処理温度毎に適切
な熱処理時間を設定することが望ましい。
【0043】
【表4】
【0044】(5)前記の実施例16製造条件の中の、
還元処理を終えた基板に対する銅メタライズの方法を変
えた実施例(実施例23、24) 還元処理を終えた基板に対する銅メタライズの方法を表
5に示すように、実施例23では電解めっき法、実施例
24ではスパッタ法を用いて行なった以外の条件につい
ては、前記の実施例16(銅メタライズの方法は無電解
めっき法)と同様にして、厚みが約10μmの銅膜を厚
付けして導体層を形成した。この厚付けした銅膜はいず
れも銅含有率が99重量%以上であった。そして、得ら
れた導体層が形成された基板についてセラミック基板と
導体層(バナジウム及び銅を含有する下地層を含む)と
の密着力を、前記の実施例1〜実施例5の場合と同様の
方法で測定し、得られた測定結果を表5に示す。
【0045】表5の結果から、銅メタライズの方法が電
解めっき法またはスパッタ法であっても良好な密着力が
得られることがわかる。
【0046】
【表5】
【0047】(6)バナジウム及び銅を含有する下地層
を形成する銅成分としてエチレンジアミン系キレート剤
を用いて処理された金属銅粉末を使用した例(実施例2
5、実施例26) 実施例25では、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
(EDTA・2Naと略す)のアルカリ性飽和水溶液を
準備し、平均粒径1μmの金属銅粉末をこのEDTA・
2Na溶液に浸漬し、攪拌後、ろ過、乾燥することによ
り、エチレンジアミン系キレート剤を用いて処理された
金属銅粉末を作製した。次いで、この処理された金属銅
粉末3重量部とバナジウムレジネートペースト(エヌ・
イー・ケムキャット社製、#51−F、バナジウム含有
率3.9%)7重量部とを混合して混合ペーストを作製
した。そして、実施例1における混合レジネートペース
トに代えて、この混合ペーストを用いた以外は、実施例
1と同様にしてセラミック配線板を得た。得られたセラ
ミック配線板における導体層の密着力を、前記の実施例
1〜実施例5の場合と同様の方法で測定し、得られた測
定結果を表6に示す
【0048】実施例26では、EDTAを含有する無電
解銅めっき液に、水素化ホウ素ナトリウムを添加して、
無電解銅めっき液を分解させて、金属銅粉末を析出させ
た。次いで、得られた金属銅粉末3重量部とバナジウム
レジネートペースト(エヌ・イー・ケムキャット社製、
#51−F、バナジウム含有率3.9%)7重量部とを
混合して混合ペーストを作製した。そして、実施例1に
おける混合レジネートペーストに代えて、この混合ペー
ストを用いた以外は、実施例1と同様にしてセラミック
配線板を得た。得られたセラミック配線板における導体
層の密着力を、前記の実施例1〜実施例5の場合と同様
の方法で測定し、得られた測定結果を表6に示す。
【0049】表6の結果から、実施例25及び実施例2
6では、実施例1に比べてさらに良好な密着力が得られ
ていることがわかる。
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】請求項1〜請求項5の発明に係るセラミ
ック配線板の製法では、セラミック基板表面にバナジウ
ム及び銅を含有する下地層を形成し、次に酸化性雰囲気
中で450〜620℃で熱処理し、次に還元性溶液中に
浸漬して還元処理し、次いで銅メタライズを施す構成と
なっているので、還元性雰囲気等の特殊な雰囲気を必要
とせずに、平滑なセラミック基板表面に、安定した強固
な密着力を持つ導体層を形成できる。
【0052】請求項2の発明に係るセラミック配線板の
製法では、銅メタライズの方法が無電解めっき法である
場合は、還元処理によって生じる下地層上の金属銅を無
電解銅めっきにおけるめっき触媒として利用できるの
で、めっき触媒の付与工程が省略できる効果が達成され
る。
【0053】請求項6及び請求項7の発明に係るセラミ
ック配線板の製法では、バナジウム及び銅を含有する下
地層を形成する銅成分がエチレンジアミン系キレート剤
を用いて処理された金属銅粉末又はエチレンジアミン系
キレート剤を含有する無電解めっき液から析出した金属
銅粉末であるので、上記の効果に加えて、さらに強固な
密着力を持つ導体層を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック基板と導体層との密着力の測定法を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック基板 2 導体層 3 はんだ 4 スズめっき銅線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−75972(JP,A) 特開 昭55−115392(JP,A) 特開 昭61−107607(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/18 H05K 3/38

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基板に対して、その表面にバ
    ナジウム及び銅を含有する下地層を形成し、次に酸化性
    雰囲気中で450〜620℃で熱処理し、次に還元性溶
    液中に浸漬して還元処理し、次いで銅メタライズを施し
    て銅含有率99重量%以上の銅膜を形成することを特徴
    とするセラミック配線板の製造方法。
  2. 【請求項2】 銅メタライズの方法が無電解めっき法、
    電解めっき法又はスパッタ法であることを特徴とする請
    求項1記載のセラミック配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミック基板表面にバナジウム及び銅
    を含有する材料をコーティングして、バナジウム及び銅
    を含有する下地層を形成することを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載のセラミック配線板の製造方法。
  4. 【請求項4】 セラミック基板表面に銅含有層を形成
    し、次に前記銅含有層上にバナジウム含有層を形成する
    ことにより、バナジウム及び銅を含有する下地層を形成
    することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のセラ
    ミック配線板の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミック基板表面にバナジウム含有層
    を形成し、次に前記バナジウム含有層上に銅含有層を形
    成することにより、バナジウム及び銅を含有する下地層
    を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    のセラミック配線板の製造方法。
  6. 【請求項6】 バナジウム及び銅を含有する下地層を形
    成する銅成分がエチレンジアミン系キレート剤含有液で
    処理された金属銅粉末であることを特徴とする請求項1
    から請求項5までのいずれかに記載のセラミック配線板
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 バナジウム及び銅を含有する下地層を形
    成する銅成分がエチレンジアミン系キレート剤を含有す
    る無電解めっき液から析出した金属銅粉末であることを
    特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載
    のセラミック配線板の製造方法。
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