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JP3152089B2 - セラミック配線板の製法 - Google Patents

セラミック配線板の製法

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Publication number
JP3152089B2
JP3152089B2 JP29409294A JP29409294A JP3152089B2 JP 3152089 B2 JP3152089 B2 JP 3152089B2 JP 29409294 A JP29409294 A JP 29409294A JP 29409294 A JP29409294 A JP 29409294A JP 3152089 B2 JP3152089 B2 JP 3152089B2
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Japan
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copper
bismuth
wiring board
forming
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出 吉澤
広明 高橋
智之 川原
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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  • Chemically Coating (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電子部品として
利用されるセラミック配線板の製法に関し、特に無電解
銅めっきを施して導体層を形成するセラミック配線板の
製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック基板表面に無電解銅め
っきを施して導体層を形成する場合は、フッ酸、リン
酸、水酸化ナトリウムなどの高温溶液にセラミック基板
を浸漬する化学エッチング法などの方法によってセラミ
ック基板表面を粗面化することにより、いわゆるアンカ
ー効果により導体層とセラミック基板との密着力を確保
することが一般的である。
【0003】しかし、セラミック基板表面を粗面化する
ことは高周波特性を損うという問題があるため、極力平
滑なセラミック基板表面に、強固に密着している導体層
が形成できるセラミック配線板の製法の開発が望まれて
いる。そこで、粗面化せずに、密着性の優れた導体層を
形成できる方法として、無電解銅めっきの前処理や、下
地層形成等について種々の研究がなされ、例えば、特公
昭63−4336号、特公平4−82043号及び特公
平3−69191号等の提案がされている。
【0004】特公昭63−4336号には、Cu、Z
n、Cd、Pb又はBiの化合物の少なくとも1種の成
分を含むペーストをセラミック基板に塗布し、その後、
非酸化性雰囲気中において350〜900℃の範囲内の
温度で熱処理を施して、Cu、Zn、Cd、Pb、Bi
の少なくとも1種の金属又は合金の粒子を析出させ、そ
の後、Pd又はPtの少なくとも一方のイオンを含む溶
液中で上記金属又は合金の金属の表面をPd又はPtの
少なくとも一方に置換する置換処理を施し、さらに無電
解めっきによりニッケル、コバルト又は銅の金属電極を
形成するセラミック電子部品の製造方法が記載されてい
る。しかし、この場合には非酸化性雰囲気中においての
熱処理が必要であるため、製造装置や製造工程が複雑に
なるという問題点があり、さらに、Pd又はPtの少な
くとも一方に置換する置換処理によって、下地層とセラ
ミック基板の密着性が損なわれるためと推定されるが、
特公昭63−4336号の実施例にみるように引っ張り
強度は最大値でも2.75kg/5φの面積(0.53
kg/4mm2 )程度であり、近年ではさらなる密着性
の向上が求められている。
【0005】特公平4−82043号にはセラミック表
面に無電解めっき法により金属薄膜形成後、900〜1
200℃で熱処理して、セラミックと金属薄膜との間に
化学結合を形成させ、その後、化学的にエッチングして
該金属薄膜を除去し、その後無電解めっき法によりセラ
ミック表面の金属化を行なう方法が記載されている。し
かし、この方法の場合、その密着力は形成される金属薄
膜の膜厚に大きく依存する傾向があり、安定した密着力
を得ることが困難であるという問題がある。
【0006】また、特公平3−69191号にはアルミ
ナ基板に無電解銅めっきを施し、次いで300〜900
℃で酸化性雰囲気中で熱処理し、さらに還元性雰囲気中
200〜900℃で処理し、次いで無電解銅めっきを施
し、しかる後電気銅めっきを施す方法が記載されてい
る。しかし、この方法の場合、還元性雰囲気中での処理
を行なうため、製造装置や製造工程が複雑になるという
問題点や、還元処理が200〜900℃と高温で行われ
るため、得られる金属膜の表面の濡れ性が低くなるため
と推定されるが、還元処理を終えた下地層とその上に形
成する無電解銅めっき膜間の密着力が不十分であるとい
う問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑みて、
本発明は、無電解銅めっきを施して導体層を形成するセ
ラミック配線板の製法であって、還元性雰囲気等の特殊
な雰囲気を必要とせず、かつ、粗化処理を施していな
い、平滑なセラミック基板表面に、安定した強固な密着
力を持つ導体層を形成することができるセラミック配線
板の製法を開発することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のセ
ラミック配線板の製法は、セラミック基板に対して、そ
の表面にビスマス及び銅を含有する下地層を形成し、次
に酸化性雰囲気中で600〜1100℃で熱処理し、次
に還元性溶液中に浸漬して還元処理し、次いで無電解銅
めっきを施すことを特徴としている。
【0009】請求項2に係る発明のセラミック配線板の
製法は、請求項1記載のセラミック配線板の製法におい
て、ビスマス及び銅を含有する下地層を形成する方法
が、ビスマス及び銅の両金属成分を含有する材料をセラ
ミック基板表面にコーティングして形成する方法である
ことを特徴としている。
【0010】請求項3に係る発明のセラミック配線板の
製法は、請求項1記載のセラミック配線板の製法におい
て、ビスマス及び銅を含有する下地層を形成する方法
が、セラミック基板表面に銅含有層を形成し、次にこの
銅含有層上にビスマス含有層を形成する方法であること
を特徴としている。
【0011】請求項4に係る発明のセラミック配線板の
製法は、請求項1記載のセラミック配線板の製法におい
て、ビスマス及び銅を含有する下地層を形成する方法
が、セラミック基板表面にビスマス含有層を形成し、次
にこのビスマス含有層上に銅含有層を形成する方法であ
ることを特徴としている。
【0012】請求項5に係る発明のセラミック配線板の
製法は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の
セラミック配線板の製法において、ビスマス及び銅を含
有する下地層を形成する銅成分がエチレンジアミン系キ
レート剤を用いて処理された金属銅粉末であることを特
徴としている。
【0013】請求項6に係る発明のセラミック配線板の
製法は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の
セラミック配線板の製法において、ビスマス及び銅を含
有する下地層を形成する銅成分がエチレンジアミン系キ
レート剤を含有する無電解めっき液から析出した金属銅
粉末であることを特徴としている。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるセラミック基板の材質としては、例えば、アルミ
ナ、ジルコニア、コージェライト、チタン酸バリウム等
の酸化物系のセラミックや窒化アルミニウム、窒化珪素
等の窒化物系のセラミックや炭化珪素等の炭化物系のセ
ラミック等があり、特に限定はない。
【0015】上記のセラミック基板の表面にビスマス及
び銅を含有する下地層を形成するが、この形成方法とし
ては次の3種類が例示できるが、ビスマス及び銅を含有
する下地層が形成できる方法であれば特に限定はない。 例えばビスマスレジネートペーストと銅レジネートペ
ーストを混合した混合レジネートペースト等のビスマス
及び銅の両金属成分を含有する材料をコーティングして
ビスマス及び銅が混在する層を単一工程で形成する方
法。 銅含有層を形成し、次に銅含有層上にビスマス含有層
を形成することにより、ビスマス及び銅を含有する下地
層を形成する方法。 ビスマス含有層を形成し、次にビスマス含有層上に銅
含有層を形成することにより、ビスマス及び銅を含有す
る下地層を形成する方法。
【0016】そして、ビスマス及び銅を含有する下地層
を形成するための、銅含有層、ビスマス含有層並びにビ
スマス及び銅が混在する層の形成手段に関しては、特に
限定はなく、例えば無電解めっき法、スパッタ法、金属
ペースト法、有機金属レジネート(またはそのペース
ト)法等で形成することができる。及びの方法のよ
うに、銅含有層とビスマス含有層とを独立して形成する
方法の場合には、銅含有層は回路パターンとなる部分の
みに形成し、ビスマス含有層はセラミック基板の全面に
形成するようにすれば、後工程で熱処理、還元処理を順
次施した場合に、回路パターン部以外の部分には酸化ビ
スマス単体(一部金属ビスマスが存在する)が形成され
る。この酸化ビスマス単体上には、無電解銅めっきは析
出せず、また酸化ビスマス単体は酸によってクイックエ
ッチングが可能であるため、無電解銅めっきのめっきレ
ジストの機能をビスマス含有層のみが形成されている部
分は果たすことができる。
【0017】また、ビスマス及び銅を含有する下地層を
形成するための、銅含有層、ビスマス含有層及びビスマ
ス及び銅が混在する層の厚みについても、特に限定はな
い。ただし、上記ののようにセラミック基板の表面に
銅含有層を形成し、次に銅含有層上にビスマス含有層を
形成する場合には、銅含有層の厚みが0.05〜3.0
μmの範囲にあることが、最終的に得られる導体層が安
定した密着力を有するためには好ましい。
【0018】また、ビスマスレジネートペーストを用い
る場合には、ビスマスレジネートペースト中のビスマス
の含有率は10重量%以上であることが好ましい。ビス
マスの含有率が10重量%未満の場合には、最終的に得
られる導体層のセラミック基板に対する密着力が低下す
るので好ましくない。
【0019】本発明では、セラミック基板表面にビスマ
ス及び銅を含有する下地層を形成した後、熱処理してビ
スマス及び銅を酸化させる。この熱処理工程により、酸
化ビスマスが拡散することにより、ビスマス及び銅を含
有する下地層の表面には銅の酸化物が生成する。この熱
処理は大気中等の酸化性雰囲気中で600〜1100℃
の温度で行なうことが重要であり、600℃未満の温度
では、最終的に得られる導体層の平滑なセラミック基板
表面に対する密着力が不十分となり、また1100℃を
越える温度では銅の熱拡散が顕著となり、次の無電解銅
めっき工程において無電解銅めっきの触媒として作用す
る銅成分がセラミック基板の最表面に残留しないのでや
はり密着力が不十分となる。
【0020】本発明では、上記の熱処理を終えたセラミ
ック基板を還元性溶液中に浸漬して還元処理を行う。こ
の工程により、ビスマス及び銅を含有する下地層の表面
に存在する銅の酸化物は還元されて金属銅となる。この
金属銅がこの後の無電解銅めっき工程での触媒核とな
り、所望する無電解銅めっきが可能となる。還元性溶液
については銅の酸化物を還元するものであればよく、特
に限定はないが、例えば、水素化ホウ素塩液、次亜リン
酸塩液、ジメチルアミンボラン液などを用いることがで
きる。還元性溶液の温度については、特に限定はない
が、室温より高い温度で行うことが還元処理の時間を短
縮するには好ましい。
【0021】次いで、上記の還元処理を終えたセラミッ
ク基板に無電解銅めっきを施して導体層を形成する。な
お、必要に応じて、電気めっき等の方法で金属層をさら
にその上に形成して導体層を形成するようにしてもよ
い。そして、この無電解銅めっきの方法については、特
に限定はない。
【0022】さらに、本発明において、前記のビスマス
及び銅を含有する下地層を形成する銅成分がエチレンジ
アミン系キレート剤を用いて処理された金属銅粉末又は
エチレンジアミン系キレート剤を含有する無電解めっき
液から析出した金属銅粉末であると、最終的に得られる
導体層の密着力がさらに高まり好ましい。本発明でいう
エチレンジアミン系キレート剤とは、銅のキレート化合
物を形成できるエチレンジアミン系の化学物質を指して
いて、エチレンジアミン系キレート剤としては、特に限
定するものではないが、エチレンジアミン四酢酸(以下
EDTAと略す)、エチレンジアミン二酢酸等のエチレ
ンジアミン系キレート試薬やエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム等のエチレンジアミン系キレート化合物を例
示できる。そして、エチレンジアミン系キレート剤を用
いて処理する方法としては、特に限定するものではない
が、例えば浸漬、塗布、噴霧等の方法が例示できる。
【0023】
【作用】本発明に係るセラミック配線板の製法では、セ
ラミック基板表面にビスマス及び銅を含有する下地層を
形成し、次に酸化性雰囲気中で600〜1100℃で熱
処理するが、この熱処理により酸化ビスマスと銅の酸化
物が形成される。酸化ビスマスはセラミック基板へのぬ
れ性がよく、拡散してセラミック基板に対する密着剤と
して作用する。また、酸化ビスマスと銅の酸化物は化合
物を形成するので、それら同士の密着は強固なものにな
る。さらに、酸化ビスマスのセラミック基板側への拡散
速度は銅の酸化物に比べて速いことから、ビスマス及び
銅を含有する層を前記の〜のいずれの方法で形成し
ても、熱処理後のビスマス及び銅を含有する下地層の表
面には銅の酸化物層が現れることになる。
【0024】本発明では、熱処理の後、還元性溶液中に
浸漬して還元処理し、次いで無電解銅めっきを施す構成
となっているので、熱処理後に下地層の表面に現れる銅
の酸化物層は還元処理によって金属銅に変わる。この金
属銅は、次の工程の無電解銅めっきにおけるめっき触媒
として作用する。また、酸化ビスマスの拡散速度が銅の
酸化物に比べて速いことは、下地層の膜厚ばらつきが密
着力に影響する度合いを軽減する作用をし、安定した密
着力が得られるようになる。
【0025】そして、前記の及びの方法のように、
銅含有層とビスマス含有層とを独立して形成する場合に
は、ビスマス含有層をセラミック基板の全面に形成し、
銅含有層は回路パターンとなる部分のみに形成するよう
にすれば、ビスマス含有層のみが形成されている部分
は、無電解銅めっきが析出しないので、無電解銅めっき
のめっきレジストの機能を果たすことができる。
【0026】さらに、本発明において、ビスマス及び銅
を含有する下地層を形成する銅成分がエチレンジアミン
系キレート剤を用いて処理された金属銅粉末又はエチレ
ンジアミン系キレート剤を含有する無電解めっき液から
析出した金属銅粉末であることは、金属銅粉末の表面に
銅のキレート化合物が形成されるため、酸化性雰囲気中
600〜1100℃で熱処理するときの銅の酸化物が完
全なCuOとはなりにくく、その結果、次の還元処理で
銅の酸化物層が金属銅に確実に変わりやすくなる。従っ
て、還元処理で得られた金属銅は、次の工程の無電解銅
めっきにおけるめっき触媒として確実に作用し、かつ形
成される銅膜と強固な結合をすることができ、導体層の
密着力の向上ができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例及び比較例
を示す。
【0028】(1)ビスマス(以下Biと略す)及び銅
の両金属成分を含有する材料を用いて、コーティングで
下地層を形成した実施例(実施例1〜実施例5) 表面粗化処理を行なっていない、表1に示す各種のセラ
ミック基板表面に、Biレジネートペースト(エヌ・イ
ー ケムキャット社製、#8365、Bi含有率20
%)2重量部と銅レジネートペースト(エヌ・イー ケ
ムキャット社製、#29−B、Cu含有率6%)8重量
部を混合した混合レジネートペーストを印刷して、回路
パターンを形成し、次いで、125℃、10分間の乾燥
を行なって、Bi及び銅が混在する下地層を形成した。
その後、この基板を850℃、1時間、大気中で熱処理
し、次いで80℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液(p
H12.5)に5分間浸漬して還元処理を行なった。
【0029】還元処理を終えた基板に、無電解銅めっき
を施し、前記の回路パターン上に厚みが10μmの銅め
っき膜を厚付けして導体層を形成し、セラミック配線板
を得た。得られたセラミック配線板におけるセラミック
基板と導体層との密着力を測定した。この導体層の密着
力の測定は、図1に示すように、セラミック基板1上に
形成した2mm角の導体層2に0.7mmφのスズめっ
き銅線4をはんだ3により接合した試験片を用いて行な
った。なお図1中の矢印は引張試験の引張方向を示す。
得られた密着力の測定結果を表1に示す。表1の結果か
ら、実施例1〜実施例5では良好な密着力が得られてい
ることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】(2)銅含有層を形成し、次に銅含有層上
にBi含有層を形成して、下地層を形成した実施例(実
施例6〜実施例15) 表面粗化処理を行なっていない、表2に示す各種のセラ
ミック基板表面にPd成分を有する核付けをした後、無
電解銅めっきを施し表2に示す厚みの銅含有層(金属銅
膜)をセラミック基板表面の全面に形成した。次いで、
この銅含有層が回路パターンとなる部分のみに残るよう
にエッチング法にて加工して、銅含有層のパターニング
を行なった。その後、Biレジネートペースト(エヌ・
イー ケムキャット社製、#8365、Bi含有率20
%)を、基板の全面にスクリーン印刷法により塗布し、
125℃で10分間の乾燥処理を行なってBi含有層を
形成した。こうして、回路パターン部にはBi及び銅を
含有する下地層が形成され、回路パターン部以外の部分
にはBi含有層(Cuは含有していない)のみが形成さ
れた基板を得た。
【0032】その後、上記基板を850℃、1時間、大
気中で熱処理し、次いで80℃の水素化ホウ素ナトリウ
ム水溶液(pH12.5)に5分間浸漬して還元処理を
行なった。還元処理を終えた基板に、無電解銅めっきを
施し、前記の回路パターン上に厚みが10μmの銅めっ
き膜を厚付けして導体層を形成した。なお、回路パター
ン部以外の部分は熱処理で生成した酸化Biの単体で覆
われているため(前記還元処理では酸化Biは還元され
ていない)、その箇所への無電解銅めっきの析出は認め
られず、Bi含有層のみが形成された部分は無電解銅め
っきのめっきレジストの機能を果たすことが確認され
た。
【0033】次いで、回路パターン部以外の箇所に形成
されていた酸化Biの単体層を酸溶液によってクイック
エッチングしてセラミック配線板を得た。得られたセラ
ミック配線板における導体層の密着力を、前記の実施例
1〜実施例5の場合と同様の方法で測定し、得られた測
定結果を表2に示す。表2の結果から、実施例6〜実施
例15では良好な密着力が得られていることがわかる。
【0034】
【表2】
【0035】(3)Bi含有層を形成し、次にBi含有
層上に銅含有層を形成して下地層を形成した実施例(実
施例16〜実施例25) 表面粗化処理を行なっていない、表3に示す各種のセラ
ミック基板について、Biレジネートペースト(エヌ・
イー ケムキャット社製、#8365、Bi含有率20
%)をスクリーン印刷して乾燥するか、又はセラミッッ
ク基板の表面にPd成分を有する核付けした後、無電解
Biめっきを施して、Bi含有層をセラミック基板表面
の全面に形成した。なお、各実施例毎のBi含有層の形
成法は表3に示す通りとした。
【0036】次いで、銅レジネートペースト(エヌ・イ
ー ケムキャット社製、#29−B、Cu含有率6%)
を用いて、印刷、乾燥して、回路パターンとなる部分の
みに銅含有層を形成して、回路パターン部にはBi及び
銅を含有する下地層が形成され、非回路パターン部分に
はBi含有層(銅は含有していない)が形成された基板
を得た。
【0037】その後、上記基板を850℃、1時間、大
気中で熱処理し、次いで80℃の水素化ホウ素ナトリウ
ム水溶液(pH12.5)に5分間浸漬して還元処理を
行なった。還元処理を終えた基板に、無電解銅めっきを
施し、前記の回路パターン上に厚みが10μmの銅めっ
き膜を厚付けして導体層を形成した。なお、回路パター
ン部以外の部分は熱処理で生成した酸化Biの単体で覆
われているため(前記還元処理では酸化Biは還元され
ていない)、その箇所への無電解銅めっきの析出は認め
られず、Bi含有層のみが形成された部分は無電解銅め
っきのめっきレジストの機能を果たすことが確認され
た。
【0038】次いで、回路パターン部以外の箇所に形成
されていた酸化Biの単体層を酸溶液によってクイック
エッチングしてセラミック配線板を得た。得られたセラ
ミック配線板における導体層の密着力を、前記の実施例
1〜実施例5の場合と同様の方法で測定し、得られた測
定結果を表3に示す。表3の結果から、実施例16〜実
施例25では良好な密着力が得られていることがわか
る。
【0039】
【表3】
【0040】(4)前記の実施例7の製造条件の中の、
Biレジネート中のBi含有率を変えた実施例(実施例
26〜29) Biレジネート中の粘度調整用樹脂の添加量を調整する
ことで、Biレジネート中のBi含有率を表4に示す量
にしたBiレジネートを用いた以外については、前記の
実施例7(使用したBiレジネート中のBi含有率は2
0%)と同様にして、セラミック配線板を得た。得られ
たセラミック配線板における導体層の密着力を、前記の
実施例1〜実施例5の場合と同様の方法で測定し、得ら
れた測定結果を実施例7の値も含めて表4に示す。表4
の結果から、Biレジネート中のBi含有率が10%以
上であればより良好な密着力が得られることがわかる。
【0041】
【表4】
【0042】(5)前記の実施例16の製造条件の中
の、熱処理温度及び熱処理時間を変えた実施例及び比較
例(実施例30〜実施例33及び比較例1〜比較例3) 大気中で熱処理する熱処理温度及び熱処理時間を表5に
示す条件にした以外については、前記の実施例16(熱
処理温度850℃)と同様にして、セラミック配線板を
得た。得られたセラミック配線板における導体層の密着
力を、前記の実施例1〜実施例5の場合と同様の方法で
測定し、得られた測定結果を実施例16の値も含めて表
5に示す。
【0043】表5の結果から、熱処理温度が600〜1
100℃の範囲であれば良好な密着力が得られることが
わかる。なお、本発明では、設定する熱処理温度毎に適
切な熱処理時間を設定することが望ましい。
【0044】
【表5】
【0045】(6)Bi及び銅を含有する下地層を形成
する銅成分としてエチレンジアミン系キレート剤を用い
て処理された金属銅粉末を使用した例(実施例34、実
施例35) 実施例34では、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
(EDTA・2Naと略す)のアルカリ性飽和水溶液を
準備し、平均粒径1μmの金属銅粉末をこのEDTA・
2Na溶液に浸漬し、攪拌後、ろ過、乾燥することによ
り、エチレンジアミン系キレート剤を用いて処理された
金属銅粉末を作製した。次いで、この処理された金属銅
粉末1.05重量部とBiレジネートペースト(エヌ・
イー ケムキャット社製、#8365、Bi含有率20
%)2重量部とを混合して混合ペーストを作製した。そ
して、実施例1における混合レジネートペーストに代え
て、この混合ペーストを用いた以外は、実施例1と同様
にしてセラミック配線板を得た。得られたセラミック配
線板における導体層の密着力を、前記の実施例1〜実施
例5の場合と同様の方法で測定し、得られた測定結果を
表6に示す
【0046】実施例35では、EDTAを含有する無電
解銅めっき液に、水素化ホウ素ナトリウムを添加して、
無電解銅めっき液を分解させて、金属銅粉末を析出させ
た。次いで、得られた金属銅粉末1.05重量部とBi
レジネートペースト(エヌ・イー ケムキャット社製、
#8365、Bi含有率20%)2重量部とを混合して
混合ペーストを作製した。そして、実施例1における混
合レジネートペーストに代えて、この混合ペーストを用
いた以外は、実施例1と同様にしてセラミック配線板を
得た。得られたセラミック配線板における導体層の密着
力を、前記の実施例1〜実施例5の場合と同様の方法で
測定し、得られた測定結果を表6に示す。
【0047】表6の結果から、実施例34及び実施例3
5では、実施例1に比べてさらに良好な密着力が得られ
ていることがわかる。
【0048】
【表6】
【0049】
【発明の効果】請求項1及び請求項2の発明に係るセラ
ミック配線板の製法では、セラミック基板表面にBi及
びCuを含有する下地層を形成し、次に酸化性雰囲気中
で600〜1100℃で熱処理し、次に還元性溶液中に
浸漬して還元処理し、次いで無電解銅めっきを施す構成
となっているので、還元性雰囲気等の特殊な雰囲気を必
要とせずに、平滑なセラミック基板表面に、安定した強
固な密着力を持つ導体層を形成できる。
【0050】請求項3及び請求項4の発明に係るセラミ
ック配線板の製法では、銅含有層とBi含有層とを独立
して形成するので、めっきレジストの役割を果たすBi
含有層のみを形成した部分を設けることができるので、
上記の効果に加えて、工程設計の自由度が増すという効
果も達成する。
【0051】請求項5及び請求項6の発明に係るセラミ
ック配線板の製法によれば、下地層を形成する銅成分が
エチレンジアミン系キレート剤を用いて処理された金属
銅粉末又はエチレンジアミン系キレート剤を含有する無
電解めっき液から析出した金属銅粉末であるので、上記
の効果に加えて、さらに強固な密着力を持つ導体層を形
成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック基板と導体層との密着力の測定法を
示す断面図である。
【符号の説明】 1 セラミック基板 2 導体層 3 はんだ 4 スズめっき銅線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−55094(JP,A) 特開 昭61−1086(JP,A) 特開 昭61−66305(JP,A) 特開 平3−101291(JP,A) 特開 平3−136293(JP,A) 特開 平3−175689(JP,A) 国際公開93/7736(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/18 H05K 3/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基板に対して、その表面にビ
    スマス及び銅を含有する下地層を形成し、次に酸化性雰
    囲気中で600〜1100℃で熱処理し、次に還元性溶
    液中に浸漬して還元処理し、次いで無電解銅めっきを施
    すことを特徴とするセラミック配線板の製法。
  2. 【請求項2】 前記のビスマス及び銅を含有する下地層
    を形成する方法が、ビスマス及び銅の両金属成分を含有
    する材料をセラミック基板表面にコーティングして形成
    する方法であることを特徴とする請求項1記載のセラミ
    ック配線板の製法。
  3. 【請求項3】 前記のビスマス及び銅を含有する下地層
    を形成する方法が、セラミック基板表面に銅含有層を形
    成し、次にこの銅含有層上にビスマス含有層を形成する
    方法であることを特徴とする請求項1記載のセラミック
    配線板の製法。
  4. 【請求項4】 前記のビスマス及び銅を含有する下地層
    を形成する方法が、セラミック基板表面にビスマス含有
    層を形成し、次にこのビスマス含有層上に銅含有層を形
    成する方法であることを特徴とする請求項1記載のセラ
    ミック配線板の製法。
  5. 【請求項5】 ビスマス及び銅を含有する下地層を形成
    する銅成分がエチレンジアミン系キレート剤を用いて処
    理された金属銅粉末であることを特徴とする請求項1か
    ら請求項4までのいずれかに記載のセラミック配線板の
    製法。
  6. 【請求項6】 ビスマス及び銅を含有する下地層を形成
    する銅成分がエチレンジアミン系キレート剤を含有する
    無電解めっき液から析出した金属銅粉末であることを特
    徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の
    セラミック配線板の製法。
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