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JP3148661B2 - インパルスシーラー及び電源 - Google Patents

インパルスシーラー及び電源

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Publication number
JP3148661B2
JP3148661B2 JP34665496A JP34665496A JP3148661B2 JP 3148661 B2 JP3148661 B2 JP 3148661B2 JP 34665496 A JP34665496 A JP 34665496A JP 34665496 A JP34665496 A JP 34665496A JP 3148661 B2 JP3148661 B2 JP 3148661B2
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JP
Japan
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circuit
voltage
heater
power supply
handle
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JP34665496A
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Inventor
本 篤 信 坂
本 和 子 坂
Original Assignee
坂本 篤信
坂本 和子
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】プラスチックフィルムのインパル
スヒートシーラーに関するもので、その電源にトランス
を用いず、サイリスターの位相制御回路を用いた。又そ
の軽量化を生かして重い頑固なシーラーを力の少なくて
済む、コンパクトなものにした。
【0002】
【従来の技術】インパルスヒートシーラーは、ヒーター
には通常5mm位の幅の、0.1mm位の厚さの、ニッ
ケルクロム或いは鉄クロム合金等の帯状の抵抗線を用い
るが、長さ20cmのシーラーで、必要な電力は大体1
5V、20A前後であるので、どうしても300W位
の、重さ2kg近くのトランスが必須であった。
【0003】さらにそのプレス機構は、挟み込むヒータ
ーとフィルムが共に0.1mm前後と非常に薄いので、
全部の長さをむら無く圧着させるためには、頑丈な機構
が必要で、トランスと合わせると3kg前後と重く、操
作するときもかなりの力を入れざるを得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】海苔や煎餅を始め様々
な食物が、防湿、酸化防止を施され、コストもかけた材
質の袋に包装されて家庭に入って来るのに、いったん封
を切ると再度シールすることが出来ないために、使い切
れなかった物は保存できずに無駄になることも多かっ
た。従ってヒートシーラーが家庭用として普及すれば、
資源の無駄遣いを防ぐこともできるが、そのためには業
務用であれば従来のままでも良かったヒートシーラー
を、軽く、力の要らないものにする必要があった。
【0005】その為にはまずこの重いトランスを他に置
き換えなければならないが、例えば先程の20cmのヒ
ーターの抵抗値は約0.6Ωなので、100Vに直結す
ると計算上170A流れるので、一瞬にして焼け切れて
しまう。それを20Aにするのであるから、大体15V
に電圧を落とすか、長さを120cmにするかしなけれ
ばならない。長さをながくする方法では実開昭62−3
8808号のように線状発熱体を裏側まで二周に巻いて
抵抗線の長さを四倍にしたり、実開昭62−12791
3号ではさらに電圧降下用素子というものを直列に挿入
したりして少しでも短くてもよいようにしているが、共
に発熱線の表に出せない部分は隠すもので根本的な解決
策ではなかった。
【0006】トランスを使わず電圧を落とす方法では、
実開昭62−33506号のようにダイアックをトリガ
ーとして、双方向サイリスターを位相制御するものがあ
ったが、実際に作ってみるとスイッチング電圧が高いの
で必要な低い電圧は出せず、さらに出せる限度の電圧で
はヒステリシスがひどく、又電源電圧の変動で出力がフ
ラフラするので使いものにならなかった。
【0007】さらに従来のヒーター線は、エッジ切れを
起こさないように非常に薄いので、シールすべきフィル
ムと密着させるには、曲がりの少ない、頑丈な構造の、
プレス機構が必要であった。その上シール幅が広い方が
丈夫だと思い込んでいるために、単位面積当たりの圧力
を出すのに大きな力を必要とした。しかし家庭用として
は、女性が簡単に出せる力でプレス出来るような、軽
く、場所も取らないような機構が必要であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】サイリスターの制御回路
に、低いスイッチング電圧のシリコン双方向スイッチン
グ素子(以後SBSと言う)等の三端子のスイッチング
素子を用い、さらにそのトリガー素子への電圧供給をツ
ェナーダイオード(以後ZDと言う)等を用いて安定化
した。
【0009】さらにサイリスターの位相制御による出力
が、ZDのツェナー電圧を越えた場合、そのツェナー電
流で位相制御回路を制御する、保護回路も設けた。
【0010】又、ヒーターの抵抗線の断面を半円に、例
えば直径0.6mmの円の半分にした。プレス機構は文
房具のクリップのような形にした。さらにそのプレス機
構のヒーター線を載せている台の両端に、吸熱電極板を
設けた。
【0011】
【作用】めざす充分低い電圧が出力され、電源電圧の変
動程度ではシール能力は変わらず、安定して使用出来
た。
【0012】保護回路は、元々電源電圧に直結させると
瞬時に焼け切れてしまうシーラーをより安全なものにし
て、60サイクルの地域から無調整で50サイクルの地
域に移した場合や、部品の不良による暴走等による過熱
事故を防ぐことが出来た。
【0013】一方抵抗線の断面を半円にしたことで、厚
さが例えば0.1mmから0.3mmと3倍になり、挟
圧する幅も0.6mmと、ヒーターの5mm幅からでも
8分の1になったので、プレス機構は非常に少ない力で
良く密着するようになった。それによりプレス機構をク
リップの形に出来、加熱直後の冷却中の挟圧保持が確実
になったので、シール強度をさらに増加させることが出
来た。さらに吸熱電極板により、両端の余分な長さを無
くしながら過熱による孔が出来無くなった。
【0014】
【実施例】図1は本発明の電源回路の一例を示すが、ヒ
ーターの抵抗線1と直列に挿入されたサイリスター2の
位相制御回路Aは、SBS3を用いる。よく使われるダ
イアック等ではスイッチング電圧が約35Vと高くそれ
以下の電圧が出せないが、SBSならば8V程度の、自
らのスイッチング電圧付近まで絞り込むことができた。
電源電圧が変動しなければ、これで充分にうまく機能す
る。
【0015】しかし家庭でも常に電圧は変動するし、こ
の回路自らの電力使用でも変動するので、それにつれて
サイリスター2のトリガー位置が移動し、電力制御値は
大きく変わってしまう。図2に左に交流電圧の1波形
と、右にその位相制御または導通角制御されてパスした
電力値を表す波形を示すが、実線sは基準電圧で、縦線
sの位置でトリガーするものとすると、そのパスする電
力値はSとなる。仮に電圧が高くなって破線hとなる
と、トリガー位置は早められて縦線hとなり、そのパス
する電力値はHとなるが、電圧が低くなって点線lとな
ると、トリガー位置は遅くなって縦線lとなり、そのパ
スする電力値はLとなる。
【0016】この大きく違うH、S、Lの電力値によ
り、抵抗線は発熱するので、ヒートシールの仕上がりも
大きく変動する。これはサイリスターによる導通角の高
い部分での電力制御でも小幅に起きるのではあるが、こ
のヒートシーラー回路では、導通角の非常に小さい部分
でトリガーしなければならないことにより変動幅が拡大
する。それどころか電圧の低くなった場合にはトリガー
しないことも起きる。
【0017】その為、図1のZD4による電圧安定回路
Bにより、例えば16Vに電圧をクランプしてその台形
波を位相制御回路Aに供給すると、トリガー位置の変動
を殆ど無くすことが出来た。従って電力制御値の変化
は、電圧変動の幅に収まり、しかもその導通角が0度に
近いので、その変動幅の差は小さくなった。電圧安定回
路BはZDだけでなく一定電圧にクランプした台形波を
作れるものであればサイレクタやバリスタ等でも良い
が、ZDが電圧やシャープさにおいて使いよい。
【0018】図1の回路におけるトリガー素子SBS3
は、その半分の構成で同様に機能するSUSもそうであ
るが、ZDとPNP、NPN両トランジスター又はZD
とプログラマブルユニジャンクショントランジスター
(以後PUT)との複合したものと言え、いずれもZD
の低い電圧での自己点弧による低い電圧でのトリガーを
可能にするものである。ブレークオーバー電圧が35V
前後のダイアックや、46V近くのSSSではそれより
低い出力電圧は望めないが、SBSはその中に含まれる
ZDにより8V前後の電圧でブレークオーバーするが、
組み合わせ次第では2V近くまですることが出来る。
【0019】しかし図1の回路ではうまくいったSBS
等でも、図11のようにダイアックと同じ使い方をした
場合、つまりヒステリシスを小さくするためのゲートの
接続が出来ないので、CR移相回路の手前にダイオード
を挿入して排除するので、さらにそこにZDを挿入する
ことが出来ない。これは交流回路でもあるからだが、つ
まりは3端子の素子であってもそれを発揮させるように
結線しなければ、2端子のダイアックやSSS、ショッ
クレーダイオードと同じで、ZDをそのCの残留電荷排
除回路と共存させることが出来ない。
【0020】ZDによる電圧安定回路といえばユニジャ
ンクショントランジスター(以後UJT)があるが、今
までヒートシーラーの回路として用いられた例は無かっ
た。UJTはトリガー電圧の決まっているSBS等と違
い、電圧が変動するとその弛張発振が変化してしまうの
で、その電圧の安定化が必須で、その為後段から浮かし
て接続するのにパルストランスを使用するなど、ダイア
ックをトリガーとする回路に比べてかなり複雑になり、
その為に逆にその特性を生かして誘導負荷に強い交流用
としての回路例がほとんどであった。しかし交流用なら
ば今までのヒートシーラーのトランスの一次側制御の回
路としてはダイアックで済むので、結局使用された例は
無かった。
【0021】さらにUJTの台形波は30V以上必要
で、従ってスイッチング電圧が高く、しかも交流回路な
ので出力は半波整流の二倍とさらに高くなるとか 、素
子が伝導度変調によるので温度変化に弱い等の欠点があ
る。しかし本発明の経過とは違うが、弛張発振の為の電
圧の安定は必然的にCR時定数の安定化にもなるので、
欠点が補えさえすれば本発明の目的に使うことが出来る
はずである。同じような回路のPUTは電圧も低くでき
るので使用出来る。本発明の請求範囲にはUJTはPU
Tの中に含める。
【0022】これらにより、本回路に適したトリガー素
子は、スイッチング電圧の低い3端子のスイッチング素
子であり、そのアノードやカソードとともにゲートやエ
ミッターを結線させてcの残留電荷を排除する機能が出
せ、しかもZDと共存出来るような素子及びそれらと等
価の組み合わせということになる。
【0023】図1のタイマー回路Qは抵抗とコンデンサ
ー6の時定数により決まるコンデンサー6の電圧がトラ
ンジスター5のスレシューホールド値を越える時をタイ
ムアップとするもので、その時サイリスター3の位相制
御回路Aをショートさせて位相制御を停止させるもので
ある。またその電力は電圧安定回路Bから流用してい
る。
【0024】同一周波数の地域ではこれで問題なく使用
出来るようになったが、関東地域と関西地域のように異
なる場合は、出力が大いに違う場合が起こる。図3に異
なる周波数の1半波を示すが、例えばEは50サイクル
波であるが、e点でトリガーして電圧V1を得るように
調節した回路にFの60サイクル波を流すと、V2しか
出なくなる。そこでその回路を再調節してV1を得るよ
うにf点でトリガーさせるようにした後50サイクル波
を流すと、3倍近い大きなV3の出力となり、過熱する
ことになる。
【0025】実際には両サイクル地域をこんなに移動し
て使用されることはないが、調節し忘れても大事に至ら
ないようにする必要がある。図1のZD7及び流用して
いるタイマー回路Qの一部はその保護回路Pであり、そ
のツェナー電圧がV1より少し上になっているので、出
力波がそれを上回れば、タイマー回路Qをタイムアップ
時と同様な状態にして、位相制御回路Aをショートさせ
てサイリスターを停止させる。勿論保護回路独自の制御
回路を設けることも出来るが、この回路のように負荷の
ヒーター1がタイマー回路Qと電気的に共通の位置にあ
ると回路を構成しやすい。又出力を抵抗器で分圧しても
っと低いツェナー電圧のZDを使う方法もある。
【0026】この回路は周波数だけでなく、電圧が多少
異なる場合に調節範囲を間違えても過熱には至らないの
で安心して調節出来るとか、部品の不良等によって回路
が暴走するのを防止することが出来、本来電源電圧に直
結すれば一瞬にして焼け切れてしまうヒーターを用いな
ければならない本ヒートシーラーの安全回路として無く
てはならないものである。
【0027】これらによりサイリスタ−の制御で、長さ
5cm以下のヒ−トシ−ラ−迄作ることが可能になっ
た。しかしヒーターが幅5mm、厚さ0.1mmのニク
ロム帯線のままならば、流す電流は実効値で20A前後
必要なので、サイリスタ−によるピ−ク値では、80A
以上になってしまう。これでは普通の家庭では電圧降下
が起きて、正常には使用出来ない。したがって抵抗線の
断面積を小さくしなければならないので、本発明では抵
抗線の断面を半円に、例えば直径0.6mmの円の半分
にした。流れる電流はピ−ク値でも30A前後になっ
た。
【0028】こんなに細幅でもシール強度は充分出る。
図4、図5はこの直径0.6mmの半円の細線8による
ヒ−タ−と、従来の幅の広いリボン状のヒ−タ−9と
を、それぞれヒ−トシ−ルしたフィルム10、10´と
共に、約10倍に拡大した断面図である。なお点線11
は四フッ化エチレンテ−プ、同じく点線12は絶縁用ガ
ラスクロステープ、プレス機構の台部13、そして密着
させるのに無くてはならないシリコンゴム14である。
そしてシールしたフィルムが切れる場合は、シール圧力
不良を除いて、大部分がエッジ切れによる。従ってフィ
ルムを仮に図の左側から挟んでシールしたとすると、エ
ッジ切れは文字どおり二枚のフィルムの合わさったばか
りの、矢印の個所で切れるので、以後のシ−ルの幅が長
くても短くても、全く役に立たない。
【0029】幅広ヒ−タ−8の考え方は、10倍もの幅
の何処か一点でもヒ−トシ−ルが成されれば良いから、
幅は出来るだけ大きい方が安心だという訳であるが、そ
れによって総圧力が大きく必要になるので、その総圧力
を出せる能力が無ければ、かえって単位面積当りの圧力
が減り、シ−ル不良を増大させることになる。つまりこ
の考え方は力の強い挾圧機構が必要不可欠になってく
る。従って逆に切れの無い、完全なシールが出来るなら
ば、細幅の方がより良いということが言える。
【0030】幅が役立つのは、フィルムの相手が紙や不
織布等の多孔質な場合で、この場合溶着ではなく、相手
の孔に溶け込んで食い込む状態なので、単位面積当りの
シ−ル強度が弱く、丈夫なシ−ルには広い面積が必要と
なる。しかし通常の溶着の場合はその厚さに相当する幅
のシ−ルが完全になされれば良い。0.6mmの半円の
細いニクロム線のヒ−タ−でも図5又は実際にできたシ
−ル幅を測ると、1〜1.5mmもあるので充分すぎる
ことが分かる。幅広は、ヒ−タ−9によるシ−ル幅の縁
を除いて大部分が不要である上に、そのより強力にせざ
るをえない挾圧機構共々、無駄なエネルギ−を消費して
いることになる
【0031】一方高さ、或は挾圧と言うことになれば、
図4、図5のヒ−タ−の断面図から分かるように、細い
はずのニクロム半円線8がヒ−タ−9に比較して、高さ
が3倍も有るので、挾圧するときには非常に有利である
ことが分かる。シ−ルすべきフィルムも多くは0.05
〜0.1mm前後で、2枚重ねても0.1〜0.2mm
なので、同様なことが言える。
【0032】高さでは半円よりも、真円、つまり丸線の
方が有利であるが、実際に使用してみると、ほぼ同じ断
面積の0.45mm直径の丸線ではヒートカットしやす
く、そのヒートカットしたものはシール不良に成りやす
い。その対策としての、丸線の下にシリコンゴムを敷く
のは有効であったが、丸線の鋭利さはそのゴム及び下に
引いたガラスクロステープを消耗してしまうので、その
取り替え保守が必要であった。半円線ならば、ヒートカ
ットも少なく、シールは充分な強度を持ち、丸線の下側
に敷かなければならないシリコンゴムも不要になる。
【0033】半円の抵抗線により、隙間が有っても、力
が弱くてもシール出来るようになったので、図6に本発
明のプレス機構の1具体例を示す。図は口を開いた状態
のプラスチック製のクリップ型ヒ−トシ−ラ−15の斜
視図であるが、歯先16の内部に入れた金属製の台部の
上に0.5mm厚程度のガラスクロステープ17を貼
り、その上にバネ性の電極18に溶接した直径0.6m
mのニクロム半円線19を直線状に固定して、図では内
部を見せるために一部省略しているが、粘着剤付き四フ
ッ化エチレンテープ20でカバ−する。反対側の歯先1
6には、図では見えないが金属製の台部の上に3mm厚
程度のシリコンゴムを貼っておく。電源回路は取手21
の内部に納める。電源コード等は図では省略した。
【0034】取手21を手で持って(図では手を省
略)、設けてある円形のバネ22に逆らって押すことに
より、支点23を経由して歯先16を開き、開いた歯先
の間にヒ−トシ−ルすべきフィルムを入れ(図では省
略)、手を緩めればバネ22の力により閉じる。その状
態のまま電源スイッチ24のボタンを押し続けると、タ
イマー回路で設定した時間電流が流れ、加熱される。電
流が切れた後スイッチボタン24を離し、加熱時間程度
放置して冷却し、再度取手を押して歯先を開き、ヒ−ト
シ−ルがなされているフィルムを取り出せばよい。
【0035】このクリップ型のプレス機構により、女性
でも簡単に操作でき、通電終了と同時にプレスをやめて
しまいがちの他の手動式シーラーに比べて、加熱後の冷
却中のプレス保持が確実になったので、シール強度をさ
らに増加させることが出来たし、プレス保持力も適当に
弱いので、ヒートカットも起きにくいシーラーが出来上
がった。
【0036】しかし細い抵抗線による発熱は、その熱容
量が少なく、熱せられやすく冷めやすいので、それなり
の対策を施さねばならない。図7〜図9のようにシート
の温度、例えばシールしようとするフィルムの接合面の
温度を、縦軸に温度T、横軸に経過時間tのグラフで概
略述べると、図7の実線25は従来の太いヒーターの場
合で、タイムアップ時で電流が切られても、ヒーターの
余熱で溶ける温度T1以上の斜線の部分、即ち溶融熱量
が大きく、シールしやすい。
【0037】それに比べて図8の実線26は細いヒータ
ーの場合で、電流を停止した後の温度低下が激しく、溶
ける温度T1以上の溶融熱量が小さい。その為シートが
薄いものはシール出来ても、少し厚くなると熱不足でシ
ール出来なくなる。その為電流を多くすると、破線27
のように山が高くなり、溶融熱量は大きくなりシールは
出来るが、ヒーター回りの四フッ化エチレンシートやシ
リコンゴムに悪影響を与える温度T2を越え、それらの
消耗が激しくなり実用に適さなくなる。即ち過熱してし
まう。
【0038】そこでヒーター線の下の、ガラスクロスの
絶縁テープを多少でも厚くするなりして、断熱性を上げ
るとともに、図8の点線28のようにゆっくりした加熱
で、通電時間もt2迄二倍近く伸ばすと、T2以下でT
1以上の部分が大きくなり、即ち過熱しない溶融熱量が
多くなり、シールしやすくなる。実際の加熱時間は、シ
ートの厚さにもよるが、従来の1〜1.5秒前後に対
し、3秒近くになるが、これが熱容量の小さいヒーター
への、一つの対策である。
【0039】しかし早い解決方法としては図9の実線2
9のように加熱をきめ細かくして、最初はサイリスタ−
の導通角を大きくして置き、出力を通常の例えば1.5
倍位にして急速に立ち上げ、予めタイマーで設定してお
いた途中のt3で最適温度に達したら、以後温度が横這
いになるよう導通角を、出力が例えば5割程度になるよ
う低くして、シールが充分される時間経過後t4に切る
ようにするのである。これなら加熱時間を1秒以内にも
することが出来る。
【0040】この導通角切替加熱方式は、急速に立ち上
げても、一本調子の加熱の場合に避けられない過熱状態
を避けられ、周囲の余計な加熱も少なくなるので冷却時
間も最少になる。さらにヒーター回りの四フッ化エチレ
ンシートやシリコンゴムの消耗も少なくなる。この方法
は本発明の細いヒーターばかりでなく、従来の太いヒー
ターや、ポリプロピレンやナイロンのように加工温度が
高く、四フッ化エチレンシートの耐熱限界温度に近いも
のの加工にも非常に便利である。
【0041】インパルスヒートシーラーのプレス機構の
両端は、電極を交換しやすくするためやヒーターをバネ
で伸張させるために通常5cm位ずつ長さを取るので、
20cmのヒーターの場合シーラーの長さは30cmに
もなる。これには電極とニクロム線との接続部が発熱し
やすいとか、電極の手前でヒーター線が浮きやすく空気
で断熱されて高熱になったりするが、電極やニクロム線
は鉄合金で熱電導率が悪く、熱を放散させられないの
で、それらを防ぐ意味もある。従ってさらにシーラーの
長さを短くしようと電極を直角方向に曲げると、その浮
いた個所が確実に過熱するし、その個所にフィルムが来
れば当然孔が開いてしまう。
【0042】この対策としては図6又は図10に見られ
るように、熱と電気に伝導率の良い薄いリン青銅等によ
る吸熱電極板30を設けるのがよい。吸熱電極板30は
プレス機構の台部31の両端で、抵抗線19が絶縁材の
ガラスクロステープ17から離れる少し手前から抵抗線
19に充分接触するよう、といっても長すぎないように
配置すると共に、電極18とも接続して置き、抵抗線1
9が吸熱電極板30と接触した個所より外側は電気的に
も発熱しづらいようにするのがよい。
【0043】電極18は簡単にするためにそれ自身弾力
体としたが、ヒーターの長い場合には通常のシーラーの
ように絶縁体の電極支持具32を浮かせ、さらにバネを
別に設けて緊張させてもよい。その場合吸熱電極板は固
定しても、電極支持具と一緒に動くようにしても良い。
これにより20cmのシーラーは23cmとコンパクト
に仕上がるし、シールの端部で孔が開くことが無くなる
ので、シールを継ぎ足して長尺シールも出来るし、過熱
しないので抵抗線の電極18自身も長持ちするようにな
る。吸熱電極板は平らな、直角に曲げない電極の場合に
も有効である。
【0044】今までに述べた半円の発熱線や、クリップ
型のプレス機構も、トランスの有る従来の回路で使用出
来ることは言うまでもない。又そのクリップ型も、半円
線だけでなく、ヒーター線の形状がどのようなものであ
れ、その長さや幅等がバネの強さに見合えば、例えば2
0cmの長さで2mm幅程度はこのプレス機構の利点を
利用出来る。さらに吸熱電極板も、巾広のヒーターにも
有効に機能する。
【0045】又本発明を半波整流した直流を相手として
説明してきたが、通常サイリスタ−が応用出来るよう
に、求める電圧が出さえすれば交流に対しても有効であ
る。半波整流の回路を複数用いるとか、位相制御回路の
入り口で両波整流して、トライアックをホト・トライア
ック等でトリガーすることも出来る。特に二段階切替加
熱方法はトランスの有る回路の一次側に用いても役に立
ち、この場合には導通角が180度に近いので、通常の
ダイアック等による位相制御でもよい。又切替には通常
のタイマーとリレーを用いることも出来る。
【0046】
【発明の効果】簡単な回路でサイリスタ−に非常に低い
導通角での電力制御を、それも電源電圧の変動にも関わ
らず安定的に行えるようになったので、やっと完全にト
ランスを省略した、インパルスヒートシーラーを作るこ
とが出来た。
【0047】異なる周波数、電圧を供給する地域に移動
して調節し忘れていても、又一部の部品が故障しても、
保護回路が働くので、安心して使用出来るし、過熱する
ことが無いと分かっているので気軽に操作出来る。
【0048】ヒ−タ−に細い半円線を用いて、断面積を
3分の1にしたので、ヒ−タ−の使用電流も3分の1に
なり、制御電力のピーク値でも30A以下となり、家庭
でも充分使え、しかも300Wから100Wになるなど
使用電力が少なくなり、トランスの電力ロスも無く、リ
レ−も無く、無接点にもなったので、寿命も半永久的に
なり、非常に省資源的になった。
【0049】細い半円線は、さらに幅を10分の1、厚
さを3倍にしたので、挟圧機構を簡単な、軽量で、力の
あまり要らない、クリップ型にもでき、加熱直後の冷却
中のプレス保持が確実になったので、シール強度をさら
に増加させることが出来た。これらでやっと家庭で手軽
に使えるヒートシーラーが出来たと言える。
【0050】しかし家庭用ばかりでなく、手に持てるの
で、液体の入った袋のシール等も簡単に出来るし、吸熱
電極板により孔も開かないので、横にずらしてシールを
長くすることにより2m以上の農業用ポリのシールにも
使える等、業務用にも大いに利用出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1例の配線図
【図2】電源変動による制御電力値の変動グラフ
【図3】異なる周波数におけるトリガー位置と出力の関
係図
【図4〜図5】ヒ−タ−、フィルムを10倍に拡大した
断面図
【図6】本発明の1例のクリップ型シ−ラ−の斜視図
【図7〜図9】加熱中のフィルムの温度グラフ
【図10】図7のシ−ラ−の台部の一部を拡大した側面
【図11】従来の位相制御回路の1例の配線図
【符号の説明】
1ヒーターの抵抗線 2サイリスタ− 3SBS
4ZD 5トランジスター 6抵抗とコンデンサー 7ZD
8半円断面抵抗線 9幅広ヒ−タ− 15クリップ型シーラー 16
同歯先 19ニクロム半円線 21取手 24電源スイッチ
及びボタン 25〜29フィルム温度 30吸熱電極板 31台部
32電極支持具 A位相制御回路 Qタイマー回路 B電圧安定回路
P保護回路 h,s,lトリガー位置 H、S、L制御電力値
Cコンデンサー
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65B 51/00 - 51/32 B29C 65/00 - 65/54 G05F 1/455

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電源回路がトランスを省略し、トリガー素
    子として、スイッチング電圧の低い、又は低く設定した
    シリコン双方向スイッチング素子(以後SBSと言
    う)、PUT又はそれらと等価の回路を用い、CR移相
    回路のCの残留電荷を電源電圧の0V時に排除するよう
    結線すると共に、その移相回路にツェナーダイオード
    (以後ZD)による一定電圧にクランプした台形波を供
    給して、導通角の低い制御を安定して行えるようにした
    サイリスターの位相制御回路であることを特徴とするイ
    ンパルスヒートシーラー。
  2. 【請求項2】プレス機構が、文房具のクリップのように
    表裏二体からなり、ヒーターを設けて作用点となる口、
    中間にあって支点となる丁番、開口するための力点をな
    す取手をそれぞれ合わせ、口と丁番の間に設けた力点に
    取り付けたバネにより、離れずに一体となると同時に口
    を閉じるプレス力を生じせしめ、そのバネに逆らって取
    手を押して開口してシールすべきものを挟んで力を弛め
    れば、そのバネにより口を閉じ、電源回路のスイッチを
    押して短時間ヒーターに通電して加熱すると、再度取手
    を押すまで冷却しながら挟圧保持する構造であることを
    特徴とするインパルスヒートシーラー。
  3. 【請求項3】プレス機構が、文房具のクリップのように
    表裏二体からなり、ヒーターを設けて作用点となる口、
    中間にあって支点となる丁番、開口するための力点をな
    す取手をそれぞれ合わせ、口と丁番の間に設けた力点に
    取り付けたバネにより、離れずに一体となると同時に口
    を閉じるプレス力を生じせしめ、そのバネに逆らって取
    手を押して開口してシールすべきものを挟んで力を弛め
    れば、そのバネにより口を閉じ、電源回路のスイッチを
    押して短時間ヒーターに通電して加熱すると、再度取手
    を押すまで冷却しながら挟圧保持する構造で、かつ電源
    回路がトランスを省略し、トリガー素子として、スイッ
    チング電圧の低い、又は低く設定したシリコン双方向ス
    イッチング素子(以後SBSと言う)、PUT又はそれ
    らと等価の回路を用い、CR移相回路のCの残留電荷を
    電源電圧の0V時に排除するよう結線すると共に、その
    移相回路にツェナーダイオード(以後ZD)による一定
    電圧にクランプした台形波を供給して、導通角の低い制
    御を安定して行えるようにしたサイリスターの位相制御
    回路であることを特徴とするインパルスヒートシーラ
    ー。
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