JP3022524B1 - 情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板 - Google Patents
情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板Info
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Abstract
対応した表面平滑性と、高速回転ドライブに対応できる
高ヤング率・低比重特性を兼ね備えた情報磁気憶媒体用
高剛性ガラスセラミック基板、その製造方法および情報
磁気記憶媒体を提供する。 【解決手段】 ヤング率/比重が37〜63の範囲,A
l2O3=10〜20%未満にあり、その主結晶相は、β
−石英,β−石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタ
イト固溶体,フォルステライト,フォルステライト固溶
体の中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特
徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック
ス基板。
Description
いられる情報磁気記憶媒体用基板、特にランプロード方
式で主に用いられる、ニアコンタクトレコーディングあ
るいはコンタクトレコーディングに対応した、超平滑な
基板表面を有し、しかも高速回転に対応し得る高ヤング
率・低比重特性を有する、磁気ディスク基板等の情報記
憶媒体用ガラスセラミックス基板、およびこの情報磁気
記憶媒体用ガラスセラミックス基板の製造方法、ならび
に情報磁気記憶媒体用ガラスセラミックス基板に成膜プ
ロセスを施し形成される情報磁気記憶媒体に関する。
尚、本明細書において「情報磁気記憶媒体」とは、パー
ソナルコンピュータのいわゆるハードディスクとして使
用されるような、固定型ハードディスク,リムーバル型
ハードディスク,カード型ハードディスクや、データス
トレージやデジタルビデオカメラ・デジタルカメラにお
いて使用可能なディスク状情報磁気記憶媒体を意味す
る。
対して、リムーバル方式やカード方式等の情報磁気記憶
装置が検討、実用段階にありデジタルビデオカメラ・デ
ジタルカメラ等の用途展開も始まりつつある。この様な
動向により、パーソナルコンピュータのマルチメディア
化やデジタルビデオカメラ,デジタルカメラ等の普及が
近年急速に進みつつあり、動画や音声等の大きなサイズ
のデータを扱うべく、大容量の情報磁気記憶装置が求め
られている。これに対応するため、情報磁気記憶媒体は
ビットおよびトラック密度を増加させ、ビットセルのサ
イズを縮小化して面記録密度を大きくしなければなら
ず、一方磁気ヘッドはビットセルの縮少化に合わせディ
スク表面により近接して作動する、ニアコンタクトレコ
ーディング、更にコンタクトレコーディング方式を採用
する方向へ進みつつある。
て、アルミニウム合金が広く用いられているが、アルミ
ニウム合金基板では、種々の材料欠陥の影響により、研
磨工程における基板表面の突起またはスポット状の凹凸
を生じ平坦性、平滑性の点で、前記の高密度磁気記憶媒
体用基板として十分でなく、またアルミニウム合金は軟
かい材料であるため、ヤング率、表面硬度が低いためド
ライブの高速回転において振動が激しく変形が生じやす
く薄形化に対応することがむずかしいという問題も有し
ている。更にヘッドの接触による変形傷を生じメディア
を損傷させてしまう等、今日の高密度記録化に十分対応
できない。
消する材料として、化学強化ガラスのアルミノシリケー
トガラス特開平8−48537、特開平5−32431
(SiO2−Al2O3−Na2O)が知られているが、こ
の場合、(1)研磨は化学強化後に行なわれ、ディスク
の薄板化における強化層の不安定要素が高い。また強化
相は、長期の使用において経時変化を発生し、磁気特性
を悪化させてしまう。(2)ガラス中にNa2O,K2O
成分を必須成分として含有するため、成膜特性が悪化
し、Na2O,K2O溶出防止のための全面バリアコート
処理が必要となり、製品の低コスト安定生産性が難しい
欠点がある。(3)ガラスの機械的強度を向上させるた
めに化学強化を行っているが、基本的に表面相と内部相
の強化応力を利用するものであり、ヤング率は通常のア
モルファスガラスと同等である83GPa以下と高速回
転ドライブへの使用に限界がある等、やはり高密度磁気
記憶媒体用基板としての特性は不十分である。
ス基板に対して、いくつかの結晶化ガラスが知られてい
る。例えば、特開平9−35234号公報,EP078
1731A1号公報に開示される磁気ディスク用ガラス
セラミックス基板は、Li2O−SiO2系組成から成
り、結晶相は二珪酸リチウムとβ−スポジューメン、あ
るいは二珪酸リチウムとβ−クリストバライトを析出さ
せたものであるが、高速回転に対するヤング率と比重の
関係を全く検討しておらず、何の示唆も与えていない。
尚、この系のガラスセラミックスのヤング率は100G
Paが限界である。
9−77531号公報にはSiO2−Al2O3−MgO
−ZnO−TiO2系結晶化ガラスが開示されている。
この結晶化ガラスは、主結晶相が多量のスピネル結晶
で、副結晶としてMgTi2O5と他複数の結晶を含み、
ヤング率が93.4〜160.11GPaの結晶化ガラ
スおよびこの結晶化ガラスからなる磁気記憶用剛性ディ
スクを構成する基体であるが、この材料は主結晶相が
(Mg/Zn)Al2O3および/または(Mn/Zn)
2TiO4で表されるスピネル結晶(副結晶相においては
他複数の結晶が選択可能)においてAl2O3を多量に含
むものであり、後述する本発明のようにAl 2O3の比較
的少ない高ヤング率特性と低比重を兼ね備えた、ガラス
セラミックスとは異なるものである。しかも、この様に
Al2O3を多量に含むと、原ガラスの溶融性が低下した
り、耐失透性が悪化する等の問題を生じ、生産上も好ま
しくなく、また、高速回転ドライブに必要なヤング率
(GPa)/比重の関係や比重の値そのものについても
全く検討されておらず、これらに対する示唆も何ら与え
ていない。特に比重については全て2.87以上と高い
ものとなっている。したがって、単に硬質な材料を提案
しているにすぎない。しかもこの系の結晶化ガラスは硬
度が高くなり過ぎるため、加工性が悪く量産性に劣ると
いう大きな問題があり、高密度情報磁気記憶媒体用基板
としての改善効果は不十分なものである。
従来技術に見られる諸欠点を解消すべく、前記のような
高記録密度化動向に対応し得る情報磁気記憶媒体用基板
として、溶融性,耐失透性および加工性に優れ、高記憶
密度のコンタクトレコーディング化に対応した基板表面
の平滑性に優れると同時に、高速回転ドライブに対応し
た高ヤング率・低比重特性を兼ね備えた情報磁気記憶媒
体用ガラスセラミックス基板、およびその製造方法なら
びにこのガラスセラミック基板上に磁気媒体の被膜を形
成してなる情報磁気記憶媒体を提供することにある。
達成するために鋭意試験研究を重ねた結果、高速回転ド
ライブに対応するためには、情報磁気記憶媒体基板は高
速回転時のたわみによるディスク振動を防止すべく、高
剛性、低比重でなけらばならず、このため最適な基板の
ヤング率と比重の比はヤング率(GPa)/比重=37
〜63であることを発見し、本発明に到達した。また本
発明者は、上記目的を達成するために主結晶相がβ−石
英,β−石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタイト
固溶体,フォルステライト,フォルステライト固溶体の
中から選ばれる少なくとも1種以上であることに限定さ
れ、且つ各析出結晶粒子は、いずれも微細な球状粒子形
状であり、原ガラスの溶融性,耐失透性および研磨加工
性に優れ、研磨後の表面もより平滑性に優れ、高速回転
に対応した高ヤング率と低比重を兼ね備えている、情報
磁気記憶媒体用ガラスセラミック基板が得られることを
見い出し、本発明に至った。
磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、
ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびA
l2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲であり、そ
の主結晶相は、β−石英,β−石英固溶体,エンスタタ
イト,エンスタタイト固溶体,フォルステライト,フォ
ルステライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以
上であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性
ガラスセラミックス基板であり、請求項2に記載の発明
は、Na2O,K2O,PbOを実質上含有しないことを
特徴とする、請求項1に記載の情報磁気記憶媒体用高剛
性ガラスセラミックス基板であり、請求項3に記載の発
明は、前記ガラスセラミック基板において、各主結晶相
の結晶粒子径が0.05μm〜0.30μmであること
を特徴とする、請求項1または2に記載の情報磁気記憶
媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項4
に記載の発明は、前記ガラスセラミック基板において、
−50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×
10-7〜50×10-7/℃の範囲であることを特徴とす
る、請求項1〜3のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体
用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項5に記
載の発明は、前記ガラスセラミック基板において、研磨
後の表面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)が3〜9Å、
表面最大粗さRmaxが100Å以下であることを特徴
とする、請求項1〜4のいずれかに記載の情報磁気記憶
媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項6
に記載の発明は、前記ガラスセラミック基板は酸化物基
準の重量百分率で、 SiO2 40 〜60% MgO 10 〜20% Al2O3 10 〜20%未満 P2O5 0.5〜 2.5% B2O3 1 〜 4% Li2O 0.5〜 4% CaO 0.5〜 4% ZrO2 0.5〜 5% TiO2 2.5〜 8% Sb2O3 0.01〜0.5% As2O3 0 〜 0.5% SnO2 0 〜 5% MoO3 0 〜 3% CeO 0 〜 5% Fe2O3 0 〜 5% の範囲の各成分を含有する原ガラスを熱処理することに
より得られ、該ガラスセラミックの主結晶相は、β−石
英,β−石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタイト
固溶体,フォルステライト,フォルステライト固溶体の
中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴と
する、請求項1〜5のいずれかに記載の情報磁気記憶媒
体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項7に
記載の発明は、前記ガラスセラミックスは、ガラス原料
を溶融、成型および徐冷後、結晶化熱処理条件として核
形成温度が650℃〜750℃、結晶化温度が750℃
〜1050℃で熱処理することにより得られことを特徴
とする、請求項6記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラ
スセラミックス基板の製造方法であり、請求項8に記載
の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の情報磁気記
憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板上に磁気媒体被
膜を形成して成る情報磁気記憶媒体ディスクである。
尚、本明細書において固溶体とは、前記各結晶にその他
の成分が一部、置換および/または侵入したものを指
す。
主結晶相と結晶粒径,表面性状,組成範囲を上記のよう
に限定した理由を以下に示す。尚、組成については、原
ガラスと同様酸化物基準で表示する。
る。前記のように、記録密度およびデータ転送速度を向
上するために、情報磁気記憶媒体基板の高速回転化傾向
が進行しているが、この傾向に対応するには、基板材は
10000rev/分以上の高速回転時のたわみによるディスク
振動を防止すべく、高剛性、低比重でなければならな
い。単に高剛性であっても、比重が大きければ、高速回
転時にその重量が大きいことによってたわみが生じ、振
動を発生する。逆に低比重でも剛性が小さければ、同様
に振動が発生する。したがって、高剛性でありながら、
低比重という一見相反する特性のバランスを取らなけれ
ばならず、その範囲はヤング率(GPa)/比重=37
〜63であることが判った。好ましい範囲は、ヤング率
(GPa)/比重=40〜63であり、更に好ましい範
囲はヤング率(GPa)/比重=47〜63であり、最
も好ましい範囲はヤング率(GPa)/比重=50〜6
3である。尚、剛性についてもより好ましい範囲があ
り、例え低比重であっても前記振動発生問題の点からす
ると、少なくとも120GPa以上が好ましいが、基板
の加工性や比重の増加から勘案して上限は150GPa
以下が好ましい。比重についても同様で、前記振動発生
問題の点からすると、例え高剛性であっても3.50以
下でないと、その自重により高速回転時に基板の振動が
発生しやすくなり、逆に比重が2.3未満では所望の剛
性を有する基板を実質上得難い。この点を考慮した時の
好ましい比重の範囲は2.5〜3.3である。
であるが、磁性膜の高精度化,微細化において、材料中
にNa2O,K2O成分を含有すると、基板が高温となる
成膜工程においてこれらのイオンが磁性膜中に拡散(特
に成膜温度の高いバリウムフェライト垂直磁化膜では顕
著である)し、磁性膜粒子の粗大化や配向性が悪化する
ため、これらの成分を実質的に含有しないことが重要で
ある。また環境上好ましくないPbO成分も含有すべき
ではない。
−石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタイト固溶
体,フォルステライト,フォルステライト固溶体の中か
ら選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴として
いる。これは上記結晶相が、良好な加工性を有し、剛性
増加にも寄与し、比較的低比重とすることができ、更
に、析出結晶粒径が非常に微細にとすることができると
いう有利な面があるためである。尚、前記各結晶相にお
いて、β−石英,エンスタタイト,フォルステライトの
各結晶相の析出とその割合は、MgO,SiO2の含有
割合により、またこれら3結晶相とこれら3結晶相の固
溶体相の析出とその割合は、MgO,SiO 2とその他
の成分の含有割合により決定される。
るが、先に述べたように、記録密度向上のためのニアコ
ンタクトレコーディングやコンタクトレコーディング方
式に対応するには、情報磁気記憶媒体の表面の平滑性が
従来品よりも良好でなければならない。従来レベルの平
滑性で磁気媒体への高密度入出力を行おうとしても、ヘ
ッドと媒体間の距離が大きいため、磁気信号の入出力を
行うことができない。またこの距離を小さくしようとす
ると、媒体の突起とヘッドが衝突し、ヘッド破損や媒体
破損を引き起こしてしまう。この様な理由から、ニアコ
ンタクトレコーディングやコンタクトレコーディング方
式に対応するためには、ディスク用基板表面の平滑性
は、表面粗度(Ra)=3〜9Å,最大粗さ(Rma
x)=100Å以下であることが必要である。好ましく
は、表面粗度(Ra)=3〜7Å,最大粗さ(Rma
x)=95Å以下であり、更に好ましくは、表面粗度
(Ra)=3〜6Å,最大粗さ(Rmax)=90Å以
下である。
いてであるが,本願のようなガラスセラミックス基板の
ように高剛性で且つ超平滑性(データ領域で3〜9Å)
を有するガラスセラミックス基板を得るためには、その
結晶粒子と形状が重要な因子となる。上記各結晶の結晶
粒径より大きくても小さくても、所望の強度および表面
粗度は得られない。
よびトラック密度を増加させ、ビットセルのサイズを縮
小化するにおいては、媒体と基板の熱膨張係数の差が大
きく影響する。このため、−50〜+70℃の温度範囲
における熱膨張係数は、30×10-7〜50×10-7/
℃であることが必要である。
組成は全て重量%によるものである。SiO2成分は、
原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出するβ―
石英,β―石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタイ
ト固溶体,フォルステライト,フォルステライト固溶体
結晶を生成する極めて重要な成分であるが、その量が4
0%未満では、得られたガラスセラミックスの析出結晶
が不安定で組織が粗大化しやすく、60%を超えると原
ガラスの溶融・成型性が困難になる。尚、これら結晶相
を析出するには熱処理条件も重要な因子となるが、より
広い熱処理条件とすることができる、より好ましい範囲
は48.5〜58.5%である。
主結晶相として析出するβ―石英,β―石英固溶体,エ
ンスタタイト,エンスタタイト固溶体,フォルステライ
ト,フォルステライト固溶体結晶を生成する極めて重要
な成分であるが、その量が10%未満では、得られたガ
ラスセラミックスの析出結晶が不安定で組織が粗大化し
やすく、かつ溶融性が悪化する。また20%を超えると
原ガラスの失透性・耐化学性が悪化する。尚、SiO2
と同様の理由による、より好ましい範囲は12〜18%
である。
り、主結晶相として析出するβ―石英固溶体結晶を生成
する極めて重要な成分であるが、その量が10%未満で
は、得られたガラスセラミックスの析出結晶が不安定で
組織が粗大化しやすく、また20%以上では原ガラスの
溶融性・失透性が著しく悪化する。尚、上記と同様の理
由による、より好ましい範囲は12〜18%である。
て機能する上に、原ガラスの溶融性、成型時の失透性を
改善するのに効果的であるが、その量が0.5%未満で
は上記効果が得られず、また2.5%を超えると失透性
が悪化する。尚、好ましい範囲は1〜2%である。
度をコントロールするのに効果的であるが、その量が1
%未満では上記効果が得られず、また4%を超えると原
ガラスの溶融性が悪化しガラスセラミックスの析出結晶
が不安定で組織が粗大化してしまう。尚、好ましい範囲
は1〜3%である。
主結晶相として析出する、β―石英固溶体結晶を生成す
る上に、原ガラスの溶融性を改善する極めて重要な成分
であるが、その量が0.5%未満では上記効果が得られ
ず、また4%を超えるとガラスセラミックスの析出結晶
が不安定で組織が粗大化してしまう。尚、好ましい範囲
は1〜3%である。
るのと同時に析出結晶の粗大化を防止する成分である
が、その量が0.5%未満では上記効果が得られず、ま
た4%を超えると所望とする結晶が得難くなりガラスセ
ラミックスの結晶が粗大化し耐化学性も悪化する。尚、
好ましい範囲は1〜3%である。
の結晶核形成剤として機能する上に、析出結晶の微細化
と材料の機械的強度向上、および耐化学性の向上に顕著
な効果を有することが見出された極めて重要な成分であ
るが、ZrO2成分が0.5%、TiO2成分が2.5%
未満では上記効果が得られず、またZrO2成分が5
%、TiO2成分が8%を超えると原ガラスの溶融が困
難となるのと同時にZrSiO4等が発生し溶け残りが
生じてしまったり、原ガラスの耐失透性が低下し、これ
によって結晶化工程において結晶粒の異常粒子成長を引
き起こしてしまう。尚、好ましい範囲は、TiO2とZ
rO2の合計量が9%以下であり、更に好ましい範囲
は、ZrO2=1〜4%、TiO2=3〜7.5%、Ti
O2とZrO2の合計量が3〜8%である。
際の清澄剤として添加し得るが、これらの1種または2
種の合計量は2.0%までで十分である。
は、ガラスの着色剤または着色することによる表面欠陥
の検出感度の向上、およびLD励起固体レーザーの吸収
特性を向上させるために各成分の合計で5%まで添加し
得る。SnO2成分は5%、MoO3成分は3%以内が好
ましい。尚、SnO2、MoO3成分は、熱処理前のガラ
ス状態では透光性があるが、熱処理結晶化後に着色化す
るという重要な成分である。
セラミック基板を製造するには、上記の組成を有するガ
ラスを溶解し、熱間成形および/または冷間加工を行っ
た後650℃〜750℃の範囲の温度で1〜12時間熱
処理して結晶核を形成し、続いて750℃〜1050℃
の範囲の温度で約1〜12時間熱処理して結晶化を行
う。
て説明する。表1〜表6は本発明の磁気ディスク用ガラ
スセラミック基板の実施組成例(No.1〜14)および
比較組成例として従来の化学強化ガラスのアルミノシリ
ケートガラス(特開平8−48537号公報)を比較例
1,Li2O−SiO2系ガラスセラミックス(特開平9
−35234号公報)を比較例2,SiO2−Al2O3
−MgO−ZnO−TiO2系結晶化ガラス(特開平9
−77531号公報)を比較例3として、その組成,核
形成温度,結晶化温度,結晶相,結晶粒子径,ヤング
率,比重,ヤング率(GPa)/比重,研磨後の表面粗
度(Ra),最大表面粗さ(Rmax),−50〜+7
0℃における熱膨張係数を示す。尚、β−石英固溶体は
β−石英SSと表している。尚、組成については全て重
量%で表示したものである。
酸化物,炭酸塩,硝酸塩等の原料を混合し、これを通常
の溶解装置を用いて約1350〜1490℃の温度で溶
解し攪拌均質化した後ディスク状に成形して、冷却しガ
ラス成形体を得た。その後これを650〜750℃で約
1〜12時間熱処理して結晶核形成後、750〜105
0℃で約1〜12時間熱処理結晶化して、所望のガラス
セラミックを得た。ついで上記ガラスセラミックを平均
粒径5〜30μmの砥粒にて約10分〜60分ラッピン
グし、その後平均粒径0.5〜2μmの酸化セリューム
にて約30分〜60分間研磨し仕上げた。
のアルミノシリケート化学強化ガラス,Li2O−Si
O2系ガラスセラミックス,SiO2−Al2O3−MgO
−ZnO−TiO2系ガラスセラミックスの比較例とで
は、ガラスセラミックスの結晶相が異なり、ヤング率と
比重の関係においても、アルミノシリケート化学強化ガ
ラス,Li2O−SiO2系ガラスセラミックスに比較し
高剛性もしくは低比重である。本比較例における、比較
的高剛性・低比重のSiO2−Al2O3−MgO−Zn
O−TiO2系ガラスセラミックスは、非常に硬質な材
料であるために、表面粗度において所望の値が得られな
かった。これに対し本発明のガラスセラミックスは加工
性に優れ、目的とする平滑性が充分得られ、加えて、結
晶異方性,異物,不純物等の欠陥がなく組織が緻密で均
質・微細であり、種々の薬品や水による洗浄、あるいは
エッチングにも耐え得る化学的耐久性を有するものであ
った。
記従来技術に見られる諸欠点を解消しつつ、溶融性,耐
失透性および加工性に優れ、高記憶密度のコンタクトレ
コーディング化に対応した基板表面の平滑性に優れると
同時に、高速回転ドライブに対応した高ヤング率・低比
重特性に兼ね備えた情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセ
ラミック基板およびその製造方法ならびにこのガラスセ
ラミック基板上に磁気媒体の被膜を形成してなる情報磁
気記憶媒体を提供することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミ
ック基板において、ヤング率(GPa)/比重=37〜
63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未
満の範囲にあり、その主結晶相は、β−石英,β−石英
固溶体,エンスタタイト,エンスタタイト固溶体,フォ
ルステライト,フォルステライト固溶体の中から選ばれ
る少なくとも1種以上であることを特徴とする、情報磁
気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項2】 Na2O,K2O,PbOを実質上含有し
ないことを特徴とする、請求項1に記載の情報磁気記憶
媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項3】 前記ガラスセラミック基板において、各
主結晶相の結晶粒子径が0.05μm〜0.30μmで
あることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報
磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項4】 前記ガラスセラミック基板において、−
50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×1
0-7〜50×10-7/℃の範囲であることを特徴とす
る、請求項1〜3のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体
用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項5】 前記ガラスセラミック基板において、研
磨後の表面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)が3〜9
Å、表面最大粗さRmaxが100Å以下であることを
特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の情報磁気
記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項6】 前記ガラスセラミック基板は酸化物基準
の重量百分率で、 SiO2 40 〜60% MgO 10 〜20% Al2O3 10 〜20%未満 P2O5 0.5〜 2.5% B2O3 1 〜 4% Li2O 0.5〜 4% CaO 0.5〜 4% ZrO2 0.5〜 5% TiO2 2.5〜 8% Sb2O3 0.01〜0.5% As2O3 0 〜 0.5% SnO2 0 〜 5% MoO3 0 〜 3% CeO 0 〜 5% Fe2O3 0 〜 5% の範囲の各成分を含有する原ガラスを熱処理することに
より得られ、該ガラスセラミックの主結晶相は、β−石
英,β−石英固溶体,エンスタタイト,エンスタタイト
固溶体,フォルステライト,フォルステライト固溶体の
中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴と
する、請求項1〜5のいずれかに記載の情報磁気記憶媒
体用高剛性ガラスセラミックス基板。 - 【請求項7】 前記ガラスセラミックスは、ガラス原料
を溶融、成型および徐冷後、結晶化熱処理条件として核
形成温度が650℃〜750℃、結晶化温度が750℃
〜1050℃で熱処理することにより得られことを特徴
とする、請求項6に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガ
ラスセラミックス基板の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の情報磁
気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板上に磁気媒
体被膜を形成して成る情報磁気記憶媒体ディスク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10321760A JP3022524B1 (ja) | 1998-02-26 | 1998-11-12 | 情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板 |
Applications Claiming Priority (7)
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