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JP3009310B2 - サイアロン基焼結体およびその被覆焼結体 - Google Patents

サイアロン基焼結体およびその被覆焼結体

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JP3009310B2
JP3009310B2 JP5107584A JP10758493A JP3009310B2 JP 3009310 B2 JP3009310 B2 JP 3009310B2 JP 5107584 A JP5107584 A JP 5107584A JP 10758493 A JP10758493 A JP 10758493A JP 3009310 B2 JP3009310 B2 JP 3009310B2
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JP
Japan
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sialon
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coated
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裕二 佐藤
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Tungaloy Corp
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Tungaloy Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、β−サイアロンを主成
分とするマトリックスと、残りがHfおよび/またはZ
rとDy元素を含む希土類元素とでなる複合酸化物を主
成分とする粒界相とからなるサイアロン基焼結体および
その表面に被膜を被覆してなる被覆サイアロン基焼結体
に関し、具体的には、特に 旋削工具,フライス工具,
ドリル,エンドミル等の切削工具または缶成形用型,ス
リッター,ブッシュ,ガイド,ノズル,バルブ,ボール
等の耐摩耗工具として最適なサイアロン基焼結体および
その表面に被膜を被覆してなる被覆サイアロン基焼結体
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、サイアロンおよび窒化ケイ素焼
結体は、その優れた機械的強度,靭性,耐熱衝撃性によ
り切削工具や耐摩耗工具、あるいはタービン翼やエンジ
ン部品として実用されている。
【0003】ここで、粒界相を含まないサイアロンある
いは窒化ケイ素では、破壊モードは主として粒内破壊と
なるため靭性に著しく劣り、実用化されている焼結体
は、主として希土類酸化物を含む粒界相とサイアロンま
たは窒化ケイ素とからなる複合焼結体である。このた
め、その焼結体の耐熱性等の高温特性は、主成分である
サイアロンまたは窒化ケイ素よりも融点の低い粒界相の
性質により決定されるが、従来の焼結体における粒界相
の耐熱性は決して充分なものとは云えず、高温での強度
低下が著しいという問題がある。
【0004】この問題を解決しようとした代表的な窒化
ケイ素を主成分とする窒化ケイ素基焼結体として、特開
昭62−153169号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1531
69号公報には、希土類元素の酸化物と、Hf,Ta,
またはNbの酸化物,炭化物,ケイ化物の群から選ばれ
た少なくとも1種と、窒化アルミニウムと、残部が窒化
ケイ素よりなるセラミックス混合物を焼成してなる窒化
ケイ素焼結体が開示されている。
【0006】この焼結体は、従来のSi34−Al23
−AlN−希土類酸化物系におけるAl23をHfO2
で置換することにより、高温における機械的強度を高め
ることに成功した優れた焼結体であるが、主成分がβ−
Si34であるため、切削工具として使用する場合、被
削材の主成分である鉄族金属との反応性に富み、耐摩耗
性に劣るという問題がある。
【0007】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、耐摩耗性に優れるβ−サイアロン
を主成分とし、高融点の複合酸化物を粒界相に、適量存
在させることにより、耐摩耗性,耐欠損性、耐熱衝撃性
に優れたサイアロン基焼結体および被覆サイアロン基焼
結体の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、β−サイア
ロン(Si6-Z−Alzz8-Z、0<z≦4.2)、α
−サイアロン〔M’y(Si,Al)12(O,N)16
M’=Li,Mg,Ca希土類元素の1種、0<y≦
2〕またはSi34を主成分とする焼結体について、切
削時の耐摩耗性により検討したところ、β−サイアロン
を主成分とした焼結体は、被削材の主成分である鉄族金
属との反応が生じ難く、耐摩耗性に著しく優れるという
知見を得た。
【0009】また、β−サイアロンを主成分としたマト
リックスにHfおよび/またはZrとDy元素を含む希
土類元素とからなる複合酸化物の粒界相を混在させる
と、室温および高温における強度,靭性,耐熱衝撃性が
著しく改善され、切削工具として使用すると、耐摩耗性
と耐欠損性の両方に優れた焼結体が得られるという知見
を得た。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに
至ったものである。
【0010】本発明のサイアロン基焼結体は、β−サイ
アロンを主成分とするマトリックス75〜99重量%
と、残部がR22-X7-2X(但し、Rは、Dy元素また
はDy元素とSc,Yを含めた希土類元素の中の少なく
とも1種とを表わし、Mは、Hfおよび/またはZrを
表わし、−1<x<1からなり、Oは酸素を表わす。)
で表わされる複合酸化物を主成分とする粒界相とからな
るものである。
【0011】本発明のサイアロン基焼結体におけるマト
リックスは、マトリックス中の50重量%以上がβ−サ
イアロン(組成式:Si6-Z−AlzOzN8-Z、0<z
≦4.2)であり、その他α−Si34,β−Si
34,α−サイアロン(組成式:M’y(Si,Al)
12(O,N)16、M’=Li,Mg,Ca,希土類元素
の中の少なくとも1種、0<y≦2),ケイ素アルミニ
ウム酸窒化物(例えば、Si12Al18398)または
炭化ケイ素の中の少なくとも1種が含まれている。
【0012】本発明のサイアロン基焼結体における粒界
相は、粒界相中の50重量%以上がR22-X7-2X(−
1<x<1)で表わされる複合酸化物でなり、他にY2
Si343(メリライト)やガラス相が含まれている
場合がある。
【0013】特に、R22-X7-2Xの複合酸化物の中で
もHfO2とDy23の固溶体であるDy2Hf27また
は(Dy,Y)2HfO7として存在させると、機械的強
度,疲労強度,靭性,耐熱衝撃性,高温強度および耐摩
耗性がバランスよく優れることから好ましい粒界相であ
る。
【0014】焼結体中のマトリックスの量と粒界相の量
とは相対関係にあり、マトリックスの量が75重量%未
満になると、相対的に粒界相の量が25重量%を超えて
多くなり、耐摩耗性および耐熱衝撃性の低下が著しく、
逆にマトリックスの量が99重量%を超えて多くなる
と、相対的に粒界相の量が1重量%未満となって、高温
での強度低下が著しくなる。
【0015】以上述べてきた本発明のサイアロン基焼結
体の全表面または一部表面に周期律表の4a,5a,6
a族金属,Alの炭化物,窒化物,酸化物およびこれら
の相互固溶体もしくはダイヤモンド,ダイヤモンド状カ
ーボン,立方晶窒化ホウ素,硬質窒化ホウ素の中の少な
くとも1種の単層あるいは2種以上の複層でなる0.5
〜20μm膜厚の被膜を被覆すると、より一層、耐摩耗
性が向上するので好ましいことである。
【0016】被膜の構成は、基材の表面に直接接触する
第1層がTi,Zr,Hfの炭化物,窒化物,炭酸化
物,窒酸化物及びこれらの相互固溶体でなる場合、基材
との密着性の点から好ましく、この第1層のみでなる場
合、又は第1層の表面にさらに第2層,第3層と多層の
構成にする等、用途によって使い分けることも好ましい
ことである。
【0017】本発明の焼結体は、従来から行われている
粉末冶金法を応用することにより作製することができ
る。具体的には、例えば各種の原料粉末をボールミル等
を用いて均一に混合し、圧粉成形体とした後、N2や不
活性ガス等の雰囲気中、1500〜2000℃にて焼結
することにより得ることができる。こうして得た焼結体
の表面に被膜を被覆するには、従来から行われている化
学蒸着法(CVD法)や物理蒸着法(PVD法)または
プラズマCVD法でもって行うことができる。
【0018】
【作用】本発明の焼結体におけるマトリックスを形成し
ているβ−サイアロンが主として耐摩耗性を向上させる
作用をし、マトリックスの粒界に存在する粒界相が強度
および靭性の向上に寄与すると共に、主として耐熱性を
向上させる作用をしているものである。
【0019】
【実施例1】平均粒径0.7μmのSi34 粉末,
0.2μmのAl23 粉末,0.3μmのAlN粉
末,0.5μmのDy23粉末,Y23 粉末,Yb2
3粉末,Er23粉末,0.4μmのHfO2 粉末,お
よび一次粒子径が300ÅのZrO2粉末を用いて表1
に示す割合に配合し、ボールミルによる粉砕混合を行な
った。
【0020】成形助剤としてのパラフィンワックスを5
wt%添加し、1ton/cm2の圧力で金型によるプ
レス成形を行なった。
【0021】得られた粉末圧粉体を大気圧の窒素雰囲気
中1750℃で2時間保持にて焼結し、さらに1000
気圧の窒素ガス雰囲気、1700℃1時間保持にてHI
P処理を行ない、表2に示す焼結体組成からなる本発明
品1〜9および比較品1〜3を得た。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】 こうして得た本発明品および比較品の室温における曲げ
強さ、さらにアルゴン雰囲気下、1200℃における曲
げ強さを測定するとともに、下記(A)条件による旋削
試験と(B)条件によるフライス切削試験を行い、これ
らの結果を表3に示した。 (A)湿式による連続旋削試験条件 被削材 :FC350 切削速度 :800m/min 切込み :1.5mm 送り :0.7mm/rev 切削時間 :2min 切削油 :水溶性切削油 チップ形状:SNGN120408 評価 :平均逃げ面摩耗量(VB) (B)乾式によるフライス切削試験条件 被削材 :FCD600(45×200mm面) 切削速度 :150m/min 切込み :1.5mm 初期送り :0.20mm/rev チップ形状:SNGN120408 評価 :チップ欠損に至る最大送り(1Passで
欠損しない場合は、0.03mm/rev送りを増加)
【0024】
【表3】
【0025】
【実施例2】実施例1で得た本発明品1〜4および比較
品3を用いて、それぞれの焼結体の表面にCVD法でも
って被膜を形成した。被膜は、焼結体の表面に形成させ
た層を第1層、次が第2層、その次が第3層として、表
4に示したように、それぞれの焼結体の表面に形成し
て、本発明の被覆サイアロン基焼結体No10〜13お
よび比較の被覆サイアロン基焼結体No4を得た。
【0026】こうして得た本発明品10〜13および比
較品4を用いて、実施例1の(A)条件および(B)条
件による切削試験を行い、表4にその結果を併記した。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】本発明の焼結体は、従来のβ−サイアロ
ン基焼結体に比べて、切削試験における耐摩耗性が約2
7%以上も優れており、耐欠損性が2〜4ランク(0.
06〜0.12の送り)も向上するという効果を有し、
従来の窒化ケイ素焼結体に比べて、耐摩耗性が約55〜
64%も優れており、耐欠損性が2〜3ランク(0.0
6〜0.09の送り)も向上するという効果を有してい
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−サイアロンを主成分とするマトリッ
    クスを75〜99重量%と、残部が次式(A)で表わさ
    れる複合酸化物を主成分とする粒界相とからなることを
    特徴とするサイアロン基焼結体。 R22-X7-2X ‥‥‥(A) (但し、Rは、Dy元素またはDy元素とSc,Yを含
    めた希土類元素の中の少なくとも1種とを表わし、M
    は、Hfおよび/またはZrを表わし、−1<x<1か
    らなり、Oは酸素を表わす。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のサイアロン基焼結体の
    全面または一部表面に周期律表の4a,5a,6a族の
    金属,Alの炭化物,窒化物,酸化物,およびこれらの
    相互固溶体もしくはダイヤモンド,ダイヤモンド状カー
    ボン,立方晶窒化ホウ素,硬質窒化ホウ素の中の少なく
    とも1種の単層あるいは2種以上の複層でなる0.5〜
    20μm膜厚の被膜が形成されていることを特徴とする
    被覆サイアロン基焼結体。
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