JP3008793B2 - リチウム二次電池用正極活物質の製造法 - Google Patents
リチウム二次電池用正極活物質の製造法Info
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Description
くにその正極活物質の製造法に関するものである。
レス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として
小形・軽量で、高エネルギー密度を有する二次電池への
要望が高い。このような点で非水系二次電池、特にリチ
ウム二次電池はとりわけ高電圧・高エネルギー密度を有
する電池として期待が大きい。
素材料を負極に用いた電池が開発されている。LiCo
O2の作動電位はLiに対して4Vと高いため電池電圧
が高くなるとともに、負極に炭素材を用いてインターカ
レーション反応を利用しているため金属Liを負極に用
いた場合の課題であったデンドライト状Liが負極上に
析出することはなく電池の安全性を向上させることがで
きる。
から、LiCoO2に代わるリチウム含有複合酸化物の
開発が進んでおりLiNiO2などが注目されはじめ
た。LiNiO2ならびにLiCoO2をはじめとするこ
の種のリチウム含有複合酸化物はいずれも高い電位を示
し、かつインターカレーション反応の利用できる同じ六
方晶系の結晶構造をもつ層状化合物であるため、正極活
物質材料としてその期待が大きい。このような観点か
ら、例えばLixNiO2(米国特許第4302518
号)、LiyNi2-yO2(特開平2−40861号公
報)などのLiNiO2に係るもの、あるいはLiyNi
xCo1-xO2(特開昭63−299056号公報)やL
iyNi1-xMxO2(但し、MはTi,V,Mn,Feの
いずれか)などのLiNiO2のNiの一部を他の金属
に置換したリチウム含有複合酸化物が提案されている。
その他、AxMyNzO2(但し、Aはアルカリ金属、Mは
遷移金属、NはAl,In,Snの一種)(特開昭62
−90863号公報)やLixMyNzO2)(但し、Mは
Fe,Co,Niの中から選ばれた少なくとも一種で、
NはTi,V,Cr,Mnの中から選ばれた少なくとも
一種)(特開平4−267053号公報)などのリチウ
ム含有複合酸化物も提案されている。そしてこれらの活
物質材料を用いて4V級の放電電位をもった高エネルギ
ー密度のリチウム二次電池の開発が進められている。
複合酸化物の中でLiNiO2はリチウムに対し4Vの
作動電位を示すので、正極活物質として用いると高エネ
ルギー密度を有する二次電池が実現できる。しかし、電
池の充放電サイクルの経過にともなって電池容量が劣化
し、50サイクル目では初期容量の65%まで低下し、
良好な充放電サイクル特性が得られないという課題があ
った。
Niの一部を他の金属に置換したリチウム複合酸化物や
多種の金属元素を同時に含むものなどが提案されてき
た。しかし、LiNiO2のNiの一部を他の金属に置
換したものはサイクル可逆性が向上する一方、放電容量
が小さくなり、かつ放電電圧も低くなる傾向にあり、本
来要望されている高電圧、高エネルギー密度という特徴
を減ずる結果となった。これらの中でNiの一部をMn
に置換したものはサイクル可逆性、放電容量、放電電圧
のいずれも他のリチウム含有複合酸化物に比べると比較
的良好であった。
に置換した活物質の合成は、水酸化リチウムなどのLi
化合物と水酸化ニッケルなどのNi化合物に二酸化マン
ガンや硝酸マンガンなどのMn化合物を加えて焼成する
方法(以後、複合式合成法と呼ぶ)が一般的であった。
この混合焼成法ではNiの一部をMnに確実に置換する
ためには少なくとも800℃以上の焼成温度が必要で、
この温度以下ではX線回折を見る限り置換反応は完結し
ておらず、単一相を有する結晶完成度の高い化合物は得
られなかった。
結晶中でLiの入るべきサイトにNiやMnが入り込ん
でしまい、結晶構造が乱れてしまいサイクル可逆性や放
電容量が低下していた。このようにLiNiO2を基本
にするリチウム含有複合酸化物を高温で焼成することは
あまり好ましくなかった。
であり、Niの一部をMnに確実に置換して一般式Li
NixMn(1-x)O2で表わされるリチウム含有複合酸化
物の結晶構造をほぼ単一相とし、結晶完成度が高く結晶
の崩壊がなく結晶内でLiが移動し易い安定した結晶場
を得ることができる製造法を提供するものである。
に、本発明のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法
は、リチウムとニッケルおよびマンガン組成よりなる複
合酸化物で、一般式LiNixMn(1-x)O2で表わさ
れ、式中のx値を0.95≧x≧0.70とする正極活
物質の製造方法であり、マンガン塩とニッケル塩との混
合水溶液にアルカリ溶液を加えてマンガンとニッケルの
水酸化物を共沈させることによってマンガンとニッケル
の複合水酸化物を得た後、水酸化リチウムなどのリチウ
ム化合物と混合し、この混合物を600℃以上800℃
以下の温度範囲で焼成するものである。
との混合溶液にアルカリ溶液を加えてマンガンとニッケ
ルの水酸化物を共沈させることによりニッケルとマンガ
ンの複合水酸化物(以下、Ni・Mn複合水酸化物)を
得ているので、結晶構造がNiの一部をMnで確実に置
換した固溶体レベルに至っており、X線回折でもほとん
ど単一相になっていて結晶完成度が極めて高いものとな
っている。
i塩を加えて焼成すると、結晶内でLiが移動し易い結
晶構造を有するリチウム含有複合酸化物を得ることがで
きる。さらに本発明では焼成温度を600℃〜800℃
としているので結晶構造の乱れはない。
して安定した結晶構造を得るためには、少なくともNi
のMnへの置換数は0.05以上必要である。しかし、
NiのMnへの置換数が0.30を超えると結晶の歪み
の増大や結晶構造の崩れの発生、および混合原子価状態
の不釣り合いでLiが動き難い状況を作り出して活物質
の容量低下が著しくなる。
ら説明する。
共沈による製造法を説明する。市販試薬の硫酸ニッケル
を水に加え、飽和状態の硫酸ニッケル水溶液を作成し、
これに所定量(目的のMn/Ni比に合わせて)の硫酸
マンガンを加え、さらに水を加えて調整して硫酸ニッケ
ルおよび硫酸マンガンを含む飽和水溶液を作成した。次
いで、攪拌しながらこの水溶液に水酸化ナトリウムを溶
解したアルカリ水溶液をゆっくりと加えていくと、Ni
とMnの水酸化物の沈殿(共沈)が同時に始まった。十
分にアルカリ溶液を加えて沈殿が終了したのを見極めた
後、濾過して沈殿物を回収し水洗した。pHを測定しな
がら水洗を繰り返し、残存アルカリがほぼ無くなったの
を見極めた後、熱風空気(100℃に設定した熱風乾燥
器を用いた)で乾燥させた。
酸化物のX線回折パターンはきわめて単一相に近いもの
であり、元素分析の結果、ほぼ目的の比率でMnとNi
を含んでいた。
して硫酸ニッケル、マンガン源として硫酸マンガンを用
いたが、ニッケル源として硝酸ニッケル、マンガン源と
して硝酸マンガンなど、基本的には水溶液を作りうる塩
であればいずれも使用可能である。また、アルカリ溶液
としては水酸化ナトリウム水溶液を用いたが、水酸化カ
リウム水溶液、水酸化リチウム水溶液など他のアルカリ
溶液であっても良い。
る。Li化合物としては水酸化リチウムを用い、上記共
沈で得られたNi・Mn複合水酸化物にMnとNiの原
子数の和とLiの原子数が等量になるように加えてボー
ルミルで粉砕しながら十分混合し、この複合物をアルミ
ナ製るつぼに入れ酸素中において550℃で20時間で
1段目の焼成をした後、750℃で2時間で2段目の焼
成をした。焼成後室温までゆっくりと冷却し、粉砕した
ものを正極活物質粉末とした。
i複合水酸化物について合成を試みた結果、活物質の組
成を示す一般式LiNixMn(1-x)O2のx値が0.7
以上であるとこのリチウム含有複合酸化物のX線回折パ
ターンが単一相で得られた。しかし、x値が0.7未満
になるとX線パターンはほぼ単一相ではあるものの、ピ
ーク強度が弱まり結晶性が低下する傾向があった。さら
に、x値が0.5を下回ると、六方晶系の層状構造が崩
れていた。
してアセチレンブラックを5重量部加え十分に混合した
後、この混合物をN−メチルピロリジノン(NMP)の
溶媒に結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶
解した液で練りペーストとした。なお、PVDFの量は
正極活物質100重量部に対して4重量部となるように
調整した。次いで、このペーストをアルミ箔の片面に塗
着した後、乾燥して圧延し極板とした。図1は本発明の
実施例に用いたコイン形リチウム二次電池の縦断面図で
ある。図1において、正極1は前記極板を円板状に打ち
抜いたもので、正極ケース2の内側に設置したものであ
る。また、負極3は金属リチウムをステンレス鋼製ネッ
ト5上に圧着したもので、封口板4の内側にスポット溶
接されている。正極1と負極3の間にはポリプロピレン
製セパレータ6が配されており電解液7が注液されてい
る。また、ポリプロピレン製ガスケット8を介して密封
した。なお、電解液には1モルの六フッ化リン酸リチウ
ム(LiPF6)を炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチ
ル(DEC)の混合溶媒中に溶かしたものを用いた。
表わされる正極活物質のxの値を0.1,0.2,0.
3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.
9,0.95,1.0とし、これらを用いて上記と同様
の方法でコイン形電池を作製した。なお、x=1.0は
Mnを含まないLiNiO2である。ついで、これらの
電池を用いて充放電サイクル寿命試験を行った。充放電
条件は、室温(20℃)で正極に対して0.5mA/c
m2の定電流で充放電し、充電終止電圧を4.3V、放
電終止電圧を3.0Vとして行った。
0.1〜0.4の範囲の正極活物質は初期容量が50〜
80mAh/gと小さく、かつサイクル劣化も大きく、
50サイクル目で初期容量の50%まで低下し、その後
も劣化が進んだ。
初期容量が110〜120mAh/gであったが、サイ
クル劣化が大きく、50サイクル目で初期容量の70%
まで低下し、その後も劣化が進んだ。
は初期容量が140〜150mAh/gと大きく、かつ
サイクル劣化も小さく、50サイクル目で初期容量の9
0%を維持しているとともにそれ以後のサイクルの繰り
返しにおいても容量低下がほとんど見られなかった。と
ころが、x=1.0でMnを含まない正極活物質は初期
容量こそ150mAh/g以上のものが得られるものの
サイクル劣化は大きく、50サイクル目で初期容量の6
5%まで低下し、その後も劣化が進んだ。
より調整したNi・Mn複合水酸化物を用いて合成した
活物質LiNixMn(1-x)O2におけるxの値は0.7
〜0.95の範囲のものが好ましい。
わされる正極活物質のxの値が0.70〜0.95の範
囲のものについて焼成温度を変える検討を行った。1段
目の焼成である550℃20時間の工程は上記と同様に
行い、その後の焼成について焼成温度を550℃、60
0℃、650℃、700℃、750℃、800℃、85
0℃、900℃とした。そして、これらの正極活物質を
用いて上記と同様の電池を構成し、上記と同様の条件の
充放電サイクル試験を行った。図3にこの結果を示す。
なお、上記式中のx値は0.8とした。
00℃〜800℃として合成した活物質が初期容量、な
らびにサイクル特性も良好で、550℃のものは初期容
量、サイクル性とともに不十分で、850℃〜900℃
のものは初期容量が若干小さくなり、サイクル劣化も大
きくなった。
600℃〜800℃が良いが、800℃になるとサイク
ル劣化が若干大きくなり、初期容量も若干小さめにな
り、600℃になると初期容量は良好なもののサイクル
劣化が若干大きくなるので、650℃〜750℃が好ま
しい。
について述べたが、x値が0.70〜0.95の範囲の
ものについてそれぞれ同様の焼成温度に関する検討を行
った結果、x=0.8の場合と同様の傾向を示す結果が
得られた。
0.8Mn0.2O2の組成を有する正極活物質を合成した。
まず、水酸化ニッケルと水酸化リチウムと水酸化マンガ
ンとをNi:Mn:Liの原子比が0.8:0.2:
1.0となるように秤量し、ボールミルで粉砕しながら
混合し、混合物をアルミナるつぼに入れ酸素中において
550℃,20時間で1段目の焼成をした後、750
℃,2時間で2段目の焼成をした。焼成後室温までゆっ
くりと冷却し、粉砕したものを正極活物質とした。この
活物質のX線回折パターンは単一相にならず、複数相が
存在するものとなった。そこで、2段目の焼成温度を6
50℃〜900℃の範囲で変える検討を行った結果、焼
成温度を800℃以上にすることによって単一相が得ら
れるようになった。
を用いて上記と同様の充放電サイクル試験を行った結果
であるが、焼成温度を650℃〜750℃とした正極活
物質は単一相の結晶構造が得られなく、初期容量も小さ
いとともにサイクル劣化が著しく、ほとんど50サイク
ル時点で初期容量の50%以下に低下し、その後も劣化
が進んだ。
活物質は結晶構造が単一相となり、50サイクル時点で
初期容量の80%を維持するが、容量値が100mAh
/g以下になりさらに減少した。
用正極活物質の製造法では、ニッケル塩とマンガン塩と
の混合溶液にアルカリ溶液を加えてニッケルとマンガン
の水酸化物を共沈させることによりニッケルとマンガン
の複合水酸化物(以下、Ni・Mn複合酸化物)を得て
いるので、結晶構造がNiの一部をMnで確実に置換し
た固溶体レベルに至っており、X線回折でもほとんど単
一相になっていて結晶完成度が極めて高いものとなって
いる。そして、このNi・Mn複合水酸化物にLi塩を
加えて焼成すると、結晶内でLiが移動し易い結晶構造
を有するリチウム含有複合酸化物を得ることができ、容
量が大きくサイクル特性に優れた正極活物質を得ること
ができる。
断面図
イクル数との関係を示す図
とサイクル数との関係を示す図
とサイクル数との関係を示す図
Claims (2)
- 【請求項1】リチウムとニッケルおよびマンガンを含む
リチウム含有複合酸化物で、一般式LiNixMn(1-x)
O2で表わされる式中のx値を0.95≧x≧0.70
とする正極活物質の製造方法であり、マンガン塩とニッ
ケル塩との混合水溶液にアルカリ溶液を加えてマンガン
とニッケルの水酸化物を共沈させることによってマンガ
ンとニッケルの複合水酸化物を得た後、水酸化リチウム
などのリチウム化合物と混合し、この混合物を焼成する
ことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造
法。 - 【請求項2】マンガンとニッケルの複合水酸化物とリチ
ウム化合物との混合物を、600℃以上800℃以下で
焼成する請求項1記載のリチウム二次電池用正極活物質
の製造法。
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