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JPH11213999A - リチウム電池用正極活物質、これを備えたリチウム電池、及びリチウム電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム電池用正極活物質、これを備えたリチウム電池、及びリチウム電池用正極活物質の製造方法

Info

Publication number
JPH11213999A
JPH11213999A JP9365262A JP36526297A JPH11213999A JP H11213999 A JPH11213999 A JP H11213999A JP 9365262 A JP9365262 A JP 9365262A JP 36526297 A JP36526297 A JP 36526297A JP H11213999 A JPH11213999 A JP H11213999A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
active material
positive electrode
electrode active
lithium battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9365262A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Yasuda
安田  秀雄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Storage Battery Co Ltd
Original Assignee
Japan Storage Battery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Storage Battery Co Ltd filed Critical Japan Storage Battery Co Ltd
Priority to JP9365262A priority Critical patent/JPH11213999A/ja
Publication of JPH11213999A publication Critical patent/JPH11213999A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】充放電時の電圧変化が連続的で、かつ大きな容
量を有する活物質を提供する。 【解決手段】化学組成式がLixNi1-yy2(但し、
0.25<X≦2、MはCo,Mn,Al,P,Bまた
はSから選択される1種以上の元素、0≦y<1)で示
される非晶質のリチウム含有ニッケル酸化物を活物質と
する。非晶質のリチウム含有ニッケル酸化物を製造する
ために、リン酸塩、硼酸塩または珪酸塩の少なくともい
ずれか一つの塩とリチウム塩と、水酸化ニッケルまたは
オキシ水酸化ニッケルとを混合したのち、これを熱処理
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウム電池用正極
活物質、これを備えたリチウム電池、およびリチウム電
池用正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、負極に炭素材料を用い、正極に層
状構造を有する複合酸化物であるコバルト酸リチウムを
用いたリチウムイオン電池が、その高作動電圧、高エネ
ルギー密度を利点として急速に普及し始めている。ま
た、一方では、コバルト酸リチウムは資源的に乏しく、
また高価なため、代替物質として、ニッケル酸リチウム
についての検討が活発に行われている。
【0003】ニッケル酸リチウム(LiNiO2)は、
実用化されているコバルト酸リチウムと同じ結晶構造の
層状化合物であり、NiO6八面体のエッジシェアの層
間にリチウムが挿入した結晶構造を有している。その製
造方法としては、ニッケル源としてNi(NO32、N
i(OH)2、NiCO3、NiOおよびNiOOHなど
を、リチウム源としてLiOH、LiNO3、Li2CO
3およびLi22などを使用し、両者を混合したのち、
酸素気流中、約600℃〜900℃の熱処理をおこなう
というのが一般的である。
【0004】しかしながら、ニッケル酸リチウムには、
Solid State Ionics,44,87,
1990やChem.Express,7,689,1
992あるいは第33回電池討論会講演要旨集P.21
(1992)でも報告されているように、その構造が岩
塩形構造に類似しており、製造過程においてニッケルと
リチウムイオンとが容易に置換されて不斎構造が生じ、
容量が低下するという問題がある。
【0005】そこで、ニッケル原料として、オキシ水酸
化ニッケルを利用する試みもなされており、例えば、本
願発明者らも、特開平8−306360号に開示する、
コバルトを含有するオキシ水酸化ニッケルに硝酸リチウ
ムとを作用させ、均一な充放電反応を示すニッケル酸リ
チウムを合成する方法を、さらには、特開昭63−19
761号に記載の、水酸化ニッケルを水酸化リチウム溶
液中で充電することで、電気化学的に製造したニッケル
酸リチウムをリチウム電池に適用する方法を発明してい
る。
【0006】さらに、本発明者らは、オキシ水酸化ニッ
ケルそのものを活物質とする、例えば、特開昭63−1
9760号に開示する、20〜75%のコバルトを含む
オキシ水酸化ニッケルからなるリチウム電池用活物質の
発明も行った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ニッケル酸リチウムに
関しては、上記のようにこれまでさまざまな検討が行わ
れてきたにも拘わらず、未だに十分な容量を得るのが難
しく、さらには、充放電特性の電圧が多段階、例えば4
段階に変化し、また、高率放電性能が低下するという問
題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、本願発明者
がニッケル酸リチウムに関しての研究を続ける過程で、
非晶質構造のニッケル酸リチウムが従来にない優れた特
性を有することを見出すことによって成されたものであ
る。
【0009】すなわち、本願第1の発明は、化学組成式
がLixNi1-yy2(但し、0.25<X≦2、Mは
Co,Mn,Al,P,BまたはSから選択される1種
以上の元素、0≦y<1)で示されるリチウム含有非晶
質ニッケル酸化物であるリチウム電池用正極活物質であ
る。
【0010】また、本願第2の発明は、化学組成式がL
xNi1-yy2(但し、1<X≦2、MはCo,M
n,Al,P,BまたはSから選択される1種以上の元
素、0≦y<1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケ
ル酸化物であるリチウム電池用正極活物質である。
【0011】また、本願第3の発明は、化学組成式がL
xNi1-yy2(但し、1.4<X≦2、MはCo,
Mn,Al,P,BまたはSから選択される1種以上の
元素、0≦y<1)を有するように合成されたリチウム
含有非晶質ニッケル酸化物であるリチウム電池用正極活
物質である。
【0012】また、本願第4の発明は、放電時の化学組
成式がLixNi1-yy2(但し、1.4<X≦2、M
はCo,Mn,Al,P,BまたはSから選択される1
種以上の元素、0≦y<1)で示されるリチウム含有非
晶質ニッケル酸化物であるリチウム電池用正極活物質で
ある。
【0013】また、本願第5の発明は、化学組成式がL
xNi1-yy2(但し、1<X≦2、MはCo,M
n,Al,P,BまたはSから選択される1種以上の元
素、0≦y<1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケ
ル酸化物であり、コバルトの含有量が2〜60mol%
(Co/Ni+Co)であるリチウム電池用正極活物質
である。
【0014】また、本願第6の発明は、化学組成式がL
xNi1-y-zCoyz2(0.25<X≦2,0.0
2≦y≦0.6、MはMn,Al,P,BまたはSから
選択される1種以上の元素、0≦z<1かつy+z<
1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケルコバルト酸
化物であるリチウム電池用正極活物質である。
【0015】また、本願第7の発明は、化学組成式がL
xNi1-y-zCoyz2(1.4<X≦2,0.02
≦y≦0.6、MはMn,Al,P,BまたはSから選
択される1種以上の元素、0≦z<1かつy+z<1)
を有するように合成されたリチウム含有非晶質ニッケル
コバルト酸化物であるリチウム電池用正極活物質であ
る。
【0016】また、本願第8の発明は、放電時の化学組
成式がLixNi1-y-zCoyz2(1.4<X≦2,
0.02≦y≦0.6、MはMn,Al,P,Bまたは
Sから選択される1種以上の元素、0≦z<1かつy+
z<1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケルコバル
ト酸化物であるリチウム電池用正極活物質である。
【0017】また、本願第9の発明は、上記本願第1か
ら第8のいずれかの発明の正極活物質において、燐、硼
素または珪素を含有することを特徴とするリチウム電池
用正極活物質である。
【0018】また、本願第10の発明は、上記いずれか
の発明のリチウム電池用正極活物質を備えたリチウム電
池である。
【0019】さらに、本願第11の発明は、リン酸塩、
硼酸塩または珪酸塩の少なくともいずれか一つの塩とリ
チウム塩と、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケ
ルとを混合したのち、これを熱処理することを特徴とす
る本願第9の発明にかかるリチウム電池用正極活物質の
製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】本願発明のリチウム電池用正極活
物質は、例えば、水酸化ニッケルと所定量のリチウム塩
とリン酸塩、硼酸塩または珪酸塩とを混合したのち、こ
れを熱処理する方法、オキシ水酸化ニッケルと所定量の
リチウム塩とリン酸塩,硼酸塩または珪酸塩とを混合し
たのち、これを熱処理する方法によって製造するのが良
い。
【0021】その場合、リチウム塩とリン酸塩、硼酸塩
または珪酸塩とを溶液状態にし、リチウムイオンとリン
酸イオン、硼酸イオンまたは珪素イオンとを含有する溶
液にしても製造できる。また、オキシ水酸化ニッケルの
状態としては、β形、γ形、あるいはβ形およびγ形の
混合系のものを使用することができる。水酸化ニッケル
の状態としては、β形でもα形でもよい。
【0022】また、コバルトの添加されたLixNi1-y
Coy2を製造する場合には、例えば、上記方法におい
てコバルトを含有する水酸化ニッケルを用いるのが良
い。
【0023】以上の方法によれば、合成時に化学組成式
LixNi02またはLixNi1-yCoy2で表される非
晶質酸化物が得られるが、化学組成式中の構成元 素の
割合を表すXが、1<X≦2となるように合成するのが
良く、より好ましくは1.4<X≦2となるように合成
するのが良い。また、LixNi1-yCoy2は正極活物
質としての充放電寿命性能のさらなる向上に効果を有
し、この場合、化学組成式中の構成元素の割合を表すy
については、0.02≦y≦0.6となるように合成す
るのがより好ましく、このようにコバルトを含ませるこ
とで正極活物質としての充放電寿命性能がさらに向上す
る。
【0024】また、上記のリン酸塩、硼酸塩または珪酸
塩を用いる方法によれば、用いた塩に応じて燐、硼素ま
たは珪素の含有される上記非晶質酸化物が得られる。上
記方法においては、リン酸塩、硼酸塩または珪酸塩は非
晶質化を促すために添加するものであるが、この効果は
別にして、燐、硼素または珪素の含有される非晶質のL
xNi02またはLixNi1-yCoy2もまた特性上す
ばらしい正極活物質である。さらにまた、本発明のリチ
ウム含有非晶質ニッケル酸化物には必要に応じて上記以
外のその他の元素、例えばCo、Mn、Al等を含ませ
ても良く、より好ましくは、含有される元素が酸化物を
構成する元素の一つとして組み込まれ、化学組成式がL
xNi1-yy2(但し、0.25<X≦2、MはC
o,Mn,Al,P,BまたはSから選択される1種以
上の元素、0≦y<1) で示されるリチウム含有非晶
質ニッケル酸化物とするのが良い。この場合、より好ま
しくは、MがCoを選択してなる場合を除き、yが0≦
y<0.5であるのが良い。MがCoを選択してなる場
合には、LixNi1-y-zCoyz2(1.4<X≦
2,0.02≦y≦0.6、 MはMn,Al,P,B
またはSから選択される1種以上の元素、0≦z<1か
つy+z<1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケル
コバルト酸化物とするのが良い。この場合、より好まし
くは、zが0≦z<0.5であるのが良い。
【0025】この活物質を用いてリチウム二次電池用の
正極を作製するには、例えば、ニッケル、アルミニウム
等の金属集電体にリチウム含有非晶質ニッケル酸化物粉
末と黒鉛、カーボンブラック等の導電材とポリエチレ
ン、ポリ弗化ビニリデン等の結着材とからなるペースト
を塗布、乾燥して作製する。なお、正極には、正極特性
を調整するために本発明の活物質以外にも結晶質ニッケ
ル酸リチウム、コバルト酸リチウム等の他の活物質を混
合しても良い。
【0026】上記正極を用いて、例えば非水電解液リチ
ウム二次電池を作製するには、例えば、エチレンカーボ
ネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒等からなる
非水溶媒に過塩素酸リチウム、6フッ化リン燐リチウム
等のリチウム塩を溶解した電解液と負極活物質として、
リチウム金属、リチウム合金、炭素材料や黒鉛、金属酸
化物等のリチウムイオンを吸蔵・放出できる物質を含ん
でなる負極とを組み合わせて組み立てる。
【0027】例えば、以上のような方法で製造される、
本発明に係る非晶質のLixNi02またはLixNiy
1-y2を正極活物質として備えたリチウム二次電池
は、均一な充放電特性と、従来、LixNi02において
考えられていた実質的な理論容量200mAh/gを超
える大きな容量を有する電池となる。
【0028】これは、本発明の活物質が以下のような反
応を有するためであると考えている。従来の結晶質ニッ
ケル酸リチウムの反応は下記(1)および(2)式の1
電子反応であり、これに基づく理論容量密度は275m
Ah/gであり、ニッケルの原子価が3価と4価の間の
電気化学反応である。この場合、正極活物質の電池中で
の化学組成式LixNiO2は、その充放電状態に応じて
Xが0≦X≦1の範囲にあるものとなっている。
【0029】 充電: LiNiO2 → Li+ + NiO2 + e- (1) 放電: LiNiO2 ← Li+ + NiO2 + e- (2) これに対し、本発明の非晶質のLixNi02では、下記
(3)および(4)式の1.75電子反応が進行し、正
極活物質の電池中での化学組成式LixNiO2は、その
充放電状態に応じてXが0.25<X≦2の範囲で可逆
的に変化する。この時、理論容量密度は448mAh/
gとなり、しかも電位は連続的に変化する。
【0030】 充電:Li2NiO2→1.75Li++Li0.25NiO2+1.75e-(3) 放電:Li2NiO2←1.75Li++Li0.25NiO2+1.75e-(4) なお、Xが0.25以下となるまで充電することも可能
であるが、繰り返し特性を向上させるためには、これ以
上充電するのは好ましくなく、したがって、正極活物質
の化学組成式LixNiO2は、0.25<X≦2とする
のが好ましく、また、本発明の利点を十分に引き出すた
めには、放電時の化学組成式がLixNiO2(1.4<
X≦2)となるようにするのが良い。また、LixNi
1-yCoy2についても同様で、0.25<X≦2とす
るのが好ましく、放電時の化学組成式がLixNi1-y
y2(1.4<X≦2,0.02≦y≦0.6)とな
るようにするのが良い。
【0031】
【実施例】以下、本発明を好適な実施例を用いて説明す
る。
【0032】[実施例1]5〜50μmのコバルトの含
有量が2mol%{(Co/(Ni+Co)}の水酸化
ニッケル粉末{Ni0.98Co0.02(0H)2}3m ol
と、水酸化リチウム(LiOH)6molと、0.1m
olのリン酸H3PO4とを、酸素雰囲気下、700℃の
温度で7時間熱処理して、本発明による正極活物質であ
るリチウム含有非晶質ニッケル酸化物Aを得た。化学分
析による組成はLi1.8Ni0.98Co0.022を主成分と
するものであった。
【0033】[実施例2]5〜50μmのコバルトの含
有量が5mol%{(Co/(Ni+Co)}のβ−オ
キシ水酸化ニッケル粉末(β−Ni0.95Co0.05OO
H)2molと、3molの水酸化リチウムと、次亜り
ん酸リチウム(LiH2P02)0.2molとを混合し
たのち、酸素20%を含むアルゴンガス雰囲気下450
℃で10時間熱処理して、本発明による正極活物質であ
るリチウム含有非晶質ニッケル酸化物Bを得た。化学分
析による組成はLi1.4Ni0.95Co0.052を主成分と
するものであった。
【0034】[実施例3]コバルトの含有量が10mo
l%{(Co/(Ni+Co)}の硝酸コバルトと硝酸
ニッケルとの混合水溶液〓pH=1.0、比重1.65
(20℃)に硼酸H3B03を30g/l添加し、4.5
Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えた。生じた沈殿物を
湯洗したのち、120℃で乾燥してから、ボールミルで
粉砕して、50〜100μmの硼素を含有する非晶質の
水酸化ニッケル粉末を合成した。この粉末3molと硝
酸リチウム(LiNO3)6molとを混合して、粉砕
したのち、酸素20%を含むアルゴン ガス雰囲気下4
00℃で10時間熱処理して、本発明によるリチウム含
有非晶質ニッケル酸化物Cを得た。化学分析による組成
はLi1.8Ni0.9Co0.12を主成分とするものであっ
た。
【0035】[実施例4]コバルトの含有量が5mol
%{(Co/(Ni+Co)}の硝酸コバルトと硝酸ニ
ッケルとの混合水溶液〓pH=1.0、比重1.65
(20℃)に、珪酸H4SiO4を35g/l含有する
4.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えた。生じた沈
殿物を湯洗したのち、120℃で乾燥してから、ボール
ミルで粉砕して、50〜100μmの水酸化ニッケル粉
末を合成した。この粉末3molと水酸化リチウム(L
iOH)7molとを混合して、粉砕したのち、酸素2
0%を含むアルゴンガス雰囲気下700℃で10時間熱
処理して、本発明によるリチウム含有非晶質ニッケル酸
化物Dを得た。化学分析による組成はLi2.2NiO.95
Co0.052を主成分とするものであった。この場合,
生成したリチウム含有非晶質ニッケル酸化物の化学分析
の組成式は,LixNiO2で、Xの値は2を越えて2.
2となってい たが、おそらく不純物としてのリチウム
塩が混在しているものと推定される. [実施例5]コバルトの含有量が8mol%{(Co/
(Ni+Co)}の硝酸コバルトと硝酸ニッケルとの混
合水溶液pH=1.0、比重1.65(20℃)にリン
酸H3PO4を35g/l添加し、4.5Mの水酸化ナト
リウム水溶液を加えた。生じた沈殿物を湯洗したのち、
120℃で乾燥してから、ボールミルで粉砕して、50
〜100μmの水酸化ニッケル粉末を合成した。この粉
末3molと6molのペルオクソ二硫酸カリウムとを
2Mの水酸化ナトリウム水溶液中で混合したのち、湯洗
し、110℃で乾燥させて、β−Ni0.92Co0.08OO
H)を合成した。このβ−Ni0.92Co0.08OOH粉末
を3molと6molのLiOHとを混合したのち、3
50℃で熱処理して本発明によるリチウム含有非晶質ニ
ッケル酸化物Eを得た。化学分析による組成はLi1.9
Ni0.92Co0.082を主成分とするものであった。
【0036】これらのニッケル酸リチウムのX線回折分
析をおこなった結果、いずれの場合にも、従来のニッケ
ル酸リチウム(LiNiO2)のX線回折図形の場合のよ
うな鋭角的な回折ピークが認めらずに、拡散していたこ
とから、非晶質化しているものと考えられる。尚、発光
分析の結果、A、B、CおよびEにはリン、Dには珪素
が含まれていたことから、これらの物質は非晶質化に有
効性があるものと考えられる。
【0037】従来のニッケル酸リチウム(LiNiO2
Fおよび実施例1のリチウム含有非晶質ニッケル酸化物
Aで得られたX線回折図形を図1に示す。本発明に係る
活物質Aでは、従来の活物質Fとは異なり、ほとんどピ
ークが観察されない。尚、B、C、DおよびEでも上記
Aとほぼ同様なX線回折図形が得られた。
【0038】次に、これらの物質100部とアセチレン
ブラック8部との混合粉末をポリフッ化ビニリデンの1
%のn-メチル-2-ピロリドール溶液60mlでペース
ト状にしたものを、多孔度が90%の発泡アルミニウム
に充填し、120℃で乾燥して、大きさが30mm×4
0mm×0.8mm、公称容量が300mAhの正極板
を製作した。これらの正極板1枚と同じ大きさの金属リ
チウム板2枚と電解液に1Mの過塩素酸リチウムを含む
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合
溶液300mlを使用して、試験電池(A、B、C、D
およびE:ただし、記号は正極活物質の記号に対応する
ものとする)を製作した。なお、比較のために、従来の
ニッケル酸リチウム( LiNiO2)の活物質を使用し
た同様な電池Fも製作した。
【0039】この正極板を15mAで4.2V(対金属
リチウム)まで充電したのち、30mAで2.0Vまで
放電したときの容量を、活物質重量当たりの容量で表1
に示す。
【0040】
【表1】 表からわかるように、本発明による正極活物質を使用し
た電池の容量は、260〜320mAh/gで、従来の
正極板を使用した電池の場合の150mAh/gに比較
して、容量が大幅に増加していることがわかる。
【0041】さらに、実施例1でコバルト含有量を変え
た以外は、同様な方法で活物質を製作して試験電池Aと
同様な電池を製作して、表1の場合と同様な充放電試験
を行った。そのときの放電容量とコバルトの含有量との
関係を図2に示す。図2からコバルトの含有量が2〜6
0mol%(Co/Ni+Co)の場合には、含有量0
の場合よりも放電容量が大きいことがわかり、この範囲
の含有量が好ましいことが分かる。
【0042】また、本発明による電池A、B、C、Dお
よびEの放電特性は、従来の電池Fに比較して、放電特
性は連続した曲線であり、リチウムイオンの拡散が均質
におこっていることがわかった。その代表的な例とし
て、放電容量が最大となった本発明による電池Aおよび
従来の電池Fの放電特性を図3に示す。本発明による正
極活物質を用いた電池Aの放電容量は、従来の活物質を
用いた電池よりも、放電容量が大きく、その放電特性
は、連続した曲線となっている。また、従来の電池の放
電は、端子電圧が、とくに3.5V以下になると急激に
容量が低下するが、本発明電池の場合は、3.5V以下
でも徐々に低下しながら、放電が可能であった。
【0043】一般に、本発明によるリチウム含有非晶質
ニッケル酸化物の放電特性は、3.5V以下でも放電が
可能である。この特徴は正極活物質が非晶質なものに現
れることがわかった。とくに、コバルトの含有量が2〜
60mol%(Co/Ni+Co)の範囲がよかった。
このようにコバルトを含有させると、無添加の場合に比
較して、充放電のサイクル寿命性能が向上するもわかっ
た。
【0044】さらに重要なことは、本発明正極活物質で
は、従来考えられていた理論容量275mAh/g以上
の容量が得られていることである。一般に、ニッケル酸
リチウム正極活物質の電極反応は、前述したように
(1)および(2)式で表せるが、このニッケル酸リチ
ウムのニッケルの酸化状態が3.75価を超えると、結
晶構造が不安定になるために、最大、充電電圧を金属リ
チウムに対して4.2V付近としている。その場合、実
用的に利用できる理論容量は、(3)式の充電反応およ
び(4)式の放電反応での、0.75電子反応による2
06mAh/gである。
【0045】 LiNiO2 →0.75Li++Li0.25NiO2+0.75e- (3) LiNiO2 ←0.75Li++Li0.25NiO2+0.75e- (4) しかしながら、本発明による正極活物質を使用した電池
の場合には、そのニッケルの酸化状態が3.75価なる
ような充電条件に設定しても、放電容量が理論容量以上
の値が得られている。この事実と放電電圧が3.5V以
下でも放電が可能となっている事実から、放電深度がニ
ッケルの3価よりも低い領域でも放電が可能となってい
ることを意味する。
【0046】前述したように、ニッケル酸リチウムは、
3価以下でも放電が可能であるが、その場合には、結晶
構造の変化がおこり、放電電位は不連続になることが報
告されているが、本発明の場合には、放電電位は連続的
に変化していることから、本発明のような非晶質の場合
には、リチウムイオンが表面から結晶構造の内部へと容
易に拡散していき、しかも、結晶構造が維持されたま
ま、3価以下まで放電が可能であることを意味するもの
と推定される。
【0047】その場合の理論容量は、放電状態がLi2
NiO2、充電状態がLi0.25NiO2の(5)式で表せ
る1.75電子反応の448mAh/gとなる。充電状
態がNiO2と過程すると、512mAh/gにもなる
ことが期待される。なお、(5)式は充電反応を現し、
(6)式は放電反応を現している。
【0048】 Li2NiO2→1.75Li++Li0.25NiO2+1.75e- (5) Li2NiO2←0.75Li++Li0.25NiO2+1.75e- (6) 従って、本発明になる活物質の組成は、LixNi02
おいて、1<X≦2)と示すことができる。尚、実施例
4に示したように、不純物としてリチウムが含まれる場
合には、X=2.2というようにXが2を超えることは
当然である。
【0049】以上、実施例としては、負極に金属リチウ
ムを使用したリチウム電池の場合について述べたが、負
極に炭素材料を使用した場合についても同様な効果が現
れることは言うまでもない。
【発明の効果】本発明によるリチウム含有非晶質ニッケ
ル酸化物またはリチウム含有非晶質ニッケルコバルト酸
化物のリチウム電池用正極活物質を用いれば、電池の放
電容量が大きくなり、しかも放電電圧変化が連続的とな
り、本発明の電池はエネルギー密度の大きなものとな
る。また、本発明の製造方法によれば、本発明のリチウ
ム含有非晶質ニッケル酸化物またはリチウム含有非晶質
ニッケルコバルト酸化物を簡単に製造することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回折図形を示す図である。
【図2】放電容量とコバルトの含有量との関係を示す図
である。
【図3】本発明実施例電池Aおよび従来電池Fの放電特
性を比較した図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成式がLixNi1-yy2(但し、
    0.25<X≦2、MはCo,Mn,Al,P,Bまた
    はSから選択される1種以上の元素、0≦y<1)で示
    されるリチウム含有非晶質ニッケル酸化物であるリチウ
    ム電池用正極活物質。
  2. 【請求項2】化学組成式がLixNi1-yy2(但し、
    1<X≦2、MはCo,Mn,Al,P,BまたはSか
    ら選択される1種以上の元素、0≦y<1)で示される
    リチウム含有非晶質ニッケル酸化物であるリチウム電池
    用正極活物質。
  3. 【請求項3】化学組成式がLixNi1-yy2(但し、
    1.4<X≦2、MはCo,Mn,Al,P,Bまたは
    Sから選択される1種以上の元素、0≦y<1)を有す
    るように合成されたリチウム含有非晶質ニッケル酸化物
    であるリチウム電池用正極活物質。
  4. 【請求項4】放電時の化学組成式がLixNi1-yy2
    (但し、1.4<X≦2、MはCo,Mn,Al,P,
    BまたはSから選択される1種以上の元素、0≦y<
    1)で示されるリチウム含有非晶質ニッケル酸化物であ
    るリチウム電池用正極活物質。
  5. 【請求項5】コバルトの含有量が2〜60mol%(C
    o/Ni+Co)である請求項2記載のリチウム電池用
    正極活物質。
  6. 【請求項6】化学組成式がLixNi1-y-zCoyz2
    (0.25<X≦2,0.02≦y≦0.6、MはM
    n,Al,P,BまたはSから選択される1種以上の元
    素、0≦z<1かつy+z<1)で示されるリチウム含
    有非晶質ニッケルコバルト酸化物であるリチウム電池用
    正極活物質。
  7. 【請求項7】化学組成式がLixNi1-y-zCoyz2
    (1.4<X≦2,0.02≦y≦0.6、MはMn,
    Al,P,BまたはSから選択される1種以上の元素、
    0≦z<1かつy+z<1)を有するように合成された
    リチウム含有非晶質ニッケルコバルト酸化物であるリチ
    ウム電池用正極活物質。
  8. 【請求項8】放電時の化学組成式がLixNi1-y-zCo
    yz2(1.4<X≦2,0.02≦y≦0.6、M
    はMn,Al,P,BまたはSから選択される1種以上
    の元素、0≦z<1かつy+z<1)で示されるリチウ
    ム含有非晶質ニッケルコバルト酸化物であるリチウム電
    池用正極活物質。
  9. 【請求項9】燐、硼素または珪素を含有することを特徴
    とする、請求項1、2、3、4、5、6、7または8記
    載のリチウム電池用正極活物質。
  10. 【請求項10】請求項1、2、3、4、5、6、7、8
    または9記載のリチウム電池用正極活物質を備えたリチ
    ウム電池。
  11. 【請求項11】リン酸塩、硼酸塩または珪酸塩の少なく
    ともいずれか一つの塩とリチウム塩と、水酸化ニッケル
    またはオキシ水酸化ニッケルとを混合したのち、これを
    熱処理することを特徴とする請求項9記載のリチウム電
    池用正極活物質の製造方法。
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