JP3089996B2 - 光学活性ピペラジン誘導体の製造方法および製造の中間体 - Google Patents
光学活性ピペラジン誘導体の製造方法および製造の中間体Info
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- JP3089996B2 JP3089996B2 JP20009895A JP20009895A JP3089996B2 JP 3089996 B2 JP3089996 B2 JP 3089996B2 JP 20009895 A JP20009895 A JP 20009895A JP 20009895 A JP20009895 A JP 20009895A JP 3089996 B2 JP3089996 B2 JP 3089996B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性なピペラジン
誘導体、とくにピペラジン−2−カルボン酸−N−t−
ブチルアミドを製造する方法に関する。 本発明はま
た、その製造の過程で中間体として得られる、新規化合
物のジアステレオマー塩にも関する。
誘導体、とくにピペラジン−2−カルボン酸−N−t−
ブチルアミドを製造する方法に関する。 本発明はま
た、その製造の過程で中間体として得られる、新規化合
物のジアステレオマー塩にも関する。
【0002】
【従来の技術】エイズ治療薬となるHIVプロテアーゼ
阻害剤として、メルク社は一群の化合物を発表しており
〔特開平5−279337号〕、その中でもL−73
5,524と名づけられた化合物が有力とされている。
この物質は下記の式Vの構造を有する。〔C&EN
May 16,1994,p6〕
阻害剤として、メルク社は一群の化合物を発表しており
〔特開平5−279337号〕、その中でもL−73
5,524と名づけられた化合物が有力とされている。
この物質は下記の式Vの構造を有する。〔C&EN
May 16,1994,p6〕
【0003】
【化7】
【0004】L−735,524の合成に関しては、
J.P.Vaccaほかの発明にもとづく上記特開平5
−279337号のほか、D.Askinほかによる研
究報告もある〔Tetrahedron Lett.35
(5)673-6(1994)〕。 いずれにせよ、合成の中間体
として、下記の式Iであらわされるピペラジン−2−カ
ルボン酸−N−t−ブチルアミドの光学活性体、または
式VIであらわされる、NHをt−ブトキシカルボニル基
で保護したものの光学活性体が必要である。
J.P.Vaccaほかの発明にもとづく上記特開平5
−279337号のほか、D.Askinほかによる研
究報告もある〔Tetrahedron Lett.35
(5)673-6(1994)〕。 いずれにせよ、合成の中間体
として、下記の式Iであらわされるピペラジン−2−カ
ルボン酸−N−t−ブチルアミドの光学活性体、または
式VIであらわされる、NHをt−ブトキシカルボニル基
で保護したものの光学活性体が必要である。
【0005】
【化8】
【0006】
【化9】
【0007】化合物Iの光学分割について、Askin
らは上記文献において(S)−カンファースルホン酸を用
いるとしているが、詳細は示していない。 一方、化合
物Iの先駆体であるピペラジン−2−カルボン酸に関し
ては、(S)−カンファースルホン酸を2モル比用いる光
学分割により、(2S)体が得られるとの報告がある
〔Felderほか、Helv.Chim.Acta,
43 888-896(1960)〕。さらに化合物Iは、L−ピログ
ルタミン酸を分割剤として光学分割できることが発表さ
れている。この場合、入手の容易なL−グルタミン酸を
閉環して得られるL−ピログルタミン酸は化合物IのR
−体と難溶性のジアステレオマー塩を形成し、所望のS
−体は母液から回収する。
らは上記文献において(S)−カンファースルホン酸を用
いるとしているが、詳細は示していない。 一方、化合
物Iの先駆体であるピペラジン−2−カルボン酸に関し
ては、(S)−カンファースルホン酸を2モル比用いる光
学分割により、(2S)体が得られるとの報告がある
〔Felderほか、Helv.Chim.Acta,
43 888-896(1960)〕。さらに化合物Iは、L−ピログ
ルタミン酸を分割剤として光学分割できることが発表さ
れている。この場合、入手の容易なL−グルタミン酸を
閉環して得られるL−ピログルタミン酸は化合物IのR
−体と難溶性のジアステレオマー塩を形成し、所望のS
−体は母液から回収する。
【0008】これらの既知の光学分割剤はいずれも水に
極めて良く溶けるため、分割に用いたのち回収して再使
用することが困難である。 前記L−735,524を
廉価に製造するためには、式Vで示される化合物の構成
成分(線で囲んだ部分)である式Iの化合物(またはVI
の化合物)を低コストで提供することが不可欠であり、
それには化合物Iの光学分割を効率よく行なうととも
に、回収、再使用の可能な光学分割剤を選択することが
望まれる。
極めて良く溶けるため、分割に用いたのち回収して再使
用することが困難である。 前記L−735,524を
廉価に製造するためには、式Vで示される化合物の構成
成分(線で囲んだ部分)である式Iの化合物(またはVI
の化合物)を低コストで提供することが不可欠であり、
それには化合物Iの光学分割を効率よく行なうととも
に、回収、再使用の可能な光学分割剤を選択することが
望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の必要をみたし、式Iのピペラジン誘導体の光学分割技
術の改良、より具体的には光学活性ピペラジン−2−カ
ルボン酸−N−t−ブチルアミドの改善された製造方法
を提供することにある。
の必要をみたし、式Iのピペラジン誘導体の光学分割技
術の改良、より具体的には光学活性ピペラジン−2−カ
ルボン酸−N−t−ブチルアミドの改善された製造方法
を提供することにある。
【0010】上記の光学分割の過程で形成されるジアス
テレオマー塩は新規な化合物であって、これらの提供も
また、本発明の目的に含まれる。
テレオマー塩は新規な化合物であって、これらの提供も
また、本発明の目的に含まれる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学活性ピペラ
ジン誘導体の製造方法は、式Iであらわされる(RS)−
ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチルアミド
(以下、「2−PBC」と略記する。)と、
ジン誘導体の製造方法は、式Iであらわされる(RS)−
ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチルアミド
(以下、「2−PBC」と略記する。)と、
【0012】
【化10】
【0013】一般式IIであらわされる光学活性なN−ア
シル化アミノ酸である光学分割剤とを
シル化アミノ酸である光学分割剤とを
【0014】
【化11】
【0015】〔II式中、Rは、C1〜C6の直鎖もしくは
分岐鎖のアルキル基、メチルチオエチル基、またはC1
〜C2のヒドロキシアルキル基をあらわす。 Arは1
〜3個のC1〜C6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ
基またはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル
基またはナフチル基をあらわす。〕溶媒中で反応させ
て、一般式IIIのジアステレオマー塩を形成し、
分岐鎖のアルキル基、メチルチオエチル基、またはC1
〜C2のヒドロキシアルキル基をあらわす。 Arは1
〜3個のC1〜C6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ
基またはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル
基またはナフチル基をあらわす。〕溶媒中で反応させ
て、一般式IIIのジアステレオマー塩を形成し、
【0016】
【化12】
【0017】一方のジアステレオマ−塩を溶媒から選択
的に析出させて分離し、分離したジアステレオマー塩を
分解して光学活性なピペラジン−2−カルボン酸−N−
t−ブチルアミドを取得することからなる。
的に析出させて分離し、分離したジアステレオマー塩を
分解して光学活性なピペラジン−2−カルボン酸−N−
t−ブチルアミドを取得することからなる。
【0018】上記の一般式IIであらわした光学分割剤の
うち、とくに重要なものは、下記のN−トシル−L−ア
ラニン(式IIa、以下「N−Ts−L−Ala」と略記
する)、N−トシル−D−アラニンおよびN−トシル−
L−バリン(式IIb、以下「N−Ts−L−Val」と
略記する)である。
うち、とくに重要なものは、下記のN−トシル−L−ア
ラニン(式IIa、以下「N−Ts−L−Ala」と略記
する)、N−トシル−D−アラニンおよびN−トシル−
L−バリン(式IIb、以下「N−Ts−L−Val」と
略記する)である。
【0019】
【化13】
【0020】
【化14】
【0021】本発明で使用する光学分割剤は、常法に従
って、相当するアミノ酸をスルホン酸のハロゲン化物ま
たは無水物と反応させることにより合成できる。 とく
にスルホン酸クロリドが入手しやすく、一般に高収率で
アミドを与える。 アミノ酸をアルカリ金属塩として溶
媒に溶解しておき、そこへ、反応で生成する塩酸を中和
しながら酸クロリドを添加する、いわゆるSchotten-B
aumann法による合成が有利である。
って、相当するアミノ酸をスルホン酸のハロゲン化物ま
たは無水物と反応させることにより合成できる。 とく
にスルホン酸クロリドが入手しやすく、一般に高収率で
アミドを与える。 アミノ酸をアルカリ金属塩として溶
媒に溶解しておき、そこへ、反応で生成する塩酸を中和
しながら酸クロリドを添加する、いわゆるSchotten-B
aumann法による合成が有利である。
【0022】一般式IIの化合物は概して結晶性のよい固
体であり、水に対する溶解度は比較的小さいものが多
い。 従ってそのアルカリ水溶液を鉱酸で酸性にするこ
とにより、容易に高収率で遊離酸として回収することが
できる。
体であり、水に対する溶解度は比較的小さいものが多
い。 従ってそのアルカリ水溶液を鉱酸で酸性にするこ
とにより、容易に高収率で遊離酸として回収することが
できる。
【0023】上記の方法で合成した光学分割剤IIはその
ままで十分な化学純度と光学純度をもつが、必要に応じ
て低級アルコール類、含水低級アルコール類、あるいは
ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、芳香族炭
化水素とヘキサンなど脂肪族炭化水素類の混合溶媒から
再結晶して精製することができる。 またアルカリ水溶
液に溶解させ、塩酸、硫酸などの鉱酸類で酸性にしてカ
ルボン酸を沈殿させる酸析操作によっても、化学純度の
みならず、光学純度も向上する。
ままで十分な化学純度と光学純度をもつが、必要に応じ
て低級アルコール類、含水低級アルコール類、あるいは
ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、芳香族炭
化水素とヘキサンなど脂肪族炭化水素類の混合溶媒から
再結晶して精製することができる。 またアルカリ水溶
液に溶解させ、塩酸、硫酸などの鉱酸類で酸性にしてカ
ルボン酸を沈殿させる酸析操作によっても、化学純度の
みならず、光学純度も向上する。
【0024】反応媒体としては、各種の溶媒を使用で
き、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、ベンゼン、トルエン、酢
酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル
など、さらにそれらの混合物が使える。 とくにメタノ
ール、エタノールなどの低級アルコールおよびアルコー
ル類の混合溶媒が好適である。
き、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、ベンゼン、トルエン、酢
酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル
など、さらにそれらの混合物が使える。 とくにメタノ
ール、エタノールなどの低級アルコールおよびアルコー
ル類の混合溶媒が好適である。
【0025】低級アルコールに水が加わることによりジ
アステレオマー塩の溶解度が変化し、適当量の水を加え
た混合溶媒を用いることにより、生成する塩の光学純度
を向上させ、あるいは溶媒量を低減したりすることがで
きる。
アステレオマー塩の溶解度が変化し、適当量の水を加え
た混合溶媒を用いることにより、生成する塩の光学純度
を向上させ、あるいは溶媒量を低減したりすることがで
きる。
【0026】さらに、後記の実施例にみるように、光学
分割剤としてアラニン誘導体を用いた場合は、使用する
溶媒によって、得られる2−PBCの立体配置が逆転す
る。すなわち、アルコール系ではR−体が得られるのに
対し、水系ではS−体が得られる。 これを利用し、分
割剤および溶媒を適切に選択し組み合わせることによっ
て、所望の光学活性体を得ることができる。
分割剤としてアラニン誘導体を用いた場合は、使用する
溶媒によって、得られる2−PBCの立体配置が逆転す
る。すなわち、アルコール系ではR−体が得られるのに
対し、水系ではS−体が得られる。 これを利用し、分
割剤および溶媒を適切に選択し組み合わせることによっ
て、所望の光学活性体を得ることができる。
【0027】光学分割剤は、分割の対象とする2−PB
Cに対して、モル比で0.1〜2.0の範囲で使用する。
好ましい範囲は、0.5〜1.0である。 2−PB
Cは二酸塩基であり、分割剤のN−アシル化アミノ酸は
一塩基酸であるが、ジアステレオマー塩としては1:1
の塩が析出するので、1.0を超えるモル比を用いるこ
とは、さして価値がない。 モル比が1.0を下回るに
つれてジアステレオマー塩の収率が若干低下するが、大
きなちがいはなく、モル比0.5においても、なお十分
な量の塩の析出をみる。
Cに対して、モル比で0.1〜2.0の範囲で使用する。
好ましい範囲は、0.5〜1.0である。 2−PB
Cは二酸塩基であり、分割剤のN−アシル化アミノ酸は
一塩基酸であるが、ジアステレオマー塩としては1:1
の塩が析出するので、1.0を超えるモル比を用いるこ
とは、さして価値がない。 モル比が1.0を下回るに
つれてジアステレオマー塩の収率が若干低下するが、大
きなちがいはなく、モル比0.5においても、なお十分
な量の塩の析出をみる。
【0028】ピペラジン−2−カルボン酸のカンファー
スルホン酸による光学分割では、ピペラジン化合物に対
して2分子の光学分割剤が結合したジアステレオマー塩
を形成する。 本発明の方法では二酸塩基である2−P
BCの1分子とN−アシル化アミノ酸の1分子とがジア
ステレオマー塩を作って、光学分割が達成される。これ
は予想外の発見であって、比較的少量の光学分割剤を用
いて効率の高い光学分割を行なうことができるという事
実は、工業的に非常に重要である。
スルホン酸による光学分割では、ピペラジン化合物に対
して2分子の光学分割剤が結合したジアステレオマー塩
を形成する。 本発明の方法では二酸塩基である2−P
BCの1分子とN−アシル化アミノ酸の1分子とがジア
ステレオマー塩を作って、光学分割が達成される。これ
は予想外の発見であって、比較的少量の光学分割剤を用
いて効率の高い光学分割を行なうことができるという事
実は、工業的に非常に重要である。
【0029】アミドIと光学分割剤IIからジアステレオ
マー塩III を形成させるには、IとIIを溶媒に加えて溶
媒の沸点以下の温度に加熱して溶解したのち、冷却して
ジアステレオマー塩III を晶出させる。 このとき所望
の塩の種晶を添加することが、光学純度の高い塩を析出
させるために好ましい。 この系では一般に光学純度の
高い塩が容易に晶出するが、適当量の溶媒を用い、溶解
状態から徐々に温度を下げることにより急激な晶出を避
けて、十分に成長した塩の結晶を析出させることが望ま
しい。 固液分離は、通常の濾過機または遠心分離機な
どを用いて行なう。 適当な溶媒で洗浄することによ
り、高純度のジアステレオマー塩結晶が得られる。 得
られたジアステレオマー塩を適当な溶媒から再結晶する
ことにより、光学的に純粋な塩に精製することができ
る。 一般には、1回の再結晶で実用的に十分な光学純
度が得られる。
マー塩III を形成させるには、IとIIを溶媒に加えて溶
媒の沸点以下の温度に加熱して溶解したのち、冷却して
ジアステレオマー塩III を晶出させる。 このとき所望
の塩の種晶を添加することが、光学純度の高い塩を析出
させるために好ましい。 この系では一般に光学純度の
高い塩が容易に晶出するが、適当量の溶媒を用い、溶解
状態から徐々に温度を下げることにより急激な晶出を避
けて、十分に成長した塩の結晶を析出させることが望ま
しい。 固液分離は、通常の濾過機または遠心分離機な
どを用いて行なう。 適当な溶媒で洗浄することによ
り、高純度のジアステレオマー塩結晶が得られる。 得
られたジアステレオマー塩を適当な溶媒から再結晶する
ことにより、光学的に純粋な塩に精製することができ
る。 一般には、1回の再結晶で実用的に十分な光学純
度が得られる。
【0030】本発明が提供する新規化合物は、下記の一
般式III であらわされるジアステレオマー塩である。
この塩の結晶には、水または溶媒分子が取り込まれて結
晶構造を安定化していることがある。
般式III であらわされるジアステレオマー塩である。
この塩の結晶には、水または溶媒分子が取り込まれて結
晶構造を安定化していることがある。
【0031】
【化15】
【0032】前記の製造方法における難溶性ジアステレ
オマー塩の選択的析出の後、母液には2−PBCの鏡像
体の塩(易溶性)が溶解している。 これから2−PB
Cを回収し、塩基と加熱ラセミ化して、再度光学分割の
対象とすることができる。ラセミ化はとくに困難なく進
行するので、これも既知の手法に従って実施すればよ
い。
オマー塩の選択的析出の後、母液には2−PBCの鏡像
体の塩(易溶性)が溶解している。 これから2−PB
Cを回収し、塩基と加熱ラセミ化して、再度光学分割の
対象とすることができる。ラセミ化はとくに困難なく進
行するので、これも既知の手法に従って実施すればよ
い。
【0033】選択的な析出によって得られた難溶性ジア
ステレオマー塩は、酸またはアルカリを作用させること
によって、容易に分解して2−PBCの光学活性体を取
得することができる。 通常は、ジアステレオマー塩に
酸を加え、N−アシル化アミノ酸を沈殿させて濾別する
か、またはN−アシル化アミノ酸を適当な有機溶媒で抽
出して、2−PBCの酸性溶液と分離する。 しかし目
的とする光学活性な2−PBCは前記のように4−位イ
ミノ基をt−ブトキシカルボニル基で保護した形で使用
することが多いので、ジアステレオマー塩に保護化試薬
を反応させ、2−PBCを4−t−ブトキシカルボニル
誘導体として、光学分割剤と分離するのが有利である。
具体的には、ジアステレオマー塩にトリエチルアミン
の存在下に二炭酸ジ−t−ブチルを作用させて、生成し
た4−t−ブトキシカルボニルピペラジン−2−カルボ
ン酸−N−t−ブチルアミドを溶媒で抽出し、光学分割
剤の塩と分離する。 4−t−ブトキシカルボニル誘導
体を酸で処理すれば、容易にt−ブトキシカルボニル基
が脱離し、光学活性ピペラジン−2−カルボン酸−N−
t−ブチルアミドが再生する。
ステレオマー塩は、酸またはアルカリを作用させること
によって、容易に分解して2−PBCの光学活性体を取
得することができる。 通常は、ジアステレオマー塩に
酸を加え、N−アシル化アミノ酸を沈殿させて濾別する
か、またはN−アシル化アミノ酸を適当な有機溶媒で抽
出して、2−PBCの酸性溶液と分離する。 しかし目
的とする光学活性な2−PBCは前記のように4−位イ
ミノ基をt−ブトキシカルボニル基で保護した形で使用
することが多いので、ジアステレオマー塩に保護化試薬
を反応させ、2−PBCを4−t−ブトキシカルボニル
誘導体として、光学分割剤と分離するのが有利である。
具体的には、ジアステレオマー塩にトリエチルアミン
の存在下に二炭酸ジ−t−ブチルを作用させて、生成し
た4−t−ブトキシカルボニルピペラジン−2−カルボ
ン酸−N−t−ブチルアミドを溶媒で抽出し、光学分割
剤の塩と分離する。 4−t−ブトキシカルボニル誘導
体を酸で処理すれば、容易にt−ブトキシカルボニル基
が脱離し、光学活性ピペラジン−2−カルボン酸−N−
t−ブチルアミドが再生する。
【0034】光学分割剤は、アルカリまたはアミン塩の
水溶液を強酸によって酸性とし、析出した結晶を濾取す
ることにより、高い収率で回収することができる。
水溶液を強酸によって酸性とし、析出した結晶を濾取す
ることにより、高い収率で回収することができる。
【0035】光学分割剤IIのAr基上の置換基は、光学
分割の成績に大きな影響を与える。フェニル基のp−ま
たはo−位にアルキル基またはハロゲン原子をもつ化合
物、とくにo−およびp−メチル、p−t−ブチル、p
−クロロおよびp−ブロモ置換フェニル基をもつIIが、
良い結果を与える。 一般には、モノメチル置換体、と
くに入手の容易なp−メチル置換体が、収率、光学純度
の両面ですぐれた成績を与える。
分割の成績に大きな影響を与える。フェニル基のp−ま
たはo−位にアルキル基またはハロゲン原子をもつ化合
物、とくにo−およびp−メチル、p−t−ブチル、p
−クロロおよびp−ブロモ置換フェニル基をもつIIが、
良い結果を与える。 一般には、モノメチル置換体、と
くに入手の容易なp−メチル置換体が、収率、光学純度
の両面ですぐれた成績を与える。
【0036】光学分割剤IIの原料となるアミノ酸として
は、アラニン、α−アミノ酪酸、バリン、ロイシン、イ
ソロイシンなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基をもつ
アミノ酸類、メチオニン、セリンまたはスレオニンなど
の置換アルキル基をもつアミノ酸類のL−体またはD−
体が使用される。 とくに、入手しやすいD−およびL
−アラニン、バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン
などが適している。L−バリン、L−ロイシンなどL−
アミノ酸から誘導されるp−トルエンスルホンアミドII
が(S)−Iと難溶性塩をつくるのに対し、L−アラニ
ンの誘導体であるIIaは、(R)−Iと難溶性塩をつく
る。 これによって、比較的入手しやすいL−アミノ酸
を用いてIのR−体とS−体とをつくり分けることが可
能となる。 もちろん、D−アラニンから誘導されるp
−トルエンスルホンアミドIIを使用すれば(S)−Iと
の難溶性塩が析出し、D−バリンの誘導体IIは(R)−
Iと難溶性塩を形成する。
は、アラニン、α−アミノ酪酸、バリン、ロイシン、イ
ソロイシンなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基をもつ
アミノ酸類、メチオニン、セリンまたはスレオニンなど
の置換アルキル基をもつアミノ酸類のL−体またはD−
体が使用される。 とくに、入手しやすいD−およびL
−アラニン、バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン
などが適している。L−バリン、L−ロイシンなどL−
アミノ酸から誘導されるp−トルエンスルホンアミドII
が(S)−Iと難溶性塩をつくるのに対し、L−アラニ
ンの誘導体であるIIaは、(R)−Iと難溶性塩をつく
る。 これによって、比較的入手しやすいL−アミノ酸
を用いてIのR−体とS−体とをつくり分けることが可
能となる。 もちろん、D−アラニンから誘導されるp
−トルエンスルホンアミドIIを使用すれば(S)−Iと
の難溶性塩が析出し、D−バリンの誘導体IIは(R)−
Iと難溶性塩を形成する。
【0037】
〔分割剤製造例1〕 N−トシル−L−アラニン(N−Ts−L−Ala)の
製造 L−アラニン17.82g(0.20mol)を2N−水酸
化ナトリウム水溶液100ml中に溶解し、p−トルエン
スルホニルクロリド41.90g(0.22mol)を加え、
激しく撹拌しながら2N−水酸化ナトリウム水溶液を滴
下して、反応液のpHを常に9付近に保ちながら反応さ
せた。 2〜3時間でpHが一定となったので、濾過し
て未反応の酸クロリドを除き、濃塩酸を加えてpHを
0.5以下の強酸性にした。 その結果分離した油状物
を放冷して結晶化させた。 濾過および水洗の後乾燥し
て、白色結晶40.0gを得た。 収率82.3%。m
p133.5〜134.5℃(文献値* 135〜6
℃)。 中和滴定による純度99.9%。 * 迫田ら,「日本化学会誌」90(1),77(1969)。
製造 L−アラニン17.82g(0.20mol)を2N−水酸
化ナトリウム水溶液100ml中に溶解し、p−トルエン
スルホニルクロリド41.90g(0.22mol)を加え、
激しく撹拌しながら2N−水酸化ナトリウム水溶液を滴
下して、反応液のpHを常に9付近に保ちながら反応さ
せた。 2〜3時間でpHが一定となったので、濾過し
て未反応の酸クロリドを除き、濃塩酸を加えてpHを
0.5以下の強酸性にした。 その結果分離した油状物
を放冷して結晶化させた。 濾過および水洗の後乾燥し
て、白色結晶40.0gを得た。 収率82.3%。m
p133.5〜134.5℃(文献値* 135〜6
℃)。 中和滴定による純度99.9%。 * 迫田ら,「日本化学会誌」90(1),77(1969)。
【0038】〔分割剤製造例2〕上記と同様にして、各
種のL−アミノ酸からp−トルエンスルホンアミドを合
成した。 収率および融点を表1に示す。
種のL−アミノ酸からp−トルエンスルホンアミドを合
成した。 収率および融点を表1に示す。
【0039】 表1 分割剤 No. L−アミノ酸 収率(%) 融点(℃) 同文献値* (℃) 2 バリン 92.6 149.5−150.5 148− 9 3 ロイシン 95.2 123.5−125 123− 4 4 イソロイシン 89.7 134−136.5 130− 2 5 メチオニン 96.7 >120 179−80 * 迫田ら,「日本化学会誌」90(1),77(1969); McChesney et al,J.Am. Chem.Soc.,59,1116−8(1937)。
【0040】〔実施例1〕(RS)−2−PBCの1.
85g(10mmol)およびN−Ts−L−Ala2.4
3g(10mmol)を、エタノール6gに加熱溶解した。
この溶液に、あらかじめ調製しておいた(R)−2−
PBC・N−Ts−L−Ala塩の結晶1mgを種晶とし
て加え、室温で1夜放置した。 析出した結晶を濾別し
て、ジアステレオマー塩(R)−2−PBC・N−Ts
−L−Ala(粗製塩)1.88gを得た。 (RS)
−2−PBCに対する収率は43.9%、HPLC分析
による塩中の(R)−2−PBCの光学純度は90.4
%eeであった。
85g(10mmol)およびN−Ts−L−Ala2.4
3g(10mmol)を、エタノール6gに加熱溶解した。
この溶液に、あらかじめ調製しておいた(R)−2−
PBC・N−Ts−L−Ala塩の結晶1mgを種晶とし
て加え、室温で1夜放置した。 析出した結晶を濾別し
て、ジアステレオマー塩(R)−2−PBC・N−Ts
−L−Ala(粗製塩)1.88gを得た。 (RS)
−2−PBCに対する収率は43.9%、HPLC分析
による塩中の(R)−2−PBCの光学純度は90.4
%eeであった。
【0041】この塩の1.0gを60〜65℃に加熱し
たエタノール4gに溶解し、冷却して、析出した結晶を
濾過することにより精製塩0.7gを得た。 融点17
1.0−172.0℃、塩中の(R)−2−PBCの光
学純度は99.97%(HPLC法)であった。 精製
塩の旋光度〔α〕D 25+4.83°(C=2.0,MeO
H) IRスペクトルを図1に示す。
たエタノール4gに溶解し、冷却して、析出した結晶を
濾過することにより精製塩0.7gを得た。 融点17
1.0−172.0℃、塩中の(R)−2−PBCの光
学純度は99.97%(HPLC法)であった。 精製
塩の旋光度〔α〕D 25+4.83°(C=2.0,MeO
H) IRスペクトルを図1に示す。
【0042】〔実施例2〕(RS)−2−PBCの1.
85gおよびN−Ts−L−Valの2.71g(10
mmol)を、エタノール7gに加熱溶解した。 この溶液
に、あらかじめ調製しておいた種晶((S)−2−PB
C・N−Ts−L−Val)1mgを加え、1夜放置し
た。 析出した結晶を濾過して、ジアステレオマー塩
(S)−2−PBC・N−Ts−L−Valの1.70
gを得た。 (RS)−2−PBCに対する収率37.
3%、HPLC分析による塩中の(S)−2−PBCの
光学純度は84.3%であった。
85gおよびN−Ts−L−Valの2.71g(10
mmol)を、エタノール7gに加熱溶解した。 この溶液
に、あらかじめ調製しておいた種晶((S)−2−PB
C・N−Ts−L−Val)1mgを加え、1夜放置し
た。 析出した結晶を濾過して、ジアステレオマー塩
(S)−2−PBC・N−Ts−L−Valの1.70
gを得た。 (RS)−2−PBCに対する収率37.
3%、HPLC分析による塩中の(S)−2−PBCの
光学純度は84.3%であった。
【0043】この塩の1.0gを60〜65℃のエタノ
ール2gに溶解し、冷却して、析出した結晶を濾過する
ことにより精製塩0.71gを得た。 融点180.0
−182.0℃、塩中の(S)−2−PBCの光学純度
は99.2%であった。 精製塩の旋光度〔α〕D 25+
21.6°(C=2.0,MeOH) IRスペクトル
を図2に示す。
ール2gに溶解し、冷却して、析出した結晶を濾過する
ことにより精製塩0.71gを得た。 融点180.0
−182.0℃、塩中の(S)−2−PBCの光学純度
は99.2%であった。 精製塩の旋光度〔α〕D 25+
21.6°(C=2.0,MeOH) IRスペクトル
を図2に示す。
【0044】〔実施例3〜5〕(RS)−2−PBCの
各1.85gを、実施例2と同様にして、3種の分割剤
を用いて光学分割した。 結果を表2に示す。
各1.85gを、実施例2と同様にして、3種の分割剤
を用いて光学分割した。 結果を表2に示す。
【0045】 表 2 実 施 例 3 4 5 光学分割剤 N-Ts-L-Leu N-Ts-L-Ile N-Ts-L-Met 同使用量(g) 2.85 2.85 3.03 ジアステレオマー塩 収量(g) 1.75 1.75 1.53 収率(%) 37.2 37.2 31.3 光学純度(%ee) 60.6 79.5 96.3 同上精製品 光学純度(%ee) 95.9 96.8 100.0 融点(℃) 179.5−181.5 177−180.5 154.5−156。
【0046】〔実施例6〜8〕(RS)−2−PBCの各
1.85g(10mmol)およびN−Ts−L−Valの
各2.71gを、表3に示す溶剤に加熱溶解し、実施例
2の方法に準じて光学分割を行なった。 結果を表3に
あわせて示す。
1.85g(10mmol)およびN−Ts−L−Valの
各2.71gを、表3に示す溶剤に加熱溶解し、実施例
2の方法に準じて光学分割を行なった。 結果を表3に
あわせて示す。
【0047】 表 3 実 施 例 6 7 8 溶 剤 メタノール n-ブタノール 水 使用量(g) 5.3 161 6.8 ジアステレオマー塩 収率(%) 8.8 24.4 18.0 光学純度(%ee) 60.3 95.8 40.8
【0048】〔実施例9〜11〕(RS)−2−PBCお
よびN−Ts−L−Alaの、それぞれ表4に示す量
を、表4に示す溶剤に加熱溶解し、実施例2の方法に準
じて光学分割を行なった。結果を表4にあわせて示す。
よびN−Ts−L−Alaの、それぞれ表4に示す量
を、表4に示す溶剤に加熱溶解し、実施例2の方法に準
じて光学分割を行なった。結果を表4にあわせて示す。
【0049】 表 4 実 施 例 9 10 11 溶 剤 水 メタノール 90%イソプロパノール* 使用量(g) 15.0 5.3 19.0 (RS)-2-PBC(g) 3.70 1.85 3.70 N-Ts-L-Ala(g) 4.86 2.43 3.89 モル比 1.0 1.0 0.8 2−PBC塩 収率(%) 29.8 26.8 28.0 光学純度(%ee) 90.4(S) 89.1(R) 97.7(R) * 水10%を含む。
【0050】同じ光学分割剤を使用しても、得られる2
−PBC塩の立体配置が溶媒によって異なり、水を用い
たときはS−体、アルコールではR−体と対照的である
ことがわかった。
−PBC塩の立体配置が溶媒によって異なり、水を用い
たときはS−体、アルコールではR−体と対照的である
ことがわかった。
【0051】〔実施例12〕実施例2の方法で製造した
(S)−2−PBC・N−Ts−L−Valの精製塩
4.56gを、トリエチルアミン2.03gとともにメ
タノール30mlに溶解し、この溶液に二炭酸ジ−t−ブ
チル2.18gのメタノール5ml中の溶液を加え、室温
で1時間撹拌した。 反応液から溶媒を留去し、得られ
た残渣に水10mlおよび6N−NaOH水溶液2mlを加
え、トルエン60mlを用いて、(S)−(+)−4−t
−ブトキシカルボニルピペラジン−2−カルボン酸−N
−t−ブチルアミド〔これを(S)−Boc−2−PB
Cと略記する〕を抽出した。 トルエン相を硫酸マグネ
シウムにより乾燥したのち、溶媒を留去すると、(S)
−Boc−2−PBCが油状物として得られ、これをn
−ヘキサン10mlで処理すると、結晶化した。 収量
2.42g。 融点97.5−100℃、ChiralpakA
S(ダイセル化学)を用いたHPLC法により光学純度
を測定したところ、100%eeであった。 ヘキサンか
ら再結晶して得られた精製品の融点は、107.5〜1
08.5℃である。
(S)−2−PBC・N−Ts−L−Valの精製塩
4.56gを、トリエチルアミン2.03gとともにメ
タノール30mlに溶解し、この溶液に二炭酸ジ−t−ブ
チル2.18gのメタノール5ml中の溶液を加え、室温
で1時間撹拌した。 反応液から溶媒を留去し、得られ
た残渣に水10mlおよび6N−NaOH水溶液2mlを加
え、トルエン60mlを用いて、(S)−(+)−4−t
−ブトキシカルボニルピペラジン−2−カルボン酸−N
−t−ブチルアミド〔これを(S)−Boc−2−PB
Cと略記する〕を抽出した。 トルエン相を硫酸マグネ
シウムにより乾燥したのち、溶媒を留去すると、(S)
−Boc−2−PBCが油状物として得られ、これをn
−ヘキサン10mlで処理すると、結晶化した。 収量
2.42g。 融点97.5−100℃、ChiralpakA
S(ダイセル化学)を用いたHPLC法により光学純度
を測定したところ、100%eeであった。 ヘキサンか
ら再結晶して得られた精製品の融点は、107.5〜1
08.5℃である。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、光学活性ピペラジン誘
導体とくにピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチ
ルアミドを、高い収率と高い光学純度をもって製造する
ことができる。 ジアステレオマー塩の形成に当って、
光学分割剤である光学活性なN−アシル化アミノ酸はピ
ペラジン誘導体に対して等モル以下の使用で足り、回収
再利用可能である。 所望の光学活性体を分け取った残
りの光学活性体は、ラセミ化して再度原料に使うことが
できる。 これらと、再結晶によるジアステレオマー塩
の精製がごく簡単ですむことや、溶媒としてメタノール
やエタノールのような安価で扱いやすいものを使用でき
ることとがあいまって、光学活性体の製造コストは、他
の一般の光学分割と対比したとき、画期的に低いものと
なる。 それにより、HIVプロテアーゼ阻害剤L−7
35,524の低コストな製造が実現する。
導体とくにピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチ
ルアミドを、高い収率と高い光学純度をもって製造する
ことができる。 ジアステレオマー塩の形成に当って、
光学分割剤である光学活性なN−アシル化アミノ酸はピ
ペラジン誘導体に対して等モル以下の使用で足り、回収
再利用可能である。 所望の光学活性体を分け取った残
りの光学活性体は、ラセミ化して再度原料に使うことが
できる。 これらと、再結晶によるジアステレオマー塩
の精製がごく簡単ですむことや、溶媒としてメタノール
やエタノールのような安価で扱いやすいものを使用でき
ることとがあいまって、光学活性体の製造コストは、他
の一般の光学分割と対比したとき、画期的に低いものと
なる。 それにより、HIVプロテアーゼ阻害剤L−7
35,524の低コストな製造が実現する。
【図1】 実施例1で得たジアステレオマー塩である
(R)−ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチル
アミド・N−トシル−L−アラニンの精製塩のIRスペ
クトル。
(R)−ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチル
アミド・N−トシル−L−アラニンの精製塩のIRスペ
クトル。
【図2】 実施例2で得たジアステレオマー塩である
(S)−ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチル
アミド・N−トシル−L−バリンの精製塩のIRスペク
トル。
(S)−ピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチル
アミド・N−トシル−L−バリンの精製塩のIRスペク
トル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−71571(JP,A) 特開 平4−128270(JP,A) 特開 平4−18084(JP,A) 特開 平5−279337(JP,A) 国際公開95/2584(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 241/04 C07B 57/00 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (7)
- 【請求項1】 式Iであらわされる(RS)−ピペラジ
ン−2−カルボン酸−N−t−ブチルアミドと、 【化1】 〔式中、*は、不斉炭素原子の位置をあらわす。 以下
同じ。〕一般式IIであらわされる光学活性なN−アシル
化アミノ酸である光学分割剤とを 【化2】 〔II式中、Rは、C1〜C6の直鎖もしくは分岐鎖のアル
キル基、メチルチオエチル基またはC1〜C2のヒドロキ
シアルキル基をあらわす。 Arは、1ないし3個のC
1〜C6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基またはア
ルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基またはナ
フチル基をあらわす。〕溶媒中で反応させて、一般式II
Iのジアステレオマー塩を形成し、 【化3】 〔式中、RおよびArは前記した意味を有する。〕一方
のジアステレオマ−塩を溶媒から選択的に析出させて分
離し、分離したジアステレオマー塩を分解して光学活性
なピペラジン−2−カルボン酸−N−t−ブチルアミド
を取得することからなる光学活性ピペラジン誘導体の製
造方法。 - 【請求項2】 式Iの化合物に対し式IIの化合物を、モ
ル比I:II=1:0.1〜2.0、好ましくは0.5〜
1.0の割合で反応させる請求項1の製造方法。 - 【請求項3】 溶媒として、水を使用して実施するか、
低級アルコール、とくにメタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノールもしくはイソブタノー
ル、またはこれらの1種と水との混合物を使用して実施
する請求項1の製造方法。 - 【請求項4】 溶媒から分離したジアステレオマー塩を
分解するに当って、ピペラジン環の4位のNH基をt−
ブトキシカルボニル基で保護する工程を加えて請求項1
の製造方法を実施し、4−t−ブトキシカルボニル誘導
体として目的化合物を単離することからなる光学活性ピ
ペラジン誘導体の製造方法。 - 【請求項5】 一般式IIIであらわされる、光学活性ピ
ペラジン誘導体と光学活性N−アシル化アミノ酸とのジ
アステレオマー塩。 【化4】 〔式中、RおよびArは前記した意味を有する。〕 - 【請求項6】 式IIIaであらわされる請求項5の塩に
おいて、(S,R)体および(R,S)体であるもの。 【化5】 - 【請求項7】 式IIIbであらわされる請求項5の塩に
おいて、(S,S)体であるもの。 【化6】
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
JP20009895A JP3089996B2 (ja) | 1995-08-04 | 1995-08-04 | 光学活性ピペラジン誘導体の製造方法および製造の中間体 |
US08/552,089 US5792869A (en) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Process for preparing optically active piperazine derivatives and Intermediates for preparation |
ES95117261T ES2116029T3 (es) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Procedimiento para preparar derivados de piperazina opticamente activos e intermedios para prepararlos. |
DK95117261T DK0710652T3 (da) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Fremgangsmåde til fremstilling af optisk aktive piperazinderivater og mellemprodukter til fremstillingen |
EP95117261A EP0710652B1 (en) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Process for preparing optically active piperazine derivatives and intermediates for preparation |
AT95117261T ATE163642T1 (de) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Verfahren zur herstellung von optisch aktiven piperazinderivaten und zwischenprodukten für ihre herstellung |
DE69501705T DE69501705T2 (de) | 1994-11-04 | 1995-11-02 | Verfahren zur Herstellung von optisch aktiven Piperazinderivaten und Zwischenprodukten für ihre Herstellung |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0948762A JPH0948762A (ja) | 1997-02-18 |
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ID=16418819
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JP20009895A Expired - Fee Related JP3089996B2 (ja) | 1994-11-04 | 1995-08-04 | 光学活性ピペラジン誘導体の製造方法および製造の中間体 |
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JP2004115510A (ja) * | 2002-09-05 | 2004-04-15 | Toray Fine Chemicals Co Ltd | ピペラジン誘導体の製造方法 |
-
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- 1995-08-04 JP JP20009895A patent/JP3089996B2/ja not_active Expired - Fee Related
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