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JP3073976B2 - 多チャネル音響エコー消去方法、その装置及びこの方法を記録した記録媒体 - Google Patents

多チャネル音響エコー消去方法、その装置及びこの方法を記録した記録媒体

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Publication number
JP3073976B2
JP3073976B2 JP5593199A JP5593199A JP3073976B2 JP 3073976 B2 JP3073976 B2 JP 3073976B2 JP 5593199 A JP5593199 A JP 5593199A JP 5593199 A JP5593199 A JP 5593199A JP 3073976 B2 JP3073976 B2 JP 3073976B2
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signals
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echo
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JP5593199A
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末廣 島内
陽一 羽田
昭二 牧野
豊 金田
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Telephone Function (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多チャネル再生
系を有する通信会議システムにおいて、ハウリングの原
因及び聴覚上の障害となる音響エコーを消去する多チャ
ネル音響エコー消去方法、その装置及びそのプログラム
記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ISDN, LAN, インターネットなど
のディジタルネットワークの普及と、音声、画像の高能
率符号化技術の発展により、従来の電話の他に様々な通
話形態が登場してきた。大画面テレビ、あるいは自席の
パソコンやワークステーションなどを用いて、相手の顔
を見ながら通話のできるTV会議システム、デスクトッ
プ会議システムなどでは、複数の人の通話への参加が容
易で、より自然な通話環境を提供できる拡声通話方式が
採用されることが多い。しかしながら、スピーカ、マイ
クロホンを用いるこの方式は、エコー、ハウリングの発
生という問題が付随し、これを回避するためには、音響
エコーキャンセラ技術が不可欠となる。
【0003】実際、これらの場面において、音響エコー
キャンセラ装置は広く利用されているが、これらの多く
は1チャネル音声用であり、1台(チャネル)のスピー
カから1本(チャネル)のマイクロホンへの1系統の音
響的回り込みのみを消去可能である。一方で、多くのT
V放送や音楽メディアなどでは、ステレオ音声が一般的
であり、拡声通話についても、この様な多チャネル音声
化の実現は強く要請されている。そこで、複数台(チャ
ネル)のスピーカからマイクロホンへの音響的回り込み
を消去することを可能とする多チャネル音声用の音響エ
コーキャンセラ装置を実現する必要があり、近年、その
ための技術的課題と解決策の検討が活発に行われるよう
になってきた。
【0004】一般にN(N≧2)チャネルの受話系とM
(M≧1)チャネルの送話系とで構成される通信会議シ
ステムにおける音響エコーの消去は、従来、図1に示す
ような構成により行なわれる。即ち受話側の全Nチャネ
ルの受話端子111, 112, …,11N とMチャネルの送話系
のそれぞれとの間にエコー消去部22を構成するNチャネ
ルエコーキャンセラ221, 222, …, 22M をそれぞれ接続
し、各受話チャネルの受話端子111, 112, …, 11N から
の受話信号が、各スピーカ121, 122, …, 12Nでそれぞ
れ音響信号とされ、これらがそれぞれインパルスレスポ
ンスhmn で表されたエコー(反響)経路15nm(1≦n≦
N,1≦m≦M)を経て、各マイクロホン16 1, 162, …, 1
6M へ回り込む音響エコーを消去する。
【0005】上記のNチャネルエコーキャンセラ221, 2
22, …, 22M は、各送話チャネル毎に同じ構成をとり、
例えば、図2に示される構成になる。これは文献B.Widr
ow and S.D.Stearns, "Adaptive signal processing,"
Prince-Hall, Inc.pp.198-200, (1985) において、2チ
ャネルの場合を例にとって述べられている。図2の構成
では、各受話信号x1(k), x2(k), …, xN(k) はそれぞれ
N個の疑似反響路を構成する適応フィルタ2211, 2212,
221Nに入力され、適応フィルタ2211, 2212, …, 221N
の出力は加算器222 で加算されて、疑似エコー信号y'
m(k)が生成され、その疑似エコー信号と、マイクロホン
16m からの収音信号(反響信号)ym(k) との差が減算器
223 でとられ、その出力である誤差信号(残留反響信
号)em(k) が適応フィルタ2211 〜221N にフィードバッ
クされて、これと、受話信号x1(k)〜x N(k)とにより、誤
差信号em(k) が小さくなるように、例えばNLMSアルゴリ
ズムによりフィルタ係数ベクトルが決定され、適応フィ
ルタ2211 〜221N が適応的に制御される。
【0006】なお、図1には示してないが、エコーキャ
ンセラ221〜22Mは、マイクロホン16 1〜16Mには本来送信
すべき音響信号zm(k)が入力され、それがエコーキャン
セラ221〜22Mを通って送出されるときに、マイクロホン
でピックアップされたスピーカからの再生音がエコーym
(k)として信号zm(k)と共に送出されてしまうのを防ぐこ
とを目的としている。即ち、図2におけるエコー消去さ
れた結果として出力される誤差信号em(k)は本来送信さ
れるべき信号zm(k)を含んだものである。しかしなが
ら、この発明は、スピーカからの再生音のマイクロホン
によるピックアップ信号であるエコー信号ym(k)のみに
着目し、送信すべき信号zm(k)については特に言及しな
い。この発明の詳細な説明においても同様である。
【0007】各受話信号x1(k)〜xN(k) 間の相関が低い
場合、適応フィルタ2211, 2212, …,221N は比較的精度
良く対応するエコー経路を推定することができ、従っ
て、消去対象となる音響エコーを精度良く模擬する疑似
エコーを生成することができる。しかし、実際の通信会
議では多くの場合、一人の話者の音声が通信相手側から
多チャネルで送出され、これらが受話信号となるとき、
受話信号間には非常に高い相関があり、適応フィルタの
収束速度、収束精度ともに劣化し、所望のエコー消去性
能が得られない場合がある。この問題を解決するために
各受話信号がNチャネルエコーキャンセラ221, 222,
…, 22M へ入力される前に、前処理を施し、受話信号間
の相関を低下し、あるいは変化させることが米国特許N
o.5,661,813に示されている。
【0008】上記米国特許に示されている構成は、図3
に示すように、図1の構成に、上述の機能を有する前処
理部30が受話端子111 〜11N とスピーカ121 〜12N
びNチャネルエコーキャンセラ221 〜22M との間に加え
られる。この前処理部30の構成例を図4に示す。ここ
では、受話端子111 〜11N からの受話信号そのものと、
付加信号生成部3011, 3012, …, 301Nにおいて生成され
た付加信号とが加算器3021, 3022, …, 302Nで足し合わ
せにより、処理信号x1'(k), x2'(k), …, xN'(k)を出力
する。付加信号の生成に当たっては、受話信号x1(k),
…, xN(k)の情報を利用する場合と、利用しない場合と
がある。付加信号の大きさを大きくすれば、適応フィル
タ2211, …, 221Nの収束特性を改善することができる。
同様の手法は米国特許No.5,828,756にも示されている。
既に、米国特許NO.5,661,813、文献:J.Benesty, D.R.M
organ, and M.M.Sondhi,"A better Understanding and
an Improved Solution to the Problems of Stereophon
ic Acoustic Echo Cancellation", Proc.ICASSP97, vo
l.1,pp.303-306(1997) 等で提案されている前処理方式
は、数式的な変形により、図4に示す構成で実現でき
る。例えば、離散時間kにおけるNチャネル信号xi(k)
(i=1,2,…,N) に対し、それぞれ処理関数fi(i=1,2,
…,N)によって、処理信号xi'(k)(i=1,2,…,N)を、 xi'(k) =fi[xi(k)] (1) として出力する前処理部であっても、 xi'(k) =xi(k)+(fi[xi(k)]−xi(k)) (2) と変形できることから、付加信号fi[xi(k)]−xi(k)を、
原信号xi(k) に加えた処理とみることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のNチャネルエコ
ーキャンセラ221, 222, …, 22M における適応フィルタ
の収束特性を改善するために、図3に示したように、受
話信号に前処理を施す手法があるが、前処理された信号
は、実際にスピーカ121, 122, …, 12N から出力される
ため、図4に示した構成により前処理が行われたとする
と、付加信号の大きさは、処理前の再生音と比較して、
聴感上違和感の生じない範囲内に制限される必要があ
る。このため、適応フィルタ221〜22Nの収束特性の改善
量も制限され、エコー消去性能の改善にも限界がある。
【0010】上述の例は多チャネル通話会議システムに
おけるエコー消去を例に説明したが、もともとエコー消
去の原理は、図1においてスピーカからマイクロホンに
至る反響路をエコーキャンセラにおいて模擬する(即ち
反響路のインパルスレスポンスを推定する)ことによ
り、実際の反響信号ym(k)をキャンセルしようとするも
のであり、受話信号は必ずしも通話会議システムにおけ
る遠隔地からの受話信号である必要はない。例えば、拡
声音響システムが設けられたホール、劇場、ドームなど
において、目的とする音源からの音響信号をマイクロホ
ンによりピックアップし、スピーカから放出されている
背景音を除去する場合においても、このエコー消去技術
を応用することができる。従って、この発明を含めて、
以降の説明における受話信号とは、スピーカから再生さ
れるべき再生チャネルに与えられる再生用電気信号であ
ればどのような信号源からの信号であってもよい。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、前処
理によって付加される信号の大きさが小さい場合であっ
ても、エコー消去性能の改善量を大きくする新しい多チ
ャネル音響エコー消去方法、その装置及びそのプログラ
ム記録媒体を提供することである。この発明によれば、
再生音を出力するスピーカをそれぞれ含むN個の再生チ
ャネルと、Nは2以上の整数であり、音響信号を集音す
るマイクロホンを含む少なくとも1つのピックアップチ
ャネルとを有し、N個の上記スピーカと上記マイクロホ
ンが共通の音場に配置された音響システムにおける多チ
ャネル音響エコー消去方法において、以下のステップを
含む: (a) 上記N個の再生チャネルにそれぞれ入力された再生
用信号に対しそれぞれ付加信号を生成し、(b) 上記N個
の再生チャネルの上記再生用信号と上記付加信号とを対
応する再生チャネル毎に加算してそれぞれの再生チャネ
ルの処理信号を生成し、(c) 上記N個の再生チャネルの
上記処理信号を対応する再生チャネルの上記スピーカか
らそれぞれ再生し、(d) 上記N個の再生チャネルのそれ
ぞれの上記スピーカから、上記ピックアップチャネルの
上記マイクロホンへ回り込み合成された音響エコーを集
音し、音響エコー信号として上記ピックアップチャネル
に入力し、(e) 上記N個の再生用信号と上記N個の付加
信号に対しそれぞれ個別の処理を行って上記ピックアッ
プチャネルにおける上記音響エコー信号を模擬する疑似
エコーを生成し、上記音響エコーから上記疑似エコーを
差し引くことにより音響エコー消去を行う。
【0012】この発明によれば、再生音を出力するスピ
ーカをそれぞれ含むN個の再生チャネルと、Nは2以上
の整数であり、音響信号を集音するマイクロホンを含む
少なくとも1つのピックアップチャネルとを有し、N個
の上記スピーカと上記マイクロホンが共通の音場に配置
された音響システムにおける多チャネル音響エコー消去
装置において、上記N個の再生チャネルにそれぞれ入力
された再生用信号に対し付加信号を生成するN個の付加
信号生成手段と、上記N個の再生チャネルの上記再生用
信号及び上記付加信号を対応する再生チャネル毎に加算
して処理信号をそれぞれ生成するN個の処理信号生成手
段と、上記N個の再生チャネルにそれぞれ設けられ、そ
れぞれの再生チャネルの上記処理信号を再生し、再生音
を出力するN個の上記スピーカと、上記N個のスピーカ
から回り込み合成された音響エコーを集音し、音響エコ
ー信号として上記ピックアップチャネルに入力する上記
マイクロホンと、上記N個の再生用信号と上記N個の付
加信号に対しそれぞれ個別の処理を行って上記ピックア
ップチャネルに上記音響エコー信号を模擬する疑似エコ
ーを生成し、上記音響エコー信号から上記疑似エコーを
差し引くことにより音響エコー消去を行う消去手段、と
を含む。
【0013】この発明による記録媒体は、上記多チャネ
ル音響エコー消去方法を実施する処理ステップがコンピ
ュータプログラムとして記録されている。
【0014】
【発明の実施の形態】多チャネル音響エコー消去方法に
おいて、受話信号に付加信号を加える前処理を施す手法
により、エコー消去性能を改善できるが、その改善量
は、聴感上の制約から付加信号を大きくできないため
に、制限されている。この問題を別の観点からみると、
図3において、前処理部30とNチャネルエコーキャンセ
ラ221, …,22Nとの間で十分な情報のやり取りがないこ
とにも一因があるといえる。受話信号と、小さい付加信
号との和である処理信号において、付加信号の情報は、
受話信号の情報に埋もれてしまっている。従って、従来
のNチャネルエコーキャンセラでは、入力された処理信
号から付加信号の情報を効果的に抽出し利用することが
困難であった。
【0015】そこで、この発明ではエコーキャンセラ
に、付加信号の情報を直接与えられるようにする。図5
はこの発明による多チャネル音響エコー消去装置の原理
構成を示すブロック図である。この発明による装置にお
いても、それぞれ受話チャネルに対応して付加信号生成
部3011〜301Nと、加算器5011〜501Nとが設けられ、それ
ぞれの送話チャネルに対応してマイクロホン161〜16M
エコーキャンセラ401〜40Mが設けられており、受話信号
x1(k)〜xN(k)と付加信号a1(k)〜aN(k)とが加算器5011
501Nで加算され、加算結果(処理信号)x1'(k)〜xN'(k)
がスピーカ121〜12Nに与えられる点は図1の従来の構成
と同様である。
【0016】異なる点は、加算前の受話信号x1(k)〜x
N(k)と加算前の付加信号a1(k)〜aN(k)がそれぞれ送話チ
ャネルに対応して設けられた個別利用型エコーキャンセ
ラ401〜40M に与えられ、それらに基づいて各送話チャ
ネルのエコー信号y1(k)〜yM(k)を推定していることであ
る。つまり従来の図4では受話信号x1(k), x2(k), …,x
N(k) に、対応するチャネルの付加信号a1(k), a2(k),
…, aN(k) をそれぞれ加算してから、それらの加算結果
(即ち前処理された信号)を図3に示すように送話チャ
ネルのエコーキャンセラ221〜22Mに与えて疑似エコー信
号を生成していたが、この発明では、図5に示すよう
に、付加信号の加算を行う前に、個別利用形エコーキャ
ンセラ401, 402, …, 40M へ受話信号x1(k), x2(k),
…, xN(k) と付加信号a1(k), a2(k), …, aN(k) とを個
別に入力し、それらとは別に受話信号xi(k)(i=1,2,…,
N)と付加信号ai(k) との加算処理を加算器501iで行
い、スピーカ12i から再生される。従って、聴感上の理
由により、付加信号の大きさが制限されていたとして
も、個別利用形エコーキャンセラ401, 402, …, 40M
は、従来構成において受話信号に埋もれてしまっていた
付加信号の情報を直接利用することができ、エコー消去
性能を改善することができる。
【0017】図5に示した構成に適した付加信号の性質
としては、受話信号xi(k) と付加信号ai(k) とを個別に
扱える利点を活かすことが要求される。つまり、付加信
号ai(k) が受話信号xi(k) と相関のある成分を多く含ん
でいたのでは、付加信号を個別に処理したとしても、処
理結果には受話信号xi(k) の影響が含まれる。従って、
全受話チャネルの受話信号xi(k), …, xN(k)の組と全チ
ャネルの付加信号a1(k), …, aN(k)の組とは、できるだ
け互いに相関が小であることが望ましい。そこで、付加
信号の生成方法に関しては、全チャネルの受話信号と相
互相関の低い、つまり零に近い低相互相関信号を受話チ
ャネル数生成し、これらを付加信号として割り当てる。
【0018】あるいは、全チャネルの付加信号の組の中
で、個々の付加信号が相互に高い相関を持っていると、
従来法において、受話信号間の相関が高い場合と同様な
理由で、エコー消去性能の改善が制限されると考えられ
る。そこで、付加信号の生成方法として、上記低相互相
関信号に代わりに、全チャネルの受話信号と相互相関が
低く(零に近く)、かつ、互いに相互相関の低い(零に
近い)信号を低相互相関信号として受話チャネル数生成
し、これらを付加信号として割り当てる。付加信号生成 次に低相互相関の付加信号を生成する方法について説明
する。通常の音声信号をx(k)とし、期待値を
【0019】
【数1】
【0020】と表すことにする。この期待値について次
式 E[x2(k)]|x(k)>0 =E[x2(k)]|x(k)<0 (4) が近似的に成り立つので、x(k)とその絶対値|x(k)|は
近似的に無相関、即ち、任意の時間差nに対して、近似
的に E[x(k)|x(k−n)|]=0 (5) が成り立つ。従って、i=1,2,…,N をそれぞれ受話チャ
ネルにつけた番号とすると、各受話チャネルの受話信号
xi(k) とその絶対値信号|xi(k)| とは互いに相関が低
い。また、任意の2つの受話チャネルの受話信号xi(k)
とxj(k) が互いに相関が高い場合、絶対値信号|xi(k)
| 及び|xj(k)| も互いに相関が高いが、どの受話チ
ャネルの受話信号xi(k) も、どの他の受話チャネルの絶
対値信号|xj(k)| との相関が低くなると考えられる。
そこで、各受話チャネル毎の調整係数をαi としてαi
|xi(k)|を生成し、これを低相互相関信号、つまり付
加信号として用いる。調整係数αi はスピーカからの再
生音中の付加信号成分が耳障りとならない範囲でできる
だけ大きな値に選ぶのが適応フィルタ係数を短時間で収
束させる上で好ましい。 付加信号生成方法(1) 受話信号x1(k)〜xN(k)が互いに相関が高い場合、前記各
低相互相関信号αi|x i(k)|は、互いに相関が高くな
り、エコー消去性能の改善が制限されると考えられる。
そこで、各受話チャネルにおいて、受話信号の絶対値を
とり、原受話信号の符号が変わる時点である零クロスを
検出し、各受話チャネル毎に異なる規則により、上記検
出点と同期して上記絶対値信号に正または負の符号を与
えた後、調整係数を乗じることで低相互相関信号を得
る。
【0021】ここで、絶対値信号に正または負の符号を
与える方法として次のような方法がある。1つの受話チ
ャネルにおいて、零クロス検出点をカウントし、予め決
めたカウント数C毎に零クロス点で絶対値信号に与える
符号の正負を入れ換える。この規則に従い、他の各受話
チャネルにおいても同様に予め決めた異なるカウント値
C毎に零クロス点で絶対値信号に与える符号の正負を反
転する。但し、カウント値Cは0又は2以上の整数であ
り、C=0とは、符号を固定することを意味することに
する。このようにすると、それぞれの受話信号x1(k) 〜
xN(k) が互いに相関が高い場合でも、先の場合と異な
り、得られる各低相互相関信号は互いに相関が低くな
る。
【0022】図6A〜6Dは、絶対値信号に上記規則に
より、符号を与えた例である。図6Aは原信号であり零
交差ごとに符号が替るからC=1でありその絶対値信号
は図6Bに示すように、符号が変化せず、C=0であ
る。C=2とすると図6Cに示すように零交差を2回行
うごとに、符号が替り、C=3とすると図6Dに示すよ
うに零交差を3回行う毎に符号が替る。これら図6A〜
6Dに示す信号は原信号を含めて全てが互いに無相関に
なっていることが分かる。以下ではCの値を符号切り替
え周期と呼ぶことにする。 付加信号生成方法(2) 更に別の低相互相関信号を生成する方法を記す。即ち各
受話チャネルにおいて、受話信号の絶対値をとり、唯一
つの受話チャネルについては非零、その他の受話チャネ
ルについては零、となる調整係数を上記各絶対値信号に
乗じることで低相互相関の付加信号を得る。非零の調整
係数を与える受話チャネルの選び方としては、時間と共
に周期的に、あるいはランダムに切替える方法や、信号
レベルの大きい受話チャネルを優先させる等の方法があ
る。この方法では、常時、唯一つの受話チャネルにし
か、有効な付加信号が加えられないので、精度良い疑似
エコーを生成するまでの時間は、先の方法(1) よりも長
いと考えられるが、他の受話チャネルの付加信号が零で
あることを考慮した演算の削減が可能となる等の利点が
ある。
【0023】この様に、この発明では多チャネルの受話
信号間の相互相関を変動または低下させるために各受話
信号に加える付加信号を、受話信号とは加算せず別個
に、疑似エコーの推定に利用できるようにしたため、付
加信号に含まれる無相関成分を効果的に利用した推定精
度の高い疑似エコーの生成が可能となる。個別利用形エコーキャンセラ 図7は、図5における個別利用形エコーキャンセラ40m
(m=1,2,…,M)の実施例である。この構成において、各送
話チャネル毎に、受話端子111, 112, …, 11Nからの受
話信号x1(k)〜xN(k)はそれぞれ受話信号用適応フィルタ
4011, 4012, …, 401Nへ入力される。この発明では付加
信号用適応フィルタ4021〜402Nがそれぞれの受話チャネ
ルに対応して設けられ、付加信号生成部3011〜301Nの出
力端子18 1, 182, …, 18N の付加信号a1(k)〜aN(k)が付
加信号用適応フィルタ4021, 4022, …, 402Nへ、それぞ
れ入力される。各適応フィルタ4011, …, 401Nと4021,
…, 402Nの各出力の総和が加算器403 でとられて疑似エ
コーym'(k)とされ、マイクロホン16m に収音される音響
エコーym(k) から、この疑似エコーym'(k)を差回路404
で差し引くことで、エコー消去を実現する。また、この
実施例及び以下の実施例において、音響エコーym(k) か
ら疑似エコーym'(k)を差し引いて得られる誤差信号e
m(k) に対し、重み付け部411 で適当な異なる2つの重
み係数w1, w2を与えて2つの重み付き誤差信号w1em(k),
w2em(k)を生成し、前者を適応フィルタ4011, …, 401
N に与え、後者を適応フィルタ4021, …, 402N に与え
る。適応フィルタ4011〜401N及び4021〜402Nは、重み付
き誤差信号w1em(k)及びw2em(k)と入力信号x1(k)〜xN(k)
及びa1(k)〜aN(k)に基づいて、現在設定されているフィ
ルタ係数に対し、周知のNLMSアルゴリズム等により誤差
信号em(k)が最少となるようなフィルタ係数ベクトルを
計算し、これによって適応フィルタの各フィルタ係数を
更新し、次の入力に備える。フィルタ係数更新の具体的
演算方法は後述する。
【0024】上記各受話信号用適応フィルタ4011, …,
401Nと、上記各付加信号用適応フィルタ4021, …, 402N
とにフィードバックする、上記誤差信号に対する重み付
けは、例えば電力の大きい上記各受話信号に対して小さ
な重み係数w1を与え、電力の小さい上記各付加信号に対
して大きな重み係数w2を与えるようにする。この様に、
図7に示した個別利用形エコーキャンセラの疑似エコー
生成において、受話信号に関する情報と、付加信号に関
する情報とを異なる重み付けにより処理することで、疑
似エコーの精度を制御できる利点がある。実際には、図
5において受話信号に付加信号を加えた処理信号をスピ
ーカから再生する際、付加信号が聴感に及ぼす影響を許
容できる範囲に調整する必要があり、受話信号に対して
付加信号は小さいことが多い。この様な場合、上記のよ
うな重み付け処理により、小さい付加信号に関する情報
を効果的に利用できる。しかしながら、この発明の原理
的構成としては、図7において、w1=w2 としてもよい。
即ち、重み付け部411 を省略し、同じem(k) を適応フィ
ルタ4011〜401Nと4021〜402Nに与えてもよい。以下の他
の変形実施例についてもすべて同様のことがいえる。 エコーキャンセラの変形実施例1 図8は図5における個別利用形エコーキャンセラ40m (m
=1,…,M)に適用される図7のエコーキャンセラに代わる
実施例を示す。図7の実施例では、各Nチャネルエコー
キャンセラ40m において、受話信号用の適応フィルタ40
11〜401Nと付加信号用の適応フィルタ4021〜402Nを別々
に設け、別々に処理する場合を示したが、図8に示すよ
うに、付加信号a1(k)〜aN(k)と受話信号x1(k)〜xN(k)と
を別の処理を行ってから合成し、得られたN個の合成信
号x"1(k)〜x"N(k)をN個の適応フィルタ4011〜401Nで処
理してもよい。
【0025】即ち、図8に示すように、受話信号x1(k)
〜xN(k)はそれぞれ乗算器4121〜412Nにより利得係数g11
〜g1Nが乗算され、g11x1(k)〜g1NxN(k)とされる。付加
信号a1(k)〜aN(k)はそれぞれ乗算器4101〜410Nにより利
得係数g21〜g2Nが乗算されg21a 1(k)〜g2NaN(k)とされ
る。付加信号に対する利得係数g21〜g2Nは、対応する再
生チャネルの受話信号に対する利得係数g11〜g1Nより大
きい値とされている。これらの乗算結果は対応する再生
チャネル毎に加算器4121〜412Nにより加算され、N個の
合成処理信号{g11x1(k)+g21a1(k)}, {g12x2(k)+g22a
2(k)}, …, {g1NxN(k)+g2NxN(k)}としてN個の適応フィ
ルタ4011〜401Nにそれぞれ入力される。
【0026】適応フィルタ4011〜401Nの出力の総和が加
算器403 でとられ、その総和が疑似エコーy'm(k)として
減算器404 に与えられ、音響エコー信号ym(k)から減算
れ、誤差em(k)を生成する。誤差em(k)は適応フィルタ40
11〜401Nにフィードバックされ、誤差em(k)と加算器412
1〜412Nからの合成処理信号{g11x1(k)+g21a1(k)}, {g 12
x2(k)+g22a2(k)}, …, {g1NxN(k)+g2NxN(k)}とに基づい
て適応フィルタ4011〜401Nのフィルタ係数が更新され
る。
【0027】図8の実施例で重要なことは、各スピーカ
12n (n=1,…,N)で再生される処理信号x'n(k)の成分とし
ての付加信号an(k)と受話信号xn(k)のレベル比より、各
合成処理信号における付加信号成分g2nan(k)と受話信号
成分g1nxn(k)のレベル比を大きくしていることである。
即ち、スピーカ12n からの再生音中の付加信号成分a
n(k)は、耳障りとならない程度に小さくする一方、合成
処理信号{g1nxn(k)+g2nan(k)}中の無相関信号である付
加信号成分g2nan(k)のレベルを十分大きくすることによ
り、適応フィルタ401nのフィルタ係数を短時間で収束さ
せることができることである。 エコーキャンセラの変形実施例2 図9は図5に示した各個別利用形エコーキャンセラ40m
の図7に代わる他の実施例を示す。図7に示したと同様
に各送話チャネル毎に、全受話チャネルに対応した受話
信号用適応フィルタ4011, 4012, …, 401N及び付加信号
用適応フィルタ4021, 4022, …, 402Nが設けられ、それ
らに対し、それぞれ対応する各受話信号及び各付加信号
を入力し、加算器403 によりこれら全適応フィルタ4011
〜401N,4021〜402Nの出力の総和y'm(k)を得る。マイク
ロホンに収音される音響エコーym(k) から、この加算器
403 の出力y'm(k)を差し引き、誤差信号em(k) を得、重
み付け部411 でこの誤差に異なる重み係数w1及びw2を与
えて重み付き誤差信号w1em(k)及びw2em(k)を生成し、前
者を適応フィルタ4011, …, 401N に与え、後者を適応
フィルタ4021, …, 402Nに与える。適応フィルタ4011
401N及び4021〜402Nは、与えられた信号w1em(k)及びw2e
m(k)に基づいてNLMSアルゴリズム等によりフィルタ係数
を更新し、次の入力に備える。この実施例においては、
誤差信号em(k) は適応フィルタ4011〜401N及び4021〜40
2Nのフィルタ係数を決定するために使用されるだけで、
エコー消去結果としては出力されない。
【0028】この実施例では、受話信号x1(k)〜xN(k)と
付加信号a1(k)〜aN(k)を互いに対応する受話チャネル毎
に加算する加算器4061〜406Nと、それら加算器4061〜40
6Nの加算結果をそれぞれ与えるエコー消去用フィルタ40
51〜405Nと、そのエコー消去用フィルタ4051〜405Nの出
力を加算し、疑似エコー信号y"m(k)を得る加算器407
と、エコー信号ym(k)から疑似エコー信号y"m(k)を減算
することによりエコーを消去し、その残差を送話チャネ
ルの出力とする減算器408 とが更に設けられている。加
算器4061〜406Nはそれぞれ対応する受話チャネルの受話
信号x1(k)〜xN(k)と付加信号a1(k)〜aN(k)を加算するも
のであり、図5における加算器5011〜501Nの加算結果で
ある処理信号x'1(k)〜x'N(k)と同じものである。従っ
て、各個別利用形エコーキャンセラ401〜40Mに加算器40
61〜406Nを設けず、図5における加算器5011〜501Nの出
力である処理信号x'1(k)〜x'N(k)を各エコーキャンセラ
40m(m=1,…,M)のエコー消去用フィルタ4051〜405Nに与
えてもよい。後述の実施例についても同様のことがいえ
る。
【0029】通常では、受話信号x1(k)〜xN(k)間の相関
より付加信号a1(k)〜aN(k)間の相関の方が小さいので、
適応フィルタ4021〜402Nのフィルタ係数は適応フィルタ
4011〜401Nのフィルタ係数より精度よくかつ短時間に収
束していくことが期待される。従って、この実施例で
は、例えば誤差信号em(k)のパワーがエコー信号ym(k)の
パワーより十分小さくなったら、適応フィルタ4021〜40
2Nのフィルタ係数がある程度収束したと判断し、付加信
号用適応フィルタ4021〜402Nのフィルタ係数をエコー消
去用フィルタ4051〜405Nに転送して使用する。
【0030】そのために、短時間平均電力算出部413 と
転送制御部414 が設けられている。短時間平均電力算出
部413 は誤差信号em(k)とエコー信号ym(k)が与えられ、
例えば1フレーム区間以内の所定長にわたるパワーの平
均値Pem(k)及びPym(k)を算出する。これらの値は転送制
御部414 に与えられ、転送制御部414 はこれらの値の比
Pem(k)/Pym(k)を求め、フィルタ係数の転送条件とし
て、その比が予め決めた値(例えば1/4)以下であるか
判定し、満足していれば適応フィルタ4021〜402Nのフィ
ルタ係数をエコー消去用フィルタ4051〜405Nに転送する
よう転送制御信号TCを適応フィルタ4021〜402Nに与え、
フィルタ係数の転送を行う。それ以降も常に比Pem(k)/P
ym(k)を計算し、前述の転送条件が満足された場合のみ
適応フィルタ4021〜402Nのフィルタ係数をエコー消去用
フィルタ4051〜405Nに転送する。必要であれば、転送条
件として受話信号レベル、例えば全受話信号の短時間平
均電力の総和が所定値以上であることも必要条件として
加えてよい。
【0031】これらエコー消去用フィルタ4051, …, 40
5Nの出力は加算器407 により加算され、それらの総和を
疑似エコーy"m(k)として得る。音響エコーym(k) から、
この疑似エコーy"m(k)を引算器408 で差し引くことで、
エコー消去された信号が得られる。 エコーキャンセラの変形実施例3 図10は、図5における個別利用型エコーキャンセラ40
mの他の実施例を示す。前述のように、図9の実施例で
は、急速に収束することが予測される付加信号用適応フ
ィルタの係数をエコー消去用フィルタに転送することに
より、エコー消去用フィルタにより生成される疑似エコ
ー信号y"m(k)を図7の実施例と比べてより短時間のうち
にエコー信号ym(k)に近づけ、従って、エコー消去の効
果を、より短時間で表すことができる。この付加信号用
適応フィルタ4021〜402Nのフィルタ係数は、同じ経過時
点kに対し、受話信号用適応フィルタ4011〜401Nのフィ
ルタ係数より精度よく、真の反響路インパルス応答(ベ
クトル)h1(k), h2(k),…,hN(k)(以下の説明文中にお
いてもインパルス応答ベクトル、即ち係数ベクトル、を
太字でなく表記するが式中においては太字で表記するこ
とにする)を近似していると推定される。言い換えれ
ば、適応フィルタ4011〜401N, 4021〜402Nのフィルタ係
数は、これらの出力の総和y'm(k)とエコー信号ym(k)の
差em(k)に基づいて適応アルゴリズムにより求めている
ので、受話信号用適応フィルタ4011〜401Nのフィルタ係
数は、現在得られている付加信号用適応フィルタ4021
402Nのフィルタ係数の誤差に寄与していると考えること
ができる。そこで、図10の変形実施例では、精度の高
い付加信号用適応フィルタ係数を受話信号用適応フィル
タにも転送して利用するように構成されている。
【0032】図11のエコーキャンセラ40m は図5に示
したように各送話チャネルに対応して設けられ、図9の
場合と同様に、各受話信号及び各付加信号用に個別に設
けられた適応フィルタ4011, 4012, …, 401N及び4021,
4022, …, 402Nへ、それぞれ対応する各受話信号x1(k)
〜xN(k)及び各付加信号a1(k)〜aN(k)を入力し、各適応
フィルタの出力の総和y'm(k)を得る。マイクロホンに収
音される音響エコーym(k)から、この適応フィルタ出力
の総和y'm(k)を差し引き、誤差信号em(k)を得る。この
誤差信号em(k)を重み付け部411 で重み係数w1, w2によ
り重み付けした誤差信号w1em(k), w2em(k)を生成し、適
応フィルタ4011〜401N及び4021〜402Nにそれぞれフィー
ドバックし、適応フィルタを更新し、次の入力に備え
る。
【0033】実際のエコー消去は、付加信号用の適応フ
ィルタの係数を対応する各エコー消去用フィルタ4031,
4032, …, 403Nに転送し、これらエコー消去用フィルタ
に各受話チャネルごとに受話信号と付加信号の和を入力
し、エコー消去用フィルタの総和を疑似エコーy"m(k)と
して得、音響エコーym(k)から、この疑似エコーy"m(k)
を差し引くことで、エコー消去を実現する。付加信号用
の適応フィルタの係数を、対応する各エコー消去用フィ
ルタ4051, 4052, …, 405Nに転送すると同時に、各受話
信号用に設けられた適応フィルタ4011, 4012, …, 401N
にも転送して使用するので、適応フィルタ全体の精度を
高めることができる。
【0034】係数転送の条件は、図9の実施例の場合と
同じでよい。図9の場合と同様に、短時間平均電力算出
部413 で算出した誤差信号のパワーPem(k)と音響エコー
のパワーPym(k)に基づいて転送制御部414 が転送条件を
満たすか判定し、満たせば転送制御信号TCを適応フィル
タ4021〜402Nに与え、フィルタ係数を適応フィルタ4011
〜401Nと4051〜405Nの両者に転送する。この変形実施例
では、受話信号用適応フィルタ4011〜401Nは、フィルタ
係数の転送を受けると、それらのフィルタ係数から新た
に更新が開始される。 エコーキャンセラ変形実施例4 図11は、図5における個別利用型エコーキャンセラの
更に他の変形実施例を示す。前述の図9では、一般に、
受話信号x1(k)〜xN(k)間の相関が大きいため、低相関の
付加信号が与えられる適応フィルタ4021〜402Nの係数が
受話信号用適応フィルタ4011〜401Nのフィルタ係数より
急速に、かつ高精度に収束するという前提で、付加信号
用適応フィルタ4021〜402Nの係数をエコー消去用フィル
タ4051〜405Nに転送する構成とした。しかしながら、受
話信号x1(k)〜xN(k)は必ずしも常に相関が大であるとは
限らない。全く異なる複数の音源からの信号が多チャネ
ルの受話信号として与えられた場合、受話信号間の相関
は十分小さくなる場合もある。その場合は、受話信号用
適応フィルタの係数が高速に収束し、高い精度で得られ
ることが期待される。そこで、図11の変形実施例にお
いては、受話信号x1(k)〜xN(k)間の最大の相関値を計算
し、最大相関値が所定値より大きければ図9の実施例と
同様に付加信号用適応フィルタの係数をエコー消去用フ
ィルタに転送し、所定値以下であれば、受話信号用適応
フィルタの係数をエコー消去用フィルタに転送する。
【0035】図11のエコーキャンセラ40m は、図5に
示したように各送話チャネル毎に設けられ、図9と同様
に、受話信号x1(k)〜xN(k)及び付加信号a1(k)〜aN(k)用
に個別に設けられた適応フィルタ4011〜401N及び4021
402Nへ、それぞれ対応する受話信号x1(k)〜xN(k)及び付
加信号a1(k)〜aN(k)を入力し、これら全適応フィルタの
出力の総和y'm(k)を加算器403 により得る。マイクロホ
ンに収音される音響エコーym(k)から、この適応フィル
タ出力の総和y'm(k)を差し引き、誤差信号em(k)を得、
この誤差信号em(k)に重み付け部411 で重み係数w1, w2
をつけて生成した信号w1em(k), w2em(k)を適応フィルタ
4011〜401Nと4021〜402Nにフィードバックし、これら適
応フィルタの係数を更新し、次の入力に備える。
【0036】図9の構成と異なる点として、実際のエコ
ー消去は、相関判定部430 において上記受話信号x1(k)
〜xN(k)間の相関を全ての組み合わせについて求め、上
記受話信号間の相関の最大値が所定値より大きい場合
は、上記付加信号a1(k)〜aN(k)を入力とする適応フィル
タ4021〜402Nの係数を、対応する受話チャネルごとに上
記処理信号x'1(k)〜x'N(k)を入力とするエコー消去用フ
ィルタへ転送し、上記受話信号間の最大相関値が所定値
と比べて小さい場合は、上記各受話信号を入力とする適
応フィルタ4011〜401Nの係数を、処理信号x'1(k)〜x'
N(k)を入力とするエコー消去用フィルタ4051〜405Nへ転
送するよう転送選択制御信号TSを転送制御部414 に与え
る。転送制御部414 は、前述と同様に転送条件が満たさ
れると、転送選択制御信号TSに従って付加信号用適応フ
ィルタ4021〜402Nの係数を転送する場合は、転送制御信
号TC2を適応フィルタ4021〜402Nに与え、受話信号用適
応フィルタ4011〜401Nの係数を転送する場合は転送制御
信号TC1を適応フィルタ4011〜401 Nに与える。転送され
たフィルタ係数が設定されたエコー消去用フィルタ4051
〜405Nに各受話チャネルごとに受話信号x1(k)〜xN(k)と
付加信号a1(k)〜aN(k)の和である処理信号x'1(k)〜x'
N(k)を入力し、エコー消去用フィルタ4051〜405Nの出力
の総和y"m(k)を疑似エコーとして得、音響エコーym(k)
から、この疑似エコーy"m(k)を差し引くことで、エコー
消去を実現する。
【0037】図10の方法では、受話信号x1(k)〜xN(k)
間の相関が小さい場合は、付加信号より受話信号の方が
レベルが大きいため、受話信号用の適応フィルタの精度
の方がよくなることを利用し、性能改善を図っている。 エコーキャンセラ変形実施例5 図12は、個別利用型エコーキャンセラの更に他の構成
を示す実施例である。この構成において、図9の構成と
同様に、各受話信号及び付加信号用に個別に設けられた
適応フィルタ4011〜401N及び4021〜402Nへ、それぞれ対
応する各受話信号x1(k)〜xN(k)及び各付加信号a1(k)〜a
N(k)を入力し、全適応フィルタの出力の総和y"m(k)を
得、マイクロホンに収音される音響エコーym(k)から、
この適応フィルタ出力の総和y'm(k)を差し引き、誤差信
号em(k)を得る。この誤差信号em(k)を重み付け部411 で
係数w1, w2により重み付けして信号w1em(k)及びw2em(k)
を生成し、適応フィルタ4011〜401N及び4021〜402Nにフ
ィードバックし、適応フィルタの係数を更新し、次の入
力に備える。
【0038】図9の構成と異なる点として、実際のエコ
ー消去は、図11の実施例と同様に相関判定部480 にお
いて上記受話信号x1(k)〜xN(k)間の相関を求め、上記受
話信号間の相関が所定値より大きい場合は、上記付加信
号を入力とする適応フィルタ4021〜402Nの係数を、対応
する受話チャネルごとに上記処理信号を入力とするエコ
ー消去用フィルタ4051〜405N及び上記受話信号を入力と
する各適応フィルタ4011〜401Nへ転送し、上記受話信号
間の相関が所定値より小さい場合は、上記各受話信号を
入力とする各適応フィルタ4011〜401Nの係数を、対応す
る受話チャネルごとに上記処理信号を入力とするエコー
消去用フィルタ4051〜405N、及び上記付加信号を入力と
する各適応フィルタ4021〜402Nへ転送する制御を行う転
送選択信号TSを転送制御部414 に与える。
【0039】転送制御部414 は、転送条件が満足されて
いる場合、与えられた転送選択信号TSに従って、付加信
号用適応フィルタ4021〜402Nの係数を転送する場合は、
転送制御信号TC2を適応フィルタ4021〜402Nに与え、受
話信号用フィルタ4011〜401Nの係数を転送する場合は転
送制御信号TC1を適応フィルタ4011〜401Nに与える。エ
コー消去用フィルタ4051〜405Nに対応する受話チャネル
の受話信号x1(k)〜xN(k)と付加信号a1(k)〜aN(k)の和
(即ち、処理信号)x'1(k)〜x'N(k)を入力し、エコー消
去用フィルタ4051〜405Nの出力の総和y"m(k)を疑似エコ
ーとして得る。音響エコーym(k)から、この疑似エコー
y"m(k)を差し引くことで、エコー消去を実現する。この
実施例は、図10及び11の両方の利点を併せ持つのみ
ならず、受話信号用適応フィルタから付加信号用適応フ
ィルタへのフィルタ係数の転送を可能とし、より精度の
高いフィルタ係数を得ることができる。
【0040】図13は図11及び12の実施例における
相関判定部430の構成例を示す。この相関判定部430は、
各チャネルの受話信号間の相互相関を、上記適応フィル
タのタップ数L程度に区切られたフレーム幅ごとのサン
プル点に対し評価するものである。受話信号x1(k)〜x
N(k)は常に例えば現時点kから過去に遡って2フレーム
長(即ち、時点k, k-1, …, k-L+1, k-L, …, k-2L+1)
分の信号サンプルがバッファ431 に保持されている。フ
レーム切り出し部432 は各受話チャネルについてバッフ
ァ431 内の受話信号から過去に遡って連続するL個のサ
ンプルxn(k), x n(k-1),…, xn(k-L+1)からなる受話信号
系列をベクトルxn(k)(n=1,2,…,N)として切り出す。
なお、受話信号ベクトルは以下の式中においては太字で
表しているが、当業者には区別可能なので、以下の説明
文中においては受話信号ベクトルを太字でなく、標準フ
ォントで表記することにする。内積演算部433 は全チャ
ネルのうち、評価すべき2つチャネル(n=i及びn=jとす
る)を選択し、それらの信号系列ベクトル、例えばx
i(k)とxj(k)の内積をまず計算する。正規化部434 はこ
の内積結果xiT(k)・xj(k)を、評価すべき2つの信号系列
ベクトルの大きさで除算し、相互相関評価量EC、例えば
次式
【0041】
【数2】
【0042】で得る。ただし、式(6) のままでは、時間
軸上で互いにずれた位置で互いに相関が高い信号同士で
あった場合、適切な評価量が得られない。そこで、一方
のベクトル、例えばxj(k)の時間kをk-1,k-2,…,k-Lと
1フレームにわたって順次ずらす毎に、上記の相互相関
評価量ECを計算することにより、時間差を持つ相関の大
きい信号を評価する。相関評価部435 は、以上のように
して、全チャネルにおいて、全ての受話信号の組み合わ
せ(i,j) について計算された相互相関評価量ECを比較
し、これらのうちの最大値を、システム全体の評価量と
して採用する。転送選択部436 は、少なくとも1組の受
話信号間の相互相関評価量ECが所定値より大きい場合
は、各付加信号用の適応フィルタ4021〜402Nの係数の方
が、各受話信号用の適応フィルタ4011〜401Nよりも、精
度よく収束するものと判定し、各付加信号用の適応フィ
ルタ係数を他のフィルタ4011〜401N及び4051〜405Nへ転
送させ、所定値より大きい相関評価量がなければ、受話
信号用適応フィルタ4011〜401Nの係数をフィルタ4021
402N及び4051〜405Nに転送させる転送選択信号TSを転送
制御部414 に与える。 コンピュータによる発明の実施例 上述したこの発明による多チャネル音響エコー消去装置
は、それを構成する各部を与えられた受話信号x1(k)〜x
N(k)と、マイクからの音響エコー信号y1(k)〜y M(k)に対
し、例えばコンピュータによるデータ処理として実現し
てもよい。その場合は、前述の実施例で示した各部の処
理をプログラムとして記述し、予め記録媒体に記憶して
おき、使用時にその記録媒体から読み出したプログラム
をコンピュータで実行する。そのような構成例を図14
に示す。図14に示す音響エコー消去装置として動作す
るコンピュータ100 は、ごく一般的な構成のコンピュー
タであり、CPU(中央処理装置)110 , RAM120 、
ハードディスク130 、インターフェイス140 などがバス
150 を介して互いに接続されて構成されている。この発
明のエコー消去を実行するプログラムは、例えばハード
ディスク130 に予め格納されており、動作時にそのプロ
グラムがRAM120 に読み込まれ、そのプログラムに従
ってCPU110 が処理を実行する。受話信号x1(k)〜x
N(k)とマイクロホンからのエコー信号y1(k)〜yM(k)はI/
Oインタフェース部140 を介して取り込まれ、前述した
エコー消去の処理を受け、エコー消去された残差信号e1
(k)〜eM(k)がI/Oインタフェース140 を介して出力され
る。エコー消去を行うプログラムは外部記憶装置170 と
しての任意の記録媒体170 に記録しておき、そこから記
憶装置のドライバ160 によりRAM120 に読み込んで実
行してもよい。
【0043】2チャネルの場合の実現例 ここでは、前述したこの発明の多チャネルエコー消去装
置の実施例を代表して図9の例を、受話2チャネル、送
話1チャネルのシステムとして、付加信号の生成、適応
フィルタの動作、誤差の重み付けについて、図15を参
照しながら、より具体的に記述する。
【0044】図15において、図5及び9と対応する部
分に同一符号を付けてある。 「付加信号の生成」2チャネル受話信号x1(k), x2(k)に
対する付加信号を生成する。符号切り替え周期Cが与え
られたとき、零クロス点の計数C毎に符号反転を与える
符号係数をσC で表すことにする。σC=1,−1であ
る。 まず、受話チャネル1に対しては、符号切替周期
C=0として、符号を固定し、調整係数をα1 として、
付加信号α1|x1(k)|を得る。また、受話チャネル2に
対しては、符号切替周期C=2として、x2(k) の零クロ
ス検出点数2個毎に、符号係数σC の値を1と−1とで
交互に切替え、調整係数をα2 として、付加信号をα2
σC|x2(k)|を得る。ここで、符号切替周期C=2の場
合には、上記の符号切替えのタイミング検出において、
零クロス点の数をカウントする代わりに、x2(k) の符号
が正から負へ変化する時刻、または負から正へ変化する
時刻に同期して符号を切替えることもできる。 「適応フィルタの動作」適応フィルタの動作を述べるに
あたり、信号をベクトル化する。即ち受話信号ベクトル
を以下の説明文中ではx1(k),x2(k)、付加信号ベクトル
α1x- 1(k),α2x - 2(k)、と表記する。ただし式中におい
てはベクトルを太字で表記している。ここで、 x1(k)=[x1(k),x1(k-1),…,x1(k-L+1)]T (7) x2(k)=[x2(k),x2(k-1),…,x2(k-L+1)]T (8) x- 1(k)=[|x1(k)|,|x1(k-1)|,…,|x1(k-L+1)|]T (9) x- 2(k)=[σC|x2(k)|,σC|x2(k-1)|,…,σC|x2(k-L+1)|]T (10) でありTはベクトルの転置を表す。Lは、適応フィルタ
のタップ数であり、x1(k),x2(k)を入力とする適応フィ
ルタ4011,4012の係数ベクトルをそれぞれh∧1(k), h∧
2(k)とし、α1x- 1(k),α2x- 2(k)を入力とする適応フィ
ルタ4021,4022の係数ベクトルをそれぞれh- 1(k),h
- 2(k)とする。また、2つのスピーカ、マイクロホン間
の伝達特性であるインパルス応答を、長さLの真の音響
エコー経路ベクトルh1(k),h2(k)として、モデル化し、
以下の議論に用いる。
【0045】まず、2つのスピーカからマイクロホンへ
と回り込む音響エコーy(k)であるが、
【0046】
【数3】
【0047】と表せる。適応フィルタ4011,4012,40
21,4022では、この音響エコーの模擬y∧(k)を
【0048】
【数4】
【0049】と計算する。式(12),(13)の対比から、各
適応フィルタの係数ベクトルは、 h∧1(k) → h1(k) (14) h∧2(k) → h2(k) (15) h- 1(k) → h1(k) (16) h- 2(k) → h2(k) (17) と収束すべきであり、従って、理想的には h- 1(k)=h∧1(k), h- 2(k)=h∧2(k) である。しかしながら、x1(k),x2(k)の間には、高い相
関があることが多く、従来法と同様に、相互のチャネル
間で影響し合うため、h∧1(k),h∧2(k)の収束は停滞す
る。一方、α1x- 1 T(k),α2x- 2 T(k)は、互いに相関が低
く、また、x1(k),x 2(k)に対しても相関が低いので、h-
1(k),h- 2(k)の収束に関しては、他のチャネルの信号の
影響を受けない。つまり、少なくともh- 1(k),h- 2(k)の
係数は精度良く収束すると考えられる。従って、y'(k)
を疑似エコーとして用いても、ある程度の性能改善は期
待できるが、h∧1(k),h∧2(k)の影響が疑似エコーの生
成に影響しないように、エコー消去用フィルタ4051,40
52に、精度の良いh- 1(k),h- 2(k)を係数ベクトルとして
それぞれ転送し、これらのエコー消去用フィルタ4051
4052に、それぞれ、加算器4061,4062からのx1(k)+α1
x- 1(k)及びx2(k)+α2x- 2(k)、をそれぞれ入力し、それ
らの出力の和として、加算器407 から疑似エコーを生成
することで、疑似エコーの精度を高めることができる。
以下ではh- 1(k),h- 2(k)をスピーカ121, 122からマイク
ロホン161 に至る反響路1511, 1512の真のインパルスレ
スポンスh1(k)及びh2(k)に対し第1の疑似反響路インパ
ルス応答と呼び、h∧1(k),h∧2(k)を第2の疑似反響路
インパルス応答と呼ぶ。またこれら真の反響路1511, 15
12に対し、適応フィルタ4011, 4012を第1の疑似反響路
と呼び、適応フィルタ4021, 4022を第2の疑似反響路と
呼ぶ。誤差の重み付け 各適応フィルタの係数更新のために、音響エコーy(k)と
適応フィルタ出力y∧(k)との誤差信号e(k)をフィードバ
ックする際の、重み付け部414 による異なる重み付けの
方法について述べる。
【0050】まず、各適応フィルタ係数ベクトルh∧
1(k),h∧2(k),h- 1(k),h- 2(k)が、NLMSアルゴリ
ズムにより、次式
【0051】
【数5】
【0052】に更新されるとする。ここで、調整係数は
α1 =α2 =αとした。また e(k)=y(k)−y'(k) であり、μはステップサイズと呼ばれるパラメータであ
る。式(18)に対し、μ=1として、両辺に左から、
【0053】
【数6】
【0054】を掛けると、 y(k)=y'(k)+e(k)/(1+α2)+α2e(k)/(1+α2) =y'(k)+e(k) (20) となる。つまり、更新後の適応フィルタに再び時刻kに
おける入力信号を入力すれば、誤差信号e(k)が補償さ
れ、その出力の総和はy(k)と等しくなる。ここで、式(2
0)の中辺の第2及び第3項は式(18)の右辺第2項に式(1
9)を左から掛けたときの内積の和
【0055】
【数7】
【0056】から得られたものであり、式(20)の中辺第
2項が、x1(k),x2(k)用の適応フィルタ係数ベクトルh
1(k+1),h∧2(k+1)による補償分であり、中辺第3項
が、付加信号α1x- 1(k),α2x- 2(k)用の適応フィルタ係
数ベクトルh- 1(k),h- 2(k)による補償分であることがわ
かる。通常、αの値は小さく、例えば、α=0.2 程度が
選ばれる。従って、式(18)は、収束精度が高いと期待さ
れているh- 1(k+1),h- 2(k+1)よりも、受話信号間の相関
の影響を受け易いh∧1(k+1),h∧2(k+1)に重きをおいた
更新をしてしまうことが分かる。
【0057】そこで、h∧1(k+1),h∧2(k+1)の更新と、
h- 1(k+1),h- 2(k+1)の更新とにおいて、重み付け部411
はe(k)に異なる重み係数w1,w2をそれぞれ乗じる。即
ち、適応フィルタの更新式を、
【0058】
【数8】
【0059】
【数9】
【0060】とする。これにより e(k)=(1/(1+α2))w1e(k)+(α2/(1+α2))w2e(k) (24) を得る。そこで、例えば、 w1=(1+α2)/2 (25) w2=(1+α2)/(2α2) (26) と選べば、式(24)は e(k)=(1/2)e(k)+(1/2)e(k) (27) となり、右辺第1項のx1(k),x2(k)用の適応フィルタ係
数ベクトルh∧1(k+1),h∧ 2(k+1)による補償分と右辺第
2項の付加信号α1x- 1(k),α2x- 2(k)用の適応フィルタ
係数ベクトルh- 1(k+1),h- 2(k+1)による補償分とが等し
くなっている。また、式(25),(26)のw1,w2はw1:w2
1:(1/α2)であるから、それぞれ、x1(k),x 2(k)の電
力、α1x- 1(k),α2x- 2(k)の電力に反比例する重み付け
を行っている。
【0061】また、αが小さ過ぎる場合、式(25),(26)
のようにw1,w2を選ぶと、w2が非常に大きくなり、計算
が不安定になる場合がある。そこで、緩和係数βを導入
し、適応フィルタの更新式を次式のようにするとよい。
【0062】
【数10】
【0063】
【数11】
【0064】式(28),(29)により、適応フィルタを更新
した場合の計算機シミュレーション結果を入力がガウス
性白色雑音の場合及び男性音声の場合について図16A
及び16Bに示す。曲線(a) はh1(k),h2(k)に対するこ
の発明によるh∧1(k),h∧2(k)の正規化2乗誤差を表
し、曲線(b) はこの発明によるh- 1(k),h- 2(k)の正規化
2乗誤差を表す。曲線(c) はx1(k)+α1x- 1(k)及びx
2(k)+α2x- 2(k)を入力した場合の従来方法におけるh
1(k), h2(k)に対する適応フィルタh∧1(k),h∧2(k)の
正規化二乗誤差を示す。パラメータは、α=0.2,β=
0.7,μ=0.5 とし、適応フィルタ長は各1000タップと
し、SN比30dBとなるように音響エコーに雑音を加
えた。これより、付加信号用のh- 1(k),h- 2(k)の収束性
能が優れていることが分かる。
【0065】前述したこの発明の各実施例は通信会議シ
ステムにおけるエコー消去を例に説明したが、先に述べ
たように、この発明の原理はマイクロホンでピックアッ
プされた目的音響信号に重畳されたスピーカからの再生
音を除去することに効果を有するものである。従って、
それぞれがスピーカを含む複数の再生チャネルと、目的
音をピックアップするためのマイクロホンを含む少なく
とも1つのピックアップチャネルとが共通の音場に設け
られた音響システムにおいて、マイクロホンによりピッ
クアップされたスピーカからの再生音を消去することを
目的とするものであればどのようなシステムにもこの発
明を適用できる。
【0066】
【発明の効果】多チャネル音響エコー消去方法におい
て、従来提案されている受話信号に付加信号を加える前
処理を施す手法により、エコー消去性能を改善できる
が、聴感上の制約から付加信号を大きくできず、また、
エコー消去用の疑似エコーの生成において、受話信号と
付加信号の和である処理信号を用いていたため、付加信
号に含まれる重要な情報が、受話信号に埋もれてしま
い、エコー消去性能の改善量が制限されていた。
【0067】この発明方法においては、まず、適切な付
加信号を生成した後、エコー消去用の疑似エコーの生成
において、上記処理信号を利用する代わりに、受話信号
と付加信号とを個別に処理するようにしたため、付加信
号に含まれる重要な情報を容易に利用することができ
る。これにより、エコー消去用の疑似エコーを精度良く
生成できる。従って、従来方法に比べ、エコー消去性能
を改善する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の多チャネル音響エコー消去装置の機能構
成を示す図。
【図2】図1中のNチャネルエコーキャンセラ22m
機能構成を示す図。
【図3】従来の改良された多チャネル音響エコー消去装
置の機能構成を示す図。
【図4】図3中の前処理部30の具体的機能構成を示す
図。
【図5】この発明の原理的構成を示す図。
【図6】Aは原信号の波形例を示す図、Bは原信号の絶
対値波形を示す図、Cは絶対値信号を2個の零交差点毎
に符号反転して生成した信号波形例を示す図、Dは絶対
値信号を3個の零交差点毎に符号反転して生成した信号
波形の例を示す図。
【図7】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m の機
能的構成例を示す図。
【図8】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m の他
の機能構成例を示す図。
【図9】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m の他
の機能的構成例を示す図。
【図10】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m
更に他の機能構成例を示す図。
【図11】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m
更に他の機能構成例を示す図。
【図12】図5中の個別利用形エコーキャンセラ40m
更に他の機能構成例を示す図。
【図13】図11及び12における相関判定部430 の機
能構成例を示す図。
【図14】この発明をコンピュータで実施する場合の構
成を示す図。
【図15】この発明を2チャネル音響エコー消去装置に
適用した例の機能的構成を示す図。
【図16】Aは受話信号がガウス性白色雑音の場合の、
この発明の効果を示すためのシミュレーション実験結果
を示す図、Bは受話信号が男性音声の場合の、この発明
の効果を示すためのシミュレーション実験結果を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金田 豊 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−251084(JP,A) 特開 平9−181653(JP,A) 特開 平8−213940(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/23 H03H 21/00 H04M 1/60 H04R 3/02

Claims (51)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生音を出力するスピーカをそれぞれ含
    むN個の再生チャネルと、Nは2以上の整数であり、音
    響信号を集音するマイクロホンを含む少なくとも1つの
    ピックアップチャネルとを有し、N個の上記スピーカと
    上記マイクロホンが共通の音場に配置された音響システ
    ムにおける多チャネル音響エコー消去方法において、以
    下のステップを含む: (a) 上記N個の再生チャネルにそれぞれ入力された再生
    用信号に対しそれぞれ付加信号を生成し、 (b) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号と上記付
    加信号とを対応する再生チャネル毎に加算してそれぞれ
    の再生チャネルの処理信号を生成し、 (c) 上記N個の再生チャネルの上記処理信号を対応する
    再生チャネルの上記スピーカからそれぞれ再生し、 (d) 上記N個の再生チャネルのそれぞれの上記スピーカ
    から、上記ピックアップチャネルの上記マイクロホンへ
    回り込み合成された音響エコーを集音し、音響エコー信
    号として上記ピックアップチャネルに入力し、 (e) 上記N個の再生用信号と上記N個の付加信号に対し
    それぞれ個別の処理を行って上記ピックアップチャネル
    における上記音響エコー信号を模擬する疑似エコーを生
    成し、上記音響エコーから上記疑似エコーを差し引くこ
    とにより音響エコー消去を行う。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、上記ステップ
    (e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号をそれ
    ぞれN個の第1適応フィルタに入力し、上記N個の再生
    チャネルにそれぞれ対応する上記付加信号をそれぞれN
    個の第2適応フィルタに入力し、 (e-2) 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適
    応フィルタの出力の総和を求めて上記ピックアップチャ
    ネルに対する上記疑似エコーとし、 (e-3) 上記ピックアップチャネルに対する上記疑似エコ
    ーを上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号か
    ら差し引いて誤差を得ると共に音響エコー消去を行い、 (e-4) 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタ及び上記
    N個の第適応フィルタにフィードバックし、上記誤差
    と、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記
    付加信号に基づいて、上記N個の第1適応フィルタ及び
    上記N個の第2適応フィルタの係数を更新する。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法において、上記ステップ
    (e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号に対し
    それぞれ利得g11〜g1Nを与え、 (e-2) 上記N個の再生チャネルに対応する上記付加信号
    に対しそれぞれ利得g2 1〜g2Nを与え、上記付加信号に与
    える利得g21〜g2Nは各対応する再生チャネルの上記再生
    用信号に与える利得g11〜g1Nより大とされており、 (e-3) 上記利得が与えられた再生用信号と上記利得が与
    えられた付加信号とを対応する再生チャネル毎に加算し
    てN個の合成処理信号を生成し、 (e-4) 上記N個の合成処理信号をそれぞれN個の適応フ
    ィルタに入力し、 (e-5) 上記N個の適応フィルタの出力の総和を求め、そ
    の総和を上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信
    号に対する疑似エコーとし、 (e-6) 上記ピックアップチャネルに対する上記疑似エコ
    ーを上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号か
    ら差し引いて誤差を得ると共に音響エコー消去を行い、 (e-7) 上記誤差を上記N個の適応フィルタにフィードバ
    ックし、上記誤差と、上記N個の再生チャネルの上記利
    得が与えられた再生用信号及び上記利得が与えられた付
    加信号に基づいて、上記N個の適応フィルタのフィルタ
    係数を更新する。
  4. 【請求項4】 請求項1の方法において、上記ステップ
    (e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号をそれ
    ぞれN個の第1適応フィルタに入力し、上記N個の再生
    チャネルにそれぞれ対応する上記付加信号をそれぞれN
    個の第2適応フィルタに入力し、 (e-2) 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適
    応フィルタの出力の総和を求め、 (e-3) その総和を上記音響エコーから差し引いて誤差を
    得、 (e-4) 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタと上記N
    個の第2適応フィルタにフィードバックし、上記誤差
    と、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記
    付加信号に基づいて、上記N個の第1適応フィルタと上
    記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を更新し、 (e-5) 上記N個の再生チャネルの上記処理信号を対応す
    るN個のエコー消去用フィルタにそれぞれ入力し、 (e-6) 上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を、
    対応する再生チャネル毎に上記N個のエコー消去用フィ
    ルタに転送し、 (e-7) 上記N個のエコー消去用フィルタの出力の総和を
    上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号に対す
    る上記疑似エコーとして求め、 (e-8) 上記音響エコー信号から上記疑似エコーを減算
    して音響エコー消去を行う。
  5. 【請求項5】 請求項4の方法において、 上記ステップ(e-6) は上記N個の再生チャネルに対応す
    る上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を、対応
    する再生チャネルの上記N個の第1適応フィルタに転送
    するステップを含む。
  6. 【請求項6】 請求項4の方法において、更に上記N個
    の再生チャネルの全ての組の上記再生用信号間の相関の
    最大値を求め、所定値との大小を判定するステップを含
    み、 上記ステップ(e-6) は、上記相関最大値が上記所定値よ
    り大のときは、上記第2適応フィルタのフィルタ係数
    を、上記エコー消去用フィルタの対応するものに転送
    し、上記相関最大値が上記所定値より小さいときは、上
    記第1適応フィルタのフィルタ係数を、上記エコー消去
    用フィルタの対応するものに転送するステップを含む。
  7. 【請求項7】 請求項4の方法において、更に上記N個
    の再生チャネルの全ての組の再生用信号間の相関の最大
    値を求め、所定値との大小を判定するステップを含み、 上記ステップ(e-6) は、上記相関最大値が上記所定値よ
    り大のときは、上記第2適応フィルタのフィルタ係数
    を、上記エコー消去用フィルタと上記第1適応フィルタ
    の対応するものに転送し、上記相関最大値が上記所定値
    より小さいときは、上記第1適応フィルタのフィルタ係
    数を、上記エコー消去用フィルタと上記第2適応フィル
    タの対応するものに転送するステップを含む。
  8. 【請求項8】 請求項4,5,6又は7の方法におい
    て、上記ステップ(e-6) は上記ピックアップチャネル毎
    に、上記音響エコー信号の平均電力と、上記誤差の平均
    電力を求め、後者が前者より十分小さいと判定された場
    合に上記フィルタ係数の転送を実行するステップを含
    む。
  9. 【請求項9】 請求項8の方法において、上記判定は、
    上記誤差の平均電力と上記音響エコー信号の平均電力と
    の比が予め決めた値より小さい場合、上記誤差の平均電
    力が上記音響エコー信号の平均電力より十分小さいと判
    定する。
  10. 【請求項10】 請求項1,2,3,4,5,6又は7
    のいずれかに記載の方法において、上記ステップ(a) は
    上記N個の再生チャネルの全ての上記再生用信号と相互
    相関が零に近い低相互相関信号をN個生成し、これらを
    上記付加信号として用いる。
  11. 【請求項11】 請求項10の方法において、N個の上
    記低相互相関信号はその互いの相互相関が零に近いもの
    とされている。
  12. 【請求項12】 請求項10の方法において、N個の上
    記低相互相関信号を生成するステップは、それぞれの上
    記再生チャネルにおいて、上記再生用信号の絶対値をと
    り、予め決めた調整係数をそれぞれ乗じることにより、
    上記低相互相関信号を生成するステップである。
  13. 【請求項13】 請求項10の方法において、上記低相
    互相関信号を生成するステップは、各上記再生チャネル
    において、上記再生用信号の絶対値をとり絶対値信号と
    し、上記再生用信号の零クロス点を検出して計数し、そ
    れぞれの上記再生チャネルで異なる予め決めた計数値毎
    に、上記零クロス点と同期してそれぞれの再生チャネル
    の上記絶対値信号に正及び負の符号を交互に与えた後、
    予め決めた調整係数を乗じることにより、上記低相互相
    関信号を生成するステップである。
  14. 【請求項14】 請求項10の方法において、上記低相
    互相関信号生成ステップは、(a-1) 各上記再生チャネル
    における上記再生用信号の絶対値をとり、上記N個の再
    生チャネルに対応したN個の絶対値信号を生成し、(a-
    2) 上記N個の再生チャネルの内、1つの再生チャネル
    を選択し、(a-3) 上記選択した再生チャネルに対応する
    上記絶対値信号に対し、予め決めた非零の調整係数を乗
    算すると共に、その他の非選択再生チャネルに対応する
    上記絶対値信号に対し、零の調整係数をそれぞれ乗算
    し、(a-4) 上記ステップ(a-1)〜(a-3)を一定時間ごとに
    繰り返すことにより、上記N個の再生チャネルに対応す
    るN個の上記低相互相関信号を生成する。
  15. 【請求項15】 請求項2,4,5,6又は7のいずれ
    かに記載の方法において、上記フィルタ係数を更新する
    ステップは、上記N個の再生用信号を入力とする上記N
    個の第1適応フィルタの組と、上記N個の付加信号を入
    力とする上記N個の第2適応フィルタの組とに対し、異
    なる重み付けにより上記誤差をフィードバックし、上記
    第1及び第2適応フィルタのフィルタ係数を更新するス
    テップである。
  16. 【請求項16】 請求項15の方法において、上記異な
    る重み付けは、対応する各再生チャネルにおける上記再
    生用信号と上記付加信号との電力の大きさの違いに基づ
    き、電力の大きい上記再生用信号に対して、小さな重み
    係数を与え、電力の小さい上記各付加信号に対して、大
    きな重み係数を与えるステップである。
  17. 【請求項17】 請求項1,2,3,4,5,6又は7
    のいずれかに記載の方法において、上記N個の再生チャ
    ネルの上記再生用信号は、上記音場とは異なる地点から
    受信したNチャネルの受話信号であり、上記ピックアッ
    プチャネルの上記誤差は送話信号として上記異なる地点
    に送出される。
  18. 【請求項18】 再生音を出力するスピーカをそれぞれ
    含むN個の再生チャネルと、Nは2以上の整数であり、
    音響信号を集音するマイクロホンを含む少なくとも1つ
    のピックアップチャネルとを有し、N個の上記スピーカ
    と上記マイクロホンが共通の音場に配置された音響シス
    テムにおける多チャネル音響エコー消去装置において、 上記N個の再生チャネルにそれぞれ入力された再生用信
    号に対し付加信号を生成するN個の付加信号生成手段
    と、 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記付加
    信号を対応する再生チャネル毎に加算して処理信号をそ
    れぞれ生成するN個の処理信号生成手段と、 上記N個の再生チャネルにそれぞれ設けられ、それぞれ
    の再生チャネルの上記処理信号を再生し、再生音を出力
    するN個の上記スピーカと、 上記N個のスピーカから回り込み合成された音響エコー
    を集音し、音響エコー信号として上記ピックアップチャ
    ネルに入力する上記マイクロホンと、 上記N個の再生用信号と上記N個の付加信号に対しそれ
    ぞれ個別の処理を行って上記ピックアップチャネルに上
    記音響エコー信号を模擬する疑似エコーを生成し、上記
    音響エコー信号から上記疑似エコーを差し引くことによ
    り音響エコー消去を行う消去手段、とを含む。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の装置において、上
    記疑似エコーを生成し音響エコー消去を行う手段は以下
    を含む:上記ピックアップチャネルに対応して設けら
    れ、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号がそれぞ
    れ入力されるN個の第1適応フィルタと、 上記ピックアップチャネルに対応して設けられ、上記N
    個の再生チャネルに対応した上記付加信号がそれぞれ入
    力されるN個の第2適応フィルタと、 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適応フィ
    ルタの出力の総和を求めて上記疑似エコーとして出力す
    る加算手段と、 上記疑似エコーを上記ピックアップチャネルの上記音響
    エコー信号から差し引いて誤差を得ると共に音響エコー
    消去を行う手段と、 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第
    2適応フィルタにフィードバックし、上記誤差と、上記
    N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記付加信号
    とに基づいて、上記N個の第1適応フィルタと上記N個
    の第2適応フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ
    係数更新手段。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の装置において、上
    記疑似エコーを生成し音響エコー消去を行う手段は以下
    を含む:上記N個の再生チャネルの上記再生用信号に対
    しそれぞれ利得g11〜g1Nを与える第1乗算手段と、 上記N個の再生チャネルに対応する上記付加信号に対し
    それぞれ利得g21〜g2Nを与える第2乗算手段と、上記付
    加信号に与える利得g21〜g2Nは各対応する再生チャネル
    の上記再生用信号に与える利得g11〜g1Nより大とされて
    おり、 上記利得が与えられた再生用信号と上記利得が与えられ
    た付加信号とを対応する再生チャネル毎に加算してN個
    の合成処理信号を生成する合成手段と、 上記N個の合成処理信号がそれぞれ入力されるN個の適
    応フィルタと、 上記N個の適応フィルタの出力の総和を求め、その総和
    を上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号に対
    する疑似エコーとする加算手段と、 上記ピックアップチャネルに対する上記疑似エコーを上
    記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号から差し
    引いて誤差を得ると共に音響エコー消去を行う手段と、 上記誤差を上記N個の適応フィルタにフィードバック
    し、上記誤差と、上記N個の再生チャネルの上記利得が
    与えられた再生用信号及び上記利得が与えられた付加信
    号に基づいて、上記N個の適応フィルタのフィルタ係数
    を更新する手段。
  21. 【請求項21】 請求項18に記載の装置において、上
    記疑似エコーを生成し音響エコー消去を行う手段は以下
    を含む:上記ピックアップチャネルに対応して設けら
    れ、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号がそれぞ
    れ入力されるN個の第1適応フィルタと、 上記ピックアップチャネルに対応して設けられ、上記N
    個の再生チャネルに対応した上記付加信号がそれぞれ入
    力されるN個の第2適応フィルタと、 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適応フィ
    ルタの出力の総和を求めて出力する加算手段と、 上記総和を上記ピックアップチャネルの上記音響エコー
    信号から差し引いて誤差を得る手段と、 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第
    2適応フィルタにフィードバックし、上記誤差と、上記
    N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記付加信号
    とに基づいて、上記N個の第1適応フィルタと上記N個
    の第2適応フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ
    係数更新手段と、 N個の上記再生チャネルに対応して設けられ、対応する
    再生チャネルの上記処理信号が入力されるN個のエコー
    消去用フィルタと、 上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を対応する
    再生チャネル毎に上記N個のエコー消去用フィルタに転
    送する転送制御手段と、 上記N個のエコー消去用フィルタの出力の総和を上記疑
    似エコーとして求める手段と、 上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号から上
    記疑似エコーを減算して音響エコー消去を行う手段、と
    を含む。
  22. 【請求項22】 請求項21の装置において、上記転送
    制御手段は、各上記再生チャネルに対応する上記第2適
    応フィルタのフィルタ係数を、対応する再生チャネルの
    上記第1適応フィルタにも転送する。
  23. 【請求項23】 請求項21の装置において、更に、N
    個の上記再生チャネルの全ての組の上記再生用信号間の
    相関の最大値を求め、所定値との大小を判定する相関判
    定手段が設けられ、 上記転送制御手段は、上記相関最大値が上記所定値より
    大のときは、上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係
    数を、N個の上記エコー消去用フィルタの対応するもの
    に転送し、上記相関最大値が上記所定値より小さいとき
    は、上記N個の第1適応フィルタのフィルタ係数を、N
    個の上記エコー消去用フィルタの対応するものに転送す
    る手段である。
  24. 【請求項24】 請求項21の装置において、N個の上
    記再生チャネルの全ての組の上記再生用信号間の相関の
    最大値を求め所定値との大小を判定する相関判定手段が
    設けられ、 上記転送制御手段は、上記相関最大値が上記所定値より
    大のときは、上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係
    数を、上記N個のエコー消去用フィルタと上記N個の第
    1適応フィルタの対応するものに転送し、上記相関最大
    値が上記所定値より小さいときは、上記N個の第1適応
    フィルタのフィルタ係数を、上記N個のエコー消去用フ
    ィルタの対応するものに転送する手段である。
  25. 【請求項25】 請求項21,22,23又は24の装
    置において、上記ピックアップチャネルの上記音響エコ
    ー信号の平均電力と上記誤差の平均電力とを求める平均
    電力算出手段を含み、上記転送制御手段は上記誤差の平
    均電力が上記音響エコー信号の平均電力より十分小さい
    と判定された場合に上記フィルタ係数の転送を実行す
    る。
  26. 【請求項26】 請求項25の装置において、上記転送
    手段は、上記誤差の平均電力と上記音響エコー信号の平
    均電力との比が予め決めた値より小さい場合、上記誤差
    の平均電力が上記音響エコー信号の平均電力より十分小
    さいと判定する。
  27. 【請求項27】 請求項18,19,20,21,2
    2,23又は24のいずれかに記載の装置において、上
    記付加信号生成手段は、上記N個の再生チャネルの全て
    の上記再生用信号と相互相関が零に近いN個の低相互相
    関信号をN個の上記付加信号として生成する手段であ
    る。
  28. 【請求項28】 請求項27の装置において、上記付加
    信号生成手段はN個の上記低相互相関信号として互いの
    相互相関が零に近い低相互相関信号を生成する手段であ
    る。
  29. 【請求項29】 請求項27の装置において、N個の上
    記付加信号生成手段は、 上記再生チャネル毎に、その再生用信号の絶対値を求め
    る手段と、 その絶対値に予め決めた調整係数を乗じて上記付加信号
    とする手段、とを含む。
  30. 【請求項30】 請求項27の装置において、上記付加
    信号生成手段は、 上記再生チャネル毎に、その再生用信号の絶対値をとり
    絶対値信号を生成する手段と、 上記再生用信号の零クロス点を検出して計数する手段
    と、 それぞれの上記再生チャネルで異なる予め決めた計数値
    毎に、上記零クロス点と同期してそれぞれの再生チャネ
    ルの上記絶対値信号に正及び負の符号を交互に与える手
    段と、 上記符号が与えられた絶対値信号に予め決めた調整係数
    を乗じて上記付加信号とする手段、とを含む。
  31. 【請求項31】 請求項27の装置において、上記付加
    信号生成手段は、 一定時間毎に各上記再生チャネルにおける上記再生用信
    号の絶対値をとり、上記N個の再生チャネルに対応した
    絶対値信号を生成する手段と、 一定時間毎に上記N個の再生チャネルの内、任意に唯一
    つの再生チャネルを選択する毎に、その再生チャネルに
    ついては非零、その他の再生チャネルについては零、と
    なる調整係数を上記各絶対値に乗じて上記付加信号とす
    る手段、とを含む。
  32. 【請求項32】 請求項19,21,22,23又は2
    4のいずれかに記載の装置において、上記フィルタ係数
    更新手段は、上記再生用信号を入力とする上記N個の第
    1適応フィルタにフィードバックされる上記誤差と、上
    記付加信号を入力とする上記N個の第2適応フィルタに
    フィードバックされる上記誤差とに対し異なる重みを付
    ける重み付け手段を含む。
  33. 【請求項33】 請求項32の装置において、上記重み
    付け手段は、対応する各再生チャネルにおける上記再生
    用信号と上記付加信号との電力の大きさの違いに基づ
    き、電力の大きい上記再生用信号に対して小さな重み係
    数を与え、電力の小さい上記付加信号に対して、大きな
    重み係数を与える手段である。
  34. 【請求項34】 請求項18,19,20,21,2
    2,23又は24のいずれかに記載の装置において、上
    記N個の再生チャネルの上記再生用信号は、上記音場と
    は異なる地点から受信したNチャネルの受話信号であ
    り、上記ピックアップチャネルの上記誤差は送話信号と
    して上記異なる地点に送出される。
  35. 【請求項35】 再生音を出力するスピーカをそれぞれ
    含むN個の再生チャネルと、Nは2以上の整数であり、
    音響信号を集音するマイクロホンを含む少なくとも1つ
    のピックアップチャネルとを有し、N個の上記スピーカ
    と上記マイクロホンが共通の音場に配置された音響シス
    テムにおける多チャネル音響エコー消去をコンピュータ
    で実行するプログラムを記録した記録媒体であり、上記
    プログラムは以下のステップを含む: (a) 上記N個の再生チャネルにそれぞれ入力された再生
    用信号に対しそれぞれ付加信号を生成し、 (b) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号と上記付
    加信号とを対応する再生チャネル毎に加算してそれぞれ
    の再生チャネルの処理信号を生成し、 (c) 上記N個の再生チャネルの上記処理信号を対応する
    再生チャネルの上記スピーカからそれぞれ再生し、 (d) 上記N個の再生チャネルのそれぞれの上記スピーカ
    から、上記ピックアップチャネルの上記マイクロホンへ
    回り込み合成された音響エコーを集音し、音響エコー信
    号として上記ピックアップチャネルに入力し、 (e) 上記N個の再生用信号と上記N個の付加信号に対し
    それぞれ個別の処理を行って上記ピックアップチャネル
    における上記音響エコー信号を模擬する疑似エコーを生
    成し、上記音響エコーから上記疑似エコーを差し引くこ
    とにより音響エコー消去を行う。
  36. 【請求項36】 請求項35の記録媒体において、上記
    プログラムのステップ(e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号をそれ
    ぞれN個の第1適応フィルタに入力し、上記N個の再生
    チャネルにそれぞれ対応する上記付加信号をそれぞれN
    個の第2適応フィルタに入力し、 (e-2) 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適
    応フィルタの出力の総和を求めて上記ピックアップチャ
    ネルの上記疑似エコーとし、 (e-3) 上記ピックアップチャネルの上記疑似エコーを上
    記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号から差し
    引いて誤差を得ると共に音響エコー消去を行い、 (e-4) 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタ及び上記
    N個の第適応フィルタにフィードバックし、上記誤差
    と、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記
    付加信号に基づいて、上記N個の第1適応フィルタ及び
    上記N個の第2適応フィルタの係数を更新する。
  37. 【請求項37】 請求項35の記録媒体において、上記
    プログラムのステップ(e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号に対し
    それぞれ利得g11〜g1Nを与え、 (e-2) 上記N個の再生チャネルに対応する上記付加信号
    に対しそれぞれ利得g2 1〜g2Nを与え、上記付加信号に与
    える利得g21〜g2Nは各対応する再生チャネルの上記再生
    用信号に与える利得g11〜g1Nより大とされており、 (e-3) 上記利得が与えられた再生用信号と上記利得が与
    えられた付加信号とを対応する再生チャネル毎に加算し
    てN個の合成処理信号を生成し、 (e-4) 上記N個の合成処理信号をそれぞれN個の適応フ
    ィルタに入力し、 (e-5) 上記N個の適応フィルタの出力の総和を求め、そ
    の総和を上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信
    号に対する疑似エコーとし、 (e-6) 上記ピックアップチャネルに対する上記疑似エコ
    ーを上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号か
    ら差し引いて誤差を得ると共に音響エコー消去を行い、 (e-7) 上記誤差を上記N個の適応フィルタにフィードバ
    ックし、上記誤差と、上記N個の再生チャネルの上記利
    得が与えられた再生用信号及び上記利得が与えられた付
    加信号に基づいて、上記N個の適応フィルタのフィルタ
    係数を更新する。
  38. 【請求項38】 請求項35の記録媒体において、上記
    プログラムのステップ(e) は以下のステップを含む: (e-1) 上記N個の再生チャネルの上記再生用信号をそれ
    ぞれN個の第1適応フィルタに入力し、上記N個の再生
    チャネルにそれぞれ対応する上記付加信号をそれぞれN
    個の第2適応フィルタに入力し、 (e-2) 上記N個の第1適応フィルタと上記N個の第2適
    応フィルタの出力の総和を求め、 (e-3) その総和を上記音響エコーから差し引いて誤差を
    得、 (e-4) 上記誤差を上記N個の第1適応フィルタと上記N
    個の第2適応フィルタにフィードバックし、上記誤差
    と、上記N個の再生チャネルの上記再生用信号及び上記
    付加信号に基づいて、上記N個の第1適応フィルタと上
    記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を更新し、 (e-5) 上記N個の再生チャネルの上記処理信号を対応す
    るN個のエコー消去用フィルタにそれぞれ入力し、 (e-6) 上記N個の第2適応フィルタのフィルタ係数を、
    対応する再生チャネル毎に上記N個のエコー消去用フィ
    ルタに転送し、 (e-7) 上記N個のエコー消去用フィルタの出力の総和を
    上記ピックアップチャネルの上記音響エコー信号に対す
    る上記疑似エコーとして求め、 (e-8) 上記音響エコー信号から上記疑似エコーを減算
    して音響エコー消去を行う。
  39. 【請求項39】 請求項38の記録媒体において、上記
    プログラムの上記ステップ(e-6) は上記N個の再生チャ
    ネルに対応する上記N個の第2適応フィルタのフィルタ
    係数を、対応する再生チャネルの上記N個の第1適応フ
    ィルタに転送するステップを含む。
  40. 【請求項40】 請求項38の記録媒体において、上記
    プログラムは更に、上記N個の再生チャネルの全ての組
    の上記再生用信号間の相関の最大値を求め、所定値との
    大小を判定するステップを含み、 上記ステップ(e-6) は、上記相関最大値が上記所定値よ
    り大のときは、上記第2適応フィルタのフィルタ係数
    を、上記エコー消去用フィルタの対応するものに転送
    し、上記相関最大値が上記所定値より小さいときは、上
    記第1適応フィルタのフィルタ係数を、上記エコー消去
    用フィルタの対応するものに転送するステップを含む。
  41. 【請求項41】 請求項38の記録媒体において、上記
    プログラムは更に上記N個の再生チャネルの全ての組の
    再生用信号間の相関の最大値を求め所定値との大小を判
    定するステップを含み、 上記ステップ(e-6) は、上記相関最大値が上記所定値よ
    り大のときは、上記第2適応フィルタのフィルタ係数
    を、上記エコー消去用フィルタと上記第1適応フィルタ
    の対応するものに転送し、上記相関最大値が上記所定値
    より小さいときは、上記第1適応フィルタのフィルタ係
    数を、上記エコー消去用フィルタと上記第2適応フィル
    タの対応するものに転送するステップを含む。
  42. 【請求項42】 請求項38,39,40,又は41の
    記録媒体において、上記ステップ(e-6) は、上記ピック
    アップチャネル毎に、上記音響エコー信号の平均電力
    と、上記誤差の平均電力を求め、後者が前者より十分小
    さいと判定された場合に上記フィルタ係数の転送を実行
    するステップを含む。
  43. 【請求項43】 請求項42の記録媒体において、上記
    判定は、上記誤差の平均電力と上記音響エコー信号の平
    均電力との比が予め決めた値より小さい小さい場合、上
    記誤差の平均電力が上記音響エコー信号の平均電力より
    十分小さいと判定する。
  44. 【請求項44】 請求項35,36,37,38,3
    9,40又は41のいずれかに記載の記録媒体におい
    て、上記プログラムの上記ステップ(a) は上記N個の再
    生チャネルの全ての上記再生用信号と相互相関が零に近
    い低相互相関信号をN個生成し、これらを上記付加信号
    として用いる。
  45. 【請求項45】 請求項44の記録媒体において、上記
    プログラムの上記ステップ(a) は、N個の上記低相互相
    関信号を互いの相互相関が零に近いものとするステップ
    を含む。
  46. 【請求項46】 請求項44の記録媒体において、上記
    プログラムの上記ステップ(a) は、それぞれの上記再生
    チャネルにおいて、上記再生用信号の絶対値をとり、予
    め決めた調整係数をそれぞれ乗じることにより、上記低
    相互相関信号を生成するステップを含む。
  47. 【請求項47】 請求項44の記録媒体において、上記
    低相互相関信号を生成するステップは、各上記再生チャ
    ネルにおいて、上記再生用信号の絶対値をとり絶対値信
    号とし、上記再生用信号の零クロス点を検出して計数
    し、それぞれの上記再生チャネルで異なる予め決めた計
    数値毎に、上記零クロス点と同期してそれぞれの再生チ
    ャネルの上記絶対値信号に正及び負の符号を交互に与え
    た後、予め決めた調整係数を乗じることにより、上記低
    相互相関信号を生成するステップである。
  48. 【請求項48】 請求項44の記録媒体において、上記
    プログラムの上記低相互相関信号を生成するステップ
    は、(a-1) 各上記再生チャネルにおける上記再生用信号
    の絶対値をとり、上記N個の再生チャネルに対応したN
    個の絶対値信号を生成し、(a-2) 上記N個の再生チャネ
    ルの内、1つの再生チャネルを選択し、(a-3) 上記選択
    した再生チャネルに対応する上記絶対値信号に対し、予
    め決めた非零の調整係数を乗算すると共に、その他の非
    選択再生チャネルに対応する上記絶対値信号に対し、零
    の調整係数をそれぞれ乗算し、(a-4) 上記ステップ(a-
    1)〜(a-3)を一定時間ごとに繰り返すことにより、上記
    N個の再生チャネルに対応するN個の上記低相互相関信
    号を生成する。
  49. 【請求項49】 請求項36,38,39,40又は4
    1のいずれかに記載の記録媒体において、上記プログラ
    ムの上記フィルタ係数を更新するステップは、上記再生
    用信号を入力とする上記第N個の1適応フィルタと、上
    記N個の付加信号を入力とする上記第2適応フィルタと
    に対し、異なる重み付けにより上記誤差をフィードバッ
    クし、上記第1及び第2適応フィルタのフィルタ係数を
    更新するステップである。
  50. 【請求項50】 請求項49の記録媒体において、上記
    プログラムの上記異なる重み付けは、対応する各再生チ
    ャネルにおける上記再生用信号と上記付加信号との電力
    の大きさの違いに基づき、電力の大きい上記再生用信号
    に対して、小さな重み係数を与え、電力の小さい上記各
    付加信号に対して、大きな重み係数を与えるステップで
    ある。
  51. 【請求項51】 請求項35,36,37,38,3
    9,40又は41のいずれかに記載の記録媒体におい
    て、上記プログラムの上記N個の再生チャネルの上記再
    生用信号は、上記音場とは異なる地点から受信したNチ
    ャネルの受話信号であり、上記ピックアップチャネルの
    上記誤差は送話信号として上記異なる地点に送出され
    る。
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