JP3066151B2 - 腹水の処理装置 - Google Patents
腹水の処理装置Info
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Description
ンプを使用せず、落差のみによって腹水を瀘過・濃縮す
ることのできる装置に関する。
から抜き取った腹水を、瀘過器で癌細胞や細菌などの有
害成分を除去した後、生体にとって有用な蛋白質を濃縮
器で濃縮し、患者に点滴静注して戻す治療法が広く行な
われるようになってきた。
の取り出しポンプに接続された濾過器と、上記濾過器で
濾過された腹水を濃縮する濃縮器からなる腹水処理装置
が知られている(例えば、特開昭51−140387号
など)。
および濃縮器の保持装置、処理回路の圧力モニター、警
報装置などを備えている。さらに、ポンプの採取速度を
生体の腹水排出能力にあわせて自動的に制御できる機構
を備え、患者から腹水を採取しながら、連続的に処理を
行うような装置も提案されている。
は、重量が大きく持ち運びが容易でないので、緊急の際
に装置を移動させて、手軽にかつ安全に腹水処理を行う
ことは困難であった。このような装置を使用する場合、
装置の安全な使用方法を熟知した上で、腹水処理回路の
装着やポンプの操作を行う必要がある。さらに、腹水の
処理中に装置の監視を行う必要があるため、患者の治療
と看護に極めて多忙な医師や看護婦が操作するには、負
担の大きいことも問題であった。また、従来の装置の場
合、濾過膜の目づまり等により膜間圧力差が上昇する
と、腹水中に血液が混入している場合は溶血を引き起こ
し、濾過・濃縮した腹水を患者に返還することが不能と
なることがあった。
装置の問題を解決した、緊急の場合に容易に対応するこ
とができ、かつ習熟者でなくても安全に実施可能な、腹
水の処理装置を提供することである。
を解決するために鋭意研究を行なった結果、患者から採
取された腹水の入った腹水貯留バッグ、瀘過器、濃縮
器、腹水回収用バッグをこの順で連結し、かつこの順で
高低差があるように設置することにより、ポンプを使用
することなく、落差による重力差の作用により腹水を処
理することが可能であることを見出し、さらに検討した
結果、本発明に到達したものである。
水貯留バッグから順次高低差を有するように、瀘過器、
濃縮器、腹水回収用バッグを導管を介してこの順序で連
結し、かつ該濃縮器から排出される回収腹水導出管に流
量調節手段を設けるとともに、該腹水貯留バッグから導
出される腹水を落差によって瀘過・濃縮するよう構成し
たことを特徴とする腹水の処理装置である。
する。図1,図2は本発明の腹水の処理装置の説明図で
あり、採取された腹水の入った腹水貯留バッグ1、濾過
器3、濃縮器5、腹水回収用バック7は導管で連結一体
化されている。落差による重力差の作用により腹水の濾
過・濃縮を行うために、腹水貯留バッグ1から順次低い
位置に濾過器3、濃縮器5、腹水回収用バック7を設置
している。
瀘過器、瀘過器と濃縮器、濃縮器と腹水回収用バッグお
よび廃液バッグとの間に高低差を設けることである。最
上部に設ける腹水貯留バッグと最下部に設ける腹水回収
バッグの高低差は、病院の室内では通常2.5m以下で
ある。処理速度を高めるために病院内で容易に利用でき
るアスピレータなどを利用して、濃縮器から瀘過液を排
出する部分に陰圧を負荷してもよい。
ばアルブミン、グロブリン等の蛋白質は通過させるが、
細菌や癌細胞のような有害物質を通過させず、しかも目
づまりを起こしにくい中空糸が使用される。特に、内圧
循環法で測定した450オングストロームの粒子の阻止
率が93%以下であり、かつ2000オングストローム
の粒子の阻止率が97%以上である多孔性の中空糸を内
蔵した濾過器が好ましく用いられる。450オングスト
ロームの粒子の阻止率が93%以上の中空糸を内蔵した
瀘過器を使用した場合には、瀘過速度が遅くなり、実用
上好ましくない。
性のある強度および耐圧性を有する中空糸を工業的に製
造することができ、滅菌が可能であるという点で、ポリ
スルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニ
ルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体な
どが好ましく使用できる。
式および内圧方式のいずれも使用することができる。こ
こでいう外圧方式とは、瀘過すべき液体を中空糸の外側
から中空糸の内側へ向かって流す方式であり、内圧方式
とは、瀘過すべき液体を中空糸の内側から中空糸の外側
へ向かって流す方式である。
能が、分子量6.7万のアルブミンはほとんど透過しな
いが、水およびそれに溶解した電解質を透過するもので
あれば、その素材、形状に特に制限はないが、通常、中
空糸が好ましく使用できる。また、濃縮膜の素材として
は、実用性のある強度および耐圧性を有する濃縮膜を得
ることができることから、ポリスルフォン、ポリアクリ
ロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニ
ルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体な
どが好ましく使用できる。
腹水の流量を停止および調節できるものであればよい。
該流量調節手段としては、構造が簡単で安価であるこ
と、医師や看護婦が日常使い慣れていること、医療用材
料として安全であることなどの観点から、点滴回路など
に組み込まれて使用されているローラークランプが好ま
しく使用できる。この流量調節手段で、回収腹水の流量
と限外瀘過液の流量のバランスを変えることにより、回
収腹水の蛋白濃度を簡便に調整することができる。
法としては、例えば、腹水回収用バッグと廃液バッグに
容量を示す目盛りを付けておいて、回収腹水の容量と限
外瀘過液の容量とを時々見ながら流量調節手段を調節す
る方法、腹水回収用バッグと廃液バッグをそれぞれ秤に
乗せておいて、それらの重量を時々見ながら流量調節手
段を調節する方法などがあげられる。その他の方法とし
ては、濃縮器で濃縮された回収腹水を腹水回収用バッグ
に導く導管6、および濃縮器から限外瀘過液を廃液バッ
グに導く導管8の途中に、それぞれドリップチャンバー
11、12を設け、これらのドリップチャンバーの滴下
速度を見ながら流量調節手段を調節する方法もある。医
師、看護婦は職業がらドリップチャンバーの滴下速度で
流量を瞬時に判読することに習熟しているのでこの方法
は実用的な方法である。さらに、図2に示すように濃縮
器を外圧方式で使用する場合、例えば、濃縮器のモジュ
ール筒に容量を示す目盛りを付けておき、通常、流量調
節手段を閉じて使用し、所定容量の回収腹水が濃縮器の
モジュール筒と中空糸との間に溜るごとに、流量調節手
段を開いて回収腹水を腹水回収用バッグに採取する方法
もあげられる。
は、患者から採取した腹水または回収腹水を無菌的に貯
留することができるものであって、患者から採取した腹
水および回収腹水を変成させたり、これらの中へ有害な
物質が溶出しないもので、滅菌可能なものであれば、そ
の素材および形状に制限はない。軟質塩ビ製の血液バッ
グの場合、内容量が落差による圧力差よって容易に変化
することから、バックが圧力差に影響を及ぼすことが少
なく、高低差がそのまま瀘過器または濃縮器にかかる圧
力差に比例するので、通常好ましく使用できる。
ができるものであれば、素材および形状に制限はない。
通常、軟質塩ビ製の血液バッグが好ましく使用できる。
回収腹水を変成させたり、これらの中へ有害な物質を溶
出しないものであり、滅菌することが可能なものであれ
ば、その素材および形状に制限はない。通常、塩ビ製の
血液回路が安全性の観点から好ましく使用できる。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1、2 図3に示すような腹水の処理装置を使用して、疑似腹水
を処理した。腹水貯留バッグ、腹水回収用バッグ、廃液
バッグには、市販の塩ビ製の血液バッグを使用した。各
導管は市販の塩ビ製の血液回路の一部を使用した。ドリ
ップチャンバーおよびローラークランプも市販の点滴回
路に付属のものを使用した。瀘過器は、内圧循環法で測
定した450オングストロームの粒子の阻止率と、20
00オングストロームの粒子の阻止率がそれぞれ、79
%、100%(実施例1)、0.8%、99%(実施例
2)であるポリスルホン製の中空糸を、膜面積0.6m
↑2内蔵したものを使用した。濃縮器はアルブミンの阻
止率が99%、分子量5000のイヌリンの透過率が9
6%のポリスルフォン製の中空糸を、膜面積1.3m↑2
内蔵したものを使用した。疑似腹水には総蛋白質濃度が
3.0g/dlの牛血漿を使用した。落差は腹水貯留バッグ
と瀘過器の間を70cm、瀘過器と濃縮器の間を70cm、
濃縮器と腹水回収用バッグとの間を30cmとした。
13を生理食塩水14側に開き、回路の内部と瀘過器お
よび濃縮器の中空糸の内外を生理食塩水で洗浄した。次
に三方コックを腹水貯留バッグ側に開き、疑似腹水を流
した。濃縮器から出てくる回収腹水と限外瀘過液の流量
の設定は、目視でローラークランプを調節して行なっ
た。疑似腹水が無くなった時点で実験を終了し、腹水の
処理に要した処理時間、回収腹水液量、回収腹水液の総
蛋白質濃度を測定し、総蛋白質回収率を計算により求め
た。これらの結果を表1に示す。
施例1では処理時間は75分、実施例2では処理時間4
5分で処理することができ、腹水処理治療の現場で望ま
れている2時間以内の処理時間を達成している。また総
蛋白質回収率は87%以上であり、腹水処理用として十
分使用できるものであった。
理装置はポンプを使用しないため、どのような場所でも
手軽にかつ安全に処理を行うことができる。また、ポン
プ等を装備した特別な処理装置を購入する必要がないの
で、経済的である。さらに、落差による重力の作用によ
り、腹水の濾過・濃縮を行うため、処理回路に過度の圧
力がかかることがなく、腹水中に血液が混入している場
合でも、溶血することなく安全に処理することが可能で
ある。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 上部に設けた腹水貯留バッグから順次高
低差を有するように、瀘過器、濃縮器、腹水回収用バッ
グを導管を介してこの順序で連結し、かつ該濃縮器から
排出される回収腹水導出管に流量調節手段を設けるとと
もに、該腹水貯留バッグから導出される腹水を落差によ
って瀘過・濃縮するよう構成したことを特徴とする腹水
の処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3323685A JP3066151B2 (ja) | 1991-11-11 | 1991-11-11 | 腹水の処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3323685A JP3066151B2 (ja) | 1991-11-11 | 1991-11-11 | 腹水の処理装置 |
Publications (2)
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JPH05168699A JPH05168699A (ja) | 1993-07-02 |
JP3066151B2 true JP3066151B2 (ja) | 2000-07-17 |
Family
ID=18157459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3323685A Expired - Lifetime JP3066151B2 (ja) | 1991-11-11 | 1991-11-11 | 腹水の処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3066151B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009284936A (ja) * | 2008-05-27 | 2009-12-10 | Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd | 腹水処理回路及び腹水処理回路と腹水処理器の接続方法 |
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WO2013176140A1 (ja) * | 2012-05-25 | 2013-11-28 | 旭化成メディカル株式会社 | 高濃度タンパク質溶液の製造方法及び製造装置 |
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-
1991
- 1991-11-11 JP JP3323685A patent/JP3066151B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2009284936A (ja) * | 2008-05-27 | 2009-12-10 | Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd | 腹水処理回路及び腹水処理回路と腹水処理器の接続方法 |
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