JP2901237B2 - 2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸とその製法及びその誘導体の製法。 - Google Patents
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸とその製法及びその誘導体の製法。Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、農薬、感光材料
及び液晶材料等の中間原料として有用な、新規化合物で
ある2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオ
ロ安息香酸及びその製法、並びに、テトラフルオロアン
トラニル酸の製法に関する。
及び液晶材料等の中間原料として有用な、新規化合物で
ある2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオ
ロ安息香酸及びその製法、並びに、テトラフルオロアン
トラニル酸の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラフルオロ無水フタル酸(以下、F
4PAhと略称することがある)の合成法としては、英
国特許番号第986892号公報などに次式に示すよ
うに、テトラフルオロフタル酸(以下、F4PAと略称
することがある)を無水トリフルオロ酢酸により脱水す
る方法が提案されている。
4PAhと略称することがある)の合成法としては、英
国特許番号第986892号公報などに次式に示すよ
うに、テトラフルオロフタル酸(以下、F4PAと略称
することがある)を無水トリフルオロ酢酸により脱水す
る方法が提案されている。
【0003】
【化1】
【0004】しかしながら上記の無水トリフルオロ酢酸
は高価である上、生成するトリフルオロ酢酸が腐蝕性の
強い物質であるという問題点があり、工業的に実施する
のは困難であった。
は高価である上、生成するトリフルオロ酢酸が腐蝕性の
強い物質であるという問題点があり、工業的に実施する
のは困難であった。
【0005】テトラフルオロアントラニル酸(以下、F
4AAと略称することがある)の合成法としては、次式
に示すようにテトラフルオロフタルイミドのホフマン
転位反応による方法が提案されている〔英国特許番号第
986892号及び”日本化学会誌”1972、第20
2〜204頁〕。
4AAと略称することがある)の合成法としては、次式
に示すようにテトラフルオロフタルイミドのホフマン
転位反応による方法が提案されている〔英国特許番号第
986892号及び”日本化学会誌”1972、第20
2〜204頁〕。
【0006】
【化2】 しかし上記の方法では、原料のテトラフルオロフタルイ
ミドの合成に当って、次式に示すようにF4PAhと
アンモニアとを280℃程度の高温に加熱して反応させ
る方法(英国特許番号第986892号)、又は、次式
に示すようにテトラフルオロフタロニトリルを濃硫酸
中で加水分解反応させる方法[”日本化学会誌”197
2、第202〜204頁]によっており、
ミドの合成に当って、次式に示すようにF4PAhと
アンモニアとを280℃程度の高温に加熱して反応させ
る方法(英国特許番号第986892号)、又は、次式
に示すようにテトラフルオロフタロニトリルを濃硫酸
中で加水分解反応させる方法[”日本化学会誌”197
2、第202〜204頁]によっており、
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】 式の反応の場合、高温下、原料のF4PAhを溶融し
反応を行うため、反応終了後固化した反応混合物より生
成物を取り出すのが困難であり、アミノトリフルオロフ
タルイミド等の副生成物の混入を避けるのがむずかし
い。また式の反応の場合、反応終了後濃硫酸性の反応
液を多量の氷水中に注ぐことにより目的とする生成物の
結晶を得ているが、これらを工業的に実施するのは容易
でない。また、2,3,4,5−テトラフルオロアニリ
ン(以下、F4Anと略称することがある)の合成法と
しては、英国特許番号第1237364号公報に次式
及びに示すように、1,2,3,4−テトラフルオロ
ベンゼンをニトロ化して2,3,4,5−テトラフルオ
ロニトロベンゼンを得、次いでこれを濃塩酸中で錫と接
触させて還元してF4Anを得る方法が提案されてい
る。
反応を行うため、反応終了後固化した反応混合物より生
成物を取り出すのが困難であり、アミノトリフルオロフ
タルイミド等の副生成物の混入を避けるのがむずかし
い。また式の反応の場合、反応終了後濃硫酸性の反応
液を多量の氷水中に注ぐことにより目的とする生成物の
結晶を得ているが、これらを工業的に実施するのは容易
でない。また、2,3,4,5−テトラフルオロアニリ
ン(以下、F4Anと略称することがある)の合成法と
しては、英国特許番号第1237364号公報に次式
及びに示すように、1,2,3,4−テトラフルオロ
ベンゼンをニトロ化して2,3,4,5−テトラフルオ
ロニトロベンゼンを得、次いでこれを濃塩酸中で錫と接
触させて還元してF4Anを得る方法が提案されてい
る。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】 なお、出発原料の1,2,3,4−テトラフルオロベン
ゼンは、F4PAの脱炭酸反応により得られることが知
られている。[”J.Chem.Soc.”,196
1,第1576頁;特開昭61−43130号公報;
等]。しかし上記の方法では、特にニトロ化工程(式
)において濃硫酸と濃硝酸との混液という極めて酸化
力の強いものを用いる上、原料及び生成物からのフッ素
の脱離及びフッ化水素酸の発生という問題もあって、工
業的実施に当っては、反応装置の材質の選択やフッ化水
素酸の大気中への放散防止など困難な問題がある。
ゼンは、F4PAの脱炭酸反応により得られることが知
られている。[”J.Chem.Soc.”,196
1,第1576頁;特開昭61−43130号公報;
等]。しかし上記の方法では、特にニトロ化工程(式
)において濃硫酸と濃硝酸との混液という極めて酸化
力の強いものを用いる上、原料及び生成物からのフッ素
の脱離及びフッ化水素酸の発生という問題もあって、工
業的実施に当っては、反応装置の材質の選択やフッ化水
素酸の大気中への放散防止など困難な問題がある。
【0011】
【発明の解決しようとする問題点】本発明者等は、従来
技術が有していた前述の問題点を解消すべく検討を行っ
た結果、F4PAを、該F4PA及びF4PAhに対し
て不活性な有機溶媒の存在下に加熱するだけで容易に脱
水してF4PAhを得た。
技術が有していた前述の問題点を解消すべく検討を行っ
た結果、F4PAを、該F4PA及びF4PAhに対し
て不活性な有機溶媒の存在下に加熱するだけで容易に脱
水してF4PAhを得た。
【0012】このF4PAhを出発原料として用い、こ
れに水性溶媒中でアンモニアを作用させた後、水酸化ナ
トリウム等のアルカリ性物質と反応させることにより、
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸塩が得られ、次いでこれに次亜ハロゲン酸塩とア
ルカリ性物質とを加えてホフマン転位反応させることに
より容易にテトラフルオロアントラニル酸塩(以下、F
4AA塩と略称することがある)とすることができ、こ
れを酸で遊離化することによりF4AAを単離すること
ができた。
れに水性溶媒中でアンモニアを作用させた後、水酸化ナ
トリウム等のアルカリ性物質と反応させることにより、
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸塩が得られ、次いでこれに次亜ハロゲン酸塩とア
ルカリ性物質とを加えてホフマン転位反応させることに
より容易にテトラフルオロアントラニル酸塩(以下、F
4AA塩と略称することがある)とすることができ、こ
れを酸で遊離化することによりF4AAを単離すること
ができた。
【0013】また、2−カルバモイル−3,4,5,6
−テトラフルオロ安息香酸塩(以下、F4CBA塩と略
称することがある)を酸により遊離化させることにより
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸(以下、F4CBAと略称することがある)を生
成させ得ることも見出した。なお、該2−カルバモイル
−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸及びその塩
については”Chem.Abstract”にも記載が
なく新規物質である。
−テトラフルオロ安息香酸塩(以下、F4CBA塩と略
称することがある)を酸により遊離化させることにより
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸(以下、F4CBAと略称することがある)を生
成させ得ることも見出した。なお、該2−カルバモイル
−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸及びその塩
については”Chem.Abstract”にも記載が
なく新規物質である。
【0014】
【問題点を解決するための手段】本発明は、先ず、
【0015】テトラフルオロフタル酸を、該テトラフル
オロフタル酸可溶性であって且つテトラフルオロフタル
酸及びテトラフルオロ無水フタル酸に対して不活性な有
機溶媒の存在下に加熱してテトラフルオロ無水フタル酸
を得、
オロフタル酸可溶性であって且つテトラフルオロフタル
酸及びテトラフルオロ無水フタル酸に対して不活性な有
機溶媒の存在下に加熱してテトラフルオロ無水フタル酸
を得、
【0016】テトラフルオロ無水フタル酸にアンモニア
を反応させた後、アルカリ性物質と反応させることによ
り2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ
安息香酸塩を得、次いでこれに次亜ハロゲン酸塩及びア
ルカリ性物質を反応させてなることを特徴とするテトラ
フルオロアントラニル酸の製法、に関し、さらに、
を反応させた後、アルカリ性物質と反応させることによ
り2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ
安息香酸塩を得、次いでこれに次亜ハロゲン酸塩及びア
ルカリ性物質を反応させてなることを特徴とするテトラ
フルオロアントラニル酸の製法、に関し、さらに、
【0017】テトラフルオロ無水フタル酸にアンモニア
を反応させた後、アルカリ性物質と反応させてなること
を特徴とする2−カルバモイル−3,4,5,6−テト
ラフルオロ安息香酸の製法、および、新規物質である該
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸、に関するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
を反応させた後、アルカリ性物質と反応させてなること
を特徴とする2−カルバモイル−3,4,5,6−テト
ラフルオロ安息香酸の製法、および、新規物質である該
2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安
息香酸、に関するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0018】脱水反応工程(A) 本発明方法は先ず、F4PAを、該F4PA及び反応生
成物たるF4PAhに対して不活性な有機溶媒の存在下
に加熱して次式のように脱水反応を起させ、F4PA
hを合成する。
成物たるF4PAhに対して不活性な有機溶媒の存在下
に加熱して次式のように脱水反応を起させ、F4PA
hを合成する。
【0019】
【化7】 本発明において、「F4PA及びF4PAhに対して不
活性」とは、溶媒がF4PA及びF4PAhに対して付
加反応、縮合反応、エステル交換反応等のF4PAh生
成にとって不都合な反応を起こさないことを意味する。
活性」とは、溶媒がF4PA及びF4PAhに対して付
加反応、縮合反応、エステル交換反応等のF4PAh生
成にとって不都合な反応を起こさないことを意味する。
【0020】このような有機溶媒としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、シメン
等の芳香族炭化水素が好適である。これらのうち、水と
共沸性を有し、且つ、高い脱水反応速度維持性と溶媒除
去性に優れた沸点100〜160℃の芳香族炭化水素
(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメ
ン)が特に好ましい。
れるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、シメン
等の芳香族炭化水素が好適である。これらのうち、水と
共沸性を有し、且つ、高い脱水反応速度維持性と溶媒除
去性に優れた沸点100〜160℃の芳香族炭化水素
(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメ
ン)が特に好ましい。
【0021】これら溶媒の使用量としては必ずしも限定
されるものではないが、好ましくは出発原料であるF4
PAを反応工程(A)の反応温度において溶解し得る量
の上記の如き有機溶媒を用いるのが好ましく、通常、F
4PA1gに対して例えば、0.5〜20ml、特には
1〜5ml程度の量を例示することができる。
されるものではないが、好ましくは出発原料であるF4
PAを反応工程(A)の反応温度において溶解し得る量
の上記の如き有機溶媒を用いるのが好ましく、通常、F
4PA1gに対して例えば、0.5〜20ml、特には
1〜5ml程度の量を例示することができる。
【0022】この工程(A)の反応はこれらの溶媒の加
熱還流下で行うのがよく、反応系内より水が留出しなく
なった時点を終点とすればよい。反応条件は、用いる溶
媒によってきまり、一般に反応温度60〜200℃、好
ましくは80〜150℃、反応時間1〜10時間である
が、例えば溶媒としてトルエンを用いた場合には、反応
温度約90〜110℃、反応時間約4時間である。反応
終了後、反応系より溶媒を留去することにより、F4P
Ahを得ることができる。また、溶媒としてトルエンを
用いた場合には、F4PAhのトルエンに対する溶解度
が低いため、反応終了後反応系を冷却し、析出した結晶
を濾過し乾燥するだけで高純度のF4PAhを高収率で
得ることができる。
熱還流下で行うのがよく、反応系内より水が留出しなく
なった時点を終点とすればよい。反応条件は、用いる溶
媒によってきまり、一般に反応温度60〜200℃、好
ましくは80〜150℃、反応時間1〜10時間である
が、例えば溶媒としてトルエンを用いた場合には、反応
温度約90〜110℃、反応時間約4時間である。反応
終了後、反応系より溶媒を留去することにより、F4P
Ahを得ることができる。また、溶媒としてトルエンを
用いた場合には、F4PAhのトルエンに対する溶解度
が低いため、反応終了後反応系を冷却し、析出した結晶
を濾過し乾燥するだけで高純度のF4PAhを高収率で
得ることができる。
【0023】カルバモイル化反応工程(B) 本発明方法は、次いで前記工程(A)で得られたF4P
Ahを出発原料とし、例えば水溶媒中でこれにアンモニ
アを反応させた後、アルカリ性物質を反応させることに
よって次式のごとくF4CBA塩を合成する。
Ahを出発原料とし、例えば水溶媒中でこれにアンモニ
アを反応させた後、アルカリ性物質を反応させることに
よって次式のごとくF4CBA塩を合成する。
【0024】
【化8】 この反応におけるアンモニアの使用量はF4PAh1モ
ルに対して、理論的には1モルであるが、通常1〜5モ
ル、好ましくは1〜2モル、特に好ましくは1.0〜
1.1モル用いるのがよい。
ルに対して、理論的には1モルであるが、通常1〜5モ
ル、好ましくは1〜2モル、特に好ましくは1.0〜
1.1モル用いるのがよい。
【0025】また前記のアルカリ性物質としては、この
反応工程(B)の反応を阻害しないものであれば特に制
限されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;例えば、水
酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属
の水酸化物;例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、リン酸正ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、
リン酸二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸一水素
ナトリウム等の無機酸または有機酸の金属塩であって、
その水溶液がアルカリ性を呈するもの;アンモニア;例
えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエ
タノールアミン等のN−H結合を有しないモノアミン
類;例えば、N,N,N’N’−テトラメチルエチレン
ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメ
チレンジアミン等のN−H結合を有しないジアミン類;
例えば、アミジン、グアニジン等のその他のアルカリ性
有機化合物等を例示することができる。
反応工程(B)の反応を阻害しないものであれば特に制
限されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;例えば、水
酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属
の水酸化物;例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、リン酸正ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、
リン酸二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸一水素
ナトリウム等の無機酸または有機酸の金属塩であって、
その水溶液がアルカリ性を呈するもの;アンモニア;例
えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエ
タノールアミン等のN−H結合を有しないモノアミン
類;例えば、N,N,N’N’−テトラメチルエチレン
ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメ
チレンジアミン等のN−H結合を有しないジアミン類;
例えば、アミジン、グアニジン等のその他のアルカリ性
有機化合物等を例示することができる。
【0026】これらのアルカリ性物質のうち、入手の容
易性、反応収率の良さ等の観点より、アルカリ金属の水
酸化物またはアンモニアを用いるのが好ましい。なお、
F4CBAを単離することなく得られた反応液をそのま
ゝ用いて引続き次のホフマン転位反応(C)を行う場合
には、該反応工程(C)における副反応抑制の観点から
アルカリ金属の水酸化物の使用が特に好ましい。
易性、反応収率の良さ等の観点より、アルカリ金属の水
酸化物またはアンモニアを用いるのが好ましい。なお、
F4CBAを単離することなく得られた反応液をそのま
ゝ用いて引続き次のホフマン転位反応(C)を行う場合
には、該反応工程(C)における副反応抑制の観点から
アルカリ金属の水酸化物の使用が特に好ましい。
【0027】上記アルカリ性物質の使用量は、F4PA
h1モルに対して、理論的には1当量であるが、通常1
〜5当量、好ましくは1〜2当量、特に好ましくは1.
0〜1.2当量である。
h1モルに対して、理論的には1当量であるが、通常1
〜5当量、好ましくは1〜2当量、特に好ましくは1.
0〜1.2当量である。
【0028】反応溶媒としては水溶媒の使用が好まし
く、その使用量は、F4PAh1gに対して、例えば2
〜10ml程度の量を例示することができる。
く、その使用量は、F4PAh1gに対して、例えば2
〜10ml程度の量を例示することができる。
【0029】反応温度としては、通常0〜80℃、好ま
しくは0〜40℃、特に好ましくは、0〜20℃とする
のがよい。反応時間は、アンモニアとの反応及びアルカ
リ性物質との反応共に、それぞれ通常3分〜4時間、好
ましくは10分〜2時間とするのがよい。
しくは0〜40℃、特に好ましくは、0〜20℃とする
のがよい。反応時間は、アンモニアとの反応及びアルカ
リ性物質との反応共に、それぞれ通常3分〜4時間、好
ましくは10分〜2時間とするのがよい。
【0030】反応終了後、反応液はそのまま次のF4A
A生成反応であるホフマン転位反応に用いることができ
る。また、反応液は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の強
酸を加えてpHを約4以下、好ましくは約1〜3程度に
し、析出する結晶を濾別・乾燥することによって文献未
載の新規化合物であるF4CBAを得ることができる。
A生成反応であるホフマン転位反応に用いることができ
る。また、反応液は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の強
酸を加えてpHを約4以下、好ましくは約1〜3程度に
し、析出する結晶を濾別・乾燥することによって文献未
載の新規化合物であるF4CBAを得ることができる。
【0031】ホフマン転位反応工程(C) 本発明方法においてはさらに、前記カルバモイル化反応
工程(B)で得られたF4CBAまたはその塩を用い、
これに次亜ハロゲン酸塩及びアルカリ性物質を反応させ
ることによりホフマン転位反応を起させ、F4AAを生
成させることができる。
工程(B)で得られたF4CBAまたはその塩を用い、
これに次亜ハロゲン酸塩及びアルカリ性物質を反応させ
ることによりホフマン転位反応を起させ、F4AAを生
成させることができる。
【0032】上記の反応は水溶媒中で行うのがよく、前
記工程(B)で得られたF4CBAの水溶液に次亜ハロ
ゲン酸塩水溶液及びアルカリ性物質の水溶液を滴下混合
することにより容易に進行する。なお、F4CBAの水
溶液の代りに前記工程(B)の終了後の反応液をそのま
ゝ用いることもできる。また、次亜ハロゲン酸塩水溶液
とアルカリ性物質の水溶液とは予め混合しておいてもよ
い。
記工程(B)で得られたF4CBAの水溶液に次亜ハロ
ゲン酸塩水溶液及びアルカリ性物質の水溶液を滴下混合
することにより容易に進行する。なお、F4CBAの水
溶液の代りに前記工程(B)の終了後の反応液をそのま
ゝ用いることもできる。また、次亜ハロゲン酸塩水溶液
とアルカリ性物質の水溶液とは予め混合しておいてもよ
い。
【0033】前記の次亜ハロゲン酸塩としては、例え
ば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜
塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩類;例えば、次亜臭
素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム等の次亜臭素酸塩
類;等を例示することができる。これらのうち、入手の
容易性などの理由から次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素
酸ナトリウムの使用が好ましい。
ば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜
塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩類;例えば、次亜臭
素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム等の次亜臭素酸塩
類;等を例示することができる。これらのうち、入手の
容易性などの理由から次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素
酸ナトリウムの使用が好ましい。
【0034】前記のアルカリ性物質としては、前記工程
(B)において用いられると同様のものが使用でき、好
適には該工程(B)におけると同様の理由によりアルカ
リ金属の水酸化物の使用がよい。一例として、前記工程
終了後の、例えば、2−カルバモイル−3,4,5,6
−テトラフルオロ安息香酸ナトリウムを含有する反応液
を用い、これに次亜ハロゲン酸塩として次亜塩素酸ナト
リウム、アルカリ性物質として水酸化ナトリウムを用い
た場合の本反応工程(C)の反応式を例示すると次の通
りと考えられる。
(B)において用いられると同様のものが使用でき、好
適には該工程(B)におけると同様の理由によりアルカ
リ金属の水酸化物の使用がよい。一例として、前記工程
終了後の、例えば、2−カルバモイル−3,4,5,6
−テトラフルオロ安息香酸ナトリウムを含有する反応液
を用い、これに次亜ハロゲン酸塩として次亜塩素酸ナト
リウム、アルカリ性物質として水酸化ナトリウムを用い
た場合の本反応工程(C)の反応式を例示すると次の通
りと考えられる。
【0035】
【化9】 本反応工程(C)における次亜ハロゲン酸塩の使用量
は、上式より明らかなように、F4CBA1モルまた
はその塩1当量に対して、理論的には1当量であるが、
通常1〜5当量、好ましくは1.0〜1.5当量であ
る。
は、上式より明らかなように、F4CBA1モルまた
はその塩1当量に対して、理論的には1当量であるが、
通常1〜5当量、好ましくは1.0〜1.5当量であ
る。
【0036】また、アルカリ性物質の使用量は、理論的
にはF4CBA1モルに対して3当量、F4CBA塩1
当量に対して2当量となるが、実際には反応系のpHが
約9以下とならないように保っておけばよく、F4CB
A1モルまたはF4CBA塩1当量に対して、通常2〜
5当量、好ましくは2.1〜3当量の範囲がよい。
にはF4CBA1モルに対して3当量、F4CBA塩1
当量に対して2当量となるが、実際には反応系のpHが
約9以下とならないように保っておけばよく、F4CB
A1モルまたはF4CBA塩1当量に対して、通常2〜
5当量、好ましくは2.1〜3当量の範囲がよい。
【0037】反応条件としては、通常、反応温度0〜8
0℃、反応時間10分〜5時間程度の条件が採用でき、
特に、10〜40℃で30分〜2時間反応させた後50
〜80℃で30分〜2時間反応させるのがよい。反応に
用いる溶媒の使用量は特に限定されるものではなく、F
4CBA1モルまたはF4CBA塩1当量に対して約1
0〜50ml程度の量を例示できる。反応終了後、反応
液に硫酸、塩酸、硝酸等の強酸を加えてpH約3〜1程
度にし、析出してくる結晶を濾別・乾燥することにより
F4AAを得ることができる。
0℃、反応時間10分〜5時間程度の条件が採用でき、
特に、10〜40℃で30分〜2時間反応させた後50
〜80℃で30分〜2時間反応させるのがよい。反応に
用いる溶媒の使用量は特に限定されるものではなく、F
4CBA1モルまたはF4CBA塩1当量に対して約1
0〜50ml程度の量を例示できる。反応終了後、反応
液に硫酸、塩酸、硝酸等の強酸を加えてpH約3〜1程
度にし、析出してくる結晶を濾別・乾燥することにより
F4AAを得ることができる。
【実施例】以下、実施例により本発明を一層具体的に説
明する。
明する。
【0038】製造例 1 水分定量管、冷却還流管と温度計を備えた4口フラスコ
にテトラフルオロフタル酸(F4PA)47.6g(約
0.2モル)及びキシレン200mlを加え、水分を除
きながら加熱還流下、約3時間水の留出がなくなるまで
反応させた。反応終了後キシレンを減圧下留去し、得ら
れた結晶を更に60℃にて減圧下乾燥することにより、
テトラフルオロ無水フタル酸(F4PAh)の結晶4
3.1g(約0.196モル;収率98%)を得た。得
られたF4PAhの物性値は次の通りであった。 マススペクトル(EI): W/Z=220(M+)、176(M−CO2)、 148(176−CO) 融点:93.0〜94.5℃
にテトラフルオロフタル酸(F4PA)47.6g(約
0.2モル)及びキシレン200mlを加え、水分を除
きながら加熱還流下、約3時間水の留出がなくなるまで
反応させた。反応終了後キシレンを減圧下留去し、得ら
れた結晶を更に60℃にて減圧下乾燥することにより、
テトラフルオロ無水フタル酸(F4PAh)の結晶4
3.1g(約0.196モル;収率98%)を得た。得
られたF4PAhの物性値は次の通りであった。 マススペクトル(EI): W/Z=220(M+)、176(M−CO2)、 148(176−CO) 融点:93.0〜94.5℃
【0039】実施例 1 200mlビーカー中でテトラフルオロ無水フタル酸2
2g(0.1モル)を70mlの水に懸濁し、氷水で冷
却しほぼ10℃の内温を保つ様に11ミリモル/g濃度
のアンモニア水20g(約0.22モル)を10分かけ
て滴下した後、引続き10分間攪拌を継続した。得られ
た反応液を氷冷しながら攪拌下70重量%硫酸を加えて
pHをほゞ1とし、さらに約10分間攪拌を続けた。析
出した結晶を濾別し、これを50mlの氷水で2回洗浄
し、40℃で減圧下乾燥することにより2−カルバモイ
ル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸(F4C
BA)15.9g(約0.067モル;収率67%)を
得ることができた。得られたF4CBAの物性値は次の
通りであった。 マススペクトル(EI): W/Z=221(M−16)、220(M−17)、 193、177、149、148 IR(KBr法による): 3380cm−1、3320cm−1、3250cm−1、 1715cm−1、1665cm−1、1630cm−1、 融点:135〜137℃
2g(0.1モル)を70mlの水に懸濁し、氷水で冷
却しほぼ10℃の内温を保つ様に11ミリモル/g濃度
のアンモニア水20g(約0.22モル)を10分かけ
て滴下した後、引続き10分間攪拌を継続した。得られ
た反応液を氷冷しながら攪拌下70重量%硫酸を加えて
pHをほゞ1とし、さらに約10分間攪拌を続けた。析
出した結晶を濾別し、これを50mlの氷水で2回洗浄
し、40℃で減圧下乾燥することにより2−カルバモイ
ル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸(F4C
BA)15.9g(約0.067モル;収率67%)を
得ることができた。得られたF4CBAの物性値は次の
通りであった。 マススペクトル(EI): W/Z=221(M−16)、220(M−17)、 193、177、149、148 IR(KBr法による): 3380cm−1、3320cm−1、3250cm−1、 1715cm−1、1665cm−1、1630cm−1、 融点:135〜137℃
【0040】実施例 2 実施例1 において、アンモニア水20g(約0.22モ
ル)を10分かけて滴下する代りに、アンモニア水10
g(約0.11モル)を10分かけて滴下し、次いで
6.33ミリモル/g濃度の水酸化ナトリウム水溶液1
7.4g(約0.11モル)を10分かけて滴下した以
外は同様にして反応及び後処理を行うことによりF4C
BA16.8g(約0.071モル;収率71%)を得
た。
ル)を10分かけて滴下する代りに、アンモニア水10
g(約0.11モル)を10分かけて滴下し、次いで
6.33ミリモル/g濃度の水酸化ナトリウム水溶液1
7.4g(約0.11モル)を10分かけて滴下した以
外は同様にして反応及び後処理を行うことによりF4C
BA16.8g(約0.071モル;収率71%)を得
た。
【0041】実施例 3 冷却還流及び温度計を備えた200ml4口フラスコ中
に水40ml及びF4CBA14.2g(約0.06モ
ル)を入れ懸濁させた。これに6.33ミリモル/g濃
度の水酸化ナトリウム水溶液34.1g(約0.214
ミリモル)を加えた後、1.42ミリモル/g濃度の次
亜塩素酸ナトリウム水溶液50.7g(約0.072モ
ル)を15分かけて滴下し、更に15℃で30分、次い
で70℃で1時間攪拌下反応させた。反応終了後、反応
液に濃塩酸を加え反応液のpHをほぼ1とした後、反応
液を約10℃まで冷却し、析出した結晶を濾別し、これ
を60℃にて減圧下乾燥を行いテトラフルオロアントラ
ニル酸(F4AA)8.5g(約0.04モル:収率6
8%)を得た。得られたF4AAの物性値は次の通りで
あった。 マススペクトル(EI): W/Z=209(M+)、191(M−H2O)・ 164、163 融点:140.1〜143.1℃
に水40ml及びF4CBA14.2g(約0.06モ
ル)を入れ懸濁させた。これに6.33ミリモル/g濃
度の水酸化ナトリウム水溶液34.1g(約0.214
ミリモル)を加えた後、1.42ミリモル/g濃度の次
亜塩素酸ナトリウム水溶液50.7g(約0.072モ
ル)を15分かけて滴下し、更に15℃で30分、次い
で70℃で1時間攪拌下反応させた。反応終了後、反応
液に濃塩酸を加え反応液のpHをほぼ1とした後、反応
液を約10℃まで冷却し、析出した結晶を濾別し、これ
を60℃にて減圧下乾燥を行いテトラフルオロアントラ
ニル酸(F4AA)8.5g(約0.04モル:収率6
8%)を得た。得られたF4AAの物性値は次の通りで
あった。 マススペクトル(EI): W/Z=209(M+)、191(M−H2O)・ 164、163 融点:140.1〜143.1℃
【0042】実施例 4 実施例3 に用いた同様の反応容器中、F4PAh13.
2g(約0.06モル)を氷冷下30mlの水に懸濁し
た。これに15.5ミリモル/g濃度のアンモニア水
3.87g(約0.06モル)を10分かけて滴下し、
滴下終了後10分間攪拌した。更に6.33ミリモル/
g濃度の水酸化ナトリウム水溶液9.48g(約0.0
6モル)を10分かけて滴下し、滴下終了後この液を1
時間攪拌した。この反応液に対し1.42ミリモル/g
濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液50.7g(約0.
072モル)と6.33ミリモル/g濃度の水酸化ナト
リウム水溶液22.7g(約0.144モル)を混合し
た液を15分かけて滴下した後、15℃で30分、次い
で70℃で1時間攪拌下反応させた。反応終了後反応液
に濃塩酸を加え反応液のpHをほぼ1とした後、反応液
を約10℃まで冷却し析出した結晶を濾別、60℃での
減圧乾燥を行いテトラフルオロアントラニル酸(F4A
A)8.4g(約0.04モル;収率67%)を得た。
2g(約0.06モル)を氷冷下30mlの水に懸濁し
た。これに15.5ミリモル/g濃度のアンモニア水
3.87g(約0.06モル)を10分かけて滴下し、
滴下終了後10分間攪拌した。更に6.33ミリモル/
g濃度の水酸化ナトリウム水溶液9.48g(約0.0
6モル)を10分かけて滴下し、滴下終了後この液を1
時間攪拌した。この反応液に対し1.42ミリモル/g
濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液50.7g(約0.
072モル)と6.33ミリモル/g濃度の水酸化ナト
リウム水溶液22.7g(約0.144モル)を混合し
た液を15分かけて滴下した後、15℃で30分、次い
で70℃で1時間攪拌下反応させた。反応終了後反応液
に濃塩酸を加え反応液のpHをほぼ1とした後、反応液
を約10℃まで冷却し析出した結晶を濾別、60℃での
減圧乾燥を行いテトラフルオロアントラニル酸(F4A
A)8.4g(約0.04モル;収率67%)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (3)
- 【請求項1】 2−カルバモイル−3,4,5,6−テ
トラフルオロ安息香酸。 - 【請求項2】 テトラフルオロ無水フタル酸にアンモニ
アを反応させた後、アルカリ性物質と反応させてなるこ
とを特徴とする2−カルバモイル−3,4,5,6−テ
トラフルオロ安息香酸の製法。 - 【請求項3】 テトラフルオロ無水フタル酸にアンモニ
アを反応させた後、アルカリ性物質と反応させることに
より2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオ
ロ安息香酸塩を得、次いでこれに次亜ハロゲン酸塩及び
アルカリ性物質を反応させてなることを特徴とするテト
ラフルオロアントラニル酸の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2515798A JP2901237B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸とその製法及びその誘導体の製法。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2515798A JP2901237B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸とその製法及びその誘導体の製法。 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12794089A Division JPH02306945A (ja) | 1989-05-23 | 1989-05-23 | テトラフルオロ無水フタル酸及びその誘導体の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10182563A JPH10182563A (ja) | 1998-07-07 |
JP2901237B2 true JP2901237B2 (ja) | 1999-06-07 |
Family
ID=12158201
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2515798A Expired - Fee Related JP2901237B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 2−カルバモイル−3,4,5,6−テトラフルオロ安息香酸とその製法及びその誘導体の製法。 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2901237B2 (ja) |
-
1998
- 1998-01-23 JP JP2515798A patent/JP2901237B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Tetrahedron,(1967)23(12)p.4719−4727 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10182563A (ja) | 1998-07-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |