JP2977166B2 - 広範囲x線検出器を備えたx線回折装置 - Google Patents
広範囲x線検出器を備えたx線回折装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広範囲にわたってX線
強度を検出する広範囲X線検出器を備えたX線回折装置
に関する。ここにいう広範囲X線検出器とは、いわゆる
シンチレーションカウンタ等のようにある一点において
X線を検出するX線検出器ではなくて、位置敏感型比例
計数器(PSPC)、蓄積性蛍光体(IP)等のよう
に、X線強度を広範囲にわたって同時に検出することの
できるX線検出器のことである。
強度を検出する広範囲X線検出器を備えたX線回折装置
に関する。ここにいう広範囲X線検出器とは、いわゆる
シンチレーションカウンタ等のようにある一点において
X線を検出するX線検出器ではなくて、位置敏感型比例
計数器(PSPC)、蓄積性蛍光体(IP)等のよう
に、X線強度を広範囲にわたって同時に検出することの
できるX線検出器のことである。
【0002】
【従来の技術】位置敏感型比例計数器(PSPC)及び
蓄積性蛍光体(IP)は既によく知られている。一般的
に、位置敏感型比例計数器(PSPC)は、ケーシング
の中に納められた長い陰極線を有していて、その陰極線
上には狭い間隔で多数の陰極が並べて設けられている。
ケーシングの一側面には、陰極線に沿って延びるX線取
り込み用窓が形成されており、その窓を介してX線がケ
ーシング内に取り込まれる。X線取り込み用窓のうちの
ある一点からX線が取り込まれると、その位置に対応し
て存在する陰極に電気パルス信号が発生し、予め陰極線
の両端に接続された演算装置にそのパルス信号が送られ
る。パルス信号を受け取った演算装置は、該パルス信号
が入力されるまでの時間差、すなわちパルス信号が陰極
線の両端に到達するまでの時間差に基づいて、パルス信
号の発生位置、すなわちX線検出位置を判定し、さらに
そのX線強度を検出する。こうして、陰極線が張設され
ている範囲内において同時にX線の強度測定が行われ
る。
蓄積性蛍光体(IP)は既によく知られている。一般的
に、位置敏感型比例計数器(PSPC)は、ケーシング
の中に納められた長い陰極線を有していて、その陰極線
上には狭い間隔で多数の陰極が並べて設けられている。
ケーシングの一側面には、陰極線に沿って延びるX線取
り込み用窓が形成されており、その窓を介してX線がケ
ーシング内に取り込まれる。X線取り込み用窓のうちの
ある一点からX線が取り込まれると、その位置に対応し
て存在する陰極に電気パルス信号が発生し、予め陰極線
の両端に接続された演算装置にそのパルス信号が送られ
る。パルス信号を受け取った演算装置は、該パルス信号
が入力されるまでの時間差、すなわちパルス信号が陰極
線の両端に到達するまでの時間差に基づいて、パルス信
号の発生位置、すなわちX線検出位置を判定し、さらに
そのX線強度を検出する。こうして、陰極線が張設され
ている範囲内において同時にX線の強度測定が行われ
る。
【0003】一般的に蓄積性蛍光体(IP)は、X線が
照射された部分にエネルギが蓄積されるという性質を有
する物質によって形成された、いわゆるX線感光板であ
る。この蓄積性蛍光体の全面に蛍光灯等から可視光を照
射することにより、その内部のエネルギ量を初期化状態
に設定し、その後、任意の位置にX線を照射すると、そ
の照射された部分にのみエネルギが蓄積される。蓄積性
蛍光体の全面をレーザ光等によって走査して、その時の
エネルギ放出量を読み取るようにすれば、蓄積性蛍光体
のどの位置にどの程度のX線が入射したかという情報が
得られる。すなわち、蓄積性蛍光体の全面にわたる範囲
内において同時にX線の強度測定が行われる。
照射された部分にエネルギが蓄積されるという性質を有
する物質によって形成された、いわゆるX線感光板であ
る。この蓄積性蛍光体の全面に蛍光灯等から可視光を照
射することにより、その内部のエネルギ量を初期化状態
に設定し、その後、任意の位置にX線を照射すると、そ
の照射された部分にのみエネルギが蓄積される。蓄積性
蛍光体の全面をレーザ光等によって走査して、その時の
エネルギ放出量を読み取るようにすれば、蓄積性蛍光体
のどの位置にどの程度のX線が入射したかという情報が
得られる。すなわち、蓄積性蛍光体の全面にわたる範囲
内において同時にX線の強度測定が行われる。
【0004】上述したように、位置敏感型比例計数器
(PSPC)、蓄積性蛍光体(IP)等の広範囲X線検
出器は、広い範囲にわたって同時にX線強度に関する情
報が得られるという利点を有しているので、従来より、
X線回折装置におけるX線検出器として広く用いられて
いる。従来このようなX線回折装置においては、X線源
から放射されて試料に入射し、該試料で回折又は散乱す
るX線に何等の制限を加えることなく、それらを位置敏
感型比例計数器等の広範囲X線検出器に入射させてい
た。
(PSPC)、蓄積性蛍光体(IP)等の広範囲X線検
出器は、広い範囲にわたって同時にX線強度に関する情
報が得られるという利点を有しているので、従来より、
X線回折装置におけるX線検出器として広く用いられて
いる。従来このようなX線回折装置においては、X線源
から放射されて試料に入射し、該試料で回折又は散乱す
るX線に何等の制限を加えることなく、それらを位置敏
感型比例計数器等の広範囲X線検出器に入射させてい
た。
【0005】従って、位置敏感型比例計数器等には、試
料の所定位置において決められた回折角度で回折した回
折X線の他に、本来は検出してはならないX線、例えば
散乱X線等も受け入れられて検出されてしまうことが多
かった。その結果、いわゆる分解能、すなわち回折X線
強度を細かな回折角度ごとに区切って正確に検出する能
力、があまり良くなかった。
料の所定位置において決められた回折角度で回折した回
折X線の他に、本来は検出してはならないX線、例えば
散乱X線等も受け入れられて検出されてしまうことが多
かった。その結果、いわゆる分解能、すなわち回折X線
強度を細かな回折角度ごとに区切って正確に検出する能
力、があまり良くなかった。
【0006】特に、X線回折装置の種類によっては、試
料のまわりにヒータを設置し、そのまわりを恒温槽で覆
い、試料の環境温度を変化させながら回折X線の強度測
定を行うようにしたものがある。このように、試料のま
わりにヒータ、恒温槽などといった試料包囲体を配設し
たX線回折装置においては、試料包囲体で回折又は散乱
するX線も位置敏感型比例計数器等によって検出されて
しまい、測定結果における分解能がより一層悪くなる。
料のまわりにヒータを設置し、そのまわりを恒温槽で覆
い、試料の環境温度を変化させながら回折X線の強度測
定を行うようにしたものがある。このように、試料のま
わりにヒータ、恒温槽などといった試料包囲体を配設し
たX線回折装置においては、試料包囲体で回折又は散乱
するX線も位置敏感型比例計数器等によって検出されて
しまい、測定結果における分解能がより一層悪くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、広範囲X線
検出器を備えた従来のX線回折装置における上記の問題
点に鑑みてなされたものであって、広範囲X線検出器を
用いる場合であっても、きわめて分解能の高い測定結果
を得ることのできるX線回折装置を提供することを目的
とする。
検出器を備えた従来のX線回折装置における上記の問題
点に鑑みてなされたものであって、広範囲X線検出器を
用いる場合であっても、きわめて分解能の高い測定結果
を得ることのできるX線回折装置を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係るX線回折装置は、広範囲にわたってX
線強度を検出する広範囲X線検出器を有しており、X線
源から放出されて試料で回折したX線の強度を、上記の
広範囲X線検出器によって検出するX線回折装置におい
て、試料と広範囲X線検出器との間にスリット部材が配
設されており、そのスリット部材は、広範囲X線検出器
のX線検出領域に対向して互いに並べて配列された複数
のスリットを有し、そして上記複数のスリットは、広範
囲X線検出器によって回折X線の強度が測定される間、
その広範囲X線検出器に対して平行な方向に沿って往復
移動することを特徴とする。上記構成のX線回折装置に
おいて、前記試料は、ヒータ等といった試料包囲体によ
って覆うことができる。この場合、前記X線源から出た
X線は該試料包囲体を通って前記試料へ入射し、一方、
前記試料で回折したX線は該試料包囲体を通って前記広
範囲X線検出器に検出される。また、上記構成のX線回
折装置において、前記広範囲X線検出器は、位置敏感型
比例計数器又は蓄積性蛍光体を用いて構成することがで
きる。
め、本発明に係るX線回折装置は、広範囲にわたってX
線強度を検出する広範囲X線検出器を有しており、X線
源から放出されて試料で回折したX線の強度を、上記の
広範囲X線検出器によって検出するX線回折装置におい
て、試料と広範囲X線検出器との間にスリット部材が配
設されており、そのスリット部材は、広範囲X線検出器
のX線検出領域に対向して互いに並べて配列された複数
のスリットを有し、そして上記複数のスリットは、広範
囲X線検出器によって回折X線の強度が測定される間、
その広範囲X線検出器に対して平行な方向に沿って往復
移動することを特徴とする。上記構成のX線回折装置に
おいて、前記試料は、ヒータ等といった試料包囲体によ
って覆うことができる。この場合、前記X線源から出た
X線は該試料包囲体を通って前記試料へ入射し、一方、
前記試料で回折したX線は該試料包囲体を通って前記広
範囲X線検出器に検出される。また、上記構成のX線回
折装置において、前記広範囲X線検出器は、位置敏感型
比例計数器又は蓄積性蛍光体を用いて構成することがで
きる。
【0009】
【作用】試料(1)で回折した回折X線は、広範囲X線
検出器(12,22)の前に設けられた複数のスリット
(11)を通過した後、その広範囲X線検出器に取り込
まれてそのX線強度が測定される。これら複数のスリッ
トについての試料に対する相対角度は、予め一定の値に
設定されており、よって、その相対角度に合致した角度
で試料から回折する回折X線のみがスリットを通過して
広範囲X線検出器に取り込まれる。散乱X線、その他本
来は取り込んではならないX線は、スリットによってそ
の進行が阻止されるので、測定結果における分解能が改
善される。特に、試料のまわりに恒温槽(3)のような
試料包囲体を設けたX線回折装置においては、その試料
包囲体で回折又は散乱するX線がX線検出器に取り込ま
れて分解能を低下させることが心配となる。しかしなが
ら本発明によれば、そのような測定上不要なX線はスリ
ット(11)によってその進行が阻止されるので、分解
能が低下する心配はない。ところで、広範囲X線検出器
の前側に配置される複数のスリットの幅を狭く設定し過
ぎると、本来X線検出器に取り込まなくてはならない回
折X線についてまで、その進行を阻止してしまうおそれ
がある。それらのスリットを広範囲X線検出器に対して
平行方向に往復移動、すなわち揺動させるように構成し
ておけば、本来取り込むべき回折X線は必ずスリットを
通過してX線検出器に取り込まれる。
検出器(12,22)の前に設けられた複数のスリット
(11)を通過した後、その広範囲X線検出器に取り込
まれてそのX線強度が測定される。これら複数のスリッ
トについての試料に対する相対角度は、予め一定の値に
設定されており、よって、その相対角度に合致した角度
で試料から回折する回折X線のみがスリットを通過して
広範囲X線検出器に取り込まれる。散乱X線、その他本
来は取り込んではならないX線は、スリットによってそ
の進行が阻止されるので、測定結果における分解能が改
善される。特に、試料のまわりに恒温槽(3)のような
試料包囲体を設けたX線回折装置においては、その試料
包囲体で回折又は散乱するX線がX線検出器に取り込ま
れて分解能を低下させることが心配となる。しかしなが
ら本発明によれば、そのような測定上不要なX線はスリ
ット(11)によってその進行が阻止されるので、分解
能が低下する心配はない。ところで、広範囲X線検出器
の前側に配置される複数のスリットの幅を狭く設定し過
ぎると、本来X線検出器に取り込まなくてはならない回
折X線についてまで、その進行を阻止してしまうおそれ
がある。それらのスリットを広範囲X線検出器に対して
平行方向に往復移動、すなわち揺動させるように構成し
ておけば、本来取り込むべき回折X線は必ずスリットを
通過してX線検出器に取り込まれる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明に係るX線回折装置の一実施
例を模式的に示している。同図において、固定配置され
た試料1のまわりにヒータ2が設けられ、そのヒータ2
のまわりに恒温槽3が設けられている。ヒータ2は、図
2に示すように、試料1を取り囲むように立てられた3
本の支柱4と、それらの支柱4のまわりに螺旋状に配回
されたヒータワイヤ5とによって形成されている。図1
に示すように、ヒータワイヤ5はドライブ回路6から給
電されることによって発熱して試料1の環境温度を変化
させる。ヒータドライブ回路6による給電動作は、マイ
クロコンピュータを内蔵した制御装置7によって制御さ
れる。
例を模式的に示している。同図において、固定配置され
た試料1のまわりにヒータ2が設けられ、そのヒータ2
のまわりに恒温槽3が設けられている。ヒータ2は、図
2に示すように、試料1を取り囲むように立てられた3
本の支柱4と、それらの支柱4のまわりに螺旋状に配回
されたヒータワイヤ5とによって形成されている。図1
に示すように、ヒータワイヤ5はドライブ回路6から給
電されることによって発熱して試料1の環境温度を変化
させる。ヒータドライブ回路6による給電動作は、マイ
クロコンピュータを内蔵した制御装置7によって制御さ
れる。
【0011】図1において、恒温槽3の左側にはX線源
8が固定して設置されている。恒温槽3の周囲の一部に
は、図2に示すようにX線的に透明な、すなわちX線を
自由に透過させることのできる材料、例えばアルミ箔に
よって形成されたX線透過窓9が環状に設けられてい
る。X線源8から放射されたX線は、恒温槽3に設けら
れた上記のX線透過窓9を通過して試料1に入射する。
試料1に入射したX線が試料内部の結晶格子面との関係
において回折条件を満足するとき、その試料から回折X
線が出射する。この回折X線は、恒温槽3に設けられた
X線透過窓9を通過し、さらにスリット部材10内に形
成された多数のスリット11を通過した後、広範囲X線
検出器としての位置敏感型比例計数器(PSPC)12
に受け取られる。
8が固定して設置されている。恒温槽3の周囲の一部に
は、図2に示すようにX線的に透明な、すなわちX線を
自由に透過させることのできる材料、例えばアルミ箔に
よって形成されたX線透過窓9が環状に設けられてい
る。X線源8から放射されたX線は、恒温槽3に設けら
れた上記のX線透過窓9を通過して試料1に入射する。
試料1に入射したX線が試料内部の結晶格子面との関係
において回折条件を満足するとき、その試料から回折X
線が出射する。この回折X線は、恒温槽3に設けられた
X線透過窓9を通過し、さらにスリット部材10内に形
成された多数のスリット11を通過した後、広範囲X線
検出器としての位置敏感型比例計数器(PSPC)12
に受け取られる。
【0012】スリット部材10は、多数の薄板14を適
宜の微小間隔で並べて配置することによって形成されて
いて、各薄板14の間に上記のスリット11が形成され
ている。また、スリット部材10は、その全体が試料1
のX線照射面の中心軸線ωを中心とする円弧軌跡に沿う
ように湾曲している。位置敏感型比例計数器12は、ス
リット部材10と同様に湾曲して設けられており、その
内部に、やはり円弧状に湾曲する陰極線13が張設され
ている。陰極線13の両端は演算装置15に接続されて
いる。
宜の微小間隔で並べて配置することによって形成されて
いて、各薄板14の間に上記のスリット11が形成され
ている。また、スリット部材10は、その全体が試料1
のX線照射面の中心軸線ωを中心とする円弧軌跡に沿う
ように湾曲している。位置敏感型比例計数器12は、ス
リット部材10と同様に湾曲して設けられており、その
内部に、やはり円弧状に湾曲する陰極線13が張設され
ている。陰極線13の両端は演算装置15に接続されて
いる。
【0013】試料1で回折したX線が各スリット11を
通過して位置敏感型比例計数器12に取り込まれると、
その角度位置に対応する陰極線13上に電気パルス信号
が発生し、それが陰極線13の両端を介して演算装置1
5に入力される。演算装置15は、陰極線13の両端か
ら入力されるパルス信号の時間差に基づいてパルス信号
の発生位置、すなわち回折X線が取り込まれた位置を判
定し、さらにそのX線の強度を測定する。従って、陰極
線13が張設されている範囲内における回折X線の強度
情報が短時間の間に同時に検出される。
通過して位置敏感型比例計数器12に取り込まれると、
その角度位置に対応する陰極線13上に電気パルス信号
が発生し、それが陰極線13の両端を介して演算装置1
5に入力される。演算装置15は、陰極線13の両端か
ら入力されるパルス信号の時間差に基づいてパルス信号
の発生位置、すなわち回折X線が取り込まれた位置を判
定し、さらにそのX線の強度を測定する。従って、陰極
線13が張設されている範囲内における回折X線の強度
情報が短時間の間に同時に検出される。
【0014】以上のX線強度測定処理が終了すると、制
御装置7からの指令に基づいてヒータワイヤ5への給電
量が変更されてそのヒータワイヤ5の発熱量が変更さ
れ、試料1の環境温度が変更される。そして、その変更
された環境温度が恒温槽3によって一定に保持される。
環境温度変更後、上述した回折X線の強度測定処理が繰
り返して行われ、異なった環境温度下における回折X線
情報が位置敏感型比例計数器12によって、再び採取さ
れる。それ以降、同様の温度変更処理及び回折X線強度
検出処理が繰り返して実行され、環境温度に依存して回
折X線の強度がどのように変化するか、換言すれば、環
境温度の変化によって試料1内の結晶構造がどのように
変化するかといった様子が測定される。
御装置7からの指令に基づいてヒータワイヤ5への給電
量が変更されてそのヒータワイヤ5の発熱量が変更さ
れ、試料1の環境温度が変更される。そして、その変更
された環境温度が恒温槽3によって一定に保持される。
環境温度変更後、上述した回折X線の強度測定処理が繰
り返して行われ、異なった環境温度下における回折X線
情報が位置敏感型比例計数器12によって、再び採取さ
れる。それ以降、同様の温度変更処理及び回折X線強度
検出処理が繰り返して実行され、環境温度に依存して回
折X線の強度がどのように変化するか、換言すれば、環
境温度の変化によって試料1内の結晶構造がどのように
変化するかといった様子が測定される。
【0015】上記実施例においては、X線の進行方向に
関して位置敏感型比例計数器12の上流位置に、微小間
隔をおいて互いに並べて配列された薄板14によって、
微小幅Wのスリット11が多数形成されている。これら
のスリット11の試料1に対する相対角度は、所定波長
のX線が試料1に入射したときにその試料1で回折する
X線の回折角度と一致するように設定されている。従っ
て、スリット11を通過して位置敏感型比例計数器12
に取り込まれる回折X線は、所定波長であって、しかも
試料1において所定の回折角度で回折したX線に限られ
る。恒温槽3、特にX線透過窓9で回折又は散乱したX
線Pや、ヒータワイヤ5で回折又は散乱したX線、その
他測定してはならない不要なX線成分はスリット11を
形成する薄板14によってその進行が阻止される。その
結果、位置敏感型比例計数器12によって検出される回
折X線は、本来検出すべき回折X線だけとなり、きわめ
て分解能の高い測定結果、すなわち各回折角度ごとに正
確な回折X線強度が得られる。
関して位置敏感型比例計数器12の上流位置に、微小間
隔をおいて互いに並べて配列された薄板14によって、
微小幅Wのスリット11が多数形成されている。これら
のスリット11の試料1に対する相対角度は、所定波長
のX線が試料1に入射したときにその試料1で回折する
X線の回折角度と一致するように設定されている。従っ
て、スリット11を通過して位置敏感型比例計数器12
に取り込まれる回折X線は、所定波長であって、しかも
試料1において所定の回折角度で回折したX線に限られ
る。恒温槽3、特にX線透過窓9で回折又は散乱したX
線Pや、ヒータワイヤ5で回折又は散乱したX線、その
他測定してはならない不要なX線成分はスリット11を
形成する薄板14によってその進行が阻止される。その
結果、位置敏感型比例計数器12によって検出される回
折X線は、本来検出すべき回折X線だけとなり、きわめ
て分解能の高い測定結果、すなわち各回折角度ごとに正
確な回折X線強度が得られる。
【0016】また、スリット部材10は、必要に応じて
矢印A,A′のように、微小回転角度の範囲で往復回転
移動、すなわち揺動する。スリット幅Wを小さく設定し
過ぎると、本来測定しなければならない回折X線までそ
の進行を阻止してしまうおそれがある。しかしながら、
上記のようにスリット部材10を揺動させるように構成
しておけば、そのような不都合が生じる心配がない。ス
リット部材10をどの程度の角度範囲で揺動させるかに
ついては、特別な限定はないが、通常は、スリット幅W
に相当する角度分だけ揺動させれば十分である。
矢印A,A′のように、微小回転角度の範囲で往復回転
移動、すなわち揺動する。スリット幅Wを小さく設定し
過ぎると、本来測定しなければならない回折X線までそ
の進行を阻止してしまうおそれがある。しかしながら、
上記のようにスリット部材10を揺動させるように構成
しておけば、そのような不都合が生じる心配がない。ス
リット部材10をどの程度の角度範囲で揺動させるかに
ついては、特別な限定はないが、通常は、スリット幅W
に相当する角度分だけ揺動させれば十分である。
【0017】図3は本発明に係るX線回折装置の別の実
施例を示している。この実施例は、いわゆる平行ビーム
法X線回折装置に本発明を適用した場合の実施例であ
る。平行ビーム法X線回折装置というのは、主に薄膜試
料、例えば、半導体ウエハの表面に蒸着された厚さ数μ
mの金属層等を試料とする場合に用いられるものであ
る。この平行ビーム法X線回折装置それ自体は既に公知
であるので詳しい説明は省略するが、概略、次のような
構造及び作用を有している。
施例を示している。この実施例は、いわゆる平行ビーム
法X線回折装置に本発明を適用した場合の実施例であ
る。平行ビーム法X線回折装置というのは、主に薄膜試
料、例えば、半導体ウエハの表面に蒸着された厚さ数μ
mの金属層等を試料とする場合に用いられるものであ
る。この平行ビーム法X線回折装置それ自体は既に公知
であるので詳しい説明は省略するが、概略、次のような
構造及び作用を有している。
【0018】X線源8から放射されたX線は、ソーラス
リット16及び発散防止スリット17によって幅の狭い
平行X線ビームに成形され、その平行X線ビームが微小
入射角度αで試料1に入射する。試料1へ入射したX線
のうち試料内結晶格子面との関係で回折条件を満足する
ものがその試料1で回折し、回折X線として出射する。
この場合、試料1に入射したX線は、幅の狭い平行ビー
ムであり、しかもその入射角度αはきわめて小さい(通
常は0.1〜5゜程度)ので、回折X線はいわゆる集中
円上に集束せず、平行ビームとなって進行する。こうし
て進行する回折X線は、直線状に延びた状態で配設され
た位置敏感型比例計数器22に受け取られ、その幅方向
全域QのX線強度が同時に検出される。この検出された
結果に基づいて、薄膜試料1の結晶構造が判定される。
リット16及び発散防止スリット17によって幅の狭い
平行X線ビームに成形され、その平行X線ビームが微小
入射角度αで試料1に入射する。試料1へ入射したX線
のうち試料内結晶格子面との関係で回折条件を満足する
ものがその試料1で回折し、回折X線として出射する。
この場合、試料1に入射したX線は、幅の狭い平行ビー
ムであり、しかもその入射角度αはきわめて小さい(通
常は0.1〜5゜程度)ので、回折X線はいわゆる集中
円上に集束せず、平行ビームとなって進行する。こうし
て進行する回折X線は、直線状に延びた状態で配設され
た位置敏感型比例計数器22に受け取られ、その幅方向
全域QのX線強度が同時に検出される。この検出された
結果に基づいて、薄膜試料1の結晶構造が判定される。
【0019】この平行ビーム法X線回折装置に本発明を
適用する場合には、直線状のスリット部材20が位置敏
感型比例計数器22の上流位置に設置される。平行ビー
ムを形成する回折X線とは異なった回折角度で回折した
X線、散乱X線、その他測定上不要なX線は、スリット
部材20内の薄板14によってその進行を阻止され、位
置敏感型比例計数器22に到達しない。よって、分解能
の高い測定を行うことができる。
適用する場合には、直線状のスリット部材20が位置敏
感型比例計数器22の上流位置に設置される。平行ビー
ムを形成する回折X線とは異なった回折角度で回折した
X線、散乱X線、その他測定上不要なX線は、スリット
部材20内の薄板14によってその進行を阻止され、位
置敏感型比例計数器22に到達しない。よって、分解能
の高い測定を行うことができる。
【0020】以上、いくつかの実施例をあげて本発明を
説明したが、本発明はそれらの実施例に限定されるもの
ではない。例えば、上記の各実施例では、試料1のまわ
りにヒータワイヤ5、恒温槽3などといった試料包囲体
を設置した。しかしながら、そのような試料包囲体を用
いない通常のX線回折装置に本発明を適用できるのはも
ちろんのことである。但し、試料包囲体を使用したX線
回折装置においては、その試料包囲体において測定に寄
与しない回折X線が発生する。従って、そのような不要
X線が位置敏感型比例計数器12,22に入るのを防止
するということを考えれば、試料包囲体を備えたX線回
折装置に本発明を適用すると特に好都合である。広範囲
X線検出器としては、位置敏感型比例計数器12,22
以外に蓄積性蛍光体(IP)を用いることもできる。
説明したが、本発明はそれらの実施例に限定されるもの
ではない。例えば、上記の各実施例では、試料1のまわ
りにヒータワイヤ5、恒温槽3などといった試料包囲体
を設置した。しかしながら、そのような試料包囲体を用
いない通常のX線回折装置に本発明を適用できるのはも
ちろんのことである。但し、試料包囲体を使用したX線
回折装置においては、その試料包囲体において測定に寄
与しない回折X線が発生する。従って、そのような不要
X線が位置敏感型比例計数器12,22に入るのを防止
するということを考えれば、試料包囲体を備えたX線回
折装置に本発明を適用すると特に好都合である。広範囲
X線検出器としては、位置敏感型比例計数器12,22
以外に蓄積性蛍光体(IP)を用いることもできる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、広範囲X線検出器の前
側、すなわちX線進行方向に関して上流側に多数のスリ
ットを備えたスリット部材を配設したので、目標とする
回折X線だけを選択して広範囲X線検出器に入れ、他の
不要なX線の進行を阻止することができる。よって、分
解能の高い測定結果を得ることができる。しかも、スリ
ットを広範囲X線検出器に対して平行方向に往復移動さ
せるようにしたので、分解能を高めるためにスリット幅
を狭く設定した場合に、本来取り込むべき回折X線の進
行までもがスリットによって阻止されてしまうという不
都合を防止できる。
側、すなわちX線進行方向に関して上流側に多数のスリ
ットを備えたスリット部材を配設したので、目標とする
回折X線だけを選択して広範囲X線検出器に入れ、他の
不要なX線の進行を阻止することができる。よって、分
解能の高い測定結果を得ることができる。しかも、スリ
ットを広範囲X線検出器に対して平行方向に往復移動さ
せるようにしたので、分解能を高めるためにスリット幅
を狭く設定した場合に、本来取り込むべき回折X線の進
行までもがスリットによって阻止されてしまうという不
都合を防止できる。
【図1】本発明に係るX線回折装置の一実施例の概略平
面図である。
面図である。
【図2】上記実施例の要部を示す一部破断斜視図であ
る。
る。
【図3】本発明に係るX線回折装置の別の実施例を示す
概略平面図である。
概略平面図である。
1 試料 3 恒温槽 4 支柱 5 ヒータワイヤ 8 X線源 10 スリット部材 11 スリット 12 位置敏感型比
例計数器 20 スリット部材 22 位置敏感型比
例計数器
例計数器 20 スリット部材 22 位置敏感型比
例計数器
Claims (3)
- 【請求項1】 広範囲にわたってX線強度を検出する広
範囲X線検出器を有しており、X線源から放出されて試
料で回折したX線の強度を、上記の広範囲X線検出器に
よって検出するX線回折装置において、 試料と広範囲X線検出器との間にスリット部材が配設さ
れており、 そのスリット部材は、広範囲X線検出器のX線検出領域
に対向して互いに並べて配列された複数のスリットを有
し、そして 上記複数のスリットは、広範囲X線検出器に
よって回折X線の強度が測定される間、その広範囲X線
検出器に対して平行な方向に沿って往復移動することを
特徴とするX線回折装置。 - 【請求項2】 請求項1において、前記試料は試料包囲
体によって覆われ、前記X線源から出たX線は該試料包
囲体を通って前記試料へ入射し、前記試料で回折したX
線は該試料包囲体を通って前記広範囲X線検出器に検出
されることを特徴とするX線回折装置。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記広
範囲X線検出器は、位置敏感型比例計数器又は蓄積性蛍
光体を用いて構成されることを特徴とするX線回折装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3018398A JP2977166B2 (ja) | 1991-01-18 | 1991-01-18 | 広範囲x線検出器を備えたx線回折装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3018398A JP2977166B2 (ja) | 1991-01-18 | 1991-01-18 | 広範囲x線検出器を備えたx線回折装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04236348A JPH04236348A (ja) | 1992-08-25 |
JP2977166B2 true JP2977166B2 (ja) | 1999-11-10 |
Family
ID=11970588
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3018398A Expired - Fee Related JP2977166B2 (ja) | 1991-01-18 | 1991-01-18 | 広範囲x線検出器を備えたx線回折装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2977166B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102018125974A1 (de) | 2017-10-25 | 2019-04-25 | Rigaku Corporation | Sollerspalt, Röntgenstrahlenbeugungsvorrichtung und Verfahren |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0553911A1 (en) * | 1992-01-27 | 1993-08-04 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Position-sensitive X-ray analysis |
JPH09166528A (ja) * | 1995-12-15 | 1997-06-24 | Rigaku Corp | X線装置の試料格納容器 |
CN109374660B (zh) * | 2018-11-22 | 2024-09-06 | 北京科技大学 | 用于排笔光束的高通量粉末衍射的装置 |
-
1991
- 1991-01-18 JP JP3018398A patent/JP2977166B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102018125974A1 (de) | 2017-10-25 | 2019-04-25 | Rigaku Corporation | Sollerspalt, Röntgenstrahlenbeugungsvorrichtung und Verfahren |
US10964439B2 (en) | 2017-10-25 | 2021-03-30 | Rigaku Corporation | Soller slit, X-ray diffraction apparatus, and method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04236348A (ja) | 1992-08-25 |
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