JP2969150B2 - 哺乳動物に対する臓器又は組織の移植の拒絶を禁止する組成物 - Google Patents
哺乳動物に対する臓器又は組織の移植の拒絶を禁止する組成物Info
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Description
絶を禁止するための組成物に関する。より詳しくは、本
発明は、移植拒絶禁止量のラパマイシンから成る、移植
拒絶の禁止が必要な哺乳動物に投与される、哺乳動物の
臓器又は組織の移植の拒絶を禁止するための組成物に関
する。
トの臓器の同種移植、即ち、同一のホモサピエンス種の
2つの遺伝的に異なった個体の間に行なわれる臓器移植
の主要な原因となっている。臨床処置に用いられている
3つの有効な薬剤即ちアザチオプリン、コルチコステロ
イド及びシクロスポリンの個別の特異な副作用を最小に
するために、これらの各々の薬剤の少量ずつが、「トリ
プル療法」として、組合せて使用されている。このトリ
プル療法に現用されている3つの薬剤のうちで、シクロ
スポリンは、最も強力であるが、ヒトにおいて構造的な
腎損壊をもたらすことのある腎毒症という好ましくない
副作用ももっている。大用量のコルチコステロイド及び
抗リンパ球抗体調製物(ポリクローナル又はモノクロー
ナル)は、拒絶反応の危機を処置するために用いられ
る。免疫抑制剤及び移植拒絶禁止剤として使用するため
の他の潜在的に有効な化合物を開発するための多くの研
究がこれまでになされているが、毒性、効力の不足又は
これらの組合せなどの副作用のため、臨床的な設定にお
いて有用なものは未だ見出されていない。
免疫抑制活性を示すことが報告されている(落合等、移
植手法、vol.XX.第1号、209〜214頁、1988年)。FX506
の免疫抑制活性は確認されているとしても、哺乳動物例
えばネズミ、豚又は犬、及び霊長類、例えばヒヒにおい
ての毒性が強すぎるため、臨床階段の試験に進むまでに
至っていない(D.St.J.コリエ等、移植手法、vol.XX.N
o.1、226〜228頁、1988年)。
な毒性の副作用なしに、受容体においての移植の受容性
を高めるために使用可能な、免疫抑制活性を示す化合物
を見出だすことは、非常に有用であろう。
トレプトマイセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces h
ygroscopicus)によって産生される、FK506に対する多
少の構造性の類似を示す好脂性のマクロライド系抗生物
質である(ゼーガルS.N.他、抗生物質ジャーナル、vol.
28、727〜732頁、1975年及びエング、Cp等、抗生物質ジ
ャーナル、vol.37、1231〜1237頁、1984年)。
的なアレルギー性脳炎及びアジュバント関節炎並びに液
性の(IgE状の)抗体の形成を禁止することが報告され
ている(マーテルR.R.等、Can.J.Physio.Phamacol.55、
48〜51、1977年)。ラパマイシンがおそらくは、FK506
及びシクロスポリンからの異なった機構を介して、ネズ
ミのT細胞の活性化を禁止することも最近報告されてい
る。従って、FK506とシクロスポリンとの両方は、IL−
2の形成を阻止することによって、免疫反応の初期の段
階において作用することが見出されている。他方では、
ラパマイシンは、IL−2の形成を阻止しないが、成長促
進リンフオカインに対するT細胞の応答を禁止すること
によって、免疫反応の後期の段階において作用する(ス
タルッヒM.J.等、FASEBジャーナル、vol.3、No.3、アブ
ストラクト3411、1989年)。更に、ラパマイシンは、FK
506の免疫抑制効果を阻止するが、シクロスポリンAの
免疫抑制効果は阻止しないことも見出された(デュモン
F.J.等、FASEBジャーナル、vol.3、No.4、アブストラク
ト5256、1989年)。しかしこれらの報告には、哺乳動物
においての臓器又は組織の移植の拒絶を有効に禁止する
ためにラパマイシンを使用しうることについて、他の教
示も示唆もない。更に、これらの報告には、FK506及び
他の免疫抑制剤に附随する毒性の副作用が、移植手術に
おいて移植の拒絶を禁止するための薬剤としてラパマイ
シンを投与することによっては、多充分ひき起こされな
いことについての開示も推測もなされていない。
て、同種移植受容性を高める(又は、臓器又は組織の移
植の拒絶を禁止する)ことにある。
の慣用の化学療法薬の毒性を、低毒性の有用な化合物と
の組合せた投与によって低減させることにある。
マイシンから成る、移植拒絶の禁止が必要な哺乳動物に
投与される、哺乳動物の臓器又は組織の移植の拒絶を禁
止するための組成物によって解決される。
援用によって、本明細書の一部分となる。
絶を禁止する」及び「移植拒絶の禁止を持続させる」と
いう表現は、同種移植即ち供給体から受容体(どちらも
同じ種例えばホモサピエンスである)への、即ち種内
の、臓器又は組織の移植において、臓器又は組織の移植
の受容性を高くする(即ち、臓器又は組織の移植拒絶の
可能性を低くする)ことを意味している。
レプトミセス・ヒグロスコピクスから抽出可能な抗菌性
抗生物質である。ラパマイシンの調製法は、ゼーガル等
の米国特許第3929992号及び第3993749号に開示されてい
る。ラパマイシンのモノアシルおよびジアシル誘導体と
その製法は、ラキットの米国特許第4316885号に開示さ
れている。更に、ステラ等の米国特許第4650803号に
は、ラパマイシンの水溶性のプロドラッグ、即ちラパマ
イシン誘導体(ラパマイシンプロドラッグ即ちグリシン
プロドラッグ、プロピオネートプロドラッグ、及びピロ
リジノブチレートプロドラッグを含む)が開示されてい
る。
29992号、第3993749号、第4316885号及び第4650803号
(これらは、引用によって本明細書の一部分となる)に
記載されている、天然及び合成のラパマイシン、遺伝子
工学によるラパマイシン並びにラパマイシンの全ての誘
導体及びプロドラッグが用いられる。
リン、コルチコステロイド及びシクロスポリンに附随す
る毒性の副作用なしに哺乳動物においての免疫機構を抑
制するなどによって、移植拒絶を禁止する上の、ラパマ
イシンの効力を確めることができた。これらの毒性の副
作用には、腎毒症、重症の白血球減少症、血小板減少
症、クッシング症候群及び糖尿病が含まれる。
ち同じ種の供給体から受容体への臓器又は組織の移植に
おいて同種移植拒絶を低減させもしくは禁止することが
見出された。移植させれ内蔵及び組織の例には、心臓、
肝臓、腎臓、ひ臓、肺、小腸、すい臓、皮膚骨髄並びに
これらの組合せが含まれる。
う表現は、重い毒性の副作用例えば腎毒症又は腎不全等
をひき起こすことなしに哺乳動物の移植拒絶を禁止しか
つ移植拒絶禁止を持続させるために投与可能なラパマイ
シンの量(又は、移植拒絶を禁止するために1以上の他
の化学療法薬と組合されるラパマイシンの量)を意味す
る。当業者には明らかなように、臓器又は組織の移植を
これから受けるか、又は既に受けた人に投与される移植
拒絶禁止化合物の用量は、体重、年令などの個体の特性
並びに移植される臓器又は皮膚の種類などの他の要因を
含めた種々の要因によって変動する。
止量は、約0.5〜約50mg/kg/日、好ましくは、約1〜約5
mg/kg/日である。別の研究によれば、拒絶禁止のための
ラパマイシンの有効な治療用量は、約0.01〜約10mg/kg/
日、好ましくは、約0.025〜約5mg/kg/日である。この用
量は、間欠的に、例えば隔日又は3日おきに与えてもよ
い。臓器又は組織の移植拒絶を禁止するための1以上の
他の化学療法薬と組合せて投与する場合のラパマイシン
の有効治療量は、前記の値よりも少なくてよい。本発明
の別の局面によれば、ラパマイシンの移植拒絶禁止量
は、必要に応じて約1日ないし約180日又はそれ以上の
期間中投与する。当業者には明らかなように、移植拒絶
を禁止するための化合物、ドラッグ、薬剤その他は、移
植後の不特定の期間中、場合によっては、移植対象の哺
乳動物例えばヒトの一生に亘って投与してもよいが、そ
れはもちろん哺乳動物が重大な副作用なしに、化合物、
ドラッグ、薬剤その他に十分によく耐えられることが条
件である。
筋肉注射、腹腔内注射、皮下注射又は静脈注射によっ
て、哺乳動物の移植対象に投与することができる。好ま
しい投与経路は経口的な経路である。
水性分散体及び注射可能な無菌の溶液又は分散体を調製
するための無菌の粉末のような、非経口的な注射用に適
した薬学的形態を含めて、種々の薬学的形態において投
与することができる。更に、ラパマイシンは、経口投与
に便利なように、錠剤、キャプレット、カプセルその他
として投与することができる。ラパマイシンは、限定的
でない例として、油例えばオリーブ油、アルコール、プ
ロピレングリコール及びポリエチレングリコール並びに
ケモフオーEL(BASF)もしくはポリソルベート80のよう
な界面活性剤を含む薬学的に相容性又は受容性をもった
キャリヤ中において投与してもよい。
ッグ療法例えばトリプル療法、アザチオプリン(米国エ
ヌ・シー・リサーチ・トライアングル・パーク・バロー
ズ・ウエルカム社、登録商標名イムラン)、コルチコス
テロイド(米国ミシガン州カラマズー、アップジョン
社、商標名ソルーメドロール)、シクロスポリン及びシ
クロスポリンA(米国ニュージャージー州イースト・ハ
ノバー、サンドス・ファーマスーテイカルズ社、登録商
標名サンデイミューン)及びFK506(大阪府、藤沢薬品
(株)、商標名フジマイシン)と組合せてラパマイシン
を投与することに存する。移植拒絶を禁止するためのこ
れらの他の慣用される化学療法薬にラパマイシンを組合
せる場合には、移植前又は移植後に哺乳動物の移植対象
においての移植拒絶を禁止し、更に移植拒絶の禁止を持
続させるために、これらの毒性のドラッグ又は薬剤を比
較的少ない量使用するだけでよいので、化学療法薬の毒
性を有利に低減させることができる。
の或る量と組合されたa)ラパマイシンの或る量とから
成り、a),b)の各量の合計量が移植拒絶を禁止しかつ
移植拒絶を持続させるのに有効な量となるようにした、
移植拒絶の禁止及びその持続を必要とする哺乳動物の投
与される哺乳動物の臓器又は組織の移植の拒絶を禁止す
るための組成物を提供する。ここで、成分a),b)単独
では、移植拒絶を禁止したりその禁止を持続したりする
のに有効でないことがあるとしても、成分a),b)の組
合せは、移植拒絶を禁止したりその禁止を持続したりす
るのに有効である。
化学療法薬には、アザチオプリン、コルチコステロイ
ド、シクロスポリン(及びシクロスポリンA)ポリクロ
ーナル及びモノクローナル抗リンパ球抗体(OKT3)並び
にFK506又はこれらのものの任意の組合せが含まれる。
組織の種類、移植拒絶を禁止したりその禁止を持続させ
たりするための有効量、投与モードもしくは投与経路並
びに処置の期間などは、移植拒絶を禁止して移植拒絶の
禁止を持続させるための1以上の他の化学療法薬と組合
せてラパマイシンを投与することによる臓器又は組織の
移植拒絶の禁止方法に適用される。
に、連続的又は間欠的に投与することができる。また投
与経路もラパマイシンのために用いられるものと相違さ
せてもよい。即ち、これらの他の化学療法薬は、移植対
象の哺乳動物にラパマイシンを経口的に投与する際に、
非経口的に投与することができる。
一層詳細に説明する。
植を行なった。DA,PVGはラットの特別の血統である。ラ
パマイシンは、術後3〜6日の間のみドラッグを受けた
第6群を除いて術後最初の10日間オリーブ油中において
筋肉注射によって投与した。移植生存を日々の触診によ
って評価した。
免疫抑制性か否かを試験する上に、2つの実験、即ち、
腎移植後の犬に短期間投与する実験又はやはり腎移植後
の豚に不特定期間投与する実験が適切と考えられた。
と受容体との間の組織不適合性を確めるための混合リン
パ球培養(MLC)を行なった。無処置の対照平均生存時
間は10日よりも短かい。ラパマイシンは、術後の第1日
に始まって毎日経口的に2mg/kgの用量において投与し
た。
与した(18mg/ml及び10mg/ml懸濁を使用した)。
に、異所性の心臓同種移植をラットのくびに行なった
(I.ヘロン著,Acta Pathol.Microbio.Scand.79:366,197
1年)。ラパマイシンを最大濃度15mg/mlにおいて、オリ
ーブ油中に溶解させ、0.5mg/kgから50mg/kgの範囲で変
化する投与スケジユールに従って、10日間つづけて、
(最後の群については3〜6日について10mg/kgの投与
量において)毎日筋肉注射によって投与した。移植の生
存は、心臓の毎日の触診によって評価した。
種移植の生存を長くした。体重は多少減少したが、これ
はFK506をラットに投与した場合に見られるほど顕著で
はなかった。
こされ、0.25mg/kgより多い用量の場合、非常に重い症
状が発現されたため、28日間の研究の終了前に殺した。
このように用量を多くすると、脉管炎は、消化系を冒
し、興味あることに、血小板減少症をひき起こした。リ
ンパ球組織の細胞、特にB細胞の著しい減少を生じた。
犬の場合、消化系に特別の好みを示すと思われる脉管炎
による毒性は、この特別のモデルにおいてドラッグの免
疫抑制効果を評価することを不可能にした。ラパマイシ
ンに対するこの種特異な応答は、本発明者及び協力者の
同様の末刊の論文の論旨を確認するものであった。
す。
うに〔カルネR.Y.等、Brit.J.Surg.59:969〜977(197
2)〕豚について行なった。供給体及び受容体の対を、
親の異なる同産群から得て、混合リンパ球反応(ブラッ
ドレーB.A等、組織抗原,4:283〜290,1974年)によっ
て、主要組織適合性コンプレックス(MHC)において不
適合性を確認した。ラパマイシンは、濃度10mg/mlにお
いて、オリーブ油に溶解させ、2mg/kg/日において経口
投与した。
し、別の1頭は、技術的な失敗によって死亡した。残り
の8頭は、最初の約10%の体重の損失後に良好な回復を
示した。その後、約50日目に5頭は、食欲欠乏を示し、
下痢により不健康となったため殺すことになった。これ
らの豚は、組織検査により、多分過度な免疫抑制のため
間質性肺炎にかかっていることが示され、これが不健康
の原因とされた。更に腎組織の検査は、4日間ドラッグ
を受けなかった1頭がわずかな拒絶を示したことを除い
ては、拒絶の証左を示さなかった。これらの動物の結腸
の組織学的な検査は、粘膜及び粘膜下組織の浮腫を示し
たが、脉管炎又は潰瘍化は示さなかった。従って、これ
は肺炎の系統的効果に対して2次的なものと考えられ
た。残りの3頭は全て生存し、全ての投与は表2に示す
ように中止された。
でより有効であっても、ラットの場合、0.5mg/kgの用量
まで無毒性であった。
したので、1mg/kgの用量では、ドラッグに対する耐容性
が認められた。組織検査によって、結腸炎が見られた
が、脉管炎は認められず、その兆候もなかった。ラパマ
イシンは、免疫抑制剤として有効であったが、2mg/kgの
50日間の連続投与の後、50%の動物は過度な免疫抑制の
ため、間質性肺炎を起こしたので殺された。しかし、ど
の動物にも結腸の潰瘍形成又は脉管炎の証左は見られな
かった。従って、将来の研究では、血液ドラッグレベル
のモニターが有用となろう。
いての同種移植拒絶を禁止するために使用可能な、非常
に有効な免疫抑制剤である。
Claims (3)
- 【請求項1】移植拒絶禁止量のラパマイシンから成る、
移植拒絶の禁止が必要な哺乳動物に投与される、哺乳動
物の臓器又は組織の移植の拒絶を禁止する組成物。 - 【請求項2】移植拒絶を禁止しかつ移植拒絶の禁止を持
続させるのに有効な量のラパマイシンから成る、移植拒
絶の禁止及びその持続が必要な哺乳動物に投与される、
哺乳動物の臓器又は組織の移植の拒絶を禁止する組成
物。 - 【請求項3】b)移植禁止のための1以上の他の化学療
法薬の或る量と組合されたa)ラパマイシンの或る量か
ら成り、a),b)の各量の合計量が移植拒絶を禁止しか
つ移植拒絶を持続させるのに有効な量となるようにし
た、移植拒絶の禁止及びその持続が必要な哺乳動物に投
与される、哺乳動物の臓器又は組織の移植の拒絶を禁止
する組成物。
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