JP2965311B2 - フローティング部保持機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、シャーシに弾性部材及び防振ダンパによっ
て支持されるフローティング部を保持するフローティン
グ部保持機構に関するものである。

［従来の技術］ 一般に車載用CDプレーヤにはシャーシに弾性部材及び
防振ダンパによって支持されるフローティング部が配設
されている。このフローティング部にはCDを再生するた
めの部材であるスピンドルモータ、ターンテーブル、ピ
ックアップ送り機構などが搭載されている。この様なフ
ローティング部はシャーシに振動が加えられてもこの振
動を弾性部材及び防振ダンパが吸収する。従って車両走
行中の振動がCD再生中に音とびして悪影響を及ぼすこと
を防止できる。

ところで、車載用CDプレーヤには上記のフローティン
グ部を保持するフローティング部保持機構を備える必要
がある。このフローティング部保持機構は搬送するCDと
フローティング部に配設されたターンテーブルとの位置
関係を正確に出すため、CDのウェイティング時、ローデ
ィング時及びイジェクト時にフローティング部を保持す
るようになっている。即ち、CDのローディングの際には
CDの前進動作及びCDをターンテーブル上に固定するクラ
ンプ動作が行われる。そこでフローティング部保持機構
はフローティング部に対して上下方向、前後方向及び左
右方向の規制を行っている。つまり上下方向の規制は搬
送するCDをターンテーブルとクランプ手段との間に搬送
するために必要であり、また前後方向の規制はCDとター
ンテーブルのセンタが合致したセンタリングされた状態
を検出するために要求されている。さらに左右方向の規
制はセンタリング検出の正確さ及びフローティング部保
持力を向上させるために重要となっている。

［発明が解決しようとする課題］ ところで以上のようなフローティング部保持機構はCD
を確実にローディングさせる極めて重要な機構であるた
め、従来技術では多数の部材によって構成されている。
従って、生産コストが高騰し、経済的に不利であった。

本発明は上記のような従来技術の持つ課題を解決する
ために提案されたものであり、その目的は少ない構成部
材で確実な保持力を有し、且つ部材数の削減により安価
なフローティング部保持機構を提供することである。

［課題を解決するための手段］ 以上のような課題を解決するため、本発明は、シャー
シに弾性部材及び防振ダンパによって支持されるフロー
ティング部を保持するフローティング部保持機構におい
て、モータの駆動力にて前後方向に移動可能なシフトプ
レートと、前記シフトプレートの端部に設けられ、該シ
フトプレートの移動により回動されるリンク機構と、前
記リンク機構の回動によってシフトプレートの移動方向
と同方向に移動されるロックプレートを備え、前記シフ
トプレートには、前記フローティング部の移動を一方側
から規制する第１のロック機構が設けられ、前記リンク
機構には、前記フローティング部の移動を他方側から規
制する第２のロック機構が設けられ、前記ロックプレー
トには、前記フローティング部の移動を前記一方側から
規制する第３のロック機構が設けられ、前記フローティ
ング部には、前記第１、第２及び第３のロック機構と係
合可能な係合部がそれぞれ設けられていることを特徴と
する。

［作用］ 以上のような構成を有する本発明の作用は次の通りで
ある。

即ち、CDのウェイティング時、ローディング時及びイ
ジェクト時にはシフトプレート、リンク機構及びロック
プレートに各々設けられた第１、第２及び第３のロック
部がフローティング部の係合部に係合して上下方向、前
後方向及び左右方向の規制を行うことができる。従っ
て、正確にセンタリングされたCDをターンテーブルとク
ランプ手段との間に確実に搬送することができる。

一方、CDの吸込みが完了するとモータの駆動力がシフ
トプレートに伝わり、シフトプレートが移動する。そし
て、シフトプレートの移動によりリンク機構が回動動作
を行い、さらにリンク機構の動作によってロックプレー
トが移動する。このようにしてシフトプレート、リンク
機構及びロックプレートに各々設けられた第１、第２及
び第３のロック部はフローティング部の係合部から解除
される。

［実施例］ 以上述べた本発明のフローティング部保持機構の一実
施例を図面に基づいて具体的に説明する。

ここで、１はフローティング部、２はシフトプレー
ト、３、４はリンク、5L、5Rはロックリンク、７はロッ
クプレートである。

第１図及び第２図に示すようにフローティング部１の
図中右方にはシフトプレート２が配設されている。この
シフトプレート２はラックギヤ８を付設しており、所定
の機構を介してモータからの駆動力をラックギヤ８に受
け、前後方向（第１図中上下方向）に移動するようにな
っている。また第３図にも示すようにシフトプレート２
の前端部にはフローティング部１方向に突出する第１の
ロック部2aが形成されている。

さらに、シフトプレート２の後端部には回動自在なリ
ンク機構が配設されている。このリンク機構は回動自在
に係合し合うリンク３、４及びロックリンク5R、5Lから
構成されており、シフトプレート２の前後動により移動
するようになっている。このリンク機構のうち、リンク
３がシフトプレート２の後端部に係合し、ロックリンク
5Lがロックプレート７の後端部に係合している。また、
ロックリンク5R、5Lにおいて、シフトプレート２の移動
方向と逆方向に回動する部位に第２のロック部5a、5aが
設けられている。

一方、ロックプレート７はフローティング部１の図中
左方に配設されており、ロックリンク5Lの回動力により
前後方向に移動するようになっている。また、第４図に
も示すようにロックプレート７の前端部にはフローティ
ング部１方向に突出する第３のロック部7aが形成されて
いる。

ところで、第３図に示すようにフローティング部１の
右側縁部中央には第１のロック部2aに係合する係合部1a
が設けられている。また、フローティング部１の後縁部
両端には第２図に示すように第２のロック部5a、5aに係
合する係合部1b、1cが設置されている。さらに、フロー
ティング部１の左側縁部前部には第４図に示すように第
３のロック部7aに係合する係合部1dが形成されている。
なお、本実施例の各係合部1a乃至1dはＶ字溝を形成して
おり、底部に各ロック部が挿入する切欠が設けられてい
る。

以上のような構成を有する本実施例の作用は以下の通
りである。

ロック状態…第１図乃至第３図 即ち、CDのウェイティング時、ローディング時及びイ
ジェクト時には第１、第２及び第３のロック部2a、5a、
5a及び7aがフローティング部の係合部1a、1b、1c及び1d
にそれぞれ係合している。従って、これら４つのロック
部はフローティング部の上下方向の規制を行っている。

また、第２のロック部5a、5aはリンク機構においてシ
フトプレート２の移動方向と逆方向に移動する部位に設
けられているため、第１のロック部2aと向い合う方向か
らフローティング部１をロックする。つまり、第１のロ
ック部2aがフローティング部１を前方から規制し、第２
のロック部5a、5aがフローティング部１を後方から規制
する。その結果、第１のロック部2a及び第２のロック部
5a、5aによってフローティング部１が挟持され、前後方
向の規制を行う。また、第３のロック部7aはフローティ
ング部１を前方から規制する。

さらにリンク３及びロックリンク5Lは各々シフトプレ
ート２及びロックプレート７と係合しているため、これ
らシフトプレート２及びロックプレート７がフローティ
ング部１にロックされている場合、リンク３、４及びロ
ックリンク5L、5Rはその回動が規制される。従って、第
２のロック部5aに係合するフローティング部１もまた左
右方向の規制が行われる。

以上のように、本実施例は第１、第２及び第３のロッ
ク部2a、5a及び7aがフローティング部１の係合部1a乃至
1dに係合して上下方向、前後方向及び左右方向の規制を
行うことができる。従って、正確にセンタリングされた
CDをターンテーブルとクランプ手段との間に確実に搬送
することができる。

動作途中状態…第５図、第７図、第９図 一方、CDの吸込みが完了するとモータ（図示せず）の
駆動力がラックギヤ８を介してシフトプレート２に伝わ
り、シフトプレート２が前進を開始する。従って、第７
図に示すように第１のロック部2aが係合部1aから解除さ
れる。

この時、第５図に示すように、リンク３及びロックリ
ング5Rが図中反時計方向に回転し、リンク４及びロック
リンク5Lが図中時計方向に回転する。従って、第２のロ
ック部5a、5aはシフトプレート２の移動方向と逆方向で
ある後方に移動し、係合部1b、1cから解除される。

さらに、ロックリンク5Lが図中時計方向に回転するた
め、ロックリンク5Lの左端部に係合しているロックプレ
ート７は前方に押圧される。そして、第９図に示すよう
に第３のロック部7aが係合部1dから解除される。

ロック解除状態…第６図、第８図、第10図 さらに、シフトプレート２の前進が完了すると、第
１、第２及び第３のロック部2a、5a及び7aがフローティ
ング部の係合部1a乃至1dから完全に解除される。その結
果、フローティング部１は振動が加わらないよう支持さ
れ、所定の位置からずれることがない。従って、CD再生
中の音とびなどの不具合を防止できる。

なお、本発明のフローティング部保持機構は以上のよ
うな実施例に限定されるものではなく、リンク機構のリ
ンク数は適宜選択可能であり、例えば１つでも良い。
又、各部材の寸法及び形状は適宜変更可能である。ま
た、前後方向と左右方向とは水平方向においてほぼ直交
する方向を示すものであり、相対的であるため、第１の
ロック部及び第２のロック部がフローティング部の左右
方向の規制を行い、リンク機構が前後方向の規制を行う
もので構わない。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明によれば、モータの駆動力
により移動するシフトプレートに第１のロック部を、シ
フトプレートの移動により回動するリンク機構に少なく
とも１つの第２のロック部を、さらにリンク機構により
移動するロックプレートに第３のロック部をそれぞれ配
設し、一方フローティング部にこれら第１、第２及び第
３のロック部が係合する係合部を形成するという簡単な
構成によって、少ない構成部材で確実なフローティング
部の保持及びその解除を行うことができ、且つ部材数の
削減により安価なフローティング部保持機構を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の平面図、第２図は本実施例
のロック状態の正面図、第３図は本実施例のロック状態
の右側面図、第４図はロック状態の本実施例の左側面
図、第５図及び第６図は本実施例の平面図、第７図及び
第８図は本実施例の右側面図、第９図及び第10図は本実
施例の左側面図であり、第５図、第７図及び第９図は本
実施例の動作途中状態、第６図、第８図及び第10図は本
実施例のロック解除状態を示すものである。 １……フローティング部、２……シフトプレート、３、
４……リンク、5L、5R……ロックリンク、７……ロック
プレート、８……ラックギヤ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シャーシに弾性部材及び防振ダンパによっ
   て支持されるフローティング部を保持するフローティン
   グ部保持機構において、 モータの駆動力にて前後方向に移動可能なシフトプレー
   トと、 前記シフトプレートの端部に設けられ、該シフトプレー
   トの移動により回動されるリンク機構と、 前記リンク機構の回動によってシフトプレートの移動方
   向と同方向に移動されるロックプレートを備え、 前記シフトプレートには、前記フローティング部の移動
   を一方側から規制する第１のロック機構が設けられ、 前記リンク機構には、前記フローティング部の移動を他
   方側から規制する第２のロック機構が設けられ、 前記ロックプレートには、前記フローティング部の移動
   を前記一方側から規制する第３のロック機構が設けら
   れ、 前記フローティング部には、前記第１、第２及び第３の
   ロック機構と係合可能な係合部がそれぞれ設けられてい
   ること、 を特徴とするフローティング部保持機構。