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JP2826586B2 - 拭き布の製造方法 - Google Patents

拭き布の製造方法

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Publication number
JP2826586B2
JP2826586B2 JP4089650A JP8965092A JP2826586B2 JP 2826586 B2 JP2826586 B2 JP 2826586B2 JP 4089650 A JP4089650 A JP 4089650A JP 8965092 A JP8965092 A JP 8965092A JP 2826586 B2 JP2826586 B2 JP 2826586B2
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JP
Japan
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long
paper sheet
fibers
pulp
fiber
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JP4089650A
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JPH05253160A (ja
Inventor
秀男 池沢
忍 渡辺
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OJI SEISHI KK
Original Assignee
OJI SEISHI KK
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Publication date
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Application filed by OJI SEISHI KK filed Critical OJI SEISHI KK
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  • Cleaning Implements For Floors, Carpets, Furniture, Walls, And The Like (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き,ウェ
ットティシュー,ワイパー,使い捨て雑巾等の拭き布の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、使い捨て手拭き等の拭き布と
して、パルプ繊維を嵩高に集積してなる乾式パルプシー
トに、水や薬剤等をしみこませたものが使用されてい
る。しかし、乾式パルプシートは、水や薬剤等をしみこ
ませた後の濡れ強度が低く、使用中に破れやすいという
欠点があった。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積した後、レーヨン繊維相互間をゴム系結合剤で結合し
た不織布に、水等をしみこませたものも使用されてい
る。この拭き布は、レーヨン繊維相互間が結合されてい
るので、高い濡れ強度を示すものである。しかし、拭き
布にゴム系結合剤が含有されているため、異臭がすると
いう欠点があった。また、ゴム系結合剤のざらざらとし
た手触りのため、拭き布の使用感が悪いという欠点もあ
った。このため、ゴム系結合剤を使用せずに、レーヨン
繊維相互間を絡合させた不織布を使用するという試みも
行なわれている。レーヨン繊維相互間の絡合には、レー
ヨン繊維が集積されたウェブに水柱流を施すことが考え
られる。しかしながら、水柱流による絡合を十分に付与
するためには、レーヨン繊維の集積量が多くなければな
らないということがあった。即ち、レーヨン繊維の集積
量の少ないウェブは、レーヨン繊維相互間に比較的大き
な間隙が形成されており、水柱流を施しても、その水柱
流はレーヨン繊維に衝突せずに、その間隙を通して容易
にウェブをすりぬけるのである。即ち、レーヨン繊維に
運動エネルギーを十分に与えないため、レーヨン繊維が
十分に運動せず、その結果レーヨン繊維相互間が絡合し
ないのである。従って、レーヨン繊維相互間を十分に絡
合させようとすると、レーヨン繊維の集積量を多くし
て、レーヨン繊維相互間に形成される繊維間隙を小さく
する必要があるのである。しかし、レーヨン繊維の集積
量を多くすると、得られる拭き布の厚みが厚くなり、使
い捨て手拭き等として使用するには、過剰品質になると
いう欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、本件出願人
はレーヨン繊維等の集積量が少なくとも、水柱流による
絡合が可能となる技術を検討した。その結果、レーヨン
繊維等が集積されてなるウェブにおいて、レーヨン繊維
相互間の比較的大きな間隙を塞いでおくことが有効であ
ることに想い到り、特願平3-204875号に係る発明を提案
した。この発明は、レーヨン長繊維等の長繊維が集積さ
れてなるウェブの表面に薄葉紙を積層して、高圧水柱流
を施すことを特徴とする拭き布の製造方法に関するもの
である。この方法によって、薄葉紙を構成するパルプ繊
維と長繊維とが良く絡合し、更にパルプ繊維を介して長
繊維相互間も良く絡合し、吸水性が良好で、且つ湿潤強
度の高い拭き布が得られるのである。
【0005】しかしながら、この方法によって、拭き布
を製造した場合、製造中に各種のトラブルが発生した。
例えば、薄葉紙に高圧水柱流を施したときに、薄葉紙が
著しく破壊され、パルプ繊維が空中に飛散するというこ
とがあった。このトラブルにより、薄葉紙を構成するパ
ルプ繊維が、長繊維と均一に絡合せず、パルプ繊維が存
在しない箇所を持つ、不均一な拭き布しか得られないと
いう欠点が発生した。また、空中にパルプ繊維が飛散す
るため、得られる拭き布中における、パルプ繊維の量が
少なくなり、吸水性が低下するということもあった。更
に、使用後の高圧水柱流は回収されて、フィルター材で
瀘過され、その水を高圧水柱流として再使用するわけで
あるが、薄葉紙が著しく破壊されたり或いは空中にパル
プ繊維が飛散すると、高圧水柱流を回収する際に、その
中にパルプ繊維が混入し、フィルター材の目詰まりが激
しく、長期間に亙る連続操業が行なえなくなるという欠
点があった。また、高圧水柱流を回収しないで、そのま
ま廃液として排出する場合にも、パルプ繊維が混入して
いると、廃液による環境破壊を惹起するという恐れもあ
る。
【0006】そこで、本発明は、特願平3-204875号に係
る発明を改良することによって、上記に示した欠点を回
避しようというものである。即ち、本発明は、使用する
薄葉紙として、ある特定の湿潤引張強さを持つ紙シート
を採用することにより、長繊維ウェブと積層して高圧水
柱流を施しても、紙シートが著しく破壊されたり、或い
は紙シートを構成するパルプ繊維が飛散したりすること
を抑制し、もってパルプ繊維と長繊維とが比較的均一に
絡合されると共に、使用した紙シート中のパルプ繊維が
有効に長繊維と絡合された拭き布を提供しようというも
のである。更に、拭き布の製造工程において用いる高圧
水柱流を回収する際に、その中にパルプ繊維が混入する
割合を減少させることによって、拭き布の製造を長期間
に亙って連続操業しうるようにしようというものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、多数の
長繊維が集積されてなる長繊維ウェブの表面に、JISP 8
135に示された方法で25mm巾の試験片について測定した
湿潤引張強さが、0.04〜0.6kgfである紙シートを積層し
た後、該紙シートの表面から長繊維ウェブ側に向けて高
圧水柱流を施すことにより、該紙シートを構成するパル
プ繊維と該長繊維とを絡合させることを特徴とする拭き
布の製造方法に関するものである。
【0008】まず、本発明においては、多数の長繊維が
集積されてなる長繊維ウェブを準備する。ここで、長繊
維としては、従来公知の長繊維を使用することができ、
例えばレーヨン長繊維,ポリオレフィン系長繊維,ポリ
エステル系長繊維、ポリアミド系長繊維,ポリアクリル
酸エステル系長繊維等を使用することができる。本発明
において、長繊維を使用する理由は、長繊維よりなる長
繊維ウェブは、短繊維よりなる短繊維ウェブよりも、繊
維間が絡合している場合、引張強度や形態安定性に優れ
ているからである。また、長繊維の繊度は、1〜4デニー
ルであるのが好ましい。長繊維の繊度が4デニールを超
えると、長繊維ウェブの柔軟性が低下し、拭き布として
使用した場合の使用感が低下する傾向が生じる。逆に、
長繊維の繊度が1デニール未満になると、長繊維の製造
条件等が厳密になって、長繊維、ひいては長繊維ウェブ
を高速度で製造しにくくなる傾向が生じる。また、長繊
維ウェブの坪量は、5〜30g/m2であるのが好ましい。
長繊維ウェブの坪量が30g/m2を超えると、紙シート
と長繊維ウェブとの積層物に、紙シートから長繊維ウェ
ブ側に向けて高圧水柱流を施しても、紙シートを構成す
るパルプ繊維が、長繊維ウェブの裏面(紙シートと当接
していない面)に移動しにくくなり、得られる拭き布の
片面にのみパルプ繊維が偏在した状態となって、パルプ
繊維の少ない面における吸水性が低下する傾向が生じ
る。逆に、長繊維ウェブの坪量が5g/m2未満になる
と、長繊維ウェブの形態安定性が低下し、得られる拭き
布の湿潤強度が低下する傾向が生じる。更に、長繊維相
互間の間隙が大きくなって、高圧水柱流を施したとき
に、その間隙からパルプ繊維が流出してしまい、使用後
の高圧水柱流を回収した場合、その中にパルプ繊維が大
量に混入する恐れが生じる。なお、本発明において使用
する長繊維ウェブは、長繊維相互間が自己融着した、い
わゆる長繊維不織布であってもよいし、また長繊維相互
間が結合していないフリース状の長繊維フリースであっ
てもよい。特に、前者の長繊維不織布のうちでも、長繊
維相互間が自己融着した点融着区域が、散点状に多数配
置されたものを使用するのが好ましい。この理由は、長
繊維相互間が自己融着している点融着区域を持つため、
形態安定性に優れると共に、点融着区域以外の区域にお
いては長繊維相互間が自己融着されておらず、自由な状
態で集積されているため、柔軟性に優れ、且つパルプ繊
維と良好に絡合しやすいからである。
【0009】以上のようにして準備した長繊維ウェブの
表面に、紙シートを積層する。本発明で重要なことは、
この紙シートとして、ある特定の湿潤引張強さを持つも
のを使用する点にある。即ち、紙シートとして、JIS P
8135に示された方法で25mm巾の試験片について測定した
湿潤引張強さが0.04〜0.6kgfである紙シートを使用しな
ければならない。特に、好ましくは、湿潤引張強さが0.
06〜0.5kgfの紙シートを使用するのがよい。紙シートの
湿潤引張強さが0.04kgf未満であると、高圧水柱流によ
って積層された紙シートが長繊維ウェブに密着する前
に、著しく破壊され、或いは紙シートを構成するパルプ
繊維が飛散するため、パルプ繊維と長繊維とが全体に亙
って均一に絡合しにくくなるため、好ましくない。ま
た、紙シートが破壊されることによって、紙シートが切
断してしまい、連続して長繊維ウェブ表面に紙シートを
供給することが不可能になる恐れがあるため、好ましく
ない。更に、紙シートが破壊されて部分的にかたより、
皺が発生し、この皺の部分において長繊維とパルプ繊維
とが絡合しにくくなる恐れがあるため、好ましくない。
逆に、紙シートの湿潤引張強さが0.6kgfを超えると、高
圧水柱流を施しても、それによって紙シートを構成する
パルプ繊維が運動しにくく、パルプ繊維と長繊維とが絡
合しにくくなるため、好ましくない。また、パルプ繊維
が長繊維と十分に絡合していないと、長繊維ウェブの片
面にパルプ繊維が偏在した状態となり、パルプ繊維の量
が少ない面における吸水性が低下するため、好ましくな
い。紙シートの湿潤引張強さを特定の範囲にする方法
は、特に限定するものではないが、例えばポリアミドエ
ピクロルヒドリンやメラミン等の一般的な湿潤紙力増強
剤を配合しても良い。
【0010】使用する紙シートの坪量は、任意に決定し
うる事項であるが、特にJIS P 8124に示された方法で測
定した坪量が10〜100g/m2である紙シートを使用する
のが好ましい。紙シートの坪量が10g/m2未満である
と、パルプ繊維の絶対量が少なく、得られる拭き布に十
分な吸水性や保水性を与えにくくなるという傾向が生じ
る。逆に、紙シートの坪量が100g/m2を超えると、パ
ルプ繊維の絶対量が多すぎて、紙シートに高圧水柱流を
施しても、一個一個のパルプ繊維に長繊維と絡合しうる
程度の運動量を与えにくくなる傾向が生じる。更に、パ
ルプ繊維の絶対量が多すぎて、得られる拭き布の柔軟性
が低下する傾向が生じる。
【0011】紙シートを構成するパルプ繊維としては、
針葉樹及び広葉樹木材をクラフト法,サルファイト法,
ソーダ法,ポリサルファイド法等で蒸解された未晒パル
プ繊維若しくは晒パルプ繊維、又はグランドパルプ繊
維,サーモメカニカルパルプ繊維等の機械パルプ繊維
を、単独で又は混合して使用することができる。針葉樹
パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、好まし
くは、針葉樹パルプ繊維/広葉樹パルプ繊維=100〜20
/0〜80、最も好ましくは100〜40/0〜60の範囲であ
る。広葉樹パルプ繊維が80%を超えると、高圧水柱流に
よるパルプの消失量が増加するばかりでなく、絡合後の
シートの柔軟性が低下する傾向となる。また、本発明に
使用される紙シートの密度(JIS P 8118に示された方法
で測定)は、0.6g/cm3以下であるのが好ましく、特に
0.55g/cm3以下であるのが最も好ましい。紙シートの
密度が0.6g/cm3を超えると、紙シートの上から高圧水
柱流を施した場合に、パルプ繊維の運動が抑制され、絡
合のために必要なエネルギー量が増大する傾向が生じ
る。
【0012】この紙シートは、予め準備した長繊維ウェ
ブ表面に積層される。この際、長繊維ウェブの坪量と紙
シートの坪量の比は、以下のようにするのが好ましい。
即ち、長繊維ウェブの坪量と、JIS P 8124に示された方
法で測定した紙シートの坪量の比が、長繊維ウェブ:紙
シート=1:1〜19となるようにするのが、好ましい。長
繊維ウェブ:紙シート=1:1未満となると、長繊維の量
に対して、相対的にパルプ繊維の量が少なくなり、得ら
れる拭き布の吸水性や保水性が低下する傾向が生じる。
また、長繊維に対して、廉価なパルプ繊維の量が少なく
なることによって、得られる拭き布自体が高価になると
いう傾向が生じる。逆に、長繊維ウェブ:紙シート=
1:19を超えて、紙シートの坪量が重くなると、紙シー
トを構成するパルプ繊維の全てが強固に長繊維と絡合し
にくくなり、得られる拭き布を湿潤させて使用した場合
に、パルプ繊維が脱落しやすくなる傾向が生じる。
【0013】長繊維ウェブの表面に紙シートを積層した
後、紙シートの表面から長繊維ウェブ側に向けて高圧水
柱流を施す。即ち、積層物の紙シート側から長繊維ウェ
ブ側へ高圧水柱流が貫通するようにして、高圧水柱流を
施すのである。この高圧水柱流は、微細な直径のノズル
孔を通して、高圧で水を噴出させて得られるものであ
る。例えば、孔径0.01〜0.3mm程度のノズル孔を通し
て、10〜150kg/cm2程度の圧力で水を噴出させて得られ
るものである。この水柱流を積層物に施すと、高圧水柱
流は紙シートに衝突する。そして、紙シートはまず長繊
維ウェブ上に密着し、次いでこの密着した状態で、紙シ
ートの破壊が生じ、紙シートを構成するパルプ繊維を単
離させ、パルプ繊維に曲げや捩れ等の変形を起こさせる
と共に、パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与え、こ
のパルプ繊維にランダムな運動を生じさせる。その結
果、これらの複合作用によって、パルプ繊維と長繊維ウ
ェブ中の長繊維とが絡み合い、更に、このパルプ繊維に
よって長繊維同士も絡合することになるのである。
【0014】以上のようにして得られた拭き布は、パル
プ繊維と長繊維が絡合されて一体化したものである。そ
して、この拭き布には、所望に応じて、水やプロピレン
グリコール等の湿潤剤,アルコール類やパラ安息香酸等
の抗菌剤,防黴剤,香料等の薬剤等が付与されて、使い
捨て手拭き,ウェットティシュー,ワイパー,使い捨て
雑巾等として使用されるのである。
【0015】
【実施例】
実施例1 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を
構成する長繊維の繊度は、2.5デニールであり、長繊維
不織布の坪量は、20g/m2であった。この長繊維不織
布の表面に、針葉樹晒クラフトパルプ繊維を用い湿式抄
紙して得られた紙シートを積層した。この紙シートは、
JIS P 8135に示された方法で25mm巾の試験片について測
定した湿潤引張強さが0.1kgfであり、その坪量は30g/
2で、またJIS P 8118に示された方法で測定した密度
は0.35g/cm3あった。そして、紙シートが上に位置
し、長繊維不織布が下に位置するようにして、金網で形
成された移送コンベア上に載置した。次いで、この積層
物を30m/分の速度で移送させながら、孔径0.1mmのノ
ズル孔が1mm間隔で並んでいる高圧水柱流噴出装置を用
いて、30kg/cm2の水圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シ
ートの表面に高圧水柱流を施した。以上のようにして、
紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布を
構成している長繊維とが絡合して、一体化された拭き布
を得た。
【0016】実施例2 ポリエチレンテレフタレート長繊維が集積されてなり、
且つこのポリエチレンテレフタレート長繊維相互間が自
己融着された点融着区域を多数持つ長繊維不織布を準備
した。この長繊維不織布を構成する長繊維の繊度は、2.
3デニールであり、長繊維不織布の坪量は、20g/m2
あった。この長繊維不織布の表面に、針葉樹晒クラフト
パルプ繊維80重量%と広葉樹晒クラフトパルプ繊維20重
量%の混合物を用い湿式抄紙して得られた紙シートを積
層した。この紙シートは、JISP 8135に示された方法で2
5mm巾の試験片について測定した湿潤引張強さが0.3kgf
であり、その坪量は80g/m2で、またJIS P 8118に示
された方法で測定した密度は0.54g/cm3あった。そし
て、紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下に位置す
るようにして、金網で形成された移送コンベア上に載置
した。次いで、この積層物を30m/分の速度で移送させ
ながら、孔径0.1mmのノズル孔が1mm間隔で並んでいる高
圧水柱流噴出装置を用いて、60kg/cm2の水圧で高圧水
柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧水柱流を施し
た。以上のようにして、紙シートを構成しているパルプ
繊維と、長繊維不織布を構成している長繊維とが絡合し
て、一体化された拭き布を得た。
【0017】実施例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を
構成する長繊維の繊度は、2.0デニールであり、長繊維
不織布の坪量は、10g/m2であった。この長繊維不織
布の表面に、坪量22g/m2のペーパータオル(王子製
紙株式会社製)を積層した。このペーパータオルは、JI
S P 8135に示された方法で25mm巾の試験片について測定
した湿潤引張強さが0.10kgfであった。そして、紙シー
トが上に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにし
て、金網で形成された移送コンベア上に載置した。次い
で、この積層物を30m/分の速度で移送させながら、孔
径0.15mmのノズル孔が1mm間隔で並んでいる高圧水柱流
噴出装置を用いて、30kg/cm2の水圧で高圧水柱流を噴
出させ、紙シートの表面に高圧水柱流を施した。以上の
ようにして、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長
繊維不織布を構成している長繊維とが絡合して、一体化
された拭き布を得た。
【0018】比較例1 JIS P 8135に示された方法で25mm巾の試験片について測
定した湿潤引張強さが0.03kgfである紙シートを用いる
以外は、実施例1と同様の方法で拭き布を得た。この拭
き布の製造中において、紙シートは著しく破壊され、パ
ルプ繊維が飛散した。また、紙シートの切断により、連
続操業が不可能となった。
【0019】比較例2 紙シートの坪量を20g/m2とし、且つ高圧水柱流の噴
出圧力を40kg/cm2とした以外は、比較例1と同様にし
て拭き布を得た。この拭き布の製造中において、紙シー
トは著しく破壊され、パルプ繊維が飛散した。また、紙
シートの切断により、連続操業が不可能となった。
【0020】比較例3 実施例1で使用した長繊維不織布をそのまま拭き布とし
た。
【0021】比較例4 実施例1で使用した紙シートをそのまま拭き布とした。
【0022】実施例1,2、及び比較例1〜4で得られ
た拭き布を下記のテストに供し、その品質を評価した。
この結果を表1に示した。
【表1】 記 1)吸水性:拭き布の吸水性を官能評価によって判定し
た。官能評価は、次の5段階で行なった。5…極めて速
やかに水を吸水した。4…速やかに水を吸水した。3…
吸水性は普通であった。2…ややゆっくりと水を吸水し
た。1…ゆっくりと水を吸水した。 2)保水性:拭き布を水に30秒浸漬した後、水から取り出
し、坪量250g/m2の瀘紙に挟んで、荷重5g/m2で30
秒間保持して処理した後、次の式で保水性を評価した。
保水性(%)=[(処理後の拭き布の重量−処理前の拭
き布の重量)/処理前の拭き布の重量]×100 3)拭き取り性:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞った状
態で机を擦り、拭き取り性と拭き布の強度を官能で評価
した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…拭き取
り性に極めて優れていると共に、強度低下は殆どなかっ
た。4…拭き取り性に優れていると共に、強度低下も少
なかった。3…拭き取り性及び強度低下の両者共に普通
であった。2…拭き取り性がやや不良であると共に、強
度もやや低下した。1…拭き取り性が不良であると共
に、強度低下も激しかった。 4)手触り感:拭き布の手触り感を官能で評価した。官能
評価は、次の5段階で行なった。5…ざらざらせず、手
触り感に極めて優れていた。4…ざらざらせず、手触り
感に優れていた。3…手触り感は普通であった。2…や
やざらざらし、手触り感が劣っていた。1…ざらざら
し、手触り感が悪かった。 5)繰り返し使用性:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞
り、次いで手で揉むという操作を繰り返して、官能で評
価した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…拭き
布の強度は殆ど低下せず、十分に繰り返し使用可能であ
った。4…拭き布の強度は若干低下したものの、繰り返
し使用可能であった。3…拭き布の強度が低下したが、
数回程度の繰り返し使用には耐えられた。2…拭き布の
強度が低下し、繰り返し使用可能とは言えなかった。1
…拭き布の強度低下が激しく、繰り返し使用は不可能で
あった。 6)拭き布の表面状態:拭き布の表面の均一性を官能で評
価した。官能評価は、次の5段階出行なった。5…極め
て均一であった。4…均一であった。3…若干不均一性
が見られるものの、概ね均一であった。2…不均一な部
分が多かった。1…不均一な部分が極めて多く、全体に
不均一であった。
【0023】実施例1〜3で得られた拭き布と、比較例
1及び2で得られた拭き布とを比較すれば、明かなよう
に、比較例1及び2に係る方法においては、紙シートと
して湿潤引張強さの低い紙シートを用いたので、拭き布
の製造中に紙シートが著しく破壊され、或いはパルプ繊
維が飛散したために、十分な量のパルプ繊維が長繊維と
絡合しておらず、実施例1〜3で得られた拭き布と比較
して、吸水性や保水性、更に拭き取り性にも劣るもので
あった。また、パルプ繊維が均一に長繊維と絡合されて
いないため、この拭き布は手触り感に劣り、更に拭き布
の表面状態も不均一なものであった。比較例3及び4で
得られた拭き布は、長繊維とパルプ繊維とが絡合したも
のでないため、長繊維不織布よりなる比較例3に係る拭
き布においては、吸水性や保水性、更に拭き取り性に劣
るものであり、紙シートよりなる比較例4に係る拭き布
においては、引張強度が極めて低く、繰り返し使用性に
劣るものであった。
【0024】
【作用及び発明の効果】以上説明したように、本発明に
係る拭き布の製造方法は、長繊維ウェブの表面に、ある
特定範囲の湿潤引張強さを持つ紙シートを積層して、高
圧水柱流を施すものであるため、紙シートが高圧水柱流
の圧力によって著しく破壊されるのを防止し、且つ紙シ
ートを構成するパルプ繊維が空中に飛散するのを防止す
ることができる。従って、紙シートを構成するパルプ繊
維と、長繊維ウェブを構成する長繊維とが比較的均一に
絡合され、全体に均一性に優れた拭き布を得ることがで
きるという効果を奏する。更に、紙シートを構成するパ
ルプ繊維が空中に飛散するのを防止しうるので、長繊維
と絡合するパルプ繊維の量が減少しにくく、予め設定し
た量のパルプ繊維を長繊維と絡合することができる。従
って、得られる拭き布に、大量のパルプ繊維を含有させ
ることができ、吸水性や保水性に優れた拭き布を得るこ
とができるという効果を奏する。
【0025】また、ある特定範囲の湿潤引張強さを持つ
紙シートを用いたので、拭き布の製造中に、紙シートが
切断しにくく、紙シートを連続して供給することができ
る。従って、拭き布の製造を連続して合理的に行なえる
という効果を奏する。更に、使用した高圧水柱流を回収
して再使用する場合には、本発明によればパルプ繊維が
飛散しにくいので、回収した水中にパルプ繊維が混入し
にくい。従って、再使用する前にフィルター材で瀘過し
ても、フィルター材で捕捉されるパルプ繊維の量が少な
く、フィルター材の目詰まりを防止しうるという効果を
奏する。依って、本発明に係る拭き布の製造方法を採用
すれば、フィルター材の交換回数を減少させることがで
きるので、長期間に亙る連続操業が可能となるという効
果を奏するのである。一方、使用した高圧水柱流を回収
しないで、そのまま廃棄する場合であっても、その廃液
中におけるパルプ繊維の混入量が少ないので、環境破壊
を起こしにくいという効果も奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−227442(JP,A) 特開 昭49−117768(JP,A) 特開 平3−136842(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の長繊維が集積されてなる長繊維ウ
    ェブの表面に、JIS P8135に示された方法で25mm巾の試
    験片について測定した湿潤引張強さが、0.04〜0.6kgfで
    ある紙シートを積層した後、該紙シートの表面から長繊
    維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すことにより、該紙
    シートを構成するパルプ繊維と該長繊維とを絡合させる
    ことを特徴とする拭き布の製造方法。
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